2016年04月22日

【インタビュー】 ロリっ娘ジャンヌ・ダルクの異能バトルを歴史if+美少女化で実現!「ユリシーズ」3巻発売記念、春日みかげ先生インタビュー

春日みかげ ユリシーズ 昨年夏に、ダッシュエックス文庫から1巻と2巻が同時刊行された「ユリシーズ」、待望の3巻が4月22日に発売される。そこで今回は『ユリシーズ』をまだ読んだことのない方への入門編として、春日みかげ先生に『ユリシーズ』の魅力について語っていただいた。(取材・文:かーずSP、協力:ノトフ
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「もしも織田信長や明智光秀といったおなじみの戦国武将たちが女の子だったら……!?」という壮大なifを描く歴史戦国ライトノベル「織田信奈の野望 全国版」

その春日みかげ先生が、新たな美少女チェンジ歴史モノをひっさげて、集英社ダッシュエックス文庫に登場!中世ヨーロッパを舞台とした美少女if化を描いた作品が「ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと錬金の騎士」である。

「ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと錬金の騎士」 画像は1巻表紙
(著:春日みかげ先生 イラスト:メロントマリ先生

って、ジャンヌ・ダルクって最初から女の子ですよね!?ところが『ユリシーズ』の世界では、シャルル王太子やフィリップ善良公、リッシュモンといった歴史的人物(当然ながら、すべて男性)が美少女になっていて、主人公のモンモランシを取り合うはめに!?

■ジャンヌ・ダルクは最初から女の子なので、
女体化する必要がなくて戸惑いました

───まず、本作を書かれたきっかけから教えて下さい。

春日みかげ(以下、春日):『織田信奈の野望』(富士見書房)のおかげで、歴史ものの依頼が多いのですが、その中でジャンヌ・ダルクを提案された時に、戦国時代とぶつからないので書けると思ったのが最初のきっかけです。最初から女の子なので、女性化しなくてもいいから楽だと思ったんですが、逆にわざわざ女体化する必要がないので困りました。

(一同笑い)

春日:何か足さないと普通の歴史小説になっちゃうんで、オカルトっぽいダークファンタジーをやりたかったんです。具体的には「錬金術」をテーマにした作品を書きたくて、ナポレオンの時代になると近代に差し掛かっているので「錬金術」は出せないんですが、ジャンヌ・ダルクは時代的にも中世の終わりくらいで、ちょうど良かったんですよね。

───作中の錬金術は、唾液の交換……つまり女の子との「キス」が重要というのがエッチですよね。

春日:ダークファンタジーなので血を吸うキャラクターがいたんですが、でも書いている作者自身が血が苦手なので、吸血以外で体液を交換出来る方法はないかな? って考えて、美少女ゲームだと18禁なことになるんですけど、これはライトノベルなので、キスくらいがギリギリかなと(笑)

───(笑)編集さんは最初、『ユリシーズ』を読んでみていかがでしたか?

編集:ものすごく面白い。そしてものすごく濃い。ライトノベルとしては破格の歴史描写だし、登場人物はやたらと多いし、錬金術やオカルト関係ほか、作品に詰め込まれた要素がものすごく多い。だから「気軽に楽しく読んで下さい」とは決して言えない(笑)。読者の皆さんには、最初から大作であるというのを覚悟していただく必要はあると思います。その代わり、謎で覆われたところが全部伏線として繋がっている事に気づけたりして、異例の読み応えのある作品になってます。

■キャラクター紹介

───ここからは『ユリシーズ』に登場するキャラクターを、イラスト担当のメロントマリ先生のコメント付きで紹介!

モンモランシ

───主人公のモンモランシは、どういう着想から生まれたんでしょうか?

