2010年02月18日
炭素税関連資料、ブリーフ公開について
JDA春季大会の論題である炭素税は、2003年後期にも一度議論されており、私の手元にその時の資料が残っていたので、ブログにて公開させていただくことにしました。
ただし、2003年当時の資料なので、当然最近の動向は反映されていませんし、エビデンスの出典等も、特にネットの資料についてはリンク切れがかなりの確率でありそうですし、誤字・脱字等のチェックもしていません。
また、一部モデルのエビデンスを使っている節もあるので、かなり怪しい部分もあります。ディストーション等の指摘に対しては責任を負うことができませんので、ご注意下さい。
少しでも皆様の議論づくりの参考になれば幸いです。
炭素税 ケースアタックなど
対温暖化 インヘレンシ−
2酸化炭素これ以上増えても温暖化上昇しない。
薬師院助教授2002年/仁志
Q)同じように、2酸化炭素濃度の増大による温室効果にも、限度がある。約12um〜約18umの範囲にある赤外放射をすべてトラップするだけの2酸化炭素があれば十分なのであって、それ以上増えてもあまり意味がないのである。(中略)F・フォイル氏は、すでに1980年代の初めから、次のように述べていたのである。
2酸化炭素のわなの効率は大気中の2酸化炭素の量とはあまり関係ない。最近の環境保護論者たちが唱えている説とは違っているが、その量が5倍になってもわなにはほとんど変化がない。)UQ
/「地球温暖化論への挑戦」/八千代出版/p244
実際に気温の上昇と2酸化炭素の上昇はマッチしていない。
薬師院助教授2002年はアメリカのマーシャル研究所のレポートを紹介しています。/仁志
Q)このレポートは「この100年間起こっている0.5度の緩やかな昇温傾向が温室効果ガスの排出と相関している証拠は何もない」と分析している。というのは「0.5度の気温上昇のうち大半は1940年代までに達成されており、温室効果気体が増大してからの昇温量は少ないから」である。(UQ
/「地球温暖化論への挑戦」/八千代出版/p217
海水準は上昇しない。
薬師院助教授2002年は根本氏の意見を(オランダのヘクストラ氏の研究を元に)紹介しています。/仁志
Q)南極大陸では気温が10〜15度ぐらい上昇しても、海抜が高く、表面の温度がたいへん低いので、そこの氷がとけだすことは考えにくい。逆に、気温が上昇すると大気中に含まれる水蒸気の量が増大するため、雪が降りやすくなる。そして、温室効果による気温上昇で、南極の氷冠は0.5%も拡大する。)UQ
/「地球温暖化論への挑戦」/八千代出版/p180
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対温暖化 ソルベンシー
US and developing countries are increasing emission.
AECS(Americans for Equitable Climate Solutions) 2002/http://www.aecs-inc.org/glblwarming.htm
Q)米国は世界人口のほぼ5%を占め、一つの排出源としては最も大きく、その排出量は世界の総排出量の21%を占めている。米国の二酸化炭素排出量は、徐々に増加しており、エネルギー省の2002年度エネルギー見通しによると、今後2020年まで、平均7.5%ずつ増加すると見積もられている。同2002年度エネルギー見通しによると、発展途上国ではさらに急速に二酸化炭素の排出量が増加しており、2020年までに総排出量が先進国の排出量を上回ると見積もられている。世界的には、二酸化炭素の排出量は毎年2.3%、1999年から2020年までの間に50%増えると見積もられている。)UQ
T/A. Global warming is good for human welfare.
Professor Cordato1998/Roy/ Lundy Professor of Business Philosophy at Campbell University/
http://www.ecoworld.org/energy/Ecoworld_Energy_Cordata_article.cfm
Q)一方で、CO2は地球にも人類にもすばらしい恩恵をもたらす。これは確実である。サイエンスの1995年5月号でElizabeth Cullotaは「CO2は温室効果ガス以上のものである。それは植物の成長のための不可欠な栄養素であり、植物が糖や炭水化物や他の生存に必要な複合物を提供する大気の肥料である。」彼女の結論は、農業の領域では、実験的証拠はより高いCO2の濃度は恩恵であり、植物の成長を早め、収穫を増やすことを示唆している。Callotaの引用するDuke大学の研究によると過去100年の収穫増の内、10%は大気CO2増加によるものである。(中略)温暖化、特に夜間の場合、降霜を遅らせ、植物の成長期を長くし、さらに収穫を増やす。化石燃料を燃やすことによるCO2の増加は素手により多くの果物や野菜、食物の価格の低下、そして世界の飢餓を減少させるという社会的思想をもたらしているのかも。)UQ
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対 企業の技術力アップ
日本の企業は限界です。
読売新聞 2001.09.09 東京朝刊p3
Q)これに対し、日本が6%の削減目標を達成するのは、欧米より難しいと言える。二度の石油危機を経た結果、産業界の省エネ対策が他の先進国より進んでおり、さらにCO2排出量の削減を行おうとすると、CO2削減コストがアメリカの二倍、欧州の一・三倍もかかるからだ。)UQ
さらに無理に導入すると経済を悪化させる。
読売新聞 2001.09.09 東京朝刊p3
Q) さらに、IT(情報技術)産業の業績悪化や歯止めのかからない株価下落など日本経済の崩落が続く中、アメリカ抜きでの議定書批准を目指せば、「環境投資などの増加で、日本の産業界の国際競争力が低下し、さらに日本経済の再生を遅らせる懸念がある」(経済産業省)。)UQ
さらに炭素税により消費が下がり経済に悪影響を及ぼす。
魚谷増男 / 2002.3 / 平成法政研究 / 平成国際大学法政学会 / 第6巻 第2号 /p.14,15
Q) 汚染物質を排出する企業又は商品に税・課徴金を課することについては、結果的に商品の価格を上昇させることになり、税負担の不公平、物価上昇・商品購入の減少、経済成長・雇用への悪影響、国際競争力の低下など国民経済に多大の影響を及ぼすこと、さらに地球温暖化防止対策としての効果への疑問があると反対する意見が経済界では強い。特にエネルギー多消費型の企業には反対意見が強い。 (UQ
不況により自殺者が増えます。
連合総研2000/February/[http://www.rengo-soken.or.jp/dio/no135/siten.htm]
Q)今次の大不況の最大の問題の一つは失業率を大幅に引き上げてしまったことである。
失業は個人にとって深刻な問題であると同時に、社会にとっても人的資源の大変な損失である。自殺の増加、犯罪の増加といった社会問題と同時に、雇用保険制度や社会保障制度にも影響を及ぼす。)UQ
現在、企業は環境に投資する余裕ない。
読売新聞2003年/6月17日/p32
Q)環境保全投資を支援する京都市の中小企業向け融資制度の利用が伸び悩んでいる。時代の変化に合わせて、アスベストやフロンガス対策などにも融資対象を広げているが、昨年度の利用はゼロ。不況で企業は軒並み設備投資全般を抑えているうえ、中でも収益に直接結びつかない環境保全投資となると<二の次>になっているためとみられる。)UQ
対 人々
日本人の意識は高い
大阪神戸ドイツ連邦共和国総領事館2003/
http://www.german-consulate.or.jp/jp/umwelt/alltagsleben/
ある市民の環境意識に関する研究によれば、高度成長期の1971年には「環境問題を深刻に受け止めていない」人が50.8%もいましたが、1998年には「地球温暖化防止のために何らかの取り組みをしたい」と答えた人は74.1%に達しました
政策はうまくいかない。
毎日新聞 2000 / 5 / 1
Q) 「地球の温暖化防止が21世紀最大の課題」と叫ばれながら、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を世界的にどう減らしていくのか具体策が見えてこない。 (Omit) 国内でも温暖化防止のための企業の自主的な取り組みや省エネ法などに基づく直接規制にも限界がある。ライフスタイルの転換や省エネも一時ほど関心を呼ばなくなっている。 (UQ
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/science/Environment/200005/21-1.html
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環境ビジネス No inherency
読売新聞朝刊 2003.05.30 朝刊 p10
環境省は29日、国内の環境ビジネスに関する市場規模と雇用人員の将来予測を発表した。それによると、燃料電池車の開発や大気汚染防止用装置の製造などの分野で大幅に成長し、2020年の市場規模は58兆円、雇用人員は123万人に達するという。
対 補助金
否定側の証拠資料
___. 価格インセンティブのみに依存してCO2排出を抑える為には、税率を高くする必要がある。
つまりaffのプランは国の投資が鍵になります。
十市 勉 2003年4月(財団法人 日本エネルギー経済研究所 常務理事・主席研究員、日本経済新聞2003年4月23日「経済教室」掲載。http://eneken.ieej.or.jp/data/pdf/668.pdf)
「2010年のCO2排出量を1990」年より2%低い水準に抑えるには、価格インセンティブ効果だけに依存すると、炭素トンあたり13,000〜35,000円(ガソリン1リットルあたり9〜23円に相当)の高率課税が必要となり、税収は約4.5〜12兆円にも達する。それに対して、価格インセンティブ効果と税収を活用した温暖化対策効果を併用すると、炭素トンあたり3,000円(ガソリン1リットルあたり2円に相当)の低率課税ですみ、税収は1兆円程度になるとしている。」
お金は十分にある。金融が貸してくれる。
2002年03月18日 東京夕刊
環境をキーワードに、企業に融資したり、情報を提供する金融機関の環境ビジネスが本格化してきた。有害物質が土壌を汚染して引き起こす健康被害を防ぐ土壌汚染対策法案が今国会に提出されるなど、環境問題はますますクローズアップされており、ビジネスの対象分野が広がっている。かつて収益には結びつかないといわれた環境問題が、金融機関の二十一世紀の新しい収益源として注目を浴びつつあるようだ。(辻野訓司)
補助金はかえって環境技術を推進しない。
石弘光教授1999年
Q)第2に、補助金は「隠れた産業政策」の手段となり、特定産業の保護につながりやすい。往々にして、保護主義者の政治的圧力により、不当に補助金が増加しやすくなる。このことは長期的に見て市場の参入・退出に影響を与え、産業構造を変化させることになる。)UQ
/「環境勢とはなにか」 岩波新書 p156/
しかし、国の環境投資はうまくいかない。優良な投資先をみつけるのが困難だから
OECD2002/環境関連税制 有斐閣 p58-59
Q)効率的で費用効果的な再生可能エネルギー源による電力の開発への誘引とエネルギー効率的な投資への誘因とを生み出せるような環境目的の補助金は、管理が複雑になる。補助金の原資が効率的に分配されるのを確保するためには、どのようなエネルギー効率的な投資や再生可能エネルギーを援助すべきかについての情報を絶えず更新していかなければならない。そうしなければ、当計画は動学的な誘因を相殺することになりかねない。技術リストの更新には、高い費用がかかるであろう。)UQ
実際に日本ではうまくいっていません。
読売新聞2002.11.15東京朝刊 埼玉2 33頁
Q)循環工場の発展は、進出企業の順調な操業が前提となるが、エコタウンなど各地で先行する資源循環事業では、業界の過当競争などで進出企業の採算性の確保に苦しむケースもある。
北九州市では、臨海地区のエコタウン地区(四十ヘクタール)で十五のリサイクル工場と二十の研究施設が稼働、全国のモデル地域とされているが、垣迫裕俊・同市環境産業政策室長は「黒字の企業は三、四社ほど」と悩む。
同市では同業種の企業の重複を避け、国などの補助金も活用して進出企業の投資負担を減らしている。しかし、「中小企業を中心に設備投資や研究開発負担、業界の過当競争などに苦しむ企業が多い」(垣迫室長)という。)UQ
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対 海外シフト
鉄鋼業界もうだめ
読売新聞2002.01.10朝刊 p9
業界に必要なのは生産体制の縮小と人員削減だ。例えば、新日鉄の従業員数は、七一年の約八万五千人をピークに今年三月末には約二万六千人に減り、来年度末までに二万四千五百人にする。そんな状況で、ワークシェアリングで賃金を下げても、大幅な経費削減は期待できず、中国や韓国との競争にも勝てない、とする声が高まっている。
読売新聞1990 1990.04.11/p7
経団連(斎藤英四郎会長)は十日、「地球環境問題に対する基本的見解」と題した意見書を発表した。(中略)
そのうえで、産業界が取り組むべき課題として、CO2の排出削減につながる省エネ技術の積極的な海外移転を挙げるとともに、海外投資の際に環境基準を日本並みに厳しくすることなどを盛り込んだ「海外進出環境配慮指針」を初めて策定した。
産経新聞1997年11月16日
ただ、為替変動の影響を避けるため、工場の海外移転を加速させている電機や自動車業界では、「日本と現地の比較で厳しい方を適用」(電機)、「可能な限り国内と同じにする」(自動車)など、現地での環境保護に神経を使っている企業が多かった。
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資源枯渇等
炭素税により天然ガスにシフトするが、かえって資源枯渇を速めます。
成蹊大学教授 小島紀徳1994
Q)それでは石炭、石油をやめて天然ガスだけを使うことをしよう。石炭、石油をやめて天然ガスだけを使うことにしよう。石炭、石油を天然ガスで置き換えるのである。2酸化炭素排出量は半分近く減ることが期待される。しかし、確認可採埋蔵量を年生産量で割った可採年数は元々60年しかなかったのに、石炭、石油の分も天然ガスで置き換えたら、たった15年しかもたないのである。)UQ
/「二酸化炭素問題ウソとホント」/アグネ承風社/p84/
実際にフィンランドで天然ガスにシフトした。
OECD2002
Q)1999年にフィンランド経済審議会の作業グループは、フィンランドのエネルギー税および炭素税の有効性に関する評価を行った。(中略)報告書は、ガソリン消費量の減少と、産業部門での構造変化ならびに消費量減少という2つの要因によって、同期間の炭素排出量が100万トン減少したと推定している。産業部門での炭素排出量減少のうち3分の2は、石油や重油から天然ガスへの燃料転換によるものである。)UQ
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対「未来世代」
彼らは、未来世代について考えることが重要、と言いました。しかしながら…
1) 現実の社会においては、未来世代が優先されているわけではありません。もし、未来世代のことを第一に考えなければならないのなら、例えば、日本で広く行われている人口妊娠中絶などもってのほか、と言うことにならなければなりません。
更に言うなら、もしも我々が本気で地球環境のことを考えているなら、現在の便利な生活はすべて捨てて、車もなく、電気もガスも無い、原始生活に戻らなければ成らないはずですが、現実はそうなっていません。結局のところ、私たちは、便利な暮らしを捨てることもできず、都合の悪い時には胎児の生命も奪う、という社会に生きているのです。
2) まだ存在していない者に対して権利を認めることはできません。例えば、胎児ですら人権を持つかどうか議論になっているのに、まだ形の全く無い未来世代が何らかの人権を、現在の社会の中で持つことは、考えづらいです。
蔵田伸雄1998(三重大学人文学部助教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ pp.88-89)
「しかし未来に生きる人々に配慮するといっても、そこで配慮の対象となる未来世代の人々はまだ存在していないという問題がある。例えば、「未来世代の人々は私たちに対してなんらかの権利を持つか」という視点から未来世代に対する倫理について考察されることがあるが(シュレーダー-フレチェット[1993]など)、それはまだ存在していない存在者がなんらかの「権利」をもつといえるかどうか疑わしいからである。また「未来世代の人間の権利」を考えることが難しいのと同様に、その「権利」に対応する「義務」を考えることも難しい。」
3) また、「未来世代に対して義務がある」、と言いますが、通常、義務に対しては見返りが無ければなりません。例えば、交通ルールを守って、窮屈な思いをする代わりに、ある程度の安全が確保される、とか、税金を払う義務を果たす代わりに、社会サービスが受けられる、といった具合に。
しかしながら、未来世代に対しての義務を果たしても、私たちには何の見返りもありません。
4) しかしながら、未来世代に対しては、ギブアンドテイクの関係は成立しません。
蔵田伸雄1998(三重大学人文学部助教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ pp.97-98)
「しかし、未来世代に対する倫理の場合には事情が異なる。現在世代の人々と「まだ存在していない未来世代の人々」との間にギブ・アンド・テイクの関係は成立しない。したがって、現在世代の人々と未来世代の人々との間に相互的な利益や権利の尊重という形での交換的正義は成立しない。私たちが未来世代の利益や権利を尊重したところで、まだ存在していない未来世代の人々が私たちの利益や権利を尊重してくれることはありえない。」
5) したがって、未来世代に対する考慮は、「可能であれば」という程度に過ぎず、あくまで現世代の利益を損なわない範囲で、と考えるのが妥当です。
6) さらに、環境よりも優先される価値は多くあります。
谷本光男1998(龍谷大学短期大学部教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ p.133)
「第四に、人間中心主義の立場からみると、自然環境の保護は人間の一つの価値であるが、しかし私達が守ろうとしている価値はそれ以外にもたくさんある。実際、環境保護より優先されるものがたくさんある。たとえば、不況になれば、景気の回復が何よりも大事だといわれる。地球温暖化の問題にみられるように、温室効果ガスの排出量削減は経済的理由から思うようには進まない。人間中心主義の立場からは、環境保護を優先させることはなかなか難しい。もちろん、自然環境は私たちの生存の基盤であるから、諸々の価値はその基盤の上で実現される。その意味では、環境保護が他の価値に優先するとも考えられるが、しかし同じことは生命についてもいえるのである。人間は生きていることによってのみ諸々の価値の実現が可能になる。その意味では生命の価値が何よりも優先されると思われるが、しかし実際には、生命を犠牲にしても名誉を重んじる人はたくさんいる。こうして、私たちが大事にしている諸々の価値を比較考量するかぎり、環境保護を優先させることはきわめて難しい。」
炭素税 肯定側立論(その2)
もう一つのケース。どうやら当時の大会本番ではこっちを使ったぽい。
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論点1 日本の現状。
a)環境技術が普及していません。
1 日本の税金は化石燃料に対して緩い税率となっています。
石教授は99年にこう述べています。
Q)現在日本の税制には、炭素含有量を対象とした炭素税は存在しない。しかし図4・1の領域?で示したように、化石燃料によるエネルギーに対し実際に課税が行われている。(省略)日本は3番目に低く、ドイツ、ベルギー、オランダがこれに近い。このことは、将来新税であれ既存税制からの組み換えであれ、炭素に対する実質的な税負担の余地は欧州の国々に比べまだ十分にあることを示唆している。)引用終り
/「環境税とは何か」 岩波書店 p119-120/
2 よって化石燃料の価格が安定すると環境技術に投資するインセンティブがなくなってしまいます。
環境白書2002/p22
Q)産業部門においては、当初一部の業種で緩やかな向上が見られましたが、平成4,5年以降ほとんどの部門で環境効率性が悪化しています。これは昭和60年以降原油価格が低位安定化したため、高額な省エネ設備への投資が控えられたこと、製造業がアジア各国でも隆盛化し、低付加価値製品の生産はアジア各国に移転したことに伴い、各部門の生産物がエネルギー消費量の多い高付加価値型製品にシフトしたこと等が要因として挙げられます。)UQ
3 環境技術への設備投資の低さは環境ビジネスのネックになっています。
読売新聞2001年より引用します。
Q) 地球温暖化や循環型社会への転換など環境問題に対する関心の高まりを受け、環境関連のベンチャー企業の動きが活発だ。その大半は、乾燥機などを製造していた機械業者が事業拡大に合わせて環境分野に進出するなど、自然発生的な動きで、関西にあるバイオ関連技術の蓄積などを背景に大きな産業に育とうとしている。(中略)環境分野への関心は高いが、企業にはなお、「環境保全への投資は負担だ」という意識が根強い。環境ベンチャーが成功するには、そうした企業に環境投資を促す提案力も求められる。)UQ
4 よって、自然エネルギーなどの環境技術も普及していません。
例えばバイオマスの普及は遅れています。
知恵蔵2003年より引用します。
Q)欧州では広く普及し、スウェーデンではバイオマスがエネルギー供給の2割をになっている。日本では豊富な資源にめぐまれているにもかかわらず、製紙工場での黒液(パルプ製造の廃液)、廃材の燃焼を除けば普及が遅れている。)引用終り/知恵蔵 2003年 p649/
b)人々の意識も環境に向いていません。なぜなら、問題が生活に直接に結びつかないからです
一橋大学の石弘光教授はこう述べています。
Q)「環境基本計画第一回点検における国の取り組み状況調査(1996年)」の結果を見ると、環境施策の分野別では廃棄物リサイクル対策に、人々は比較的取り組んだ事例が多い。しかし、これに反して、CO2削減のために生活様式にまで踏み込んだ独自の対策を、家計は採っていない。前者は我々の日常生活において、その対策の成果が目に見えるだけに人々の関心は高く協力的だが、後者は直接に時間できない将来の環境問題だけに現実にそれほど深刻な被害意識がない。それだけにそれほど真剣に取り組めないということであろう。)引用終り。
