2016年02月23日

【コラム】 電撃小説大賞受賞作「俺を好きなのはお前だけかよ」 駱駝先生ロングインタビュー

俺を好きなのはお前だけかよ電撃小説大賞<金賞>受賞作、駱駝先生のライトノベル「俺を好きなのはお前だけかよ」が2月10日に発売された。終盤、どんでん返しに次ぐどんでん返しでドキドキしっぱなし!その魅力にハマったかーずSPが、駱駝先生にインタビューしてきまいました!(取材・文:かーずSP
-

■電撃文庫で今月デビュー!今、書評サイトで超話題の
学園ラブ(モブ)コメ作品のインタビューを掲載!
第22回電撃小説大賞<金賞>受賞作 「俺を好きなのはお前だけかよ」
(著:駱駝先生 イラスト:ブリキ先生

(左)著者:駱駝先生 (右)担当編集者:三木一馬さん

───今日はインタビューよろしくお願いします。まずはご挨拶をよろしくお願いいたします。

駱駝:はい、「俺を好きなのはお前だけかよ」の作者、駱駝です。 よろしくお願いいたします!

三木一馬(担当編集者。以下、三木):はい!担当編集者のアスキー・メディアワークス電撃文庫の三木です!よろしくお願いいたします!

───さっそくお話を伺っていきます。今回がデビュー作ということですが、発売直前ですが心境はいかがでしょうか?

駱駝:あまりデビューの実感はありません。どちらかというと、フワフワしています。個人的にはいままで、担当編集さん達と二人三脚で頑張ってきて、まだなにも僕から恩返しというか、利益を生み出せてないので、少し気まずいですね。

三木:今のところ、賞金をお渡ししているだけなので、これから頑張りましょう!

駱駝:はい、賞金をもらって、さんざん打ち合わせなどでお世話になっているだけなので、まずは時間や宣伝費といった赤字を黒字に変えるのが目標ですね(笑)。

三木:営業マンみたいですね(笑)。

───電撃小説大賞に応募して今回受賞されたわけなのですが、受賞前と受賞後だと印象ってなにかかわりましたか?

駱駝:受賞前は他の新人賞に比べてハードルが高いのかなという印象があったので、今回の応募もなかば記念受験という気持ちではありました。

───それは作品に自信がなかったってことですか?

駱駝:正直に言いますと今回の第22回電撃小説大賞には2作品を応募していて、どちらかというと途中で落選した方が自信がありました。そうしたら、あまり自信がなかった方が受賞しました。自分でも吃驚しました。

───もしよかったらどんな話か教えてください。

駱駝:本作と同じ主人公がサポートに回る裏方の話なのですが、旅をする勇者に対してひたすらご都合主義を起こしてサポートする話です。

───ぜんせんジャンルが違いますね。でも結局の所受賞したのは『俺を好きなのはお前だけかよ』でしたね。ところで、略称なのですが今回のインタビューでは『俺好き』で行かせていただければと思います。

三木:なるほど、いいですね。

───ちなみになのですが、駱駝さんは本が発売されたら本屋に様子を見に行ってしまうタイプですか?

駱駝:確実に見に行っちゃいます(笑)。

───なるほど、その辺も後ほどお聴きしたいなと思います。それでは、『俺好き』の内容についてお話を伺えればと思います。本作は「学園ラブコメ」というジャンルで合って……ますか?

駱駝:難しいですね。若干ジャンルを見失っているのですが、「学園ラブコメ」の皮を被った、「学園モブラブコメ」とでも言いましょうか。

三木:「モブコメ」ですね。

───つまり普通の「学園ラブコメ」ではないと言うことですね。

駱駝:そうですね、一見「青春学園ラブコメ」かと思ってもらえるようには書きましたが、それは仮の姿というのが本作なのでして。

■ブリキ先生の「女子力」が冴えわたる
ヒロインたちを紹介!

───なるほど、内容も気になりますが、まずは目を引くのがブリキ先生の美少女イラストかなと。イラストを見ながら、キャラクターについて掘り下げて行ければと思います。一人目のヒロイン・ひまわりちゃんについて教えて下さい。

ひまわり 主人公のクラスメイトで幼馴染み

駱駝:ひまわりを描く上でモデルにしている人はいないのですが、誰もが「こういう幼馴染みいるよね〜」と思い描いて貰えるように書きました。

───幼馴染みの「王道」ってことですね。

駱駝:そうですね、徹底的に「王道」を目指して書きました。元気で可愛い女の子……チョロい感じを出したかったんですよ。

───読むとヒロインとして、主人公と距離が近い位置にいますもんね。

駱駝:そうです。読んでもらった人に、こいつはチョロいって思って欲しかったので。

───ひまわりのイラストを初めて見たときどうでしたか?