春日:もう1巻と2巻が発売されてから時間が経ったので言っちゃいますけど、モンモランシの正体は史実の人物であるジル・ド・レです。錬金術に凝っていて、ジャンヌ・ダルクの一番熱心な仲間。それと心の中に善と悪の両方を持っていて常に葛藤しているという、少年向けではできない主人公を描いています。
『織田信奈の野望』は『ジョジョの奇妙な冒険』で言えば第3部みたいな構成になっていて、全国すごろくの国盗り合戦で、次の国、次の国ってどんどん勝っていく王道の少年漫画の作り方なんです。
一方『ユリシーズ』は『ジョジョ』でいうと第7部なので、どちらが善でどっちが悪というのは明確じゃない。モンモランシは境遇がマイナスから始まっていて、ゼロに向かっていって普通の真人間を目指す話なので、ゼロからプラスに向かう相良良晴(『織田信奈の野望』の主人公)とは、主人公像からして、だいぶ違ってきています。

───腹筋フェチという一面もあります。

春日:少年向け作品の主人公は普通おっぱいに目が行くんですが、『ユリシーズ』では少し青年向けを心がけているので、ちょっと視点が下がってきています。

編集:それなら普通はお尻でしょう?

春日:お尻までいくと、いやらしすぎるので……だからモンモランシはザントライユの胸談義に入門して、無理やり性癖を普通にしようとしているんですね。ロリコンになってしまうとやばいっていう自己啓発です(笑)

───デザイン的にはいかがですか?

春日:イラストレーターのメロントマリさんには、モンモランシを長髪にして欲しいとリクエストしました。イメージとしては『ジョジョ』のジャイロ・ツェペリ、『ガンxソード』のヴァン、『HELLSING』のアーカード、『吸血鬼ハンター"D"』のDとか、ダークファンタジーのヒーローって帽子かぶっていて長髪っていうイメージがすごく強くて。

★イラスト担当・メロントマリ先生からのコメント
モンモランシのデザインに入った時にお願いされたのは、大まかに「長身長」「長髪」「とんがり帽子」の三つでした。
一般的なライトノベルの主人公といえば、髪型が短髪で少しぼさぼさであまり冴えないっというのがイメージにあったので、初めてモンモランシを描いた時は少し戸惑いつつも、面白くデザインさせていただけることができました。

───そしてジャンヌ・ダルクですが、ロリっ娘にした理由は?

ジャンヌ・ダルク

春日:他の姫騎士と差別化するために小さくしましたが、ジャンヌ・ダルクは、他の作品でもショーットカットで胸がない、少年っぽい感じに描かれていることが多いですから、そのイメージの延長ですね。史実でも、ジャンヌは「男装」していたそうです。
それと『ユリシーズ』では女の子が戦うだけでは誰も驚かない世界観なので、野郎どもが驚いて熱く燃えるには、小さくするしか無いと。

───ジャンヌを支える乙女義勇軍という気合の入っているロリ集団が、『織田信奈』のファンとしてはニヤリとしました。

春日:蜂須賀五右衛門ファンの川並衆と、ジャンヌ・ダルクファンの乙女義勇軍。国は違えど、魂は同じ、ロリコン集団です。

(一同笑い)

編集:一応言っておきますが、ジャンヌはあくまで18歳ですからね(笑)

春日:ちっちゃく見えるのは、貴族と農民では食べ物が違うので、栄養価の差なんです。だからジャンヌはぺったんこで、王族のシャルロットは栄養が全部胸にいっています(笑)

───ジャンヌの可愛い性格も、ユリスに変身する時は一転して好戦的で、気が強くなります。

春日:『機動戦士ガンダムZZ』のプルとプルツーみたいなイメージですが、変身すると性格が変わるのは賢者の石の副作用です。でもジャンヌの最初のモデルは『ポーの一族』のメリーベルっていう、ずっと少女のまま成長しない女の子です。
デザイン的には、ユリスは熱が篭もるので、身体の一部は露出して肌を出して欲しいとお願いしました。なのでお腹が出ているのも、お腹に賢者の石を埋め込んでいてお腹を出していないと熱がこもって大変だからという……まあライトノベルなので、ごっつい甲冑で身体が覆われているのは見栄えがしないというのが、もちろん大きい理由なんですが(笑)

★イラスト担当・メロントマリ先生からのコメント
ジャンヌはおへそですね! 「とにかくメロンさんおへそ!」っということでしたので、おへそをアピールできる甲冑にまとめました。おへそいいですね! 私もおへそ大好きです!

