2017年08月07日

難民論題 デメリット例

[2017.08.12誤字等修正]

前回に引き続き、難民論題のデメリット例です。

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デメリット1:治安の悪化

固有性:

現状日本では難民認定の数が非常に少ない=肯定側議論を流用

難民認定基準を厳しくすれば、難民流入圧力を抑制できる

墓田桂(はかたけい・成蹊大学教授)「理想だけでは語れない難民問題 日本はなぜ慎重であるべきなのか」『Voice』2017年4月号

「認定条件の厳しさを指摘する意見もある。たしかに諸外国に比べれば厳格に映る部分はある。しかし、それゆえに「難民に厳しい国」を世界に示せるならば、日本で難民申請をする動機を抑制することにもつながる。結果的に難民申請者の流入圧力や、流入がもたらす諸々の問題を抑止していると見ることもできる。」(143)

リンク:

一度受け入れると、日本に10万人規模の難民が押し寄せる

TOCANA 2017年2月4日「【シリア難民受け入れ】150人のはずが300人に…安倍がEU圧力に完敗!関係者「今後10万人にふえる」」( http://tocana.jp/2017/02/post_12229_entry_2.html

「「今回の難民受け入れによって、今後の日本社会に大きな変化がもたらされる可能性は否定できません。シリア難民のほかにも、世界各国には膨大な数の難民がいて、どんどん増え続けています。経済力に応じて、日本ももっと難民を受け入れろという国際的圧力が強まっていくことは火を見るよりも明らかです。それらを全て受け入れることになれば、恐らく日本には10万人規模の難民が押し寄せてくるでしょう」(政府関係者)」

一度難民受け入れの姿勢を見せると際限なく難民が増加する

北野幸伯(きたのよしのり・国際関係アナリスト)「難民を受け入れなければ三等国か」『新潮45』35(9) 2016年9月

「二つ目の問題は、「やさしくすれば、難民が増えつづける」というジレンマだ。ドイツに入った難民が、衣食住を保障され、さらに毎月2000ユーロの手当を支給されたとしよう。そのことを知った中東、北アフリカの人々は、「私もドイツに行って楽で豊かな暮らしがしたい」と思い、実際に行動を起こすだろう。その結果、100万人だった難民は、200万人、300万人、1000万人と増えていく。「永遠に増えつづける難民」という展望が、元からEUに済む人々を恐れさせる。」(45)

難民を受け入れれば、予想を超えて難民が殺到し、人々の善意は限界を迎える

墓田桂(はかたけい・成蹊大学教授)「理想だけでは語れない難民問題 日本はなぜ慎重であるべきなのか」『Voice』2017年4月号

「EUの対応は苦悩に満ちている。難民問題を解決しようと積極的な姿勢を見せたものの、それを上回る勢いで密航者が到達し続ける。理想を裏切る形でさまざまな事件が発生する。人びとの善意は限界を迎えてしまう。」(142)

難民は下層社会を構成してしまう

三浦瑠麗(みうらるり・国際政治学者)「欧州の難民政策は正しいか 多様性の尊重は同化政策の先にしか存在しない」『Voice』2016年3月号

「多くの先進国には、難民や移民などのマイノリティー/社会への法適用に関するダブル・スタンダートが存在します。あるときは、マジョリティーの市民に対するよりも厳しい法適用が行われます。米国における黒人社会への法適用はこのようなケースでしょう。他方で、マイノリティー社会に配慮し、あるいはマイノリティー社会と関わることのトラブルをあらかじめ予想して法適用が消極化し、事実上の治外法権が生じてしまっている場合が多く存在します。当たり前の犯罪が、当たり前に処罰されない空間が生まれているのです。これまでに欧州に流入してきた移民や難民の一部には、下層社会やギャングを構成する層が存在します。ケルン暴行事件の容疑者はモロッコ系が多かったといわれていますが、かれらの多くはシリア難民が流入する以前から存在していた貧困層であり、社会における地位が不安定であるからこそ犯罪の温床ともなりやすい存在です。」(78/79)

同化政策に失敗すると、社会の中に疎外された集団を作り出し、衝突が起こってしまう

三浦瑠麗(みうらるり・国際政治学者)「欧州の難民政策は正しいか 多様性の尊重は同化政策の先にしか存在しない」『Voice』2016年3月号

「マイノリティー社会への法適用が問題となるのは、同化政策に失敗してきたからです。今日の問題の多くは、労働力不足という経済的な問題の解として移民を大量に受け入れておきながら社会の中に包摂せず、中途半端な存在として放置してしまったことに原因があります。結果的に、社会の多数と根本的な価値観を共有しない、疎外された集団を作り出してしまいました。/欧州の多くの国では移民の二世・三世までを含めると人口の二割ほどを占めるに至っており、文化的・経済的な衝突が避けられなくなっているのです。」(79/80)

難民の中にテロリストが紛れ込んでしまう

墓田桂(はかたけい・成蹊大学教授)「理想だけでは語れない難民問題 日本はなぜ慎重であるべきなのか」『Voice』2017年4月号

「「難民はテロリストである」といった極論に与するつもりはない。難民の多くは私たちと同じ普通の人間である。ただ、留意しなければならないのは、難民、あるいは移民のなかから社会に脅威をもたらす人物が現れてしまう事実である。テロとも相まって、欧州の政治状況は不安定になっている。不安定化の要因の一つに難民・移民問題があることは否定できない。一六年六月に行われたイギリスの欧州連合(EU)離脱の国民投票も然りである。ドイツの一極支配やEUの官僚主義に加えて難民・移民問題が争点となった。」(140)

墓田桂(はかたけい・成蹊大学教授)「理想だけでは語れない難民問題 日本はなぜ慎重であるべきなのか」『Voice』2017年4月号

「解決が難しく、一面的な正義が通用しないのが難民問題である。安易に唱えられることが多いが、難民の受け入れは付随する種々の問題を招き入れることでもある。いくつか挙げてみたい。まずは治安の悪化である。繰り返すが、「難民=テロリスト」ではない。社会に危険を及ぼす人物が難民の中に混入してしまうことが問題なのである。EUでは密航者や難民申請者のなかに「イスラム国」と接点をもつ者や戦争犯罪者が紛れ込んでいた事例がある(筆者自身、アフリカの難民定住地で元戦闘員の難民に遭遇したことがある)。また、難民キャンプの軍事化や「難民戦士」の問題は古くから指摘されてきた。テロリストや戦闘員のレベルでなくとも、一般犯罪が一定の割合で発生するのも事実である。状況によっては暴徒も生まれる。」(144)

深刻性:

難民がテロや犯罪を起こす

墓田桂(はかたけい・成蹊大学教授)「理想だけでは語れない難民問題 日本はなぜ慎重であるべきなのか」『Voice』2017年4月号

「二〇一六年十二月十九日、ドイツの首都ベルリンで起きたテロ事件は世界を震撼させた。教会前のクリスマス市に大型トラックが突入し、一二人の犠牲者を出した。トラックが凶器となったのは同年七月十四日にフランスニースで起きたテロと同じ構図である。犯人はチュニジア出身の男だった。難民申請が却下され、本国に送還されないままドイツに滞在していた。ドイツでは、このほかにも難民や移民による凶悪な事件が発生している。難民保護に人道主義の夢を託した市民たちは裏切られた思いだろう。」(139)

難民による治安の悪化・テロ

北野幸伯(きたのよしのり・国際関係アナリスト)「難民を受け入れなければ三等国か」『新潮45』35(9) 2016年9月

「三つ目、これが最大の問題。それは「難民を受け入れて治安が極度に悪化したこと」だ。この問題は、さらに二つにわけることができる。一つは、「難民が罪を犯す」こと。「難民」と聞くと、われわれは、「小さな子供」「お年寄り」「乳飲み子を抱える母/親」などを連想する。ところが、欧州に来ている難民のかなりの割合が「若い男性」なのだ。そして、彼らはしばしば犯罪行為に走る。もっともショッキングだったのは、ドイツで2015年12月31日に起きた、超大規模強盗、性犯罪事件だ。「ある都市で、一日『1000件』の『強盗』『性犯罪』が起こった。といっても、日本人は信じられないだろう。だから「証拠記事」をはりつけておく。<独、15年大みそかの性犯罪は全国規模16州中12州で発生 AFP=時事1月24日(日)10時52分配信【AFP=時事】ドイツの警察は、2015年12月31日に同国西部の都市ケルンで大規模に発生した性犯罪や強盗事件と同様の事件が、ドイツの全16州のうち12州で発生していたと発表した。現地メディアが23日伝えた。><最大の影響を受けたのはケルンがあるノルトライン・ウェストファーレン州で、約1000件の被害届が提出され、次いでハンブルク州の約200件が続いた。>この事件、2016年4月時点で153人の容疑者が特定され、うち149人が外国籍。68人が「難民申請者」である。同事件で、欧州人の難民への同情心は大いに減り、逆に「難民を追い出せ」と主張するいわゆる「民族主義的政治勢力」の人気が高まっていった。「難民受け入れ」で治安が悪化するもう一つの理由は、「難民の中に『ISメンバー』がまぎれこんでいること」である。米国を中心とする有志連合やロシアの空爆で、シリア、イラクのISは壊滅的打撃を受けている。「領土」を失った彼らは、難民に紛れ込み、続々と欧州に向かっているという。EU諸国では難民を大量に受け入れた結果、毎週のようにどこかでテロが起こっている。」(45/46)

北野幸伯(きたのよしのり・国際関係アナリスト)「難民を受け入れなければ三等国か」『新潮45』35(9) 2016年9月

「筆者の住むモスクワは、欧州に近い。欧州の街は美しく、人々は温和で、礼儀正しく、そしてつい最近まで治安が良かった。それで、ロシア人は、自国のリゾートであるソチにいくよりも、欧州のギリシャ、キプロス、スペインなどで休暇を過ごすことを好む。そして、文化を堪能したければ、フランスやイタリアに行く。しかし、欧州は、なんと変わってしまったことだろう。毎週のように大きなテロが起こり、大抵はISがらみである。そして、難民による犯罪も多い。今では、自国もそれほど安全とはいえないロシア人ですら、「欧州は怖いから行きたくない」といいはじめている。「日本も欧州を見習い、難民をもっと受け入れるべきだ」と主張する日本人は、欧州で何が起こっているか知らないのだろうか?」(46)

善意がテロに利用される

墓田桂(はかたけい・成蹊大学教授)「理想だけでは語れない難民問題 日本はなぜ慎重であるべきなのか」『Voice』2017年4月号

「一五年九月、事態は大きく展開する。トルコの海岸に横たわるシリア人の幼児の溺死遺体に欧州は動かされた。一六万人の難民申請者をEU加盟国で分担することも決まった。道徳観の強いドイツ、そして欧州委員会が牽引力となった。そうしたなか、同年十一月、フランスのパリで自爆と銃の乱射によるテロ事件が発生する。犠牲者は一三〇人。犯人のうち少なくとも二人は密航ルートを使ってギリシャに入り、パリまでやって来た。欧州で人びとの善意が高まっていたそのとき、テロの計画は進んでいた。幼児の溺死事件を機にEUは迅速に対応したが、苦悩を背負うことになる。一六万人の分担策はEU加盟国を分断させた。反難民・反移民感情が高まり、反EU勢力と化して既存の政治秩序を揺るがしている。」(141)

