井口博士のサイトより
http://quasimoto2.exblog.jp/22414367/
<転載開始>

トランプ氏へのメッセージ1:M・ハドソンの「日本はなぜ借金大国になったか?」1

みなさん、こんにちは。

風雲急を告げてしまったこの世界、この日本。米大統領予備戦も架橋に入り、なんとトランプ氏が勝利宣言したという。そんなニュースも入ってきた。以下のものである。
【予備選】トランプ氏、満面の勝利宣言 「中国や日本を貿易で打ち負かす。これらの国はわれわれから多額の金を奪っている」

【マンチェスター時事】米大統領選のニューハンプシャー州予備選で、共和党の不動産王
ドナルド・トランプ氏は9日、マンチェスター市内の陣営で支持者を前に「ニューハンプシャーの人々に感謝する」と表明し、勝利宣言した。支持者たちは歓声と「USA」のコールで迎えた。

トランプ氏は満面の笑みで登場。共和党の他の候補者に謝意を示すとともに、 家族やスタッフの労をねぎらった。その上で「中国や日本、メキシコを貿易で打ち負かす。 これらの国は日々、われわれから多額の金を奪っている」と重ねて主張した。(2016/02/10-13:06)



これにあるように、ミスター・トランプさんは大きな勘違いをしているようなので、これを私の昔のブログの記事を再掲しておこう。もう8年も前のものである。


ハドソンの「日本はなぜ借金大国になったか?」1

最近”謎の”経済アナリスト、マイケル・ハドソン氏の6年前の2002年の経済解説記事「日本は なぜ借金大国になったか (1) (OUR WORLD)」を偶然見つけて読んだのだが、これほど 現在を見事にかつ完璧に分析したものは見たことがない。(後に調べたところでは、「超帝国主義国 家アメリカの内幕」の著者らしい。)

この記事は、2001年の「9・11」以後のものであるが、これとは独立に長い間、日本の太田龍、イギリスのジョン・コールマン博士やデーヴィッド・アイク、さらにはタープレイ、ウィリング、マニング、アンドリュー・C・ヒッチコック、テックス・マーズ、スプリングマイヤーなどの、俗にいう「陰暴露論者」の人々によって「300人委員会」、「イルミナティー」、「国際金融寡占勢力」、「王家」、「黒い貴族」、「サタニスト」、「ルシファー信仰」などというキーワードによって表現されてきた人々が、「この現実社会でいかなることを行って来たか?」ということを実に見事に”普通の経済学の見方で表現したもの”である。

それゆえ、マイケル・ハドソン氏の記事には、そういったいかなる「陰謀論」もいかなる危ないキーワードも出てこないが、確かにかなり大きな権力が関わって、この日本社会やアメリカ社会、さらには全世界を「国際金融寡占勢力」が実に見事な経済的政治的手法に基づいて、「借金財政」の形にもっていったかが、詳細なデータを基にして語られている。

そして、この「国際金融寡占勢力」とは、かつてアメリカの20世紀最大の建築家の1人であったバックミンスター・フラーがその大著「クリティカル・パス」で「法律家資本主義」あるいは「軍産複合体」と呼んだものと同一のものなのである。

そしてそれは、ここ10年ほどで日本やアメリカ、そして『この世界がいかに急速に「格差社会」へと変貌を遂げたか』の経済学的な理由付けとなっている。

一言で言えば、「不労所得(地代、賃貸料、金利、キャピタル・ゲイン)」を得る、Finance(金融) 、Insurance(保険)、Real Estate(不動産)産業など一般に《FIRE分野》と呼ばれる分野への”課 税”を怠ったことが原因である。

その昔、堤一族の西部系列に「コクド」という会社があったが、超巨大企業であったにも関わらず、 不動産投資で”赤字会社”であるので税金は支払はなくてよい、という法律で大成長したということ を思い起こさせてくれる。もう一度、経済学や経済の原点に戻り、《FIRE分野》といえども、赤字会 社であろうが、それなりの経済を担っているものにはそれなりの課税をすればいい、というのがマイ ケル・ハドソンの解決策である。実にもっともな話である。

これさえすれば、年金問題であろうが、何であろうが、すべてがうまく行くのである。もっとも「国際金融寡占勢力」に洗脳された経済学者や経済アナリストは真っ向から猛反対するだろうがナ。

そういうわけで、ここに章別に分けて紹介させてもらおう。

【】《》などの記号は、私が”自分のために”加えたものである。

日本はなぜ借金大国になったか (1) (OUR WORLD)

