2007年04月

2007年04月26日

錦之助襲名夜の部

4c7caf3a.jpg時間の関係で初日に口上と「相撲場」しか見られなかった夜の部を再見してきた。まずは仁左衛門丈のさわやかで鮮やかな「実盛物語」。葵御前が産んだといって運ばれてきた片腕をじっと見つめてから、あっと気づいて向こうに目をやる具合のうまさは惚れ惚れとするばかりだ。「平家物語」の篠原合戦のくだりで、手塚太郎が「斉藤別当実盛と思われる武将を討ち取ったが、もう高齢のはずなのに髪が黒いのが不思議だ」というと、「かねてから実盛は、年老いて戦に出るときは老人と侮られないように髪と髭を染めて出陣しようと語っていた」という人がいた。そこで討ち取った首を洗ってみると墨で染めた実盛の白髪首だとわかり、義仲軍の人々も彼の心意気に感銘を受ける、という話がある。この有名な逸話を取り込んで仕立てた狂言だが、いつまでも若々しく美しい仁左衛門丈が勤めると、不思議な説得力を感じる。太郎吉を勤めた千之助丈も祖父に似て実に愛嬌があり、魁春丈の葵御前も誰?と思うくらい美しくて、とてもよかった。ただ、若い亀蔵丈に老人の九郎助役は、いくらなんでも気の毒だと思う。うまい下手以前の問題で、まだまだ甥の仁惣太役で「どれ、一昨日来ようかい」と毒づいている方が似合っている。
「相撲場」は錦之助丈の与五郎・放駒が初日とは格段の違い。特に与五郎は、濡髪が負けた後に往来に向かってぐちぐちというあたりが(あれでも)ずいぶんよくなった。放駒は立ち合い後の登場が、あの濡髪に勝ったという興奮、喜びが溢れんばかりでとてもよい。福助丈の「待ってました、萬屋!」は千穐楽スペシャルだと思うが、女形がやるとはしたない感じがする。そういうのはあとで登場する彌十郎丈獅童丈に任せた方がいい。
最後の演目は「魚屋宗五郎」。襲名披露を行う役者の磯部主計介で「魚屋宗五郎」を出すのを、趣向として定着させたい意図でもあるんだろうか? ここ数年で、松緑丈海老蔵丈、それに今回の錦之助丈と続いている。前の2人は確かに酒を飲んだら暴れそうだったけど、若さゆえの勢いか、別に酒などなくても暴れそうな雰囲気もちょっぴりあった。錦之助丈は酒さえ飲まなきゃ真人間という実直さがにじみ出ていて、かつさわやかでとてもいい殿様だったと思う。ただ、その分、話がリアルに、地味になるきらいがあるとも感じた。酒などなくても暴れそうな殿様2人は、彼らが「魚屋ふぜいに」手をついて詫びるところで見物の溜飲が下がる。しかし今回は、酒さえ飲まなきゃ真人間な2人(殿様&宗五郎)がともにお蔦を殺したも同然、妹よ浮かんでくれろという終わり方。なんとも身につまされるが、殿様に頭を下げさせたという爽快感は希薄にならざるを得ないのである。宗五郎の勘三郎丈はじっくり台詞を聞かせる丁寧な芝居だが、その分くどくなるのも否めない。また、七之助丈のおなぎが硬く、宗五郎一家とのやりとりが生きない。その結果、宗五郎が怒りを募らせていく心の動きが見えにくいように感じた。息子に役をつけたいのは当然だし、勘三郎丈には彼らを育てる役目があるとも思う。が、もう少し力のある人がおなぎならもっといい芝居になるだろうと感じてしまうのも事実である。ちょっともったいなかった。

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2007年04月24日

偶然の発見

161ed4a5.jpg数日前のことだけど、母が朝からおにぎりを作っていた。我が家のおにぎりは具を中に入れるのではなく、混ぜご飯にして握る。そのとき、母は梅干を混ぜご飯にしていたのだが、梅干の量を間違えてご飯が酸っぱくなってしまったので、朝炊いたご飯をすべて使って酸っぱさを抑えたという。そんなわけで、私の朝食も梅干ご飯となった。その日のおかずは、きんぴらごぼう、せりの菜飯などのいわゆる「ご飯の供」。そういうときに限って梅干ご飯かあ……と思ったら、これが意外なヒット。とくにせりの菜飯は梅干がせりのあくをやわらげるのか、白飯で食べるよりずっと美味しかった。以来、せり&梅干ご飯が定番となりつつある。


