2021年11月06日

【コラム】 「深夜の大行列を作るまでに成長した、ヒロインがインフレ化した90年代の美少女ゲームたち」 若木民喜・16bitセンセーション2巻、発売インタビュー

原案:みつみ美里・甘露樹&漫画:若木民喜「16bitセンセーション」2巻 みつみ美里氏甘露樹氏の全面協力で紡がれる、90年代後半の美少女ゲーム業界の青春ストーリー「16bitセンセーション」2巻の発売記念に、若木民喜氏へインタビューを実施。若木氏から見た当時のエロゲー事情が饒舌に語られるロングインタビューを公開します。(取材・文:かーずSP
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「16bitセンセーション 私とみんなが作った美少女ゲーム」2巻 本日11月6日発売
漫画:若木民喜 原案:みつみ美里(アクアプラス)、甘露樹(アクアプラス)
■Windows95が登場して、
 女性グラフィッカーが躍進したエロゲー成長期

───1巻ではゲーム作りの素人だった上原メイ子が、美少女ゲームの制作現場で働いて、経験を積んでいくお話でした。

コミックス1巻より

───今回の2巻では、メイ子がグラフィッカーとしてどんどん頭角を現す、躍進の巻ですね。

若木:メイ子はフラットな主人公で、どんな話が来ても対応できるキャラクターです。というのも業界関係者にヒアリングして、どんな話が飛び出すか読めないじゃないですか(笑)。だからいろんな出来事に対応させるために、無色透明な主人公にしています。

───後述する新キャラといい、2巻は全体的に女性の活躍が目立ちますね。

若木:そりゃ当時の女性イラストレーターって、ことごとく成功してますからね。エロゲー雑誌に「人気原画家ベスト10」みたいなのがあって、DOSゲーの頃の鉄板は竹井正樹さん、横田守さんだったじゃないですか。

───そうですね、両者が強い支持を受けていました。

若木:それがWindowsになったら、樋上いたるさんに、みつみ美里さんに、西又葵さんに、CARNELIANさんでしょ? 女性のグラフィッカーって、みんな人気があるんですよ。DOSゲーの頃は色数の問題もあって、パキっとした絵が目に飛び込んでくる感じがしましたよね。でもWindowsになると柔らかい塗りが増えてきて、今風に言うとパッケージのイラストが「映える」んですよ。

───女性原画家が増えてきたことによって、そういう傾向が出てくるんですね。

若木:女の人のイラストって、線が細くて繊細な感じがあった。エロゲーに、エロがあまり求められてない時代になってきた、というのは感じます。

───下半身に訴えかけるエロさよりも、映える方向へシフトしてきた?

若木:そう。それとWindowsになって女の子の見た目の情報量が増えていく中で、女性クリエイターの方が手数が多い。小物とかアクセサリーで女子を可愛く見せるデザイン力も高いんです。

───Windows95で色数が増えたり、CD-ROMで容量が増えた結果、ヒロインもどんどん進化してきていったと。

若木:少なくとも僕はそう思ってます。女の子と過ごすプレイ時間が長くなっていく中で、絵の情報量が必要になってきた、というのが僕の考えです。

■冬夜は、意欲が高くて多作な女性クリエイターの象徴

───もう一人の女性クリエイター、新キャラの山田冬夜さんが登場しました。

若木:冬夜の会社みたいに、女の人ばっかりのエロゲー会社ってあるじゃないですか。女性クリエイターは意欲が高くて多作という、当時のエロゲーの歴史から、ですね。

コミックス2巻より

若木:外見はみつみさんに「こういうキャラです、身体はだらしないです」って説明してデザインしてもらいました。2巻の巻末に設定画が載っている絵がそれです。

───だらしない身体なんですか(笑)

若木:一念発起した陰キャだから、身体を絞ってないんですよ(笑)。肉体を磨き上げたって感じじゃないだろうなって。

担当編集:僕は冬夜が大好きで、ネームを拝見した時にすぐ電話して、『僕はこのメイ子と冬夜の関係性がすごくたまらないんです』って熱弁しました(笑)メイ子を「絶対に追い抜いてやる!」ってライバル視するんですが、メイ子は全然彼女が視界に入ってない。僕は『神のみぞ知るセカイ』のハクアとエルシィの関係がとても好きで、その共通性を感じたんですよ。

───確かに!