中長期的な貧困層誕生や治安悪化

墓田桂(はかたけい・成蹊大学教授)「理想だけでは語れない難民問題 日本はなぜ慎重であるべきなのか」『Voice』2017年4月号

「さらに、難民や移民との関係で問題となるのが社会の景色が変わることである。多文化主義は美しい理念として時に無邪気に語られる。だが、多文化主義は自国の文化と社会が変容を強いられることを意味しかねない。つまりは「庇(ひさし)を貸して母屋を取られる」のである。中長期的には貧困層が生まれたり、「並立(パラレル)社会」が現れたりすることもある。テロを含めた治安悪化は、移民・難民の二世たちが不満分子となった場合にも起こりうる。ベルギーの首都ブリュッセルにあるモレンベーク地区が有名だが、ひとたび並立社会ができてしまうと解体することは難しく、社会問題の温床となってしまう。人の移動の影響は長いスパンで見なければならない。」(146)

その他、治安やテロそのものの深刻性、日本国民を優先すべき、といった議論など

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デメリット2:難民受け入れのコスト

固有性:

現状日本は難民をほとんど受け入れていない=ケース議論を流用

リンク:

難民受け入れにはコストがかかる

滝澤三郎(たきざわさぶろう・東洋英和女学院大学大学院国際協力研究科客員教授)「東洋英和女学院大学大学院連続講座 日本の難民政策を問う 第5回 日本の難民政策:庇護から保護へ」2017年2月18日 『現代史研究』13号(2017年3月)東洋英和女学院大学現代史研究所

「大量の難民流入は受け入れに伴う多大な経済的・社会的・政治的コストと、各国の負担分担の不公平を引き起こす。年間数十万人に上る庇護申請者の審査だけでも時間と費用がかかるし、難民と認定した場合には、彼らが経済的・社会的に自立できるようにする言語教育や就労支援などの定住支援が必要となる。貧しい途上国では、国際援助がなければ十分な定住支援は不可能だ。難民条約は、受け入れられた難民に対して原則として自国民又は永住外国人と同等の就労や教育、社会保障を与えることを加盟国にもとめているから社会保障費も増え、豊かな先進国にとっても負担は大きい。OECD加盟先進国は、難民受け入れの初年度の費用として2015年には約120億ドル(1兆4400億円)、平均でODAの9.1%に上り1人あたりの費用は年間1万ドル(120万円前後)になる。」(222)

滝澤三郎(たきざわさぶろう・東洋英和女学院大学大学院国際協力研究科客員教授)「東洋英和女学院大学大学院連続講座 日本の難民政策を問う 第5回 日本の難民政策:庇護から保護へ」2017年2月18日 『現代史研究』13号(2017年3月)東洋英和女学院大学現代史研究所

「社会的コストとしては、人種や宗教が違う数十万人の難民、「異質な人々」の流入に伴う社会的摩擦や緊張がある。近年頻発する国際テロ事件は移民・難民のイメージを急激に悪化させ、社会の不安感を増大させた。政治的には、難民と移民の排斥を訴える右翼政党が伸張し、自国民の安全を第一にする傾向が強まっている。難民を含む人権擁護に熱心/だったEU諸国でも、難民は「国家の安全保障」への脅威であるとする言説が強まる中で、難民受け入れに対する支持は減っている。先進国は「移民を難民として保護してしまう国家の安全保障上のリスク」を「難民を移民として排斥してしまう人間の安全保障上のリスク」よりも重視するようになった。」(222/223)

難民が増加するに従って、問題が大きくなる

北野幸伯(きたのよしのり・国際関係アナリスト)「難民を受け入れなければ三等国か」『新潮45』35(9) 2016年9月

「2015年、内戦状態にあったシリア、イラク、リビア、アフガニスタンなどから、大量の難民が欧州に向かった。既述のように、その数は100万人といわれる。しかし、ドイツは「2015年、100万人の難民がわが国に来た」と発表しているので、欧州全土に来た実際の難民数は、もっと多いはずだ。当初は、「かわいそうだ」と同情的だった欧州人だが、その後次第に冷淡になっていった。なぜだろうか?難民の数が増加するにつれ、さまざまな問題が起こってきたのだ。」(45)

北野幸伯(きたのよしのり・国際関係アナリスト)「難民を受け入れなければ三等国か」『新潮45』35(9) 2016年9月

「一つ目は、「コストの問題」である。例えば、ドイツを例に考えてみよう。難民には、食べるものも、着るものも、住む場所もない。では誰が、それを提供するのか?もちろん、ドイツ政府だろう。では、誰がドイツ政府に金を出すのか?ドイツ国民である。では、ドイツ国民は、見ず知らずの難民のために毎月毎月お金を支払うほど寛大なのだろうか?ドイツ人が皆聖人のような人ならいいが、実際はそうではない。「自分たちのことで精一杯なのに、知らない人のために、毎月多額の金は寄付できない」ということだ。」(45)

EUが難民問題で苦境に立たされている

墓田桂(はかたけい・成蹊大学教授)「理想だけでは語れない難民問題 日本はなぜ慎重であるべきなのか」『Voice』2017年4月号

「世界的な規模で展開している難民問題だが、先進国圏ではEUの苦難が際立っている。欧州に活路を見出そうと中東やアフリカから難民・移民が地中海を船で渡っている。難民を含めた多様な背景の移動者が流れ込む「混在移動」の典型である。概して密航船の衛生状況は悪く、船の転覆は後を絶たない。密航者の苦境に胸を痛めない者はいないだろう。EUでの難民申請者は一五年だけで一二八万人に登った。EUの人口は約五億人だから、比率でいえば一%にも満たない。だが、流入してくるのは文化的、宗教的背景の異なる人たちである。お金を落として帰ってくれる/旅行者とは異なり、難民は社会の負担となりかねない。やはり重たい数である。」(140/141)

難民を労働力として期待するのはお門違い

墓田桂(はかたけい・成蹊大学教授)「理想だけでは語れない難民問題 日本はなぜ慎重であるべきなのか」『Voice』2017年4月号

「難民が労働力になることを期待する向きもある。これについては、経済が好調なドイツでも一五年以降に来た難民の雇用率は一三%に留まるという統計がある(一六年十一月十六日付ロイター)。無理もない結果だろう。ドイツ語の習得は簡単ではない。そもそも同じアジアの人間でも、アフガニスタンの下層の少年とインドの工科大学を卒業した者では資質が異なる。移民ならば相応のルートで適切な人材を調達すべきだった。」(145)

深刻性:

コスト計算、日本国民を優先すべき、等の議論を入れる

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肯定側議論用資料集

N/UQ 日本ではすでに多くの外国人が働いている

Newsweek日本版 2017年1月27日「日本の外国人労働者、初の100万人超え 技能実習・留学生が増加」( http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/01/100-16.php

「厚生労働省が27日発表した外国人雇用の届出状況によると、2016年10月末時点で日本で働く外国人は108万3769人となり、初めて100万人を超えた。前年同期比19.4%増加し、4年連続で過去最高を更新した。技能実習生が同25.4%と大幅に増え、21万1108人だった。留学生は同25.0%増の20万9657人。専門的・技術的分野のいわゆる高度人材も20%超の増加となった。国別では、中国が最も多く34万4658人(全体の31.8%)、次いでベトナム17万2018人(同15.9%)、フィリピン12万7518人(同11.8%)だった。前年比伸び率が最も高かったのはベトナム(56.4%増)、次いでネパール(35.1%増)。この数値は、昨年10月末時点で事業主から届け出のあった数を集計した。届け出は2007年から事業主に対し義務化されている。」

日本は地理的障壁が高いので、それほど多くの紛争難民は流入しない

滝澤三郎(たきざわさぶろう・東洋英和女学院大学大学院国際協力研究科客員教授)「東洋英和女学院大学大学院連続講座 日本の難民政策を問う 第5回 日本の難民政策:庇護から保護へ」2017年2月18日 『現代史研究』13号(2017年3月)東洋英和女学院大学現代史研究所

「日本の難民受け入れはなぜこれほどまで少ないのだろうか?第一の理由は、多くの難民が発生する中東やアフリカの紛争国家から日本が地理的に離れていることだ。来日手段は航空機以外にはなく、航空券代も高額だ。一家五人で来れば年収の何倍にもなる費用がかかる。難民にとって日本の「地理的障壁」はきわめて高い。」(225)

日本は問題になるほどの大量の難民受け入れは期待されていない(適正量の難民の受け入れは可能)

三浦瑠麗(みうらるり・国際政治学者)「欧州の難民政策は正しいか 多様性の尊重は同化政策の先にしか存在しない」『Voice』2016年3月号

「日本は難民問題について、どのように対応すべきか。その際に重要となるのが物事を数字で捉えるということです。日本の社会政策をめぐる議論において、とかく抜け落ちがちなのが、この数字をめぐる感覚であり、難民問題のように人びとが感情的になりやすい問題ではとくにその傾向が強いからです。日本にはドイツのように一〇〇万人規模の難民を受け入れる能力も意思もないでしょう。そんなことは、国際社会から求められてもいないし、過去の受け入れ実績からも合理的に期待できるレベルではない。」(82)

難民こそテロの犠牲者

小尾尚子(おびなおこ・UNHCR駐日事務所副代表)「今日の難民問題、日本ができること」『部落解放』(736) 2017年2月増刊 部落解放・人権入門2017、解放出版社編

「日本と難民問題ですが、難民を素直に読むと「難しい人」です。元々は避難の難から取られた言葉だと思いますが、字面から見ると少し近寄りがたいと感じる、という話をよく耳にします。特にヨーロッパのテロの後は、難民のなかにテロリストは混ざってないかという質問がずいぶん増えました。しかし、まず私たちが第一に念頭に置かなければならないのは、難民こそテロの第一の犠牲者であるということです。祖国でおきたテロのために家を追われ、国を離れざるを得なくなった人々なのです。また、難民条約は、そういったテロ行為などに関わっている人を、「国際保護の必要のない人」として、/除外する規定を設けています。きちんとした審査が行われることにより、そうした人が難民を偽るということも防ぐことができる仕組みがあるのです。」(66/67)

「外国人差別ウォッチ・ネットワーク」ブックレット編集班「外国人包囲網」現代人文社Genjinブックレット、2004年

「外国人犯罪が増加しているという点については、たしかに短いスパンで見ると増加している。しかし、実数は日本人よりも圧倒的に少なく、また来日外国人の犯罪以上に、日本人の犯罪が増加していることがわかる。また、刑法犯と特別法犯の両方の推移を見ると、外国人の犯罪とされるなかに、多くの特別法犯が含まれていることがわかる。しかし、この特別法犯の大半は、「出入国管理法違反」、すなわち不法滞在(オーバーステイ等)である。不法滞在者については、ある程度の人口がつねに存在しており、そのときどきの政策に従って、厳しく取り締まったり、緩めたりしている。つまり、実際の人員が増加したか減少したかというよりも、どのような政策がとられているかによって、数字が大きく変動するのが明らかである。出入国管理法違反の増加は、むしろ「厳しい取締り政策がとられている」ことの裏返しである。このような性質上、とりあえず他の犯罪とは区別して考えておくべきである。」(12)