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2007年04月22日

錦之助襲名昼の部

ab13f066.jpg遅ればせながら、歌舞伎座昼の部を観てきた。朝イチの「當年祝春駒」は祝儀舞踊。獅童丈が中村屋兄弟と種太郎丈といった踊りに定評のある若手に囲まれて主役を勤めるという、まるでいじめのような配役。春駒をもって花道を登場した五郎は、見た瞬間に懐かしき「ロンパールーム」のギャロップが頭に浮かんでしまったくらい、まるっきり踊れていない。歩き方からしてダメダメで、一緒に踊らなくてはならない十郎役の勘太郎丈が気の毒になった。主役の人を見ても笑えるだけなので、心置きなく種太郎丈を観察させてもらった。
次の「頼朝の死」は尼御台=芝翫丈、頼家=梅玉丈の顔合わせで「家は末代、人は一世」という台詞は寒すぎる。どちらもはまり役だとは思うけど、こんな凍える芝居をよその家の襲名披露でやらなくてもいいのに。
「男女道成寺」は身長も踊りのうまさも全然違う2人の組み合わせなんておもしろいのかな?と思っていたけど、これが案外おもしろかった。勘三郎丈の襲名披露のときの「京鹿子娘道成寺」はゴム鞠が跳ねるようで好きになれなかったが、今回は狂言師vs白拍子の踊りなので女らしい所作を意識していたのか、とても可憐で美しく見えた。昨年5月演舞場の「京鹿子娘道成寺」では花子に目もくれずに正面を向いて座っていた所化さんが、今回は真剣に花子に見入っていたのが興味深かった。仁左衛門丈の狂言師は白拍子に化けていると秀太郎丈にそっくりでかわいい。
襲名披露演目は「菊畑」。これがとてもよかった。新・錦之助丈の虎蔵実は牛若丸が実に若々しく、艶やかさのなかにも憂いを帯びた美しさがある。それにいつもながらの行儀のよさが、この役にぴたりとはまっている。これならお姫様だって惚れずにはいられまい。吉右衛門丈の智恵内、富十郎丈の鬼一法眼、時蔵丈の皆鶴姫と、まわりも充実。必ずどこかで寝てしまう「菊畑」だけど、今回は楽しめた。
終演後はクレムリで季節限定メニューのスイートマンゴーグラッセを堪能。やっぱり、ここのソフトクリームは美味しい。

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2007年04月14日

ガルガンチュワのチョコレート

chocolate.jpg今年の1月、フランスで開催されたクープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー2007で日本チームが優勝したことは、かなり大きなニュースになったので、ご存知の方も多いと思う。その日本チームの一人が帝国ホテル勤務のショコラティエ・市川幸雄さん。彼のチョコレートは帝国ホテルのパティスリー・ガルガンチュワで買えるのだが、今、彼のボンボン・ショコラ(写真は5250円のもの。ほかに3150円と10500円のがある)は予約しないとなかなか手に入らない。特に週の後半は望み薄だ。今週は母と弟の誕生日があったので、2人への誕生日プレゼントとそしてもちろん、こっそり食べる自分用の計3箱を予約で手に入れた。
実は今年のサロン・ド・ショコラ、個人的にはかなり不満な内容だった。新しい美味しさを生み出したいという作り手の思いはわかるけど、主張が強すぎてチョコレートそのものの美味しさを楽しめないものが多いように感じられたのだ。フィリングの味や香りが強すぎたり、やわらかいフィリングをしっかり閉じ込めるためにシェルをすごく固くしていたりして、チョコレートの味が生かされているとは思えなかった。そんなわけで結構不満たらたらだったので、食べた感想も書く気になれなかったのだ。
しかし、この市川さんのボンボン・ショコラはその不満をカンペキに払拭してくれた。フィリングはすべて、チョコレートの美味しさを引き立てるべくつくられている。たとえば「パッション」はまずパッションフルーツの華やかな酸味が口いっぱいに広がるが、そのなかからふわっとチョコの風味、苦さが飛び出してくる。「シナモン」も香りはごく控えめ。気をつけなければわからないくらいのかすかな香りだが、これがダークガナッシュにどっしりとしたコクをもたらしている。「オレンジラクテ」ではほのかなシナモンとクローブの香り、それにオレンジ風味がミルクガナッシュとバランスよくまとまっている。これだけではなく、ほかのどれもがチョコレートを主役としたバランス。食べたあとはすっと溶けて、いつまでも口の中に残らないところも素晴らしいと思う。いつか市川さんが独立して店を出したら、隣に住みたいくらい好きだ。次は10500円の箱にトライしなくては。

