社会科学者の随想さんのサイトより
http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/1054625304.html
<転載開始>
【原子力複合体を構成する諸組織・諸制度は,国民・市民・住民・庶民を舐めきっている】

 【『悪魔の火』の旋律(戦慄)に踊らされる,営利・強欲一点張りの大企業経営者,我利・私欲亡者の高級官僚たち】

 【『日刊ゲンダイ』の原子力村批判は本質を突いている】



 ① 本日:2016年3月26日『朝日新聞』朝刊の原発関連記事など

 a)「稼働延長,収益伴わず 伊方1号機廃炉へ『費用回収できぬ』」(3面)

 四国電力は,来年で運転開始から40年となる伊方原発1号機(愛媛県,出力56万6千キロワット)を廃炉にすることを決めた。佐伯勇人社長が3月25日,愛媛県の中村時広知事に伝えた。原発の運転期間は原則40年で,原子力規制委員会が認めれば最長20年延長できるが,多額の対策費にみあう収益が上がらないと判断した。

廃炉状況『朝日新聞』2016年3月26日朝刊3面 佐伯社長は知事との会談後,廃炉を決めた理由について「投資の回収という意味合いでなりたたない」と記者団に明らかにした。

 四電によると,伊方1号機の運転期間を20年延ばすには2千億円規模の安全対策費が必要となるが,再稼働による利益押し上げ効果は年約100億円という。ただ,工事に4~5年かかるとみられ,運転できるのは15~16年間。再稼働しても,それにみあう収益が上がらない計算だ。

 廃炉を決めた背景には,電力供給に余裕が出てきたこともある。節電が進んだことなどで,四電の2015年度の電力販売量は5年連続の減少となる見通し。四電は今後も販売量が減っていくとみており,「電力は確保できる」(佐伯社長)と判断した。
 --いまや,日本でも原発がさらに「採算のとれない電源」になりつつあることは,明快に理解されるほかない時代になっている。2011年に東日本大震災「3・11」が発生していなければ,いまごろでもなお,50%以上もの比率で電源を原発に頼る体制に向け,ひた走りしていたはずである。

 だが,東電福島第1原発事故は,世紀(人類の歴史)に記録されるべき過酷な大事故であった。原発に関する「安全神話」だけでなく,そのコストに関する「最安価:信仰」も,まったくの虚構にもとづくイデオロギーであった事実を暴露させられた。

脱原理職政策大綱表紙 原子力市民委員会『これならできる原発ゼロ! 市民がつくった 脱原子力政策大綱』(宝島社,2014年6月)は,「原子力発電に対する比較総合評価の視点」の基準として必要な条件を,つぎのように解説している。

 まず,3Eと呼ばれる「特別に重要な指標」が要求される。

 ★-1 供給安定性(energy security)
 ★-2 経済性(economy)
 ★-3 環境保全性(environment)

 これらにくわえてさらに,

 ★-4 十分な安全性(safety)

が確保されていなければ,つまり,以上のごとき「3E+S」が確保されないのであれば,『実用技術』としては社会的に受容されえない。しかし,福島原発事故は,原子力発電が優れているとされていた,こうした諸要件すべてが否定される事実を教訓として残した。
 註記)原子力市民委員会『これならできる原発ゼロ! 市民がつくった 脱原子力政策大綱』19頁。

 前段,★-4の「十分な安全性(safety)」についてはさらに,日本がいまさらにように継続しようとしている原発輸出支援策にかかわって,つぎの問題点が残っている。

 それは,国際的な原子力取引(原発製品の売買)の前提が,抜本的にみなおされねばならない不可避の必要性が生まれていることである。原子力の利用にさして固有の問題点として随伴する「安全性(safety)」の技術的な問題は,これじたいだけでなく,その保障措置(safeguard),ならびにセキュリティ(security)の問題とも併せて,こられ「3S」という基本条件として重大な問題を提示している。
 註記)前掲書,162-164頁参照。

