2017年02月24日

【コラム】 次に来る料理漫画はこれ!新米姉妹のふたりごはん3巻発売記念 柊ゆたか先生インタビュー!裏話あれこれや、料理を漫画に描くことの工夫や難しさ

「新米姉妹のふたりごはん」3巻発売記念インタビュー累計23万部(2017年2月時点)を突破した料理漫画「新米姉妹のふたりごはん」最新刊3巻が2月27日発売!本作について、作者:柊ゆたか先生と担当編集にインタビューを実施!裏話あれこれや、料理を漫画に描くことの工夫や難しさなど、多彩な内容でお届け!(取材・文:かーずSP
-

【プロフィール】
柊ゆたか……漫画家としてデビュー後、数々の出版社で活躍の後、KADOKAWA「月刊コミック電撃大王」で「新米姉妹のふたりごはん」を連載開始。
電撃大王編集・楠達矢……「新米姉妹のふたりごはん」や「やがて君になる」・「エクレア あなたに響く百合アンソロジー」などを担当

※記事中、敬称略

■クックパッドの新米姉妹レシピで、漫画と同じ料理が作れる!

───単行本発売前にもインタビューをさせていただきましたがそれから一年ちょっとで、すでに23万部を超える大人気作となりました。今のお気持ちはいかがですか?

柊ゆたか(以下、):ファンレターやアンケートにいただいたコメントなど、読ませていただいています。本当にありがたいです。『新米姉妹のふたりごはん』では、Twitterに「実際に料理作りました」って写真を上げてくださる方がいらっしゃって、それも楽しく見させていただいています。私が描いた料理漫画が食卓に華を添えることができたのかと思うと凄くうれしいです! この喜びは料理漫画ならではですね。

(担当編集):クックパッドの公式アカウントで『新米姉妹のふたりごはん』のレシピを公開してるんですが、近頃は「つくれぽ」をいただけるようにもなってきました。実際に調理したものを漫画にしているので、読者の方々にもあの美味しさを味わっていただけるのはありがたいです。

新米姉妹レシピのキッチン [クックパッド]

ねぎソーセージは難しいと思うんですけど結構作ってくれる方がいらっしゃって。すごいなーと思います。ローストビーフは人気で、作られている方が多いように感じます。『新米姉妹のふたりごはん』ではかなり作りやすいローストビーフの調理方法を紹介しているので、未経験の方はぜひ試してみてほしいです。

■サチ、あやり、絵梨のキャラクター紹介!

───キャラクターについてもお聞きします、まずはサチから。

姉:サチ

前回も話しましたが、打ち合わせでは当初、サチはギャルっぽくしようとしていたんです。だけど、私の中にギャル分がなくて、あまりギャルっぽくはなくなりました。ただ、こういうクラスのマスコットみたいな女の子いますよね。みんなに好かれるサチ、というキャラクターができあがったので、これで良かったと思っています。

───気をつけて描いてるところはありますか?

:ポジティブさ! 私はネガティブな考え方をしがちなので、サチは逆に「自分だったらこういう風には考えない。もっとポジティブだろう」って、思考の軌道修正をしています。学生の頃クラスでこういう明るい子が好きだったなって思い出しながら投影してますね。

───サチの顔芸が楽しいです。

:ありがとうございます。サチは泣き顔もかわいいってぐらいなんですけど、表情がくるくる変わるので、温度差を楽しみながら描いてます。毎回描き終わったあと話を読み返してみると、「良かった」って思えるのはサチの反応や動きなので、サチは作品の面白さを左右しているのかなって感じています。

:サチはダメっぽいけど実はすごくしっかりしてるんですよね。成績もいいし、たぶん運動もできる。これが本当にダメな子だったら、この子人生大丈夫なのかなって心配してしまうんですけど。ドジっ子だけれど根はしっかりしてるから、そういうところがサチの魅力につながっているんじゃないかと思います。

───1巻で勉強を教えてもらったあやりが謝っていたんですけど、あれは勉強ができないと思っていた?

:はい。失礼なことを考えたあやり。サチは勉強ができないと思っているからハラハラしてしまったんですけど、サチは勉強ができる子なんです!