駱駝:ブリキさんからひまわりのラフを拝見させていただいたのですが、結構パターンがあったんです。ですが、一目見たときから、ひまわりはこれしかないって思いました。

ひまわりイラストラフ

───ひまわりの髪留めの「ひまわり」やカーディガンも特徴的ですが、これも駱駝さんのリクエストだったんですか?

駱駝:特にリクエストはしていないんですけど、ブリキさんが描いてくださいました。この記事のちょっと上に載っている、ひまわりのイラストが好きでして、あの内太股に手を添えているあの角度が、ちょうど良いビッチ感を演出していると思いました。こいつ、無自覚に狙ってきてやがるみたいな。電撃小説大賞の特集サイトにも、同じイラストが載っています。

───そういう所もひまわりの特徴ですよね。ちなみにひまわりって駱駝さんの理想の女の子像だったりするんでしょうか?

駱駝:自分が好きかどうかは別にして、物語の中における立ち位置としては理想のヒロイン像ですね。

───三木さん的にはひまわりはどうでしたか?

三木:僕的には、できる限り天然ビッチとして、それがイラストでも再現されていてとても良かったなと思っています。きっとみんなの回りにもいる、ナチュラルボーンビッチ(=天然ビッチ)になったのではないかと……!

───ナチュラルボーンビッチ? 詳しく教えてください(笑)。

三木:皆さんも心当たりあると思うのですが、生まれ持っての小悪魔ちゃんっているじゃないですか? 僕の大学にもそういう子いたんですよ。いたいけな男の子たちと仲良く肩寄せ合ってテスト勉強してるんですよね。僕もその男の子になりたい!めちゃくちゃ羨ましい!って思っていたんです。でもその子はまったく悪意なく、別の男の子にもそうするんです。そんなふうにあらゆる男子を翻弄する女の子がナチュラルボーンビッチです。

───本人に自覚はないけど、そんなことされたら自分のこと好きなのかと思っちゃいますよね。

三木:そうなんですよ、自分がビッチだと自覚がないところが…………可愛い(笑)。悔しいけど可愛い、悔し可愛いですね。くっ、くやしいけど可愛い……!つまりクリムゾン可愛いんです。

───何言っているのかよく分かりませんが……たしかに抱きついたりするのは、狙っていたらあざといんですけど本人は無自覚なんですよね。

三木:しかもですよ。これでその気になってその子にちょっかいを出したとしたら、向こうはその気がないので、完全に負け戦になりますから要注意です。

───なるほど(笑)。ちなみに気になっていたのですが、ヒロイン達が着ている制服のリボンの色が違うのも、これは学年で決まっているんですか?

三木:そうです。ブリキさんは「女子力」を凄いお持ちで、小説に書いていない衣装のワンポイントをたくさん考えてイラストにしてくれるんです。たとえば『電波女と青春男』でも制服に付いている花の刺繍の数で学年が分かるようになっていたりとか、そういう些細な装飾の気配りが素敵だなと。

───まったく本文で説明されてないのに、そういう演出があると面白いですね。そういった細やかなキャラクターへの配慮がリアリティにつながっているのかもしれません。かたやもう1人、コスモス先輩なんですけど、こちらは完璧な生徒会長という感じですが、彼女が生まれたのはどういった理由からだったんでしょうか?

コスモス先輩 容姿端麗、成績学年ナンバーワンの生徒会長

駱駝:それは、ひまわりがキャラクターとしては先に考えついたんで、彼女のライバルにふさわしいキャラクターはだれかという考えから生まれました。元気な女の子どうしが争い合っていたら騒がしくなってしまうので、ひまわりが赤なら、クールな青のイメージで、学年がひとつ上の生徒会長に登場してもらおうと、コスモスを出しました。

───じゃああえて高嶺の花のようなヒロインにしたんですね。

駱駝:そうです、いつでも会えるアイドルと、手が届かないアイドルというイメージでしょうか。方向生は違うけれども、2人とも学校では大人気のキャラクターにしました。

───なるほど、ちなみにコスモス先輩のイラストにはリクエスト特になかったんですか?

