芳ちゃんのブログさんのサイトより
http://yocchan31.blogspot.jp/2016/06/blog-post_13.html
<転載開始>
米国の国家予算の半分は軍事費に注ぎ込まれる。

これは誰が見ても異常だ。何故かと言うと、米国の貧困者層は拡大するばかりであり、まともな医療を受けることや高等教育を受けることが出来ないまま放置されているからだ。米国の失業率は粉飾され、意図的に見かけを良くしている。実際の失業率は遥かに高いと言われて久しい。これが「民主国家」を唱導して来た米国の現状である。米国は、今や、「軍事至上国家」と呼ぶにふさわしい程だ。

肥大した軍産複合体に関しては多くの識者がさまざまな意見を述べている。

それらの中で、「米軍にとって本当の脅威はロシアではなく、平和だ」と題する記事 [1] が目についた。辛辣極まりない表題ではあるが、軍産複合体の実態を適切に伝えるものだと言えよう。

また、別の記事の著者はこの米国の軍産複合体を「宿主を食い殺す寄生者」と称しているが、これも軍産複合体の実態を別の言葉で表現したものである。

本日のブログでは上記の記事を仮訳して、読者の皆さんと共有したいと思う。米ロ間の緊張を高めることによって自分たちの利益を最大化しようとする米国の軍産複合体とそれに引き回されている国際関係について少しでも多く理解しておきたい。
<引用開始>

まさに怪物のように膨れ上がった米国の軍事予算は「木を見て、森を見ず」という昔から使われている格言が非常にうまく当てはまる。米国の軍事費は過剰なまでに肥大化し、多くの場合間違った考えに基づいている。

最近の数年間、ワシントン政府の年間軍事予算は平均で約6000憶ドルに達する。この金額は米国政府の裁量支出の半分を超す。教育や医療および社会保障のための予算を優に越している。そして、この金額は世界各国の年間軍事支出の総額となる1.7兆ドルの三分の一強を占める。

1961年にアイゼンハワー大統領が辞任の際に行った演説で初めて警告を発した軍産複合体の台頭は疑いようもなく米国の社会ならびに経済の中心的、かつ、決定的な性格を持つようになってしまった。米国経済の非常に大きな部分が政府によって支出される軍事費に依存していることから、「米国の自由市場に基づく資本主義」について喋る際には決まってとんでもない矛盾語法に陥ることになる。

言い方を変えてみよう。もしも米国の軍事予算を何らかの方法によって他国並みのレベルに大幅に低減することができるとするならば、我々が知っているように全ての領域でパワーを誇っている軍産複合体や米国という国家は完全に消滅してしまうことだろう。もっと好ましい状況が何れは現れるだろうことには何の疑いの余地もないが、大企業にとってはその衝撃は計り知れないものとなる。それ故、軍事費の大幅削減は強烈な抵抗に遭遇するに違いない。

これがルーマニアへ米国のミサイル防衛システムを設置し、ロシアとの「冷戦」の緊張関係が今週一挙に深刻化したことの前後関係である。8憶ドルもするいわゆるミサイル防衛システムは今後2年間のうちにポーランドにも設置され、グリーンランドから南スペインに至るヨーロッパ全域を網羅する計画である。

ワシントン政府とNATOの高官らはイージス・ミサイル防衛網はロシアを目標にしたものではないと言う。説得力はまったくないが、米主導の軍事同盟はこのシステムはイランや他の不特定の「ならず者国家」から発射される弾道ミサイルに対して防衛をするものだと主張する。ヨーロッパはイランの弾道ミサイルの射程の遥かに先に位置することや、テヘラン政府とP5+1 の国々との間で昨年国際的な核に関する合意が署名され、成立している事実を考えると、「イランからのロケットに対する防衛」という説明はその信頼性を失う。

この新しいミサイル防衛システムはロシアを狙うものではないとして執拗に否定する米国やNATOの主張をロシアは信じない。クレムリン政府はこの最近実施された配備はロシアの安全保障にとっては脅威となるとして非難した。それに加えて、クレムリンは適切な対応策をとって、戦略核のバランスを維持する用意があるとも述べた。この米国のイージス・システムは、どう見ても、ロシアに対して「第1撃を加える選択肢」をNATO軍に付与することにあると考えられるからである。

ここでは主要な点を議論する前に幾つかの事柄を明確化しておかなければならない。第1に、ヨーロッパ各国は昨年の7月に署名された画期的なP5+1 による合意を受けて、目下、イランのビジネスへの投資やイラン市場を追っかけている。ドイツやフランス、イタリア、英国およびオーストリアはイランが持つ巨大な経済力の潜在性を取り込もうとして互いに競い合っている。ロシアの高官が指摘しているように、イランがそのような将来性のあるパートナーに対して軍事的脅威を与えるなどという考えは如何にも滑稽である。

