2011年02月22日

JDA秋季大会2010参戦記(予選第一試合1)

若干順番は前後しますが、今回から、昨年の11月3日に行われた。JDA秋季ディベート大会の参戦記を掲載していきたいと思います。

今回の大会は、前回と同様、Mさんとコンビを組んで出場することにしました。今回の論題は、「日本国政府は代理出産もしくは着床前診断を合法化すべきである。」でした。大会は、例年のように、予選三試合を行って、上位二チームで決勝、という形式です。

早速、予選第一試合から見ていきます。

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第一試合はAFFを引きました。対戦相手は、某大学サークルのチームです。

ケースは、すでに別記事でも紹介していますが、簡単にアウトラインを記しておきます。

観察

・子宮の無い女性が多くいる。子宮ガン等30〜40代で急増。

・彼女たちは差別されている

[(いわかみ2000)差別消えたわけではない。代理出産禁止は差別を助長。]

・辛い思いをしている。

[(なおみ2001)鬱病、精神的ダメージ]

・日本産婦人科学会の会告により、代理出産は禁止されている。

[(えんどう2004)自由奪われている]

プラン

1代理出産を認める

2実子として扱う

3代理出産依頼できるのは、子宮が無い、重度の不育症、等、代理出産以外の代替手段がない女性

4代理母には適切な報酬を支払う。

5実母、姉妹でも契約を結び、対価を支払う。

6その他必要な措置

論点1

A)代理出産でしか子を儲けられない女性が沢山いる。

[(なかそ2006)91%結婚したい…80%は子ども欲しい]

代理出産を熱望している。

[(おの2002)山田夫妻の話…禁止されると、生きる希望が失われる]

B)三つの選択肢

1)海外で代理出産を行う。

[(いなぐま2007)100人以上…]

海外での代理出産は危険。

[(あんどう2010)妊産婦死亡率は10万人中11人、日本国内なら6人…]

インドなどでは、さらに死亡率が高いはず…

2)ヤミ代理出産。

ヤミは問題が多い。

[(ふじかわ2002)インフォームドコンセント書面無い…アメリカのように手続きを尽くしていない…]

3)あきらめる。

子どもを持つ権利の侵害

[(おの2002)自己決定権…憲法上最大限尊重すべき。]

論点2:代理母の自己決定権

A)職業としての代理母を望む人がいる

[(でぐち2005)近代家族像を受け入れつつも、公的領域でも活躍したい…]

B)現状では引き受けられない

[(いけがみ2003)アメリカでは一肌脱ごうという人が多いが、日本のように制度で取り締まると、そうした精神も生まれない]

論点3:子の福祉

[(かとう2005)契約取り消しなど、法制度の不備による孤児問題など…]

論点4:解決性

A)子宮無い人が解放される。

[(なおみ2001)「産めない」と「産まない」は大きく違う…]

B)代理母を引き受ける女性はいる。

[(くじ2005)いることも確か…]

C)海外で代理出産を行う必要が無くなる。

D)今まで子を儲けることをあきらめていた人が子を儲けることができる。

E)職業としての代理母を自己決定する権利が与えられる。

F)ヤミ代理出産が無くなる

[(やまもと2001)ガイドラインなど…安全確保、フォローアップ体制…]

G)国の不当介入防ぐ

[(のざき2008)技術があるなら、国は介入すべきではない…]

6分間で、エビデンス16枚!ということで、我ながら(というか、最終的にやったのはMさんですが…)良く議論を詰め込んだと思います。とはいうものの、改めて見るとやはりこれは詰め込みすぎで、実際のケースを見てもらえれば、「これでジャッジは理解できるの?」というような簡略化、省略がとても多く、相当知識のあるジャッジがターゲットになってしまっています。

この論題は2005年にも一度採用されているので、そのときの知識があるジャッジが多いだろう、ということはある程度計算していました。とはいうものの、エビデンスのポイントを若干落としそうなケースではあります。もう少し観察や論点1あたりを絞っても良かったかも知れません。

このケースの(おそらく)特徴的なところは、職業的代理母を全面的に認め、むしろ積極的に金銭の授受を行うよう促しているところだと思います。これは、最初の打ち合わせの時からパートナーのMさんとあれこれ話をして、私の中では結構な時間をかけて練ったもので、当初「職業的代理母」というものに対してものすごく違和感を持っていたのですが、いろいろ他の職業との比較などをしてみると、意外と致命的な差を見つけることができない、ということに気づき、入れることにしました。この話を入れるに当たって、色々な職業契約を頭の中で考え(その過程で、決勝でも出てくる「マグロ漁船」の話なども出てきました)、代理出産契約と本質的な違いがあるか、ということを検証していったのですが、私個人の結論としては、やはり個人の思い入れ、ということに尽きそうな気がしています。

資料としては「妊娠は24時間ずっと自分の身体と向き合わなければならない」といった話は出てきますが、それとて、他にもそれに相当する職業契約は想定可能ですし、「生まれてくる子供は産まれ方を選択できない」という話であれば、通常の妊娠・出産も全く一緒(どのような家庭に生まれるか、など子どもが選択できるわけではないので)です。そうした議論は、結局のところ「代理出産=悪」という前提から出発していて、まさにトートロジーです。

それでもなお、私個人としては、代理出産に対する直感的嫌悪感を払拭することができたわけではありません。この理由については、後でまた考えてみたいと思います(まだ結論は出ていません)。

さて、1ACの後の質疑は、以下のようになりました。

Q:論点4の、AからGまでのラベルの確認をしたい。

A:[AからGまでの説明]

Q:プランについても確認したい。

A:[プランの説明]

Q:3について、「不妊」の場合はどうなるか?

A:不妊といっても、原因はいろいろある。例えば、卵管が詰まっているといったものは、卵管をつなげる手術をすれば良いので、含まれない。

Q:何年か不妊治療をしても、子ができなかった場合は?

A:そういうことではなく、子宮全摘とか、子宮がない、とか、習慣流産する、といった人だけ。

A:5について、契約を行う、ということは、契約を守らせるように、国が強制する、ということか?

A:近親者であろうと、契約して、報酬を払うことに変わりはない、ということ。

Q:論点2の2番目を確認したい。

A:現状で、代理母を引き受けたいと思っても、法律や制度の取り締まりがあってできない、ということ。

ほとんど議論のタイトルの確認だけで終わってしまいました。これだけの量の議論を一気に出されたことを考えれば致し方ないのかも知れませんが、ケースの内容にほとんど突っ込まれず、むしろ、ジャッジにケースの内容を理解してもらうのに役立った、という意味では良かったと思います。

次回に続きます。



geniocrat at 04:30│Comments(0)TrackBack(0)JDA | 参戦記

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