担当編集:冬夜もすごい優秀なんですけど、メイ子に比べると一点突破できていない。そんな挫折感を抱えているところに、共感しながら読んでしまいました。

若木:この時代って活躍してる女性がいっぱいいたんですよね、だから女の子でチャンスを掴もうとするヒロインってことから着想したのが冬夜です。メイ子が人気原画家として駆け上がっていく中で、冬夜が陰影をつけてくれるんじゃないかって期待してます。

───冬夜が弱小サークルで、大手のメイ子を遠くから見てたって回想がグッときました。

若木:どうしても成功譚っていうと、成功してない人に興味が出ちゃうんですよ。「かおりとキョンシー」「メイ子と冬夜」みたいに、輝く人たちがいてこそ、その影にいる面白い人たちを同時に描くのが、僕の作品にはよく出てきます。

■「To Heart」の登場で、
ヒロインの情報量が爆発的に増加した

───2巻のメインは「こみっくパラダイス」=つまりLeafの「こみっくパーティー」でした。みつみ先生と甘露先生との打ち合わせでは、どんな裏話が飛び出したのでしょうか?

若木:『こみパ』に関しては、僕が考える創作はできるだけ入れないでおこうと。なるべく史実に近い形にしました。「メインヒロインをオタク嫌いの子にしましょう」とか。

───『こみっくパーティー』高瀬瑞希の誕生秘話も事実なんですね。作中ではキョンシーでしたけど、誰かが助言したと。

若木:あれは盒粁玉蕕気鵑離▲疋丱ぅ垢世修Δ任后みつみさんが「盒兇気鵑垢瓦い福って当時思いました」って振り返ってました。

担当編集:これは貴重な文献ですね。

───それと25ページの「主人公インフレの時代の終わりと、ヒロインインフレの始まり」というコラム。一本道のシナリオから、ヒロインごとに分岐するマルチルートが増えた理由は、今お名前が挙がった盒粁玉蘋萓犬痢惻供戮きっかけだと思われますか?

若木:でも『雫』は一本道シナリオですからね、ああ見えて。

───それなら『痕』も一本道と呼べますね。千鶴のハッピーエンドを見ると、梓ルートが開放されて…。

若木:『痕』は前世とか出てきてサブカル感が出てるんですけど、ヒロインのインフレは『To Heart』が特に顕著で、女の子の情報量がどーーーっと増えたんですよ。あと繊細なタッチね。

───絵柄の話ではなく?

若木:テキストです。それまでのエロゲーが少年マンガ的な世界感だったのが、『To Heart』によって少女マンガ的な、感情に寄り添った作りになってきたって傾向が強くなっていく。だってDOSゲーの頃って、ヒロインにコスプレ感があったじゃないですか。女の子がアイドル、バスガイド、幼馴染みたいに、その職業のコスプレしてるみたいな。

───わかります。ヒロインに役割が与えられている、ロールプレイしてる感じ。

若木:そういうのが『To Heart』の誕生をきっかけに変化して、90年代後半で女の子の情報量が一気に増したんです。それとシステム上の制約。小さい会社は難しいゲームを作れないって状況もありますから。

───紙芝居アドベンチャーゲームが爆発的に増えていく時代ですね。

若木:それでもゲームらしいゲームを作っていたメーカーもあります。アリスソフトさんってDOSゲーでやってたことをWindowsでもやってますし。ただ、世の中が選んだのは『To Heart』だった。

───そちらの方が低予算で作れることも2巻で書かれてました。

若木:ローコストはシステム代だけで、シナリオライターの労力コストは、もう死ぬほど上がってますけどね(笑)。それぞれの女の子につき、一本の長編物語を執筆しないといけないわけですから。

───フルプライスのゲームだと、ラノベ何冊分だよってくらい読みますよね(笑)

若木:書くのはキツいでしょ、あれは。

■ヒロインの情報量増加に反比例して、
 主人公キャラはマグロ化していく

───1巻の82ページのコラムで、プレイヤーのズボラ化について「それはまた後の話」と書かれていましたが、それは「主人公インフレ時代の終わりとヒロインのインフレが始まった」のコラムで合ってますか?