投稿者 マイケル・ハドソン 日時 2002 年 2 月 27 日 21:16:03:

1965年から30年の間に、日本は国家債務ゼロから世界最大の負債国へと転落した。《日本の負債が 他の国に見られない特性を持つのは、それが必然的なものではなく、純粋に政治的な理由から生まれ た点にある》。

政府が借金をする伝統的な理由は戦争である。生死を賭けた戦いは、通常の税収入では賄えないため 、借金で対処する。220年前、イギリスが米国植民地を相手に戦争をしていた時、アダム・スミスは 、戦争のために増税すると有権者が戦争に反対するため、政府は借金を行い国民の負担を軽減したか のように見せかけるが、長期的にはより高くつく、と語っている。

日本の場合、過去半世紀の間、戦争を行っていない。米国の軍事プログラムへの援助以外は、日本の
軍事予算はほぼゼロに近かった。

【I.金融および不動産部門への課税を怠ったことに起因する財政赤字】

平和時に政府が借金を増やす理由は、主に国内の政治的失敗、つまり富に対する課税を怠ったことに起因する》。
すなわち、
平和時の国家債務は海外との戦争ではなく、国内の階級闘争の結果、生まれたものである》。
冷戦が事実上終結した今日、国内に階級闘争が舞い戻ってきたようだ。

階級闘争の本質は経済力を政治権力に転換することである。ほぼ決まって勝者となる富裕階級にとって、階級闘争の目的は自分達の所得や富に対する税金を削減することにある。その結果、税制は富裕者への累進制を弱めるよう改正され、賃金労働者や消費者の税負担が高くなる。
日本の場合も、今日の財政赤字と国家債務は、最も裕福な階級に対する課税を怠ったことが原因となっている》。

しかし、現在の財政政策の悲劇は、生産的な産業投資よりも、非生産的で寄生的な富の方が簡単に税金逃れができる点にある。不正な富の方が税金を削減しやすいのは、それがより多くの経済価値をもたらすからではなく、ただ単に最も収益性が高く、強い影響力を持つためである。過剰の富や、不労所得者の所得へ課税する代わりに、必需品や生産的な直接投資、労働者階級への課税を増加すれば、産業の発展や繁栄は抑制されてしまう。

税制の改正は、金融および不動産投資家に、寄生的かつ投機的な収益を求めることを奨励する。新しい税制は、製品やサービスの生産を促進するのではなく、負債を増やした銀行や賃貸料を上昇させた投機家たちに資金援助をしているのだ。この新しい財政哲学は、世界競争に向けた生産性や生産高拡大のための再投資に必要な収益を産業界から奪いかねない。

日本の大蔵官僚が新しい税制哲学を異口同音に支持しているという現実は、戦後形成された金融、不動産分野がいかに政治的に攻勢に転じてきたか端的に表している。金融、不動産分野は、米国製の「無価値」経済学を利用して、大々的な広報活動を繰り広げ、金利や賃貸料の上昇で経済のコスト構造を押し上げること以上に生産的な方法は、従来の金儲けの手法(例えば工場の建設)にはないと主張している。

この「無価値」の富は、主にFinance(金融)、Insurance(保険)、Real Estate(不動産)産業とそ の不労所得者の収入であり、それらの頭文字を取って一般に《FIRE分野》と呼ばれている。

不労所得者の収入は、貸し手と地主が事前に規定する固定利用料(家賃と利子など)から成る。
企業の成功如何で増減する収益とは対照的に、これらの固定料金は、経済の成長や支払い能力とは無関係に、いやおうなしに要求されるものである》。
ある人の収入が他の人の支出になる「ゼロサム・ゲーム」がそうであるように、不労所得者が要求する料金は、債務者の基本資産を削るところまで利益を食いつぶしてくる。

この結果、
貯蓄は直接投資にではなく、融資や不動産投機に回される》。
こうして、
経済の生産的資源は増えずに、金融や不動産投機による不労所得者の収入が増加する》。

国民はこの「新しい」税制政策がいかに深刻な影響を与えるか理解していない。事実、バブル以降の日本は、金融および不動産分野で膨張する富に対する課税を躊躇してきた。このことは、日本を含む世界の国々が歴史的に税制の基盤を地租に置いてきたという事実とは極めて対照的である。国王や天皇は、土地の支配権および所有権を官僚に移管した。もともと地主は、宮殿を守ったり、兵力などを含む軍事的ニーズをカバーするために、その土地から生まれる余剰農産物(および作物の用益権や農民の労働力)の大半を国に提供することになっていた。しかし、地主は次第に、そのような土地からの収益を社会のために使用するという義務を果たさなくなった。実際、地主にそのような「自由」を与えたことが、自由企業制や真の私有財産の基盤となったのである。

