2008年08月30日
2008ディベート甲子園の取り組み(立論の構造その2)
「立論の構造」レジュメの第二回です。
メリット・デメリットの基本構造
先ほどの、「ディベートは、『プランのある状態とプランが無い状態の比較』である」という定義から、メリット・デメリットを構成する必要最低限の構造として、それぞれ二つずつの要素が導き出せます。
メリット編
A プランが無い ――> 問題が発生する
B プランがある ――> 問題が無くなる(解決する)ABどちらが欠けても、「プランがある状態と無い状態の比較」には不十分です。また、AB両方が証明されれば、その時点で(ほとんどの場合)メリットは成立します。
[演習2]
- Aが否定された状態とは、どんな状態か、考えてみましょう。
- Bが否定された状態とは、どんな状態か、考えてみましょう。
言葉の定義
Aのことを、これからInherency(インヘレンシー、内因性)と呼びます。
Bのことを、これからSolvency(ソルベンシー、解決性)と呼びます。※ ディベート甲子園で一般的に用いられる「現状分析」という言葉は、Inherencyの概念を正確に表しておらず、あまり適切な用語ではないと思います。
デメリット編
デメリットにおいても、メリットの場合と同様、プランがある状態と無い状態の比較のためには、以下の二つが必要です。C プランが無い ――> 問題は発生していない
D プランがある ――> 問題が発生する定義
CをUniqueness(ユニークネス、固有性)と呼びます。
DをLink(リンク)と呼びます。
[演習3]
- Cが否定された状態とは、どんな状態か、考えてみましょう。
- Dが否定された状態とは、どんな状態か、考えてみましょう。
※ UniquenessとInherency、SolvencyとLinkは、メリット・デメリットに適用される、というだけで、概念的には同じです。慣習的に用語を使い分けています。
ここまで、「重要性」という言葉が出てきませんでしたが、重要性という概念は、基本構造からは少し外れた議論として扱います。上記基本構造以外の立論の要素については、次項で説明します。
[演習4]A) 次の1〜8の議論を、A: Inherency, B: Solvency, C: Uniqueness, D: Link のどれに当たるか、分類してみましょう。
B) これらの議論を組み合わせて、今期の論題におけるメリット・デメリットを組み立ててみましょう。
- 派遣労働システムが無くなる事により、労働力が高騰し、企業が競争力を失う。
- 派遣を禁止すると、相当数の労働者は正社員化され、賃金が上昇するだろう。
- 日雇い派遣労働者が多数いるため、従来の港湾労働者が締め出され、生活が苦しくなっている。
- 安価な派遣労働者の存在により、企業が競争力を保っている。
- 日雇い派遣が無くなれば、港湾労働者の地位が回復される。
- 派遣労働システムが無くなると、雇用のミスマッチを解消する手段が無くなる。
- 派遣労働システムにより、雇用のミスマッチが減っている。
- 定収入の派遣社員が増加している。
※ 各要素は必ずしも一つの議論で証明される訳ではなく、複数の議論で構成される場合もある。
※ ある議論が解釈によってInherencyともUniquenessとも(SolvencyともLinkとも)機能する場合がある。
[演習5]
次のメリット・デメリットを、証明する際に、Inherency(Uniqueness)、Solvency(Link)としてどのような議論が必要か考え、構成してみましょう。
- 労働者派遣制度がなくなると、企業が海外に移転するというデメリット
- 派遣社員がいなくなる事によって、正社員の負荷が軽減される、というメリット
ここまでで、立論の基本構造に関する話は終わりです
残念ながら、演習までやっている時間は無かったのですが、これらの演習をきちんとこなせば、独学でもそれなりの理解には達するのではないかと思います。

