櫻井ジャーナルさんのサイトより
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201612280000/
<転載開始>
メリカ主導の連合軍がシリアでダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)を支援していることは明らかで、それを示す証拠を持っているとトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が語ったという。間違いではないが、少なくとも最近まで、トルコもその仲間だった。ダーイッシュを含む侵略部隊の兵站線はトルコから伸びていたのだ。

 トルコがロシアとの関係を修復する動きを見せたのは6月下旬。エルドアン大統領がトルコ軍機によるロシア軍機撃墜をウラジミル・プーチン露大統領に謝罪、7月13日にはトルコ首相がシリアとの関係正常化を望んでいることを示唆していた。エルドアン政権の打倒を目指す武装蜂起はその2日後に起こった。

 ロシアへの接近はトルコよりイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフの方が早い。今年5月、ネタニヤフ首相はロシアとパイプを持っているアビグドル・リーバーマンを国防大臣に据え、ネタニヤフ自身も盛んにモスクワを訪問、6月7日にはプーチン大統領と会談している。イスラエルとトルコで何らかの話し合いがあったと見られている。そのイスラエルでは現在、ネタニヤフ政権を揺さぶる動きがある。

 エルドアン政権はクーデターを仕掛けたのはフェトフッラー・ギュレンを黒幕だとして批判してきたが、ギュレン派は国家警察の内部に食い込んでいると言われ、ありえない話ではない。このギュレンは1999年にアメリカへ渡り、アメリカ支配層の保護下に入ったとされている。当時はビル・クリントン政権だった。
 そのアメリカは、イランのメディアFARSによると、特殊部隊の隊員を7つの基地に派遣している。マブロウカには少なくとも45名、アイン・イッサには100名以上、コバネには300名以上、タル・アブヤダには少なくとも200名だという。

 シリア政府軍がアレッポを制圧した際に14名以上の外国人将校が拘束されたと伝えられた。IDカードに基づくのだろうが、その出身国はアメリカだけでなく、トルコ、イスラエル、サウジアラビア、カタール、ヨルダン、モロッコだという。別の情報によると拘束された将校はアメリカ人22名、イギリス人16名、フランス人21名、イスラエル人7名、トルコ人62名だとされている。

 これまでトルコは戦闘員や物資を送り込む拠点で、シリアやイラクで盗掘された石油が運び込まれていた場所でもある。アレッポでトルコ人が拘束されても不思議ではないが、トルコ政府がロシアへ接近したとなると、これまでシリアでバシャール・アル・アサド政権の打倒を目指して戦っていたトルコ人ははしごを外された形。クーデター未遂があったことでも明らかなように、反エルドアン派は無視できない力を持っている。

 サウジアラビアの場合、シリアやイエメンを侵略してロシアと対立してきた結果、財政赤字が深刻化して国内は揺らぎはじめた。そうした状況を生み出した好戦的な政策を推進しているのはサルマン国王、そしてその息子であるモハンマド・ビン・サルマン副皇太子兼国防相だ。副皇太子はトルコのクーデターに関与したと言われ、彼が連携しているアラブ首長国連邦のモハンマド・アル-ナヒャン皇太子はギュレンと関係がある。

 体制が揺らいでいる現れなのか、パレスチナからの情報によると、サウジアラビアから数十人の王子や王女が逃げ出しているという。粛清を恐れているようだ。シリア侵略に失敗、肩入れしていたヒラリー・クリントンが大統領選で敗北したことから、サウジアラビア国王は暴力で体制維持を図る可能性があると見ているのだろう。

 ネオコンをはじめとするアメリカの好戦派はプーチンのグループがロシアを再独立させた時に迷走を始めた。ボリス・エリツィン時代のようにロシアを属国化させようとしたのだが、思惑通りには進んでいない。ウクライナやシリアでも同じことが言える。

 本来なら軌道修正する必要があるのだが、ネオコンは当初の計画を実現しようと必死にもがき、状況を悪くしている。そのあげく、ロシアや中国と核戦争を始めかねない状況を作り出してしまった。

 一時期、プーチン政権は相手に「名誉ある撤退」のチャンスを与えようとしたが、裏切りを繰り返して信頼を失った。イスラエルやトルコが離反しても不思議ではないが、ネオコンやその背後にいる勢力は後戻りできなくなっているのだろう。彼らの支配体制は瓦解するかもしれない。    

<転載終了>