/「環境税とは何か」 岩波書店 p64/
論点2 暗い未来
a)環境ビジネスはこれからの日本経済で重要です。
1 今、日本は不況にみまわれており、数多くの人が失業で苦しんでいます。
毎日新聞社 / 2003.7.29
Q) 総務省が29日午前発表した労働力調査結果によると、6月の完全失業率は前月より0.1ポイント改善し、5.3%となった。 (Omit) 完全失業者数は前年同月比7万人減の361万人と4ヶ月ぶりに減少した。 (UQ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030729-00003009-mai-soci
2 さらに失業は個人の問題だけではなく、社会に犯罪などの損失を与えます。
連合総研2000/February/[http://www.rengo-soken.or.jp/dio/no135/siten.htm]
今次の大不況の最大の問題の一つは失業率を大幅に引き上げてしまったことである。
失業は個人にとって深刻な問題であると同時に、社会にとっても人的資源の大変な損失である。自殺の増加、犯罪の増加といった社会問題と同時に、雇用保険制度や社会保障制度にも影響を及ぼす。
3 環境ビジネスそのような経済を救う鍵となります。
環境白書2002年より引用します。
Q)環境問題は世界共通の課題であることから、今後規模の拡大が予想される環境対策に関連する市場においても、わが国が有するさまざまな技術における優位性をさらに発展させ、世界市場への先行的な展開により消費者のニーズを捉えることができればわが国の経済にとって大きな利益をもたらす可能性があります。)UQ/p77
b)人々の環境に対する意識も重要です。
なぜなら、これからの環境問題は私達が自ら取り組んでいかなければ解決しないからです。
同じく環境白書から引用します。
Q)今日の環境問題の多くは、市民の日常生活や通常の事業に起因し、不特定多数の者が原因となっており、持続可能な社会を実現するためには、市民・企業・政府などの各主体が社会のあらゆる面で自主的かつ積極的に環境への負荷の低減に取り組むことが必要です。)UQ/p25
よって、環境技術を推進するために炭素税を導入します。
1 日本は最終的に1トンあたり20000円の炭素税をかけます。
2 10年かけて段階的に導入します。
3 税額は石油価格に応じて微調整します。
4 税収は企業の社会保障費の軽減と環境エネルギー補助成策にあてます。
5 原子力発電所は新規建設を行いません。
論点3 日本に環境に優しい社会が到来します。
a) 環境技術が発達します。
1 炭素税の導入により環境技術が普及します。化石燃料の価格が増大し、企業がその費用を軽減しようと省エネルギー技術を促進しようとするためです。イギリスで証明されています。
環境関連税制という本の中でOECDはこう報告しています。
Q)英国では、道路交通量税のエスカレーター条項があり、実質燃料価格を年率6%ずつ上昇させていた。(中略)別の報告書では、このエスカレーター条項が、絶えず続く燃料節約の誘因を作り出したため、動学的効率性の利益をもたらした−33トン超級の大型トレーラー・トラックの平均燃料効率が1993年から98年の間に13%も向上した−と結論している。)引用終わり
/「環境関連税制」 有斐閣 p152/
2 同様に非化石燃料も普及します。実際にノルウェーで証明されています。
石教授はスウェーデンの事例を紹介しています。
Q)各分野ごとに目を転じると、地域暖房がCO2排出量の削減のうち約3分の1をしめ、最も寄与していることが分かる。この主たる原因は、地域暖房が炭素税の導入に敏感に反応し、その燃料構造が大幅に変化したことによる。つまり地域暖房に必要な電力生産は大幅に増加したものの、その増産部分の一部が非課税の燃料を利用して行われるようになった。CO2排出量も、27.7%減少している。)引用終り。
/「環境税とは何か」 岩波書店 p181/
3 普及により環境技術が発達します。
OECDは2002年にこう述べています。
Q)技術の発展が抑えられるのは、往々にして研究が足りないためではなく需要が不足しているためなので、新技術に対する需要は技術革新を推進させるもっとも強力な要因の1つとなる。ある技術に対して、製品の品質の高さや環境保護の面で消費者や市場からの需要があれば、企業はさらに技術革新に力を入れる可能性がある。)引用終り/OECD環境白書 中央経済社 p85/
4 実際にイタリアでは車業界で競争力が上がりました。
OECDは2002年に報告しています。
Q)環境政策は、新たな機会を生じさせることができ、その領域で最初に革新を行う国の競争上の地位を高めることができる。(省略)イタリアが、その1つの例を提供している。燃料に対する高税率に対応して設計された低燃費エンジンを装備した小型車が、輸出向け生産においてシェアを拡大したのがそれである。/「環境関連税制」 有斐閣 p105/
5 それは統計的に証明されています。
高橋香絵、室田泰弘
(SERF代表取締役、湘南エコメトリクス社長
Q)温室効果ガス排出削減による経済へのマイナス影響は、一国が単独で排出削減を行う場合最も大きいと考えられるが、そのような厳しい場合を想定した。つまり、日本が単独で温室効果ガス排出削減を行った際の影響を分析した。(中略)通常、資源などの制約があると、経済効率や産出は低下する。しかし、企業はそうした制約をむしろ飛躍のチャンスとして生かし、それが結果的に全体としての経済効果や産出を引き上げることになる可能性がある。(中略)変革ケースでは、日本のGDPは473億ドル増加する(GDPの0.9%に相当)、その場合、その他アジア・西欧のGDPも各115億ドル、139億ドル増加するが、アメリカのGDPは455億ドル減少する。)UQ
/「温暖化ガス排出削減が世界貿易を通じてマクロ経済に与える影響」、湘南環境リサーチフォーラム(SERF)、http://www.serfinc.net/paper/enecon02.pdf)/
6 さらに環境ビジネスの普及は雇用も産みます。環境ビジネスがすでに大きく進んでいるドイツで証明されています。
環境白書2002年より引用します。
Q)次に、各国の環境対策による雇用の創出に係わる状況をみると、ドイツでは、2000年(平成12年)の環境の白書において、環境分野における雇用規模が約130万人(機械製造業の約115万人、食品関連産業の約100万人を上回る)に達していることが明らかにされており、その増加要因として省エネルギー規制、建築物の断熱化プログラム、再生可能エネルギー促進等の政府施策が景気になっていると分析します。)UQ
よって日本から大幅に失業者は減るでしょう。
b)人々の意識も向上します。炭素税自らの負担が大きくなるために、自ら問題を真剣に考えるからです。さらに自ら環境にやさしい行動をとるようになります。これはゴミを有料化した際にも証明されています。
読売新聞2003年の9月19日の記事より引用します/東京 埼玉p30
Q)東村山市がごみ収集の有料化を始めて、10月で1年になる。導入当初は「不法投棄が増える」などと反対する声もあったが、有料化により、ごみが大幅に減少した。また、心配された不法投棄はあまりなく、逆に店舗での牛乳パックやトレーの回収量が増えている。有料化は、住民のリサイクル意識の向上にも貢献しているようだ。)UQ
よって人々は自ら環境問題に取り組んでいくことでしょう。
炭素税 デメリット:ディーゼル車へのシフト
デメリットの追加(ディーゼル車へのシフト)です。どうもどこかのモデルをアレンジしたっぽい。このDAだけ別になっているのは、単にこれが後から見つかったからであり、他意はありません。
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DA ディーゼル車へのシフト
a) Now diesel car is decreasing.
経済産業省 2002
1990年ごろは、RV車ブームとともに燃費の良いディーゼル車需要があり、1990年には年間新車登録台数276419台、ディーゼル比率5.4%であったが、それ以来一貫して減少基調になり、2001年には年間11126台、ディーゼル比率は0.3%にまで低下している
http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g30808d7j.pdf
経済産業省 2002
特石法の廃止による輸入自由化等の影響により、それまで他の油種に比べて高かったガソリンの価格の水準が低下し、相対的にディーゼル車のメリットであった燃料経済性の格差が縮小したこともディーゼル比率低下の一要因との指摘がある。
http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g30808d7j.pdf
b)
1. プラン後はディーゼル車へのシフトが進む。
ディーゼル車の方がCO2の排出少ない。(ごめんエビデンスの質がわるい。後半だけでいいかも)
OECD2002/環境関連税制 有斐閣 p76
Q)オーストリア、スイス、英国、および米国を例外として、ほとんどの国では無鉛ガソリンに適用される税率は、ディーゼル油に適用される税率よりもかなり高い。(省略)ディーゼルエンジンの車は、燃料消費量が少ないため、1キロ走行当たりのCO2排出量はガソリン車よりも少ない。)UQ
2. Difference of tax cause diesel car shift
OECD2002/環境関連税制 有斐閣 p39
Q)たとえば、ディーゼル車はガソリン車に比べて汚染度が高いのに、多くのOECD諸国においてディーゼル燃料への課税は、ガソリンより税率が低い。この租税格差が、道路交通でのディーゼル車の大幅な台数増加の一因となっている。OECD諸国において、全道路輸送用燃料消費におけるディーゼル燃料の割合は、1970年の15%から97年には32%に拡大している。)UQ
c) Pollution will rather increase because of diesel car.
その結果、 車全体が1年間に排出する窒素酸化物は55万トンで、 このうちディーゼル車が約41万トンと全体の75%を占めた。 ディーゼル燃料の普通貨物車やバスが1キロ走るごとに排出する窒素酸化物はガソリンを燃料とする乗用車に比べて20倍以上だった。
(毎日新聞 1998年3月26日付)
http://www2.odn.ne.jp/~aab20470/dpf/nai9805.html
For Uniqueness support
VS N/Lディーゼル規制始まった.
ディーゼル規制は乗用車と除いたもので、さらに7年経過したものしか適応されない。
毎日新聞10月1日] ( 2003-10-01-11:16 )
東京、千葉、埼玉、神奈川の1都3県で1日、ディーゼル車の排ガス規制が始まった。(省略)4都県の規制は、新車登録から7年を経たディーゼル車(乗用車を除く)が対象で、PM減少装置を装着していない車両は4都県への乗り入れや走行を禁止している。しかし、高額な装置を付けられない零細業者を中心に、対応が遅れている。【奥村隆】
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/888090/83f83B815b835b838b-0-2.html
VS ディーゼルシフト
Same source(毎日新聞)
同一グレードの乗用車ではガソリン車のほうが燃費が優れている状況にある。燃料価格差は依然あるものの、総合的にはユーザーがディーゼル車を購入するメリットはほとんどない。
Same source(毎日新聞)
しかし、ディーゼル車の大気尾環境への悪影響がクローズアップされたことが契機となり、都市部において、NOxPM法や東京都条例等でディーゼル車に関わる規制強化が実施されることとなった。こののため、2002年5月、トヨタ、日産が新車へのディーゼル設定を見送るなど国内向けディーゼル乗用車事業を縮小するにいたった。
炭素税 デメリット×4
デメリット:自動車産業への打撃
A) 肯定側は炭素税を導入することにより、ガソリン価格を上げます。
B) ガソリン価格が上昇すると、自動車の販売台数が大幅に低下します。
昭和58年度の年次世界経済報告によると、
「耐久財のx風疹となる乗用車販売をみると、82年は、金利が高かったことに加え、ガソリン価格が急増したこともあり前年比25.7%減と大幅に減少している。」とのことです。
(http://wp.cao.go.jp/zenbun/sekai/wp-we83/wp-we83-s0011.html)
C) 自動車産業へのダメージは、日本経済にとって大きな打撃となります。
政治コラムニストの伊藤春輔氏が2003年4月に述べています。
「不況下の日本経済の中にあって、自動車産業だけが好業績を納めている。日本経済の分析指標が、かろうじて良い数値を残しているのは、自動車産業が好調だからといっても過言ではない。」
(伊藤春輔のコラム21、2003.4.30「自動車産業凋落の兆し」http://column21.hp.infoseek.co.jp/dailycolumn/20030430.html)
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デメリット:炭素リーケージ
A) プランは、日本国内のみで、炭素税を導入します。
B) プランにより、日本以外の国、特に発展途上国において、CO2排出量が増加するという、炭素リーケージの問題が発生します。
横浜公立大学の藤川学氏が、2001年に述べています。
「地球温暖化防止会議で先進国等における温室効果ガスの排出削減目標の数値目標が設定されたが、この達成にむけて先進国が対策を講じた場合、先進国において相当量の排出削減効果を生じると同時に、途上国のCO2排出量が増加するという影響が指摘されている。これをカーボン・リーケージ(炭素の漏れ)と呼んでいる。その理由としては、?エネルギー集約的な製品の生産拠点の対策を講じていない地域への移転や、?対策を講じた地域におけるエネルギー需要の減少に呼応した化石燃料の価格低下によって引き起こされる非抑圧地域におけるエネルギー消費量の拡大、?交易条件の変化によって引き起こされる各地域の所得、エネルギー需要変化等が指摘されている。」
(横浜国立大学大学院、国際社会科学研究科博士論文「フィリピン経済の構造変化と環境負荷─環境分析用産業連関によるアプローチ─」http://www.igss.ynu.ac.jp/thesis/2001/39.htm)
C) 炭素リーケージの問題は深刻です。
1) 炭素リーケージにより、日本国内でCO2の削減が出来たとしても、その分以上に途上国でのCO2排出量が増加してしまうため、世界全体のCO2量は却って増加してしまいます。
2) 途上国でのCO2排出量が増加するということは、とりもなおさず、途上国での環境汚染がより深刻化するということも意味します。途上国においては、日本と異なり公害対策も進んでいないため、影響はより深刻です。
3) 途上国での経済活動が活発化する分、日本国内の産業は停滞します。従って、日本国内での失業が増加し、生活苦や自殺等の影響が発生します。
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デメリット:エコファシズム
A) エコファシズムへのリンク
1) 「環境保護」は、潜在的にファシズムの方向性を持つ。
日本学術会議地理学研究連絡委員会2000年3月27日(「環境問題についての地理学からの提言」http://www.scj.go.jp/kennkyuusya_saronn_r/17htm/17_26.html)
「ベルク(1996)は『20世紀は環境と理性とヒューマニズムの複合的な世紀であるのかもしれない。近代の築き上げた世界はもはやあまり将来に見込みのないものとなっている。』と、近代化の限界について論じたあとで、エコロジーについても、『生態学的な全体論(ホーリズム)は見てのとおり人間主体の問題を抹消してしまう。』と、環境保護運動(エコロジー)が『ファシズムの命題に行き着く』危険を指摘している。」
2) 「未来世代への配慮」の名のもとに、ファシズムが行われる。
鷲田豊明2000年12月(豊橋創造大学経営情報学部享受「開発環境と市民社会」http://washida.net/genko/kaihatsu.html)
「将来世代に対する配慮を個人の意思から離れて社会として行うということはもちろんだが、それぞれの個人に将来世代に対する配慮を強制することも環境自由主義とは両立しない。たとえば、将来世代の環境に決定的なダメージを与える決定を現在世代の多数者の意思として行うことはゆるされるだろうか。環境自由主義の立場からすればそれは許される。それが許されないとするような考えはエコ・ファシズムということになってしまうだろう。なぜなら、それは多数者の意思を踏みにじることになるからである。」
B) エコファシズムのインパクト
1) 環境の名のもとに、個人の尊厳に基づく自由や権利を抑圧すべきでない。
碓井敏正(京都橘女子大学「正義論からみた地球環境問題」)
「もともと快適な環境を維持することは、個人の自由や自己実現の条件を保障するところにあるはずである。その意味では、環境の名によって人類が歴史的に勝ち取ってきた個人の尊厳に基づく自由や権利を抑圧するならば、本末転倒と言わざるを得ない。」
(http://www.jsa.gr.jp/05event/jaces-usui2.pdf)
2) 人間が攻撃的になり、大虐殺が起こる。
三好良一1999(オイスカ(国際協力NGO)クアルランプール事務所代表「ローカルジャパニーズの暇つぶし(日馬プレス(マレーシア情報誌)より)」http://www.oisca-malaysia.com/mrmiyoshi/localjapanesenohimatubushi/3039localjapanese/32.html)
「講演後にある女性学者が話し掛けてきて、近年のアメリカでの嫌煙運動の高まりと、凶悪犯罪の増加がリンクしているデータがあると言うのです。これはタバコが吸えなくてイライラした人たちが暴れるという単純な話ではないし、ヘビー・スモーカーである私自身の弁護をするために、この話題を取り上げるわけではありません。このエピソードはもっと重大なことを意味しているのです。つまり、例えば嫌煙運動のような「正義」という建て前が力をつけ、社会に重大な影響を及ぼすようになると、抑圧された、人間の情欲に根ざした本音の部分がはけ口を求めて、外部に攻撃性を向けるようになるということなのです。人間には皆情欲がありますが、他の動物と違って知性があるため、規則や法律、道徳などを作って自らを律していますそれでも、情欲という本音にもはけ口を与えてやらないと、精神のバランスが取れないのです。そして、本音を押しつぶした社会は、「正義」の名のもとに残虐なことを平気でやるのは歴史が証明しています。ナチによるユダヤ人虐殺しかり、中国の文化大革命しかり、ポルポトによる大虐殺しかり、スターリンによる大粛清しかりです。(中略)「正義」を振りかざしてあらゆる事に対して「あーしてはいけない、こーしてはいけない」と一方的な価値観を押しつける社会はファシズム以外の何者でもありません。独り善がりになって相手の批判をするだけではなく、お互いの立場に立って、広い視野で物事を考えなければいけないと自戒する次第です。」
3) 一元的思考により、かつての全体主義国家と同じ過ちが繰り返される。
森達也1998(日本育英会検証(Challenge21)佳作論文「連帯のための倫理─グリーン・ポリティックスに向けて─」
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/8075/greenpolitics.html)
「現代世界において、一元思考には限界がある。唯一の「正しい」理想と「正しい」計画が信奉され、その実現に向けて全世界の人が尽力するといったことは実現困難であるし、万一実現したとしてもそれが唯一正しいと保障するものは何もない。むしろそれが誤っていた場合の代償は計り知れないほど大きいのである。そこで既に一元的思考は環境運動を「エコファシズム」の危険に陥れている。自民族中心的な理想や集権的社会計画の失敗がいかに悲惨な状況を生み出すかは、今世紀の全体主義国家の悲劇や共産主義国家における巨大な「実験」の帰結を見れば明らかであろう。」
4) エコファシズムは、弱者切り捨て。
鬼頭秀一(環境倫理学、、「環境の世紀 未来への布石VII〜持続社会の構築に向けて〜」東京大学教養学部前期過程2000年テーマ講義公式サイト、http://www.sanshiro.ne.jp/activity/00/k01/schedule/7_14_6.htm)
「エコファシズムという言葉を使うかどうかは問題があるんですけれど、(中略)その[トップダウンによる問題解決の]時に、誰が決めるのかという問題があって、一つは、丸山先生が言われたように、どちらかというと社会的に優位な人たちの、社会的な排除とか基準で決められる、と言ったときに、現実に社会的弱者のいろんな配慮というものがかなり欠けているのではないかということです。(中略)今言ったように、環境的正義とエコファシズムを絡めて言うと、少なくとも一律的な価値で何かトップダウンでやるということに関しては、色々問題があると思います。」
丸山真人2000年(エントロピー経済学、「環境の世紀 未来への布石VII〜持続社会の構築に向けて〜」東京大学教養学部前期過程2000年テーマ講義公式サイト、http://www.sanshiro.ne.jp/activity/00/k01/schedule/7_14_6.htm)
「つまり、ある環境が非常に悪化している時に、それをきれいにしたい。例えばディーゼルで大気が汚染されているからディーゼルを都心から排除したいというような政策決定がなされたとしますね。そこで、排除しようという時に、誰に一番しわ寄せがくるかというと、零細企業の経営者であったりするわけですよ。それで、トップの企業であれば、ガソリン車に変えるとかいう資本調達はそんなに苦しくないけれども、個人経営の会社ではトラック1台買い替えるのも大変なことです。だけど、買い替えなければ罰則があって、それを守らなければ牢屋に入るという可能性も出てくるわけです。それを元に、フィリピンの場合も、ある環境基準を上からがっと決めて、下に1週間以内にそれを守れと、で守れない人はこの土地から排除しますと。そういうことになると、結局貧しいもの、弱いものに一番しわ寄せが来るという問題があって、それを僕はエコファシズムの限界というふうに言っているわけです。それが、トップダウンの限界じゃないかと考えているわけです。」
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DA: 中小企業の倒産 (日本語)
a) 現在、炭素税は導入されていない。 Cross apply case side.