「外国人差別ウォッチ・ネットワーク」ブックレット編集班「外国人包囲網」現代人文社Genjinブックレット、2004年

「よく「不法滞在者(非正規滞在者)は犯罪の温床である」という言い方が当局からなされている。[中略]具体的な数字から検討してみよう。2003年の日本全体の刑法犯検挙人員は379,602人であるが、そのうち非正規滞在の外国人は1,502人で、0.4%に過ぎない(図2)。また、来日外国人の検挙人員8,725人のうちでも17%を占めるに過ぎない。このように犯罪検挙人員全体から見れば、非正規滞在者の占める比重は微々たるもので、とても「犯罪の温床」と呼べるような代物ではないことがわかる。」(12-13)

坂中英徳(さかなかひでのり・一般社団法人 移民政策研究所所長)『人口崩壊と移民革命』日本加除出版、2012年

「移民関連の改革は大がかりなものになるだろう。しかし、それによって日本人の生活の良質な部分が害されることにはならない。たとえば、政府は移民の日本語学習を奨励する。そうすれば移民と日本人の融和が進み、移民の子供は流暢に日本語を操れるようになる。外国人は怖いというイメージを抱く人がいるかもしれないが、専門技術を有する移民を受け入れ、移民とその家族が社会と経済の発展の恩恵に浴すれば、移民は公共の安全を脅かすものにはならない。」(4)

日本でのテロの危険性は低い

My News Japan 2009年(http://www.mynewsjapan.com/reports/1126

「イスタンブールにやってきて意外だったのは、テロの警戒度が異様に高いことだった。ショッピングセンターやホテルなど、不特定多数の人が大勢集まる施設の入り口には必ず、空港でおなじみの金属探知機(センサー)が設置され、そこを通らなければ入れない。地下鉄の入り口でも警備会社の人がいて、バックなど不審なものを見つけてはセンサーをあてている。私のバックパックも、いちいちセンサーをあてられて面倒だ[中略]その点、日本はとんでもなく平和だ。「ほぼ単一民族」「海に囲まれた島国」という民族的、地政学的なラッキーな出自は、実はものすごいアドバンテージである。目には見えない「平和の配当」を常時、享受していることになる。ホテルの入り口でも荷物をセンサーに通し、自分も通る。右側の壁には青い目玉「ナザーレ・ボンチュウ」(魔除け)が張ってある。アイヌ民族が「北海道はもともと俺達のものだ」と民族自決を言い出してクルド人のように武装蜂起したり、無差別テロを起こす可能性も、ほとんどない。私は右翼でも保守主義でもないが、やはり「ほぼ単一民族」というのは、せっかくの日本の強みなのだから、活かすべきだ。トルコはクルド人移民に寛容だった結果、PKKを生み出す一因となった。移民が何割にもなった場合のコスト増大リスクがどれほど大きいか、よく考えたほうがよい。日本は「ほぼ単」であることで効率がよく、競争力の源泉になっていると思う。日本でテロをやろうと思ったら、新幹線などノーチェックだから特に簡単だし、東京駅や渋谷、新宿など多数の人が集まる場所で、やる気満々な犯罪者のテロ実行を防ぐのは不可能だ。ひとたび起こったら、その警備にかかるコストは計り知れない。だから、そもそもテロの動機が生まれない状態にしておくことが重要だ。日本では水と安全はタダだ、とよく言われてきた。確かにトルコでも飲み水は有料で、街中ならどこでも簡単に手に入るが、ペットボトル500CC1本で、0.5リラ(31円)が相場だ。公園で蛇口をひねれば飲める水がタダで出てくる日本はすばらしい。日本にいると空気のように「あって当たり前」になってしまっているが、海外に出ると、こうした日本の優れた点について、改めて実感するのである。日本の強みは、残さなければいけない。」

『選択』2005年10月号(31(10))「「イスラムテロ」は日本で起こるか――「可能性極めて薄い」とするその理由」

「おそらくロンドンがイスラム系テロリストの標的になる危険性は、今後も、東京が狙われる危険性の数百倍、数千倍の確率であり続けるだろう。その理由は二つある。その第一は、イスラム教徒の欧米に対する強い敵対意識、嫌悪感だ。それは歴史的なものであり、また9.11事件以来の米・英によるイスラムへの敵対行動によってさらに先鋭化している。一方、日本はイスラム教徒の意識下では今も東洋人であり、敵意の対象となっていない。第二に、テロを実施するとなるとその作戦を実行に移す「セル(細胞)」を組織化する必要があるが、日本ではこれが非常にやりにくい。一方、イギリスを例にとれば数百万人のイスラム・コミュニティが存在している上に、毎日、空港、港湾、はたまた鉄道駅を経由して、ベールを被った婦人や、あごひげを生やしたイスラム教徒の男が頻繁かつ大量に出入りしている。テロ細胞は、このようなコミュニティーを隠れ蓑とし、ある日突然、牙を剥く。」(13)

『選択』2005年10月号(31(10))「「イスラムテロ」は日本で起こるか――「可能性極めて薄い」とするその理由」

「この点、日本人は、米国の対テロ戦争を支持し、イラクに「派兵」している政権を戴いているという限りにおいて、責任があるということになる。だが、数世紀にまたがる憎悪の記憶を背景とする、欧米人への敵愾心と、戦略的な考慮の結果としての選択は質的に明らかな違いがある。あえて日本で自爆したいと志願するイスラム戦士はいないのだ。」(14)

『選択』2005年10月号(31(10))「「イスラムテロ」は日本で起こるか――「可能性極めて薄い」とするその理由」

「日常生活において、「私はムハンマドといいます」と名乗っても、日本社会で露骨な差別、攻撃に遭うことはない。この当たり前のようなことが多くの国、とくに欧州、アメリカでは当たり前でない。日本の3K(きつい、危険、汚い)職場に働くイランやパキスタン系のムスリムの間に「テロ細胞」ができるのではないかとの見方に至っては、的外れも甚だしい。日本は(不法就労を取り締まる当局が目を光らせているにせよ)労働の対価が差別なくきちんと支払われる、イスラムの理想に近い社会なのである。」(15)

『選択』2005年10月号(31(10))「「イスラムテロ」は日本で起こるか――「可能性極めて薄い」とするその理由」

「9.11事件の首謀者であったことを自認したハーリド・シェイク・モハンマドをして、「組織作りのために訪日したが、断念せざるを得なかった」と言わせた、目に見えない日本の障壁は、このような日本社会の均質性、悪い表現では島国根性にあると言ってよいだろう。」(15)



geniocrat at 06:06|PermalinkComments(0) JDA | 資料集

難民論題 メリット例

[2017.08.12誤字等修正]

今年もJDA秋季大会論題投票の季節となりました。

今回の論題候補の中では、「難民認定基準の大幅緩和」論題が、完全に新規な論題となるので、担当者としてリサーチした結果を参考までにこちらに掲載しておきます。一応メリット・デメリットという形で簡易に並べ替えてはいますが、文脈を若干長めに取っていること、資料を並べただけの状態であることから、実際の試合で使用するレベルではないため、資料をセレクトしたり追加リサーチしたりして仕上げる必要はあると思います。

資料については、形式的にはこのまま使用しても差し支えない形にはしていますが、転記の際の誤字脱字誤変換や文脈の取り違えなどの可能性があるので、必ず原典を確認してからご使用ください。

今回はメリットとして「難民を救う」「日本の国際的地位向上」、デメリットとして「治安の悪化」「難民受け入れのコスト」を挙げましたが、この他にも、特に外国人労働者論題の議論などは流用できるものが多いと思います。また、今回は作りませんでしたが、難民の定義に関するトピカリティや、難民認定以外の難民対策をカウンタープランとして仕立てたり、といったこともできると思われ、工夫の余地は大きいと思います。

今回はメリット編です。

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プラン:

1 日本は難民受け入れ拡大のため、難民認定の基準を変更する。

 A 難民認定の理由として「内戦やテロ組織等、国家以外による迫害」も含めることとする

 B 「迫害」の定義として、明白な身体生命の危機を伴わないものであっても、広く人権侵害と認められるものについては、難民認定の理由として認めることとする

 C 難民認定の際難民側が立証責任を負うのではなく、政府側が難民に該当しないということの証明責任を負うものとする

2 難民と認定された者に対しては、語学研修や職業実習等の定住支援を行う

3 難民認定が却下された場合の再申請は1回までとする

4 その他必要な措置をとる

メリット1:難民を救う

内因性:

現状の日本の難民認定は非常に少ない。

難民とは

難民支援協会HP ( https://www.refugee.or.jp/refugee/

「「難民」と聞くと、自分とは違うどこか遠い存在と感じるかもしれませんが、実際はどうでしょうか? 難民とは、紛争や人権侵害などから自分の命を守るためにやむを得ず母国を追われ、逃げざるを得ない人たちのことです。」

難民・避難民の数は6,500万人を超える

難民支援協会HP ( https://www.refugee.or.jp/refugee/

「世界には、日本の人口の約半数に当たる6,530万人が故郷を追われています。シリアや南スーダンなど新たな危機の頻発や人道問題の長期化により、近年、難民となる人は増えています。たとえば、紛争勃発から6年目になるシリアは、国民の約25%である549万人が国外に逃れました。1978年に始まった紛争でイランに逃れたアフガニスタン難民の避難生活は、30年以上に及びます。」

国外に逃れた難民は2130万人

NHK解説委員室「深刻化する難民危機 世界と日本の役割」(時論公論)2016年6月21日 二村伸 解説委員( http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/247454.html

「まず、「世界難民の日」の20日に、UNHCR・国連難民高等弁務官事務所が発表した最新のデータです。迫害や紛争によって家を追われた人は、去年末時点で6530万人。1年で580万人増え、統計を取り始めてから最悪の数字となりました。このうち、国外に逃れた人、つまり難民は2130万人、国内にとどまり保護を求めている、国内避難民は、初めて4千万人を超えました。去年は1分間に24人が家を追われ、難民や国内避難民になった計算です。」

難民は増え続けている

NHK解説委員室「深刻化する難民危機 世界と日本の役割」(時論公論)2016年6月21日 二村伸 解説委員( http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/247454.html

「難民は3年間で40%も増えました。その原因はシリア難民が急増したことや、世界各地の紛争やテロがおさまらず、祖国に戻ることができない人が多いためです。イスラエル建国により故郷を追われたパレスチナ難民を除くと最も多いのがシリア難民の490万人。次いでアフガニスタンの270万人、ソマリアの110万人となっています。」

日本は難民認定が厳しい

難民支援協会HP ( https://www.refugee.or.jp/refugee/

「2016年は10,901人が難民申請を行い、認定されたのは28人でした。日本では、難民認定の実務を法務省入国管理局が担っているため、難民を「保護する(助ける)」というよりは、「管理する(取り締まる)」という視点が強いといえます。国際基準と比較すると、だれが「難民」かを決める認定基準や、公平性、透明性を確保した手続きの基準、難民の受け入れ体制などが不十分です。もうひとつの理由として、難民問題が日本社会で十分に知られていないこともあげられます。難民を治安悪化や社会のリスクとつなげるなど、難民受け入れに関する根拠のない誤解や偏見も、現状の厳しい受け入れ状況を後ろ支えしているかもしれません。」

