櫻井ジャーナルさんのサイトより
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201605300001/
<転載開始>
 アメリカの支配層はタグを使って人びとを騙し、操ってきた。アカ、独裁者、テロリスト、自由の戦士、民主化、人道など、すべて自分たちの侵略を正当化するために使われてきた。最近は「極右」や「ファシスト」というタグも攻撃用に使われ始めているが、本当のファシストは「民主勢力」と呼ばれたりする。実態は同じグループに過激派、穏健派、アル・カイダ、ダーイッシュというように、状況に合わせて違うタグをつけることもある。

 侵略のキーワードとして「デモクラシー」が使われ始めたのはロナルド・レーガン政権の時代だ。1982年6月にレーガンはイギリス下院の本会議で使った「プロジェクト・デモクラシー」は、彼がNSDD77に署名した83年に始動する。民主化という口実でアメリカの巨大資本にとって都合の悪い国家、体制を崩壊させようというわけだ。(Robert Parry, “Secrecy & Privilege”, The Media Consortium, 2004)

 1990年代に入ると「人道」というタグが目につくようになるが、その頃から広告会社が政府に食い込んでいる。「悪の枢軸」も侵略を正当化するために使われたタグのひとつだが、それを考えたグループの中心にいたビクトリア・クラークはヒル・アンド・ノールトンの出身。(Solomon Hughes, “War On Terror, Inc.”, Verso, 2007)

 イラクへの先制攻撃にアメリカ政府は「イラクの自由作戦」というタグをつけたが、名名の際にアドバイスしたシャルロット・ビアーズ国務次官は広告業界の大物で、彼女の手法は単純化と浅薄化だ。
 アメリカに大きな影響力を持つイスラエルの場合、その殺戮と破壊を非難する人びとは「反セム主義」だと攻撃される。イスラエルを批判する人の中にはユダヤ教のラビも含まれ、デポール大学を追放されたノーマン・フィンケルスタインはの母親はマイダネク強制収容所、父親はアウシュビッツ強制収容所を生き抜いた経歴の持ち主である。

 フィンケルスタインはデポール大学で働く任期制の教員だったが、終身在職権が内定した。安定した地位を得たならイスラエルに対する批判は厳しくなると考えたのか、シオニストで有名なハーバード大学のアラン・ダーショウィッツ教授は数カ月にわたって反フィンケルスタインのキャンペーンを展開、彼の著作が世に出ると聞くと、ダーショウィッツ教授はカリフォルニア大学出版やカリフォルニア州のアーノルド・シュワルツネッガー知事(当時)に働きかけて出版を止めようとした。最終的には大学へ圧力をかけ、彼との雇用契約を打ち切らせてしまった。

 シオニズムを批判するユダヤ系の人は少なくないのだが、そうした人びとに親イスラエル派は「自己憎悪(Self-hating)」派というタグを貼る。安倍晋三首相の「お友だち」が使う「自虐史観」という表現と似ている。

 言うまでもなく、「セム」にはアラブ人も含まれているのだが、アラブ人を虐殺しているアメリカやイスラエルが「反セム主義」だと批判されることはない。アメリカやイスラエルと緊密な関係にあるサウジアラビアがアル・カイダ系武装集団を雇い、武器/兵器を供給していることがわかっても欧米は問題にしない。

 こうしたタグを広める役割を負っているのがメディアや学校。子どもの頃から刷り込まれたタグはおそらく、生涯、人びとに影響を及ぼす。自戒を込めて書くのだが、タグに操られないよう、常に注意する必要がある。そのためにも事実を知ることは必要だ。



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