院長の独り言さんのサイトより
http://onodekita.sblo.jp/article/105857784.html
<転載開始>

1221.スローモーションの核戦争「減らない環境セシウム」

2014112201.jpg・チェルノブイリとフクシマ。最汚染地帯も汚染面積も冷静に比較してみるとフクシマの方が遙かにひどい。
・チェルノブイリでは、除染してもしても減らないセシウムにとうとう諦めて、土地を放棄せざるを得なくなった。環境半減期は180年~320年と言われている。
・日本ではチェルノブイリの教訓を無視して、大和魂で「除染」にしがみついている日本でも、セシウムが環境中から減らないデータがいよいよ表に出てきた・・

 チェルノブイリとフクシマ。何もかも全然違って、汚染など一桁も二桁も低いと、データに当たることなく簡単に主張している人をよく見かけます。冒頭に示した「地球の子ども新聞132号」に示したように、濃い赤で示されるチェルノブイリでは移住義務ゾーンと呼ばれる148万Bq/m2(40Ci/km2)の面積は日本の方が広いことがわかるでしょう。そして、この程度の面積で収まったのは、フクシマの東側がすべて海でなおかつ日本列島が細長かったためであることが、ソ連、日本の地図を見比べることでわかると思います。

 チェルノブイリでは、人が住めないとして168もの村が廃村になってしまいました。日本の自治体も当然視察に行って知っているのですが、そこで出してた結論は驚くべきものでした。
除染技術の確立急務 無人都市にぼう然 チェルノブイリ原発の作業員ら5万人が暮らした旧ソ連(現ウクライナ)のプリピャチ市。ホテルや住居はガラスが破られ、室内に家財が散乱していた。事故5日後にオープン予定だった市中央部の遊園地では観覧車がさびつき、20台のゴンドラを風が揺らす。
 福島調査団の参加者は荒れ果てた人工都市の姿に、しばしぼうぜんとなった。そして、誰からともなく「除染して、住民を戻す取り組みはされなかったのか...」との声が漏れた。
 旧ソ連政府は原発事故発生後、プリピャチを含む周辺の汚染地域を「ゾーン」と呼ぶ立ち入り規制区域に指定し、11万6000人を強制移住させた。ソ連崩壊後、ウクライナ、ベラルーシ両国は住民の帰還を目指し、公共施設などの一部で除染に取り組んだ。しかし、効果的な手法を確立することはできず時間と予算だけが費やされたという。
 植物を植えて土壌中の放射性物質を吸い上げる方法も実践されたが、効果は見られなかった。マチは荒野に変わり果てた。
2014112202.jpg 東京電力福島第一原発事故の避難区域を抱える南相馬市除染対策室の横田美明さんは、市の除染計画にチェルノブイリの教訓を生かそうと調査団に加わった。しかし、具体的なアドバイスは得られなかった。「チェルノブイリと異なり、土地の狭い日本では、除染しなければ住む場所は限られる。除染のモデルをつくる必要がある」と切羽詰まった様子で語った。
 住民の強制移住で無人となった168の村の名を記したプレートが今春、チェルノブイリ市の中央広場に立てられた。
 視察した川内村の遠藤雄幸村長は、在ウクライナ大使館職員から立て札の意味を説明され青ざめた。人ごとではないと感じた。「川内村民は必ず帰還する。そのためには早急な除染の技術確立と実施が不可欠だ」と力を込め、国、県に強く支援を求めていく考えを示した。(本社報道部・渡部 純)
2011/11/10 17:00カテゴリー:チェルノブイリ原発事故 福島への教訓)
 核先進国で会ったソビエトが諦めた除染を、なぜ日本ならできるというのか。日本の役人がそんなに優秀に見えるんでしょうか?それとも、汚染水を止めることさえできない東京電力が優秀とでも?結局、自分で判断することができずに、偉い人が何かやってくれるだろうという根拠のない期待だけで、「政治」をやっているからこんな恥ずかしい言葉を平気に口に出せるのです。彼らは。いったい何のために視察に行っているんでしょうか?