日本の難民受け入れは少ない

Platnews 2016年2月20日「日本の難民受け入れ問題はどのような状況か?」( http://theplatnews.com/p=1255

「2011年以降、63人のシリア人が難民認定を申請しているが、認められたのは3人だけ。難民受け入れの代わりに、シリア、イラクの難民と国内避難民向けに約8.1億ドル(約969億円)を支援すると表明している。また、安倍首相が「難民より国内問題解決が先」と発言したことで、イギリスのGuardianは「人権団体は、ロシアやシンガポール、韓国と並び、日本は高所得の国なのに、第2次世界大戦以降で最悪の難民問題に手をさしのべることに失敗していると強調している」として「日本は昨年(2014年)、1億8160万ドルを国連の難民対策部門に支出し、アメリカに次いで2番目に多いが、シリアや他の難民受け入れは、その経済規模に見合っていない。日本で難民資格を申請している60人のシリア人のうち、認められたのは3人であり、約30人は人道上の理由で長期滞在が認められているだけだ」と指摘した。」

理由は、日本の難民認定基準が非常に厳しいため。

a) 日本は内戦を難民認定要件として認めていない

石川えり(いしかわえり・難民支援協会事務局長)「キーパーソンインタビュー 「日本の難民審査は厳しすぎる」難民支援協会の石川えりさん」『毎日新聞』2015年3月2日( https://mainichi.jp/articles/20150302/mog/00m/040/005000c

「ーーシリア難民が日本で認定されないのはどうしてですか。

石川さん 法務省は「政府から迫害を受けているのではなく内戦であるため、難民の定義に当てはまらない」と説明しています。しかし、同じ難民条約を批准している米、英、オーストラリア、カナダではシリア難民の認定率は9割を超えています。なぜここまでの差が出るのでしょうか。」

紛争難民は、難民条約の定義上、救済されない

滝澤三郎(たきざわさぶろう・東洋英和女学院大学大学院国際協力研究科客員教授)「東洋英和女学院大学大学院連続講座 日本の難民政策を問う 第5回 日本の難民政策:庇護から保護へ」2017年2月18日 『現代史研究』13号(2017年3月)東洋英和女学院大学現代史研究所

「1951年当時は東側共産諸国から西側事由諸国への逃亡が多く、イメージ的にはいわゆる「政治的亡命者」が難民の大半だった。しかし今日の難民発生の主な原因は「国内武力紛争」で、政府が特定の個人を狙い撃ちする「迫害」とは異なる。にもかかわらず「紛争状態」は迫害の理由として難民条約に明示的には掲げられていないため、紛争国から逃げてきたというだけでは難民として認められない。つまりそのような者は原則として救済されない。」(221)

b) 「迫害」の解釈の範囲が非常に狭い

認定NPO法人 難民支援協会「日本の難民認定はなぜ少ないか?−制度面の課題から」2017年6月9日( https://www.refugee.or.jp/jar/report/2017/06/09-0001.shtml

「迫害の範囲も、日本は限定的に解釈する傾向にあります。アメリカ、カナダ、欧州各国などの難民認定機関では、迫害を、命と身体の自由に限らず、重大な人権侵害を含むとしています。「重大な人権侵害」が、身体拘束をする、強制労働を強いる、までなのか、宗教の自由を認めない、教育や就職の機会を奪う、ことも含むのかという議論はここでは置いておきます。日本では、迫害を命と身体の自由に限定する傾向が強く、さらには身体の自由を奪われている例であっても、迫害として認めないこともあります。

例えば、ミャンマー(ビルマ)における迫害から逃れた少数民族ロヒンギャが、連日身体を拘束されて強制労働をさせられたことについて、「その期間も2,3日にとどまり、食事を取ることができない場合ばかりではない」ため、生存は脅かされないと、難民認定されませんでした。このような判断の根底にある希薄な人権意識もまた課題といえるでしょう。」

日本の難民認定は、政府から迫害されなければ認められない

認定NPO法人 難民支援協会「日本の難民認定はなぜ少ないか?−制度面の課題から」2017年6月9日( https://www.refugee.or.jp/jar/report/2017/06/09-0001.shtml

「「個別把握論」とは、政府から個人的に把握され、狙われていなければ難民ではないという日本独自の解釈であり、認定されるべき人の範囲を極端に狭めています。

*シリア出身・男性の事例

2012年来日。難民申請の結果は不認定。現在、裁判中。罪のない子どもが殺される光景を目の当たりにして、アサド政権に対抗するデモに参加。しかし、国は「デモの最中に攻撃されるといった危険性があることは否定できないにしても、それはそのようなデモに参加した人一般の問題であって、異議申立人に固有の危険性ではない」という理由で不認定とした。つまり、難民とは個別に危険にさらされる人であり、デモに参加するシリア人は皆危険にさらされるため、難民ではないという判定であった。

*アフリカ出身・女性の事例

2009年に来日。裁判を経て、2016年の秋に難民認定。当初、国は「指導的な立場でないから」という理由で不認定とした。野党の仲間といた時に襲われ、流産したことを記す病院の診断書まで取り寄せ、証拠として提出したが認められず。最終的に名古屋高裁で、一般党員も逮捕されたり、暴行されたりしているウガンダの人権状況を根拠に、「指導的な立場」でなくとも母国に帰れば命の危険があり「難民」であると判断され、勝訴した。これまでにない画期的な勝訴事例である。

現実は、政府が誰を抑圧・監視対象としているかを正確に認識することは極めて難しい上、迫害することが困難な指導的立場にある者は放っておかれ、むしろ一般メンバーに矛先が向くことは十分に考えられます。人権侵害は一個人ではなく集団に対してなされることもあるという点を踏まえた判断が必要でしょう。」

c) 立証責任が非常に厳しい

石川えり(いしかわえり・難民支援協会事務局長)「キーパーソンインタビュー 「日本の難民審査は厳しすぎる」難民支援協会の石川えりさん」『毎日新聞』2015年3月2日( https://mainichi.jp/articles/20150302/mog/00m/040/005000c

「ーー日本の難民審査の特徴は?

石川さん 欧米とまったく違うことの一つは立証責任です。簡単に言うと、日本では「難民であること」を証明する責任が本人にあるとされており、「難民だというのなら、証拠をすべてそろえて、日本語に訳して持ってきなさい」となります。提出書類が600枚に上ったこともあります。欧米では立証する責任を認定する側と本人とで実質的に分担すると聞きます。圧制下での拷問がどういうものだったかは、体験した本人にしか分からないので語ってもらうしかありません。しかし、拷問が行われていたという客観的な証拠は、米国務省のリポートや新聞記事などを用いれば、難民が自分で立証しなくても他者でも調べることができる。UNHCRも以前の難民白書において「日本政府の認定はあまりに厳しく、極めて高度な立証責任を課す」と指摘しています。また証明できても、深刻な人権侵害なのかという基準の適用も日本は厳しい。2?3日強制労働させられても「その程度であれば迫害にはならない」と判断されたケースもあり、生命身体の差し迫った危機が難民認定には必要と解釈されます。例えばイランは厳しいイスラム国家で、キリスト教の信者は戸外での布教等が禁じられおり、信仰を維持することが難しい場合もあります。イギリスや韓国ではこれは信仰の重大な制限で迫害という判決が出ていますが、日本だと「我慢すればいい」という程度になっています。」

重要性:

難民の生活は過酷

NHK解説委員室「深刻化する難民危機 世界と日本の役割」(時論公論)2016年6月21日 二村伸 解説委員( http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/247454.html

「シリアでは、戦闘により国連やNGOによる援助物資が届けられない地域も少なくありません。政府と反体制派の停戦合意後も戦火はやまず、今月8日には北部のアレッポで3つの病院が空爆の被害を受け、子どもを含む市民15人が犠牲になりました。国内にとどまっている避難民は660万人、子どもやお年寄りを含む多数の市民が国外に逃げたくても逃げられず危険な毎日を送っています。運よく国外に逃れることができても難民たちには過酷な生活が待っています。シリア周辺では、去年末時点でトルコに250万人、レバノンに110万人、ヨルダンに66万人の難民が滞在していますが、その8割以上がキャンプではなく都市や農村で生活し、倉庫や公園などのテントで寝泊まりしている人も少なくありません。そこでは仕事を見つけるのは容易でなく子どもの半数は学校に行けません。このためヨーロッパに向かう難民が去年殺到しました。」

難民の生活は悲惨

セイン・ナントゥ・クヌー(ミャンマー カレン民族の元難民)「カレン民族出身の難民としての経験から」『笹川平和財団「第三国定住:日本の難民受け入れを考える」─オーストラリアの知見を参考に─シンポジウム報告書』2011年11月4日( https://www.spf.org/publication/upload/20111104_SPF%E9%9B%A3%E6%B0%91%E8%B1%AA%E5%B7%9E%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%83%A0%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8.pdf

「難民は、安全でない暮らしを送り、家族も友達もなく孤独な人たち。宗教的、政治的な理由や差別により人権が否定されている。チャンスや自由、選択肢もない。自国に帰れば迫害される。誰も好き好んで難民になったわけではない。家を離れたい人がいるわけはない。誰でも、お金があろうとなかろうと、母国を離れたくはない。[中略]難民キャンプでの生活は非常に不衛生で不健康だった。将来が見えず、自分のアイデンティティも否定され、教育も雇用の機会もなく、自信も喪失していた。籠の中の鳥のようであった。どこかに行きたくてもそのチャンスが与えられなかった。住んでいるところもひどかったし、食事、水、衣服、薬すべてが不足していた。たくさんの難民が将来を憂慮し、心的外傷やうつ症状に苦しんでいた。」

アジアでも難民問題は深刻

NHK解説委員室「「難民危機 最新情勢」(キャッチ!ワールドアイ)」2017年6月22日二村伸 解説委員( http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/900/273806.html

「難民というとアフリカをイメージする人が多いと思いますが、アジアでも深刻な問題です。とくにミャンマーでは少数派のイスラム教徒のロヒンギャと呼ばれる人たちが迫害を受け、この5年間で16万人国外に逃れています。去年10月以降、」政府軍の弾圧によって数百人が死亡、多数が難民となって国外に脱出し、国連は専門家チームを派遣して調査に乗り出すことを決めましたが、スー・チー国家顧問は調査団の受入れを拒否し、人権侵害を放置する政府への批判が強まっています。日本としても民主化や経済成長の支援だけでなく、こうした問題についてもミャンマー政府にはっきりとものを言うべきだと思います。」

難民認定を受けられなければ、長期収容か強制送還となってしまう

RAFIQ(ラフィック・在日難民との共生ネットワーク)『日本の難民問題と入管問題の関係について』(『2007年「世界難民の日」記念シンポジウム'07』当日配布資料より抜粋)( http://rafiq.jp/pdf/nanmin_mondai.pdf

「一次認定で不認定、異議申出も却下された場合、それの取り消しを求める裁判を起こすことができますが、それでも却下された場合は、日本政府から難民としての保護を受けることができなくなり、国外退去を執行されます。「退去強制令」の対象になった外国人は、国外退去、またそれを望まない場合「収容」されることになります。この「収容」には期間は定められていないため、国外退去ができるまで無期限に収容できます。難民申請が却下され、退去強制令の対象になった庇護希望者は、祖国での迫害の恐怖を抱えているため、祖国への送還を拒みます。そのために無期限の収容を受けるケースが続出しています。また中には国費により、縄で縛られ無理矢理強制送還されたケースもあります。」

