2006年05月13日

福助丈の道成寺

addaf965.jpg演舞場で福助丈の「京鹿子娘道成寺」を観て、暗澹たる思いにとらわれた。この人は一体どうしてしまったのだろう。コケティッシュで華やかな美貌のはずの彼が、ちっとも美しく見えない。先に観た友人が言っていた通り、まるで悪婆のようなのである。いかな踊りの名手であろうと、このような怖い顔で踊られてはかなわない。まして、名手の域に達しているとは思えないこの人では、ますますのことである。
普段見る道成寺とは、振りもずいぶん異なっている。これまでとは違う振りがついているところもあれば、いつもの振りが崩れているだけのところもある。この崩れた踊りが非常に見苦しい。一手二手省いていると思われるところも随所にあり、非常に雑な踊りぶり。手や腰を変にくねらせているのも下品だ。上体を反らし気味に極まるところでは、いちいちレイバック・イナバウアーよろしく思い切り反り返るが、これもやりすぎだろう。いくら思い返しても誉めるところが見つからない。このような踊りを種太郎丈をはじめとする前途ある御曹司たちに見せるのは、教育上、いかがなものかと思われる。
先日の「夏祭浪花鑑」では一寸徳兵衛女房お辰を演じていたが、これも台詞が粘って気持ちが悪かった。大切な若殿を預けていいような女には見えず、後味が悪い。お辰は本来、儲け役だと思うのだが、もったいないことこの上ない。
話は「道成寺」に戻るが、鞠唄で「奴道成寺」のように所化との絡みがあった。小さな所化たちに見せ場を作っているのだろうか。このなかでは種太郎丈のうまさが目を引いた。また、廣太郎丈がなかなかの美少年ぶり。将来が楽しみなことである。

gen96_cat at 23:52│Comments(4)TrackBack(0) theatergoing 

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by わきあ   2006年05月14日 20:15
源九郎さ〜ん

娘道成寺って藤の花のついた笠のやつかな?
日本人形にあったような・・・。
見る人が見ると細かいとこまでわかるのね。アタシだったら(´−`) ンーって見てるかも。

一度はしのすけさんの素踊り見に行ったんだけど。。。寝てました。
もっと派手なもの期待したので・・・連獅子でよろけてたのだけは覚えてます。
赤いグルングルンだけ思い出せます(笑)
2. Posted by 源九郎   2006年05月14日 23:13
>わきあさん
藤の花がついているのは、たぶん「藤娘」。今月の歌舞伎座で海老蔵が踊ってます。今日も観てきたけど、すごくよくなってて驚いたわ。
「道成寺」の舞台は満開の桜なの。華やかで色気もあって、歌舞伎舞踊らしい踊りです。機会があったら、ぜひ観てください。
橋之助は福助の弟で、三田寛子のダンナですね。あまり踊りのうまい人じゃないので、思わず寝てしまったわきあさんは正しい!と思います。
3. Posted by リリー   2006年05月14日 23:37
いやぁ、あまりに的確な論評なのでウンウンとうなづきました。
新聞紙上の劇評ってなんなんでしょー。
4. Posted by 源九郎   2006年05月15日 01:30
>リリーさん
新聞の人たちはプロですから、どんなに些細でもいいところを見つけて誉めることができるんでしょう。私は所詮、ただの素人なので、そういう難しいことは無理なの(笑)。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