 この★-4の原発にかかわる問題性は,軍事的な次元にまで深い関連を有するがゆえ,国際政治次元の課題をも発生させている。日本はこの課題にまで責任をもちながら,原発輸出事業を実際に順調に展開できるか疑問がある。

 自国が発生させた原発の重大事故の処理さえ,いいかえれば,その「解決=後始末」のめどすらまだ,まともに立てられていない現状にある。それでいながら原発を輸出するといい,しかも当該企業の1社である東芝などは,最近のような経営危機(不正経理・会計操作の一件が発覚していた)にも反映されているように,アメリカ原発企業を「救済的に買収した」のちの事業進出であるとすれば,まさしく「悪魔の火」に炙られたごとき「〈営利企業〉の本性」を丸出しした演技を,われわれの目前で披露している。

 〔記事本文の引用に戻る ↓ 〕
 ※ 巨額費用・廃棄物,なお課題 ※
 東京電力福島第1原発事故後の新たな規制基準下で,すでに5基の廃炉が決まっている。

 九州電力は昨〔2015〕年12月,玄海1号機(佐賀県)の廃炉計画を申請し,作業終了は開始から28年後,費用は364億円とした。

 新規制基準ができる前に廃炉が決まった中部電力浜岡1,2号機(静岡県)は,27年で計841億円と見積もる。四電は25日,伊方1号機の廃炉費用について「約400億円」との見通しを明らかにした。

 廃炉で出る放射性物質を含む金属やコンクリートなどの処分場探しも難航しそうだ。関西電力の八木 誠社長は2月,廃炉を決めた美浜1,2号機(福井県)の処分場設置場所について「具体的にはなにも決まっていない」と話した。

 運転開始から35年以上の原発は全国で12基あり,廃炉が決まっていない6基中5基をもつ関電は,すべて再稼働する方針。残り1基は日本原子力発電の東海第2(茨城県)で,再稼働をめざし,新規制基準に基づく審査を2014年に申請。今後,運転延長も申請するとみられる。

 --廃炉の問題は,現実的に判りうる範囲内で「想定してみた」ところでも,この報道に書かれているような金額で済みそうな,終わうるようなみこみはない。「時間の長さ」に関していっても,記述されているような期間内に終わるという保証がない。

 廃炉が通常の作業工程をたどっていく場合でも,半世紀から1世紀の視野を覚悟しておく余地があるのに,ましてや,事故を起こした原発が,今後においてどのくらい時間をかければ「後始末がついた」といえる状態にまで現場を復旧できるかついては,実は,まだ誰にも判っていない。

 前述の文献,原子力市民委員会『これならできる原発ゼロ! 市民がつくった 脱原子力政策大綱』は,東電福島第1原発のように大事故を起こした事例に関しては,「22世紀前半では済まず,23世紀以降へ繰り延べが必要かもしれない」とまで指摘している。
 註記)同書,89頁。

 22世紀とは2100年代,23世紀とは2200年代のことであることはいうまでもないが,実におそろしい事態が,原発の廃炉,否,事故を起こした原発の後始末に関しては,現実に「想定」されざるをえいないのである。

 --つぎの画像資料は,本ブログ内の記述(註記 ↓  参照)に引用したことのある図解であるが,これはどこまでも希望的観測であるとみなすほかない説明である。右側「30~40年後」という説明は,より正確には「30~40年後」「の以降のいつか……」が,正しい表現である。
『日本経済新聞』2016年2月14日朝刊13面2
 出所) 「大震災から5年再建への道程  (7)  福島廃炉 先見えず,溶融燃料搬出あと5年」『日本経済新聞』2016年2月14日朝刊13面「日曜に考える 検証」。
 註記)2016年02月14日「大事業である『廃炉』の工程に進めえない,東電福島原発事故『汚染水:ダダ漏れ』問題の,半永久的事業性-山名 元の名誉な汚れ役-」

 b)『朝日新聞』2016年3月26日朝刊「声」欄に寄稿された2つの意見
 
 ☆ 関経連副会長の司法批判に驚き ☆
= 無職 上野洋一(東京都 66歳)=


 関西経済連合会の角 和夫副会長(阪急電鉄会長)が記者会見で,関西電力高浜原発3,4号機の運転を差し止めた大津地裁の仮処分決定について,こう批判したそうです。「憤りを超えて怒りを覚えます」「なぜ一地裁の裁判官によって,国のエネルギー政策に支障をきたすことが起こるのか」「こういうことができないよう,速やかな法改正をのぞむ」。