強制送還やその恐怖によって、難民が精神・肉体の健康を損なっている

RAFIQ(ラフィック・在日難民との共生ネットワーク)『日本の難民問題と入管問題の関係について』(『2007年「世界難民の日」記念シンポジウム'07』当日配布資料より抜粋)( http://rafiq.jp/pdf/nanmin_mondai.pdf

「難民の強制送還は、日本が批准する「難民条約」では禁止されています。実際、祖国への強制送還後に、再び迫害を受けたり、行方不明になるケースがあるのです。もちろん収容も世界基準で禁止されています。収容された庇護希望者は、「戻れば迫害を受ける可能性がある祖国へ、いつ送還されるかわからない」という恐怖と、家族や友人から引き離された孤独の中で、次第に精神と肉体の健康を失い、時には精神に異常を来たし、また自殺にまで追い込まれていくこともあります。」

紛争から避難してきている難民申請者を帰国させるのは危険

石川えり(いしかわえり・難民支援協会事務局長)「キーパーソンインタビュー 「日本の難民審査は厳しすぎる」難民支援協会の石川えりさん」『毎日新聞』2015年3月2日( https://mainichi.jp/articles/20150302/mog/00m/040/005000c

「もし当人を帰国させたら国境で「お前は政権派か反体制派か」と問いただされ、非常に危険です。私たちが支援したあるシリア難民も、アサド政権への反対デモに参加したため逮捕されそうになり国外脱出しました。最初は親戚のいるヨーロッパを目指しましたが、かなわずに、最終的には日本での申請にいたりました。他には留学や仕事で来日中に帰れなくなった方などが難民申請をされているようです。」

長期収容は悲惨

RAFIQ(ラフィック・在日難民との共生ネットワーク)『日本の難民問題と入管問題の関係について』(『2007年「世界難民の日」記念シンポジウム'07』当日配布資料より抜粋)( http://rafiq.jp/pdf/nanmin_mondai.pdf

「現在、150 人を越える難民申請者や不認定になった難民が、外国人収容所に無期限収容されています。ある者は、壁に頭をぶっつけ血だらけなり、またある者は用便を居室に撒き散らすなど精神の破綻を来たしています。私たち日本人が、このような目を覆いたくなるような悲惨で、過酷な現実と向き合うことなくして日本の難民受入問題は解決しません。なぜなら日本の難民受入政策を変えるのは、私たち日本人自身であるからです。」

解決性:

難民認定されることによって、難民は日本国民と同じ待遇を受けることができる

入国管理局HP( http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/nanmin/nanmin.html

「難民の認定を受けた外国人は,原則として締約国の国民あるいは一般外国人と同じように待遇され,我が国においては国民年金,児童扶養手当,福祉手当などの受給資格が得られることとなっており,日本国民と同じ待遇を受けることができます。」

このことにより、強制送還や収容などの恐れから解放され、難民が平穏な生活を送ることが可能になる。

年間200〜300人の難民受け入れは受容可能

滝澤三郎(たきざわさぶろう・東洋英和女学院大学大学院国際協力研究科客員教授)「東洋英和女学院大学大学院連続講座 日本の難民政策を問う 第5回 日本の難民政策:庇護から保護へ」2017年2月18日 『現代史研究』13号(2017年3月)東洋英和女学院大学現代史研究所

「能動的な保護の強化に際しては、日本の国際的地位にふさわしい「数値目標」を立てることが必要だろう。数値目標のない国際公共政策はありえない。日本は難民認定に加え、人道的配慮(補完的保護)、再定住を合わせて少なくとも年間200人から300人の難民を受け入れる積極策に転じるべきだろう。すでに外国人労働者(移民)が毎年数万人ずつ増加し、外国人人口が200万人を超す日本には、その規模の難民受け入れ能力はあるし、社会的にも受容されよう。」(223)

メリット2:日本の国際的地位向上

内因性:

日本の難民受け入れ率が非常に低いため、国際的な批判を浴びている

君塚宏(きみづかひろし・法務省入国管理局審判課長)「東洋英和女学院大学大学院連続講座 日本の難民政策を問う 第3回 日本における難民受入れの「ゆえん」について」2016年12月10日 『現代史研究』13号(2017年3月)東洋英和女学院大学現代史研究所

「昨今において欧州諸国が難民問題で大変な苦悩を強いられている中で、日本は相も変わらず難民の受入れに消極かつ冷淡であるとして、「難民に冷たい日本」「難民鎖国」などというあだ名を付けられて国内外のメディアから批判されてきたところです。」(195)

日本が難民受け入れを抑制することで「底辺への競争」が発生するかもしれない

滝澤三郎(たきざわさぶろう・東洋英和女学院大学大学院国際協力研究科客員教授)「東洋英和女学院大学大学院連続講座 日本の難民政策を問う 第5回 日本の難民政策:庇護から保護へ」2017年2月18日 『現代史研究』13号(2017年3月)東洋英和女学院大学現代史研究所

「年間20〜30人の庇護は世界の難民総数からすると「大海の一滴」で、日本の庇護制度はほとんど意味を持たない。厳しい難民認定制度を維持することは、結果的に難民の自国への接近を抑止する。全ての国がそのような消極的な対応をするなら、「底辺への競争」が発生し、難民の救済体制は崩壊する。日本はこの点で国際社会の悪しき例となっている。「難民鎖国」批判の本質はそこにある。」(227)

重要性:

日本の国際的地位の重要性

[適当な資料を探す]

日本が難民を入れないコストは、入れるコストよりも高い

滝澤三郎(たきざわさぶろう・東洋英和女学院大学大学院国際協力研究科客員教授)「東洋英和女学院大学大学院連続講座 日本の難民政策を問う 第5回 日本の難民政策:庇護から保護へ」2017年2月18日 『現代史研究』13号(2017年3月)東洋英和女学院大学現代史研究所

「次に認定数を増やす必要がある。トランプ大統領のもとアメリカなどが難民に門戸を閉ざしつつある中で、日本にとっては「難民鎖国」から/の名誉挽回の好機でもあり、「認定数を増やす」という姿勢が求められる。20〜30人台の認定は「大海の一滴」でほとんど意味を持たない。むしろそれは難民の「日本素通り」を引き起こし、欧米メディアが振りまく「難民鎖国」論を通して日本の国際社会でのイメージを悪くしている。「人間の安全保障」を外交の柱としている日本の「難民を入れないことのコスト」は「難民を入れることのコスト」よりも高い。」(230/231)

解決性:

100人くらいの受け入れで難民鎖国批判は防げる

滝澤三郎(たきざわさぶろう・東洋英和女学院大学大学院国際協力研究科客員教授)「東洋英和女学院大学大学院連続講座 日本の難民政策を問う 第5回 日本の難民政策:庇護から保護へ」2017年2月18日 『現代史研究』13号(2017年3月)東洋英和女学院大学現代史研究所

「認定数に目標値を設定するという考えには異論もあるが、認定数を年間100人ぐらいまで増やすというのに問題はなかろう。先にみた認定のための6条件を完全に満たさなくとも、いくつかに当てはまる場合には難民認定するなどの弾力的な運用も可能だろう。日本に来るのは少数だが「紛争難民」をも条約難民と認めることが望ましい。または、難民条約の定義には当てはまらないが帰国すれば危険に直面する人々を難民に準じて扱う「補完的保護」という仕組を正式に導入すれば、法的地位を伴った保護数はかなり増えるだろう。それは「難民鎖国」批判を緩和することにつながる。」(231)

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ケース反論用資料

世界的には難民受け入れは縮小の方向

Platnews 2016年2月20日「日本の難民受け入れ問題はどのような状況か?」( http://theplatnews.com/p=1255

「元々移民によって建国されたアメリカでは、オバマ大統領が2015年11月16日、G20サミット後に記者会見し、「必死に安全を求めている難民を歓迎する」と述べ、難民受け入れを続ける考えを示した。しかし国内では、特に共和党の州の知事が、「自分の州ではシリア難民を受け入れない」と表明。また、共和党の大統領候補であるドナルド・トランプ氏、マルコ・ルビオ上院議員、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事なども受け入れには否定的な意見を表明した。ドイツでも、難民に関して比較的寛容な対応がとられていた。昨年11月13日のパリ同時多発テロ事件以降も、企業が先を争って新たな労働力として確保しようとしていた。しかし、大晦日、ケルンで起きた女性に対する襲撃や窃盗事件では、容疑者に少なくとも22人の難民申請者が含まれており、以降、難民受け入れには反対するデモも起きている。それを受けてメルケル首相は難民による犯罪の罰則強化を検討したが、抗議者からは首相辞任を求める声も上がっている(関連記事:メルケル首相「多文化主義は完全に失敗」ー今この発言に注目すべき理由)。」

日本に来る難民申請者は偽装難民であることが多い

Platnews 2016年2月20日「日本の難民受け入れ問題はどのような状況か?」( http://theplatnews.com/p=1255

「現状では、難民受け入れが少なすぎるとの批判がある一方、治安の悪化など問題視する声も強い。また、日本に来る「難民」は出稼ぎで来る場合が多く、虚偽内容を申告する場合も多い。審査期間は長く、一連の審査に要する期間は平均約3年。難民認定される人に限っては、6年弱の時間がかかっている。審査結果を待つ間に日本で結婚し、母国の家族を呼び、定住化してしまうケースも多い。そのため、同じ理由で来る人を拒否するなど、審査の効率を上げるために、法務省による運用の見直しや法改正が指摘されている。」

日本はそもそも難民が流入しづらい国なので、受入れ規模の大小を論じても意味がない

君塚宏(きみづかひろし・法務省入国管理局審判課長)「東洋英和女学院大学大学院連続講座 日本の難民政策を問う 第3回 日本における難民受入れの「ゆえん」について」2016年12月10日 『現代史研究』13号(2017年3月)東洋英和女学院大学現代史研究所

「ドイツを始めとする欧州諸国はソ連の影響下にあった旧共産圏諸国での政治的迫害、それに宗教・民族対立が原因となった中近東諸国での紛争・内乱、一部のアフリカ諸国での専制政治や統治破綻という、種々の難民を大量に生じさせている国々から地理的に近く、ルートによっては相当な危険を伴うものの陸路と海路による移動が可能です。その一方で、我が国の周辺諸国では最近において大量の難民を生じさせる要因を抱えた国は少なく(ただし、将来もそうであり続けるという保証はありません。)、また、四方を海で囲まれているために移動手段は航空機が中心であり、日本に向かうためには渡航手続として旅券、査証を取得し航空券を購入するという、まさしく周到な準備が必要となります。これらから、欧州と日本では(難民の定義に関する混同以前の問題として)難民の流入に関する諸要件がまるっきり異なっており、規模の大小を単純比較することについてあまり大きな意味を持たないと思います。」(199)

日本で難民認定されても、不安定な暮らしが待っている

滝澤三郎(たきざわさぶろう・東洋英和女学院大学大学院国際協力研究科客員教授)「東洋英和女学院大学大学院連続講座 日本の難民政策を問う 第5回 日本の難民政策:庇護から保護へ」2017年2月18日 『現代史研究』13号(2017年3月)東洋英和女学院大学現代史研究所

