ひかたま(光の魂たち)さんのサイトより
http://shindenforest.blog.jp/archives/65994420.html
<転載開始>
今日も
拙著「臨床家のためのホメオパシーノート:基礎編」
から
プラセボ効果からの一部抜粋です。

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kjm


プラセボ効果は
プラシーボ効果ともいわれます。

プラセボ(Placebo)の語源は、
ラテン語のp l acēbō、I shall please「私は喜ばせる。」という語に由来しているそうです。

治療効果を引き出すため、
もしくは
治療に対する患者の期待を満たすために使われる
薬理作用の無い薬物のことを示すようになりました。



プラセボによって生じるさまざまな心理的・精神生理学的治療効果については、
様々な研究が行われています。



プラセボは、
薬理作用はないものの
全く効果が無いということではなく、
状況に応じては
実際に治癒効果も阻害効果も生み出します。


プラセボによる阻害効果については、
一般にノセボ効果と呼ばれます。

 
プラセボ効果は、
治療家と治療される側の信頼関係が強いほど、
そして
診療の質が高いほど、
その効果は高まります。


プラセボ効果は、
使いようによっては強力な薬となることがあります。

一つランセットの論文をご紹介しましょう。

 
医師の患者への気遣いや知恵だけで治る場合もあることを指摘したオーストラリアの科学者らによるプラセボの研究結果が
英医学誌ランセットに掲載されています。

Biological, clinical, and ethical advances of placebo effects., Lancet. 2010 Feb 20;375(9715):686-95.
 
シドニー大学の研究チームは、
新薬の有効性を試すために治験で用いられてきたプラセボの効果を
科学検証した論文を、
18世紀までさかのぼって調べています。
 
 
その結果、
プラセボには薬を投与する医療行為などと同様の治癒効果があり、
患者の精神に働きかけることで、
体が持つ自然治癒力を高めることを確認しています。
 
 
プラセボの有効性は、
さまざまな症状の患者において習慣的に投与することで得られ、
強い治癒効果があることが分かったそうです。
 
検証した論文の中には、
鎮痛剤を投与されていた患者が、
投与薬がプラセボに切り替わってからも鎮痛効果を持続していたことが
脳スキャンから確認された例が多数ありました。
 
 
この研究に携わったフィニス医師は、
プラセボ効果に必要なのは偽薬の投与ではなく、
重要なのは治療のあり方
と説明しています。

また
彼は、
プラセボ効果は、
治療する側と治療される側の信頼関係に左右される
であろうとも述べています。

この論文の意味するところは、
自然治癒力を高めるための医療行為のあり方であると思います。

 

 
次に
プラセボの話からは少々外れますが、
面白い事例の一端をご紹介しましょう。
 
“Persuasion and Healing: A comparative study of psychotherapy”第3版(Johns Hopkins University Press)
111ページに興味深い話が出ています。

3人の寝たきりの女性重症患者を対象にした実験です。

1人目は胆石を伴う慢性胆嚢炎の患者、
2人目は大きな開腹手術後に体力を回復出来ずに痩せて衰弱してしまった患者、
3人目は癌が全身転移した末期の患者。

医師は
地元の著名な信仰治療師に
彼女達三人に知られることなしに遠隔治療をしてもらいました。

その結果
患者たちには何の変化もおきませんでした。
 
次に
医師は
患者たちに信仰治療師のことを話し、
数日かけて患者たちの期待感を盛り上げた後で、
翌日のある特定の時間に遠隔治療をしてもらうと患者たちに告げました。

医師は、
プラセボとして
信仰治療師が実際には何もしていない時間帯を選びました。

でも、
その特定の時間が過ぎると、
患者たちには劇的な変化が見られました。

2人目の患者は完治しました。
あとの2人は完治しなかったものの、
かなりの回復を見せたのです。



末期がんの患者は、
重度の貧血が改善し、
家に帰り家事が出来るようにまでなりました。

その後も亡くなるまでの期間、
目だった症状は出ませんでした。

胆石の患者も症状が消えて退院し、
その後
数年間に渡り、
症状が再発しませんでした。
 
この事例では、
3人の強い信じる力(ひょっとしたら最初の信仰治療師の遠隔治療が後から効果が出てきたのかもわかりませんが・・)や強い期待感などによるポジティブな心の力が
身体を良い方向に持っていったのは事実です。





催眠研究の第一人者であり、
人間の心と体の関係や意識の研究でも知られる学際科学研究所所長セオドア・ゼノフォン・バーバー氏は、
意識の力により
被検者に架空の火傷体験を暗示させて、
実際に皮膚の炎症と水疱病変を作り出せることを証明しました。