 経済界の中心人物の発言としては,実に驚くべき,ひどい内容です。

 ひとつ目は,自分の気に入らない司法判断について,憤りを超えて怒りを覚えるという私人としての感情を,公の記者会見の場で述べています。

 ふたつ目は,国が決めたことは絶対であり,それに反対する者は邪魔であるという考えがうかがえます。

 みっつ目は,司法をコントロールして国に従わせたいというのは,三権分立というものを理解していません。

 現政権になってから,こうした発言は各界でしばしば耳にします。みずからの利害しか頭にないことから生じていると思います。この傾向は,きわめて危険です。「私」を優先し,「公」を都合よく私物化したい人物が,各界を支配しつつあるのではないか。たいへん心配です。

☆ 関電社長の発言は訴訟への圧力 ☆
= 省エネ器具販売 寺西康祐(岐阜県 72歳)=


 福井県の関西電力高浜原発3,4号機の運転差し止めを命じた大津地裁の仮処分決定をめぐり,関電の八木 誠社長が「上級審で逆転勝訴した場合,(申し立てた住民への)損害賠償請求は検討の対象になりうる」と発言し,仮処分を申し立てた住民側の弁護団などが抗議文を送った。

 多くの国民は,関電社長の発言に耳を疑ったことだろう。こんなことをいわれたら,立場の弱い住民にとって大きな圧力となることは火をみるよりも明らかだ。実に腹立たしいことである。最近「スラップ訴訟」という言葉を聞く。米国で生まれた考え方で,大企業や公的機関などが,市民活動家などによる批判を抑圧する目的で訴えることを指す。

 関電広報室は「損害賠償については現時点でなにも決まっていない。今回の申立人を恫喝したり,牽制したりする目的で申し上げたものではない」との談話を出した。しかし私は,恫喝や新たな申し立てに対する牽制以外の何物でもないと考えている。

 住民側はこれにめげず,信念を持って闘い抜いてもらいたい。きっと国民の多くはそう願っていることだろう。

 c) 先日〔3月19日〕の『日本経済新聞』朝刊には,「関電,再稼働の目算狂う 美浜3号機,廃炉も視野 社長,値下げ撤回を陳謝」との見出しで,こういう記事が出ていた。
    関西電力の経営再建の柱となる原発再稼働のシナリオに狂いが生じている。八木 誠社長は〔3月〕18日,東京都内での記者会見で,大津地裁による高浜原子力発電所3,4号機(福井県)の運転差し止めの仮処分決定を理由に5月からの値下げを撤回したことについて「ご迷惑をおかけして誠に申し訳ない」と陳謝した。高浜3,4号機の再稼働が見通せなくなったうえ,運転延長をめざす美浜3号機(同)では廃炉の可能性も浮上している。

 八木社長が公の場で大津地裁の決定に言及したのは初めて。会長を務める電気事業連合会の定例記者会見で語った。地裁の決定には「きわめて遺憾で承服できない」と述べ,「詳しく説明して資料も提出した。きわめて不合理だ」と強く反論した。

 関電はすでに同地裁に不服申し立てをした。異議審は4月にも始まるが,担当するのは運転差し止めの仮処分を決定した裁判長。八木社長は「裁判官にかかわらず,より丁寧に説明するに尽きる」と語るが,同じ主張を繰り返すだけでは決定を覆すのは難しそうだ。異議審の判断が出るまで数カ月以上かかる見通しで,高裁まで長引けば再稼働の時期はさらに遠のく。