コスモス先輩イラストラフ

駱駝:クールな女性に、女騎士みたいな。参考イメージイラストを探していたら、ぴったりのキャラクターがいて、よくみたら百合マンガのヒロインでしたね(笑)。

───結構コスモス先輩は完璧なイメージだったんですけど、割と人間としてぐだぐだになるところもあって、そのギャップがとても好きだったんですけど、このポンコツなところはどういった意図でキャラクターにいれたんですか?

駱駝:クールな人って憧れはすれど近寄りづらいじゃないですか、だから身近に感じてもらうためには、欠点をつけようと思ったからです。ひまわりは身近にかんじられる元気なヒロインで、持ち前の明るさで頑張るヒロインなんですけど、コスモス会長はもともと完璧なので、欠点を可愛いなと好きになってもらおうと思って、欠点を増やしました。

───ちなみに古風なしゃべり方をしますが、家柄とか、家庭環境とかどうなんですか?

駱駝:それは今後のお楽しみです!

───なるほど、三木さんはコスモス会長どうですか?

三木:僕は彼女が一番好きですね。この子を最強に可愛くさせることに、ある意味命をかけました。だって、生徒会長なのに気配りも出来て、居丈高にならず、それにちょっと間の抜けたところがあるんですよ? これ「最高」だなって!最高可愛いですよ。サイコ可愛いでもいいです!

───完全に読者目線で喜んでいる人になってますが(笑)。三人目のヒロイン、地味で目立たない雰囲気の女の子・パンジーなんですけども、彼女ありきで『俺好き』が生まれたんですか?

パンジー いつも図書室にいる、主人公にだけ超毒舌な少女

駱駝:ちょっと違いますね。パンジーは裏ヒロインにしたかったんです。結局一巻って、ジョーロは裏の主人公、オモテの主人公は親友のサンちゃんです。同じようにオモテのヒロインのコスモスとひまわりとの三角関係の中で、裏の主人公のジョーロが奮闘する。そんな彼を、支える人って誰だろう? それがきっかけでした。ただ、普通にけなげに支えるヤツはつまらないないと思って、ならいっそジョーロをいじめるようなヒロインはどうだろうかというところでパンジーが生まれました。

───パンジーはジョーロを支える気がないですよね(笑)。でも一番個性的で、駱駝さんの趣味かってくらいのドSっぷりですよね。

駱駝:パンジーを作る時に一番気を付けたのは、現実にいないヒロインにしようと考えました。だから、一番現実的でないヒロインがパンジーなんです。

───イラストも三つ編みでぺったんこで眼鏡で……地味な見た目ですよね。イラストも悩みましたか?

駱駝:かなり悩みました。ラフ案をもらってどれがいいか一番悩んだ覚えがあります。

パンジーキャララフ

───パンジーについてはブリキさんもかなり悩んだんじゃないですかね?

三木:イラストレーターにとっては酷な話なんですよね。パンジーは◯◯◯◯(ネタバレ)なので、その通りに描くって結構むずかしいんです。

───それは厳しいオーダーですよね。でもそれがあの最後のシーンにつながっていくんですもんね。パンジーは三木さんはどういう存在だと捉えていますか?

三木:パンジーは主人公のジョーロ君との絡み、トークがとても面白かったので、なるべく彼女との絡みを重視して、作品の改稿をしてもらいました。会話劇がとてもメリハリがついていて良かったなぁと。

───なるほど。ちなみに、冒頭は後日談から始まってますが、あえて時系列を入れ替えたのはどういった狙いがあったんですか?

駱駝:応募時に意識したのですが、主人公のジョーロ君が『僕』状態の純朴で典型的なラブコメから始まるとつまらないと思ったんです。この後どうなるんだろう興味を持ってもらうために、あえてジョーロ君とパンジーの名前を出さずに会話が繰り広げられている、でもそのプロローグが終わった後に、全然違う性格のキャラが主人公として語り始めて、「あれ、さっきのヤツじゃないの?」と思ってもらおうとこういった構成にしました。

■「主人公の親友キャラがカッコイイ!」
っていうのを描きたかった

───なるほど、僕は手のひらの上で踊らされてました(笑)。次の質問なのですが、ヒロインが花の名前、男性が植物に関する固有名詞?で統一されていますが、理由はありますか?