2011年の4月に公開された「放射性セシウムの恐怖 前編『除染を諦めたロシア』」
放射性セシウムの恐怖 前編『除染を諦めたロシア』2011-04-16|原発、震災特集
チェルノブイリ原子力発電所の事故から25年。半減期が約30年の放射性セシウムによる土壌汚染が問題になっている。しかし、一方で放射性セシウムの除染を何年も行ってきたが、ロシア(旧ソ連)は結局諦めてしまった。それは何故なのか。
 未だに強い放射線に汚染されている地域はチェルノブイリ原発を中心に約350km。約100箇所をホットスポットが広範囲に広がっている。

放射性セシウムの除染を諦めたロシア チェルノブイリ原発事故では大量の放射性セシウムを含む放射能が飛散した。放射性セシウムは非常に反応しやすい物質で、常に他の元素と結合した状態で発見されている。IAEAが行った環境影響調査結果では、「屋根材やコンクリートにも容易に結合している」と報告がされている。
 放射性セシウムの半減期は30年。ガンマ線という波長の短い電磁波を放射しする。ガンマ線には、ウランから放出されるアルファ線ほどの有害性はないが、DNAを傷つけ発がん作用をもたらすにはかわりはない。またガンマ線は透過能力が高く、これを遮蔽するには10cm以上のコンクリート、鋼鉄、鉛、水しかない。

社会を崩壊させる恐ろしい物質、それが放射性セシウム
 「人々は自分たちの村や町を捨てなければならなかった。広大な土地はただの空き地になってしまった。セシウムは社会を崩壊させる恐ろしい物質だ
 半減期が長く、何でもくっ付く放射性セシウム。ひとたび汚染された物質から放射性セシウムを除去することは不可能に近い。ロシアは何年にもわたり放射性セシウムの除去を試みるも、結局は諦めた。これは資金不足だけが原因ではないと、スタンフォード大学の物理学教授、ステインハウスラー氏は述べている。

放射性セシウムの半減期は30年、しかしチェルノブイリは違う
放射性セシウムの半減期は30年だが、チェルノブイリ付近の土壌に含まれるセシウムの量はそのペースで減少していないことが2009年12月14日、米国地球物理学会の秋季大会で発表されたのだ。

2014112203.jpg
説明:黒線(Cs-137)が放射性セシウム。縦軸が残留濃度、横軸が経過年数。(10,000日は27.4年)
 このグラフは放射性物質のそれぞれの減衰予想したもの。約27年が経過すると存在する放射性物質は放射性セシウムだけになり、これがほぼ100%になると予想している。

半減期は30年、実際は最長320年
 テレビや新聞で言われる半減期とは『物理的半減期』で放射性セシウムは約30年といわれている。しかし科学者は自然の拡散作用によって放射性物質の減少が促進され半減期が早くなるのではないかと予想していた。これを『環境的半減期』とよんでいる。この環境的半減期の予想は放射性ストロインチウムについては当たった。しかし、放射性セシウムは逆に環境的半減期が伸びていたのだ。
 この理由について研究チームは環境に理由があると考えている。例えば、サンプルの採取地点にチェルノブイリ原発から新たにセシウムが供給されているかもしれないし、あるいはセシウムは地中深くの土壌にまで拡散しているのかもしれない。(チェルノブイリ原発は石棺といわれるコンクリートの建物で覆われているが、老朽化が激しく雨水が内部に流れ込んでいるとされている)

 このことからチェルノブイリ付近における放射性セシウムの物理的特性は変わらないものの、実際の環境的半減期は180~320年になると算出している。もちろん、これはチェルノブイリ原発周辺に当てはまる例であり、福島第一原子力発電所ではまた別の結果がでることが予想できる。

 長年にわたり生物を苦しめる放射性セシウム。まさに百害あって一利なしの物質なのだ。
初めてこの記事を読んだときには、まさか・・そんな。日本は雨が多いから、こんなに長くは汚染は継続しないだろうと勝手に考えていました。

東京都健康安全研究センターが出してきた 東京都新宿区百人町の土壌汚染結果
2014112204.jpg2014112205.jpg

 地表と地中のBq/kg->Bq/m2換算値があまりにも違う(地表が20倍程度なのに対して、地中は65倍)という問題点はあるとしても、傾向はつかめますのでこれらをグラフにしてみました。

・セシウム134(半減期2年)地表はある程度順当に減少している
・地表のセシウム137(半減期30年)はほとんど変わらないどころか、むしろ3年たっても上昇している
・地中のセシウムは、134/137ともにむしろ増加している。地表のセシウムが降下したためとも考えられるが、それだけでは説明できない。特にセシウム134は半減期をすぎているにもかかわらずむしろ増加している。環境的な濃縮が起きていると思われる。

 つまり、チェルノブイリで起きたそのままのことが、フクシマでも再現されているわけです。

ロバート・A・ジェイコブズ は、その著書「ドラゴン・テール」のなかで

原発事故はスローモーションの核戦争

であると述べました。まさしく、日本もまたこの「スローモーションの核戦争」に否応なく巻き込まれてしまったのです。

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