2007年05月01日

吉右衛門祭昼の部

1d30766e.jpg今日は歌舞伎座と新橋演舞場の五月興行の初日。まずは演舞場昼の部。以前、雀右衛門丈が「大物浦」の典侍局を勤めた際に龍の帯留を誂えたのだが、水の龍なので「鳴神」にもイケるじゃんと引っ張り出してみた。
さて、その「鳴神」は染五郎丈芝雀丈。まず雲の絶間姫が花道に登場したところで、いつもと違う髪形、髪飾りに気づく。一見すると紫の鉢巻をしているようだったので驚いたが、よく見たら帽子だった。古風な雰囲気が芝雀丈に似合って、とても美しい。違うのは拵えだけでなく、ほかにもいつも見慣れた「鳴神」とは違うところがいくつかあった。たとえば、固めの盃で「まずは女の方から」といわれて、雲の絶間姫が飲むところ。最初から全部飲ませるよりも自然かなと思う。酔い潰された鳴神上人が舞台上で大の字になったのにもびっくり。どうするのかと思ったら消し幕が出てきたが、二人の間には何もなかったことがはっきりとわかるので、多少は教育上よろしいのかもしれない。筋書を立ち読みさせてもらった(買うのは写真が入ってからなので)ところ、今回の「鳴神」は二世左団次丈が復刻した台本に基づいているそうだ。染五郎丈の鳴神は形はきれいだし、経文も美しく投げているし、親指は立っているしと約束通りではあるのだけど、小器用にまとまった感じもある。芝雀丈とのイキはこれからもっと合ってくるだろうから、後半、もう一度観てみようと思う。
「鬼平犯科帳」では意外なことがあった。世話狂言で吉右衛門丈を見ると「鬼平みたいだな」と思うことが多いので、テレビで見る鬼平そのままが見られるかと思っていたら、ちょっと違ったのだ。舞台は声を張る分、甲高く聞こえるせいかもしれない。もっともそれは最初のうちだけで、最後はやはり鬼平だった。しかし、脚本はもう少しなんとかしてほしい。歌江丈がシャモをさげて帰ってくる場面などはいらないと思う。黄八丈に黒繻子帯の拵えの歌江丈が驚異的に若くて美しいのだが、この場面は本当にそれだけだ。おもしろかったのはうさぎこと木村忠吾を演じた松江丈。黒御簾に尾美としのりがいて付けているんじゃないかと思ったくらい、声も台詞回しもそっくりで笑ってしまった。最後は三味線で「インスピレーション」を弾いてくれるものと思って楽しみにしていたのだけど、三味線版どころか、録音のジプキン版さえも流れない。なんか見終わった気がしなくて、かなりがっかり。
最後の「釣女」は舞踊演目だというのに、踊りが得手とはいえない人ばかり。ただ一人踊りが得手の歌昇丈が孤軍奮闘しているが、逆に浮いてしまってお気の毒だった。

gen96_cat at 23:59│Comments(10)TrackBack(1) theatergoing 

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1. 役者って凄い  [ hyoの気まぐれ ]   2007年05月11日 22:51
先日書いたとおり、社長から頂いた歌舞伎に行って参りました。今回は特に贔屓役者が出演していた訳じゃないけど、メインは豪華だった。吉右衛門さんと染五郎さんに加え、ちょい役とはいえ富十郎さんも出演していたし??。  席は2階2列目。花道の真上だったけど、舞台全体が...

この記事へのコメント

1. Posted by 小吉   2007年05月02日 23:26
1 うーーん^^;昼の部の評判はいまひとつですねぇ。夜の部の三笠山御殿も大変ですよぉ!たたたたーーーーっ!(逃げ)
2. Posted by 源九郎   2007年05月02日 23:58
>小吉さん
ええっ 明日観るんですけど>夜の部
目の端を通りすぎるだけでも壮絶だなんて、どきどきです(汗)。
3. Posted by しぎ   2007年05月03日 22:02
こんばんは。お邪魔しまーす。

 そう、鬼平らしくない鬼平って意外でした。
モノまね芸人さんのようで気持ち悪かったです。
この想い、ひとさまんちでぶつけてごめんなさい(^_^;)
(…気味わるーーーい!)
いや、もー、鬼平は過去の映像だけでいいと、個人的に思う私です。はい。

 お三輪ちゃんは怖かったです。哀れさよりもホラーのようでした。
それはそれで、すんごいたっぷりと凝着の相ある女の生き血がとれそうでした。
4. Posted by 源九郎   2007年05月03日 23:59
>しぎさん
こんばんは、ようこそお越しくださいました! 熱い想い、いつでもぶつけてくださいね♪
やっぱり、鬼平っぽくなかったですよね。台本の問題も少しあるかな?とは思いますが、それにしても意外でした。あと小林さんが粂八なのはちょっと笑いました。

お三輪ちゃん、見てきましたよ。ええ、怖かったです。全然かわいそうじゃなくて、愕然としました。
5. Posted by 春駒   2007年05月06日 02:17
見られない身としては、ここで劇評を拝読するだけでも幸せ。。。
と言いたいところですが、そうですか。。。
鬼平っぽくないんですね 脱鬼平?を目指す鬼平???
6. Posted by 源九郎   2007年05月06日 12:15
>春駒さん
「鬼平」ってテレビ版ですっかりイメージができあがっているうえ、鬼平さんをやっているのが同じ人なので、ちょっと違うだけでも違和感があるのかもしれません。テレビだとちょっとした仕種や表情のアップ、ナレーションで表現される部分の多くを、舞台では台詞で補うことになってしまうし。
ブロマイドとか筋書が欲しかったら代行しますんで、遠慮なくおっしゃってねー♪
7. Posted by 春駒   2007年05月07日 00:28
ありがとうございます!!!

なかなかこちらには来て下さらないのでまた9月には行きたいなぁ〜と思ってます。
(9月は歌舞伎座ですよね?)
8. Posted by 源九郎   2007年05月08日 23:35
>春駒さん
たぶんそうじゃないでしょうか?>九月。
お待ちしておりますよ♪
9. Posted by 氷白蓮   2007年05月13日 19:52
コメントありがとうございました。源九郎さんの劇評、いつも楽しみにいています。
「鬼平犯科帳」は冨十郎さんの存在感に圧倒されました。ちょっとした役にもかかわらず、吉右衛門さんとのやりとりが面白かったです。
「釣女」は舞踊の面では、歌昇さんの一人舞台でしたね。吉右衛門さんのインパクトも凄すぎでしたけど(笑)。
10. Posted by 源九郎   2007年05月14日 01:08
>氷白蓮さん
こんばんは。私は初日に観たので、富十郎さんのというより、プロンプターの存在感に圧倒されているうちに引っ込んでしまわれて、「え? 天王寺屋、もうおしまい?」とびっくりでした。再来週、もう一度観る予定なので、楽しみにしています。

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