b) 税導入は中小企業を圧迫する。Empirically proven in the case of 消費税。
上坂昇(中小企業局長) / 1989.8 / 月刊社会党 No.405 / 日本社会党中央理論誌 / p.68,69
Q) 常に設備資金にしてもなんにしても、運転資金に不足を感じている人たちなんです。だからお客から預かった消費税の分は、現実に目の前に金があれば、これを運転資金に回さざるを得ない状況にあるのが実態である。そうすると9月になったときには、それをまとめて払わなくてはならない。だからそのときにはもらった消費税の金は、無いわけです。そうすると今度は銀行などの金融機関から借りて、税務署に納めるという形になっていく。そうすると、金利はこれからずっと1%なり2%なり夏に向けて上がっていく。そして9月の時点では金利の高いものを借りて払わなくてはならないから、金利分だけでも大変な負担が生じる。こういう風にみなければいけない。これは中小企業の経営をますます圧迫するものである。 (UQ
c) その結果、中小企業の倒産と失業が激増する。
笠木たかし(日本共産党) / 2002.11.1
Q) 中小企業への貸し渋り、貸しはがし、金利の引き上げなど猛烈に進められています。その結果、引き起こされるのは、「不良債権処理」の名による中小企業を中心に倒産が激増し、そして、職を失う人が多数作り出されます。UFJ総合研究所は165万人、日本総合研究所は332万人の離職者が出ると試算しています。景気はいっそう冷え込む、「試されずみの過ち」の再来です。 (UQ
http://www.kasaki.gr.jp/politic/pltc/kurasi/keiki.html
For 2AC
N/UQ 今でも失業者はたくさんいる。
毎日新聞社 / 2003.7.29
Q) 総務省が29日午前発表した労働力調査結果によると、6月の完全失業率は前月より0.1ポイント改善し、5.3%となった。 (Omit) 完全失業者数は前年同月比7万人減の361万人と4ヶ月ぶりに減少した。 (UQ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030729-00003009-mai-soci
N/Link 日本では炭素税導入で失業問題は起こりえない
佐和隆光 / 1997 / 京都大学経済研究所所長・大学院エネルギー科学研究科教授
Q) 結局、炭素税のどこが問題なのかというと、産業をウィナー(得するもの)とルーザー(損するもの)に分かつ点である。概して言えば、炭素集約度の高い産業はルーザー、炭素集約度の低い産業と省エネルギー、新エネルギー関連の製品を生産する産業はウィナーとなる。幸か不幸か、日本には化石燃料の生産者が不在のため、ビッグ・ルーザーはいないだろうし、またそれに伴う失業問題を懸念する必要もない。 (UQ
/岩波新書529 地球温暖化を防ぐP204/
N/Imp 炭素税導入による経済への悪影響はない。
佐和隆光 / 1997 / 京都大学経済研究所所長・大学院エネルギー科学研究科教授/
Q) 結局、閉鎖経済における炭素税の影響は、税導入により損失を被る業界と利益を得る業界とが併存するという点に尽きる。大まかに言えば、炭素集約度の高い(化石燃料消費型の)は全体として損失を被り、省エネルギーに資する設備や機械、再生可能エネルギー利用設備等を製造する産業は全体として利益を得る。既述のとおり、それらを総合したマクロ経済への影響について確たることは何も言えないが、プラスの効果とマイナスの効果が相殺し合う結果は、ほぼゼロと見て差し支えあるまい。 (UQ
/岩波新書529 地球温暖化を防ぐP157,158/
T/ 環境対策は技術革新を引き起こす。
エコノミスト コラム / 1996.10.8 / 毎日新聞社 / p.49
Q) 環境派が押し切った自動車排ガス規制の強化では、主張されたマクロ経済上の悪影響はまったく表れず、むしろ逆に、技術革新を成し遂げた結果、燃費に優れ、排ガスが抑制された日本車は世界市場を席巻していった。反対に、排ガス規制の本家の米国も、また欧州も、自動車産業界の攻勢に屈して規制強化を断念したので、技術革新に大きく遅れを取った。 (UQ
For 2NC
( ) 税導入は国民・企業に悪影響を及ぼす。
魚谷増男 / 2002.3 / 平成法政研究 / 平成国際大学法政学会 / 第6巻 第2号 /p.14,15
Q) 汚染物質を排出する企業又は商品に税・課徴金を課することについては、結果的に商品の価格を上昇させることになり、税負担の不公平、物価上昇・商品購入の減少、経済成長・雇用への悪影響、国際競争力の低下など国民経済に多大の影響を及ぼすこと、さらに地球温暖化防止対策としての効果への疑問があると反対する意見が経済界では強い。特にエネルギー多消費型の企業には反対意見が強い。 (UQ
( ) 税導入は低所得者の大きな負担となる。
大河原健(アーサーアンダーセンパートナー)、須藤一郎(アーサーアンダーセンシニアマネージャー) / 2002.10 / 国際税務 vol.20 / 国際税務研究会 / p.28
Q) 温暖化税対策は、どの段階で課税されようとも、最終消費財・サービスの価格に転嫁され、最終消費者が負担することになる。したがって、水平的公平性は保たれるが、垂直的公平性の点で問題が生じることとなる。すなわち、生活必需品の価格に温暖化対策税が転嫁されれば、低所得層の負担は増加するという不公平感が生じる可能性がある。これは消費税導入時の議論と同様の議論である。 (UQ
( ) 実際に、現在の平成大不況は消費税導入が原因。
太田清久(工学博士) / 1994.2.1 / 平成大不況と消費税 / こうの出版企画 / p.52,53,54
Q) 実質民間投資はバブルの崩壊前の1989年から減り始めている。これは製造業の売上高に対する経常利益率と良く連動している。一般的な製造業においては利益率は5%前後である。単純に考えると、消費税導入後は2%の利益しか残らないことになる。実際には企業は消費税を消費者に転嫁するから、これほどは利益率は減らない。その分物価が上がることになる。しかし1992年には2%ほどに落ち本格的な不況がやってきた。 (UQ
( ) 税導入は中小企業の不安を引き起こす。 It’s empirically proven in the case of 消費税。
山口鶴男(書記長) / 1989.5 / 月刊社会党 No.402 / 日本社会党中央理論誌 / p.171,172
Q) また、独禁法や下請法によって買いたたきを防止するというが、大企業の下請け・納入業者いじめは、キヨスクの納入業者に対する価格維持の強要というようなことが伝えられるように、陰に陽に行なわれていくことは確実である。この点からも、中小商工業者の価格転嫁に対する不安が増大している。 (UQ
( ) 中小企業は現在の融資制度に不満を持っている。 Actual voice is here.
民主党中小企業アンケート調査結果 / 2003.1
Q) このたび、民主党は、所属議員全員の協力を得て、地元中小企業の実態を調査するアンケートを実施した。 (Omit)
質問: 融資に関して、政府に取り組んでほしいことはございますか?
例: 都銀・地銀は、中小企業向け融資は消極的であり、中小企業金融公庫・商工中金、国金等に融資支援をその分拡大してほしい。
: 様々な中小企業対策資金があるが、運用は各銀行に任されているため実際には活用されていない資金もある。
: 銀行の貸し渋りのために経営者が高利の町金融に手を出してしまい経営が悪循環となる挙句の果て自殺となる。 (UQ
http://www.dpj.or.jp/seisaku/sangyo/image/enquet.pdf
( ) 実際に消費税増税で多数の中小企業が倒産した。
広島西部民主商工会 / 1999.10
Q) 1997年4月、消費税率が5%に引き上げられ、現在までその影響が続き、1999年10月の中小企業の倒産件数は、前月比27.4%増で1ヶ月の倒産件数としては「10年ぶりの高水準」(東京リサーチ)と発表されています。 (UQ
http://h_seibuminsyou.tripod.co.jp/syouhizei.html
( ) 中小企業によってたくさんの雇用が生まれている。
山田光良(日本商工会議所産業政策部副部長) / 2002.9
Q) デフレ経済が進んでいる中で、中小企業は相当疲弊しています。倒産件数も増えてきていますし、赤字企業の比率も、現在70%ぐらいあります。中小企業の体力が非常に弱っているのが現状です。 (Omit) 日本の企業の中で中小企業の割合は、数で言えば99.7%、雇用(従業員数)でいえば7割です。そういう中小企業が日本各地にあることによってその地方の経済を支えているわけです。 (UQ
http://www.kokuminrengo.net/2002/200209-small.htm
( ) 失業者は自殺する。
熊本日日新聞 / 2003.5.29
Q) 特に若者の適切なキャリア形成を阻みかねない高失業率は、経済社会の活力を削ぐ水準といっても過言ではない。 (Omit) 同時に気がかりなのが自殺者の急増。昨年の自殺者数は前年より1,100人余増えて32,143人。三万人超は1998年以来、五年連続だが、昨年は「生活苦」の自殺者が約千人増え、7,940人。うち6割は50代以上の中高年だった。 (UQ
http://www.kumanichi.co.jp/iken/iken20030730.html#20030730_0000003918
( ) 中小企業経営者も自殺する。 It’s statistically proven.
民主党中小企業アンケート調査結果 / 2003.1
Q) 最後に、やはり今回の調査の中で、一番ショッキングな結果は、借金苦による自殺についての質問だろう。今回アンケートの対象となった中小企業経営者の実に約3分の1に当たる方々が、身近な知り合いや、友人などで、借金苦を理由に自殺した人が“いる”と回答している。 (UQ
http://www.dpj.or.jp/seisaku/sangyo/image/enquet.pdf
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DA 低所得者の負担
a)炭素税は低所得者により負担をかけます。
1統計的に日本で炭素税をかけると低所得者に負担になります。
石弘光教授1999/
Q)図5・2に、「家計調査年報」を用いて、年間収入に対する炭素排出量と関連する消費支出(つまり光熱費、交通費)の割合が、10分位所得階層に応じて描かれている。明らかに、これらの割合は所得水準が高くなるにつれ、低下傾向を示している。もし、新たに炭素税が導入されるとするなら、その課税ベースは家計におけるこの種の消費支出となる。税率は比例的になるはずだから、炭素税の税負担は低所得者ほど重くなり、逆進的なものとならざるを得ない。
)引用終わり/「環境税とは何か」 岩波書店/p168
2さらに長期的にも低所得者を不利にします。なぜなら低所得者は新しい製品を買うなどしてCO2排出量をさげることができないからです。
OECDは2002年にこう述べています。
Q)環境の改善(健康上の便益、不動産価格の上昇、生活水準向上など)という観点から見た場合の成果もまた、グループ間では公平に分配されない。(省略)通常、富裕層の受ける便益は、貧困層のそれより大きく、便益が金銭面で測定される場合には、とくにそうである。なぜなら、改善に対する支払い意欲は低所得者より高所得者のほうが強いからである。環境保護措置は、低所得者に不利な影響をあたえてしまうことさえありうる。)引用終わり/環境関連税制 有斐閣P32/
b)このような政策は許されません。政府は国民にサービスを提供するからこそ税金を徴収できるのです。低所得者に一方的に負担だけをかけることはゆるされません。
国民生活金融公庫総裁の尾崎護氏は2001年にこう言っています。
Q)前述したとおり、国は国民に対し種々様々の公共サービスを提供することを任務としますが、そのためには自らが財貨やサービスを購入する必要があります。その際必要となる資金は、大部分が税として国民から徴収されます。国は税を財源として国民に公共サービスを提供するのですから、税という国民の負担は公共サービスの受益として必ず国民のもとに戻ってくることになります。)引用終わり
/税の常識 日本経済新聞社 p13/
炭素税 肯定側立論と関連資料
肯定側立論
論点1 温暖化の現状
1 現在温暖化が進み深刻な社会問題を引き起こしつつあります。
国立環境研究所研究員亀山は2002年にこう説明しています。
Q)温室効果ガスには、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(NO2)などいくつかあるが、とりわけ問題とされているのが人間活動の結果生じるCO2である。(省略)
今から200年前と比べると、現在の地球の平均気温はすでに0.6℃ほど上昇している。何も対策をとらないでおくと、今後100年間にさらに約1.4〜5.8℃上昇すると予想されている。地球が温暖化すると、世界各国で気温の大きな変動が起こるだけでなく、降水パターンを変化させ、最終的には生態系への影響や異常気象の多発、食料生産への影響、海面上昇による沿岸地域への影響が懸念さされている。(IPCC2001))引用終り
/「地球環境問題とグローバル・コミュニティ」 岩波書店 p210/
2温度上昇が気候変動を引き起こします。まず、海流が変化します。
2002年、国立環境研究所の森田氏のよりますと。
Q)地球気候モデルを用いた実験によれば、70年後に大気中の二酸化炭素が倍増した場合、熱塩循環は30%減少するが、そこで二酸化炭素の大気中濃度を安定化させることができれば、500年かけて元へもどることができるそうである。しかし、もしそのまま、温暖化が進行し続けるとすれば、140年後には大循環全体が完全に停止してしまうという結果が得られている。)引用終り/地球環境戦略研究機関の天野氏/「地球環境問題とグローバル・コミュニティ」 岩波書店 p16/
海流の変化がさらに急激な温度変化を引き起こします。
同じ本で説明しています。
Q)もう1つの研究は、先にも述べた熱塩循環の停止と言った現象が、短期的に急激な気候変動を引き起こす引き金になるかもしれないというものである。最近発表された全米アカデミーの報告書によれば、大規模かつ急激な気候変動は、大規模な外部作用がなくても、緩慢な外部作用が継続して気候システムを閾値の外へ押しやる場合に生じ得ることが明らかにされている。(省略)最終氷期(現在の温暖期に先立つ最後の氷期で、約6000年前に終ったとされる)への入り口と出口で、16℃に及ぶ地域的温暖化が起こっており、最終氷期以来、北大西洋で起こった温暖化の半分は、10年間という短い間に、地球の広範囲に渡る気候変動と同時に起こっている。)引用終り
/「地球環境問題とグローバル・コミュニティ」 岩波書店 p17/
論点2 日本の対策は不十分です。
1 日本のCO2排出量は増加しており、京都議定書をまもることができません。
炭素税研究会の2002年の報告によりますと
‘02/ 2002/MARCH/
http://www5b.biglobe.ne.jp/~change-c/pdf/CarbontaxS.pdf
Q) 日本の CO2の排出量は削減どころか、2000 年度では 90 年のレベルから約 1 割も増加しています。今の政府の政策だけでは温室効果ガスの削減に不十分であることは明らかです。)引用終り
2 1つ目の原因は人々の関心が温暖化に向いていないことです。
一橋大学の石弘光教授はこう述べています。
Q)「環境基本計画第一回点検における国の取り組み状況調査(1996年)」の結果を見ると、環境施策の分野別では廃棄物リサイクル対策に、人々は比較的取り組んだ事例が多い。しかし、これに反して、CO2削減のために生活様式にまで踏み込んだ独自の対策を、家計は採っていない。前者は我々の日常生活において、その対策の成果が目に見えるだけに人々の関心は高く協力的だが、後者は直接に時間できない将来の環境問題だけに現実にそれほど深刻な被害意識がない。それだけにそれほど真剣に取り組めないということであろう。)引用終り。
/「環境税とは何か」 岩波書店 p64/
3 2つめの原因は企業も取り組みが遅れていることです。
石教授は環境庁の「環境にやさしい企業行動調査」をこう分析しています。
Q)1999年度の調査結果のうち、「地球温暖化防止策について」のアンケートに対する回答から、次のような興味ある事実を観察できる(上場企業のみ)。 (省略)
この結果から(3)「実際の取り組みを行っていない」と(2)の「具体的な取り組みを行っていない」を合計すると49.3%となり、現段階においてなお、該当する企業の2分の1に自主的取り組みを期待できそうにない。)引用終り
/「環境税とは何か」 岩波書店 p56〜57/
その理由はまだ環境技術の費用が高くメリットが少ないからです。。
OECDはこう説明しています。
Q)京都議定書の目標を満たすのに必要な絵ねえルギー技術は、現在ほとんど「出そろっている」が、コストが比較的高いために普及が問題となっている。)引用終り
/OECD環境白書 中央経済社 p228/
4 加えて日本の行動は重要です。発展途上国が日本のアクションを望んでいます。
インドの地球温暖化問題に影響力をもつバウチャリ氏は京都議定書への参加についてこう述べています。
Q)インドをはじめ発展途上国は、米国が反対していることを憂慮している。日本など先進国から技術支援などが得られるようなら参加の準備はできている」)引用終り
朝日新聞 朝刊 全国版2001年6月22日 14版
以上の問題を解決するために以下の政策を提案します。
日本政府は炭素税を導入します。
1、 炭素1Tにつき、最終的に30000円の炭素税を5年かけて段階的に導入します。
2、 エネルギー使用目的で輸入されたすべての化石燃料に、輸入段階で課税します、
3、 税収は年金、健康保険などの企業の社会保障の負担の軽減に当てます。
論点3 炭素税により、温暖化を防ぎます。
1炭素税は税金として人々の生活に直接影響します。よって温暖化を身近に意識するようになります。このことは半透明のゴミ袋の導入で証明されています。
作新大学教授の和田は2002年によりますと。
Q)有料化の導入を行わない、各家庭にとって実質負担にならないケースでもゴミの減量が生じている事例がある。川口市では、平成7年の4月より、ごみの収集に半透明袋を導入しており、同年8月までの実績がほうこくされている。これに@よると、前年同期間比で、ごみの排出量は約4200トン減少している。)引用終り
2エネルギー技術も普及します。なぜならエネルギーの価格が上昇し、省エネルギーのメリットが増すからです。
石教授はスウェーデンの事例を紹介しています。
Q)各分野ごとに目を転じると、地域暖房がCO2排出量の削減のうち約3分の1をしめ、最も寄与していることが分かる。この主たる原因は、地域暖房が炭素税の導入に敏感に反応し、その燃料構造が大幅に変化したことによる。つまり地域暖房に必要な電力生産は大幅に増加したものの、その増産部分の一部が非課税の燃料を利用して行われるようになった。CO2排出量も、27.7%減少している。)引用終り。
3 よって結果的に大幅な二酸化炭素を削減できます。
福井大学の岡助教授は1997年に環境庁地球温暖化経済システム検討会のモデル計算を紹介しています。
Q)それによると、炭素1トン当たり30000円の炭素税に主観的な投資回収期間の短縮を促進する政策を組み合わせると、2000年でCO2排出量を1990年レベルに安定化させることが可能である。)引用終り
/「環境政策の経済学」 日本評論社 p100/
4 さらに日本の政策は発展途上国に影響をおよぼすことができます。
/電力中央研究所の杉山は2002年にこう述べています。
Qはじめに先進国で SOX 対策が実施されるときには,政策当局も産業もどうしてよいかなかなかわからず,また,そのコストも莫大なものになり,誰がどうするかという調整もなかなかつかなかった.果たして国民経済に大きな打撃を与えるかどうかも未知だった.日本を始めとした先進国が大幅な排出削減に成功し,それでも順調な経済成長を遂げていることを目のあたりにしたことで,途上国は環境対策に踏み切ることができた。
/大志/電力中央研究所 社会経済研究所研究員[日工フォーラム社 「月刊エネルギー」 2002 年 8 月号(ドラフト)より]http://www.climate-experts.info/Sugiyama_08.html
5 よって温暖化の緩和し、気候変動のリスクを下げることができます。論点1の2つめの資料を参照して下さい。
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以下補足用エビデンス
Case Solvency のエビ
伴金美1998年3月(大阪大学大学院経済研究科「炭素税導入のシナリオ分析」(「経済分析」収録)http://ban.econ.osaka-u.ac.jp/kban/doc/gtap-env9803.pdf)
「化石燃料の価格上昇は、技術の採用にも大きな影響を及ぼす。すなわち、課税によって化石燃料の値段が上昇すれば、それまで採算がとれなかった技術が復活する可能性が高くなる。」
松島憲之2002年11月30日(日興ソロモン・スミス・バーニー証券会社株式調査部マネジング・ディレクター「日本経済再生のモデルとなる自動車業界」http://www.nikkei-ir.com/features/investor/no9report/1130a/5.html)
「先ほど協調したように、いちばんいいパターンというのが、環境にいい車を普及させることです。環境にいい車にはたくさんの新しい技術要素が詰まってきています。それによって経済の波及効果が多く見られるようになります。ただ、いま家に車があるわけですから、単純に車を買い替えましょうといっても誰も替えません。環境にいい車を買った人に対して現在、安い税金にして良い車を普及させれば経済波及効果も非常に大きくなると考えていいと思います。」
肯定側エビデンス
__)炭素税導入の際に社会保険料などを軽減する措置は、一般的に採られている。
炭素税研究会2002年12月14日(「地球温暖化対策推進のための『炭素税』の早期導入に向けた制度設計提案Ver.4」http://www.jacses.org/paco/carbon/carbontax_ver4.pdf)