2に、米国がとった試みはロシアにとっては無害だとする米国の強い主張は常識を蔑視する卑劣な行為である。彼らのこの主張は、オバマ大統領やペンタゴンのトップの将軍らを含めて、ワシントン政府が今までに述べて来た数多くの表明とは矛盾するのである。それらの表明によると、ロシアはヨーロッパにとっては脅威となる存在であるのだ。ワシントン政府はヨーロッパにおける軍事支出を4倍に増加し、兵員やタンク、戦闘機ならびに戦艦を増派し、「ロシアの侵攻を阻止する」という極めて明確な理由をもってロシアとの国境付近で大規模な軍事演習を行っている。

換言すると、ロシアは世界でもトップクラスの敵国であって、ワシントン政府によればヨーロッパの存続の脅威になると見なされているのだ。つまり、米国が今週イージス・ミサイル・システムを東欧に配備したことはロシアに対するワシントン政府の好戦的な主張と見事に辻褄が合っている。彼らの主張を無理やりに別様に推論して、米国と米主導のNATO加盟国はロシアに向かって攻勢を掛けているわけではないと結論付けることは非論理的であり、ばかばかしい程に幼稚でさえもある。

ロシアを世界的な安全保障の脅威であると描くことは、もちろん、ばかばかしいことだ。米国のこの種の主張は中国やイランおよび北朝鮮についても当てはまる。米国が主張するこれらの「敵国」はすべてがひどく誇張されている。 

ロシアによるクリミアの「併合」とかウクライナ東部への「侵攻」といった西側の主張は西側のニュース・メディアによって執拗に増幅されているが、これらの主張は事実によって容易に反論することが可能であり、ワシントン政府がキエフで秘密裏に行った政権交代が偽りであることを示すことによってもっと正確なバランス感覚を与えることも可能である。

それでもなお、西側が扇動する恐怖は絶え間のないメディアによるプロパガンダによって支えられ、これらの怪しげな主張を一纏めにしてロシアはハイブリッド戦争によってヨーロッパ全土に害を及ぼすというもっと大きな、恐怖に満ちたロシア像に仕上げることにある程度成功している。確かに、これはロシア人を人さらいとして見るばかげた恐怖物語であるに過ぎないのだが、その底流には人種差別やスラブ人を野蛮人として悪魔視したナチの思想が見え隠れする。

しかし、このようにロシア人を悪魔視することは、それ以外でもロシアを世界の敵として見ることと共に、米国の軍産複合体にとってはどうしても必要な強力な支えであり、米国経済を機能させ続けるためには不可欠なのである。

ワシントン政府によって費やされる6000憶ドルはロシアが費やす軍事費のほぼ10倍に相当する。それにもかかわらず、現実を反転させて、ロシアは脅威であると彼らは主張する! 

米国の軍事予算は米国に次いで多額の軍事予算を計上する9か国の合計よりも大きい。つまり、「ストックホルム国際平和研究所」(SIPRI)によると、これらの9か国とは中国、サウジアラビア、ロシア、英国、フランス、ドイツ、インド、日本および韓国である。

米国経済は我々が理解しているごとくペンタゴンや大企業、ウールストリートの大銀行、ならびに、議会における利害関係者によって支配されており、政府による膨大な軍事支出が無かったとしたら存続し続けることは出来ないだろう。これはほぼ間違いない。

構造的には、米経済はすっかり白骨化し、戦争経済となっている。米国の経済を維持するには、たとえそれが冷戦であろうと熱い戦争であろうと、米国は引き続きその基盤を戦争に置くことしか他にはないのである。歴史家たちは米国が近代国家として存続してきた240年間で、米国の歴史の95パーセントもが戦争や海外での紛争に関与してきたと指摘することだろう。

ソ連邦との冷戦の最中、ワシントンにおいて何度となく再燃したテーマはいわゆる「ミサイル・ギャップ」だった。これは米国が優勢な軍事力を失う事を意味していた。そして、これは膨大な軍事支出や執拗な軍拡競争をもたらし、ついにはソ連邦の崩壊を招いた。

ドルの優位性に基づいて無限に借金を続けているワシントン政府(現時点で20兆ドルに近い)は自身に特権を与え、米国はこの破滅的な軍事費の浪費振りを自ら検証する機会を活用することはなかった。

この無鉄砲な状況は今も健在である。冷戦が公式に終了して既に4分の1世紀が経過しているが、米国の軍事費の浪費は相も変わらず浪費家らしい、非持続的なペースで続いているのである。

