2009年02月04日

歌舞伎座昼の部

朝イチの「賀の祝」を観ようと、頑張って遅刻しないように(でもギリギリに)行ったら、「加茂堤」からだった。あら、びっくり。とはいえ、「賀の祝」だけ出すよりも話がわかりやすくていいと思う。橋之助丈の桜丸は父譲り?のリアリズム志向でわかりやすい芝居をするせいか、観客は沸いていたけど騒々しくて興ざめ。とはいえ、福助丈の八重ともども、いいヤツだけど考えが足りない、いささか軽薄な夫婦という感じは出ていたので、まあよいのだろうか。プチ贔屓の梅枝丈の苅屋姫が見られたのはよかった。早起きは三文の得?
「賀の祝」、年上女房チームでは芝雀丈の千代がよい。「勘当してやる」と息巻く白太夫に向かって「孫のことも思し召し」と訴えるところで、この後の「寺子屋」の場面が浮かんで胸が詰まった。今回は上演しないし、拵えもまるで違うのに、不思議なものだ。
一方、三つ子夫チームでは断然、松緑丈。声がよく伸び、決まり決まりの型も美しく、前髪のやんちゃさが抜け切らない梅王丸がよく表現されていた。対する松王丸は染五郎丈だが、彼はむしろ桜丸の方が似合うんじゃないかという気がしてしまう。親指が立っていても「強そう」ではなく「きれい」に見えちゃうのは、やはり荒事向きじゃないのかも…と思ったりした。
「京鹿子二人娘道成寺」は、客席の熱気がものすごいので驚いた。「きれいねえ」とか「どっちが玉三郎?」といった話し声が絶えないというのに、空気は張り詰めている。「道成寺」にはさまざまなバリエーションがあるが、この作品は玉三郎丈の大発明だろう。渡辺保氏が劇評で書いている通りだ。回を重ねるにつれて菊之助丈が成長していることもあって二人の絡みが緊密度を増しているのでエロさも倍増、また、オーソドックスな日本舞踊とは少し異なる振りがついていたりもするので、好みが分かれるだろうと思う。私自身、好きかといわれると、正直微妙なところではある。これを見るといつも、「普通の」道成寺が見たくなるのだ。そしてまた、ものすごく踊り手を選ぶ作品であるとも思う。稀有な美貌と、対照的な特質をもったこの二人以外で誰が受け継いでいけるのか、ちょっと思い浮かばない。この二人の組み合わせであっても、菊之助丈にもっと色気がにじんできたら、どうだろうか。まだ色気よりも清潔感が勝つ今の彼だから、女二人の絡みがぎりぎりセーフで踏みとどまっているように思う。
そして最後は、いつも楽しい「文七元結」。悪人が一人も出てこない、気持ちのいい芝居である。ただ、見るたびに思うのだけど、いくら正直者といっても、50両もの大金を忘れて帰ってきてしまうような粗忽者である。お兼さん、愛娘を嫁に出すのは心配だったりしないんだろうか。

gen96_cat at 23:59│Comments(0)TrackBack(0) theatergoing 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