若木:あっ! 続くって言って描いてないな、そういえば(笑)。2巻で描いてないから3巻で描きます。確かにWindowsゲームを見ると、ぱっと見でズボラ化ですよね。だってそもそも、主人公が歩かなくて良くなりますから。

───『同級生』的な意味で、あちこちに徘徊しなくなったと。

若木:そうそう。だって今まではみんな「高嶺の花のヒロイン」を狙うのが一番の目的だったから、プレイヤーも努力しなきゃいけなかった。

───容姿・勉強・スポーツ……全部上げないとヒロインと結ばれない。

若木:でも自分が努力して高レベルの女子と付き合うのは、もう面倒くさい。だから最初からカッコいい「たくろう」君(『同級生』)型主人公が流行った。でもプレイヤーにとっては、何でもできるカッコいい主人公って自分とは似てないから、違和感が出てくる。

───『EVE burst error』の天城小次郎、俺こんなにカッコよくないもん……ってなります(笑)

若木:なので、主人公がのっぺらぼうになっていきます。ついでに、ヒエラルキー最上位の女子じゃなくて、普通の女の子でも良くなる。普通ならまだしもですよ、クラスで浮いた存在とか、通学路の端で雨に打たれて立ってる子とか。ステータスベースじゃなく、「絆」ベースで女の子を選ぶようになったり、そのうち外に出るのも面倒くさくなって、もう初手から、気がついたら妹が5人いるとか。

───家から一歩も出なくても出会えるヒロインが登場すると。

若木:さらに進んでいくと、妹だとこっちが甲斐性を出さないといけないから、お世話をしてくれる姉でいいやと。どんどんどんどんプレイヤーキャラがマグロ化していくっていう(笑)

───主人公の使うエネルギーがどんどん0に近づいていく流れ。無色透明の主人公って『雫』が最初なんでしょうか? それまでの剣乃主人公・蛭田主人公から、世代交代したのかなって。

若木:どこから始まってるかは検証しないといけないと思います。

■あの頃のエロゲーには、
 深夜に大行列を作ってしまうほど引力が働いていた

───Windows95とCD-ROMによって、色数が増えて絵が美麗になり、テキストも増量されました。こうしたヒロインの情報量が増えたことで『To Heart』がヒットして、その影響でヒロインがインフレ化していった、と言ってもいいんでしょうか?

若木:これも見方を変えれば、『To Heart』が素晴らしかったから『To Heart』系AVGが主流になったという言い方もできれば、『To Heart』みたいなゲームをみんなが求めてたからヒットしたって言い方もあるわけじゃないですか。

───どっちとも言えそうな……。

若木:『新世紀エヴァンゲリオン』のヒット以降、男も女も不確定な時代になってきて、必ずしもモテ男とモテ女の世界観じゃなくても良くなった。古い価値観から脱却して、違う観点の物語が台頭してきた。

───先ほどの最強主人公から無色透明な主人公への移行も、価値観の変化と関係してそうです。

若木:それに『エヴァ』以降って、オタクがだんだんワイルド化してきた傾向があります。「僕はギャルゲー好きじゃないよ、硬派なゲームやってるよ」ってポーズをしなくてよくなったわけですよ。「僕は『セーラームーン』が好きです!」って堂々と言える男が増えたし、『カードキャプターさくら』が放送されるたびに2ちゃんねるが落ちました、みたいな新世代が到来するんです。