「既に炭素税を含めた様々な環境税が導入されている欧州諸国においては、その導入に際し、所得税などの減税や社会保険料などの軽減といった措置が同時にとられ、税収中立的な税財政改革が行われることが多い。この背景には、環境破壊などの社会的に問題を発生させている行為(バッズ)に対して課税を強化しそのような行為の縮小を促し、社会的意義の高い労働などの行為(グッズ)に課されている税を軽減することでそうした行為を奨励する「バッズ課税・グッズ減税」という理念がある。」
__)プランはむしろ逆進性を解消する。
炭素税研究会2002年12月14日(「地球温暖化対策推進のための『炭素税』の早期導入に向けた制度設計提案Ver.4」http://www.jacses.org/paco/carbon/carbontax_ver4.pdf)
「だが、炭素税課税と同時に、消費者に一人あたり均等な形で減税や保険料の減額を行い、エネルギー消費の少ない人はかえって負担減となるような税収中立が他の制度設計とすれば、消費生活に過度の負担を強いることなく、CO2排出の少ないライフスタイルへの転換を促し、持続可能で豊かな暮らしを奨励・誘導することができる。また、炭素税それ自体は逆進性という側面を有しているが、そうした税収中立型の制度設計により、低所得者に着いては負担増となるどころかかえって負担減とすることができる。」
その他肯定側関連エビデンス
__日本の従来の産業は衰退しています。
福島洋 経済産業省産業技術環境局は2003年にこう言っています。
Q)1980年代に国際競争力を確立した我が国産業は、現在低コスト競争において、アジアを中心とした新進工業国との熾烈な国際競争力にさらされ、日本が競争優位にあった高度な生産技術は、多くの分野で1990年代に欧米先進国等に追随され、差別化・高付加価値化強壮において厳しい環境におかれている。)UQ
/環境管理/Vol 39 No.1 2003/p43/
OECD2002
Q)第4に、もし、産業部門が保護されており、早期にクリーンな生産技術に移行するための措置が今すぐとられない場合には、経済の競争力がより大きな脅威にさらされる可能性がある。将来、環境破壊が深刻になると評価されたときに必要とされる事業活動の変化が劇的に大きくなる場合、その移行過程が遅れると、調整を行うための費用はきわめて高くなるだろう。)UQ
/環境関連税制/有斐閣 p116/
__段階的導入で負担回避できる。
OECD2002
Q)税の漸進的な導入は、費用に対する直接的影響を緩和する方法であり、企業が税を回避するために実施する生産調整計画に時を貸すものである。ドイツの電力税は、1MWh当たり20DMの税率で導入され、2000年から2003年までの期間に毎年1MWh当たり5DMずつ引き上げられる。)UQ
/環境関連税制/有斐閣 p112/
ナチュラルステップ・ジャパン高見、羽田野2001年/幸子・裕治
Q)注目に値することは、日本を除いて、環境先進国といわれるドイツ、スウェーデン、デンマークはいずれも近年高い経済成長を達成している。特にデンマークは3%以上の驚くほど高い経済成長率を維持し、更に1次エネルギー使用量が減少し、目標である2005年の15%削減に向け着々と進んでいる。)UQ
/日本機械学会誌 2001年10月 Vol.104 No.995/
__低所得者に負担にはならない。
OECD2002
Q)エネルギー税が逆進性をもつ傾向があるという、いくつかの証拠はあるが、多くの場合、逆進性の程度は小さい。実証的な結果の示すところでは、エネルギー課税はデンマーク、アイルランド、および英国で逆進的であり、他方、スペインとイタリアでは、累進的である。)UQ
/環境関連税制/有斐閣 p125/
__逆に低所得者の利益のほうが大きい。
OECD2002
Q)しかし、ドイツについてはLuhmann et al.[1998]が、次のように結論している。ベルリンでは、低所得層の人々があらゆる種類の排出から最も影響をこうむっており、したがって、排出削減で最も利益を得るのは、このグループだというのである。同様の結果が。OECD諸国の他の主要都市でも得られそうである。)UQ
/環境関連税制/有斐閣 p128/
__日本は最新の技術を保有している。例えばナノテク。
大阪大学教授 川合2002年/知二
Q)太陽電池のエネルギー変換効率の向上も、カギを握るのはナノテクだ。(中略)表面をナノレベルで加工すれば、反射を減らして発電に使える光の量を増やせる。また、ナノ粒子を利用した新しい太陽電池も開発されつつある。
こうしたナノレベルの加工を大きなものに施すことが可能になっている。三菱重工業は半導体製造や特殊ガラスの加工に使われているスパッター技術で太陽電池の薄膜を製造している。大量生産によって大幅なコストダウンが見込めるくらい、ナノ加工技術は急激に進歩している。)UQ
/日経ビジネス2002年11月 環境サミット特別編集版 p48,49/
__不況の時にはかえって景気を下支えする。
環境白書2002
Q)さらに、過去の不況期における公害対策による経済影響の分析を振り返ると、平成4年版環境白書では「高度経済成長時代のように生産力増強投資に邁進していた時期ならばともかく、公害防止投資のピークと重なる石油危機後の不況期についていえば、公害防止投資の実施が停滞していた需要を喚起し、設備投資や雇用をある程度下支えする役割を果たしていたと考えられる」としています。)UQ
/環境白書 平成14年版 p83/
__環境問題は紛争を引き起こします。
環境白書2002
Q)このように、環境問題を原因として発生する人口の移動を始め、酸性雨や国際河川の汚染等の国境を越える環境問題が国際社会における不安定さ増す要因になる事例が数多く見受けられます。
例えば、環境問題が地域紛争の発生を助長した場合として、1977年〜1978年のソマリア・エチオピア紛争のように、環境破壊によって放牧民の行動半径が狭まり、その結果、土地や水をめぐる農民との紛争が激化したことが衝突の一因となった事例や、インドネシアでエルニーニョがもたらした森林火災や異常気象により食料生産の甚大な被害が生じ経済的な混乱につながった事例をあげることができます。)UQ
/環境白書 平成14年版 p84/
__環境ビジネスは雇用を生み出します。
環境白書2002
Q)次に、各国の環境対策による雇用の創出に係わる状況をみると、ドイツでは、2000年の環境白書において、環境分野における雇用規模が約130万人(機械製造の約115万人、食品関連産業の約100万人を上回る)に達していることが明らかにされており、その増加要因として省エネルギー規制、建築物の断熱化プログラム、再生可能エネルギー促進等の政府の施策が契機になっていると分析しています。)UQ
/環境白書 平成14年版 p77/
三菱総研 牧野昇1998年
ソーラー発電の場合は、まだしもだが、風力発電などの普及状況を比べてみれば日本の遅れが目につく。特に風力発電での開発普及状況にいたっては、米国やドイツの1%以下、人口500万人のデンマークの2%に足らず、さらにインド、中国にもはるかに及ばない。)UQ
/環境ビッグビジネス PHP研究所 p64〜66/
__経済界は賛成
経済同友会代表幹事小林陽太郎2002
また、経済同友会としては結論を出していないのですが、内部の委員会での議論では環境税を是とする方向で話をしています。
新たに環境税をとられたのでは、競争力が低下するという声もあります。しかし、先ほども言いましたように、環境問題などに取り組むことは新しい企業品質を生み出して行くことにつながるのだと前向きに考えなくてはなりません。)UQ
/日経ビジネス2002年11月 環境サミット特別編集版 p27/
__スウェーデンの場合も段階的に炭素税を導入しています。
石弘光教授1999年
Q)当初炭素税の税率は、CO2トン当たり250スウェーデンクローネであったが、1993年に320クローネに引き上げられ、その後税率はインフレに応じて上昇することとされた。1997年には、EU加盟に伴う歳入増の必要性からインフレ率よりも税率よりも税率は引き上げられ、380クローネ(約2万2500円)にまでなっている。)UQ
/「環境勢とはなにか」 岩波新書 p156/
__環境技術の例
読売新聞2002.04.05/朝刊p11
ところが、NKKは、高価なコークスの代わりに、炭素と水素の結合物であるプラスチックを用い、水(H2O)とCO2の形にして酸素を分離する方法を開発して特許を取り、日本で初めて実用化に成功した。
この手法により、本業で還元剤のコストを節減できるばかりか、同量の鉄を作るのに二酸化炭素の排出量が約三分の一に抑制でき、温暖化防止にも貢献できることになった。
2010年02月17日
炭素税関連資料(5)
___. 地球全体主義が必要。
須藤自由児1998(松山東雲女子大学人文学部教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ p.163)
「そもそも自然破壊の、あるいは環境危機の原因は何であろうか。加藤尚武『環境倫理学のすすめ』([1991]丸善ライブラリー)は、近代以降の自由主義に支えられた産業の発展、経済成長が環境危機の原因だという(これは多くの論者と一致する)」。そして、地球・環境が有限であることがはっきりした現在、世界の欲望の「総量」を規制する「地球全体主義」への移行が必要だと説いている。彼は、国際関係においては、国家間で資源を公正に配分し直す必要を認める。」
___. 自由の制限なしには、環境問題の解決はあり得ない。
本田裕志1998(龍谷大学文学部助教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ p.187)
「今日の環境問題は、現代社会のもつ構造的な問題点に由来している。それは「自由」、とりわけモノやサービス・情報の消費における自由のあり方である。この問題点を直視し、かつ改める決断なしには、環境問題の解決も、生態系の保存も、人類の存続もありえないという瀬戸際に、私たちは追い込まれているのである。」
___. 個人の自由には、それに相応する責任が伴う。
本田裕志1998(龍谷大学文学部助教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ p.188)
「本来、個人の自由にはそれに相応する責任が表裏いったいをなしてともなっている。この責任は各個人に対して、彼とともに社会に属する他の全ての個人の同様な自由と基本的権利を擁護・尊重する必要上、必然的に課せられるものである。ところで、対人的好意における責任は、誰かがそれに悖る(もとる)好意をすれば、それによって侵害を受ける他の個人の抗議・非難・抵抗などを直ちに招くので、比較的自覚されやすい。これに対して、対環境的行為における責任は、それに悖る好意に対して環境そのものが抗議の声を上げることはなく、またそのような行為の対人的影響は間接的で長い時間を経てはじめて顕在化することが多いため、なかなか自覚されにくいという事情がある。その結果、個人の自由を最優先して重視する社会のなかでは、対環境的行為における責任はしばしば軽視される傾向がある。」
___.
本田裕志1998(龍谷大学文学部助教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ p.189)
「しかし現代のいわゆる自由社会においては、さまざまな自由のなかでとくに経済活動の自由(金銭の獲得、物的豊かさの追求、モノやサービスの生産・販売・購入・使用・廃棄などの自由)の著しい偏重がみられる。そしてこの経済的自由、およびそれと分かちがたく結びついた産業社会体制・市場経済体制の円滑な運営と維持発展に第一義的な優先的価値がおかれる一方で、本来の多様な生き方の自由はそれと相容れないものとしてむしろ妨害・圧殺され、価値観や生活様式の画一化・没個性が進行している。その結果、社会の大多数の人々が同じ時期に同じようなものやサービスに価値を見出し、いっせいにそれを求め、購入し、使用し、捨てるといった減少が、各個人の自主的行動としてよりはむしろ産業界や市場関係組織の意図的操作の結果として繰り返されることになる。ここにいわゆる大量生産・大量消費・大量廃棄社会の生じる背景がある。」
___.
本田裕志1998(龍谷大学文学部助教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ p.190)
「私たちはしばしば、自分の日常生活が多くのエネルギー(電気・ガス・石油など)や物的資源(水・木材・金属など)の浪費と、廃棄物(排水・廃棄ガス・生ゴミ・使用済みの使い捨て製品など)の大量排出をともなっていることに気づきながら、「自分ひとりが改めてもどうにもならない」ということを言い訳にして、このような生活をダラダラと続けてしまう。この場合の私たちは、「共有地の悲劇」を生み出す放牧者と同じ行動をとっているのである。このような行動は、地球の資源は私たちの欲しいものを無限に与えてくれ、環境は私たちの生み出す不要物を無限に受け入れてくれるかのような発想に立っており、この発想は、地球人口が少なく産業規模も小さく、技術力も未発達であった近代社会のある時期までは、人間生活の質的向上をもたらすうえで一定の歴史的意義を有していた。しかし、私たちの産業・経済活動の規模と人口とが地球の資源・環境の許容限界に達しようとしている今日、この発想はもはや時代遅れであり、それに基づいた行動・生活を続けることは、自然環境と、現在・未来の全人類および全生物に対する無責任な甘えでしかない。」
___. 同時代の人々に対する責任。
本田裕志1998(龍谷大学文学部助教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ pp.192-193)
「私たちが義務や責任を負う相手はもちろn未来の世代ばかりではなく、むしろ第一義的には同時代の人々こそその相手でなければならない。しかし現代世界においては、世界人口の5分の1から4分の1程度を占めるにすぎない「先進」諸国が、化石燃料その他の資源の消費やCO2などの廃棄物の排出において総量の大部分を占め、その国民、とりわけ都市住民が多様な物的利便を享受し大量のモノやエネルギーを使い捨てる生活を送る一方で、「途上」国民のうちの少なからざる人々は必要最小限の物資(食料・水・燃料など)にもこと欠き、「先進」国民の大量消費がもたらす環境破壊のツケに苦しむ、という不公正が現に存在している。一例をあげると、1991年における年間の国民1人当たりのCO2排出量(炭素換算値)は、アメリカの5.8トンに対してインドは0.2トンと、約30倍もの格差があったという(日本は2.3トンでインドの約11倍。宇沢[1995]74ページ参照)。このような著しい位不公正の存在は、「先進」国民の「途上」国民に対する義務・責任に明らかに悖る事態であるといわねばならない。」
___. ロシアは、京都議定書を批准しない。
日本経済新聞2003年9月27日、1ページ
「都市亜大統領府高官は二十六日、地球温暖化の防止を目指す京都議定書に「経済的な利点が明確にならないかぎり批准しない」方針を明らかにした。(中略)ロシアが、二十九日からの世界気候変動会議で批准に前向きな姿勢を示すとの予想を覆す形で、環境と自国経済を関連づける戦略を打ち出したことにより、議定書の早期発行は困難になりそうだ。」
___. アメリカは、京都議定書が発効しないように、圧力をかけている。
日本経済新聞2003年9月27日、8ページ
「ロシアには外交上の考慮もある。欧州議会のデポー環境委員会副委員長は十九日、モスクワで記者会見し米国の圧力を指摘した。同氏によると、キッシンジャー元米国務長官が今月中旬に訪ロした際、プーチン政権に京都議定書を批准しないよう働きかけた。ロシアの批准で議定書が発効すればそれに反対する米が孤立、ブッシュ政権は打撃を受けるからだという。」
___. 二酸化炭素の影響はUnknown。
伊藤公紀2003(横浜国立大学大学院環境情報研究院教授、「地球温暖化─埋まってきたジグソーパズル(シリーズ地球と人間の環境を考える1)」日本評論社、p.189)
「だけど二酸化炭素がうんと増えたらどうなるかはまだよく分からないんだよ。海に二酸化炭素が溶けてpHが下がるとサンゴ礁がいたむと言っている人もいる。それに二酸化炭素だけが増えるわけじゃないからね。たとえばね、インドやパキスタンの近辺では、まきや石炭・石油を燃やしてできるススや二酸化硫黄や一酸化炭素なんかが大きな環境問題になっているんだよ。スモッグみたいな茶色の雲ができていて気候に影響するとか(七四ページ)、屋内でも空気の汚染のせいで年間一〇〇万人以上の人が亡くなっていると言われている。」
___. 環境問題の解決に、科学技術は無力。
田坂広志1998(多摩大学教授、シンクタンク・ソフィアバンク代表、「風の言葉」http://www.hiroshitasaka.jp/kotoba/pdf/books_01-1-1.pdf)
「しかし、これら地球規模の諸問題の解決は、極めて困難な課題です。そして、その困難さの本質は、これらの諸問題が科学技術の発達のみによっては解決できないという点にあります。一九六〇年代に人類をつきに到達させることを可能にした科学技術も、これらの諸問題の解決においては無力さを露呈しています。「バイオテクノロジーによる食料増産」、「海底資源の採取技術」、「原子力発電によるエネルギーの無限供給」、「グローバル・エンジニアリングによる地球環境の改善」などの“謳い文句”によって解決できるほど、これらの諸問題が簡単な問題でないことに、われわれは気づきつつあります。」
田坂広志1998(多摩大学教授、シンクタンク・ソフィアバンク代表、「風の言葉」http://www.hiroshitasaka.jp/kotoba/pdf/books_01-1-1.pdf)
「例えば、地球温暖化を防止するために、現在、我が国においても二酸化炭素の回収技術の開発が行われています。しかし、この技術により先進国の火力発電所からの二酸化炭素の放出低減を行ったところで、その効果には限界があります。むしろ、こうした“解決策”は、新たにエネルギー・コストの大幅な上昇や大量に発生する回収二酸化炭素の最終処分の問題を生み出すこととなります。環境問題の解決のための技術的努力が、新たな環境問題を生み出す可能性すらあるのです。」
___. カーボン・リーケージN/UQ
藤川学2001(横浜国立大学大学院国際社会科学研究科博士論文「フィリピン経済の
構造変化と環境負荷─環境分析用産業連関表によるアプローチ─」http://www.igss.ynu.ac.jp/thesis/2001/39.htm)
「温暖化ガス排出の基準年(1990年)における日本のCO2排出不可収支を取り上げ、カーボン・リーケージ問題の基礎データの提供を試みた。その結果、1990年における日本のCO2輸入は炭素換算で約1億580万トン、輸出は約4240万トン、収支は約6340万トンとなり、日本の大幅な輸入超であることがわかった。(中略)輸入に係る排出量(つまり、製品等を日本に輸出するために、日本以外の国々で直接・間接に排出された量)を日本の同年の国内排出量で除すると約35%となり無視できない大きさであり、カーボン・リーケージ問題が、将来だけではなく、既に過去あるいは現時点の公益を通じて生じていることを示した。」
___. 一元的思考による環境保護は、エコファシズムを生む。
森達也1998(日本育英会検証(Challenge21)佳作論文「連帯のための倫理─グリーン・ポリティックスに向けて─」http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/8075/greenpolitics.html)
「現代世界において、一元思考には限界がある。唯一の「正しい」理想と「正しい」計画が信奉され、その実現に向けて全世界の人が尽力するといったことは実現困難であるし、万一実現したとしてもそれが唯一正しいと保障するものは何もない。むしろそれが誤っていた場合の代償は計り知れないほど大きいのである。そこで既に一元的思考は環境運動を「エコファシズム」の危険に陥れている。自民族中心的な理想や集権的社会計画の失敗がいかに悲惨な状況を生み出すかは、今世紀の全体主義国家の悲劇や共産主義国家における巨大な「実験」の帰結を見れば明らかであろう。」
___. 多元的思考を導入することにより、エコファシズムの問題を回避できる。
森達也1998(日本育英会検証(Challenge21)佳作論文「連帯のための倫理─グリーン・ポリティックスに向けて─」http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/8075/greenpolitics.html)
「逆に、多元的状況は一方で共同を困難にするが、しかし異なった立場からの批判的吟味が常に可能であり、問題に対する我々の認識をさらに深いものにするのに役立つのである。それゆえ問題に政治的に取り組むにあたって、我々は一方で理想を打ち立てるために対立を克服し多用な意見を総合すべく努力する(それはもちろんある程度において可能であろう)と同時に、他方で異なった信念を持つ人々がうまく協調して実践的活動を行うための指針、すなわち社会倫理について考える必要があるのである。」
森達也1998(日本育英会検証(Challenge21)佳作論文「連帯のための倫理─グリーン・ポリティックスに向けて─」http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/8075/greenpolitics.html)
「環境運動と同じく、現代の社会運動がしばしば暴力をまじえた悲劇を生んできたのはこのような道徳的独断に原因のひとつがあると考えられる。現代社会の多元性に対処しうるのは一元性ではなく、むしろ多元性を許容する包括性であろう。多元性と包括性は相互的関係にある。」
___. 環境保護の名のもとに人間を抑圧すると、人間が攻撃的になる→ファシズム。
三好良一1999(オイスカ(国際協力NGO)クアルランプール事務所代表「ローカルジャパニーズの暇つぶし(日馬プレス(マレーシア情報誌)より)」http://www.oisca-malaysia.com/mrmiyoshi/localjapanesenohimatubushi/3039localjapanese/32.html)
