【コラム】 「俺を好きなのはお前だけかよ」4巻発売記念、駱駝先生インタビュー!



■祝!コミカライズ化決定!!
───『俺好き』もついに4巻、デビューしてからあっという間に一年が経ちましたが、何かお変わりになりましたか?
駱駝:いえ、特には。ごく普通に変化なしですね。
三木一馬(担当編集。以下、三木):何言ってるんですか駱駝さん! 重大な「アレ」があるじゃないですか!! そう、きっかけは『去年の地区大会の決勝』で――。
───そういうのはいらないので、さっそく本題に入ってください。文字数限られてるんで。
三木:あ、はい。『俺を好きなのはお前だけかよ』のコミカライズが決定致しました!!
全員:おめでとうございます!!
駱駝:『突然ですがコミカライズやります』っていうタイトルでメールが来て、本当に突然で、「お、おう!」みたいな(笑)。原作とは違う漫画ならではの面白さが盛り沢山ですので、是非読んでみて下さい!
───原作とどっちが面白いか勝負ですね。
駱駝:はい。しかも漫画の方が、先にジョーロ(主人公)のカラー絵を出していただきましたからね。追い抜かれました(笑)。
三木:そして気になる掲載媒体などの詳細ですが、集英社のWebマンガサイト・スマホアプリの「少年ジャンプ+」です!
───えっ!? KADOKAWAじゃなくて集英社なんですか?
三木:たしかに今回、異色な印象を受けられたかもしれません。ですが、他社でのコミカライズについては、『禁書目録』をスクウェア・エニックスの月刊少年ガンガンにて、『魔法科高校の劣等生』も月刊Gファンタジーにて掲載していたりなど、電撃文庫タイトルの他社媒体でのコミカライズの例はたくさんあるんです。
───言われてみればそうですね。
三木:『ジャンプ+』についても、メディアワークス文庫の『三日間の幸福』(著/三秋縋先生)のコミカライズをすでに掲載中でして、そういう意味ではそこまで目新しい……というわけではないかもしれません。なのですが、ここで一点、他のコミカライズと大きくことなるポイントがあります。
───へえ、それはなんですか?

三木:基本的にコミカライズとは、コミック編集部の担当編集さんと、その方が見つけてきた(もしくは担当している)作画さんが、原作小説を読み込んでどう展開していくかの構成を考える、という流れです。つまり、当たり前のことなのですが、原作小説をコミカライズするとき、コミック部署の編集者さんが内容を考える、ということです。ですが今回は、原作小説をコミカライズするとき、原作元がコミックまで一気通貫で創り上げてみたらどうなるか、ということを考えました。つまり、今回のコミカライズは原作担当編集が所属する僕の会社ストレートエッジで編集も担ってみようと考えました。
───ほうほう。
三木:わかりやすくいうと、原作の編集者が漫画もトータル的にプロデュースして、原稿を『ジャンプ+』にお届けする。もちろん、事前に『ジャンプ+』の編集者さんもチームに入っていただきアドバイスをもらい、さらなるクオリティアップを目指します。ただ、基本的には内容のクオリティはこちらが持つという仕組みです。
───それだと、どう違うのでしょうか?
三木:より原作に近しい位置にいる編集者がコミカライズにすることで、原作ファンは違和感なく楽しめるものになると思っています。そして『ジャンプ+』読者の趣味嗜好はそこの編集者さんにアドバイスをもらい、『俺好き』を知らない方にも、楽しんでもらえる作品を作ることができるのではないか……と考えています。
───ラノベの編集者って漫画の編集もできるんですか?
三木:いい質問です!! できません!! が、チームプレーはできます!優秀なプレイヤーとして『とある科学の超電磁砲(レールガン)』でも一緒にやっているコミック編集と一緒に組んでやっています。ラノベとコミックという媒体の異なる編集者を小さな組織(チーム)をストレートエッジ流に構築して、今回の試みを進めてみようと。
これから話すことは、あくまで僕の勝手な僕の感想です。独自のコミックに徹底したこだわりをもち、オリジナルコンテンツ創出のスペシャリストである『ジャンプ』編集部さんにコミカライズの企画を持ち込みました。なので、こちらは原作小説とコミカライズのスペシャリストをチームとして提供することが、ストレートエッジのサービスだと思ったのです。
───なるほど。
三木:さらに!そして実は、漫画連載だけではなく『ジャンプ+』で小説も連載しようと思っています!小説+コミック連載というかたちで、トータルプロデュースをしていければいいなと思っています。
駱駝:2月予定で動いてますので、楽しみにしててください!
