ROCKWAY EXPRESSさんのサイトより

<転載開始>
 

戦闘で敗退しシリアから隣国へ逃亡を図るテロリスト・ゲリラ

◆3月31日

 シリア戦線ではシリア軍が各地で反政府ゲリラを駆逐している。追討されたゲリラたちはトルコ、ヨルダン、レバノンなどの隣国に逃亡を図っている。そのような情勢下でシリア北部のかサブ市近郊で、追討するシリア戦闘機をトルコ軍機が攻撃、撃墜した。

 しかし撃墜された戦闘機とパイロットはシリア領内に落下しているから、この戦闘機がトルコ領空を侵犯したとは言いがたい。つまりトルコは勇み脚をしたと言えそうだし、その理由は、シリアの領空侵犯を口実に対シリア戦を始めようとした形跡があるという。

 これはシリアのアサド政権転覆を狙って、世界中のイスラム主義過激派を集めてシリアに投入してきたにも関わらず、当初の目論見どおりには事が進まず、アサド政権は民衆の支持を得たままであるし、シリア軍は国防大臣が暗殺されても士気は高く、意気軒昂である。

 シリア軍は12万の外国人テロリスト・ゲリラが立ち向かってきても、多大な犠牲を払いながらも、英雄的戦いを進め、つぎつぎに彼等テロリスト・ゲリラの拠点を破壊し追討し殲滅している。そのような情勢から来る焦りが、NATOとそのメンバー国であるトルコをして、直接的軍事介入を可能にさせる、このような国際法違反の愚挙をするに至ったのであろう。

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●NATOはシリア北方で決死的最後の戦いを行う
http://www.globalresearch.ca/nato-wages-desperate-last-battle-in-northern-syria/5375791?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=nato-wages-desperate-last-battle-in-northern-syria
【3月29日 Tony Cartalucci — Global Research】

 シリアとトルコの国境にあるシリアの北西部のカサブ市は、トルコ軍が支援する武装ゲリラとシリア軍との間の雌雄を決する戦場になった。国境を越えてシリア領内に侵入するゲリラに対する攻撃をしていたシリア戦闘機をトルコ軍が撃墜したことで、30日のトルコの新聞がその事件を一斉に一面で報じた。

 トルコ政府はシリア航空機はトルコ領空に侵入したとしているが、航空機そのものはシリア領内に墜落、またそのパイロットも成功裏に航空機から脱出しシリア領内で発見された。ロイター電は以下のように、「トルコは領空を侵犯したとしてシリア航空機を撃墜」の見出しで、「トルコのF-16はシリアのジェット機に対しロケットを発射、ジェット機は1200m上空で撃墜されシリア領内に落下した」と報じた。

 トルコ政府は、シリア軍がトルコが自国領内で保護してきたゲリラと交戦していることを、またシリアが領内に侵入するゲリラに対する討伐を行うことが、トルコ自身がイラク北部のクルド人ゲリラに対して行う追討以上の脅威をトルコの安全保障に対して与えるものでないことを明らかに知っている。反対にトルコ戦闘機はシリアに侵入するゲリラ達のために事実上、防空の役割を果たしてきているのだ。

 もっと重大なことは、欧米のメディアでは、アメリカ国務省がテロ組織として挙げた組織のジャブハト・アル・ヌスラであることがわかっているという事実だ。この組織はアルカイダのシリアの支部である。ウォール・ストリート・ジャーナルの中東リアル・タイムズは、「ラタキア攻撃はアルメニア・シリアの暗い記憶を呼び覚ます」とのタイトルで以下のように報じた:

 イスラム主義過激派が今週ラタキア地区の一定の部分を占領したことで、地中海に臨む地点を初めて確保したことになった。

 この軍事的攻撃はいくつかの点で象徴的である:アル・ヌスラ戦線のゲリラがアサドの故郷地区の一部を占領したことになり、このゲリラの侵入を阻止しようとしたシリアの戦闘機をトルコ空軍が撃墜したことだ。アル・ヌスラはシリアにおけるアルカイダの支部である。

 NATOメンバー国が隣国へのアルカイダの侵入を空から支援するということは、国家主権の、ないしは国際法のとんでもない侵害以上の何物でもないだろう。しかしトルコはシリアとの間の緊張を高めることを止めようとしなかったのは明らかである。最近暴露されたトルコの情報機関の長官であるハカン・フィダンとトルコの外相であるアハメト・ダブトグルとの間の漏洩された会話は、トルコがシリアとの戦争を挑発するために、自国に対する自作自演劇を実行しようとしていたことを、示している。

 トルコのエルドアン首相がユーチューブを禁止したのは、この漏洩があった後で、このユーチューブサイトから削除したかったのである。

 漏洩された電話会話は、シリアに対する攻撃は「トルコにとっての良い機会であると見做されるべきである」というエルドアンの考え方を示している。この会話で、情報機関長官のフィダンは、シリア人の要員を4人使ってトルコを攻撃させることで、「戦争の大義を作り出す」と言っている。