───あやりについてはどうでしょう。

妹:あやり

:私たちには、あやりが妹って意識が最初からあるので、あまり気にしていなかったんですけど、妹と姉が逆だと思っている人が多いようなんです。なので、2巻では帯に「こっちが姉でこっちが妹だよ」って書くようにしました。

:あやりは背が高くてしっかりしてそうですしね。自分の内面にあるものを描いていて、いつも想像しやすい、感情移入しやすいです。今まで私が漫画を描こうとすると、メインの女の子が黒髪ロングで、根暗で、ってのが多いんですけど、これは描きやすさからきています。でも暗くても前向きというか、悲観的ではないんです。

:暗くても卑屈にならないのは大事ですね。

───絵梨についてはいかがでしょうか。

サチの親友・絵梨

:担当さんが、どんどん美人になっていくって言うんですよ。

:回を重ねる毎に、どんどん美人になってますよ! 1話のときはサチのお友達キャラとして、しっくりくるなーぐらいの感じだったんですけど、モデルさんかって容姿に……。

:バランスというか、あやりと並べても遜色ないように、同じくらい魅力的にすることを意識しています。なのでふたりとも美人になっているとは思います。ただふたりの美人さに違いは出るようにしていて、あやりよりもポジティブな女性らしさというか、女の子らしい可愛さが出るといいなって。

:服装もすごいオシャレなんです。『新米姉妹』のキャラは毎回服がオシャレだなって思っていますけど、とりわけ絵梨は別格です。

:原稿を描き始める前に服を調べています。そこに時間がかかってます。わりと身体のラインが出る大人びた衣装が絵梨の好みっぽい。でも2巻のたこ焼き回では一人だけOLみたいになっちゃって反省してます(笑)

:感想などをみていても絵梨のファンは一定数以上いるんだろうなって感じています。サチの親友として、すごく良いキャラに育ちましたね、しっくりくる親友さがあります。

■調理をしてから漫画を描く!取材試食会のアレコレ

───実際に料理してみてから漫画にしているとのことですが、これまでで難しかった料理と簡単な料理を教えて下さい。

:ハーブ風味のフライドポテトは試していただきたいです。芋に冷たい油を注いで揚げるという調理方法をとっているのですが、高温の油に芋を入れて揚げるやり方より簡単で、かつ火の通りがゆっくりなので、美味しいものができるのでとてもオススメです。

:スタッフの間でも好評で、フライドポテトメインの時だけでなく、別の料理の時にも付け合わせで作ったのはあれだけってくらい人気です。カリカリでおいしいフライドポテトになりました。

:難しいのは1巻のネギソーセージ、だったかなあ……。用意しなきゃいけないものが多いし、ネギをむいたり手間なので。なんですけど、意外にも作ってみたってTwitterにあげてくださる方が多いんです。しかもどれも美味しそうにできていて……。

:柊先生にとって難しいのはローストチキンだと思ってました。案外不器用な柊先生をスタッフが見た瞬間でした。肉を縛る紐が結べないという。

(一同笑い)

:そうですね、ローストチキンは難しかったです。火の通り加減ひとつとっても、オーブンによっても鳥の大きさによっても違うので、試食会をやる前に家で3回ほど練習しました。

:ローストビーフは料理下手な自分でもできるぐらい簡単なのでぜひ試してみてください。本当に美味しくできます。漫画では厚く切ってましたけど、薄く切るのもとてもオススメです。自分の好きな厚さに切れるのが自分で作る利点ですね。

:そうですね。薄いのもいいですし、ローストビーフには厚く切って楽しむジャンルもありますから、厚いのを楽しむのもいいと思います。

───試食会中に失敗したことはないんですか?

:ありますけど、あやりは料理が上手いから、失敗したことはあまり漫画にならないんですよね(笑)

:アイスクリームを作った時です。柊先生が製造機にクリームを流し込んで、ボタンを押したんですけどウィーンって音がするだけで動いている気配がないんですよ。「これで本当にできるの?」って聞いたら得意気な顔で「これでできるんですよー。不思議でしょー。」って言われたんですけど、かき混ぜるためのプロペラが転がっていました。

:液体を器にいれただけっていう……。ウィーンって音がしてるだけでした……。何時間待ってもできないところでしたね。

:そんなエピソードもありますが、柊さんは食材知識も調理技術も高くて、すごいなーと思いながら眺めています。

:失敗といえば、2巻の冒頭でサチが目玉焼きを爆発させているんですけど、これは編集さんの体験談で、実際に試食会でも再現してもらいました。

:目玉焼きが爆発するっていったら驚かれまして、実際にやって見せましたね。

:変なところで水を入れるんですよ。そうしたら水蒸気爆発で本当にボンって爆発しました。もちろんその目玉焼きは、そのあとみんなでいただきました。

───登場キャラクターたちの食レポもバラエティーに富んで楽しいですよね。

:試食会は漫画のネタに使える取材にしないといけないって参加者みんなが意識してるので、調理中も実食中も、楽しもうという意識で臨んでます。取材での楽しさが漫画に乗っているといいですね。

───マンネリ化を打破するために心がけている点はありますか?