───アスタロトですが、マスコットの妖精なのにかなり目立ってますね。

アスタロト

春日:これはメロントマリさんのキャラクターデザインのおかげです。指スリスリをしている第1巻のカラー口絵が本当に可愛い! 最初のラフ画もものすごく可愛くて、出番が増えちゃいました。

編集:メロントマリさんに「『聖戦士ダンバイン』のチャム・ファウとかイメージされてますか?」って尋ねたら、「『リーンの翼』が大好きなんです!」って言われて驚きました。お若い方なんですが、富野由悠季監督の作品や『ファイブスター物語』とか、ちょっと上の世代の作品がお好きだそうです。

春日:アスタロトの性格が若干冷めているのは、神話の時代からアーサー王伝説の時代を経て、何千年もずっと失敗を繰り返してきたためで、ちょっと『コードギアスのC.C.』(不老不死の少女)みたいな心境なのかもしれません。

★イラスト担当・メロントマリ先生からのコメント
各キャラクターのデザイン画を見ていただいたとき、アスタロトは一発で即OKをいただきました(笑)アスタロトはこれ以外ないだろ!! っというくらい鮮明にイメージできたキャラクターでしたので、春日先生にお気に召していただいて本当によかったとおもいます。

───次に姫騎士のリッシュモンですが、メインヒロインは最初この子かと思ってました。

リッシュモン

春日:個人的にはメインヒロインのつもりです。物語的にはジャンヌですが、リッシュモンは歴史の闇に葬り去られた人物で、百年戦争を集結に導いた英雄なのにもかかわらずフランス人になることを拒んだので、フランスの歴史から抹消されちゃったんです。そんな悲運の騎士なので、リッシュモンにスポットを当てたい気持ちは強いです。
これもメロントマリさんのイラストに触発されまして、最初は口調がもっとツンケンしていてキツかったんですが、凛としている真面目な生徒会長のリッシュモンになりました。

編集:デザイン的には、3巻からリッシュモンの甲冑が新しくリニューアルされましたね。

★イラスト担当・メロントマリ先生からのコメント
「ユリシーズ」1巻の初稿をいただいた時、リッシュモンは今のような真面目キャラではなくて、とてもツンツンしているキャラクターでした。今でも最初のリッシュモンのイメージが強くて抜けきらないんですが、真面目キャラなリッシュモンも好きです! お気に入りキャラクターなので、3巻の新デザインに留まらずもっといじれたらいいなと思います。

───次にシャルロットですが、モデルはいますか?

シャルロット

春日:リッシュモンもそうですけど、シャルも歴史上の本人(シャルル王太子)がモデルです。

───史実の歴史から、性格もわかるんですか!?

春日:『織田信奈の野望』の時に覚えたスキルなんですけど、歴史を調べているうちに自然とキャラクターの性格ができあがっていくんです。人間は環境によって性格が形作られていくところがあるので、似たような環境で育つと、似たような性格になると思っています。でも史実の歴史だとシャルロットは戴冠したところで、ジャンヌが用済みになって切り捨てるんですよ。

───ええっ! 『ユリシーズ』の2人は仲良すぎでイチャイチャしているのに。

春日:ちょっと百合が入っていますよね、タイトルも『ユリシーズ』っていうくらいで。さらにフランスの旗も百合がデザインされていますから、トリプルミーニングで……って冗談ですけど(笑)
シャルロットは基本的に男性不信なところがあるので、百合の資質があるのかなって思います。モンモランシに心を許しているのは、彼が思春期に錬金術にはまって引きこもっていたせいで精神的に男になってないところが関係しているんでしょう。でもバタールを女装させているのはヒドいですよね。明らかに、バタールの人格形成に悪影響が出まくると思います(笑)

