櫻井ジャーナルさんのサイトより
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201612310000/
<転載開始>
アメリカのバラク・オバマ政権はロシアの外交官35名を含む96名のロシア人を国外へ追放したが、ロシア政府は対抗措置をとらないという。これまでアメリカ政府はロシアをハッキング、選挙への介入、偽報道などを行っていると非難してきたが、いずれも根拠や証拠は示していない。今回の外交官追放もそうだが、ドナルド・トランプが大統領に就任しないうちにできるだけアメリカとロシアとの関係を悪化させようとしているのだろう。そこで、ロシアのウラジミル・プーチン大統領はオバマ政権の挑発を無視する構えだ。

 ロシアとの関係をアメリカが修復することをオバマ政権やヒラリー・クリントンが恐れている理由は、おそらく、ロシアや中国を属国化して世界を制覇することができなくなるからである。1991年12月、ボリス・エリツィンたちを使ってソ連を消滅させることに成功したネオコン/シオニストはアメリカが唯一の超大国になったと認識、中国も新自由主義陣営に取り込んだと考えていた。残された「雑魚」を始末するため、1992年2月に国防総省でDPG(通称、ウォルフォウィッツ・ドクトリン)が作成されている

 このドクトリンは旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジアなどを潜在的なライバルと位置づけ、そうした国々がライバルに成長することを阻止するとしている。潜在的ライバルを真のライバルへ成長させる基盤はエネルギー源であり、そうしたエネルギー源を産出する西南アジアを支配することも重要なテーマになる。

 ネオコン系シンクタンクのPNACが2000年に発表した「米国防の再構築」というタイトルの報告書をジョージ・W・ブッシュ政権は政策の基盤にしたが、この報告書のベースはウォルフォウィッツ・ドクトリンだ。

 本ブログでは何度も書いてきたが、ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、ウォルフォウィッツは1991年の段階でイラク、シリア、イランを殲滅すると口にしていた。当時、彼は国防次官だ。2001年9月11日に世界貿易センターと国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されたが、その10日後、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺では攻撃予定国リストが作成されていたともクラークは語っている。そのリストに載っていた国はイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイラン。

 イラクは2003年にアメリカ主導の連合軍に攻撃され、シリアやリビアは2011年にアメリカなどが操るアル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)などの攻撃を受け、リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制はその年のうちに倒された。

 リビアの場合、アル・カイダ系武装集団のLIFGがNATO軍と連携して戦い、その実態は戦乱の中で明らかになった。リビアのカダフィ体制が崩壊した後、戦闘員や武器/兵器はシリアへ運ばれたのだが、今度はロシアがNATOの空爆を阻止する。昨年9月末からはシリア政府の要請に応じて空爆を開始、アル・カイダ系武装集団やダーイッシュは劣勢になり、壊滅は時間の問題だと見られている。

 アレッポをシリア政府軍が奪還した際、14名以上の外国人将校をシリアの特殊部隊が拘束したと伝えられている。出身国はアメリカ、トルコ、イスラエル、サウジアラビア、カタール、ヨルダン、モロッコだとされ、名前も掲載されている。

 もっとも、こうした作戦に参加する将兵は偽造書類を携帯していることが通例で、その情報が正しいかどうかを判断するには詳しい調査を待つ必要がある。また、別の情報によると、拘束された将校はアメリカ人22名、イギリス人16名、フランス人21名、イスラエル人7名、トルコ人62名だという。

 9月17日にアメリカ軍が主導する連合軍がデリゾールでシリア政府軍をF-16戦闘機2機とA-10対地攻撃機2機で攻撃、80名以上の兵士を殺し、28日には2つの橋を、30日にも別の橋2つをそれぞれ爆撃して破壊した。17日には、空爆の7分後にダーイッシュの部隊が地上でシリア政府軍に対する攻撃を開始していることから、アメリカ軍とダーイッシュの共同作戦だったと見られている。

 それに対し、9月20日にシリア北部の要衝、アレッポの山岳地帯にある外国軍の司令部をシリア沖にいるロシア軍の艦船から発射された3発の超音速巡航ミサイルが攻撃、約30名が殺されたとロシア系メディア(アラビア語のスプートニク)は伝えた。死亡した人の出身国はアメリカ、イギリス、イスラエル、トルコ、サウジアラビア、カタールで、軍人や情報機関に所属、デリゾールでの空爆を指揮したのはこの司令部だとも言われている。

 シリア政府軍がアレッポを制圧した後、それまでそこを支配していた反シリア政府軍によって殺害された住民の集団墓地が発見されたようだが、それだけでなく、NATOのマークが入った大量の武器弾薬が発見されたとも伝えられている。こうした武器弾薬がどのようにシリアへ持ち込まれたのかは興味深いところだ。サウジアラビアやトルコに責任が押しつけられた場合、新たな秘密が暴かれる可能性もある。    

<転載終了>