購入したアルバム「白と黒」に収録されている「悪魔の絵本の歌」、
曲調は明るく楽しげでありながら、その曲に乗せられている歌詞は
傷つき弱っている人をさらに追い込む様な内容であり、
それを谷山浩子さんがなんとも楽しそうに歌う
(特に『これはあなたのことよ(笑)そうよ』辺りの嘲り笑う感じで歌うのが好き)
その歌いっぷりが素敵な大好きな曲です。

好きな歌であるが故に谷山浩子さんがこの歌をどの様な想いで歌っているのか
理解したいと思い色々考えるのですが
片思いで失恋した人の傷口に塩を塗るために歌われたはずもなく
どんな想いが込められているのか
たまごとピアノとくつしたは何を意味しているのか、
またそれぞれ色について黄・ピンク・青・赤にも意味があるのだろうか
もしかしたら特に歌詞に意味はなく伝えたい想い等もないのかも知れない、と
どう解釈したら良いのか悩みました。

取り敢えず1~4番の歌詞がそれぞれ何を表現しているのか考える事にしてみました。

1番については歌詞に書いてあるそのままで、片思いで失恋した内容であり
割れて砕けた「たまご」は「こころ」の表現であると思います。
では絵の具の「黄色」の意味は何なのか、まず考えたのは失恋の「悲しみ」を表す色かと
思ったのですが自分的にはどうしても黄色の明るいイメージが「悲しみ」と結びつきません。
(色から感じるイメージは人それぞれで谷山さんにとって黄色は悲しみの色なのかも知れませんが)

それで次に考えたのは単純に、割れたたまごの中から出てきた黄身の「黄色」なのかなと。
そう考えると「黄色」は納得できるのですが「失恋」「こころ」「悲しみ」とは関係なくなります。
とすると色自体にあまり意味は無いのかもしれません…。

続いて2番の歌詞についてですが、自分はこの2番の解釈によって
この歌の解釈が大きく二つに分かれると思っています。
それは、全ての歌詞が1番の歌詞と同じで「恋愛(失恋)」について歌ったものであるのか
「恋愛(失恋)以外も含む」のかです。

「恋愛(失恋)」での解釈とする場合、2番の歌詞は
声も出なくなるほど枯れるまで泣いて泣いてそれでも相手に振り向いてもらえない、
若しくは長年付き合っていた状態から思いもよらず別れを告げられる・捨てられる
という解釈になり
「恋愛以外も含む」での解釈の場合は
社会に出てブラックな会社で馬車馬の様に働かされ今にも電車に飛び込みそうな状態で
声にならない叫びを上げている・助けを求めているのに誰も聴かないあなたの声…
という解釈になるかと思います。
(上記の職場を学校と置き換える解釈も有りかと思います)

「ピアノ」は「声」の表現であり、
色については、1番の「黄色」が「たまご」からの連想ゲーム方式であるなら
「ピアノ」=「声」から「喉」の連想で「ピンク」なのかなと考えました。

続けて3番の歌詞について、
「恋愛(失恋)」での解釈とする場合は
都合の良い様に使われ飽きたら捨てられるという解釈で、
「恋愛以外も含む」の場合では
ボロボロになるまで人からこき使われ、
使い物にならなくなったら用済みとばかりに、代わりは他にもいるとばかりに
ポイと捨てられるという解釈になると思います。

「くつした」は「体」の表現であり、
色についてはちょっと苦しく無理矢理感ありますが
ポイと捨てられる先のポリバケツからの「青」かなと想像しました…。
(正直、色については黄色やピンクの明るいイメージが
ダークな歌詞の暗い感情と結びつかずどう解釈して良いか判りません)

そして最後4番について、ここはちょっと特殊かなと思っています。
一見すると「たまご」「ピアノ」「くつした」に該当する「モノ」が見当たりません。
出てくる「モノ」といえば「白いページ」「絵筆」くらいで、どちらかだとすると
「白いページ」の方で「これから先の未来・人生」の表現でしょうか。
絵の具の色の「赤」については、4番で少し曲調が変わるその雰囲気と
歌詞の『あざやかな』から「血」の色が想像されます。