───男は人前で泣くな、とか男は強くあるべきという古い価値観が消えて、オタクだとカミングアウトしてもOK。弱みを見せても恥ずかしくなくなった。

若木:さっきの『To Heart』の話と一緒で、それが『エヴァ』の影響で広まったのか、時代の流れに合致してたから『エヴァ』が受け入れられてヒットしたのか、どちらとも言えます。

───若木先生が以前おっしゃっていた、「ダ・ヴィンチが今の時代に生まれても、後世に名を残せたか?」って問題提起にも通じる話ですね。

若木:傑作はあらゆる時代・場所で存在しているはずなのに、その傑作の中でも、時代に選ばれた作品のみが、後世に名を残せる。特にエロゲーなんて、本当に惑星直列くらいの感覚で磁場が働いてましたよ。

・1つ目は、不景気で相対的にオタクの購買力が上がっていって、こいつらをバカにできないぞって流れ。
・2つ目が「新世紀エヴァンゲリオン」。
・3つ目がMS-DOS→Windowsの変化と、パソコンの販売台数がずっと伸び続けている状況。

そのすべてが追い風になって、Windowsになってから、たった数年でエロゲーで深夜に大行列ができるようになったわけですからね。

───エロゲーの深夜販売、ありましたね。

若木:しかも人知れずコッソリじゃなくて、秋葉原のド真ん中に行列を作ってしまう。これってとんでもないことだと思うんですよ。だってエロ漫画がなんぼ人気やってゆうても、世徒ゆうきさんの新刊が大行列になってるって話は聞かないわけで。

───『ストリンジェンド』、僕も大好きです(笑)

若木:だから、何故エロゲーだけがこんなんなっちゃったのかっていう。それは、コンテキスト(文脈)が歴史的ブームを生み出したってことじゃないかなって。

───若木先生は行列に並んでいた口でしたか?

若木:いえ、僕は自分の好きな作品だけ追っかけるのに精一杯だったから。90年代後半になるに従ってエロゲーのジャンルが拡散した結果、全部の話題作をやるエネルギーが膨大になって、自分の好きな作風だけをずっと追いかけるようになっちゃったので。

■「神のみ」で桂木桂馬をチート主人公にした理由

───無色透明の主人公に戻しますと、ゼロ年代後半からは初手から最強のチート主人公が増えていって、マンガとかも含めてエンタメ界に復権していると感じます。この潮流で、感じる所がありましたらお聞かせください。

若木:うーん。どこまで正しいかわからない、僕の勝手な憶測ですけど、主人公の存在感が増してきたのは、女子のインフレじゃ差がつかなくなってきたから、という理由が大きい気がするんですよね。もうヒロインの伸びしろが伸び切っちゃって、もういっぺん主人公を立てる必要が出てきた。

───ヒロインを立てるにも限界が来た、と。

若木:例えばサッカーのブンデスリーガ(ドイツのプロサッカーリーグ)で、各チームとも戦術とかトレーニングとかが極まりまくった結果、戦力で区別がつかなくなったんですよ。それで次に何をしたかって、グルテンフリーの飯をみんな食い始めたっていうね。もう、グルテンフリーくらいでしか差をつけられない。

───(笑)。すごい話ですね。

若木:90年代エロゲーはエロと感動の二極化が進んでいたんだけど、ゼロ年代になったら、すべての要素が一つのゲームの中に揃ってんじゃないかってくらい規模が膨れ上がります。それくらいエロゲーって巨大化していって、主人公をもう一回立てるかっていう流れ。でも逆にいえば、最初に戻ったと言うべきなんですよ。アリスソフトが『ランス』とかでやっていたことを、長いサイクルを経て、戻ってきた……のかもしれない。これは僕の感じたことで、違っているかもしれませんけど。

───あくまでの若木先生の主観ってことですね。

若木:ただマンガとかのチート主人公が流行っているのは、別の理由かもしれない。マンガやラノベって一本道じゃないですか。読むだけの媒体でチート主人公が流行ってるのは、早く本題に行きたいだけだと思う。『神のみ』はそういう理由だったから。