この失態をワシントン政府が継続するには、全世界を恐怖と憎しみの狂乱状態に追い込むしかない。これこそがロシアや中国との冷戦を近年再燃させなければならなかった理由である。刀を鋤に変換させることはできない。米経済を指揮する米国の支配者層やその利害関係者らにとっては鋤はもはや何の利用価値もないからである。

ロシアのウラジミール・プーチン大統領は何回かにわたって安全保障に関する世界的な協力を、特に、米国に向けて呼びかけて来た。モスクワ政府は、最近、新たな軍拡競争に入りたいとは思わないと述べている。軍事費の暴走によって旧ソ連邦が壊滅的な経験をしたことを考えると、これはロシアの観察者にとっては容易に理解可能である。

しかしながら、それこそがまさに米国が望んでいることであり、引き起こしたいことなのである。つまり、それは世界規模の軍拡競争である。これによって、米国は自分たちの怪物じみた軍備を正当化することができるからだ。

SIPRIによると、中国とロシアの両国は2015年にはそれぞれが7.5パーセント増と軍事予算を引き上げた

ロシアの国家的資源や国を挙げての発展に余分な重荷を負わせて、歪を与えかねないことを考えると、ロシアは軍拡競争に関わりたくはないだろう。

しかし、米国がロシアの玄関先へ新たにミサイル防衛システムを設置したとなると、ロシアも軍事的関与を拡大することに余儀なくされるだろう。この刺激ははなはだ厄介である。

そして、それこそがワシントン政府がまさに意図していることだ。客観的に言って、ロシアがワシントンやその同盟国にとって安全保障上の脅威であるということではない。ワシントンにとっての本当の脅威は、実は、軍産複合体の存在がこの上なく冗長なものとして感じられる平和に満ちた国際関係なのである。 

世界の平和が米国の大企業の資本主義的なパワーの拠り所とはまったく対極の位置にあるという現実は実に悩ましいことだ。

恥ずべきことではあるが、世界は戦争のリスクにさらされている。米国のエリートたちの特権を維持するためには他のすべてを破滅に導いても構わないとするリスクにさらされているのだ。米国市民のほとんどはこの悪魔的な不条理に苦しむことになろう。彼らは貧困や窮乏に耐えなければならないが、その一方で大企業のエリートたちは常識に欠けた軍事的浪費のために年間6000憶ドルもの予算を吸い上げているのである。

著者のプロフィール: フィニアン・カニンガムは大手のニュース・メディアにて編集者や物書きを務めてきた。彼は国際関係に関して幅広く執筆しており、彼の記事は多言語で出版されている。

<引用終了>


これで仮訳は終了した。

この著者が述べている内容は実に説得力がある。日頃あれこれと断片的に感じている事柄を著者は見事に纏め上げ、解説してくれている。この記事の表題が意味するところは非常に奥深い。新資本主義やネオリベラリズムあるいはグローバリズムが内蔵する決定的な矛盾を簡潔に描写している点が素晴らしいと思う。非常に啓蒙的である。

客観的に言って、ロシアがワシントンやその同盟国にとって安全保障上の脅威であるということではない。ワシントンにとっての本当の脅威は、実は、軍産複合体の存在がこの上なく冗長なものとして感じられる平和に満ちた国際関係なのであるというくだりは実に秀逸だ。

この記事を読んで、「米国は軌道修正をすることが出来るのだろうか」という疑問に誰もが襲われることだろう。このことについては、残念ながら私は悲観的だ。米国の人口の99パーセント占める大衆は実際には政治に対する発言権を持ってはいないからだ。大衆の対極にあるエリートたちに軌道修正を望むことは不可能だ。ふたつのグループの間には共有する価値観がない。この疑問に答えられる人が果たしているのか?今進行中の米大統領選の結果によっては、ある程度の答えが出て来るのかも知れない。

今、米国政府や軍産複合体が進めようとしている方向は軍拡である。その行き着くところは最終的には第3次世界大戦、あるいは、米ロ間ならびに米中間の核戦争である。今から70年前までのツキジデスの罠には「核」という文字はなかった。当時のツキジデスの罠は、核戦争のリスクに晒された今日の国際環境から見れば、牧歌的にさえ見える。しかしながら、今や、米ロ両国が保有する核弾頭の総量は地球上の生命を何回でも抹殺することが可能だ。

他にもっと有力な、持続性のある筋書きがあって欲しいものだが、果たしてどうだろうか?

ついに、人類の英知が試される時が到来した・・・



参照:

1Peace, Not Russia, Is Real Threat to US Power: By Finian Cunningham, Information Clearing House / SCF, May/17/2016


<転載終了>