駱駝:主人公は恋愛サポートするキャラクターなので、じゃあそんな彼女たちをサポートするようなアイテムって何だろうって考えました。そしたら、ジョーロって花に水を与えて育てるアイテムだなって思いついて主人公の名前がまずは決定。その後で、ヒロインのキャラクターを決めるべく花言葉等を調べて、あとは和名で使いやすそうなものを選んで、特徴的な花のあだ名をヒロインにつけることにしました。そして、親友のサンちゃんも、花を育てる太陽というところから決めました。だけど太陽は目立つところにいるじゃないですが、ジョーロは失礼だけど日陰にあるようなどうでもいいアイテムですよね。太陽は輝いているからという理由で、熱血親友キャラのサンちゃんが生まれました。

───あくまでもキャラクターの関係性から意味を持たせて名前を付けたんですね。ありがとうございます。続いてストーリーについて聞かせて下さい。本作を書かれたきっかけとか着想について教えて下さい。

駱駝:もとから漫画が好きで、ラブコメマンガとか読んでたんですよ。あるときラブコメを読んでいて、主人公があまりに鈍感で、そんなわけないだろとおもったんです。その時に、鈍感じゃなくて鈍感を演じて、馬鹿なふりしている主人公って面白いなと思ったんです。しかも、それが勘違いだったらもっと面白いだろうなって。ただ、自分への好意に気づいて鈍感を演じていると高飛車な嫌なヤツになっちゃうので、それ全部お前の勘違いですよ〜ドンマイって読者の皆様に思って欲しかったんです。

───恋愛物のマンガとかを読んで、その裏をつくような話はどうだろうかってところが出発点だったわけですね。実際にジョーロ君は恋愛ゲームで言うところの主人公の親友ポジションなんですね。サンちゃんの方が主人公っぽいですもんね。あえてそういった仕掛けを作ることによってこの作品が面白くなっていると思いました。どうしてこういった仕掛けを思いついたんですか?

駱駝:マンガやゲームとかの主人公の親友キャラがすごい好きなんですよ。(『CLANNAD』の春原とか大好きなんですけど、)彼らってすごいカッコいいのに、誰にも評価されないじゃないですか。だから、彼らってすごいカッコいいんだよっていうのが書きたかったんです。サンちゃんは目に見えるかっこよさがある、だけど語られないジョーロ君の見えないかっこよさを描きたいなと考えていました。それはこの物語が出来る前から考えていて、サブキャラが活躍する話を書きたいというのはずっと思っていました。

───語られないキャラクターにもかっこよさがあると。

駱駝:就活でアニメの制作会社を受けたとき、今後来るブームは何ですかって書いてあったんで、サブキャラブームが来ますって書きましたね。

───ジョーロ君はモブキャラ主人公で、裏の性格が変化球だから、意外な主人公像だと感じました。さらにおこぼれをもらおうという下心のある小物臭の半端なさがユニークでした。

駱駝:ありがとうございます。実は本作でいれたかったテーマとして、現実を注入してみたかったんです。俺のことは良いからという献身で、女の子の恋愛相談やサポートをするはずないじゃないですか。普通の男子だったら、下心があって、何かを狙って行動するわけですから。善人にしすぎると、逆にうさんくさい男になっちゃうので、現実感と小物感あふれるキャラクターにしました。

───そこは狙い通り僕も共感出来ました。ちょっと前の質問にもあったのですが、「僕」から「俺」へのバトンタッチによる仕掛けが絶妙でした。これを思いついたのは最初から?

駱駝:そうですね。

───なるほど。これは細かい部分になるんですけど、ひまわりがジョーロにボールをぶつけるシーンとか、後でその行動の真意が分かるじゃないですか、ああいう細やかな仕掛けが絶妙でした。ああいったテクニックが手練れなベテラン作家さんみたいでした。

■このインタビューは「作品を読んで面白くなかったら、
無しでOKです」と言って提案した!

三木:どうしたんですか? 今日は褒め殺しに来てるんですか?

───読ませてもらって面白かったんで、つい一読者としてコメントしてしまいました(笑)。

三木:実は、今回かーずさんにインタビューをお願いしたときに、「急なお願いですし、もし読んでもらって面白くなかったら、インタビュー企画は無しでOKです」と伝えたんですよ。

駱駝:そうなんですか!