序盤のジョーロはもちろん『あの状態』ですので、事情を知っている方はニヤニヤして見れること間違いなしです!また、ヤツが登場しているシーンは、是非ゆっくりじっくりと満遍なく見ていただきたいです。原作では表現しきれず、漫画だからこそ表現できた屈指のシーンですので!
───ではここからは原作の話です。3巻の反響はいかがでしたか?

駱駝:3巻はひまわりに活躍して欲しかったので、そこを喜んでいただける方が多かったみたいで嬉しいですね。変わった意見としては、友人が「串カツ屋の金本さんが良いからもっともっと出そうぜ」って言われたんですが、そんな出ないぞって(笑)
───バイト先にああいう先輩がいると頼もしいですよね。で、今回ヒロインたちの名前にまつわる花言葉を調べてきたんですが、意外と合っているんですよね。
【ヒロインたちの名前にまつわる花言葉】
■ひまわり……愛慕・敬慕・敬老の日・情熱・輝き
■パンジー……「思慮深い」紫のパンジー/「つつましい幸せ」黄色いパンジー/「田園の喜び」白いパンジー
■コスモス…… 調和、謙虚、乙女の真心
■サザンカ……困難に打ち克つ、ひたむきさ、理想の恋
■あすなろ……永遠の憧れ。変わらない友情、不滅、不死
駱駝:いやいや意外じゃなくて、合わせてるんですよ!(笑)ヒロインの性格は全員、どこか一部に花言葉の言葉の意味が混ざっています。例えばパンジーの場合、トータルで「私を想って」っていう意味があるんです。ひまわりの「情熱、輝き」とか、まんまですよね。あすなろはジョーロへの片想いで「永遠の憧れ」。こっぴどく振られているのに4巻でも積極的にアピールしているので「不滅」にも通じます。
───懐かしい(笑)
※ここから、4巻の内容が少しネタバレになります。
■4巻の新ヒロイン“たんぽぽ”は、 バイキンマンがモデル!?
───さて、今回新キャラとして蒲田公英(かまた きみえ)、愛称「たんぽぽ」が登場しました。外見や中身など、モデルはいらっしゃいますか?
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蒲田公英(かまた きみえ)/たんぽぽ |
駱駝:実はひまわりに初期のラフモデルがいくつかあって、そこにたんぽぽの元となるデザインが紛れ込んでいたんですよ。ぱっと見、可愛い系に振り切った女の子のビジュアルがよくて、ずっと覚えていて、外見はそれが元になってます。
───性格的にはどうでしょう、前回のインタビューに続いてまたビッチが増えた印象です(笑)
駱駝:たんぽぽは別にビッチじゃないですよ。
───ワタゲスト=自分のファンを増やすと言ってるあたり、いろんな男にちやほやされたいのかなと。
駱駝:ただ人気者になりたいという上昇志向の塊ですよ。あの子はバイキンマンですから。
全員:えっ!?
駱駝:たんぽぽはマジな話、バイキンマンがモデルなんです。まず、バイキンマンってアホですけど優秀なんですよ、科学力がすごいじゃないですか。たんぽぽも可愛くて、野球部のマネージャーとしては優秀な存在です。
───真面目に部活やってますよね。
駱駝:ええ。でも調子に乗って何かしら失敗する。が、何度しくじっても懲りないのもバイキンマンと一緒ですよね。反省という言葉を知らなくて、最後こっぴどい目にあうという。
───生き生きとしゃべられてますが、駱駝先生はたんぽぽというキャラが好きですか?
駱駝:はい、こういう子は大好きで、絶対ひどい目にあわせたくなりますよね(笑)なので私が結構たんぽぽを登場させちゃうから、まあ削られる削られる。
■ジョーロとパンジーにとっての宿敵!? ホースが登場
───男性にも新キャラが登場しました。葉月保雄ことホースです。
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葉月保雄(はづき やすお)/ホース |
駱駝:すごいですよね、ホースくん。ジョーロよりも先にカラーになって登場ですから。ジョーロは手しか出てこなかったので、主人公を超えてますよ!
