2005年09月04日

アースダイバー

4700a441.jpg昨日の「新語探険」で「アースダイバー」が紹介されていた。私も読んだが、なかなかおもしろい本である。書名の『アースダイバー』は、ネイティブ・アメリカンの神話にある大地創造伝説だそうだ。
都内を歩いていると、東京が起伏に富んだ地形であることに気付く。なるほど渋「谷」は低くて、青「山」は高いところにあるのね、という具合だ。鶯谷から上野にかけても登り勾配。ほかにも赤坂、六本木、四谷など、東京はいたるところに坂がある。坂が多いなあと思ってはいたが、そこで止まってしまうのが、凡人の悲しさ。タモリはかつて『タモリ倶楽部』で「坂の名前の研究」をやったことがあったが、「坂が多いなあ」という思いを知的探求へと発展させたいい例だろう。
この本の著者・中沢新一は、さらにその先へ向かった。東京のあちこちで縄文時代や弥生時代の土器や遺跡が出土することから思い立ち、今より海面が高かった縄文時代の東京の地図を作成して今の東京と比べたのだ。すると、おもしろいことに、今、寺社や墓地がある場所は縄文時代から陸地で、しかも岬のように海に突き出した箇所にある「聖なる土地」(つまり、寺社や墓地があった場所、ということ)だったという。その後、海面が現在のように低くなると、入り江だったところも海水が引いて陸地となった。ただし、高度の低い谷地だったので水が湧いたり、池や川ができたりしてじめじめしている。支配者層や金持ちはじめじめした低地を嫌って高台に住んだので、いきおい低地には金をもたない被支配者層が住まう。こうした古の構造が、そのまま今の東京を形作っている、と著者はいう。その土地がもつ記憶・性格が、ある町を歓楽街にし、またある町をそっくり大学にする。それは偶然ではなく、必然なのだ。
この本を読むと、東京の歩き方(別に東京以外でもいいはず)が変わる。なぜ、ここに公園があるのか。なぜ、ここにシネコンがあるのか。そんなことを考えながら歩いていると、足元の地面がぐにゅぐにゅと動き出すような錯覚を覚える。動き出した地面の下から、どんな「土地の記憶」が飛び出してくるのだろうか。住まいのあたりには古戦場址もあるのだが、そういう記憶が飛び出してきたら恐くてイヤだなあ。

gen96_cat at 23:58│Comments(0)TrackBack(0) reading 

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