───いやぁ、最初はメールインタビューとか書評にしようかなと思ったんですけど、実際に読んで本当に面白くて、これは会って話を聞きたいと思ったんですよ。

駱駝三木:ありがとうございます!

───ところどころにちりばめられているネタも面白くて、みんなの思い出の出会いの場になる地区大会の決勝の天丼ネタ(何回も同じことをやって笑いにすること)は秀逸でした。

駱駝:地区大会の天丼ネタははじめから入れていたんですが、あまり儀式化されてなかったんですよ。ベンチの同じ位置に座って、同じ言葉で告白をするといった完全にシチュエーションまで天丼にして面白くしようと、担当編集さん達と話して決めました。

───特に読み進めていって、後半のどんでん返しが何度も続くジェットコースター展開はドキドキハラハラの連続で、心が揺さぶられてたまらなかったです。重大なネタバレにならない程度に語ってください。ラストのオチまできっちり考えてから書き始めたんですか?

駱駝:そうです。最初から絶対にこうしようと最後まで流れを想像して書きました。

───結構ミステリーな要素もあるじゃないですか。とある人物の正体とか真意とか。このあたりも緻密に考えて作ったんですか?

駱駝:意識して最初から書きましたね。みんなが良い奴だとおもっていた鈍感主人公のサンちゃんが実は……というところは絶対にバレないだろうなと自信をもって書きました。正直言ってしまうと、パンジーの三つ編み眼鏡は、サンちゃんが怪しまれないための囮として使ってという点もあります。

───駱駝さんのこの作品は、「王道」といわれる物から一歩あえてずらしている気がしました。

駱駝:そこが差別化になればと意識しましたね。

───キャラクターに関してもですが、ジョーロなど登場人物のマイナス点が必要以上に嫌われないよう意識はしたんでしょうか?

駱駝:それはちょっと逆で、あえて嫌われるようにしました。嫌われるようにしつつも、共感して貰える汚さを出したかったんですよね。美味しい思いをしたいとか、人間が普通に持っている汚さがあると思ったので、それを前面に出したいなと。

───なるほど、では次の質問です。駱駝さんが思う見所や、ここに力を入れました、というところを教えてください。

駱駝:第七章のパンジーとサンちゃんのシーンですね。一番本作で書きたかった台詞があって、それがパンジーの「気づいてないわけないわよね?」って所なんです。ストーリーが集約されるこのシーンにはぜひ注目して貰いたいです。

───みなさんも注目して読んで欲しいですね。僕が読んでいて楽しかったところとして、ビッチ三段活用、資料→死霊、卑怯だ→秘境にいけ、など、言葉の言い回しが面白かったんですが、駱駝さんは昔からこういったことを書きつつ、鍛えていたんですか?

駱駝:いえ、どちらかというとぱっと思いつくんですよ。言葉遊びが結構好きだってのもあるんですが、あとはPCがすこしとち狂っていて、資料→死霊というのも実際に変換したらこの漢字が出てきたんです(笑)。

───偶然の要素もあるんですね(笑)。

駱駝:もちろん意図的に入れた物もあるんですけど。

三木:そういえばこの本を読んでくれた知り合いから誤植があるって言われて、「最近どう?」の最近が細菌になってますって(笑)。そこはギャグで、細菌の入った瓶出してるじゃないですかと。

───気づかれなかったんですね(笑)。

三木:ちょっと悲しくなりましたね(笑)。

駱駝:ギャグ部分って書きながらいれてったり、あとは思いついたらあとから入れたりですかね。

───簡単そうに言ってますけどなかなか難しいことですよ。ところで、いつから小説を書き始めたのですか?

駱駝:はい、24歳のときからです。自分がここに生きていたという証を残したくて、書き始めたんです。

───ちなみに最初に書き始めた作品のジャンルはなんだったんですか?

駱駝:実はターゲットを明確にするほうで、自分は男向けラノベではなく、女向けラノベ、『吸血鬼』のお話を書いていましたね。

───ちなみにそれは、ネットなどで公開していたり?

駱駝:そうですね、「駱駝」というペンネームで公開していました。

───そうして、5年間経って、そして受賞!ということですが、そのときの感想は?