 フィダンのこの行動は、「戦争の直接的原因だ・・・あなたがすることは、戦争の直接的原因となることだ」とヤサル・ギューラー副参謀長が繰り返して述べている。

 トルコの外相は、シリア作戦について軍のトップの高官が語っている漏洩された内容は、「部分的に作られたもの」で、国家安全保障に対する「卑劣な攻撃」であると語った。

 漏洩したビデオで、フィダンはダブトグル、ギュラーその他の高官と、オスマン・トルコの創設者の祖父であるスレマン・シャーの墓を守るためのシリア内の可能な作戦について話し合っている。

 この驚くべき暴露内容は欧米のメディアによって一切無視され、代わりにトルコがただ「汚職」に関し隠蔽した問題を扱ったフェイスブックとツィッターを禁止した事のみに意図的に焦点を当てている。トルコが自作自演の攻撃でシリアに対する直接的な軍事介入を正当化しようとしたことは、トルコとその他のNATO諸国が関わるより拡大された中東紛争の引き金を引く恐れがあるが、これは2011年にシリアでの紛争が始まってすぐにも欧米が求めていたシナリオである。

 欧米の介入は、シリア北部に限定されたものだとしても、欧米が支配する「緩衝地帯」をシリア領内に生み出すことになろう。これはしかし特にアメリカの多くの軍事的冒険が計画されたブルッキング研究所の者たちのような、アメリカの政策立案者らが遅くても2012年には計画していたことである

 「緩衝地帯」を作るアイデアは、シリア・トルコ国境沿いでの暴力沙汰に対するお決まりの対応策のように見せるもので、ブルッキング研究所の2012年3月の「中東メモ#12」の「政権転覆のための選択肢査定」中で詳細に述べられているが、特に以下のことが語られている:

 「他の選択は、暴力をいかに終わらせるか、人道的支援をどう得るか、に集中する外交的努力である。これは安全地帯と人道的回廊を作り出すことになろう。これには限定的軍事力の保証が必要である。これはアメリカの対シリアの目標とは程遠いのは勿論ではあり、アサドは権力に留まったままになろう。しかしながらそれを起点として、拡大された同盟関係と適切な国際的委託で、その努力目標に向かって更なる高圧的な行動を進めていくことができるだろう」

 ブルッキング研究所の中東メモ#12は、人道的「保護の責任」なるものが、政権転覆に向けた長期的計画の為の工作に過ぎないということを隠そうともしていない。アルカイダを支援し教唆し、武装テロリストを供給し、防空を請け負い、シリアとの戦争を意図的に自作自演事件で挑発する計画を練ることは、そして今度は完全に暴露されたダマスカスを炎上させる攻撃計画は、世界的覇権が最悪の方向に向き始めた欧米の、危険な追い詰められた状況を表している。

 トルコが隣国シリアに対するあからさまな戦争行為を行う嫌われ役を演じる反面、NATOのメンバー国とNATOがトルコを非難しないことは、この軍事同盟が共謀していることを示している。皮肉的なことに、NATOがシリアとトルコの国境沿いにいるアルカイダを世話し、武装させ、防空を請け負う反面、アフガンにいるアルカイダの存在を、アフガンに継続的に駐留するための正当化に利用している。

 シリア紛争の期間のそれぞれの転換点で、何十年も設定しようと働いてきた「国際的ノルマ」を強調しながら、欧米は自分達の信頼性と評判を大いに食いつぶした。こういった転換点での欧米の失敗で、2011年の開始時には大いに頼りにしていた運勢はずっと弱まった。カサブでの戦いは、そしてシリアとヨルダンとの国境沿いのあまり言われない「南部戦線」もシリア軍の反撃で既に崩壊してるが、シリアでのNATOとその手下たちの最後の戦いになりそうである。

 シリア軍は国境から侵入してくるゲリラを阻止するに十分な能力があるように見えるし、NATOの挑発に対し無限の忍耐力をもって対処できることを示してきた。トルコが自国内で、シリアとの戦争を挑発するため攻撃することを計画していたことが暴露されたことで、自作自演攻撃を実行する試みは、トルコとNATOの両者を弱体化させるしかないだろう。もしも欧米が「緩衝地帯」を設定する事ができたとしても、そのために払うことになる信頼性、評判、正当性の値は、そのような「勝利」をピュロス王の勝利にさせるであろう。

 人類歴史を通して存在した全ての帝国は、衰亡が決定的になることが分かる時があり、帝国の解体が近いことがわかる時がある。「パックス・アメリカーナ」とウォール街やロンドンのシティーのエリート達にとって、その時とはカサブの戦いかも知れないし、シリアにおける政権転覆の欧米の試みの不名誉な終焉の時かも知れない。

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<転載終了>