───桂木桂馬(『神のみぞ知るセカイ』の主人公)も、最初から女子の攻略を知っているチートキャラですよね。

若木:僕がチート主人公を作った理由は、要は段取りにページを割く時間がもったいないから。この潮流は『DEATH NOTE』から始まったって僕は思ってるんだけど、夜神月が巻き系の主人公だった。

───展開がとにかく早いマンガでした。

若木:1を聞いて5進む、みたいな。それを見たかどうか知らないですけど『コードギアス』と『神のみぞ知るセカイ』は、そのフォロワーですよ。

───なるほど!

若木:でもああいう形式って、今はもう普通に一般化されています。あれは良いですよ。作り手にも、読み手にも。

■エロゲー雑誌に特集してもらうために
 「おっぱい一揉み1ページ」、その真偽は!?

───1996年がDOSゲームの最後の祭りといったラインナップです。この中で思い出のゲームを語っていただければ。

若木:出てくるのは『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』でしょうけど、前回語ったから「猟奇の檻 2」。あれは面白かったなー。謎解きで徘徊型って、やっぱりワクワクしますよ。テキストを読む以外の面白さがあってこそ、ゲームならではの楽しみですし。女の子を探し回るのも好きなんですよ。ヒロインと鬼ごっこしてる感覚があるから。テキストの選択肢で選ぶんじゃなくて、女の子を見つけた回数でエンディングが決まる。

───運の要素が強いですよね、それ系のゲームって。

若木:そうそう、『臭作』と一緒ですよ。カメラ仕掛けといて、映ってたら正解みたいな。

───余談ですが、実写エロゲーのコラムについて。私は存在を覚えてなくて……『あゆみちゃん物語』の実写版だけはかろうじて覚えてるんですけども。

若木:出てましたねー。でも実写エロゲーは僕もわかってないことが多いです。ゲームがあったし、レビューもあるし、ムック本も出てる。それは資料からわかるんですが……でもまあ、中身は大概つまらないらしいです。

───うーん、ガッカリですね(笑)

若木:でもお金はあるんですよね、ああいうところって。AVでめちゃくちゃ儲けてるから、お金だけはかかってる。

───それでも、歴史に埋もれてしまった……。

若木:実写版エロゲーに関しては、今でもFANZAのソシャゲでありますよね、三上悠亜とかが出てるやつ。しかし、この文脈の中から出てくるゲーム会社は、ついぞ出てこなかったなぁ。

───今回描き下ろされた第7話では、エロゲー雑誌や広報まわりの話でした。雑誌関係者に取材して、面白く感じた所はありましたか?

若木:聞いた事はほとんど描いてますよ。おっぱい一揉み1ページみたいなのも、聞いたまんまを描いているだけです(笑)。ただ、裏が取れないじゃないですか、こんなこと。

───本人が直接証言しないと、確認が取れませんよね(笑)。

若木:複数の編集者さんが言っていたんですが、裏が取れない。

───情報が古すぎて、検索しても出てこなくなっているでしょうし。

若木:ネットで情報を見つけても、裏を取るためには雑誌とかをいちいち買わないといけない。ヤフオクで昔のエロゲー雑誌を買って、ダブルチェックするのが大変です。

───10年以上前だったらもっと楽だったんでしょうねぇ。

若木:それはあるでしょう。後は単純に、ゲーム会社そのものがなくなってるとか、今回特に目立ったのは連絡先が不明になってる。雑誌の年表なんか、めちゃくちゃ歯抜けです。

担当編集:若木さんに制作して頂いた見開きの雑誌紹介ページも、あと3つ雑誌が多かったんです。でも今だと権利元が不明だったり、連絡が取れない出版社さんがあり、削らせていただいて、今回の収録に至っています。

───でも「アソコン」がしっかり残ってるのが笑ったんですけど。

担当編集:アソコンの関係者の方とは連絡が取れまして。今回もゲームの版権が、どこにあるのかがわからない、「メーカーが解散されていて、連絡先もわからない」ということがいくつかありました。

若木:歴史のベースの辻褄が合ってないといけないから、自分で描いて、自分でチェックしないといけないのが大変です。漫画を描いてる以外の時間がめちゃくちゃ長いのが悩みどころですね。

■個人レビューサイトと2ちゃんねる回顧録

───145ページのコラム「インターネットが解放したもの」について。当時のゲームレビューサイトが、エロゲー業界に影響を与えたということは、あったと思いますか?