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2007年04月11日

映画「Blood Diamond」

26714bd3.jpg大きさはともかくとして、ほとんどの女性はダイヤモンドを使ったアクセサリーを一つはもっているだろう。私もいくつか所有しているし、あの輝きの美しさは見るだけで幸せな気持ちにさせられる。しかし、今ではそれが紛争ダイヤでないことを祈るばかりだ。紛争ダイヤについてはアムネスティー・インターナショナルのホームページに詳しく書かれているのでそちらを読んでいただきたいが、アフリカのダイヤモンド産出国で、反政府組織や武装ゲリラが不法に採掘したダイヤモンドのことだ。高価格で取り引きされるダイヤモンドは少量でも大金になり、それが反政府組織や武装ゲリラの軍資金になっているという。
その紛争ダイヤをテーマに取り上げた映画「ブラッド・ダイヤモンド」を観てきた。舞台はアフリカの小国シエラレオネ(同国政府の公式ページはこちら)。レオナルド・ディカプリオ演じる元傭兵で紛争ダイヤの密輸に携わる男・アーチャーは、ふとしたことから反政府組織RUFにさらわれてダイヤモンド採掘をさせられていたソロモンが、巨大なピンク・ダイヤモンドの原石を採掘現場付近のどこかに隠したことを知る。このダイヤモンドを手に入れ、RUFのためにばらばらにされた家族を取り戻して、安全な場所で暮らしたいと願うソロモン。それを横取りして、危ない稼業から足を洗う資金にしようと目論むアーチャー。そこに紛争ダイヤの闇を暴こうとする女性ジャーナリスト、ソロモンがピンク・ダイヤモンドを隠したことを知るゲリラの男、ダイヤ密輸人を束ねる傭兵部隊の大佐などが絡む。
映画自体はあくまでも紛争ダイヤを扱った「娯楽作品」。問題自体を深く掘り下げるというわけではなく、爆撃や銃撃などの戦闘シーンやかなり残虐な場面が続き、冒険映画のような感じだ。流れる血の量の多さには驚かされるし、本当にこんなお話でいいのか?とも思うが、紛争ダイヤの問題を正面から取り上げた意味は大きいと思う。

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2007年04月04日

Paul & Joeのリップクレヨン

ca91b6d7.jpgというわけで、またしても池袋西武へ。今度はPaul & Joeリップクレヨン目当てだ。
最近出合ったLIP FUSIONのリップペンシルの使い心地のよさに魅せられて以来、この手の太いリップペンシルにはまっている。LIP FUSIONのペンシルは描き心地は最高なのだけど、色が地味すぎて似合わない。なので、こういう描き心地で似合う色の製品を探しているというわけ。先日、NARSで買い物をした帰りにPaul & Joeのコーナーで見かけてウェブをチェックしたところ、きれいな色が揃っているので気になっていたのだ。ただ、実際につけてみると、グロスよりは濃いものの発色は控えめというのがほとんどだった。そのなかで、「05 クランベリージュース」は濃い目のピンクで鮮やか。かつ、ぷるんとジューシーな発色が美しい。ウェブの色見本ではダークなように見えるけど、このラインは発色がジューシーで透明感が高いので、実際の色はもう少し明るくなる。きものの感覚でいうと、こういう色は普段づかいにいいと思う。先日買ったNARSのDragon Girlと色は似ているけれど、こちらはもっと赤みが強くてマットなので、少し頑張った装いのときに向きそうだ。
ただ、LIP FUSIONやNARSは軸が木なのに、Paul & Joeは樹脂でかなり削りにくい。購入当初はきれいに削られているので気にならなかったが、自分で削ると専用のシャープナーを使ってもでこぼこができてしまう。そのでこぼこが唇に当たるのが心地悪い。もう少しきれいに削れる素材を使ってくれたら、確実にリピートするんだけどな。

