野田正彰さん紹介(1) この社会の歪みについて
7月20日(木)夕方、野田正彰さんの講演会を予定しています。そこで、野田正彰さんを毎月ご紹介します。野田さんは、1944年高知市の生まれ。精神科医で、日本の現代社会のかかえる問題の根っこを、文化的側面、精神病理学的側面から鋭く分析。氏のコラムが高知新聞に掲載されるたびに「そうだ、そうだ、よくぞ書いてくださった」と私はうなずきます。高知には野田さんファンが多いですね。
今回は、12月にあった講演『教育があぶない!ー子どもの問題、親の課題ー』を、ご紹介します。
いまの子どもは、「少子化」と「情報化」という2つの問題をかかえている。
「少子化」により、母子密着度が高まり、もつれ合って育つ兄弟関係が稀薄となった。親は「友だちとは仲良く」しかも「負けたらダメ」と矛盾したことを言う。その結果、子どもは本当の感情を表現できず、表面上の仲良しを続けられるよう我慢に我慢を重ねる。摩擦を避けているから想像上の友だちをつくる。関係性が乏しいから、朝シャンや手洗いなど自分を縛る儀式をつくる。こうして、いい子を装う現実世界と自己中心的なファンタジーの世界とが部分的に重なり合う精神構造を形成した。そして、我慢が限界にきたらキレてもいいんだ、となった。
さらに、子どもたちから曖昧な時間が奪われて外で遊ばなくなり、自分のスケジュールで動くようになったとき、細切れの時間にゲームやファミコンなど日本的「情報化」がしのびこんだ。本来「情報化」は開かれた社会をつくることが目的だが、日本の場合、自分に閉じこもる、孤立した「情報化」が進んだ。
こうした現代社会にあって親にできることは、不安を増幅する競争社会ではなく、人間関係をゆたかにする社会をめざすこと。親子の関係性を築くこと。とりあえず、操作的にならずに考えていることや意見を子どもに伝え「あなたはどう思うか?」と対話をすること。子どもが社会について考えることや「〜したい」と思うことを尊重し、子どもの成長を心から喜ぶこと。決めつけ、おしつけないこと。自立した人格として子どもを認めること。 (土といのち 4月号掲載)
参考文献:『この社会の歪みについてー自閉する青年、疲弊する大人ー』ユビキタスタジオ、2005