野田正彰さん紹介(4) 共感する力
7月20日(木)6時半から、「NPO法人 土といのち」と「平和を考える市民セミナー」の共催で、野田正彰さんの講演会を行ないます。
いま政府は、まるで傀儡政権であるかのように米国のいいなり。憲法を改悪して戦争のできる国にしようとし、教育基本法を改悪して逆らわない国民を育成しようとし、政府のやりかたに抵抗する市民を共謀罪で弾圧しようとするなど、国家主義的傾向を強めています。 まさに、私たちのくらしを根底から崩壊させかねない状況ですね。こんなとき、野田正彰さんに、比較文化精神医学的観点から、この社会の問題の根っこを語っていただこうと思います。これ以上、社会的環境を悪くしないために、市民として私たちに何ができるか、何から始めればいいか、ご一緒に考えたいと思います。
次回の打ち合わせは、6月23日(金)6時半から鷹匠町の市民活動サポートセンターです。準備から参加されたい方は、どうぞご遠慮なくお越しください。
今回は、数多くの著作の中から『共感する力』と、雑誌「世界」に掲載された『閉ざされた不安から 開かれた対話へ』を重ねて、ご紹介します。
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人類も、採集狩猟生活をしていたころ、生きているもの、動くすべてのものに共感していた。アニミズム(自然界にさまざまな霊を認める思考)は人類の無力や不安から生じたのではなく、環境世界への豊かな共感力から生じたのではないか。・・・採集民は、植物の生長や枯死に深い共感力をもっていたのではないか。いつ陽光がさし、雨が降り、霧がかかり、土がしめれば種が芽を出すか。どのような柔らかい土から、何が育つのか。根をのばす植物、芋を大きくする植物、実をつける植物、それぞれの土の状態が違う。どのような風を受けて樹木は育ち、実をつけるか。・・・採集民は、植物の生長と枯死の気持ちがよくわかるので、とりわけよく知っている植物の傍らに居たいと思ったのではないか。こうしていくつかの植物の種に語りかけ、その植物にとって居心地のよい土を探し、光と風を求め、土中の種と共感しているうちに、原始農耕が始まったのではないか。・・・情報社会に至った今、いつか私たちは、捨て去られ破壊された共感力をもう一度取り戻したいと思うようになる。他者への愛、さらには他の生命への共感と共生を求めるようになるのではないか。(ここまで『共感する力』より)
近代日本の多くの政治家は不安を煽り、不安の対象を・・朝鮮や中国、・・さらには無政府主義者・・に結びつけ、自らも不安に溺れ、危機のパフォーマンスを演じてきた。・・・国家、政府、権力者・・たちは、自らが拠って立つ集団構成員の幸福を考えること少なく、犠牲の死を強いることを常識とする。国民はそのような政府を変えようともせず、もし服従しない少数者がいても、彼らを抑圧する側に並ぶのを安楽だと考え、さらにはもの言わず自殺していく。これは近代日本の伝統に他ならない。
弱者、敗者を無視する感情鈍麻は蔓延しているのではないか。不安を精神的エネルギーとし、緊張を隠した抑うつ気分が持続する限り、他者との交流、共感は難しい。・・・核戦争と同じく、「テロとの戦争に勝者はいない。ここでも対話が求められている。抵抗者たちの表層の主張の奥に深い怨念を聴き取り、それらを理解して整理し、彼らの思いが周囲と世界へ伝わる回路を創り、私たちもまた彼らの提起を受けとめていく、そんな対話が求められている。(ここまで『閉ざされた不安から 開かれた対話へ』より) (土といのち7月号掲載)
引用文献:『共感する力』みすず書房 2004、『閉ざされた不安から開かれた対話へ』岩波書店 雑誌「世界」2006.2