駱駝:正直言って、ホッとはしたのですが、ちょっと残念でした。だって、大賞じゃなくて金賞だったかぁ、という気持ちも正直ありましたね。

───おお〜、スゴイですね。負けず嫌いなのでしょうか。

駱駝:はい、すこしサンちゃんと似ているところはあるかもしれませんね(笑)。

───子どもの頃にハマッた漫画とかありますか?

駱駝:はい、藤田和日郎先生の「うしおととら」と「からくりサーカス」です。ラノベでは、「スレイヤーズ!」「魔術師オーフェン」「フルメタル・パニック!」が三種の神器ですね。そのあとしばらくは離れてしまったのですが、大学生になって私は友達からラノベを教えてもらったのですが、そこで『灼眼のシャナ』や『さくら荘のペットな彼女』などを読み始めてラノベ生活に戻っていきました。

───影響を受けた作品はありますか?

駱駝:はい、『さくら荘』はとても影響を受けています。ジョーロとパンジーの会話は、ましろと空太の会話に影響を受けていますね。

───ゲームなどはいかがですか?

駱駝:はい、ラブコメを書いてはいるのですが、ロボットものが大好きで!とくにスパロボは超好きです。ずーっとやっています。

───学校では部活動などは?

駱駝:そうですね、テニス部でした。

【!!以降ネタバレ注意!!】

■ネタバレで贈る、『俺好き』誕生秘話。

───ここからはもう一歩、話の内容に突っ込んだ質問や、執筆時の裏話を伺えればと思います。まずは、書きながら楽しかった点や苦労した点があればお聞かせください。

駱駝:この「俺を好きなのはお前だけかよ」は、読者の裏をかくというコンセプトが決まっていたので最初から最後まで楽しく書けましたね。作者である私は、それぞれのキャラクターの「本性」を知っているので、序盤の典型的なラブコメ主人公を演じるジョーロが、中盤以降まさかああなるとは思うまい、とか読者の皆様の反応をいろいろ想像しながら書いていました。

───つまり読者に挑戦する感じだったと。では苦労した点は?

駱駝:苦労した点、というかこれは不安になったことなんですが、一巻にパンジーのバックボーンを何も書かなかったことですね。今巻では彼女はあくまで「裏ヒロイン」という役割だったので意図的に伏せたのですが、大丈夫かなと。

───確かにパンジーの正体は大きな謎ですね。その辺りは2巻以降で語られていくのでしょうか?

駱駝:そうですね。ご期待ください。

───天丼ネタなど話の構成に力を入れた点は先ほどお伺いしましたが、その他にこだわった点があればお教えください。

駱駝:中盤以降のジョーロがひまわりとコスモスから糾弾されるシーンでのジョーロのセリフ。「都合がいい時は、こっちを頼りまくって利用しまくる。都合が悪くなったら、あっさりと手の平を返して敵に回る。俺がてめぇらの味方だって、必死に伝えようとしても、まるで話なんざ聞かねぇ。俺の事情なんてこれっぽちも考えちゃいねぇ……」(文庫本265ページ参照)

  確かにジョーロは心のなかで酷いことも言っているけど、協力はちゃんとしているんですね。『なのに、なんで俺のことを信じてくれないんだよ!』という心の嘆きを、読者にも共感してもらえるよう、あのシーンは特に気を遣って描きました。

三木:駱駝さんはチョイチョイ自分の実体験を話に盛り込んでくるんですよ。

───確かにあそこはリアリティがありましたね。そういう事だったんですか!

駱駝:あそこまで酷い体験はさすがにありませんよ(笑)。リアル体験を反映したのは「男にモテる男子は女子にモテない」という部分ですかね? 自分の友達にもいたんですが、こんなに内面が格好良いのに、どうしてそういう内面部分は女子には気づいてもらえないんだろう、と。

───まさにジョーロ君ですね。ではタイトルを決めた経緯など伺えれば。『俺を好きなのはお前だけかよ』というタイトルは、応募作からのものでしょうか?

駱駝:いえ応募作は『壊れたジョーロは使えない』というまったく別のタイトルでした。

───それがどうして今のタイトルに?

三木:これは個人的な意見ですが、前のタイトルはすこしネガティブな印象があったので……でもこの作品は、どちらかというとコメディ色が強い作品で、そして主人公のジョーロ君の語りに読者が「オイっ!」って突っ込みを入れる部分が多い。なら、タイトルにもツッコミ的なノリを入れてみたらどうかと提案しました。

───駱駝さんの反応はどうでしたか?