 運転から39年経つ美浜3号機(福井県)は廃炉の可能性が出てきている。原子力規制委員会の新規制基準を満たすのに必要な安全対策費が,当初みこんでいた1290億円から最大2700億円へと2倍以上に膨らむことが判明したためだ。

 関電はプラントメーカーや施工会社などと対策費を2000億円程度までに抑えられないか協議を始めた。ただ関係者からは「必要な対策がほとんどで削れる余地はない」との声も聞かれる。

 八木社長は「(審査で)基準地震動(地震の揺れの想定値)が上がったので,費用が増える方向にあるのは事実だ」と述べるにとどめ,具体的な金額は明かさなかった。美浜1,2号機は昨〔2015〕年3月に廃炉を決めており,3号機も再稼働しても現時点では投資にみあう収益をえられる保証はない。

 原発の運転期間は原則40年だが,関電は特例制度を活用して美浜3号機の運転期間を60年まで延ばそうと規制委に審査を申請している。だが審査は停滞気味で,11月末の期限までに合格しないと廃炉に追いこまれる。関電が描く原発再稼働による収益改善の算段は早くも崩れ,再建への道筋は不透明さを増している。
 --この記事は,前段において参照した文献,原子力市民委員会『これならできる原発ゼロ! 市民がつくった 脱原子力政策大綱』2014年6月が指摘したとおりに,問題点が浮上してきた現況を報告している。つまり,日本の原発の「技術-経済-安全」全般にわたる問題点は,すでにその臨界点を以前から超えていた現実を教えている。

 要は,いまの日本社会は「このまま原発ゼロ社会に移行したからといって,深刻な電力不足になるとは考えにくい」のである。
 註記)原子力市民委員会『これならできる原発ゼロ! 市民がつくった 脱原子力政策大綱』155頁。

 d)  前項  c)  の記事(「関電,再稼働の目算狂う 美浜3号機,廃炉も視野 社長,値下げ撤回を陳謝」2016/3/19,日経)については,本日の議論全体にも関連させうる,より具体的な説明もなされている。『ヤフー 知恵袋』に投稿された「 blue_train22さん,2016/3/21 16:22:34 」の説明である。関電のいいぶんを真っ向から的確に批判している。

 イ) 美浜3号機(出力82万6千kW)の安全対策費が2700億円かかる。しかも,全然,安全にならない。

 ⇒ 2700億円あれば,100万kWのが,4ヶ所も新設できる。そうすれば,高い燃料費の既存石油火力から最新LNG火力への転換で,その分の燃料費もCO2排出量も一気に1/2に削減できる。そうすれば,関電の経営状況は大幅に改善する。
 補注)原発の熱効率は約3分の1であるが,最新鋭のLNG火力発電ならばほご6割にまで到達している。

 ロ) 原発に経済性合理性などまったくない。

 ⇒ 原発はもっとももコストが高く,原発を維持すれば電気料金は高くなる。
 補注)原発コスト安価論の幻想・まやかし性は,最近になるとますます明白にされている。疑う余地の大ありであった原発コスト安価論の虚偽性は,いまでは疑い余地もない伝説であったことが露呈している。

 つぎの図表は大島堅一の作成である。より正確にみれば「原発+揚力発電」のコストがほぼ原発のコストとなる。
原発コストは高い大島図表
出所)http://bochibochi-ikoka.doorblog.jp/archives/3049165.html
なお,大島堅一『原発のコスト』(岩波書店,2011年)では
112頁に該当する表が出ている。数値は完全に同じではない。
⇒ 表3-1 発電の実際のコスト(1970~2010年度平均)。

 ハ) もし,関電がまとまな正しい企業ならば,もし,関電が原発に関わる不正資金に関与していないなら,速やかにすべての原発を廃止しようとするはずだ。なのに,関電は原発に執拗に固執する。