gen96_cat at 21:30|PermalinkComments(4)TrackBack(0) cosmetics 

2007年04月03日

Blues Brothers Band

4395d2df.jpgいまや雀友でもあるえったんからのお誘いでブルーノート東京Blues Brothers Bandのライブを見てきた。John Belushiは亡くなっているので、2代目を襲名した人たちだという。それで全然違う人が出ているのかと思ったら、ギターの人に見覚えが。ほかの人たちもなんだか見たことがあるような……と思って帰宅してから調べたら、ギターのSteve CropperとサックスのLou Mariniがオリジナルメンバーだった。「2代目の人たち」と思っていたところにオリジナルメンバーがいたので、いきなりテンションが上がる。
メンバーが変わったとはいえ、分厚くイカした音は健在。ボーカルの1人Rob 'The Honeydripper' Paparozziのハーモニカ・ソロが素敵だった。ブルーノート東京サイトを見ると、映画でもおなじみのナンバーを含めた14曲を演奏しているようだ。でも、「そんなにやったっけ?」というくらい、あっという間に時間がすぎた。セットごとに曲目を少しずつ変えているようで、「Gimme Some Lovin'」とか「In the Mindnight Hour」は聴けなかったけど、まさかやらないだろうと思っていた「Minnie the Moocher」をやってくれた(しかも、わざわざ白の燕尾服に着替えて歌ってくれた)ので満足。MCによると、昨日は忌野清志郎が飛び入り参加したそうだ。ちょっと見たかったかも。
ブルーノート東京に行くのはものすごく久しぶりで、行く前に「そういえば、場所は変わってないのかな」という疑問がほんの一瞬、頭をよぎったのだけど、確認しないまま編集部を出てしまった。表参道の駅を出て、骨董通りを渡ってから左折。店はまったく見当たらない。これは明らかに来すぎたなと思ったので、思い切ってHunting Wolrdのブティックのお姉さんに聞いてみたら、「その先の信号を渡ったところですよ」と教えてくれた。やっぱり移転してたのね。おまけに昔の3倍くらいの広さがあって、天井は高くなっているし、料理もドリンクも立派になっていてびっくり。えったんに話すと「えーっ 10年くらい前からここにあるはずですよ」と笑われてしまった。移転先が近所でよかった。

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2007年04月02日

錦之助襲名披露

7b17ba0b.jpg月初の月曜日から仕事を休むのは難しいので、今日は夜の部の途中から。口上と「相撲場」を観てきた。以前名乗っていた人が大スターだったとはいえ、歌舞伎にとっては大名跡とはいえない「錦之助」の襲名披露。しかし口上は新・錦之助丈が師と仰ぐ富十郎丈が披露を行い、雀右衛門丈芝翫丈を始め大幹部がずらりと並び、萬屋一門も揃ったフルバージョンだ。正直、子息・隼人丈はともかく、勘太郎丈七之助丈、(個人的には大好きだけど)種太郎丈まで出なくてもいいんじゃないの?と思わなくもない。富十郎丈は愛弟子の襲名がよほど嬉しいのか実に饒舌。ひとりで30分使い切ってしまうんじゃないかと思ったくらい、次から次に話が飛び出すが、さすがにそれはなかった。しかし初日からこの調子では、千穐楽にはどんなに長い口上になっていることやら、ちょっと不安でもある。
夜の部の襲名披露演目「双蝶々曲輪日記」の「相撲場」は、の富十郎丈の濡髪が大きくて力に溢れている。錦之助丈は放駒と山崎与五郎の二役。つっころばしの与五郎はまだ荷が重いように思ったが、放駒には清冽な若々しさがある。ところどころ「天王寺屋!」と声をかけたくなるくらい師匠にそっくりなのが微笑ましい……と言われていい年齢ではないかもしれないが、そういう青さを感じさせられた。口上でもとちっていたくらいでまだまだ固いところが目立つが、これが後半どう変わっていくのか楽しみにしたい。

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2007年04月01日

シャンパン・コンフィ

289d5ab8.jpgこの週末、友人宅のホームパーティによんでもらった。今回はチーズ&ワイン祭りだというので、持参したのがこのシャンパン・コンフィ。フランスのシャンパン・メーカー「デュマンジャン」の製品で、シャンパンを煮詰めてジャムにしたものだ。アルコールはすっかり飛んでいるけれど、シャンパンの香りとほのかな甘さが美味しい。チーズにあわせると塩からさがやわらいで、乳製品独特のうまみが引き立つ。友人が用意してくれたなかでは、特にブルーチーズとスモークチーズによくあった。サイトによればフォアグラにもあうらしい。
また、ほのかな甘みはフルーツのみずみずしさも際立たせてくれる。リンク先にもレシピが載っているけれど、半切りにした苺にまぶすのも大好き。ただ添えるのではなく、手でかき混ぜてよくまぶすのがポイントだ。かつてシャンパン&ストロベリーが流行したことがあったけど、ほのかな甘さがある分、こちらの方がずっと美味しいと思う。

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