「日本に受け入れられた難民には、1980年代から受け入れられた約11,000人のインドシナ難民、日本が1981年に加入した難民条約に基いて難民認定された約700名の「条約難民」、2010年から開始された難民第三国定住事業によって来日した約110名のミャンマー難民、の三つのタイプがある。日本で定住状況について、各種の調査から浮かび上がってくる難民の姿は、一部の例外を除き、不安定で低賃金の職場で働き、社会経済的には下層に属し、永住資格や国籍取得も難しいため法的地位が確立せず、多くが年金などについての不安を持ちつつ暮らしているというものだ。大半が日本に保護されたことに感謝しているもの/のなかには日本に来たことを後悔する者もいる。そのような状態が知られることで、難民の間での「日本人気」が低下し、難民の「日本素通り」を引き起こす。」(231/232)

難民の庇護以外にも有効な政策はある

滝澤三郎(たきざわさぶろう・東洋英和女学院大学大学院国際協力研究科客員教授)「東洋英和女学院大学大学院連続講座 日本の難民政策を問う 第5回 日本の難民政策:庇護から保護へ」2017年2月18日 『現代史研究』13号(2017年3月)東洋英和女学院大学現代史研究所

「日本では難民をめぐる議論が「難民認定問題」つまり「庇護」問題に矮小化されているが、実は日本の「庇護」による貢献の実質的な意味は小さい。他方で、難民キャンプなどで長期間滞留している人々のうち女性や子供など弱い立場にある難民を救い出す「再定住」や、シリアなど紛争国で苦しむ国内避難民への人道支援や周辺国への財政支援で日本が貢献できる余地は極めて大きい。」(223)

日本はヨーロッパのスケープゴートにされている

D・アトキンソン(小西美術工藝社社長)「日本は難民にあまりに無防備」『Will』2016年3月号

「EU全体の移民データも抑えておきましょう。『Eurostat 2010』によると、EU人口の九・四%が移民でした。ドイツは二〇〇五年の法律の改定により、アメリカに次ぐ世界第二位の移民大国(移民の数、約一千万人)になりました。ただし、EUの九・四%のうち三分の一程度はEU内での移民で、EU外からの移民は六・三%。つまりEU全体では、そこまで外からの移民を受け入れているわけではないのです。「日本は冷たい国」云々と攻められますが、「実は先進国はそれほど難民を受け入れていない」という事実を隠すため、海外メディアは日本をスケープゴートにしているのではないでしょうか。実際、シリアの難民はすでに四百万人を超えていますが、ヨーロッパに難民認定を申請しているのは、いまのところ二十七万人です。国連によると、難民の八割以上は母国の近隣諸国に移住すると見られています。シリアの問題に関して、西洋は自分たちの責任を認めるべきで、あまり責任がない日本が難民を受け入れる理由はないでしょう。」(214)

日本に難民申請してくる者は、難民性の低い単なる出稼ぎ目的の者が多い

墓田桂(はかたけい・成蹊大学教授)「理想だけでは語れない難民問題 日本はなぜ慎重であるべきなのか」『Voice』2017年4月号

「現在の難民認定制度は事実上の移民制度となっている。申請をすれば在留資格(名目は「特定活動」)と就労資格(申請の六カ月後)が得られる仕組みである。異議審査では一次審査で漏れた難民性の低い、あるいは低いと見なされた申請者が審査を求めてくる。申請者の多くが異議申し立てを日本での在留延長の手段と捉えているようだった。現に制度上、それが可能なのである。面談した限りでは、申請者は概してサバイバル能力が高かった。「移民」としての資質は申し分ない。彼らも生き残りを懸けている。参与員には保秘義務があるので多くは語れないが、支障のない範囲で言及するなら、アフリカの某国からの申請者に多く見られたのは、「伝統的なチーフを継承することになったが辞退した。毒殺される危険があるので保護してほしい」という主張だった。興味深いことに、この物語にはいくつかのバリエーションが存在した。難民性の低い申請者が多く押し寄せるのだから、最終的な難民認定率が低くなるのは当然の結果である。偽装難民の問題を直視せずに、認定率の数値だけで難民行政の現状を議論してもあまり意味がない。」(143)

制度上は難民認定申請を繰り返し、日本に永住することも可能

浅川 聖(あさかわたかし・横浜国立大学国際社会科学研究科博士課程 前期修了)「日本の「内」への難民政策の特徴 : 難民認定申請者に対する「管理」と「保護」を中心に」『横浜国際経済法学』21(3)、2013年3月、横浜国立大学( https://ynu.repo.nii.ac.jp/index.php?action=pages_view_main&active_action=repository_action_common_download&item_id=3404&item_no=1&attribute_id=20&file_no=1&page_id=13&block_id=21

「尚、異議申立てが退けられた後、行政手続は終了となるが、6ヶ月以内ならば司法審査という形で、行政決定に対する訴訟を提起する道も残されている。また、日本は、難民認定申請のプロセスが異議申立て「理由なし決定」が下された後も、難民認定申請を無制限に新たに行うことができる。つまり、難民認定申請→難民不認定処分→異議申立て→理由なし決定→難民認定2回目申請、と図1の認定サイクルを永遠に継続させることも制度上は可能である。」

デメリット編に続く



geniocrat at 06:05|PermalinkComments(0) JDA | 資料集

2016年08月14日

再生可能エネルギー論題用資料集・議論構成例

2016年の秋季JDA大会の論題は、国民投票に決定しましたが、その他候補として、死刑、ベーシックインカム、再生可能エネルギーが挙げられていました。

このうち、再生可能エネルギー論題については、これまでメジャーな大会での採用実績がなかったので、大会担当者である程度リサーチして、論題として採用可能かどうかを検証していました。

論題としては採用されなかったものの、他の大会等で利用可能かも知れないので、こちらにリサーチした資料集を上げておきます。また、この論題の下での議論構成例も残しておきます(もちろん、これらの例以外の議論も作成可能と思います)。

議論の質については各自で判断の上ご利用ください(肯定・否定など区別せずに、入力順に資料が並んでいるので、使いづらいかとは思いますが、ご了承ください)。また、構成例通りの議論を作ろうとしても、資料集に無いエビデンスが必要になる場合がありますので、その際は適宜追加リサーチを行ってください。

  • -------------------------------------------------

ケース構成例1(エネルギー自給率)

プラン:

・FIT制度を改正前の状態に戻す

・固定買取価格を上げる

・など

内因性:

・長期エネルギー計画では原発をあてにしているものの、原発の増強は非現実的

・→再エネを今以上に増強する必要がある

・にも関わらず、FIT制度が改悪されている

重要性

・エネルギー自給率低下→化石燃料輸入の増加

・→日本経済への悪影響

解決性

・FIT制度を戻すことで、再エネの増加率がキープされる

・ドイツ等でも順調に再エネが伸びている

・など

  • -------------------------------------------------

ケース構成例2(経済効果)

プラン:

・ケース例1と同様

内因性:

・欧米に比べて、日本の再エネ普及率は低い

重要性:

・再エネは重要な投資先

・再エネ産業を発展させることは重要

解決性

・プランにより再エネへの投資が増加する

・再エネの経済効果は大きい

・など

  • -------------------------------------------------

デメリット構成例1(経済への悪影響)

固有性:

・現状の電源構成であれば、再エネが極端に大きくなることはない

リンク:

・プランにより、再エネの割合が大幅に上昇する

・賦課金額が大きく上昇する(ドイツなどでも同様のことが起こっている)

・消費などへ影響する

深刻性:

・経済ダメージは深刻

  • -------------------------------------------------

デメリット構成例2(停電)

固有性:

・現状は、きちんと接続可能容量を守って再エネを実施している

リンク:

・プランにより、変動電源の割合が上昇する

・電源変動による停電のリスクが増加する

深刻性:

・停電により、社会に深刻な影響

  • -------------------------------------------------

デメリット構成例3(環境)

固有性:

・現状は風力等の割合は大きくないため、環境問題が顕在化していない

リンク:

・風力発電は、バードストライクや騒音、景観阻害などの弊害がある

・地熱発電所は国立公園などに設置する必要があるため、自然破壊となる

・など

深刻性:

・環境は重要



geniocrat at 11:53|PermalinkComments(0)TrackBack(0) JDA | 資料集

2013年04月26日

全国高校生英語ディベート2012観戦記(予選第五試合その1)

2016.08.14追記:

この試合のレビューが長らく放置されたままになってしまいましたが、すでに試合から4年近くが経過し、記憶も定かでなく、フローも紛失してしまいました。需要も無いと思われるので、この観戦記はここまでとさせていただきたく思います。

  • -------------------------------------------------------

今回から、予選最後の第五試合に移ります。チームIDで言うと、111番と91番の試合でした。

またしても上位の、おそらくは決勝トーナメント進出がかかっている試合っぽく、どちらのチームもなんだかピリピリしていて、見ている方までお腹が痛くなって来ました(ウソです。でもこの日の腹具合がいまいちだったのは本当)。

まずはAffirmative constructiveから。

Affirmative constructive

Advantage 1: more globalized people

Present situation

necessary skill for globalization,

1. language skill

2. communication skill

3. independence

4. cross cultural...

more Japanese students have to compete in globalized society,

need for globalize people...

twice necessary...

80% of company say more globalized people necessary...

Effect

Plan -> students go abroad

68% give up to study abroad now because of season of enrollment...

Importance

useful...

94% feel merit of studying abroad

69%; cross cultural experience

68%: communication

63%: language...

... serious damage to Japanese economy...

Advantage 2: more volunteer working

Present situation

73% teenagers want to join volunteer but time doesn't allow

[---2009: 43% teenagers... no time for volunteer...]

many volunteer groups need people...

56% of volunteer group need new member...

Effect

5 million volunteer worker...

620000 freshmen/year...

43% -> 267000...

Importance

valuable skill... benefit...

70000 people -> 40 billion yen of economic effect

260000 -> 152 billion yen...

free labor people...

Elder, disabled people will be helped...

Affirmative constructiveの内容は、

AD1:グローバル人材の育成

Present situation

グローバル人材に必要なスキルとして、

1 言語能力

2 コミュニケーション能力

3 独立心

4 異文化理解

といったものが挙げられる。

今後、より多くの日本人がグローバル社会で競争して行かなければならなくなる。そうした人材のニーズは二倍(?)に…。

80%の会社はより多くのグローバル人材が必要、と回答。

Effect

プランにより、学生が海外に行くようになる。

68%は、入学シーズン要因で海外に行くことを諦めている。

Importance

94%は、海外で学ぶことのメリットを感じている。

69%は、異文化経験が、

68%は、コミュニケーション、

63%は、言語…

といった点でメリットを感じている

もしグローバル人材の育成に失敗すれば、日本経済が重大なダメージを受ける。

AD2:ボランティア労働

Present situation

10代の73%は、ボランティアに参加したいと思っているが、時間がないために諦めている。

(2009年の調査)

多くのボランティアグループは、人材を必要としている。56%のボランティアグループは、新しい人材を必要としている。

Effect

プランにより、500万人のボランティアが供給される。

大学新入生は約620000人/年、その43%は約267000人…

(計算が合わないが…現状500万人いるところに267000人が供給される、という話か?)