 ⇒ 関西電力とは,まさに不正に染まる極悪な「犯罪企業」なのでは?
 ⇒ 原発をやめさせるためには,関電から電気をけっして買ってはいけないのでは?
 註記)http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12157265212

 --この「blue_train22さん」はさらに,『ヤフー 知恵袋』の「2016/3/22 18:08:43」にも続けて,つぎのような投稿をしていた。

 ※-1 『米国の原発,次々前倒しで廃炉へ! 台湾も廃止! ベトナムも延期!』(2016/3/22)。
 原発の廃止は,世界の潮流。欧州各国に続いて,米国もアジア各国も。なぜ,日本だけが,危険で汚くて本当はもっともコストの高い「原発」に固執するのか?

 ※-2 『原発稼働,2028年に先送り=東電事故受け検証-ベトナム・現地報道』(2016/3/18 時事)。
 「【ハノイ時事】ベトナムの電子メディア,VNエクスプレスは18日,同国南部ニントゥアン省で計画している初の原発の稼働が2028年に先送りされると報じた。原発はロシアと日本が受注したが,東京電力福島第1原発の事故を受け,津波や自然災害に対する安全性の検証を慎重におこなうのが主因。ベトナム政府の最近の決定として伝えた」。

 「日本政府は,インフラ輸出を成長戦略の柱と位置づけており,ベトナムへの原発輸出は代表的な案件のひとつ。その実現が遅れることで,同戦略の推進に水を差す可能性がありそうだ」。
   補注)以下の図表は『日本経済新聞』2014年12月27日朝刊。
       『日本経済新聞』2014年12月27日朝刊2面
 ※-3 『台湾の次期総統の民進党,蔡 英文氏は「2025年までに脱原発実現」を公約。「福島の教訓」は日本より台湾に受け継がれた形』(2016/3/14 )

 「5月に総統に就任する蔡 英文氏が主席を務める民進党は,『行の原発は稼働期間が終われば廃炉にする』と明言,2025年までの脱原発社会実現をめざしている。蔡氏は12日のフェイスブックであらためてこの方針を繰り返した。福島事故を起こした日本よりも先に,台湾が脱原発に向かうことになる」。

 ※-4 『【アメリカの原発,次々と『前倒し』で廃炉へ】 10年,20年の単位で早まる,アメリカ国内原子力発電所の廃止』(グレンS.K. ウィリアムズ / アメリカAOLエナジー〔2015年〕12月18日)

 「アメリカが天然ガスとシェールガス開発に注目を続けるなか,いまやアメリカにおいて,商業用の原子力発電所が事業を継続していくことについては,その見通しはきわめて難しいものになっています」。

 「アメリカの多数の原発で『前倒し』の廃炉が検討され始めたのは,つぎの2つのケースにおいてです」。

  ◆-1 経済的に採算がとれなくなったため,電力会社みずから撤退。
  ◆-2 原発が立地している地方自治体が,廃炉の前倒しを要求している。


 「ドミニオン・リソース社は,所有するウィスコンシン州にある原子力発電所を,20年前倒しして閉鎖することを発表」した。

 「エクセロン社は稼働中の10か所の原子力発電所,17基の原子炉を所有していますが,いずれの原子力発電所も利益を上げることに四苦八苦しており,株主に対し,いずれ配当金のカットに踏み切らざるをえない」。

 「フロリダ州タンパ近くにあるデューク・エナジー社のクリスタル・リバー原子力発電所,もう1か所はカリフォルニア州南部にあるエジソン・インターナショナル社のサン・オノフル原子力発電所」は,「いずれの発電所も予想をはるかに超えた高額なメンテナンス費用に,頭を抱えている」。