過去1世紀の間に、課税対象に最も適しているのは「不労増価分」、すなわち、社会の繁栄(あるいは 単に通貨インフレ)に起因する土地や資産価値の増加分であるという考えが広まった。例えば、公共 の交通機関や道路、電気、その他税金で実施される基盤整備によって、土地の不動産価値は一般に上 昇する。
税金を使ったおかげで値上がりした分の賃貸料を取り戻すには、通常固定資産税を徴収す ることによって、その増加分が国民に還元される》。

しかし
税金が徴収されなければ、税金を使ったことによって生まれた利益は不労所得投資家の手元に残る》。
そして
不労所得者階級が強力になればなる程、政治家をうまく操って自分達の税金を削減させようとする》。
その結果、財政赤字と国家債務が増加するのである》。

今回日本が他国と異なる点は、バブル経済のさなかに負債が増大した点にある。そしてこのバブルこそ、先例のない程の巨額な不労増価を意味している。

バブル経済の真っただ中に国債残高が増加した原因を見つけるのはそれ程困難ではない。バブル経済は、不動産価格を一般家庭の手の届かないところまで押し上げたのに加え、不動産億万長者を生み出し、不労所得者の地位を不動のものにした。

FIRE分野の力が強力になると、その分野が1つの階級を形成し、自分達の利益が課税対象とならないようにするために、公共利益に反する活動をする》。
その一方で自分達の目的を支持させるよう政府 の政策に影響を与える。その結果、不動産分野が従来支払っていた税金は他の分野に振り替えられる 。こうなると、
借金をしてでもさらに不動産を購入した方が儲かるようになり、不動産分野は借金 だらけになっていくのである》。
そして不動産の所有者はこの借金状態を強調して、金融機関と共に 、業界は多額の借金を抱えているので、もっと減税すべきだと主張するのである。さらに、
不動産 投機家はローンの利子分を課税所得から控除することが認められていたために、このプロセスにはさ らに拍車がかかった》。

このような厄介な行動形式は、日本に限ったことではない。過去4,000年の文明化の歴史を通じて一 貫して描かれてきた変遷の型である。しかし、日本の場合興味深いのは、
バブルが繰り返されるこ とがないよう増税を呼びかけるのではなく、逆にバブル崩壊を口実に、不動産や銀行の富に対して減 税が叫ばれている点である》。

最も裕福な不労所得者層が税金を逃れようとした結果、日本にほぼ慢性的な財政危機が生まれた。さ らに、他の諸国の場合と同様に、既存の負債に対する金利も公的債務を増加させている。過去の負債 に対する利払いが負担となって、結局毎年、財政赤字を生むことになる。国家が税収入、厳密には不 労所得の富に課税をして歳出を賄わない限り、今回の累積債務から逃れることは難しい。
問題は、 税金を逃れようとするFIRE分野の既得権益の経済力に対抗するだけの政治権力を結集させる能力が一 般国民にない点にある》。
その結果、政府は借金で金利を賄い、毎年国家債務を増加させていく。つ まり、このことは、公債が指数関数的に複利で増加することを意味する。


【米国の財政赤字を資金援助するために、日本がいかに借金を増加させたか】

日本の国債残高増加にはもう1つの要因がある。国内の富裕者に対する減税や金融部門(最も顕著なの が住専)の救済、税金逃れに忙しい富裕階級への利払いといった負担の他に、
米国の財務省にも資 金援助している点である》。
金や円、その他の通貨ではなく米ドルで外貨準備高を保有することで、 日本の中央銀行は結局、1996年4月時点で、財務省に2,045億ドル(20兆円)を融資している。

1996年7月のSurvey of Current Businessによれば、日本の民間部門の財務省証券の保有高を含める と、日本は米国財務省に対して昨年末時点で、2,230億ドルをも貸し付けている。これは、1994年末 の数字、1,690億ドルに比べると31%の伸びになる。それに加えて、日本の公的機関および民間部門 は米国の銀行に880億ドルも預金をしており、1995年末時点において日本から米国への融資総額は3, 100億ドルにものぼった。

これだけの金額を日本は米国に融資していながら、日本政府は財政赤字を増やし、その結果、日本国
民に対する負債を増加させているのである。

[ 更新日時:2008/07/30 16:17 ]
この記事のURL: http://www.doblog.com/weblog/myblog/19256/2621424#2621424


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