「講演後にある女性学者が話し掛けてきて、近年のアメリカでの嫌煙運動の高まりと、凶悪犯罪の増加がリンクしているデータがあると言うのです。これはタバコが吸えなくてイライラした人たちが暴れるという単純な話ではないし、ヘビー・スモーカーである私自身の弁護をするために、この話題を取り上げるわけではありません。このエピソードはもっと重大なことを意味しているのです。
つまり、例えば嫌煙運動のような「正義」という建て前が力をつけ、社会に重大な影響を及ぼすようになると、抑圧された、人間の情欲に根ざした本音の部分がはけ口を求めて、外部に攻撃性を向けるようになるということなのです。人間には皆情欲がありますが、他の動物と違って知性があるため、規則や法律、道徳などを作って自らを律していますそれでも、情欲という本音にもはけ口を与えてやらないと、精神のバランスが取れないのです。そして、本音を押しつぶした社会は、「正義」の名のもとに残虐なことを平気でやるのは歴史が証明しています。ナチによるユダヤ人虐殺しかり、中国の文化大革命しかり、ポルポトによる大虐殺しかり、スターリンによる大粛清しかりです。(中略)「正義」を振りかざしてあらゆる事に対して「あーしてはいけない、こーしてはいけない」と一方的な価値観を押しつける社会はファシズム以外の何者でもありません。独り善がりになって相手の批判をするだけではなく、お互いの立場に立って、広い視野で物事を考えなければいけないと自戒する次第です。」
___. 石油需要が減退すると、石油価格は下がる。実際の例。
武石礼司2002年10月(富士通総研主任研究員「中東産油国経済の現状と展望」Economic Review 2002.10、http://www.fri.fujitsu.com/open_knlg/review/rev064/review08.pdf)
「2001年9月11日に生じた米国での同時多発テロのため、航空機の運行休止が相次ぎ、石油製品需要が急減した。原油価格もこの需要の落ち込みを反映して下落し、2001年10月以降、ドバイ原油はOPEC諸国の財政の危機ラインとされる1バレル当たり18ドルを下回って、2001年12月半ばには16ドル台まで下落した。」
___. 現在は、石油価格は安定している(UQness)。
武石礼司2002年10月(富士通総研主任研究員「中東産油国経済の現状と展望」Economic Review 2002.10、http://www.fri.fujitsu.com/open_knlg/review/rev064/review08.pdf)
「ただし、その後は、アフガンでの戦争が早期に終了するとの目処が立ったことと米国の景気が底堅いことが判明、イスラエル紛争の緊迫、イラクの石油輸出停止の動き等もあって、原油価格は上層記帳に入った。石油の不需要期である2002年の春先以降は、価格は小幅な上下動を繰り返している状態にある。」
___. 現在のOPECには、石油価格調整能力はない。
武石礼司2002年10月(富士通総研主任研究員「中東産油国経済の現状と展望」Economic Review 2002.10、http://www.fri.fujitsu.com/open_knlg/review/rev064/review08.pdf)
「需要減退が大幅であるときには、居給料の決定において大きな役割を果たしているロシア、ノルウェー、オマーン、メキシコといった諸国の協力と了解なしには、OPECのみの減産宣言が行われても、市場は反応しない場合があることがわかる。」
___. 現在、産油国は資金を必要としているので、減産による価格調整はできない。
武石礼司2002年10月(富士通総研主任研究員「中東産油国経済の現状と展望」Economic Review 2002.10、http://www.fri.fujitsu.com/open_knlg/review/rev064/review08.pdf)
「産油国の歳入は、7割から9割が石油と石油関連製品の輸出が以下によって得られており、一方歳出は、どの産油国においても公務員給与と国防費で過半を占めている。しかも、現在産油国は、第1次及び第2次オイルショックが生じた70年代に急増した資金で建設を行った発電・造水等のインフラ施設が更新期に入っており、インフラの建て直しのために多額の資金が必要となっている。更に追い討ちをかけるように、若年層の急増による人口増大に対処するために、新規のインフラ建設も早急に進める必要がある。」
___. 環境の名のもとに、個人の尊厳に基づく自由や権利を抑圧すべきでない。
碓井敏正(京都橘女子大学「性議論からみた地球環境問題」http://www.jsa.gr.jp/05event/jaces-usui2.pdf)
「もともと快適な環境を維持することは、個人の自由や自己実現の条件を保障するところにあるはずである。その意味では、環境の名によって人類が歴史的にかちとってきた個人の尊厳に基づく自由や権利を抑圧するならば、本末転倒と言わざるを得ない。」
___. 日本の自動車メーカーは、海外での販売比率が高い→国内規制の動向は、あまり自動車メーカーにとって、インセンティブにならない。
Mainichi Interactive 2001年4月25日
(http://www.mainichi.co.jp/life/car/news/200104/25-1.htmlより抜粋)
メーカー 国内生産 国内販売 輸出 海外生産 (総生産) (海外販売比率)
トヨタ 3422314 1774272 1704185 1751389 5173703 67%
日産 1313527 732582 604866 1300421 2613948 73%
ホンダ 1234101 790407 456541 1306949 2541050 69%
三菱 960014 519586 461921 836872 1796886 72%
マツダ 737943 306678 450623 144603 882546 67%
(総生産、海外販売比率は、自分で計算した)
___. 税によるCO2削減は、国民の自由を担保する。
御子柴善之2003(早稲田大学文学部専任講師、「社会倫理としての環境倫理」経済科学研究所紀要 33号pp.98-99(http://www.eco.nihon-u.ac.jp/contents/research/kei/kiyou/33/kiyou33pdf/33mikoshiba.pdf))
「規制的方法は、公害問題のように、加害者と被害者の特定が容易な問題に際しては有効だが、地球環境問題はそれとは別種の問題である。そこで、国民一人一人に選択の自由が制度的に認められた社会制度が求められることになる。すなわち、税金が課されるのを承知で化石燃料を使用するのも、仕様を控えて経済的支出を節約するのも、各人の自由なのである。また、補助金を見込んで太陽光発電を設置し、その後の経済的支出を抑制するのも、設置のためのイニシャル・コストを理由に設置そのものを控えるのも、各人の自由なのである。もちろん、その場合、社会全体の求める望ましい倫理的方向は明瞭に示されるわけだが、それを一律に国民に押し付けないという点にこの手法の特色がある。」
___. 自動車産業は、日本の基幹産業。
松島憲之2002年11月30日(日興ソロモン・スミス・バーニー証券会社株式調査部マネジング・ディレクター、「日本経済再生のモデルとなる自動車業界」http://www.nikkei-ir.com/features/investor/no9report/1130a/5.html)
「日本経済復活の鍵として、どういう点を考えなければならないか。先ほどから協調していますように、自動車産業は日本の基幹産業です。どれくらい基幹産業かというと、例えば日本の主要製造業の設備投資のなかで18%が自動車産業です。研究開発費は同じように主要製造業の中で14%、国内製造出荷の13%を占め、輸出の20%を占めている大事な産業になっています。」
伊藤春輔2003年4月30日(政治コラムニスト「自動車産業凋落の兆し」http://column21.hp.infoseek.co.jp/dailycolumn/20030430.html)
「不況下の日本経済の中にあって、自動車産業だけが好業績を収めている。日本経済の分析指標が、かろうじて良い数値を残しているのは、自動車産業が好調だからといっても過言ではない。」
___. 自動車産業に対するダメージは、鉄鋼産業に対するダメージともなる。大手鉄鋼メーカーの最大需要家は、自動車メーカー。
Mainichi Interactive 2002年6月22日
(http://www.mainichi.co.jp/life/car/news/200206/22-2.html)
「大手鉄鋼メーカーが、最大需要家である自動車メーカーに対して、鋼材価格の本格的値上げ交渉を開始したことが21日、明らかになった。鉄鋼業界によると、国内の鋼材価格は現在、国際価格に比べ10~20%安い世界最低水準。米国や中国などが鉄鋼製品に対して緊急輸入制限(セーフガード)を発動するなど、経営環境の不確定要因が増大してきたため、鉄鋼各社は収益改善に向けて、現行価格の10~20%の値上げを求める方針。」
___. ハイブリッドカーの普及は、割高であり、さらに、新技術開発の遅れにも繋がる。
「アメリカ発 企業の社会責任ニュース」2002年12月
(http://www.asuinternational.com/008.htm)
「(ニューヨークタイムズ12月12日より)しかしながら一方でハイブリッド社に懐疑的な意見もある。ゼネラルモータースの幹部は、すべての車に電気モーターを搭載するのは割高で、資源活用の点でも無駄なだけでなく、水素燃料などの新しい技術開発の遅れにもつながると批判している。」
___. ハイブリッドカーは、電池寿命のため、却って環境負荷が大きい。
安井至1998年6月9日(東京大学生産技術研究所教授「プリウスを買った理由」市民のための環境学ガイド書庫http://www.ne.jp/asahi/ecodb/yasui/priuscamein.htm)
「もっとも心配なのが、ニッケル水素電池の寿命だ。5年あるいは10万キロ保障なのだが、もしも、それ以後に交換するとなると、値段が40万円以上すると言われている。この値段のために、結果的にこの車の寿命が短いものになるとしたら、本当に環境負荷が低いと言えるかどうか、これは問題だ。」
___. ハイブリッドカーは、採算割れ状態。
安井至1997年12月20日(東京大学生産技術研究所教授「ハイブリッド車への補助金」(朝日新聞12月20朝刊掲載)市民のための環境学ガイド書庫http://www.ne.jp/asahi/ecodb/yasui/priuscamein.htm)
「トヨタのプリウスなるハイブリッド車が、12月10日から発売になった。(中略)どうもトヨタは、1台売ると60万円以上の赤字になることを覚悟の上で、この車を売り出したらしい。」
炭素税関連資料(4)
___. 海水の膨張も、問題にならない。
近藤(「地球環境問題を考える」http://env01.cool.ne.jp/index02.htm)URL再調査要
「海水位の上昇についてのもう一つの論拠である海水の温度上昇に伴う体積膨張に簡単に触れておく。温暖化によって海水は表面から熱を受け取る。液体はしたから加熱されると滞留によって熱は液体全体に輸送されることになる。しかし上から加熱された場合は対流が起こらず海水温の上昇は表層の限られた範囲にとどまると考えられる。仮に水深200mまでが影響を受けるとしても、体積膨張による海水位の上昇は数cmにとどまる。海水温の上昇はむしろ蒸発量の増加につながるものと考えられる。温暖化脅威説で主張されているような顕著な海水位の上昇はこの点からも考えられない。」
___. 人為によるCO2増加は、自然によるものよりはるかに小さい。
近藤(「地球環境問題を考える」http://env01.cool.ne.jp/index02.htm)URL再調査要
「まず注目すべきは、炭化水素燃料の燃焼によって大気に付加される二酸化炭素による炭素の供給量は6Gt程度であって、年間に大気と生態系・海洋表層水と交換される二酸化炭素による炭素量200Gtのわずか3%に過ぎないことである。炭素循環システムには大きなリザーバー(貯蔵圏)があり、炭素の移動量も非常に大きいため、炭素循環システムの状態に何らかの変化がおきて、平衡状態が少しでも変われば図に示した値は容易に変わりうることを考えなければならない。果たして近年観測されている大気中の二酸化炭素濃度の変動が炭化水素燃料の燃焼に伴って人為的に付加された二酸化炭素によるものかどうかを特定することは、それほど容易なことではない。」
___. 気候モデルの実用性は低い。
近藤(「地球環境問題を考える」http://env01.cool.ne.jp/index02.htm)URL再調査要
「現状では、数値実験の基本になる二酸化炭素地球温暖化説を含む気象現象に対する理解が不十分で、理論の信頼性が非常に低いことが、致命的な欠陥である。更にこの問題をたとえクリアーしても、地球全体を対象とする巨大で複雑な気候予測の数値モデルは、モデル化における理論的困難さ、電子計算機の能力的限界、数値計算の安定性の問題と、数々の問題があり、とても将来的にも実用になるとは考えられない。」
___. 京都議定書の真の意図は、先進国による利益独占。
近藤(「地球環境問題を考える」http://env01.cool.ne.jp/index02.htm)URL再調査要
「既に先進工業国においては、物質的な、特に工業製品に関して、豊かさは飽和状態に達しつつある。また、一般に流通する工業製品生産については、途上国への技術移転が進み、安井労働賃金に支えられた安価で優れた製品が世界市場に大量に供給され始めている。その結果、先進工業国グループの世界市場における工業製品のシェアあるいは絶対的な生産量は低下傾向にある。
更なる経済成長によって、あくなき豊かさを追求するために、先進工業国グループが世界市場において再びそのシェアを回復するためには、最先端技術を用いた新規の商品を開発することが必要である。その絶好の大義名分が「二酸化炭素地球温暖化脅威説」を背景とする「エコ商品」の投入である。
それを国際的に精度として後押ししようとする枠組みが『京都議定書』である。冷静に考えれば、京都議定書の示す、各国に割り当てられた二酸化炭素排出削減目標あるいは排出権は不当なものである。これは、既に大量の二酸化炭素を排出して、物質的な豊かさを獲得した先進国グループの既得権益の保護と、途上国の政党で自発的発展の制限である。
また、京都メカニズムあるいはクリーン開発メカニズムとは、先進工業国グループが最先端技術の新たな販路として途上国を確保することを強力に後押しするものであり、更にその見返りとして二酸化炭素排出権を自国に移転することによって、更なる市場支配力を強固なものにする。更に、二酸化炭素排出権取引という『架空の市場』は、無から大金を生み出す仕組みとして、登記の対象として先進工業国にとって魅力的な市場である。
日本国内においても状況は同じである。国家戦略として『エコ商品』開発を強力に後押しし、「環境にやさしい」という裏づけの無い謳い文句の下で、一般の市場価格より高い商品が売られ、あまりにも高くて普及が望めないような商品については国家補助という名目で税金が企業へ流れているのである。企業にとっては『エコ商品』は非常に収益性の高い魅力的な市場なのである。」
___. 代替エネルギーの開発は、新たな利権を生む。
近藤(「地球環境問題を考える」http://env01.cool.ne.jp/index02.htm)URL再調査要
「更に、地球温暖化対策として進められている石油代替エネルギーに対する技術的な評価の杜撰さはひどい状況である。仮に、二酸化炭素地球温暖化脅威説が妥当なものだったとしても、現在導入が進められている石油代替エネルギーシステムは、あまりにも低効率であって、石油とその他希少資源の浪費を加速する可能性が極めて高い(詳細は次セクション以下で検討する)。しかし、低効率であるがゆえに石油代替エネルギーへの移行は産業規模の拡大につながり、国にとってのポスト公共土木工事として新たな利権構造を生み出しつつある。」
___. 研究機関も、バイアスを受けている。
近藤(「地球環境問題を考える」http://env01.cool.ne.jp/index02.htm)URL再調査要
「大学や公的な研究機関における地球温暖化対策に対する研究内容は、既に検討してきた企業・国家戦略の影響によって規定されている。国公立大学では、独立行政法人化によって、研究費を獲得するために企業あるいは国家の政策に沿った研究開発に重点がおかれている。その結果、環境問題・地球温暖化の論理的な考察やエネルギーコストという問題の各品に対する研究は隅に追いやられ、専ら「いわゆるエコエネルギー」の実用化という側面での研究開発が重点的に行われている。」
___. 自然エネルギーの導入は、かえって石油の浪費になる。
近藤(「地球環境問題を考える」http://env01.cool.ne.jp/index02.htm)URL再調査要
「もう一つの問題は、自然絵ねrぎーは時間変動が大きくこれを制御することが出来ないという問題である。(中略)ところが、自然エネルギーを工業的に電気エネルギーに変換する場合、その時間変動は決定的な意味を持つ。基本的に電気エネルギーは、発電と同時に消費するものであり、需要に供給が即応することが求められる。(中略)この時間変動という特性からも、自然エネルギー発電システムが主要なエネルギー供給システムになることはありえない。また、火力発電システムの運用高率を低下させないためにも自然エネルギー発電システムを大規模に導入することは止めるべきである。
時間変動の大きいシステムを、安定したシステムに負担を掛けずに接続する方法は、二つのシステム間に何らかの巨大なバッファ装置を組み込むことである。これによって、既存システムはこれまでどおり、時間変動の大きなシステムの影響を考えずに効率的に創業することが可能になる。しかしながら、巨大なバッファ=逐電装置を含めた自然エネルギー発電システムは、全体として更に資源・石油利用効率が低下し、エネルギー産出比において1を割ることはほとんど確実であり、それどころか石油利用効率においてさえ石油火力発電に劣る可能性が高いのである。以上の考察から、環境問題という視点から、自然エネルギー発電システムを大規模に導入することは、石油資源とその他資源の浪費の加速であり、環境問題を悪化させるものである。」
___. 石油は当分枯渇しない。
槌田(「地球環境問題を考える」http://env01.cool.ne.jp/index02.htm)URL再調査要
「確認埋蔵量の定義は、現在の技術と現在の価格で採油可能な量である。石油を消費したのに可採年数が増えた理由は、採掘技術が向上したからである。
ところで、確認埋蔵量の定義になる価格は需要と供給の関係で決まる。石油がほしいと思うと価格が上がり、蓋をしていた井戸から石油が出て来る。つまり、石油の確認埋蔵量とは、欲しいと思うと出て来る量だったのである。『不思議なポケット』というわらべ歌があるが、確認網増量とは「もう一つたたけば、ビスケットがふたつ……」現象の量であった。このような量に人々は躍らされていたことになる。」
___. 補助金による開発は逆効果。
槌田(「地球環境問題を考える」http://env01.cool.ne.jp/index02.htm)URL再調査要
「そもそも補助金による開発は成功しない。その理由は、来年も補助金の欲しい研究者にとって、「成功しそうで成功しない開発」こそ、もっとも望ましい研究テーマだからである。そのためには、せいこうしそうにないにかかわらず、研究者はバラ色の夢を語って補助金を得ようとする。(中略)このようなことを続けていては、石油代替エネルギーは成功するわけが無い。無駄金を使うことは石油を浪費することである。しかも、開発の方向を誤導し、自前の有効な開発を妨害することになる。研究開発には、懸賞金はともかく、補助金は廃止するべきである。」
槌田(「地球環境問題を考える」http://env01.cool.ne.jp/index02.htm)URL再調査要
「ところで、軍事利用では全面的に補助金で開発され、成功しているという反論がある。この場合は、戦争に勝つことが目的だから、その研究は成功することが義務付けられる。これに対して一般の補助金による開発ではそのような義務はない。「成功するか、しないか分からないから研究する」というのでは、失敗しても資金を無駄に使ったことの責任は問われない。」
槌田(「地球環境問題を考える」http://env01.cool.ne.jp/index02.htm)URL再調査要
「新エネルギーの開発は、石油の枯渇が近づき、石油の価格が上昇してからで十分に間にあう。そのようになれば、採算のとれた新エネルギーから順に実用になっていく。採算がとれないのに、補助金で開発することは全て無駄である。」
___. 温暖化とCO2増加の因果関係は逆。
槌田
http://env01.cool.ne.jp/ss04/ss041/ss0412.htm URL再調査要
「事実は逆である(槌田,1999b)。図5に示すように炭酸ガス濃度の変化は気温の変化よりも半年遅れている。また赤道海域の高温化を示すエルニーニョの1年後に炭酸ガスが増加している(KEELING,1989)。さらに、1991年のピナツボ火山の噴火で成層圏は埃に覆われ、地表に届く太陽光が減り、気温は2年間上がらなかった。その結果、図6に示すように人間は炭酸ガスを出し続けたのに、炭酸ガス濃度はこの2年間増加していない(図6)。
最近の温暖化は事実である。しかし、その原因は、活発化した太陽活動と熱帯と北極での対流圏大気の汚染に求めるべきである。そして炭酸ガス濃度の変化は、海洋からの炭酸ガスの出入りの温度効果、つまりヘンリーの法則で説明できる。人間がもっと大量に炭酸ガスを排出したのならばともかく、現状程度では人間の活動による炭酸ガスの発生が気象変化の原因ではない。地球はまだまだ大きいのである。」
___. 炭素税を導入しても、石油の使用量は減らない。
槌田
http://env01.cool.ne.jp/ss04/ss041/ss0412.htm URL再調査要
「まず炭素税であるが、高額の税ならばともかく、話題になっている程度の税額では石油の使用量が減るとはとても考えられない。すでに高額のガソリン税や経由税があっても自動車は走り回っている。2000年末から2001年にかけてのガソリンなどの値上げがあったが、車の使用はほとんど変わらなかった。」