 「クリスタル・リバー原子力発電所にある原子炉格納容器の補修には20億ドル(1,600億円以上)を超える費用が見積もられています」。

 「サン・オノフル原子力発電所も高額な費用を要する,予想外のメンテナンス問題に直面させられています」。

 「エンタジー社は2つの州で同時に追いつめられています。ヴァーモント州はヴァーモント・ヤンキー原子力発電所の廃止を20年早めるよう求めています」。

 「ニューヨーク州もインディアン・ポイント原子力発電所の廃止を,20年前倒しするよう求めています。同発電所がこれ以上操業を続けることを許さない決意です」。

 「ニュージャージー規制当局は,エクセロン社のオイスター・クリーク原子力発電所の早期閉鎖について協議に入りました」。

 e) さて,4月(来月)より日本の電力産業は自由化される。電力の発送配電が日本で自由化されるようになった契機は,いうまでもないが,2011年「3・11」の東日本大震災が発生し,東電福島原発事故が惹起された事実に求められる。

 この「3・11」がなければ,いまもなお「安全神話」が生き延び,電源構成における「原発50%超」をめざしてさらに,原発を新造させたり,既存原発の使用年数を60年に延長させたりする計画は,まったく変わることもなく持続していたものと思われる。

 とはいえ,日本の原発も,前段に指摘・説明された「アメリカの諸事例」と同じような現象=「不都合な真実」を,じわじわと露呈しはじめている。これまで堅持されてきた事実は,つぎのようなものであった。

 「地域独占企業」「総括原価方式」といった〈国策民営〉の経営管理になる原発産業は,原子力エネルギーに関する  “atoms for peace”  という標語のもとに推進されてきたものの,もとより〈自家撞着〉でしかなかった《技術経済的な本性・限界》を隠蔽するためでもあった「国家体制側からの援 助政策路線」の上にあってこそ,成立させられていたのである。
atomsforpeace画像
 これは “ https://en.wikipedia.org/wiki/Atoms_for_Peace ”(英語版)に出ている「シンボル・マーク」。
 原発は元来,「技術能率的な合理性,経済計算的な採算性,社会生活的な安全性」など,これらのいずれについても保証されえない〈不幸な出自〉をもっていた。兵器・武器として “atoms for war” のためであれば,それらの条件は無視しうる。だが,民生用・電力生産のための原発は,けっしてそうではなかった。出発点からして無理を冒してきた電力生産の方法であったのである。

 ②「ますます “悪魔化” する 東電・原子力ムラの悪党たち』(『日刊ゲンダイ』2016年2月26日)

 この記事,少し長くなるが,全文を紹介する。① における議論と共鳴する内容である。なお,a)  b)  c)  …… の符号は引用者が添付。

 a) こんなバカな話があるものか。福島第1原発の事故当時,東京電力の社内マニュアルに「炉心溶融」(メルトダウン)を判定する基準が明記してあったのに,5年間もその存在に東電社員は誰ひとりとして気づかなかったというのだ。

 2010年4月に改訂された「原子力災害対策マニュアル」には「炉心損傷割合が5%を超えていれば炉心溶融と判定する」と明記されていた。東電は2011年3月14日の朝には,1号機の炉心損傷割合が55%,3号機も30%と確認。マニュアルにもとづけば,事故発生から3日後には「炉心溶融」と判定・公表できていたはずだ。

 ところが,東電は当時,炉心溶融の可能性を十分に認識しながら,あえて「炉心損傷」という表現を使い続け,より深刻な印象を与える「溶融」という言葉を避け続けてきた。「炉心溶融」を公表したのは,事故から実に2カ月後の2011年5月のこと。公表が遅れた理由をいまのいままで「判断の根拠がなかった」と説明してきたのだが,その「判断の根拠」は社内マニュアルにバッチリ記載されていたわけだ。

 マニュアルの判定基準について東電は,柏崎刈羽原発を抱え,原発事故の検証を続ける新潟県の技術委員会の求めで,〔2016〕今〔2〕月に当時の経緯を調べなおすまで「気づかなかった」と説明したが,5年近くも放置されたことには違和感を覚える。

 b)「再稼働のため国民にまた1つウソをつく」
 「端的に言って『東電はまた,ウソをついているな』という印象です。判定基準に5年も気づかないなんて,絶対にありえません」と,元経産官僚の古賀茂明氏は,こういった。