現在、
意識の力については膨大な数の論文が発表されています。

 
ちなみに
実際に火傷の治療に、
暗示療法を用いた報告は多くあり、
そのどれもが治癒を早めたと結論づけています。

 
現在これらの心理的効果による治療は、
バイオフィードバック法やリラクゼーション法などをはじめ様々な方法で臨床の現場に用いられ、
効果を上げています。
 
さらに
治療家や患者の病気と治療に対する態度や信念も重要です。
 
 
次の論文では、
医師と患者の偶然のダブルブラインドのプラセボによる効果が示された一例です。

 
イギリスの医師アルバート・メイソンは、
疣の治療に催眠療法を用いており、
成功率も高かったそうです。

ある時外科医からの紹介で
15歳の少年の皮膚を治すことになりました。

少年は、
全身の皮膚がゾウの皮膚のようになり、
通常の医学では治療困難と判断して、
メイソンの元に送ったのでした。

メイソンは
これを全身が疣だと判断して、
必ず消えるという自信満々で治療を始めました。

初回の治療でまずメイソンは、
少年の腕の皮膚の治療を行ないました。

少年を催眠療法で眠らせて、
腕の疣が消えて、
健康な肌になるという暗示を与えました。

すると、
一週間後の再診の時には、
すでに腕の皮膚が
かなり綺麗になっていたのです。


そこで、
少年を紹介もとの外科医の所に連れて行ったのです。

まず、
そこでメイソンが事実を知って驚きました。

なんと
外科医は
メイソンに少年の皮膚は
先天性の魚鱗癬だということを伝えていなかったのです。


先天性の魚鱗癬は、
遺伝子異常による皮膚表面角質の形成障害が原因で、
催眠で治る病気ではありません。

そして外科医も驚きました。

それは
紹介したものの
治るとは思ってもいなかったからです。

外科医は自分では何も出来ないことから、
とりあえず
メイソンへ少年を紹介しただけだったのです。

それが
催眠でよくなったのですから、
驚くのも無理ありません。
 
この腕の治癒に勢い付いたメイソンは
引き続き少年に催眠療法を行い、
最終的に肌の大部分が健康になりました。

この治癒例は、
「英国医学雑誌」に掲載されました。
 
Mason,A.A.;A Case of Congenital Ichthyosiform Erythrodermia of Brocq Treated by Hypnosis.;British Medical Journal.1952, 30.p442-443.
 
この後、
メイソンは
催眠で先天性魚鱗癬を治すのは難しい
という意識を持った瞬間から、

それが潜在意識に残り、
二度と催眠で治せなくなったと
テレビ番組Discovery Channnelの中で述べています。

酷い疣だと信じていた最初の少年のケースでは、
先入観無く治ると信じていたそうです。

これは、
治療の効果には医師と患者の双方の強い信念が関わってくる可能性があるとした事例になっています。



コーネルメディカルセンターの内科医研究グループは、
プラセボ効果は、
特に薬理作用を超えて効果を発揮することを示す報告しています。


イペカックシロップというものがあります。
これは
吐き気止めではなく
強い吐き気を催す催吐薬です。

つまり
このシロップを飲むと
強い吐き気に襲われます。

吐き気を催した被験者に対して、
吐き気を止める新薬があると言って、
イペカックシロップを飲ませてみました。

すると予想に反して、
イペカック投与後15分で
吐き気が止まってしまいました。


また
つわり(妊娠中の吐き気)で苦しむ女性に
イペカックを吐き気止めの新薬として飲ませたところ、
やはり
20分でつわりによる吐き気が止まったと報告されています。

 
よく新薬が出たときに、
とてもいい成績が発表されますが、
発売後に使ってみると
それほどの効き目でもないことをよく経験すると思います。

これも
このような効果があることも一因かもしれません。

これについて、
ハーバード大学の薬理学者アンドリュー・ウェイル博士は、
「新薬に関する信念が薄れてくると、
活発なプラセボとして役立つ力も薄れてくる。」
と述べています。



プラセボの話の続きは
本書にて。


プラセボは、
人の意識の力が
いかに強いものかを教えてくれます。


臨床家のためのホメオパシーノート 基礎編 (Nanaブックス)
臨床家のためのホメオパシーノート 基礎編 (Nanaブックス) [単行本]
森井 啓二
ナナ・コーポレート・コミュニケーション
2010-09-18




<転載終了>