若木:うーん……影響を与えたってことはないんじゃないですかね? まあ、見ていたとは思いますよ? 1巻の巻末で対談させていただいたMINさん(アリスソフトのMIN-NARAKEN氏。詳細は1巻にて)も個人レビューサイトを見てたって言ってましたし。当時はゲームを語りたい人はいっぱいいたわけですけど、自意識としてレビューサイトしてる人も多かった。

───自分語りの一部として、ゲームレビューをしていたと。

若木:これがパソコン通信との違いで、パソ通はシスオペが管理してるから、テーマからあまり逸れるわけにいかない。そんな個人レビューサイトも、1999年に2ちゃんねるが出てきて、ほぼ淘汰されますけども。

───2ちゃんねるの存在って、やっぱり大きかったわけですか。

若木:2ちゃんねるの存在はでかいです。一介のレビューサイトには、あそこまでの伝播力がないから。名称をつけるスピードとか勢いがすごいんですよ。

───名称ってなんですか?

若木:「ツンデレ」だって、そもそもネットミームだったわけで。「ヤンデレ」とか、なんでもすぐに名前をつけるじゃないですか。カテゴライズして、すぐに新ワードを使い始める。個人サイトでは、そのサイクルに打ち勝てないし、あれだけ規模が大きいとゲーム会社の作風にも影響を与えていたとは思います。でも「お客様は神様です」っていうけれど、実在したら、ユーザーってこんなに怖いものなのかって感じたと思うんですよ。

───クリエイターが普通に罵倒されてますからね。

若木:だって2ちゃんねるのネチケットは「ググレカス」でしょ? 怖いよねぇ。「半年ROMれ」って、なにこの偉そうな感じ……みたいな(笑)

───ユーザー葉書だと、みんな丁寧なのに(笑)

若木:そうそう、「あれっ?『こんにちは、はじめまして、いつも楽しくプレイしてます』みたいな冒頭から始まってねえじゃん全然!」ってビビりますよ(笑)

───さて2巻部分で、1本ゲームを挙げるとしたらどれを選びましょうか?

若木:Activeの『HEARTWORK』は面白かったなぁ。しかも今年、聖少女さんは新しいゲーム『SLEEPLESS 〜A Midsummer Night's Dream〜』を出しましたし。いまだ現役の聖少女さん、すごいね。

───すごく息の長いクリエイターですよね、『SLEEPLESS』でも原画・シナリオも担当されてらっしゃいます。

若木:僕の人生で、一番追いかけてる期間が長いエロゲクリエイターかもしれない。『麻雀幻想曲3』くらいから意識し始めてましたから。頑張ってほしいなって応援も込めて『HEARTWORK』!

■「プラ箱が恋しい」
 かつてのエロゲーの箱はプラスチックだった

───気の早い話ですが、3巻の構想はすでにあるのでしょうか?

若木:3巻で終わりでしょう。どう考えても。僕が2002年くらいまでしか知らないので、そこから先は、僕は描かないでしょうね。だからもっと詳しい人……SCA-自さんとか横田守さんが描きゃいいのに……でもまぁみんな、お忙しいからね(笑)僕はそれ以上長く続けても語れることがないから、次巻でもう終われるなら最高ですよね。

───今回も各ショップ特典が豊富だそうで教えて下さい。

担当編集:はい、まずはとらのあなさんでグッズセット付き限定版が発売されてます。内容は、みつみさん・甘露さんの口絵イラストを使用したB2タペストリー、若木さん描きおろしイラストを使用したテレホンカードになります。さらに購入特典として若木さん描きおろしイラストカードが付いてきます。