:油断をすると「事件が起きて、料理して、解決する」というフォーマットに縛られてしまいそうになるんですが、単行本一冊の中で似かよった展開にならないようには気をつけてます。
あと、ただ説明をしているだけにならないように、調理シーンも楽しく読めるように心がけています。

───たこ焼き回だと、ぬめりを落としてるあやりは笑っちゃいました。ああいう部分でしょうか。

:そうですね、タコをエイリアン扱いしてました。料理しながらも、きちんとそれを楽しんでいる要素を意識することで、読みやすい漫画になるかなって思いながら描いてます。

■『新米姉妹のふたりごはん』が意識する清潔感

───巷で料理漫画がブームになっていますが、他と比較して意識している点はありますか?

:他と比べて、あえてこうしてるっていう部分はないです。「新米姉妹」には「新米姉妹」として必要な描写、テンポといったものがあるはずですから「この作品にはこういう表現がいいだろう」に集中して、比べてはいないですね。その中で意識しているのは清潔感です。食べながら喋る──口にものを入れながらしゃべったり、ということはしないようにしてます。
ただ、そうするとリアクションの幅が狭まるんですよね。食べてすぐリアクションすると、もちろん口の中に食べ物が入ってるので、一回飲み込むのを待たなければいけない。テンポが悪くならないかなと心配するところでもあります。

:サチが歩き食いをしていることはあって、それはお行儀が悪いところではあるんですけど、清潔感の部分で嫌悪を抱く部分は削りたいという柊さんの想いの表れですね。

───確かに、ゴクンってちゃんとコマが入ってますね!

:はい、もぐもぐしてる口の状態を半開きにしないように、極力避けるようにしています。
あと爪は短く切る、髪の毛をアップするなど清潔感も意識してます。昔、有名な料理漫画で、調理学校の話が出てきたときに「髪の毛をちゃんとしてない人と爪を短く切ってない人は追い返される」という話があって、大事なことなんだなって気付かされたんです。

:ここで、あやりが制服を着て料理してる部分に言及させてください。

:学校から帰ってきて、制服から着替えずに料理を始めるのはどうなの? というお言葉をいただくことがあるんです。あやりの制服に関しては、料理用の制服を持っているっていうことで……おぼっちゃまくんみたいに同じ服をたくさん持っているという(笑) 帰宅したらいったん着替えてると解釈してください。察してくれっていうのは自分勝手な言い分で難しいところだとは思うんですけど、セーラー服で料理をサーブしてくれるのって嬉しいじゃないですか。

:セーラー服女子に生ハムの原木と長ドスを持って欲しいという想いとのせめぎあい。理想と現実の戦いがそこにありますね。

:例えば『乳袋』を描きたい時に、本当は『乳袋』って無いんだよなーって思いながら描くじゃないですか。

:なんでそっちの例えにしたの?(笑)

:たこ焼きの回でセーラー服でたこと戦ってる女の子も、絵的にもテンションが上がって良いシーンになると思って描いていました。食べながら喋るのは言い訳できないですけど、服は着替えられるからなんとかなるかなって……。でも着替えろよっていう意見もわかりますし、これはちゃんと料理用の制服に着替えてるって思ってもらえるとありがたいです。

:清潔感は気にしてるんですけど、制服だけはごめんなさい! そう察していただければと。

───なにか告知することはありますでしょうか。

:この漫画、カバー裏だけじゃなくて、おまけ漫画とか描きおろしが多いんですよ。お話とお話の間でも雑誌時ではなかったエピソードが見えたりもします。単行本一冊をまるごと読んで楽しい本になっていると思いますので、未読の方にはぜひ隅々まで楽しんでいただければと思います。

───それでは最後にメッセージをお願いします。

:『新米姉妹のふたりごはん』は本当にキャラクターが可愛く、料理漫画としても「料理を食べるのも作るのも楽しいよ!」という漫画です。サチとあやりの進展する仲を楽しむも良し、美人になっていく絵梨を見るも良しと、いろんな楽しみ方ができる漫画だと思います。今後とも応援よろしくお願いします。

:仕事で3巻以上を越えたことがないので、その未踏の領域に入ることができました。なのでゆっくりキャラクターを追える時間ができたことがすごい嬉しいです。3巻まででサチとあやりの距離感も変わってきて、その距離感に応じて料理をする動機とか、お互いが伝えたい気持ちもだんだん変わってきていると思います。なので絵梨も含めた三人の関係と、料理そのものを楽しんでいただけたら嬉しく思います。作品の魅力である、読んで、作って、味わっていただけたら幸いです!

───本日はありがとうございました。

取材・文:かーずSP

「新米姉妹のふたりごはん」3巻コミックス情報 / 作品情報


この記事はコラム カテゴリーに含まれています |Ajax Amazon Edit
トラックバックURL
http://trackback.blogsys.jp/livedoor/geek/51542179