野田正彰さん紹介(2) させられる教育
今回は、12月にあった講演『教育があぶない!ー子どもの問題、親の課題ー』を、ご紹介します。
いま、教育基本法を解体しようとする動きが進行している。
昭和22年に文部省がつくった教育基本法は、憲法の「民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする」理想を実現するための教育のありかたが明示された。つまり、「平和主義」と「個人の尊厳」という、憲法の中核をなす2つの価値を実現する手段として教育を位置づけた。戦前のあり方を反省し、これをくりかえさぬ、という意思がつよくつらぬかれている。ところがいま、教育基本法の教育の目的から「平和的な国家および社会の形成者として」、「個人の価値をたっとび」を削除し、前文に「愛国心」を入れようとしている。
また、教育現場では、文部行政による形式的管理が進行している。「日の丸・君が代」の強制ばかりでなく、週案、指導案、評価表など抑圧の書式化の強制と処分がある。他者の欠点の指摘は対話によってのみ意味をもつが、評価表が標準化すると、自分と他者を評価表と評価項目で見るようになり、そこでは教育のもつ人と人の関係性ややわらかさが失われ、評価が関係性や全体性にとってかわる。教育と強制は最も対極にあるが、こうして現場の教師たちは、精神の自由を剥奪されていく。
(土といのち 5月号掲載)
参考文献:『させられる教育』岩波書店、2002