三木:それが駱駝さん一切悩まなかったんですよ。次の日には、彼のほうから「『俺好き』の件なんですけど」ってメールをしてくるくらいで(笑)。

───切り替えが早いですね(笑)。

駱駝:内容は一生懸命考えますが、タイトルはマーケティングの面もあるので基本編集さんにお任せするというスタンスなので。

───担当さんから観て、本作の第一印象はいかがでしたか?どこに魅力を感じて、どういう部分を評価されたのでしょうか?

三木:普通ラブコメ作品というのはヒロインが「主人公を好き、もしくは好きになるべきである」というような、いわゆる「お約束」があるのですが、この作品はそこをあえてやってない。それでしっかりとエンターテイメントにしているところが上手いと思いました。加え、登場キャラクターそれぞれの行動理念がしっかりしていてイキイキ描かれていた点ですね。主人公が献身的で、眩しすぎず、嫌味にならず、ちゃんとヒーローとして描かれていた点も良かった。

───内容も良くてキャラも良いって、……全部じゃないですか(笑)。では出版するにあたり応募原稿から変更した点はありますか?

駱駝:主人公がクラスメイトからスクールカースト最底辺の扱い受ける描写がだいぶ抑えられています。特にプロローグ部分は最初の1〜2ページは、ジョーロ君がクラスメイトにボコボコの扱いを受けていました。

───それは驚きました。現状でも僕にとってはあのシーンは読んでいて辛かったのですが、それでも抑えたほうだと?

駱駝:はい。そういった部分は大賞作『ただ、それだけでよかったんです』にお任せしようと。

三木:一番最後まで揉めたのはギャグ部分でした。「バ◯ルドーム」部分は何度も別のネタに変えてもらって結局最初のネタに落ち着いたという……。

駱駝:ギャグの元ネタについてひとつひとつ確認があるんですよ。正直内容にあまり関係ない部分を何度も書き直していた記憶が(笑)。

───イラストにブリキ先生を起用した理由など教えて下さい。

三木:ラブコメの申し子といえばブリキさんだなと!あと最初のほうでも言いましたが、ブリキさんは服装やアクセサリー等、女性的なデザインが本当に上手いんです。そして魅力的なキャラクターを描くのはもう言わずもがなですから、彼ならばベタなラブコメとはひと味違ったテイストを引き出してくれるのではないかと思ってお願いしました。

───素晴らしい挿絵ばかりですが、お気に入りの一枚などあれば。

駱駝:ひまわりの告白シーンのイラストがすごい好きです。チラ見せしている胸の谷間など、天然ビッチ具合がとても良く出ている思います。あと最後のパンジーの正体の挿絵は外せないですね。パンジーが美人であることは周知の事実ですが、どのくらいの美人なのかは絵を見るまで分からないでしょう。自分的にはこの挿絵は雑誌の袋とじ的なものだと思っていて、どれだけ美人かはぜひみなさんの目で確かめていただきたいです。

───パンジーが普段地味な姿でいるのはファンとしても気になる所だと思います。その理由を話せる範囲でお願いします。

駱駝:あまり言いたくはないのですが、理由はちゃんとあります。けれど球場のシーンだけはそうではなかった。つまりあの日、あの場所だけはあの姿をしなければならない理由があったということだけ……。続きは次巻以降で語られると思います。

───パンジーの心を読む能力は、読心術でしょうか? 超能力?

駱駝:ジョーロが危機に陥った時、パンジーに秘められた真の力が――ってウソです(笑)。そこは「愛の力」ということで。

───ひまわり、コスモス、サンちゃんとジョーロの関係は修復される(出来る)のでしょうか? 個人的にはかなり難しいのではないかと感じていますが……。

駱駝:人間関係の修復は次巻以降の最大のテーマです。それは4月発売予定の2巻をぜひ楽しみにしていただければ。

───なるほど、2巻も楽しみです。

■『俺好き』は、今さまざまな展開が行われています!

───では、最後にお知らせをお願いします。

三木:はい、ただいま読書メーターにて、「愛のムチ企画」というものを展開しております。読書メーターと電撃文庫がコラボする企画です。

───それはどんな内容ですか?

