芳ちゃんのブログさんのサイトより
http://yocchan31.blogspot.jp/2017/01/blog-post.html
<転載開始>
カリフォルニア州の中部には大農業地帯が延々と広がっている。そこではアーモンドの薄いピンクの花が春を彩る。広大な果樹園における受粉にはミツバチの活躍が欠かせない。しかしながら、ミツバチの個体数が急減していると言われて久しい。受粉ができなくなってしまった。

そうした報告が出始めてから、もう20年にもなるだろうか。その原因については、ウィルス説を始めとして諸々の説が登場した。このミツバチの大量死に関して、2016年の14日、米環境保護庁(EPA)はついにネオニコチノイド系の殺虫剤「イミダクロプリド」を原因物質として公に認めた [1]

欧州では、2013524日発行のOfficial Journal of the European Unionによると、2011年に公布された規制No.485が改訂された。この改訂によって、クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサムを主成分とする殺虫剤の使用基準に規制を加えたのである。要するに、EU圏ではミツバチやクマバチが蜜を集める農作物に対してはこれらの殺虫剤の使用を禁止するというものだ。穀類、豆類、野菜、果樹、等、さまざまな作物がその対象に含まれ、種子の農薬処理、作物への散布、土壌処理、等の用途が禁止された。

ところが、日本では、2015519日、厚生労働省はネオニコチノイド系農薬のクロチアニジンとアセタミプリドの食品残留基準を大幅に緩和した。ほうれん草ではクロチアニジンの残留農薬基準量が従来の13倍(40ppm)にも引き上げられたのである。これを受けて、同日、NGOのグリーンピース・ジャパンは「厚生労働省の決定は、より安全な食のため規制を求める願いを打ち砕くものです。残留基準の引き上げにより、政府は危険なネオニコチノイド系農薬の摂取を増加させています。これは、この農薬が人や環境へ及ぼしうる悪影響に関する科学的証拠や、世界で次々とネオニコチノイド規制を導入する国が増えている流れに逆行しています」と指摘する声明を発表した。

こうして、日本では今後農業・生態系に投入されるネオニコチノイド系殺虫剤の量は間違いなく増加する。それによって、ミツバチやクマバチだけではなく、さまざまな昆虫に広く影響を与えるものと推測される。その延長線上には人、特に新生児に対する健康影響が懸念される。

欧米と日本との間には政府の政策に決定的に大きな違いが感じられる。とことん突き詰めて行くと、この違いを説明するひとつの要因としては一般庶民の問題意識がどれだけ大きく、どれだけの広がりを持っているのかという点に辿りつくのではないだろうか。

数多くの論評が入手可能である中、ここに興味深く感じたひとつの記事がある [2]。その表題を仮訳すると「バイエル社の農薬がミツバチを不妊化している」となる。本件に関してはすでにご存知の方が多いのではないかと思うが、この記事を仮訳して、一人でも多くの皆さんと共有したいと思う。

たとえ小さなことではあっても、この記事の中に新たな知見として受け取っていただけるような情報が見つかれば、私にとっては嬉しい限りだ。


<引用開始>

最近モンサント社を吸収合併したバイエル社の製品がミツバチを不妊化していると私が主張した場合、多くの人たちは恐らく不審に思うかも知れない。しかしながら、これは論文審査を受けた上で最近新たに出版された科学的な研究が報告している内容そのものなのだ。ミツバチの不妊化は全世界にとって決していいことではない。バイエル社の研究室で開発されたもうひとつの製品、つまり、ヘロインに比べると「より立派な製品じゃないか」などとはとても言い切れない。バイエル社はネオニコチノイド系の殺虫剤を生産している。これらの農薬を自由に使用すると、ミツバチによる受粉が脅かされ、その結果、食物生産全体が影響を受ける。

ローヤル・ソサイエティB(生物学)の議事録として最近出版されたばかりの研究によって、バイエル社が製造・販売し世界でもっとも広く使用されている二種類の殺虫剤、チアメトキサムおよびクロチアニジンはミツバチの精子の数を劇的に減少させていることが明らかにされた。

研究者らはそれらの二種類のネオニコチノイド系殺虫剤は雄のミツバチ(Apis mellifera)の生殖能力を有意に減退させることを発見した。雄のミツバチはネオニコチノイド系殺虫剤に曝された集団ならびに対照となる集団から採取され、その後は性的に成熟するまで研究室のケージ内で飼育された。得られたデータによると、雄のミツバチの寿命は短縮され、精子の生存率(生存している精子と死滅した精子の割合)が低下し、生存精子数は39%となった。

本研究の成果はさらに次のように展開する。つまり、「我々の研究結果はネオニコチノイド系の殺虫剤が雄のミツバチの生殖能力に有害な影響を与え、女王蜂に不妊を引き起こし、受粉に関与する野生昆虫に個体数の減少をもたらすことを始めて実証した」と報告している。卵を産み、その集団の結束を促す上で中心的な存在となる女王蜂はその集団の生産性に密接に関わっている。北米や欧州では女王蜂の不妊に関する報告が増えている。しかしながら、これらの現象を説明する要因としてネオニコチノイド系の農薬あるいは雄のミツバチの健康が果たす役割に関して詳しく論じた研究報告はなかった。