___. 温暖化対策をあせると、かえって本質的な問題が解決できなくなる。
槌田
http://env01.cool.ne.jp/ss04/ss041/ss0412.htm URL再調査要
「「もしもその通りだったとしたら、低遅れになる」との予防の原則(山口,1996,p110)を掲げて、あせって行動を始めることは最悪である。実行する前に、当否をまず考えることである。もしも、間違っていた時、取り返しのつかないことになるだけでなく、より本質的な問題を放置することになるからである。」
___. 資源の有限性の主張→エコファシズムの可能性。
加藤尚武(ひさたけ)1998(鳥取環境大学学長、京都大学名誉教授「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ p.11)
「第一の条項[地球の有限性]から、地球は有限だから、石油を掘り出せばその穴埋めの費用を炭素税として払うべきであり、大気圏にガスを廃棄するにも共益費を払うべきだという主張が出てくる。いままで無料であることが当然であった埋蔵資源と大気圏という廃棄物の投棄場所が有料になる。つまり、経済の外部にあったものが、経済に内部化される。これを「外部不経済の内部化」と呼ぶ。しかし、この有限性の主張は、同時に環境全体主義(エコファシズム、第7章)の成立の可能性をはらんでいるかもしれない。いわば「危険物につき取り扱い注意」という但し書きのつく条項である。」
___. 環境問題においては、まず弱者にしわ寄せが来る。
丸山徳次1998(龍谷大学文学部教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ pp.27-28)
「いまや地球環境問題だ、と聞かされるとき、あたかも人類がみな平等に加害者であり、かつ被害者であるかのような幻想に陥り、平等に「生き残り」の問題の前に立たされているかのように錯覚する。しかし、環境汚染・環境破壊の被害は、平等には起こらない。生物的な意味および社会的な意味での弱者にまず起こり、そこに集中するし、特定の生活形態の人々に集中する。胎児、子ども、女性、老人、病人、貧困者にまず起こり、自然と密着した生活をする人々に集中する。水俣病事件においては、胎児性水俣病が起こり、自然とともに生きる漁民たちに集中した.地球環境問題とは、露骨な言い方をすれば,弱者が滅んでゆき、強者が生き残っていく長時間にわたってのプロセスなのである。」
___. 現状が続くと、資源枯渇、環境荒廃という、二重の行き詰まりが待っている。
河宮信郎1998(中京大学経済学部教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ p.46)
「年・工業文明の物質的な実態は大量生産・大量消費、大量廃棄であり、この物資的フローの前途には資源枯渇と環境荒廃という二重の行き詰まりが待っている。資源枯渇が急速に進行して環境荒廃に歯止めがかかる、ということはもはや期待できない。なぜなら、現在までの環境汚染がすでに地球環境に対して致命的な害悪をもたらしており、現状の継続そのものが深刻な脅威だからである。資源量は、今後の需要増に対してなお潤沢であるかどうかは疑問だが、少なくとも環境容量に対しては過剰にあると考えられる。」
___. 自主的抑制に失敗すると、最悪のケースに…
河宮信郎1998(中京大学経済学部教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ p.46)
「地球温暖化の防止対策論議では、十分多量にある資源の消費を自主規制で抑えようとしているから、これほどもめるのである。しかし、この自主的な抑制に失敗すると、環境荒廃が進む中で資源の稀少化がすすむという最悪のケースになる可能性が高い。この危険を見据えることが、今後の経済運営にとっても基本的な前提にならなければならない。
___. 環境問題による悪影響を真っ先に受けるのは途上国。
河宮信郎1998(中京大学経済学部教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ p.47)
「高度工業国・項所得国のように地下資源多消費の経済は、自然破壊における責任が大きいのに、異常気象や気候変動などの環境荒廃に影響されにくい(生物資源への依存度が低いため)。また資源問題にしても、農林水産物のような更新性資源が先に稀少化し(人口との関係)、地下資源の非更新性(枯渇性)資源がかえってなかなか「枯渇」しないと考えられる。」
___. 科学技術による対応には限界。
河宮信郎1998(中京大学経済学部教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ p.59)
「都市・工業文明の拡大にともなって、環境および資源にかかわる制約が強くなればなるほど、科学技術的な対応策への要求は高まるであろう。ごころが科学技術が歴史的に果たしてきた役割はまずは都市・工業文明の推進であり、結果的には環境負荷を加重してきた。だから、この過程を押し止めたり、この過程から生じる負荷を軽減したりすることは、科学技術にとっては必ずしも得意な領域ではない。」
___. 未来世代についても考える必要がある。
蔵田伸雄1998(三重大学人文学部助教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ pp.87-88)
「多くの環境問題は「未来世代に対する倫理」の問題でもある。消費生活を謳歌することによって利益を受けるのは現在世代の人間(基本的には現在世代の先進国の人々)だが、それによって損害を被るのは未来世代の人々(多くは未来s台の発展途上国の人々)である。そして場合によっては、遠い未来に生きる人々が何らかの被害を被ることになる。従って環境問題との関連では自分が生きている間、あるいは自分が死んだ直後のことだけではなく、自分が死んだ後の、遠い未来に生じる影響についても考える必要がある。」
___. 未来世代について考える必要は無い。
蔵田伸雄1998(三重大学人文学部助教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ p.88)
「もっとも環境問題については、まだ生まれていない人々の利益について考慮する必要は無く、今生きている人々が将来被る不利益のことを考えるだけで十分だという意見もある。たとえば30年後の地球環境が激変するなら、ある年齢以下の人はほとんどすべてその影響を受けることになる。そのような人々が被る不利益のことを考えるだけで、環境問題に対して十分対処することができるのではないだろうか。」
蔵田伸雄1998(三重大学人文学部助教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ pp.88-89)
「しかし未来に生きる人々に配慮するといっても、そこで配慮の対象となる未来世代の人々はまだ存在していないという問題がある。例えば、「未来世代の人々は私たちに対してなんらかの権利を持つか」という視点から未来世代に対する倫理について考察されることがあるが(シュレーダー-フレチェット[1993]など)、それはまだ存在していない存在者がなんらかの「権利」をもつといえるかどうか疑わしいからである。また「未来世代の人間の権利」を考えることが難しいのと同様に、その「権利」に対応する「義務」を考えることも難しい。」
___. 未来世代への配慮が、自らの利益につながる場合は、強く動機付けされるが、その場合、未来世代のために、自らの利益を上回る犠牲が払われることはない。
蔵田伸雄1998(三重大学人文学部助教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ p.90)
「一般に未来世代の利益に配慮することが自分の経済的利益や自己満足につながる場合には、環境保護に対する強い動機付けが与えられる。そしてそれは個人の場合だけでなく、企業の場合でも同様である。環境保護に熱心な企業が増えてきたのは、環境保護に協力的であることが企業の利益に結びつく(あるいは環境保護運動に対して消極的であることが企業にとって不利益となる)と企業が考えるようになってきたためでもある。
しかしこのような動機に基づいて環境保護活動がなされる場合には、自分(あるいは自分の会社や、自分の所属する組織、自分の国)に不利益なことや、重い負担を強いられる好意がなされることはないだろう。そして、自分の快楽や利益を上回る犠牲を払ってまで未来世代のために何かがなされることはないだろう。」
___. 未来世代に対して共感することは難しい。
蔵田伸雄1998(三重大学人文学部助教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ p.92)
「「なぜ未来世代の人々の利害を考慮しなければならないのか」という問題は、「なぜ会うことのない人々の利害を考慮しなければならないのか」という問題の一例だということができる。一般に特定の他者に対する義務は、その他者に対する共感に由来することが多い(自分の家族や友人に対する義務のことを考えてみるとよい)。しかし自分の子どもには共感できても、「会うことのない、自分の玄孫(ひ孫の子ども)」に共感することは難しい。そして「自分の子どもの不幸」を想像すると、それが切実なものに感じられるのに対して、「自分の玄孫の不幸」の切実さを実感するのは難しい。そのため自分の子どもに対する義務は実感できても、200年後に生きる自分の子孫に対する義務を意識することは難しい。同じように、自分の子どもや自分の子どもと同じ世代の人々に共感するのはたやすいが、200年度の人々に共感することは難しく、1万年後の人々に共感することはもっと難しい。「1万年後の人々に対する義務」が実感できないのはそのためである。」
___. 自分から遠い人々に対して共感するのは難しい。
蔵田伸雄1998(三重大学人文学部助教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ pp.92-93)
「一般にある人々の住んでいる世界が自分の住む世界から遠ければ遠いほど、その人々に共感を感じることは難しくなり、そのような人々に対する義務を意識することも難しくなる。「地球の反対側に住んでいる,自分が会うこともない人々」などの「共感を感じにくい人々」に対して何らかの義務や責任を意識することは難しい。遠い未来の人々に対する義務や責任を意識することが難しいのも、それと同様である。」
___. 未来世代との関係は、相互的でない。
蔵田伸雄1998(三重大学人文学部助教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ pp.97-98)
「「未来世代に対する倫理」に関する困難は、まず現在世代の人々とまだ存在していない未来世代の人々との間の関係は相互的ではないことに基づいている。普通の義務は相互的である。たとえば「嘘をついてはならない」という義務は、相手に対する自分の義務であると同時に、自分に対する他人の義務でもある。私が嘘をつかないことによって他人が利益を得るのと同時に、他人が嘘をつかないことによって私も利益を得る。つまり義務とはお互いの利益や権利を守るための、相互的な自己規制だということができる。
しかし、未来世代に対する倫理の場合には事情が異なる。現在世代の人々と「まだ存在していない未来世代の人々」との間にギブ・アンド・テイクの関係は成立しない。したがって、現在世代の人々と未来世代の人々との間に相互的な利益や権利の尊重という形での交換的正義は成立しない。私たちが未来世代の利益や権利を尊重したところで、まだ存在していない未来世代の人々が私たちの利益や権利を尊重してくれることはありえない。このような事実からもわかるように、「未来世代への義務や責任」とは、現在世代の人々の未来世代の人々に対する一方的な義務であり責任なのである。」
___. 未来世代の生活に必要な条件は、意識可能。
蔵田伸雄1998(三重大学人文学部助教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ p.101)
「未来世代の人々が健康な生活を送るために必要な最低限の条件はおそらくこの先もあまり変わることはない。具体的には、放射能汚染がないこと、安全な水、汚染されていない空気、安全な食料、適度な気候、紫外線があまり多くはないことなどである。そして渡した市の選択しだいでは、未来世代の人々の基本的な生活基盤が破壊されることになる。そのことを認識するなら、未来世代の人々に対する責任も意識されるだろう。」
___. 環境以外に優先される価値は多くある。
谷本光男1998(龍谷大学短期大学部教授、、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ p.133)
「第四に、人間中心主義の立場からみると、自然環境の保護は人間の一つの価値であるが、しかし私達が守ろうとしている価値はそれ以外にもたくさんある。実際、環境保護より優先されるものがたくさんある。たとえば、不況になれば、景気の回復が何よりも大事だといわれる。地球温暖化の問題にみられるように、温室効果ガスの排出量削減は経済的理由から思うようには進まない。人間中心主義の立場からは、環境保護を優先させることはなかなか難しい。もちろん、自然環境は私たちの生存の基盤であるから、諸々の価値はその基盤の上で実現される。その意味では、環境保護が他の価値に優先するとも考えられるが、しかし同じことは生命についてもいえるのである。人間は生きていることによってのみ諸々の価値の実現が可能になる。その意味では生命の価値が何よりも優先されると思われるが、しかし実際には、生命を犠牲にしても名誉を重んじる人はたくさんいる。こうして、私たちが大事にしている諸々の価値を比較考量するかぎり、環境保護を優先させることはきわめて難しい。」
___. 環境問題の解決には、私たち一人ひとりの犠牲が必要。
谷本光男1998(龍谷大学短期大学部教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ p.143)
「環境問題の解決には、私たち一人ひとりに犠牲を強いる面があることは否定できないと思われる。もちろん、私たちがどこまで犠牲を払うべきかは議論の分かれるところであるが、何も犠牲を払わずに環境問題が解決されるということはありえないだろう。」
___. 自然保護は、全体主義的。
須藤自由児1998(松山東雲女子大学人文学部教授、「環境と倫理─自然と人間の共生を求めて」加藤尚武[編]有斐閣アルマ p.156)
「パスモアは汚染対策と自然(資源)の賢明な利用=保全には慎重ながら賛成するが、保存論、自然を手つかずにおこうとする強い自然保護には断固反対する。保存論では、人間以外の存在が権利をもつと考えているが、これは断じて認められないという。また、保存論は、自然への服従を善とする思想、自然崇拝の思想とつながっている。そして自然への服従と、自然の存在に人格同様の権利を認めることは、(ヒットラーやスターリンが支配した)「全体主義国家」のように人間の尊厳と個人の自由、個性を否定し、すべてはぜんたいとしての自然の一部にすぎないとみなす「神秘主義、原始信奉主義、権威主義」をとることであり、結局は「科学と技術、民主主義と自由な企業」、一言でいえば「西洋文明」に反するもの、無知と野蛮への復帰を説くことであるという。」
炭素税関連資料(3)
___. 科学者の直感として、CO2の急増は危険。
読売新聞社
http://www.yomiuri-you.com/you_c/eco;ogu/elife/e020110.shtml
「これまでCO2が気候変動に対して支配的な役割を果たしてきたとは思えない。だからこそ、その急増がどんな形で表に現れるのか不安だ。全く予期しないメカニズムが動き始めるかもしれない。少なくとも地球は、非常に不安定な時代を迎えるのではないか。近年の干ばつや台風を見ると、年々の変動も増幅されている気がする。」
___. 地下資源に頼ることの無い科学技術や社会システムを構築しない限り、人類は存続できない。また、地球は寒冷化の方向に向かっている。
赤池学(ユニバーサルデザイン総合研究所所長、「赤池学の『千年持続学』の世紀へ」http://www.hotwired.co.jp/ecowire/akaike/000801/textonly.html)
「これからの千年を考えるとき、人類が対峙せざるを得ない巨大な危機が二つ到来する。第一は、地下のカーボン資源の枯渇である。石油の可採時限はあと約70年、天然ガスは百数十年、シャーベット状のメタン資源であるメタンハイドレードも、これからの利用予測に基づくと、紀元2500年までには使い尽くしてしまう。すなわち、残る五百年は、地下資源に全く頼ることの無い科学技術や社会システムを構築しない限り、人類の存続は難しいのだ。
第二は、地球の寒冷化が進行することである。現在、先進国を中心に温暖化問題が声高に叫ばれているが、中長期的には地球は寒冷化の時代に入っていくのである。惑星周期や惑星間引力の関係で、現在でも太陽と地球の距離は最大化している。地球学者のなかには、紀元2050年の段階で、地球気温が五度程度下降する可能性さえも提起されているのである。寒冷化は、水資源を氷という形で固定化する。その分、砂漠化が巨大に進行し、農作物が採れなくなるのだ。次の千年紀は、水資源と食料を巡る地域紛争の世紀と化す危険性が高いのだ。」
___. 地球温暖化は、確実に進行している。
馬場哲範(AeSRi副主任研究員「地球が温暖化するとどうなるのだろうか?」http://www.aesri.co.jp/ja/columns/2001/07baba.html)
「まず、『地球は温暖化しているのか?なぜ温暖化しているのか?』ということについては、地球上の各地の気温、CO2濃度などの観測網の整備による観測データの分析、また、例えばグリーンランドの氷河を掘り、過去の気候史の解明などの研究成果から、特に20世紀は過去に例が無い急激な気温情報が確認されている。日本でも気象庁の2000年気候統計をみると、1961-1990年の平均気温に対して+0.77℃、1898年以降5番目のプラスの平年差であることが報告されている。過去100年で日本は約1℃の気温上昇、世界でも約0.6℃の上昇、特に1990年以降に集中して気温が高いことが報告されており、観測データ上、温暖化していることは確実と言えるであろう。」
___. 温暖化の反動で、寒冷化が進む可能性がある。
馬場哲範(AeSRi副主任研究員「地球が温暖化するとどうなるのだろうか?」http://www.aesri.co.jp/ja/columns/2001/07baba.html)
「長い地球の気候史の中では大きく見れば300万年位前から徐々に寒くなっており、特に80万年前からは寒暖の振幅が急に大きくなって、10万年毎にはっきりとした氷期(約9万年)と間氷期(約1万年)が繰り返されてきたことが分かっている。現在は大きく捕らえれば約2万年前の氷期の最終期を得て温暖化してきた間氷期の終わりにあり、今度は氷期に向かうとも考えられる。今の急激な温暖化により、北極海の氷が溶け真水の量が増える。まあ、海面水温が上がり蒸発が増えるとこれら熱帯で発生したエネルギーが待機、海洋循環により極付近(旧ソ連など)に運ばれて降水量が増える。そうすると、極付近の塩分濃度が薄まり、表層付近で温められた水が極付近で冷やされ、深層に潜るべき深層海流が潜らない、つまり、コンベアベルトと呼ばれるエネルギー循環のスイッチが切れることで極付近が冷やされ、寒冷化に向かうという指摘である。寒冷化で全球平均気温が5℃下がるとすると熱帯よりも極付近の方が気温が下がり、特に食料供給の面でダメージは計り知れない物となることが考えられる。こうした慣例化が9万年続くとすると、人類はどうしようもなくなるのかもしれない。」
___. 最近200年間の二酸化炭素増加量は、過去に例を見ないほど急激。
「二酸化炭素と地球2」ページ(http://georoom.hp.infoseek.co.jp/6earth/12co2.htm)
「今度は最近の二酸化炭素の変化を見ましょう。図9を見ると、最近200年間で二酸化炭素は0.028%から0.036%へと、3割近く増加したことが分かります。この変化は、先ほどの図6にも表してあります。二酸化炭素に関しては、かつて例のない極端な増加であることが明らかです。二酸化炭素が増え始めた19世紀はちょうど産業革命が進行して、化石燃料の使用が増加し始めた時期と一致します。20世紀後半の石油の大量消費時代に入ると、二酸化炭素はますます激しく増加しています。この二酸化炭素の異常な増加は、明らかに人間によるものと断言できます。そして、その二酸化炭素が強い温室効果をもっているのです。」
___. 二酸化炭素による温暖化の可能性は高い。
「二酸化炭素と地球2」ページ(http://georoom.hp.infoseek.co.jp/6earth/12co2.htm)
「このまま二酸化炭素が増加して、21世紀末に現在の2倍(0.07%)にまで達すると、気温+1〜4.5℃、海面+10cm〜+1mの変化が予想されています。また雨の降り方が極端になり、洪水・干ばつなどがより現れると予想されています。将来予測をコンピューターでシミュレーションするときも、使う計算モデルによりかなり違いがあり、本当のところどんなことがおきるのか、よく分かりません。しかし、多くの研究者によると、少なくとも大した変化が起こらない確率は低く、かなりの温暖化が高確率で予想されています。文明の壊滅とも言える深甚な温暖化すら、ある確率で予想されています。」
___. エコロジーは、潜在的にファシズムの方向。
日本学術会議地理学研究連絡委員会2000年3月27日(「環境問題についての地理学からの提言」http://www.scj.go.jp/kennkyuusya_saronn_r/17htm/17_26.html)
「ベルク(1996)は『20世紀は環境と理性とヒューマニズムの複合的な世紀であるのかもしれない。近代の築き上げた世界はもはやあまり将来に見込みのないものとなっている。』と、近代化の限界について論じたあとで、エコロジーについても、『生態学的な全体論(ホーリズム)は見てのとおり人間主体の問題を抹消してしまう。』と、環境保護運動(エコロジー)が『ファシズムの命題に行き着く』危険を指摘している。」