三木:読書メーターのいいところは、書評が共有できるところですよね。それをさらに進化させて、その書評内容が、実際の作品に反映されるとしたら、どうですか?

───ほう。

三木:なんと「愛のムチ企画」というのは、読者の皆さんが書評を書くと、それが後日、続刊作品で反映される!かもしれない!という次世代的な企画なのです!

───……。

三木:その、書評される、いけに……じゃない、誉れ高き対象作に、この作品が選ばれたのです!

───えっと、三木さんの本に、『全ての創り手は、「静かなるBUYサイン」を信じて進め!』というトピックがあったと思うのですが、それとまったく逆のこと言ってませんか?

三木:…………ハッ!!

───あれを信じていたのに!酷いですよ!

三木:それはそれ……これはこれですよ!!!というか、その『静かなるBUYサイン』については、大前提として「愚にも付かない悪評」「建設的では無い、ただの誹謗中傷」の場合だけ、気にしないように、無責任なネガティブな意見だけを聞いて、筆が止まるのは不健全ですよ、というのを言っていたのですよ!読書メーターの方々は、良い人しかいないから大丈夫!!そういうことなのです!

───本当かなぁ……

三木:ちなみにこの『愛のムチ企画』でなにかご指摘を読者さんからいただいたら、2巻から直しますから!

───え? 4月発売ですよ?

三木:はい、今から直しますので、よろしくお願いいたします!!ねえ駱駝さん!!

駱駝:え、あ、はい……。。。

───なんかレイプ目みたいになってるじゃないですか。えーと、そしてさらに、目玉企画がさらにあると?

三木:はい!いま、インタビュー記事を掲載いただいている、アキバBlogさんだけに、なんと!二本も!!!駱駝さん書きおろしの『俺好き』新作ショートストーリーをアキバBlogさんだけに!アキバBlogさんだけに!!掲載します!

───なんか押しつけがましいな(笑)。

三木:いやでもすごいことです。著者の駱駝さんが、ここだけのために書きおろしました。

駱駝:頑張って書きましたので、よろしければ、是非お読みください。ここから飛べます。一つは、ジョーロとパンジーのLINE会話の一幕です。もうひとつは是非皆様の目でお確かめください。

───ほか、何か最後に告知ありますか?

三木:はい、僕から。すでに「俺を好きなのはお前だけかよ」一巻が発売されていますが、こちらも発売中の電撃文庫MAGAZINE Vol.48では、俺好きの書きおろし短編が掲載されていますのでこちらもチェックよろしくお願いいたします。

さらに、特集サイトでも、別の新しい書きおろし短編があり、さらにアキバBlogでも書きおろしショートストーリーがある!!そしてさらに、電撃文庫のニコニコチャンネルでも、新しい短編が掲載されています!!そしてさらに、特定の店舗さんでも書きおろしショートストーリーがついています。ゲーマーズさん、アニメイトさん、とらのあなさん、メロンブックスさんです!!

───おお!

三木:そしてさらに「俺を好きなのはお前だけかよ」2巻、4月に出ます!

───すごく早いですね?

駱駝:そうですか?

三木:いやだって書いてくるんだもん……。。。

駱駝:いやはい、頑張っています!

三木:一辺倒では終わらない、ニヤニヤも完備した、次世代のラブコメ!これが最近のラブコメです!!読みやすさも凄くリーダビリティがあります。たとえるなら、『俺の妹』の一人称の読みやすさを備え、そして『とらドラ!』的な青春の甘酸っぱさを含んでいる、この「おきなは」を是非お願いします!

駱駝:省略が変わってる……。ええと私は、この作品を書くときに狙ったのは、「ラブコメはお腹いっぱいだけど、ラブコメがやっぱり好きな人」こういった人たちに向けています。なので、「あぁ、いつものラブコメか」と思わないように工夫したつもりですので、是非読んでみてください。そして、二回読むと更に驚く仕掛けもありますので、そこにも注目してもらえると嬉しいです。更に更に、物語とは一切関係のない箇所で一つ、全体を通して、読みやすくするための仕掛けが施してありますので、そこまで気づかれたらお見事です!

───はい、本日はありがとうございました。

(取材・文:かーずSP

この記事はコラム カテゴリーに含まれています |Ajax Amazon Edit
トラックバックURL
http://trackback.blogsys.jp/livedoor/geek/51518093