#DCS_2020決勝戦の判定理由第23回JDA秋季ディベート大会の予選(ほぼ)全試合ジャッジしてみた(その2)

2020年12月12日

第23回JDA秋季ディベート大会の予選(ほぼ)全試合ジャッジしてみた(その1)

去る10/25、11/1で、第23回JDA秋季ディベート大会が開催されました。

このご時世ということもあり、オンラインでの開催だったのですが、幸か不幸か、そのおかげで、全試合が公式に録音されることとなりました。今回の大会も、参加者・ジャッジ・運営は、録音ファイルにアクセスが可能です。なので、ジャッジの練習も兼ねて、10月25日の予選全試合(一部スピーチが欠けている試合がありますが)をジャッジしてみました。ついでに、ポイントや順位のブレが、実際の大会と比べてどう変化するのか、も集計してみました。

・大会の論題は「日本は、国会議員の一定数以上を女性とするクオータ制を導入すべきである」でした。

・参加チームは10チーム、各チーム3試合ずつ行っているので、全部で15試合となります。

・試合No.は大会の対戦表の番号に対応しています。

・チーム名のA〜Jは、実際の予選順位に対応しています(Aが1位、Jが10位)

・原則試合No.11〜44の順でジャッジしていますが、試合No.13と23は、試合途中からしか音源がなかったので、飛ばして、試合No.44まで聞いてから、最後にジャッジしています。

・全試合1.3倍速で流して、途中戻ったりはせずに、一度聞いただけで判断しています。通常のジャッジの場合と同様、聞き落としや聞き間違えはあると思います。

…というわけで、以下試合No.11からの肯定側/否定側の得点と判定および判定理由、となります。

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■試合No.11 (C vs. G)

得点:肯定側103点/否定側104点

判定:肯定側

判定理由:

否定側議論は、「男女二元論の枠組みを固定化するような議論は出すべきでない」というものだった。

政策形成パラダイムを取ると、採択されることのない政策の話をするだけになってしまい、傍観者的立場が強化されてしまうため、望ましくない、という部分については、否定側議論を認められると考えた。

しかし、肯定側議論が、男女二元論に基づいている/それを強化する議論であるので、排除すべき、という部分については、肯定側議論の方が勝っているように見える。プランで、戸籍上の男女、という区別以外の性別に対しても配慮している点、LGBTQやインターセックス等の問題につなげるためにも、まずは女性議員を増加させることが大事、という議論に対して、否定側から積極的な否定はなかったように見えた。肯定側議論によって、男女二元論の価値観が強化される、という証明、インターセックスの問題が隠蔽されてしまう、という証明が不足していたように見えた。おそらく、肯定側議論を採用した方が、現状をこのまま続けるよりも、こうした問題に対する認知や、価値観の変化は起こるのではないか、と考え、肯定側に投票した。

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■試合No.12 (F vs. D)

得点:肯定側95点/否定側94点

判定:否定側

判定理由:

CP2のロトクラシーに投票。AFFが出した議論は、抽選で議員にされることは、本人の意思に反している、というだけで、それがどのようなインパクトを持つのか、は言及していなかった。とすれば、多少抽選に当たってしまった人の意思が無視されるとしても、AFFのケースのSolvencyもキャプチャーし、さらに、他のマイノリティーの意見もまんべんなく拾える可能性の高いCPに優位性を認めるべき、と考えた。さらに、バックラッシュのDAも、CPはAvoidすると考えられる(CPは女性運動を謳っていないから)。

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■試合No.13 (E vs. A)

得点:肯定側104点/否定側105点(録音は2AC〜のため、得点は、以降の点数の平均値)

判定:否定側

判定理由:(聞いたスピーチの範囲で判断)

肯定側プランでも、否定側カウンタープラン(フランス下院と同様、女性候補の比率によって政党助成金の額を変化させる)でも、長期的には同じメリットが得られると考えた。短期で考えた場合、否定側にはバックラッシュという比較的インパクトの見えやすいデメリットがあり、肯定側は、メリットの状態が、否定側より早く得られる、という事になるが、女性議員率の上昇するまでの期間が短くなることに固有のメリットがあまり強調されておらず、結果的に同じ状態になるのなら、多少時間をかけてでも、バックラッシュを避ける方が賢明ではないか、と考えた。

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■試合No.14 (H vs. J)

得点:肯定側96点/否定側81点

判定:肯定側

判定理由:

クリティークの議論については、そもそもの出発点である、「肯定側が男女二元論に基づいた議論を行っている」という部分に疑義が生じている。メリット2でも述べているように、肯定側はマイノリティを必ずしも無視しているわけではなく、プランを取ることが、そのような価値観を推し進める、という分析が否定側からされているわけでもない。なので、たとえ政策決定パラダイムを放棄したとしても、クリティークに投票することはできず、肯定側メリットが残る以上、肯定側に投票せざるを得ない。

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■試合No.21 (I vs. B)

得点:肯定側87点/否定側89点

判定:否定側

判定理由:

肯定側議論は、論題外と考える。否定側が提出した定義に対して、肯定側の定義が存在しないので、妥当な定義を用いる、という肯定側の判断基準を採用したとしても、定義は否定側の定義を採用せざるを得ない。「国会」」「クオータ」いずれの定義も、肯定側議論は満たしていないという否定側の説明は崩されていないと考え、ノントピカルと判断した。

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■試合No.22 (D vs. C)

得点:肯定側103点/否定側97点

判定:肯定側

判定理由:

CPについては、現在の状況でロトクラシーを採用しても、必ずしもケースで論じているような女性政策の促進につながるとは思えなかった。一般の女性が、国会議員として選ばれたとして、それを引き受けるか、引き受けたとして男性に対して引け目を感じずに十分な議論ができるかは、肯定側の議論からも疑問を感じる。

デメリットについては、固有性が小さいと考える。現状でも多くのバックラッシュ的動きがある中で、クオータ制の果たす役割が不明であるところと、現状の日本でもバックラッシュが起こっているなか、クオータ制にユニークに、ひどい暴力事件が頻発する、という印象は受けなかった。かつ、時間がたてばバックラッシュは解消していく、という事なので、あまり重要視する必要はないと考えた。

ケースについては、確かに、クリティカル・アクターの方が重要なのかもしれないが、クリティカル・アクターを輩出するために、一定数の母集団が必要、という肯定側の話にも納得はできる。女性運動が活発でないので、うまくいかない、という話についても、どの程度の女性運動が必要か、日本のレベルで確実に失敗するか、といったところについては否定側は証明に失敗していると感じた。保守政党は従順な女性議員を選ぶ、という議論についても、従順な女性だけしか国会議員にならない、とは言えていないと思われるし、保守政党以外から当選する女性議員についての言及はないため、女性保護政策が進まない、とまでは言えないと感じた。

総じて、ケースは一定程度残ると考え、デメリットを上回ると考えた。メリットがデメリットを上回るのであれば、CPの立場をとるより、肯定側立場を取るべきと考え、肯定側に投票する。

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■試合No.23 (A vs. F)

得点:肯定側103点/否定側100点(録音は1NC〜のため、得点は、以降の点数の平均値)

判定:肯定側

判定理由:(聞いたスピーチの範囲で判断)

メリットについては、女性議員の数が増えれば、党執行部等の考え方も変わっていく、という話が説得力があったように思う。アルゼンチンの例については、女性政策が進展する、という話と、そうでない、という話どちらを取るべきかはわからなかったが、DVやリプロダクティブ・ヘルス・ライツに関するもの以外にも、女性の割合が増えることで進展する政策はある(生活関連、賃金など)という肯定側分析を考慮するなら、メリットが発生する蓋然性は相当程度あると考えるべき、と判断した。

デメリットについては、バックラッシュは、インパクトがあまり説明されておらず、肯定側の政策進展を上回るのかが不明、多様性のDAについては、肯定側のT/Aがドロップされているように思われ、同性愛に対する風当たりが強くなることと、その他のマイノリティの権利が拡張されるのと、どちらが大きいのか判断できなかったので、勝敗判定理由としてはカウントしなかった。

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■試合No.24 (J vs. E)

得点:肯定側89点/否定側103点

判定:否定側

判定理由:

プランを取ることによって、参議院、衆議院ともに、女性議員比率が30%を超える、という部分については合意ができていると思われる。ただし、その増加分の内容については、保守派に従順なタイプが選ばれる可能性があり、政策自体が変化するかどうか、については、解決性が相当程度削られると考える。また、バックラッシュの話もある程度は残ると考えられるので、そのことにより、女性政策が退行する、といった場面もありそう。

カウンタープランについては、衆議院の仕組みはいじらないので、現状と変わらない(プランに優位性がある)が、参議院については、プランよりもラディカルな形で平等化がすすめられ、かつバックラッシュが起きない、と考えた。肯定側が女性問題のみにフォーカスしているのに対して、カウンタープランの方が、より広い領域について、政策内容の改善を期待できる、と判断し、否定側に投票する。

…だいぶ長くなったので、一度ここで切りたいと思います。



geniocrat at 11:41│Comments(0)JDA | 観戦記

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