───性格的にモデルはいらっしゃいますか。
駱駝:特にはいないのですが、強いて言えば、1巻初期のジョーロです。
───本人は純粋に人助けでやっているけど、パンジー・ジョーロ側から見ると迷惑という二面性が面白かったです。
駱駝:1〜3巻と毎回、なにかしらの『悪意』が絡んで、それに翻弄されるジョーロだったのですが、4巻では真逆の『善意』に翻弄される様子を書きたかったので、そう言っていただけると幸いです。善意というのは、受け取る側の状況や考え次第で、いくらでも印象を変えるみたいな(笑)
───4巻はホースから見た世界が普通のラブコメ・ハーレムものに見えたんですが、それをジョーロ視点だと、ラブコメ作品を裏から見ているような錯覚があって。
駱駝:そうですね。幸せなラブコメ世界が、ジョーロの世界に侵食してきた時、いったい彼はどう感じるかみたいなところもあります。
───ホースの取り巻きでつきみから紹介しますと、やっぱりオッパイの大きさが目立ちますね。
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草見月(くさみ ルナ)/つきみ |
駱駝:おっきいですね!ひまわりと正反対の外見を意識したので、オッパイは大きく、感情を素直に表現するよりは隠しそうな女の子にしてほしいとお願いしました。
───「ルナ」という読みがキラキラネームですね。
駱駝:本当に、彼女の名付けでは苦労して、『向日葵』の対比で『月見草』でいこうとは決めてたんですが、どう並び替えてもいい語呂のフルネームにならないならない!そこで、キラキラネームに手を出させていただきました。
大丈夫!夜神月(ライト)もいましたから、ライトがいるならルナがいても問題ありません(笑)
───チェリーの方はどうですか?
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桜原桃(さくらばら もも)/チェリー |
駱駝:私はチェリーにものすごく感動しました。本文で「イカリングの女」と記したんですけども、自分でやっておきながら、イカリングの可愛い女の子が全く想像できなくて……ですが、イラストを見たら超可愛い!
三木:この可愛いイラストを勝ち取るために、今回もブリキさんは頑張ってくださいました!! 今回ばかりはホント無理だと思いました!!
───ホースの取り巻きを登場させる時に決めたことはありますか?
駱駝:コッテコテのヒロインを出そうと決めていました。特につきみなんて誰がモデルかもうバレバレじゃないですか、プラグスーツとか着てそうな(笑)
───サザンカがちょいちょい可愛いところを見せてきて、「暴力ヒロインは流行らない」ってありましたけど、実は一番ヒロインに近いのでは。
駱駝:流行に逆らって、サザンカの魅力を皆様に理解していただく。私はそれに全力を出しています。なので、今回気をつけたのはジョーロを殴る理由をちゃんとはっきりさせておくことでした。理由なき暴力はダメだと思いまして、例えば「ブラジャーくれ」っていったらそりゃ殴られるでしょう。まぁ、一箇所理不尽な理由で殴ってるところもあるんですけど(笑)
───ジョーロがああいう軽口を叩けるのって、今のところ彼女だけなんですね。
駱駝:ジョーロ、サザンカには過去の経緯から、ほぼ気を遣いませんからね。割と調子に乗った発言をしてひどい目にあうという(笑)
※注意:ここから4巻の重大なネタバレがあります。本編を楽しんでからお読みください。

■4巻は“たんぽぽ”のトランシーバー大作戦に注目!
───今回お気に入りのシーンを皆さんに選んでいただきましょう。
三木:『三色院菫子は静かに暮らしたい。』
───アニメが放映されて、若い人にも通じるネタになりましたね。
三木:えっ?これって元ネタあるんですか?
───もういいですから!!
駱駝:ジョーロとサザンカの絡みがお気に入りです。現実逃避をするジョーロは、書いていても読み直しても、本当に面白かったです。
近藤朋久(担当編集。以下、近藤):4巻のオススメは、たんぽぽの恋愛指示トランシーバー大作戦ですね。遠隔操作で行われる恋愛アドバイスは読んでてゲラゲラ笑ってしまいました。天丼ネタで2回出てくるんですけど、僕は1回目の衝撃が忘れられない!