「恋愛(失恋)」での解釈とする場合、
その悲しみから自らの胸に「絵筆」を突き立て、溢れ出る血で赤に塗りつぶされる、
若しくはその感情が憎しみに変わり突き立てられる先が相手に向かう
という解釈になるかと思います。
「恋愛以外も含む」解釈の場合では
身も心もボロボロになり自らの命を絶つまでに追い詰められその物語を終わらせる
という解釈になります。

しかし「失恋」「それ以外も含む」どちらの解釈にしても
『お別れの物語』は「生の世界からのお別れ」=「死」となってしまい
これでは歌に込めて伝える想いとしては不向き・不適切な感じになってしまいます。

そして、この解釈をさらに難しくするのが
歌詞中の『これ[も]あなたのことよ』の[も]になります。この[も]とある事で
1番から3番に登場する【あなた】は全て同一人物となってしまいます。

自分の中の解釈では歌詞に登場する【あなた】は全て別人であり
「失恋以外も含む」とする解釈の場合で、この歌が「誰か」に向けられたものだとすると
「片思いで失恋した人」「傷つけられ弱っている人の慟哭、助けを求める声・叫びを上げている人」
「もう要らない、用済みと捨てられる人」というどれかに当てはまる【人達】に向けて
と考えていたのですがこれら全てが同一人物とすると当てはまる人が
極端に限定されてしまい「誰か」に向けられた歌と考えるのが難しくなります。

「失恋」の解釈でも同様で
「片思いで失恋した人」「想いが叶わぬ人、思いもよらず別れを告げられた人」
「都合の良い様に使われ捨てられた人」の全てを経験した事のある限定された【人】へ
向けられたとものなってしまいます。

これでは解釈が間違っているのか、と思われてしまい別の解釈を考えなくてはなりません。

そこで、この【あなた】が誰なのかというところから考えてみる事にしました。
まず考えたのはこの【あなた】は作者の「谷山浩子さん自身」であるというものです。
自身を客観的に視て【あなた】と表現していると考えてみました。
作者が自分の胸の内・想いを歌に、曲に、歌詞に込めて表現するというのは全然有り得る話
だと思うので「谷山浩子さん自身の事」を歌ったとする解釈は「有り」ではないでしょうか。

【あなた】を「作者自身」とする事で4番の解釈も全く違ったものになり面白くなります。
「失恋」「それ以外」どちらの場合でも「赤」=「血」から「死」が想像されていましたが
「作者自身」とする場合それがなくなります。
(谷山さんが自分の胸や誰かの胸に「絵筆」を突き立てる事件は起きてませんからね)

それでは「赤」は何を意味するのか
「血」ではない赤からのイメージで思いついたのは
「怒り」の感情の色というイメージでした。

「片思いで失恋した悲しみ」があり、さらに
「声が出なくなる」という悪夢を見たのか、または
「良い曲が作れない、誰も歌を聴いてくれなくなる」というスランプだったのかも知れません、
そして、曲を作り続けたとしても10年後20年後売れなくなったら音楽業界から
「もう用済みだとポイと捨てられるのではないか」という恐怖
そんな作者・谷山浩子さん自身の(実体験か悪夢の内容かは分かりませんが)
「悲しみ・不安・恐怖」といったストレスを、
思い出したくもない・想像したくもない事のその感情・想いを、
最後に「怒り」として吐き出した
谷山浩子さんの場合は音楽として楽譜に、音として吐き出した
という解釈を考えました。

一応自分としては納得のできる解釈になったのですが
谷山さんの曲では物語がモチーフになっている事が多いので
もし自分の知らない何かの物語がモチーフになっていて
歌詞の【あなた】はその物語の主人公の事であるとしたら
全く見当違いの解釈という事になってしまいますが…
まあ今更ご本人から曲についての詳細な解説はないと思われますが
(ライブでは楽曲について詳しい話が聞けたりするのでしょうか)
自分的には「谷山浩子さん自身」という解釈は面白く納得できるものになったかなと感じます。