 「官僚だった私からみても東電の職員は官僚以上に官僚的です。事故当時のマニュアルは2013年12月に全面改訂され,炉心溶融の記載は消えましたが,彼らは “白地に絵を描く” ことはしません。のちの説明のため,以前のマニュアルを詳しく確認し,記載の変更理由をしっかり整理する」。

 「新旧対照表の作成もルーティンワークのはずです。もちろん,事故当時だって炉心溶融の判定基準に気づいていたと思いますよ。いまになって判定基準の存在を明かしたのは,恐らく東電が早期再稼働をめざす柏崎刈羽6,7号機の敷地内に活断層がないことが確定し,安全審査の先が見えてきたからです」。

 新潟県の泉田裕彦知事は「2カ月もメルトダウンが分からなかったとしたら,原発を運転する資格はない」と,東電を厳しく追及。再稼働を議論する前提として原発事故の検証と総括を東電に求めてきた。

 「東電にとって悲願である柏崎刈羽原発の再稼働に向け,いつかは泉田知事に『炉心溶融』の判定基準の存在を説明するしかありませんでしたが, “いままで隠蔽してきました” とは口が裂けてもいえない。だから, “うっかりミス” でごまかすことに決めたのでしょう」(古賀茂明氏=前出)。

 要するに原発を再び動かすために,東電はまた国民を欺いているということだ。あらためて,この企業の隠蔽,ウソつき体質にはヘドが出る。

 c)「原発利権温存に消えた6兆円もの国民のカネ」
 こんなペテン体質の身勝手組織は,やはり延命させてはいけなかった。原発事故直後なら,東電は確実に潰せたはずだ。前出の古賀茂明氏も事故当時はまだ経産省に所属し,東電の破綻処理を熱心に訴えていた。それでも東電を潰せなかった要因は,経産省の責任逃れだ。そのデタラメなプロセスを国民にはあらためてしってほしい。

 事故直後に問題化したのは,原子力損害賠償法にもとづく免責規定の適用の可否だ。同法には「異常に巨大な天災地変」によって生じた損害は,電力会社は免責になるという例外規定がある。東電は当初,福島原発の津波被害は「巨大な天災」にあたると主張。免責を強く訴えていた。

 これに焦ったのが経産省だ。東電が免責されれば,世論の批判は当時の保安院など経産省に向かう。それを恐れて経産省は,当時の細野哲弘資源エネルギー庁長官が東電の勝俣恒久会長のもとに日参,「免責を主張しなければ経産省が必ず東電を守る」と密約を交わしたとされる。

 すると,3月末には3つのメガバンクが東電に2兆円を無担保,無保証,最優遇金利で融資することを決めた。未曾有の大事故を起こし,東電株が暴落する最中の異例の巨額融資にも経産省の暗躍が囁かれた。当時の松永和夫事務次官が,全国銀行協会会長で三井住友銀行の奥正之頭取に「絶対に潰さないから融資してくれ」との密約をもちかけたといわれている。
松永和夫画像
 出所)https://liveinhope0727.wordpress.com/2014/06/06/原発事故時の経産事務次官・松永和夫氏,ソニー/

 そして前出の細野哲弘資源エネルギー庁長官が中心となり,東電の損害賠償支援スキームを作成した。債権者のメガバンクや株主を免責し,国と電力会社などの出資で設立した原子力損害賠償支援機構が,必要に応じて東電に資金を注入。東電の経営破綻を回避し,その延命を事実上,国民の電気料金や税金で支える仕組だ。

 これまで支援機構から東電には計49回,累計5兆8204億円もの交付金が流れている。東電本体や融資先のメガバンクを救うため,とてつもない額の国民のカネがいまなお使われているのだ。

 d)「事故の責任回避で天下りを謳歌する経産官僚」
 結局,東電破綻処理を訴えた古賀氏は追われるように経産省を去ったが,破綻回避のスキームをつくった細野氏は悠々自適。現在はみずほ銀行の顧問に収まっている。

