奈良大学考古学研究会有志とのコラボ連載の締めは、企画ではなく偶然の賜(たまもの)によるもので、寒水寺裏山遺跡の探索中に古墳群を新発見したので、その報告です。

元々、寒水寺(神辺町西中条)の裏山に古墳群は確認されておらず、お寺の南の山に4基の横穴式石室墳からなる「寒水寺古墳群」が知られていました。

今回裏山で発見した古墳群も2基の横穴式石室で、7世紀前後に築かれたものになります。
位置的に「寒水寺裏山古墳群」と仮称することとします。


①_R
緑のマークが今回新発見した「寒水寺裏山古墳群」(仮称)。
1号と2号の距離は約50m
  青164は寒水寺裏山遺跡の位置が間違って記載されたもので、黄●の位置が正しい。  
赤165~168が寒水寺古墳群で、県のリストには横穴式石室と記載されるのみで詳細は不明


寒水寺裏山第1号(仮称)】


②_R
発見時の様子。何が何だか…よく気づけたもんだ(^。^;)
  お掃除をさせて頂いた


③_R
石室規模は、幅1.1~1.2m、長さ3.5mといったところ
(30㎝のノコギリを使って大まかに計測)


④_R
多くの石材が抜き取られている。天井石は奥から2番目の1個が残るのみ


⑤_R


⑥_R


⑦_R
最奥部の天井石は抜かれており、石室内から木が生えている


⑧_R
天井石の上から前面。開口方向は、やや東に傾くがほぼ南向き。
大宮遺跡の方に向いているようだ


⑨_R
初めて横穴式石室の新発見に立ち会った学生さん達は興味津々


【寒水寺裏山第2号(仮称)】


⑩_R
こちらも藪や倒木に埋もれていたので、お掃除させて頂いた


⑪_R
天井石は最奥部が残るのみで、石室内は埋没状態


⑫_R
石室規模は、幅0.6m、長さ4m。幅が極小の割に長い


⑬_R
奥部


⑭_R


⑮_R


⑯_R
奥から。開口方向は、やや東に傾くがほぼ南向きで第1号と同じ


小型ですが久々の横穴式石室の新発見に興奮しました。古墳探索をしたことがなかった学生さん達はなおさらのことです。岩窟のお掃除をしたご褒美でしょうか?
こうしてみると、御領以外でも未確認の古墳群がまだまだありそうです。
後日、探索の成果をとりまとめ、寒水寺様に提供させて頂きました。

これをもって、2月中旬に行った奈良大考古学研究会有志とのコラボ活動の報告は終わりです。
今回は、今まで以上に濃い内容で、互いに良い刺激を受け合い、充実した数日間でした。次回の企画が楽しみです!