とらのあな限定版特典:B2タペストリー&テレホンカード

とらのあな特典:イラストカード

担当編集:とらのあな 秋葉原店Aさんの店頭ディスプレイでは「16bitセンセーション」のスタンドパネルが展示されていますので、無理のない範囲でチェックしていただけたら嬉しいです。

「16bitセンセーション 2 私とみんなが作った美少女ゲーム」グッズセット付きとらのあな限定版
https://ecs.toranoana.jp/tora/ec/item/982000101050/

担当編集:メロンブックスさんでは特製クリアファイル&若木さん描きおろしイラストカードがついてきます。クリアファイルは1巻でも好評だったので、ぜひ普段使いしていただけたら嬉しいです。

メロンブックス特典:クリアファイル&イラストカード

メロンブックス 通信販売ページ
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=1097372

担当編集:ゲーマーズさんでは若木さん描きおろしブロマイドが特典になります。

ゲーマーズ特典:ブロマイド

ゲーマーズ 通信販売ページ
https://www.gamers.co.jp/pn/pd/10570673/

担当編集:COMIC ZINさんではカバーイラストを使用したイラストカードになります。カバーイラストの全身verが見れる貴重な特典となります。

COMIC ZIN特典:イラストカード

COMIC ZIN 通信販売ページ
http://shop.comiczin.jp/products/detail.php?product_id=10024337

担当編集:そして、アニメイトさんではPC98風疑似ジャケットが特典として付いてきます。なんと実際のPC98のソフトケースに入れることができるガチのシートになります。カラーも若木さんに彩色して頂きました。お手元のPC98ソフトケースに入れていただき、飾っていただけたら嬉しいです。

アニメイト特典:PC98風疑似ジャケット

アニメイトさん通販
https://www.animate-onlineshop.jp/pn/pd/1982962/

───アニメイトさんの特典がPC98のプラ箱に入れるイラストで、素晴らしいですね。

担当編集:これはアニメイトさん側からご提案いただきました。美少女ゲームに関わっていた社員の方がアイディアを出してくださったそうで、わざわざPC98版『Pia?キャロットへようこそ!!』を買ってきて、当時のプラ箱サイズに合うように寸尺を合わせています。

───2巻の巻末で、守が「プラ箱が恋しい」って呟いているんですけど、これは若木先生の本音ですか?

若木:そもそも僕は、いまだに紙箱の良さが全然わからない。紙箱って単純に開きにくいじゃん。

───私は取っ手の所が折れるのがイヤです……。

若木:そうそう、真ん中にポキッと折れて、引っ張り出そうとして力を込めても出てこないし、誰の発案で紙箱に決まってるのかなあ?昔のPCゲームのプラ箱は、手に取った瞬間に重さがわかるじゃないですか。重いと得した気分になります。でも規格外に大きいパッケージは腹が立ちますけど(笑)

───Minkのゲームとか、やたらとデカい箱でしたね(笑)

若木:あのでかいサイズやめーやと思うけど、重いのに関してはアリだなって思います。

───それでは〆のメッセージをお願いします。

若木:エロゲを知らない初めての人にも読みやすい間口の広い構えは取っています。ほんと言うとビジネスマンやOLに読んで欲しいところがあるんですよね。

───ある意味、ベンチャー起業ものでもあります。

若木:そうそう、だからエロゲーに限定された話じゃなくて、もっと広く通用する話になっていると思います。
ゲームを遊ばない人でも、ちょっとでも気になったら読んでみてください。

───古参のエロゲーマーには?

若木:当時の思い出話があったら、「こんなことありました」「こんなゲーム面白かった」って僕にリプを送ってください。そうすれば、「僕だけの感覚じゃなかったんだな」とか「こういう感覚もあったんだ」って勉強させてもらえますので。

───本日はありがとうございました!

(取材・文:かーずSP



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