イラスト中央の子がバタール

───この真ん中の子ですね。これを見るとバタールは完全に男の娘のような。

春日:そのうちユリスになってもおかしくないです。漫画の『キングダム』(著:原泰久氏 集英社)でたまにある、「お前、女だったのか!?」っていう展開になるかも(笑)

★イラスト担当・メロントマリ先生からのコメント
シャルロットが一番好きです!「ユリシーズ」を読んだ時に一番初めにイメージできたキャラクターです。アスタロトと同じく、迷う事なく一瞬で描けました。いろんな意味でだらしない(主に胸が)シャルロット最高にツボです!

───フィリップ善良公女ですが、ひとりSMとかエッチな子という印象です。

フィリップ善良公女

春日:いやいや(笑)、自分で背中に鞭打つのは宗教的な儀式ですから! ペストが流行っていた頃に、本当に実在していた苦行なんです。
ブルゴーニュはカトリックの国で、フィリップも敬虔なカトリック教徒なんです。で、人間は抑圧すればするほど性欲が抑えられていくので、逆に悶々としてしまうっていう、よくあるパターンに陥っています。中世ってそういう事例が多くて、とてもここでは言えないような拷問道具がいっぱいあって、ああいうのは禁欲のしすぎから来ているのかなって。

───気が小さい性格も史実でしょうか?

春日:いえ、これはだいぶ創作で、シャルロットと反対にしたかったんですね。シャルロットがぱっと見で男好きそうに見えるけど、実はそういうのが嫌いで意外と潔癖。その逆の設定で、バランスを考えた結果です。ただ、史実でも「善良公」と呼ばれていたくらいですから、基本的には優しい人だったのではないでしょうか。

★イラスト担当・メロントマリ先生からのコメント
デザインをする時、原稿に各キャラクターの設定が細かく表現されていると私的にはとてもやりやすいのですが、春日先生の場合「イラストレーターさんに全部お任せします!(但し胸の大きさと形以外!)」っということでしたので、とても自由度が高く、デザインする時はとても楽しかったです(笑)。
ですがフィリップに関しては全然違いました。恐らくデザインで一番悩んだキャラクターだとおもいます。色々と背負っているものが大きく、それを内面に押さえ込むような雰囲気にするのがとても難しかったです。

───ラ・イルは2巻からヒロインに昇格しましたが、けっこうお笑い担当みたいな扱いに……。

ラ・イル

春日:最初はリッシュモンと似ていたんですが、差別化する時に「食欲」ってフックを一つ付けたことで、3巻では色気がなくて食べるだけの女の子になっちゃいました。でも史実でもラ・イルはガサツで、だって趣味が略奪なんですよ。それでずっとリッシュモンとケンカしていて、いつまでたっても略奪癖が治らなくて失脚していくわけなんですけど。まあ、このままずっとお笑い担当ということにはなりません。

編集:2巻ではラ・イルが表紙に出ているんですが、最初のラフは真正面を向いていて、それを後ろ姿にするか、正面にするか、けっこう相談しました。ラ・イルはワイルドな感じを出したいので、ワイルドだったらお尻だろうと。

「ユリシーズ」2巻表紙

春日:結局、旗で隠れているじゃないですか(笑)

★イラスト担当・メロントマリ先生からのコメント
2巻の表紙の件については、今でもあれが良かったんじゃないかとか、こっちも良かったんじゃなかったかなーとか思ったりします。ラフの段階でもラ・イルの向きについて相談させていただいたんですが、後ろ向きで完成した後でも「やっぱり正面で描き直してもいいですか……?」っと無理を承知で相談させていただいたのも覚えています。時間的な問題もあったのでもちろん無理でしたが(笑)

───メロントマリ先生のイラストについて、率直な感想は?