___.
藤沢裕美(松下政経塾 月例レポート96年9月 http://www.mskj.or.jp/getsurei/hiromi96092.html)
「メイヤー氏は環境問題、中でも二酸化炭素排出量の増大による気候変動問題を深く憂慮している.メイヤー氏が黒板を使って説明してくれた理論によると、地球の気候を安定化させるためには年間25ギガトンの全世界の二酸化炭素排出量を、10ギガトンに削減する必要がある。
しかしながら、中国、インド、インドネシアなどの途上国が、経済発展を進めるための石炭と石油の利用を控えることは期待できず、一歩間違えばそれは「エコファシズム」となってしまう。
これを回避する唯一のシナリオは「先進国が自らの責任において、二酸化炭素排出量を削減するすること」であるとメイヤー氏はいう。」
___. 進歩史観は限界。
萩原優騎2001(現代文明学研究「参照枠としての倫理学を求めて」http://www.kinokopress.com/civil/0403.htm)
「地球規模の諸問題が続発している現在、進歩史観の失効により、近代の出発点において約束されていたはずの輝かしい未来は、幻想に過ぎないことが誰の目にも明らかになった。環境破壊、資源の枯渇、人口爆発、大量破壊兵器の出現などに直面し、これらの問題は従来の政治・経済を規定してきた、国家という枠組みを超えた性質であるとの認識から、国際的な協力関係が求められている。地球規模の共通課題への取り組みにおいては、これまで西欧近代的な価値観を共有してこなかった人々とのパートナーシップが模索されなければならないのであり、その点に関する更なる検討と実践が不可欠であろう。」
___. 資源が有限である以上、その利用には制限が加わらざるを得ない。
萩原優騎2001(現代文明学研究「参照枠としての倫理学を求めて」http://www.kinokopress.com/civil/0403.htm)
「社会のあらゆる領域で進歩史観が失効したことで、近代的な制度が危機に直面している。無限の空間と資源という想定が暗黙のうちに人々を支配してきた近代社会においては、個人の自由と平等を無制限に追求することが、自明のものとされてきた。それゆえに、進歩史観に基づくオプティミズムが正当性を発揮し続けてきたのである。このことは倫理学においても言えることであり、その最たる例が自由主義の他者危害の原則に基づく自己決定権である。判断能力のある成人の場合、他者に危害を及ぼさない限りは、個人の行為がどこまでも正当化されるという問題設定は、空間と資源が無限であるという条件下でしか機能しない.このような認識が幻想に過ぎないならば、従来の近代的価値観だけでは社会を維持できなくなるのであり、地球と資源の有限性を論じる環境倫理学は、自由と平等に一定の制限を加えようとする。そういった状況の認識とそこでの対応を、加藤尚武は「地球全体主義」と呼んだ。加藤によれば、地球全体主義は、国家が個人に優先するという国家全体主義とは異なるのであり、国家ではなく地球こそが、全ての価値判断に優先して尊重される絶対的なものであるという点で、国家のエゴイズムはかえって抑制されるという[加藤1991:46-47]。」
___.
萩原優騎2001(現代文明学研究「参照枠としての倫理学を求めて」http://www.kinokopress.com/civil/0403.htm)
「しかし、国家が国政的に取り決められた政策に従って、時刻の達成すべき基準値以下に環境破壊を抑えるためには、国内で何らかの規制を行わなければならない。それが環境税のように、環境破壊好意に対する代価のようなものであったとしても、そこでは納税者に対する、一種の強制力が働いていることになる。また、企業による環境破壊、特に発展途上国への公害輸出など、環境への影響が深刻である場合に関しては、それを放置したままでの自由至上主義は許されない。これまでも述べてきたように、自由競争をある程度認めるためには、それが及ぼしえる影響も考慮に入れた上での秩序が機能する必要があるのであり、自由競争それ自体が手放しに賞賛されるべきではないのである。」
___. エコ・ファシズム回避は先進国の責任。
萩原優騎2001(現代文明学研究「参照枠としての倫理学を求めて」http://www.kinokopress.com/civil/0403.htm)
「自由主義を近代社会の成果として尊重することは大切であるが、それを無制限に拡張することは、もはや不可能である。その場合に、先進国は既に一定の成長を遂げたに対して、これから自由主義を採用して成長するであろう発展途上国が、その制限によって犠牲にされるという批判が出て来る。進歩史観が機能しなくなることにより、これまでは後の世代に先送りされていたこのような問題が、国家、更には地球レベルでの政策決定に影響力を持ち始めている。そういった場面では、先進国における無制限の環境破壊の抑止と、発展途上国の成長を一定の範囲内で容認することを両立させつつ、エコ・ファシズムを実行せざるを得ない状況の到来を回避することが課題となる。自由主義を放棄することが望ましくないと考えるならば、その意義と限界を十分に認識した上で、それを使いこなしていくしかない。そこで、その欠陥構造を補うために不可欠なのが世代間倫理であるが、それに関しては、別の機会に論じたので、ここでは繰り返さない。」
___. 自由主義の手放しの賞賛は、かえってエコ・ファシズムを招く。
萩原優騎2001(現代文明学研究「参照枠としての倫理学を求めて」http://www.kinokopress.com/civil/0403.htm)
「エコ・ファシズムを回避しつつ、通時的倫理を機能させるには、市民社会にそれを根づかせるしかないだろう。しかし、そのことは、市民社会の現状維持を意味するのではない。なぜなら、市民社会の現状は、自由主義的側面が強いのであり、それを手放しで賞賛することは、上述のように、かえってエコ・ファシズムをもたらし得るからである。自由主義の意義を認め、その可能性を更に引き出すことと並行して、市民社会の根幹にあるもう一つの要素である、民主主義にこそ目を向けなければならない。市民社会における意思決定能力の向上は、共時的倫理の深化による、民主主義の成熟によってこそ可能となる。したがって、市民社会の意思決定が通時的倫理によって補完されるという加藤の提案は、民主主義が十分に機能しなければ成り立たない。そうであるならば、「民主主義よりも世代間責任」とは言えないはずである。共時的倫理の限界を見定めつつ、その中身を一層改善しいくという不断の営みにおいて、通時的倫理は初めて効力を発揮すると言えよう。」
___. 80年代以降の気温は、確実に上昇傾向にある。
住 明正2001(CCSR、「人は滅びるのか?─地球温暖化を考える 地球温暖化問題とは何か」日生気誌38.9-12,2001、http://www.ccsr.u-tokyo.ac.jp/jondanka/nisseikisi.shtml)
「さらに、強い証拠は、1980年代以降の気温のデータである。この頃になると、全地球上は、極軌道衛星で観測され、少なくともデータの不足ということは少なくなった。また、天気予報に用いる数値モデルは、昔に比べて格段に良くなったと断言できる(最近の1日予報はよく当たるようになった)。これらの数値モデルと様々なデータを用いた4次元解析システムが整備され、これによって提供される地表面の温度のデータは、相当に信頼できると考えられる。これらの80年代以降のデータを見てみても、急速に温度が高くなってきている。ここは確実に信頼できる。」
___. 温室効果ガスの影響は、確実にある。
住 明正2001(CCSR、「人は滅びるのか?─地球温暖化を考える 地球温暖化問題とは何か」日生気誌38.9-12,2001、http://www.ccsr.u-tokyo.ac.jp/jondanka/nisseikisi.shtml)
「前節に述べた温暖化の事実は多くの人が合意するとしても、原因の推定については異論の多いところである。温暖化の理由の推定に関しては、結局気候モデルによる推定に依拠せざるを得ないからである。要約すれば、現在の気候モデルを用いる限り、温室効果期待の増加以外の要因では、0.5度/100年という温度上昇は実現できない。したがって、温室効果気体の増加の影響を考えざるを得ない、というものである。」
___. 温室効果ガス増加による気温上昇は、ほぼ間違いない。
住 明正2001(CCSR、「人は滅びるのか?─地球温暖化を考える 地球温暖化問題とは何か」日生気誌38.9-12,2001、http://www.ccsr.u-tokyo.ac.jp/jondanka/nisseikisi.shtml)
「現在の気候モデルの予想は、簡単な放射対流平衡モデルの結果とも整合的である。少なくともどんなモデルを用いても、温室効果気体を2倍にすれば、全球平均気温は3度程度は上昇するのである。少なくとも、どんなモデルを用いても、寒冷化することはないし、100度も気温が上がるわけでもない。せいぜい数度程度上がるという結果が得られるのだから、これを精度の良い推定として受け入れるべきであろう。」
___. 太陽活動の影響は小さい。
住 明正2001(CCSR、「人は滅びるのか?─地球温暖化を考える 地球温暖化問題とは何か」日生気誌38.9-12,2001、http://www.ccsr.u-tokyo.ac.jp/jondanka/nisseikisi.shtml)
「もうひとつの強い反論は、太陽活動の影響である。黒点活動などの太陽活動の変化に伴う気候変動については、太陽エネルギー全体の変化としてみれば1パーセント以下であり、放射の直接の結果として気温を変化させることはできない、というのが従来の常識であった。しかしながら、紫外線部分は50パーセント程度変化するとか、太陽活動によって雲量が変化するとか、色々な反論が提案されている。そこで、対応活動の変動を考慮した数値実験も行われている。その結果、太陽活動の変動も地表気温の変動に寄与し得るが、温室効果気体の増加を考えずして最近の温度上昇は説明できない、というものである。また、太陽活動の影響を主張する人でも、1980年以降の昇温は、太陽以外の原因を認めている人もいる。」
___. いずれにせよ、循環型社会の構築は不可欠。
住 明正2001(CCSR、「人は滅びるのか?─地球温暖化を考える 地球温暖化問題とは何か」日生気誌38.9-12,2001、http://www.ccsr.u-tokyo.ac.jp/jondanka/nisseikisi.shtml)
「どのみち、省エネルギー対策や、循環型社会などは作って行かなければならないのだから、安逸に過ごす道は無いのだと諦めて、新しい社会のあり方を考えたほうが建設的であろう。」
___. 地球温暖化問題は社会問題。
住 明正2001(CCSR、「人は滅びるのか?─地球温暖化を考える 地球温暖化問題とは何か」日生気誌38.9-12,2001、http://www.ccsr.u-tokyo.ac.jp/jondanka/nisseikisi.shtml)
「「地球温暖化問題」とは、「人間活動によって地球が暖まっているか、否か」を知るという科学的な問題ではない。むしろ、人間活動が地球システムのエネルギー循環・水循環・物質循環などに影響を与えるほどに大きくなった現在、特定の人々を切り捨てずに今後地球上で人類が生存していくにはどのような社会システムを作れば良いか、どのような行動原理を立てれば良いか、という政治・経済・社会的な問題である。ただ、そのときに、科学技術的な知見が不可欠になる、と言うわけである。」
住 明正2001(CCSR、「人は滅びるのか?─地球温暖化を考える 地球温暖化問題とは何か」日生気誌38.9-12,2001、http://www.ccsr.u-tokyo.ac.jp/jondanka/nisseikisi.shtml)
「一方、現在のわれわれは、自然のシステムの上に住んでいると言うよりは、直接には、社会政治経済環境や2次的自然に住んでいるのである。現在予想されている程度の温暖化は、水とエネルギーが保証されている限り(そして、収入が十分で物資がお金で購入できる限り)さして問題は無い。影響を受けるのは、クーラーも変えない、健康状態の悪い貧困層(国)である。従って、温暖化による不具合を社会的に弱い層に押し付け生き残る「強者の論理」は成立し得る。後は、各個人の人間的完成・倫理性の問題である。ただ、地球温暖化などの自然環境の変化が生じれば、現状の社会政治経済環境に、大きな擾乱(じょうらん)が生じる可能性がある。それこそが重要な問題なのである。」
___. 日本国としての立場。
住 明正2001(CCSR、「人は滅びるのか?─地球温暖化を考える 地球温暖化問題とは何か」日生気誌38.9-12,2001、http://www.ccsr.u-tokyo.ac.jp/jondanka/nisseikisi.shtml)
「日本としては、現在の政治・経済体制から利益を得ているのであり、基本的には、これを維持・発展させて行く必要があろう。
そのためには、日本としても、21世紀を通して、地球上の全人類が生活していけるような枠組みを提案して行く必要があろう。地球環境問題を議論するときには、しばしば、悲劇的な論調をとることが多い。そうでなくとも、悲惨さを強調して世論を纏めようとしがちである。しかし、実際に重要なことは、確実に未来を開いて行く具体的なプランである。「新しい社会を作り上げるときに、そんなに悲惨な生活をする必要は無い。今、不必要に使っているエネルギーや物質を少し辛抱すれば良いのだから」といったような具体的なプランを示す必要がある。そして、そのようなプランが有効なのは、地球温暖化の影響が皆の目にも明らかにならない今なのである。まだゆとりのある時であるからこそ、ゆっくりと対応策を練ることができる。
将来は、必ず省エネルギーの社会、環境と調和した社会でなければならないし、自己の欲望を制御できるような枠組みを作るしかないであろう。そのためには、科学技術の発展を基礎に、新しい文化的・思想的な背景を作り上げる必要があろう。」
___. グリーンランドの氷は、毎年厚くなっている。
近藤(「地球環境問題を考える」http://env01.cool.ne.jp/index02.htm)URL再調査要
「NASAによれば、グリーンランド中心部の氷は毎年厚くなっており、一方周辺部では薄くなっているという。これは地球の温暖化傾向により、地球表面から水分蒸発量が増えるが、グリーンランド中心部では平均気温が零度以下のため、それが雪となって降下するからである。これを薄くなっている、と見出しを書くと世間に全く違って伝わる。
序で(ついで)ながら、同様のことが名極でも起こっている。しかし南極大陸では縁辺部の氷は、過去20年間、交代していないことが、我が国の石油公団の調査から分かっている。地球環境の実態は、冷徹な科学の目で見る必要がある。
このように、数℃の温度上昇によってグリーンランドや南極の氷河が著しく後退して海面上昇につながる可能性は今のところ全くの空論に過ぎない。」
炭素税関連資料(2)
___. エネルギー需要の価格弾力性は中長期的には高い。
佐和隆光2000年11月(京都大学経済学部教授、GISPRIニュースレター「炭素税の是非を巡るいくつかの論点」http://gispri.or.jp/newsletter/2000/0011-2.html)
「炭素税制の導入は化石燃料の価格を人為的に引き上げるから、省エネルギー技術の開発を促進し、低燃費車や省電力設計の家庭電化製品の普及を促すという効果を見落としてはならない。エネルギー需要の価格弾力性は低い(エネルギー価格が上がっても、需要はそんなには減らない)から、炭素税が化石燃料消費を抑制する効果は乏しいという向きが少なくない。短期的には、確かにそのとおりである。ガソリンや電力は、酒やタバコと同じように、値段が急に高くなったからといって、すぐさま消費量を抑えるわけにはゆかない。しかし、3〜5年たって、新しい自動車や家電製品に買い替える際に、低燃費車や省電力設計の機器が選好されるはずである。したがって、中長期的に見れば、エネルギー需要価格弾力性は決して低くないのである。」
___. アナウンスメント効果
佐和隆光2000年11月(京都大学経済学部教授、GISPRIニュースレター「炭素税の是非を巡るいくつかの論点」http://gispri.or.jp/newsletter/2000/0011-2.html)
「そしてもう一つ、炭素税を課することのアナウンスメント効果も馬鹿にはならない。ガソリンを買うたびに、炭素税のことを想い起こして、二酸化炭素の排出を抑制・削減することの必要性を消費者に痛感してもらえば、エネルギー多消費のライフスタイルの自主的な見直しが進むはずである。一般に、アナウンスメント効果というものは、税率の高低にあまり関係がないはずだから、比較的低率の炭素税からスタートしてみて、それがもたらすアナウンスメント効果の程を推し量ってみてはいかがなものか。」
___. 炭素税の定義
江口藤徳、犬塚沙絵子、重近健太郎(「炭素税?排出権??そうでござるよ、ニンニン。。。っの巻!!」)
「「環境税」を導入するにあたり何に税金をかけるかが問題となるが、地球温暖化で一番問題となる一方で税金をかけやすいCO2が一般的なターゲットとなっている。なぜなら、一般に一度空気中に排出されてしまったガスの量を測定するのは難しいのだが、二酸化炭素の場合、エネルギー燃料となる化石燃料中に含まれる炭素の量は既に分かっており、それに従って税金をかければよいからである。1単位炭素あたりの税金を定めればそれぞれの燃料使用にかかる税金というのは簡単に定まる。これが、このようなかたちの税金が「炭素税」と呼ばれる所以である。」
___. 炭素税は、全世界同率で一斉にかけなければ意味がない。
江口藤徳、犬塚沙絵子、重近健太郎(「炭素税?排出権??そうでござるよ、ニンニン。。。っの巻!!」)
「炭素税とはそもそもCO2の排出を抑制するためのものとされる。そしてその導入は地球温暖化防止のための手段とされる。このシステムは世界中の国々において同じ割合で導入されなければ意味を持たないものとなってしまう。たとえばここに炭素税導入国A国と非導入国B国があったとしよう。A国で生産を行っていた企業にはエネルギー源である化石燃料中の炭素含有量に応じた税金を支払う義務が生じるため、その生産コストは支払う税分高くなる。企業は利潤を最大化するためにコストを最小限に抑えようとするので、A国での生産活動を切り上げ、生産活動の拠点を炭素税非導入国であるB国に移すことになる。B国においてこの企業は税金を支払わなくてもいいばかりか、何も気にせずに温室効果ガスを出し続けることであろう。また、たとえA国内の企業が生産拠点をB国に移転しなかったとしても、それらはエネルギー効率を上げるための技術開発をするなり化石燃料の使用を削減するなりするため、世界全体の化石燃料の需要は減少することになる。化石燃料の国際価格は下がり、B国のような炭素税非導入国で、化石燃料需要国にとっては幸運的な結果となり、エネルギー効率を上げようとするインセンティブは働かなくなる。税負担がもたらす経済成長や国際競争力に与える悪影響も心配される。A国では化石燃料を集約的に使用する産業は国際競争力を喪失することにもなる。結局、世界全体のCO2排出量は減少することなく、むしろ増加してしまう危険性が生じてしまい、地球温暖化対策としての働きを持たなくなってしまう。」
___. 現在までに炭素税を導入した北欧諸国は特殊な例。
江口藤徳、犬塚沙絵子、重近健太郎(「炭素税?排出権??そうでござるよ、ニンニン。。。っの巻!!」)
「多くの国々が炭素税導入に関してまだ準備段階である中、先立って炭素税を導入するということは大きなリスクを伴ったはずである。国内においてのみエネルギー価格が上昇する(従来のエネルギー価格に税金分上乗せされることから)ということは、自国の産業が他国に流れる恐れがあるからである。実際いくつかの企業は炭素税導入後に他の国に生産拠点を移したところもあるが、それでもそれは大きな問題とはならなかったのは北欧を中心に環境倫理が徹底しており、人々の理解が得やすかったからである。これを世界全体で徹底させることは大変であるが、なぜ炭素税なのか、なぜエネルギー価格が上がってしまうのか、そもそもなぜ環境問題なのか、という基本的な情報を均等に与えることが大前提である。」
