国書総目録【以下はフィクションです。】


演習『国書総目録』を調べる。

目的
配布資料 井上真琴『図書館に訊け!』(ちくま新書)の 「レファレンス相談の風景」(181ページ)を読んで、「国書総目録」の使い方を修得する。また、「群書類従」を理解する。

背景 
女子学生が「本朝無題詩」の版本を持っている。
この中の藤原忠通の詩を取り上げて発表しなければならないが「本朝無題詩」に藤原忠通の名前が見当たらない。
図書館職員は、「国史大辞典」で藤原忠通を調べるようにアドバイス。
藤原忠通と法性寺入道殿下は同じ人だった。「本朝無題詩」には藤原忠通の名ではなく法性寺入道殿下の名で書かれた詩があった。

この演習では、「本朝無題詩」の版本に代わりに「本朝無題詩」が掲載されている「群書類従」を用意した。
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調べること1.「本朝無題詩」とはどのような書物かを調べてください。
「群書類従」の中に「本朝無題詩」が収録されているので探し、法性寺入道殿下の詩を確認してください。
調べること2.『国史大辞典』『国書総目録』で藤原忠通=法性寺関白であることをつきとめてください。 
調べること3.『国書総目録』はどのような本か
調べること4.『群書類従』とはどのような本か

参考資料;三大編纂物 群書類従・古事類苑・国書総目録 

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レポートから
 
『国書総目録』『群書類従』
今回の演習の中で一番心に残りました。井上真琴さんの本からの導入も面白かった。最初、「群書類従」も「塙保己一」もはじめて聞く言葉で、この演習に入る前に国語大辞典で調べてみたのですが叢書といわれてもピンとこなくて大変なのが最後に回ってきたなと思いました。それが「本朝無題詩」は「群書類従」の中にあると聞いてなるほどそういうことかと思い、この課題の意味が分かってきました。ところが今度は「群書類従」の索引の引きかたが分かりません。「イロハ順で調べたらどうだろう?」というヒントを得てやっと「本朝無題詩」を発見しました。現代の日本人なのでアイウエオ順は思いついてもイロハ順はわからない目からウロコでした。分けが分からずに入り、見つけたのだけに印象に残りました。学生時代は遠いものになりましたが、久しぶりに学問に触れたわくわくしたような気持ちになりました。『国書総目録』には所蔵ものっていて、研究するならそういうことも大事なことだなと思いました。今まで知らなかった世界に目が向けられて楽しかったです。

『国書総目録』
国書(江戸末期までの旧書)を探す場合に最も有効な文献で、書名、読み、別称、著者名、成立年代、そしてなにより所蔵箇所が記載されているので、所蔵調査には欠くことのできない基本文献ではないでしょうか。内容まで収録されてないので『国書解題』などと合わせて利用するのが有効だと思いました。『本朝無題詩』については、どのようなものであるか大まかな概略については『日本大百科全書』などにあたると良いと思います。また、『国史大辞典』よりも『日本歴史人物事典』の方が、藤原忠道=法性寺入道殿下が『本朝無題詩』に詩を収めたという事実をコンパクトに記載していました。

『国書総目録』『国史大辞典』
『国書総目録』で「解体新書」を調べてみると広島大学に所蔵されていることが分かった。「国史大辞典」は歴史上の人物、書籍など様々なことがらについて詳しく解説されている。藤原忠道について調べてみると彼の生涯から著作物まで詳しく記述されていた。歴史上の人物や書籍について学びたい時は、まずは『国史大辞典』でおおよその要点をつかみ、そこからそこに載っている文献を実際に見たいときには「国書総目録」で所蔵先を調べるというのが適切である。
◎『国書総目録』最初のグループ課題が国書総目録でした。見るからに難しそうで、さてどうしよう・・・となりましたが、井上真琴さんのレファレンス相談風景を辿ってまずは群書類従の中の本朝無題詩を見ることに。やはり藤原忠通の名前はなく、国書総目録の著者別索引で忠通のところに「法性寺」「関白」の文字を見つけたときは、謎ときをしているようなわくわくがありとても楽しかったです。慣れない資料に面くらってしまったけれど書いてあるのは日本語なんだし、落ち着いてゆっくり扱えば、「自分も図書館の戦力になり得るかも知れないな!」と思い勉強になりました。

『国書総目録』『日本大百科全書』『国史大辞典』『日本歴史人物辞典』の一連の流れ
課題の井上真琴さんの本を読むとレファレンス相談風景が面白く書かれていて、興味を持った。
まず、「本朝無題詩」の内容は『日本大百科全書』で調べてみると、平安後期の漢詩集であり、「藤原忠通」が中軸になり30人、770余首の詩が集められ、七語律詩が圧倒的に多いとの解説があった。
次に、『国書総目録』の著者別索引の中に「藤原忠通」が出てきており「本工無題詩」の項目も書いたあった。かた、『国生総目録』に「本朝無題詩」があり、それには「9集」と書いてあったので「九集」を見ると「法性寺関白」の詩が見つかった。実際に「法性寺関白」の詩を1首調べてみると七語ンでひとつの区切りにとなっていたのでこれが七語律詩なのかと思った。
次に『国史大辞典』の索引の人名編を調べ『国史大辞典」の12巻に「藤原忠通」が出ており「法性寺殿」で出家したということがわかった。また、「法性寺関白記」に「藤原忠通」の作とも書いてあった。
さらに「日本歴史人物辞典」には「藤原忠通」が1162年に出家し「法性寺関白」と号するとあり、同一の人物であることを確認することができた。
この一連の作業は、今後の学習に生かしていきたいと思った。
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管理人の経歴
職歴
某大学の図書館および情報教育センターに勤務、定年退職
専門 「レファレンスサービス」、「科学技術情報管理」、「情報システムの構築」
某大学の非常勤講師として「レファレンスサービス演習」を担当 平成24年3月で退職予定
学歴
北九州大学(現・北九州
市立大学)卒

放送大学大学院修士課程修了 研究テーマ「図書館からのまちづくり」
図書館司書、
技術士(情報工学)
趣味:図書館・美術館・博物館めぐり 、ガーデニング、パソコン
ブログ:
http://blog.livedoor.jp/genkikun8414/archives/cat_80623.html
http://blog.livedoor.jp/hanaichisan/archives/cat_50009491.html