春日:いやー、可愛いですよね! 特にアスタロトが「これだ!!」 って思いました。

編集:もちろん女の子の絵もすごく良いんですけど、甲冑とかのデザインセンスも卓越してます。甲冑ってメカデザイン的なセンスが必要になるんですけど、それをきちんと踏まえた上でやってくれていて素晴らしいです。

春日:歴史ラノベでは甲冑が重要になるので、担当編集さんもイラストレーターさんを見つけるのは大変みたいです。メロントマリさんは男性を描くのもすごく上手くて、赤髭のジャンやグラスデール、ザントライユたちもカッコいいですよね。

グラルデール
■『ユリシーズ』の原点は
『ジョジョ』のスタンド能力!?

───執筆について心がけていることはありますか?

春日:先ほどの主人公像の違いも含めて、なるべく『織田信奈の野望』と同じパターンにならないように意識しています。でもヒロインの活躍を切り捨てるとライトノベルじゃなくなっちゃって、普通の伝奇小説になってしまいますので、ヒロインの可愛らしさは入れつつも、オカルトや能力バトルを入れて差別化を図りました。

編集:個人的には『ユリシーズ』に詰め込まれた『ジョジョ』ネタの数々も外せない要素です。最初の出だしが古代シュメールなんですが、『ジョジョ』がアステカの古代文明から始まる事のリスペクトになってますし、石仮面も登場します(笑)それと2巻で多数の矢が止まっているカラー口絵があるんですが、これは「『ジョジョ』第3部のナイフが大量に投げられてるシーンを再現したいから描いてほしい」っていう、春日さんから直々のリクエストの賜物です。

2巻カラー口絵

───『ザ・ワールド』でナイフが止まっている、あのシーン! 『ジョジョ』大好きが詰まっていますね。

春日:最初の発想は「スタンド使いが中世の合戦にいたら、人間兵器がそこにいたらどうなるのか?」っていうifなんです。『ジョジョ』はだいたいタイマン勝負で、スタンド使いが戦争には投入されないので、それをやりたかったんですが、無限に能力が使えると楽勝なので時間制限を設けました。『ザ・ワールド』(時を止められる超能力)も時間制限がないと無限に勝ち続けられてしまい、あまりにもチートすぎて……そのすり合わせが、数分間の活動時間なんです。
知能バトル、スタンドバトルをそのままやっているんですけど、今回は能力自体は単純にして、ジョンガリ・Aや「ヘビーウェザー」あたりになるとよくわからないので。極力シンプルな、すごくわかりやすい形にしました。

編集:時代が中世ですし、もしスーパーマン的な存在が一人いたら敵軍は殲滅されかねないんですけど、ユリスの能力は数分間しか使えないので、そこを凌げば一般の兵士にも反撃の余地がある。スーパーヒーローだけじゃ勝てないっていう兼ね合いがちゃんと描かれてます。

春日:ビグ・ザム(『機動戦士ガンダム』)やティーガー(ドイツの戦車)を少量生産したところで、戦局が好転するかというとそれだけではやはり苦しい……というところで。実際、古代なら戦局によっては一人突出して強い英雄がいれば圧勝もできるんでしょうけど、近世に片足を突っ込んでいる時代なので、英雄1人では勝てないような組織戦が始まっているんです。

編集:ガンダムだけじゃ戦争に勝てなくてジムもやっぱり大切っていう、敵役のサブキャラでもちゃんと見せ場を作ったりと、キャラ愛があるなあと感心します。

春日:『ジョジョ』の第7部が好きなので、その影響ですね。『スティール・ボール・ラン』(第7部)はリンゴォとか悪役がみんなドラマがあって、立ってるじゃないですか。

───日本ではマイナーな「百年戦争」を題材にしたことで、歴史を知らない読者にも伝える努力などありましたか?