 当時のみずほコーポレート銀行は3・11以前,東電に5818億円を長期で貸し付けていた。持ち株比率第8位の大株主でもある。東電が破綻すれば巨額の債券や株を失っていただけに,細野氏は “大恩人” 。もろ手を挙げて迎え入れたのだろう。前出の古賀茂明氏は古巣をこう批判した。

 「顧問だから仕事はない。快適な部屋があって最高級の黒塗りの車がついて,昼も夜も接待費は青天井という生活でしょう。他にも原発事故以降に金融機関や保険会社に天下った幹部官僚は多い。賠償支援機構という新たな天下り組織を立ち上げ,事実上の国有化で経産省の “子会社” のようになった東電には経産官僚が現役出向で『執行役』として天下っています」。

 「経産省は未曾有の事故の責任を誰もとっていないのに,原発利権は事故以前に逆戻りどころか,拡大させているのです。福島復興に協力する国民の善意を悪用し,東電と銀行を助け,利権をむさぼる構図です」。

 e)「原発があるかぎり事故は必らず起きる」
 こうした原子力ムラの横暴を後押ししているのが,安倍政権だ。昨〔2015〕年7月には「原発ゼロ」をめざした民主党政権の方針を大転換。国民が頼みもしないのに,原発を「重要なベースロード電源」と勝手に位置づけ,総発電量に占める割合を20~22%とすることを決めた。原発輸出を国是にかかげる手前,国内で稼働させないわけにはいくまいという発想なのだろう。

 情けないのは本来,独立性の強い第三者機関だったはずの原子力規制委員会まで強欲な政官財癒着の構造に呑みこまれてしまったことだ。〔3月〕24日も運転開始から40年を超えた関西電力高浜原発1,2号機が新規制基準に「適合する」とお墨付きを与えた。

 原発事故後の法改正で,原発の運転期間は「原則40年」と定められたが,早くも骨抜き。「例外的な場合に限られる」(当時の野田首相)とした最大20年の延長がアッサリ認められれば,実質「60年廃炉」となる恐れがある。規制委はそんな重要な議論をわずか15分で終了。老朽化した原子炉や建屋の安全性を確かめず「適合」と認めた。完全に原子力ムラの追認機関になりはてている。
田中俊一画像2
出所)http://hibi-zakkan.net/archives/17972771.html

 「規制委のスタッフの大半は旧保安院から横滑りし,原子力ムラの “安全神話” が温存されているきらいはありましたが,まさか,ここまでとは……。田中俊一委員長も “ムラ人” が選んだ人材ですから,ムラの論理を覆せない。

 結局,『60年運転』を求める原子力ムラの論理は,安全性より採算性の優先です。火力発電の燃料費を浮かせるため,古くても出力の高い原発を動かし,電力会社の利益を押し上げたいだけ。原発輸出の国是と電力会社の短期的な利益のため,安全面を度外視にして『60年運転』という国土を使った壮大な実験をおこなう。まさに悪魔の論理です」(原発問題に詳しいジャーナリストの横田 一氏)。

 未曾有の事故から,たった5年で原子力ムラの住人が息を吹き返し,原発無法地帯と化しつつあるニッポン。この先,再び放射能被害に見舞われるまで,国民は原子力ムラの暴走を黙認するつもりなのか。

 京大原子炉実験所(大阪府熊取町)で研究を続け,原発に反対してきた「熊取6人衆」。昨年退官した小出裕章氏に続き,最後のひとりとなった今中哲二助教が定年を迎えた。今〔3〕月10日の市民向けの最後の講義で,今中氏は力強く断言した。

 「原発は,安全か,危険かという問題ではない。原発は危険だ。原発があるかぎり,事故は起きる」。まともな理屈が通じない国は滅びるしかない。
 註記)http://www.nikkan-gendai.com/articles/image/news/176152/35599

  --さらに議論していきたい材料が控えているが,すでに十分な分量の記述になっている。ひとまずここで擱筆。