___. アナウンスメント効果は大きい。スウェーデンで経験的に証明されている。
江口藤徳、犬塚沙絵子、重近健太郎(「炭素税?排出権??そうでござるよ、ニンニン。。。っの巻!!」)
「スウェーデンの自然保護庁によると、CO2の排出量は1987年から1994年の間に8,000Kt、排出量全体の19%減少した。また、CO2排出削減の約60%は炭素税の賦課によるものとし、残りの40%はエネルギー利用の効率化と地域暖房の集約化によるものとしている。しかし、後者は炭素税が導入され、インセンティブ効果が働いたからこそ実現されたことという考え方もでき、前者と無関係ではない。(中略)地域暖房やマンションなど、一般住民に関わる部門の減少率が高いことは興味深い。それだけ人々の間にアナウンスメント効果が働いているということを意味しており、一人ひとりが日常生活で税を払うという行為を通じて、地球温暖化問題の存在やCO2排出削減の必要性を国民に認識させることが出来ているのである。」
___. 炭素税は、全ての国で一斉にかけるべきである。
江口藤徳、犬塚沙絵子、重近健太郎(「炭素税?排出権??そうでござるよ、ニンニン。。。っの巻!!」)
「現在、一部のヨーロッパの国々(北欧諸国、オランダ)では既に炭素税が導入されているが、世界全体のCO2削減のためには全ての国々で同率に税金をかけることが求められる。それは、非導入国もしくは低税率国における生産はその生産要素エネルギーにかかるコストが安いことから炭素税導入国、高税率国から好まれ、生産拠点を移動させる原因にもなるし、また、導入国ではエネルギー効率を上げたり化石燃料使用を少なくしたりすることから化石燃料の国際価格はその需要が減ることから安くなり、非導入国は使いたい放題という状況になって、結局地球全体としてのCO2排出量は減らないという現象も起こりうるからである。」
___. 北欧での好結果が全ての国に当てはまるわけではない。
江口藤徳、犬塚沙絵子、重近健太郎(「炭素税?排出権??そうでござるよ、ニンニン。。。っの巻!!」)
「欧州における導入国が地球全体に対して悪影響をもたらさないのは人々の環境倫理やアナウンスメント効果が働いているからであり、また、企業側にも導入しやすいように設定されているからである。しかしこれは必ずしも全ての国で炭素税が良い結果を導くということを示しているわけではなく、やはり導入に際しては各国の経済発展状況、それからエネルギー効率を考慮しなければならない。」
___. 一国のみでの炭素税導入は、世界規模で見るとかえってCO2を増やしてしまう。
伴金美1998年3月(大阪大学大学院経済学研究科「炭素税導入のシナリオ分析」1998年3月「経済分析」収録http://ban.econ.osaka-u.ac.jp/kban/doc/gtap-env9803.pdf)
「炭素税導入に当たって飲もう一つの問題は、炭素税導入を一国で行っても、他国が導入しなければ、地球規模でみれば二酸化炭素排出抑制にはつながらないことである。我が国における炭素税導入に反対する有力な意見によれば、炭素税を賦課することで、化石燃料を効率的に使用する産業が国際競争力を失い、化石燃料を非効率的に使用した輸入財に市場を奪われ、地球規模でみれば、二酸化炭素の排出抑制にはならない。これは「抑制の漏れ」と呼ばれる現象で、炭素税の導入にあたっては、各国が協調して実施することの必要性を説いたものである。」
___. モデル計算によると、「炭素の漏れ」を考慮しても、CO2排出量は相対的に削減可能。
伴金美1998年3月(大阪大学大学院経済学研究科「炭素税導入のシナリオ分析」1998年3月「経済分析」収録http://ban.econ.osaka-u.ac.jp/kban/doc/gtap-env9803.pdf)
「第三は、特定の国が炭素税を賦課することで、「貿易移転効果」により、賦課していない国の化石燃料消費が増大する「炭素の漏れ」が生じる。本章の分析結果によれば、「炭素の漏れ」の存在することが認められるが、炭素税の賦課が日本単独であれ、先進国に限られたものであれ、世界全体の化石燃料消費を減少させる効果が認められる。特に、石油とガスについては、炭素税が先進国で限定した場合と、世界全体で賦課した場合の化石燃料消費の削減量には大きな差のないことに明らかにされた。「炭素の漏れ」については、Ruthford(1992)の100%からBurniaux、Martin、Nicoletti and Martins(1992)の2.5%までモデルによって異なっているが、我々の分析によれば10%程度で、後者に近いものである。」
___. 税による削減は、費用を最小限にする。
石弘光1999(一ツ橋大学学長、「環境税とは何か」岩波新書p.90)
「租税手段が、経済的手段の中でもっとも重要視されるのはそれなりに理由がある。特に、次の二点が注目される。第一に、直接規制と比較して、租税手段は汚染排出量を削減しようとする際、その削減費用を最小に出来るというメリットを持つ。一般に、汚染主体たる企業はその技術水準の差を反映して、排出量を削減する費用も異なっている。この費用水準の相違を考慮に入れ、排出量を削減させるのがもっとも効率的であるが、しかし規制により個別に排出量削減目標を、各企業に直接に割り当てることは不可能である。というのは、規制者たる政府は個々の企業の情報を、完全に入手できないからである。これに対し、排出量一単位当たりの課税は、個々の汚染者に対する情報を必要としない。税・課徴金が課されると価格変化が生じ、企業はその市場からのシグナルを見て、税率水準に対応した限界削減費用に自ら調整するはずである。いずれ税率に等しい限界削減費用は均一化され、社会全体の削減費用を最小にすることが出来る。」
___. 補助金の問題。
石弘光1999(一ツ橋大学学長、「環境税とは何か」岩波新書pp.92-3)
「しかしながら、環境政策としてのインセンティヴ・メカニズムにおいては、両者[補助金と租税]はいくつかの点で本質的に異なっている。(中略)まず第一に、補助金を具体的にいかなる基準に基づいて決定するかの問題がある。(中略)理論的には、補助金は排出量単位当たりでなく、例えばSox、Noxなど、削減される汚染量(つまり大気浄化の程度)単位当たりに対して支払われるべきであろう。しかし現実的にこれは難しい。そこで現行の排出量水準と比較すべき排出量のベースラインを決定し、両者の差を削減目標として補助金を算定する必要が生じてくる。しかしこの手法は合理的な近似かもしれないが、将来の補助金増額を狙って、汚染者は当初、排出量水準を大幅に増やす誘惑に駆られるかもしれない。
第二に、汚染主体たる企業は税負担を強いられないどころか、逆にそれと同額の補助金の支払を受ける。補助金は公共支出に付け加えられ、その財源を別途、何らかの形で調達せねばならない。この点、「二重の配当」を生み出す租税手段とは大きく正確を異にする。」
___. リンケージの問題。
石弘光1999(一ツ橋大学学長、「環境税とは何か」岩波新書pp.104-105)
「環境税の創設にあたっては、課税ベースと環境汚染のつながり、つまりリンケージが非常に重要になってくる。もしこのリンケージが弱いと、環境税は汚染削減に望ましいインパクトを与えないどころか、かえって生産及び消費活動に不必要な、かつ費用のかかる歪みを生じかねない。例えば、投入要素に対し課税し、その使用を減少させ、排出量削減をしようとしても、入り口(投入)と出口(排出量)のリンケージがあまりないと、課税の効果はない。」
石弘光1999(一ツ橋大学学長、「環境税とは何か」岩波新書p.105)
「現に、石炭火力発電において、生産技術の向上により、課税ベースと汚染物質のリンケージがほとんど無関係になるケースが生じている。排ガス脱硫装置の設置により、環境汚染を惹起する二酸化硫黄の排出が削減され、硫黄含有量の多い石炭に対する課税は、汚染排出量の低減に役立っていない。つまりこのように、生産工程の末端での排出物の浄化により、環境汚染を低減させる程度が大きいほど、環境税の効果は限定されたものにならざるをえない。」
石弘光1999(一ツ橋大学学長、「環境税とは何か」岩波新書pp.105-106)
「また安定したリンケージだと事前に想定されていたものが、環境税の導入により不安定になる場合もある。このような例は、家庭のごみ収集に特定のゴミ袋の使用を義務付け、家庭ゴミへの課徴金を導入しようとしたノルウェーなど、いくつかの国で報告されている。原理的にこの制度は、ゴミ袋の数が収集されたゴミの量の大ざぱな指標になると仮定して考案された。しかしながらこの課徴金が賦課されると、いくつかの家庭ではゴミの減量を図るのでなく、袋の数の節約を図る傾向がでてきた。つまり袋に過度に詰め込むことや、不法投棄で課税に対応したため、別なところで新たな環境問題を引き起こすことになった。」
___. 炭素税=原発促進税。
石弘光1999(一ツ橋大学学長、「環境税とは何か」岩波新書p.130)
「炭素税の一つの欠点は、原子量発電によるエネルギーを課税ベースに含みえないことである。エネルギー生産において原子力発電が、化石燃料によるものと同様に重要になってきている今日、炭素税が導入されたとき、それが非課税のままでは、原子力発電が相対的に有利にならざるを得ない。いわば炭素税は、原発促進税とも言うべき役割を担うことになる。」
___. 炭素税によって、国際競争力が低下する。
石弘光1999(一ツ橋大学学長、「環境税とは何か」岩波新書p.177)
「炭素税のもう一つの重要なマイナス効果は、国際経済力が低下することである。市場において、これはエネルギー集約的な生産に従事する企業に深刻な影響を与える。まず第一に、炭素税は生産費を増大させる。これはとりわけ技術革新に迅速に対応できない企業や、国際市場で競争にさらされている企業に顕著となる。第二に、国際競争力の喪失のため、多くの企業は炭素税のない環境規制のあまり厳しくない他国や、このようなものが存在しない他国へ、多くの企業は移転を測ろうとする。」
___. 炭素の漏れに対するターン。
石弘光1999(一ツ橋大学学長、「環境税とは何か」岩波新書p.178)
「しかしながら、この炭素税のマイナス・イメージに対抗して、より前向きな効果を期待する議論も存在する。たとえば、炭素税の導入と経こうして汚染削減と利潤極大化が進み、企業はより競争的にまた効率的になるかもしれない。汚染企業の海外移転の多くは、主として企業性略と貿易自由化に基づくもので、環境基準が弱いというわけではないとする議論も出されている。」
___. 炭素税導入に当たっては、課税段階が極めて重要。
石弘光1999(一ツ橋大学学長、「環境税とは何か」岩波新書pp.178)
「まず第一に、炭素税の導入にあたっては、その課税段階が極めて重要となる。これは炭素税の基本的性格を規定すると言ってよい。(中略)もし徴税費用を最小にし、課税ベースを最大にしたければ、化石燃料の生産・輸入時点での課税が望ましい。日本では、大半の化石燃料は海外からの輸入に依存しているから、港で課税すればよく、他のケースと比較して徴税費用は圧倒的に安くなる。この課税方式は、先述したオランダの炭素税が採用している。しかしながら、生産・輸入時点から流通経路に移るにつれ、炭素税の存在は希薄となり、税負担の転嫁も曖昧となる。地球温暖化の元凶たるCO2排出量を削減するねらいをもつ炭素税の基本的性格からして、付加価値税(日本では消費税)のように、究極的に最終消費者が、その税負担を担うことが望ましい。というのは、全ての国民が地球温暖化という環境汚染の加害者であるからである。とするなら、炭素税は最終的な流通時点(例えば、ガソリン・スタンド)で課税され、消費者にアナウンス効果を与え、エネルギー消費を節約させるようにした方がよい。」
___. 自主的プロセスが、環境独裁を防ぐのに重要。
「環境の世紀 未来への布石VII〜持続社会の構築に向けて〜」(東京大学教養学部前期過程2000年テーマ講義公式サイト、http://www.sanshiro.ne.jp/activity/00/k01/schedule/7_14_2.htm)
「ちょっと順番が前後しますが、倫理的なアプローチで問題になるのは、私たちが、豊かな世界に住んでいる人の生活水準を下げようという時に、えてして、量的な規制ですね、「明日からみんなの持っているお金を半分にしましょう、それを途上国に全部寄付しましょう」とか、「明日からエネルギー消費を半分にしましょう。電気も明日から、蛍光灯を半分しか使わないようにしよう」とか、そういうことを国の高いところで一律に決めて、それを全部に強制的に割り当ててやるということになると、おそらく環境独裁ということになってきますね。そうじゃなくて、私達がお互いに顔の見える範囲で暮らしながら、その生活世界の中で、結論的にはエネルギーの無駄なものは使わないという形で妥協点を見出していくという手続きをとる必要も出てくる。結果は量的に見ると同じであっても、そこに至るプロセスに、非常に大きな社会科学での違いというものが出て来るだろうという問題が、倫理的アプローチでは確認されるでしょう。」
___. エコファシズムは、弱者切り捨て。
丸山真人2000年(エントロピー経済学、「環境の世紀 未来への布石VII〜持続社会の構築に向けて〜」東京大学教養学部前期過程2000年テーマ講義公式サイト、http://www.sanshiro.ne.jp/activity/00/k01/schedule/7_14_6.htm)
「つまり、ある環境が非常に悪化している時に、それをきれいにしたい。例えばディーゼルで大気が汚染されているからディーゼルを都心から排除したいというような政策決定がなされたとしますね。そこで、排除しようという時に、誰に一番しわ寄せがくるかというと、零細企業の経営者であったりするわけですよ。それで、トップの企業であれば、ガソリン車に変えるとかいう資本調達はそんなに苦しくないけれども、個人経営の会社ではトラック1台買い替えるのも大変なことです。だけど、買い替えなければ罰則があって、それを守らなければ牢屋に入るという可能性も出てくるわけです。それを元に、フィリピンの場合も、ある環境基準を上からがっと決めて、下に1週間以内にそれを守れと、で守れない人はこの土地から排除しますと。
そういうことになると、結局貧しいもの、弱いものに一番しわ寄せが来るという問題があって、それを僕はエコファシズムの限界というふうに言っているわけです。それが、トップダウンの限界じゃないかと考えているわけです。」
鬼頭秀一(環境倫理学、、「環境の世紀 未来への布石VII〜持続社会の構築に向けて〜」東京大学教養学部前期過程2000年テーマ講義公式サイト、http://www.sanshiro.ne.jp/activity/00/k01/schedule/7_14_6.htm)
「エコファシズムという言葉を使うかどうかは問題があるんですけれど、(中略)その[トップダウンによる問題解決の]時に、誰が決めるのかという問題があって、一つは、丸山先生が言われたように、どちらかというと社会的に優位な人たちの、社会的な排除とか基準で決められる、と言ったときに、現実に社会的弱者のいろんな配慮というものがかなりかけているのではないかということです。(中略)今言ったように、環境的正義とエコファシズムを絡めて言うと、少なくとも一律的な価値で何かトップダウンでやるということに関しては、色々問題があると思います。」
___. 豊かさの追求には際限がない。
鷲田豊明2000年12月(豊橋創造大学経営情報学部享受「開発環境と市民社会」http://washida.net/genko/kaihatsu.html)
「しかし、豊かな社会は「望ましい社会」なのであろうか。先進国は望ましい社会にあるのだろうか。先進国でも苦しんでいる。いや、それは贅沢な苦しみで、貧しい社会から見れば、やはり豊かな社会は望ましい社会なのであるという意見は、すぐに聞こえてきそうである。それでもやはし、経済的豊かさにはある種のうさん臭さが付きまとう。
まず怪しく感じることは、豊かな社会である先進国が相変わらず豊かさを追い求めていることである。豊かな社会が目的ならば、それを達成したらその豊かさを維持することだけを考えるべきである。ところが、先進国は経済成長によってさらに豊かにならなければ納得できないのである。
社会が豊かになることとそれを構成する個人が豊かになることは別な事柄である。社会を構成する大多数の人々が豊かになれば、社会も豊かになっているであろうが、逆は必ずしも真ではない。だから分配が問題だと言っているのではない。豊かな社会をのぞましい社会とすることの危うさを問題にしているのである。およそ、分配という概念そのものが社会システムのロジックの中に位置付けられているものなのである。」
___. 多数者の意思を無視して政策を遂行することは、エコファシズムである。
鷲田豊明2000年12月(豊橋創造大学経営情報学部享受「開発環境と市民社会」http://washida.net/genko/kaihatsu.html)
「将来世代に対する配慮を個人の意思から離れて社会として行うということはもちろんだが、それぞれの個人に将来世代に対する配慮を強制することも環境自由主義とは両立しない。
たとえば、将来世代の環境に決定的なダメージを与える決定を現在世代の多数者の意思として行うことはゆるされるだろうか。環境自由主義の立場からすればそれは許される。それが許されないとするような考えはエコ・ファシズムということになってしまうだろう。なぜなら、それは多数者の意思を踏みにじることになるからである。
将来世代が現在世代の配慮に加わるとするならば、それはあくまでも個人の自由な判断においてである。個人が将来世代のために良好な環境を残したいと思うことは、まさに自由である。同じように、将来世代を考慮しないということも一つの判断であって、尊重されるべきなのである。」
___. 炭素税の導入は、経済的メリットがある。また、日本が炭素税を導入し、アメリカが導入しないケースでは、アメリカのGDPだけが減少する。
高橋香絵、室田泰弘(SERF代表取締役、湘南エコメトリクス社長、「温暖化ガス排出削減が世界貿易を通じてマクロ経済に与える影響」、湘南環境リサーチフォーラム(SERF)、http://www.serfinc.net/paper/enecon02.pdf)
「温室効果ガス排出削減による経済へのマイナス影響は、一国が単独で排出削減を行う場合最も大きいと考えられるが、そのような厳しい場合を想定した。つまり、日本が単独で温室効果ガス排出削減を行った際の影響を分析した。(中略)通常、資源などの制約があると、経済効率や産出は低下する。しかし、企業はそうした制約をむしろ飛躍のチャンスとして生かし、それが結果的に全体としての経済効果や産出を引き上げることになる可能性がある。(中略)変革ケースでは、日本のGDPは473億ドル増加する(GDPの0.9%に相当)、その場合、その他アジア・西欧のGDPも各115億ドル、139億ドル増加するが、アメリカのGDPは455億ドル減少する。」
___. エネルギーの高価格化は、日本の技術革新につながる。
室田泰弘、高瀬香絵2001年7月6日(SERF代表取締役、湘南エコメトリクス社長、「京都議定書批准は経済的損失をもたらすか」南環境リサーチフォーラム(SERF)、http://www.serfinc.net/paper/wwf_final-j.pdf)
「これまでの日本の歴史を見る限り、変革ありケースの方が現実的である。日本にとって、資源や人口型などの各種制約は、むしろ技術革新や制度革新の推進要因となってきた。そうでなければ、資源を持たず、人口のみの多い小さな島国が、わずか100年で世界第2位の経済大国になれるわけは無い。最近の例で見れば、日本の機械産業は、アジア諸国の追い上げや、先進国のIT革新などに直面して、競争力を維持するために、高付加価値化を進めてきた。ちなみに、日本機械産業の付加価値率は、1986年から1997年に掛けて29.6%から37.8%へと約8ポイント向上している。回帰分析を行うと、この変化は技術革新と相対的にエネルギー実質価格の上昇によって説明できることがわかる。つまりエネルギー高価格化は、相対的にエネルギーを使用しない産業の技術革新を推進し、その結果競争力を高めるという効果のあることがわかる。」