春日:はい、すごく苦労しましたので、第1巻の最初に学園編をやりました。あれはゲームで言うとチュートリアルの部分になっています。

編集:実はこの英仏戦争って、元はフランスの貴族がイギリスに流れていって王族になって、イギリスがフランスに攻めてきているっていう内輪の兄弟関係の内紛なんですよ。さらにフランスの中でも内部分裂していたり、関係がやたらと複雑なんです。なので、それまでの歴史を授業で説明したり、フランスの内政事情をキャラクターの立ち位置に反映させたりしています。

春日:ただ本編内の時間経過に関しては、実在の年代よりも前倒しにしたり、10年くらいかかっている時間を数年に圧縮したりして詰めこみました。その分、ジャンヌが小さくなったり、一部女体化していますが、だいたい史実に近い形にはなっています。本当はリッシュモンはオッサンで、姫騎士じゃないんですけどね。

(一同笑い)

春日:あと最初は「ユリスは処女を失うと死ぬ」という設定だったんですが、『純潔のマリア』(著:石川雅之氏 講談社)と設定が被っていると気がついて書き直しました。漫画も読んでいたんですけど執筆中は気づかなくて、アニメを観ていたら「あっ!」って声が出ちゃいました(笑)

■『信奈』と『ユリシーズ』、
同時執筆していると混ざってしまう!?

───『織田信奈の野望』も刊行が続いていますが、同時に執筆されているんですか?

春日:『ユリシーズ』の1巻2巻執筆と『織田信奈の野望』の1巻から10巻の改稿が同時進行だったので凄く大変で……(苦笑) 同時には書けないので、その時は朝から午後までは『織田信奈』、夜からは『ユリシーズ』など、時間で区切っていました。
執筆中のBGMを使い分ける努力もしていまして、『織田信奈の野望』執筆の時は大河ドラマとかコーエーのゲームのサントラしか流しません。『ユリシーズ』執筆時ではクラシックとか、ジャンヌやアーサー王関係の映画のBGM。それとデビッド・ボウイの『BEAUTY AND THE BEAST(美女と野獣)』って曲があって、それが『ユリシーズ』の元となったモチーフでもあります。
『ユリシーズ』3巻の時も『織田信奈の野望』15巻と同時進行だったので、だんだん混ざってきて、『織田信奈の野望』の編集さんに「ちょっと今回の良晴、大人しくないですか?」って言われて、「あ、これモンモランシだ!」って(笑) 混ざっちゃっているので書き直しますねって改稿したりして。

───主人公が混ざる問題はけっこう大変ですね。

春日:ヒロイン混ざる問題もあります。シャルロットと大友宗麟は史実の生育環境が似ていて、家庭がめちゃくちゃで人間不信なところとか、飽きっぽいとか、戦争が嫌いなところが共通しているんです。なのでどうしても性格も似てきちゃいまして、執筆中は気をつけています。

───それでは最後にアキバBlogをご覧の方へ、メッセージをお願いします。

編集:歴史戦記モノ、伝記モノ、可愛い女の子、どれか1つでも好きなものがあれば、必ず満足できる内容です。読み込まれると、どんな話よりも満足できる、お腹いっぱいになるライトノベルになっています。まずは1巻と2巻がセットなので、2冊続けて読んでいただけると、その面白さはわかっていただけると思います。掘れば掘るほど新しい発見があって、何回も繰り返して読んでも楽しめる奥の深い作品です。

春日:そう聞くと、全然ライトじゃないので、ラノベ失格と言われるかも(笑) 作者はそんな豪語できないんで……『ジョジョ』好きの人は是非。

(一同笑い)

春日:『織田信奈の野望』も毎月出るわけではありませんので、『信奈』と一緒に『ユリシーズ』も楽しんでください、どちらもノリは基本一緒です。1巻と2巻を気に入っていただけたなら、3巻では伏線が回収されたりリッシュモンたちが大きく動く話になっていますので、ぜひ、よろしくお願いします。

───本日はありがとうございました。

(取材・文:かーずSP、協力:ノトフ


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