小原一哲(担当編集。以下、小原):たんぽぽは部活動に対しては本当に真剣で、そこだけは裏切らないっていう部分が良かったです。今回はけっこう裏で暗躍してるキャラですけども、今後どうなっていくのか次の巻も楽しみにしていただければ。
■4巻を読んだ後に2、3巻を読み返すと、 新しく気づく仕掛けがあります
───今回は図書室閉鎖の危機という展開でした。
駱駝:図書室事件にかぎらず、現実的になりすぎずにフィクションをちょっと入れたいのが私の趣味で。例えば2巻のあすなろの件も、あの学校新聞って個人を攻撃するようなゴシップ週刊誌みたいで、それが高校にあったら非常識じゃないですか(笑) 3巻で登場したひまわりのラケットも、一応実在するラケットなんですが値段も結構ぶっ飛んでたり。
───バランスは気にしつつ、隙あらば現実を忘れさせる方向に振っていくんですね。そしてパンジーが変装していた理由がついに明らかになりました。
駱駝:自分は、美人だから他の女子に嫌われる女って見たことがなくて、逆に美人だから男子からも女子からもチヤホヤされて困っている女子というのは見たことがあったので、そこらへんを参考にアレンジして、パンジーに当てはめさせてもらいました。
───前回のインタビューどおり、ネウロ化(弱体化)しちゃいましたね。
関連:「俺を好きなのはお前だけかよ」3巻発売記念!駱駝先生インタビュー : アキバBlog
駱駝:狙い通りですね、1巻であれだけ強キャラだったかと思うと感慨深いです。今回はパンジーが手も足も出ない相手なので、どう苦労させようかなって。
───そしてダークサンちゃん再び。個人的に今回もっとも緊張したところでした。
駱駝: 4巻を読んだ後にもう1回2、3巻読むとまた違った印象で、「こういうことだったんだ」みたいに気づけて、楽しめるかなと。お時間があったら、読み直してみてください。
───ホースとの勝負でジョーロが卑怯すぎて、これもありなのかと驚きました。
駱駝:ありです!ジョーロは最高の敗者よりも最低の勝者になりたいんです!だから、かっこよくならなくても勝てばいいんです!ただ、それをやって読者さんに許されるような匙加減は、編集さんに止めていただいてます。
小原:どっちかというと三木も加担してます。
三木:そんなこと全然ないっすよ!
駱駝:打ち合わせの時、私と三木さんがはしゃいでると、小原さんの視線が半端ないですよ。私はそれを小原ブリザードと呼んでいます(笑)
小原:ほっとくとどんどん二人で盛り上がっていくんで、「そろそろいい?」って毎回悪ノリを止めてます。
駱駝:ジョーロが策士策に溺れるところはノリノリで書いてました。
───確かに読んでいてジョーロ頑張れって気持ちと「ざまあ」っていう気持ちが、ないまぜでした。
駱駝:そこは間違いなく「ざまあ」の視点でOKです。それまでせっかくかっこよくやっていたのに、いきなりクソ野郎になるじゃないですか、本当にジョーロはすぐ調子にノリますからね(笑)

───それでは読者の皆さんに最後に一言お願いします。
近藤:4巻は、新キャラが出るのも勿論ですが、それぞれの関係値がものすごく変化して、次の巻につながる巻なのかな、と思っております。色々な問題が山積みなタイタニック船が5巻で出航しますので、皆さん楽しみにしていただければと思います。
駱駝:それ、沈みましたよね。
近藤:二人は生き残りますから(笑)
小原:この作品は電撃文庫のラブコメでもっとも勢いのあるシリーズといいますか、それこそ現在のライトノベル業界のラブコメ最前線に立っているという意気込みでやっています。読者の予想の斜め上を行く展開、その真骨頂が4巻で見せられたんじゃないかなと思います。次の5巻もご期待ください!
三木:異世界に転生もせず、強くてニューゲームにもならず、VR機器を頭からかぶってフルダイブもせず、ロボットも出ず、ゴブリンも倒さず、異能なアクションもせず、何もない作品なんですけども、ただ唯一あるのは――『LOVE』(コメディ)です。それを皆さんに受け止めていただきたいなと思っていますので、花盛りな、魅力的なキャラクターたちが、学園生活をおくるラブコメディを是非見ていただきたいです!!!
駱駝:1、2、3巻を通してジョーロに成長してもらい、4巻でホースという最凶の相手に、ようやく力を発揮する時がきました。なので4巻はジョーロがどれだけ成長したかを見てもらいたいのと、4巻にこもった『LOVE』を見てください。その後の5巻はそれはもう熱いバトルが……日常系ラブコメなんだけど、熱いバトルがおこなわれると思いますので、続刊も楽しみに待っていただけたら。
───謎の『LOVE』って流行りのワードが気になりますが……ともあれ長時間、ありがとうございました。
取材・文:かーずSP
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イラスト:ブリキ氏のホームページ「ブリキの砦」
ブリキ (イラストレーター) - Wikipedia