2007年09月09日

秀山祭 昼の部

このところ、ただの観劇ブログと化しているけれど、ファンデでかぶれて以来、なんとなく化粧を頑張る気になれない。とはいえ、ネタの仕込みはしているので、もう少し涼しくなったらコスメネタも再開しようと思う。
というわけで、今日も歌舞伎見物の感想。「竜馬がゆく」は歌舞伎座でやるようなものか?とは思うものの、商業演劇としておもしろく作られていると思う。幕末物は理屈っぽくなりがちでおもしろいと感じたことがないのだが、今回は染五郎丈演じる竜馬の飄々として爽やか、かつ破天荒な魅力を楽しんだ。ただ足元がアシックスのスニーカーに見えたのはびっくり。もちろん、紺足袋に草鞋を履いているだけなのだけど、ほかの人は同じような拵えでもそうは見えない。彼のプロポーションか身体の使い方、あるいはその両方が現代的すぎるのではないかという気がする。
竜馬以外の配役もおおむね適材適所であったと思うが、一番気に入ったのは歌江丈の百姓女すぎ。舞台裏でニワトリが「コケッ」と声を立てるところから、「桂くん、坂本くん」まで、鳥鍋のくだりは爆笑した。三部作の第一部とのことで今回は勝海舟に入門するところまでだったが、どうせなら全部作って演舞場で上演すればよかったのにと思わなくもない(そうなると私は見なかった可能性が大だけど)。ただ、オープニングの大河ドラマかと思うような曲を始めとする洋楽は好きになれなかった。
「熊谷陣屋」は吉右衛門丈の直実。軍物語がくっきりとしたことで、敦盛の身代わりとして我が子を殺さなくてはならなかった絶望感がひしと伝わってきた。ただ、初日も少し感じたのだけど喉が本調子でないようなのが気になる。また、かつて故・権十郎丈や又五郎丈が傑作を見せた弥陀六を、今回は富十郎丈が演じている。市井の人として隠れ住みながらも隠しきれないただならぬ鋭さ、悔恨にさいなまれる孤独感が見事に表現されていた。
熊谷の妻・相模は福助丈。神妙に演じているのがなかなかよく、とくに最初の「一里行ったら……」の台詞が故・歌右衛門丈にそっくりなのには驚かされた。芝雀丈の藤の方は10年以上前に琴平で見て以来。この人らしい、嫌味なところがなく心やさしいお局さまだが、熊谷夫婦の旧主で上皇の寵姫であったことを考えると、もう少し凛とした強さがほしいように思う。
昼の部の終演は3時20分。こんなに早く終わるのなら、「熊谷陣屋」は相模の入りからの上演にしてほしかった。ここがあると格段にわかりやすくなるのにもったいないなあといつも思っている。


gen96_cat at 23:59│Comments(0)TrackBack(0) theatergoing 

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