Importance

ボランティアによって、価値のあるスキルも身につく。

70000人の労働で、400億円相当の経済効果がある。267000人なら1520億円…。

老人や、身障者なども助けられるだろう。

といった内容でした。このチームはチャートの使い方がすごく上手くて、お陰で、数字もかなりきっちりフローに残っていました。なんというか、チャートの書き方とか、入れるデータの分量や、もちろん説明の仕方も絶妙で、コンストの分かりやすさでは、今大会一番だったのではないかと思います(たしか、このスピーチには満点(5点)をつけた記憶があります)。

私は、もし自分がどこかの高校の英語ディベートをコーチするとしたら、まず「チャートを作るのをやめよう」という指導から始めるつもりにしています。手間がかかるくせに、大して役に立っていないし、コンストの内容やデータが差し替えられるたびにチャートなんか作ってられないし、そもそもチャートに頼ってスピーチの方が疎かになったら本末転倒だと思っているので。

でも、このチームくらい上手くチャートが使えるなら、認めてもいいかな、と思いました。とはいえ、ここまで到達するには自分たちだけでなく、相当色々な人の「指導」が入っているのだと思いますが…。

あと、このチームに限ったことではないのですが、どうもエビデンスの内容がSummarizeされているっぽい感じがして、「ディストーションじゃないの?」と、ちょっと気になりました。あとからルールを確認すると、どうやら、エビデンスは要約でも構わない、といった趣旨の記述があり、ルール違反では無かったようですが、このルールそのものがそもそもどうなんだろう、という気もします。

続いてのQAは以下の通りです。

CX NEG->AFF

On AD1

Q: this AD is that Japanese students study abroad?

A:

Q: did you prove skills necessary for globalization are acquired only by studying abroad?

A: evicence says companies need globalize people

Q: 80% companies need... how many ?

Q: they'll actually employ such people?

A:

Q: does studying abroad mean students have to spend extra year for universities? means they have to go to universities for 5 years?

A: No

On AD2

Q: No time now? How many students researched for the questionary?

A: about 160 students

Q: are they highschool students?

A: teenagers

Q: 7 hours...(?)

質疑もかなりよく聞けていたと思います。特にAD2に関して、エビデンスの前提条件や、具体的な調査の詳細など、かなり細かい内容をきちんと英語で聞けているのは感心しました。

次回はNegative constructiveです。



geniocrat at 05:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 高校生英語 | 観戦記

2013年04月25日

全国高校生英語ディベート2012観戦記(予選第四試合その6)

予選第四試合の6回目は、AFF/NEGのSummary speechです。

まずはAffirmative summaryから。

Affirmative summary

On AD1

In the long run...

International competitiveness...

defended...

KEIDANREN etc. will support...

On DA1

Not all universities...

On DA2

not all...

Affirmative summaryは、

AD1に対して

長期的に見ればADは重要。

国際競争力は重要。

経団連etc.も、意欲ある学生はサポートしてくれる

DA1に対して

全ての大学に当てはまるわけではない。

DA2に対して

全て、ではない。

といった内容と理解しました。

「長期的に見て」という持って行き方には工夫が見られるのですが、「長期的観点」というのは、実はNEGにも当てはまるのではないか、という気もします。学力低下や、そもそも大学にいけない学生の発生が、長期的に日本に及ぼす影響は大きい、といったスピーチをNEGにされてしまうとかえって逆効果になってしまうのでは、と思いました。

続いてNegative summaryです。

Negative summary

On AD2

class is done in English is key for foreign students...

On DA1

GDP...

On DA2

50% worry about living cost...

comp. not able to...

all universities not done in English... foreign students will not come...

Negative summaryは、あまりフローは取らなかったのですが、フローに残っている分だけ書くと、

AD2に対して

留学生が来るかどうかは、結局授業が英語で行われているかどうかに依存する。

DA1に対して

不明

DA2に対して

50%の学生は、生活費について、悩んでいる。プラン後は、現状よりも、進学を諦める学生が増えることは必至。

といった内容でした。フローからはあまりうかがい知れませんが、内容としてはそれなりに自分たちのストーリーを説明しつつ、相手の議論の不備もきちんと指摘する、といった、比較的良いスピーチができていた、という印象を持ちました。

この試合は、私はNEGに投票しました。理由は、当時の説明のままではないと思いますが、今書くとすれば、

■AD1:

ボランティアや、インターンの口はそれほど多くないこと、また、学生も必ずしもボランティアやインターンに興味を持つとは限らない、という部分についてはある程度認められていると考える。

その上で、それ以外の活動(バイトなど)で、AFFが言うような能力が得られるか、というと、(Defenseではじめて出てきた(ように見える)議論であること、エビデンスも無さそうであることなどから)かなり疑問を感じる。

従って、現状に対してプランがそれほどの優位性を持つとは考えづらい。

■AD2:

留学生が日本にくるか、という点において、かなりの疑問が残る。

NEGの出したエビデンスにもあるような、日本へ留学するに際しての多くの障害よりも、入学時期の問題が圧倒的に大きい、といった分析はないように思える。

また、現時点で留学生招致に成功している学校は、授業を英語でやっている、という要因が大きい、という分析についても、有効な反論に乏しい感がある。

このことから、このADについても、現状との差異が乏しいと考えた。

■DA1:

AFFからの反論が不十分と感じた。

学生が建設的な活動を望んでいるということ、全ての学生が全く勉強しないわけではない、といった議論は、ギャップタームによって学力を低下させる学生が存在する、ということを否定しないように見える。

従って、ある程度のリンクは残すべき、と考えた。

■DA2:

こちらについても、AFFの反論が不十分に見える。

いずれのレスポンスも、ギャップタームの間の生活費はかかる、ということは否定していない。

そのことによる負担増(680000円程度?)がどの程度のインパクトを持つのか、については若干の疑問の余地はあるものの、AFFからの分析もないので、ある程度はこのDAを取らざるをえないと考える。

■結論:

ADが、二つとも現状との差異に乏しいように見えるのに対して、DAの方がしっかり残っている感があるので、DAの方が大きいと判断し、NEG。

といったデシジョンになると思います。

表面的な、スピーチのうまさなどは、AFFもそれほど遜色なかったとは思うのですが、議論の完成度や、試合展開の読みなどは、NEGのに一日の長があったかな、という試合でした。

次回から予選第五試合に移ります。



geniocrat at 05:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 高校生英語 | 観戦記

2013年04月24日

全国高校生英語ディベート2012観戦記(予選第四試合その5)

予選第四試合のDefense speechを見ていきます。

まずは、Affirmative defenseから。

Affirmative defense

On AD1

work and get money -> skill

PTJ -> skill

evidence... government and KEIDANREN will support...

Interested in...

wituout PTJ=bad

helps AD1

On AD2

Chinese students go US in SQ.

China... 6 times as large number of students

文科省

[internationalization... exchange...]

Affirmative defenseは、

AD1に対して

働いてお金をもらいながらスキルを得ることもできる。

バイトであっても、何らかのスキルは着くはず。

AFFのエビデンスでは、政府や経団連が学生をサポートする、と言っている。

ボランティア、インターンに興味がないと言っても、バイトはするだろうから、ADはある。

AD2に対して

現状では、中国人学生はアメリカに言ってしまっている。

中国には日本の6倍も学生がいる。

といった内容と理解しました。

「バイトでも経験が積める」という議論は、すんなりは受け入れにくい議論だと思いました。そういうことが言いたいなら、コンストの段階で、インターンシップやボランティアだけでなく、そういった活動からも得られるものがある、という構成になっているべきです。ディフェンスでいきなり持ち出すのであれば、ある程度の証明が必要になるでしょう。そのような証明がほとんどないまま、口だけの説明になってしまっているので、このままだとちょっと厳しいかな、という感じです。

AD2のレスポンスで、「中国人学生は現状アメリカに行ってしまっている」という議論は、むしろNEGに逆用されてしまうかもしれません。日本とアメリカを全く同じ土俵で比べたら、残念ながら、アメリカの方が留学先として魅力的に見えてしまいます。そこに、入学時期まで同じにしてしまったら、日本のUniqueな部分がますますなくなってしまうのでは?などと思いました。

続いて、Negative defenseです。

Negative defense

On DA1

no evidence...

no process...

can't recover... unviersity days...

68% want volunteed 'if chance'...

though UTYO students highly motivated, they are exception in Japan. not all students...

On DA2

even now, 50%= ...

serious situation...

Gap term... one more year...

  • > problem

living cost...

Negative defenseは、

DA1に対して

エビデンスがない

プロセスの説明がない

大学生の日々を取り戻すことは出来ない。

68%の学生は、「もしチャンスがあれば」ボランティアなどもやってみたいと思っている。

東大の学生のモチベーションが高い、というのは例外。ほとんどの学生はそれほど意欲ない。

DA2に対して

現状でも半分の学生は進学できていない。

ギャップタームによって、卒業が一年遅れてしまうことは、大きな問題

ギャップタームの分の生活費が余計にかかる。

といった内容と理解しました(一部あやふやな部分もあります)

正直あまり良いディフェンスとは言い難い感はあります。とはいうものの、そもそものAFFのレスポンスもあまり良くないので、この程度のレスポンスでも、DAを残さざるをえないかなあ、というところです。

次回はSummary speechです。



geniocrat at 04:58|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 高校生英語 | 観戦記

2013年04月23日

全国高校生英語ディベート2012観戦記(予選第四試合その4)

予選第四試合のAffirmative attackの内容は、以下のようになりました。

Affirmative attack

On DA1

1. ability... schools start... lost?

2.

[Kagawa Univ.: 58% want... activity... chance to do it... extra activity]

3. hard to think that students don't study AT ALL

4. no impact

[UTYO: 8h/day... 4h/day... (?)]

UTYO students study harder than other students...

On DA2

1. no education expense during gap term...

2. burden is small. short time... start studying -> rather bigger burden...

3. no need educational expense... to go universities continue for 4 years... just 5 months gap term can't be a trigger to give up.

CX NEG->AFF

On DA1

Q: What was the first response?

A:

Q: As for second response, students' motivation high?

A:

Q: how about other universities than UTYO?

A: Kagawa University, etc.

Affirmative attackは、

DA1に対して

1. 入学時期が変わるだけで学力が失われるのか不明。

2. 58%の学生は、「建設的」な活動を望んでいる(香川大学の調査?)。

3. 学生が「全く」勉強しないとは考え難い。

4. インパクトがない(東大の学生は他の大学のが癖いよりも勉強している?)。

DA2に対して

1. ギャップタームの間は、学費はかからない。

2. ギャップタームの負担は、期間もそれほど長くないので、たいしたことない。むしろ大学が始まってからのほうが大変。

3. 大学の学費自体は結局4年分かかることに変わりは無い。5カ月のギャップタームだけで、進学を諦めるトリガーになるとは考え難い。

といった内容だと理解しました。

形式的にはひと通り返ってはいるものの、若干理由付けが足りない感はあります。特にDA2については、できれば具体的に、ギャップタームの間にかかる生活費もろもろはこれくらいで、親の収入、バイトで稼げる金額…などを考えれば問題ない、などといった分析が欲しいところです。

DA1についても、若干的はずれな議論が多い感じがします。3.は別にNEGも「全く勉強しない」などとは言っていないわけで、ギャップタームによる勉強の量や意欲の低下を問題にしているわけですし、4.の東大生と他の学生の比較も、このままだと意味がよくわかりません(現状でもプラン後でもやる人はやる、やらない人はやらない、という話でしょうか?)。

続いてのQAに関しては、どうも、議論の内容そのものがAFF/NEGの間で上手く共有できていないような印象です。DA1の香川大学の調査(?)の話が、DA2の東大の学生の勉強量の話とごっちゃになっていて、少し混乱が見られます。

次回は、Defense speechを見ていきます。



geniocrat at 05:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 高校生英語 | 観戦記

2013年04月22日

全国高校生英語ディベート2012観戦記(予選第四試合その3)

今回は予選第四試合のNegative attackからです。

Negative attack

On AD1

1. doesn't prove that they can get social skill

2. no proof of existense of enough capacity for volunteer and internship

[Uchida, Waseda: not enough volunteer... intern...]

