In Deepさんのサイトより
http://oka-jp.seesaa.net/article/171232965.html
<転載開始>
(訳者注) 記事が書かれたのは米韓合同軍事演習が始まる前のようです。


South Korea: despatch from the frontline of World War Three
テレグラフ(英国) 2010.11.29

韓国:第三次世界大戦の最前線からの特電

今週、激しやすい隣人の北朝鮮から攻撃を受けた韓国人たちは我慢の限界に来ている。韓国・仁川よりアンドリュー・ギリガン記者の報告。

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・北朝鮮国旗を焼き払い、金正日と彼の息子である金正恩の肖像を燃やす韓国の退役軍人たち。

タンカー船の操縦士をしているチャン・ジーイェンさんは、最初に延坪島(ヨンピョンド)に砲撃が始まった時には特に驚かなかった。

「北朝鮮の演習があることは聞かされていたので、最初は誤射だと思ったんだ」と、チャンさんは言う。

「それから、これは演習じゃない!という声が聞こえたんだ。ショックだったよ。村に走って行くと、30カ所くらいで火の手が上がっていた。もっと燃えていたかもしれない。何しろ、火事の煙がすごくて、よく見えないんだ」。

この島には、小さな消防車が1台あるだけなので、チャンさんと仲間たちは彼らのタンカーに繋がれたポンプを利用して消火することにした。

ハリウッドの近未来映画では、様々な場所が「第三次世界大戦の始まる場所」として描かれてきた。延坪島はそれに相応しい場所かもしれない。11月23日の午後、北朝鮮軍が延坪島から双眼鏡で見える砲撃基地から、この島へ直接砲撃を開始したのだ。

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韓国側の態度の変化

砲撃後の村の家と店のすべての街路は焦げ上がり、崩壊していた。黒く焼けた鉄柵や、曲がった自転車が爆撃の威力を示している。砲撃から3日経った日でも、まだ火災の匂いが残っていた。

現在、村に住民はおらず、ジャーナリストの姿しか見当たらない。

私が話した警官は、2名の市民の遺体を収容したと語った。

「居たいのちのひとりは、完全に燃え尽きており、骨だけになっていました」と警官は言った。

「もう一人の体は爆破で砕け散りました」。

地元メディアによると、北朝鮮側が使用した砲弾は、高熱と高圧を発生させる「熱圧力弾」系列のものだと報道しており、強力な破壊力を持つものだ。この使用だけでも、国際法に違反するとしている。

1953年の朝鮮戦争後としては、北朝鮮による民間人への「明確な意志の下での攻撃」は、これが初めてだ。

砲撃の後の5日間、韓国人たちの反応はすべてにおいてゆっくりとしていた。韓国軍は応戦するのに 13分かかった。李明博大統領の最初の反応も懐柔的だった。大統領は「衝突のエスカレートを避けるために状況を慎重に管理するように」と通達した。

しかし、最近の(11月28日前後) 48時間で、状況は急速に変化し、怒りと緊張状態へと成長してきている。韓国は怒りを露わにしだした。
国防相は辞任に追い込まれた。

韓国政府に対して、もっと強い態度に出るようにという要求からの市民のデモの動きも広がっている。

北朝鮮との国境沿いから数キロの場所にある坡州(パジュ)市の市長イン・ジャーリー氏は、パジュ市で起きているデモは、「これは抗議のためのデモではなく、市民たちが生き残るためのデモだ」と言う。

市長は、「政府が断固たる態度を示さないと、国民を守ることなどできない」と付け加えた。


北の挑発に何もしてこなかった韓国の歴史

砲撃で犠牲となった2名の海軍兵士の告別式が、昨日(11月27日)に行われたが、その席で軍の上官は、「我々の愛する兵士を殺したことを後悔するよう、北朝鮮に対して100倍、1000倍にして返す」と、死亡した兵士に約束した。

韓国の国家警報レベルは、上から2番目に引き上げられた。

11月28日には、米国の航空母艦ジョージワシントンが、韓国との合同軍事演習のために、襲撃の現場である黄海に到着する。

対して、北朝鮮は、国営放送でこのように報じた。

「再び我が共和国に反対する戦争演習を実施しようとする好戦狂らの無謀な行為によって、朝鮮半島情勢は再び戦争の瀬戸際へとさらに突き進んでいる」。


「非道な挑発」は北朝鮮の得意とするところだ。
例としては、

・今年3月、韓国の海軍船を攻撃し、46人の海軍兵士を殺したとされる。
・過去には、韓国の海岸に潜水艦で特殊部隊も着陸させている。
・韓国の大型旅客機を爆撃し、 115人を殺した。
・4人の韓国の閣僚を暗殺した。その際の大統領を3度、暗殺しようとした。

それぞれの非道行為の後、その時の韓国の政治の首脳部は「地獄の報復」を約束したが、しかし、いつも何もしなかった。

ソウル国立大学の政治学部のカン・ウォンテク教授はこのように言う。

「北朝鮮には失うものがないのです。しかし、韓国は違う。李大統領は、この国を平和にしておくためにトーンを和らげるしかないのです。こりは声を大にして言う選択ではないのですが、しかし、仕方ない選択です」。


現実に、韓国の首都ソウルは、北朝鮮から非常に近い。ソウルに暮らす 1900万人の人々は、今回、延坪島を砲撃したものと同じ北朝鮮の砲台の射程内にある。ソウルの北部には、北朝鮮の戦車を食い止めるためのコンクリートブロックが積まれている。


これまでの常識は今回通用するのか

これまでの朝鮮半島の危機に対しては、「何ごともなく」終わらせるのが、常識だった。韓国側は対立を拡大させるようなことはしない。

平壌もそう考えているだろう。
その過激なレトリックの裏は実は「空」だということは過去にも証明されている。

北朝鮮の独裁者、金正日はこの今までのやり方通りに、単に彼の息子の金正恩を後継者として推挙するか、北朝鮮の飢えた国民のためにより多くの食糧支援を得ようとしているか、あるいは、核開発を切り札に、取引を求めているだけだと考える向きは多い。

北朝鮮からもっとも近い同盟国の中国も、北朝鮮の独走を止めるだろうと。


しかし。
これまでの常識と今回は違う部分があるのかもしれない。

仮に、北朝鮮が近いうちにさらなる攻撃を行った場合、韓国側が報復をしないことは不可能かもしれない。しかも、北朝鮮のこれまでのレトリックと比較しても、挑発の頻度と規模が増しているように見えるのだ。

核開発プログラムに関して、北朝鮮と何らかの取引をできると考える向きもあるかもしれないが、その考えは経験的に間違っている。北朝鮮はこれまで何度もその約束を破っている。

そして、中国は米海軍の展開を非難している。

シンクタンク「グローバルセキュリティ」のニコラス・グヴォスデヴ氏はこのように言う。

「北朝鮮の今までの休止状態が、今後の朝鮮半島の平穏を保証しているわわけではない。もし、今回の砲撃事件が北朝鮮による、韓国の決定と、米国の意志とを試すものだとした場合、その反応が弱腰のものだった時に、北朝鮮はそれを慎重な判断と見るのか、あるいは、「弱さ」として見るか、どちらになるだろうか」。

そして、氏は付け加えた。

「今日、そして、この数週間の間、韓国と全世界ができることは、北朝鮮がさらなる攻撃の意志決定をしないことを望むだけではないだろうか」。
<転載終了>