3. no proof. ignoring students' will...

[part time job... volunteer... interested in...]

On AD2

4. no possibility to increase foreign students.

[13 reason foreign students don't come to japan... difficult... no English speaking country... cost... etc.]

5. not reliable... APU -> 80% of class is done in English... ICU -> only 158 students... Akita Kokusai -> all class in English...

(結局、留学生呼び込みに成功しているところは、授業を英語でやるかどうかがキー、という話)

6. no proof... international competitiveness...

引き続き、その後のQAです。

CX AFF->NEG

Q: how many reasons foreign students will not come? 13? 30?

A: 13.

Q: they don't include enrollment season?

A:

Q: did yow complete last attack?

A:

Q: explain 6th(last) attack

A: foreign students can produce international competitiveness?

Negative attackは、

AD1に対して

1. 現状で社会的スキルが得られていない、ということを証明していない。

2. ボランティアやインターンの受け入れ先が十分ある、という証明がない。実際、受け入れ先はそれほど多くない。

3. 学生が、ボランティアやインターンにそれほど興味を持つのか、という証明がない。実際バイトなどに忙しく、ボランティアやインターンまで気が回らない。

AD2に対して

4. 外国人留学生の数は増えない。コストの問題や、英語の国ではない、といった、13の理由がある。

5. APUで留学生が増えたのは、80%の授業が英語で行われているから。ICUでは158任しか留学生が来ていない。また、成功しているといわれる秋田国際大学は、全ての授業が英語で行われている。

6. 国際競争力がプランによって着く、という証明がない。

といった内容と理解しました。アタックとしてはなかなか良かったと思います。ただ、クレームの付け方が少し改善要と思いました。

ほとんどの議論で「No proof...」という議論と、続くカウンターの議論(学生はボランティアに興味が無い、など)が一緒のクレームに入ってしまっていて、かなり違和感を感じました。相手の議論の証明が不足している、ということの指摘は、それで独立した議論になるので、切り離して、

1. They didn't prove students will have interest in volunteer and internship.

2. Actually, they are not interested in such constructive activities because they are too busy doing part time jobs...

といった具合に、二つの議論に分けた方が良いと思います。

AD1とAD2の議論の番号の付け方が通しになっているのも若干気持ち悪いです。私はAD1とAD2のフローを分けて、別の紙でとっているので、個別の議論ごとに番号をつけてくれたほうが、見やすいです。同様に、以前にも書きましたが、アタックやディフェンスのスピーカーがたまにやっている"I have xx attack points."というのも、時間の無駄だと思います。

続くQAはは、文章ではあまり伝わらないと思いますが、妙に高圧的なQでした(というメモがフローに残っています)。最後のレスポンスをcompleteしたか?と聞くくらいなら、きちんと内容を聞いた方が良いのではないかと思いました。

次回はAffirmative attackです。



geniocrat at 05:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 高校生英語 | 観戦記

2013年04月19日

全国高校生英語ディベート2012観戦記(予選第四試合その2)

予選第四試合の第二回はNegative constructiveです。

Negative constructive

Disadvantage 1: Academic ability

Present situation

[5.3%... universities... maintain... basic ability...]

Effect

Gap year...

[recomment... long... exam...](おそらく、推薦入試などで入った学生は、合格から入学までの期間、遊んでしまう、というような話)

1 year gap year...

[Kyoto U... highschool students... pass exam... before entering... x safety... half a year...](推薦入試が、ギャップタームを取った時にどうなるかを示唆している、といった話と思われる)

Study time will decrease -> basic ability get worse

[ベネッセ: 10 point down...]

6 months gap term...

[1 month for year... 3 times as summer vacation...]

Importance

Japanese economy... not stop...

[economy of Japan... international competition... rapid... international... Stanford, ... relation... ability... GDP...]

Disadvantage 2: Financial burden

University students / parents...

[50%... not able to enter universities...]

financial support... parents concern...

parents... 680,000 yen...

50% worry about living cost...

Gap term...

Importance

because of future... change by university...

[リクナビ: academic background... graduate... medical... welfare... qualification...]

Minister labor...

75 million yen... lifetime income... difference

Negative constructiveの内容は、

Disadvantage 1:学力低下

Present situation

現状であれば、基礎学力は維持できている、といった話

Effect

推薦入学した学生が勉強しなくなってしまう、とか、夏休みをはさむと学力が低下してしまう、といった話を引き合いに出して、ギャップタームが導入された場合は、現状よりも学生が遊んでしまうようになる、といった話。

さらに、ギャップタームは夏休みの3倍の長さがあるため、学力低下が著しいだろう、といった話がついています。

Importance

日本経済にとって、国際競争力を維持するためには、人材が重要、といった話。

Disadvantage 2:経済的負担

Present situation

大学に入学できるかどうかは、親の財力に負うところが大きい(50%の学生は大学に入ることができない?)

親からの経済的サポートが年間68万円ほどあり、50%の学生が、生活費について悩んでいる、といった話。

Effect

プランを取ることにより、ギャップタームを必ず取らなければならなくなり、その分の経済的負担が増す。

Importance

大学に入学・卒業できるかどうかは、その人の人生に大きな影響を与える。

(生涯賃金が7500万円ほど異なる、といった話)

といった内容でした。

DA1については、どのDAもそうではあるものの、今にしてみると、Effectでされている話(学力低下)とImportanceでされている話(人材の質)を直接結びつける話が無いように見えてしまいます。DA2も同様に、ギャップタームでかかる費用によって進学を断念する人がどれくらいいるのか推測しづらい内容になっています。

とはいえ、変に奇をてらわず、きちんと正統的なDAで攻めよう、という姿勢は好感を持ちました。

続いてのQAは以下のようになりました。

CX AFF->NEG

On DA1

Q: Repeat label

A:

Q: When does academic ability decline? Only during Gap term?

A:

Q: How long gap term will decrease academic ability?

A:

Q: How much decrease? What's the standard to measure academic ability?

On DA2

Q: DA is only about living expense?

A: Yes.

Q: How long burden continue?

A:

Q: How much burden on students? How much they need?

A:

Q: Why not they do part time job etc.?

A: Part time job can't cover the money they need. If they do PTJ, they can't study during gap term.

To what extent...?系のQは、自分もESS時代によくやったなあ、と懐かしく思いながら聞いていました。Qの内容自体は悪くないと思いました。あとはそれをきちんと次のスピーチに活かせるか、といったところでしょう。

例えば、DA1で、Academic abilityの定義を聞いていますが、これも、ギャップタームによって、NEGが言うような測定方法とは別の能力が発達する、といったカウンターのアーギュメントが出せれば、効果的なのではないか、と思いました。

次回はNegative attackからです。



geniocrat at 05:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 高校生英語 | 観戦記

2013年04月18日

全国高校生英語ディベート2012観戦記(予選第四試合その1)

今回から、高校生英語ディベート全国大会予選第四試合に移ります。

この試合は、チームIDで言うと、232番と092番の対戦です。どうやら運良く(悪く?)、勝率の高いチーム同志の対戦を見させてもらっているようで、ディベーターのレベルもかなり高いと感じました。

さっそくAffirmative constructiveから見ていきます。

Affirmative constructive

Advantage 1: increase social communication skills

Present situation

only cramming knowledge...

social communication skill not acquired in schools...

universities don't provide experience. university students... start job immediately after graduating universities...

[Tokyo University(?)... learn social communication...]

hardly have social experience before starting job

[DAIAMOND: human resource... new graduate... 80% company answer they want social skills...]

Effect

1.

2.

3. social working... organization support social experience...

Importance

extra curricula activity...

[transferrable skill... responsibility... critical thinking... ]

Advantage 2: Universities have more international competition power

A) Present situation

116 countries = Sep enroll, esp. EU countries...

Only 7 countries = April enroll...

different enrollment season restrict...

[students... professors...]

B) Effect

1. Academic year begin in September

2. Meet international standard

3. more internationalized. ex. ICU...

[exchange students... after Sep. ...]

after more experience... get Gap term... adjust oversieas universities...

C) Importance

x Japanese universities... compete... more interanational competition...

Affirmative constructiveの内容は、

AD1:社会的コミュニケーションスキルの向上

Present situation

詰め込み教育の弊害…学校では社会的コミュニケーションスキルを学べない。

大学も、そうした社会経験の機会を提供しない。そのため、大学卒業まで、社会経験の無いまま働き始めてしまう。

仕事を始める前に、社会的経験を積んでおくべき。

Effect

プランによって、社会経験を積むことができる(ギャップタームによる経験などと思われます)。

Importance

カリキュラム外の活動は重要。責任感や批判的思考などのスキルが身につく。

AD2:日本の大学の国際競争力の向上

Present situation

EU諸国を中心に、116の国で9月入学が採用されている。

4月入学は7か国しかない。

入学シーズンが異なるために、様々な制約がある(学生にとっても、教員にとっても)。

Effect

9月入学になることによって、国際的スタンダードに乗ることができ、日本の大学の国際化が進む(ICUの例など?)

ギャプタームなどにより、海外の大学にも適応可能(?)

Importance

国際競争力をつけることは重要。

といったものと理解しました。

AD1については、「社会的コミュニケーション能力」とは具体的にどのような能力を指すのかが、若干見えづらいように感じました。

また、ギャップターム程度の短期間で、社会に出てから役立つ社会的コミュニケーションスキルが身につくのか?在学中もバイトなどするはず。それは社会経験にはならないのか?といった疑問が出てくるので、そうした疑問に答える準備が必要そうです。

AD2については、途中ギャップタームの話が混ざっているように見えるのが若干不可解です。また、学生の観点と教師の観点が入っているのは、Multiple linkと取られてしまう可能性もありそうな気がしました。

続くCross examinationは以下のようになりました。

CX NEG->AFF

On AD1

Q: what is 'social experience'?

A: extra curricula activity such as volunteer, studying abroad, part time job, internship, etc.

Q: did you prove that students will do such socially valuable activity during gap term?

A: survey by NTT docomo indicates that 77% want social experience during GT.

Q: Do students can get more ability?

A:

Q: Any evidence depending on specific research?

A:

Q: Isn't affirmative evidence just opinion? or any objective data?

On AD2

Q: is there any other example than ICU?

A: Yes

Q: Which univerwsity?

A: APU, etc.

Q: Foreign students come to Japan?

A:

Q: What's process to be competitive?

A: Foreign students come to Japan and Japanese students will be exposed to different idea, culture, etc.

今回のCross examinationは、フローに残ったボリュームも多く、結構聴き応えのあるものだったように思います。NEGも適切な質問を出し、AFFもまともに答えていた、という印象で、今までのCross examの中では最も質が高かったのではないでしょうか。

次回はNegative constructiveを見ていきます。



geniocrat at 05:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 高校生英語 | 観戦記