研究者らは次の様に結論付けている。つまり、「これは初めてのことではあるが、我々は農業・生態系で頻繁に使用されているネオニコチノイド系殺虫剤はその使用目的からは外れている益虫の雄に対しても致死的な影響(寿命の低下)や亜致死的な影響(精子の生存率の低下や生存精子の量的な減少)を引き起こし、これが個体数レベルでの影響をもたらした・・・ 
殺虫剤によって誘発される環境影響の評価に関する規制当局の要件には最近改善が見られるが、益虫の生殖に着目した研究は今までのところ皆無であった。」


EUは使用禁止について再評価:

2012年、EU圏内ではミツバチの集団が突然大量死するという危機的な現象が波のように押し寄せて来た。新種の殺虫剤、つまり、主としてバイエル社によって販売されているネオニコチノイド系農薬はEUの規制当局である欧州食品安全機関(EFSA)によって「このリスクは許容出来ない」と見なされる中、欧州委員会はもっとも広く使用されている3種類の殺虫剤の使用を向こう3年間禁止した。チアメトキサム、クロチアニジンおよびイミダクロプリドが使用禁止の対象となっている。最初の2種の殺虫剤、チアメトキサムとクロチアニジンはここで報告している新論文によって試験されたものだ。

新たに発足した欧州委員会は、今、これらの殺虫剤の使用禁止に関して再審査を開始している。欧州食品安全委員会の科学者らはミツバチの集団に対するネオニコチノイド系殺虫剤の危険性について2012年に行った評価を見直すことにしたのである。この再審査の作業は20171月には終了する予定。バイエル社ならびにシンジェンタ社を含む殺虫剤業界はこの動きを元に戻そうとして活発なロビー活動を展開している。

バイエル社のネオニコチノイド系殺虫剤は北米の農業地帯では広く使用されている。頻繁に使用されているこれらの殺虫剤がミツバチに大量死をもたらすという証拠は増えるばかりであるにもかかわらず、米国政府はEUの使用禁止の後塵を拝さなければならない有様だ。昨年の1月、EPAは初めての現地調査結果を公表した。米国の農業にネオニコチノイド系の農薬が導入されてからすでに何十年も経過している。その調査結果によると、EUで使用禁止となった3種のうちのひとつ、イミダクロプリドはミツバチの個体数を減少させる。このような知見が得られているにもかかわらず、米政府はこれからようやく何らかの警戒措置を取らなければならない有様だ。


全体的な食物連鎖:

すっかり都会擦れしている一般庶民は作物は奇跡的にもスーパーマーケットの棚の上で育つと思っているかのようで、実際には何が危険に晒されているのかについての判断を持ち合わせてはいない。

世界中でミツバチの集団が大量死している現状を受けて、2012年、私は別の記事で「2003年には、明快な警告が内部の科学者から出されていたにもかかわらず、米国のEPAはクロチアニジンと称されるネオニコチノイド系殺虫剤に使用許可を与えた。これはドイツのバイエル社が日本の武田薬品と共に特許を所有しているものだ」と書いた。これは「ポンチョ」という商品名で販売されている。2004年の作付けでは米国産トウモロコシだけでも88百万エーカーもの農地で使用され、それ以降、中西部のトウモロコシの産地では百万を超すミツバチの集団が大量死したことが報告されている。

当時私が記述したように、ミツバチと鳥は地球上の生命の本質に貢献している。米農務省のある研究によると、「多分、我々が摂取する全食品の三分の一は昆虫を介した受粉に直接的にあるいは間接的に依存する植物である。」 ミツバチ(Apis mellifera)は農作物の受粉に関与するもっとも重要な受粉媒介者である。ミツバチは100種の作物の内で70種について受粉を媒介する。これは世界の作物の90%にも相当する。ミツバチはほとんどの果樹や野菜で受粉を媒介し、たとえば、リンゴやオレンジ、イチゴ、タマネギ、ニンジン、等が一例として挙げられる。

バイエル社は世界で最大のネオニコチノイド系殺虫剤の製造者であり、このことは皮肉にもモンサント社を吸収合併した事実を良く説明している。つまり、モンサント社はラウンドアップと称するグリフォサートを主成分とした極めて有害な除草剤を製造している。ネオニコチノイド系の農薬は化学的にはニコチンと同種の殺虫剤である。これらは昆虫の中枢神経に作用する。ミツバチやハミングバードにも作用する。人に対する影響について言えば、最近得られた証拠によると、これらは新生児の脳の発達にも作用する。

EPAの科学者たちがポンチョの成分であるクロチアニジンが「接触や経口による暴露によってミツバチに対して強い毒性を示し、そればかりではなく、土壌や地下水の中で容易に移動・拡散することができる。つまり、川や湖に流れ込み、他の農地にも移動する可能性が高く、野草に吸収されるだろう」と公の判断をしていたにもかかわらず、政治的に指名されたEPAの高官らは2003年にバイエル社のポンチョに販売許可を与えた。こうして、多くのミツバチや蝶あるいはクマバチといった使用目的外にある昆虫を殺し続けることになった。2005928日の日付けがついているEPAのメモが外部へ漏れた。EPAの環境影響部門がクロチアニジンについて行った環境リスク評価を総括し、警告を与えようとするものであるが、それによると、「クロチアニジンは散布後何日間にもわたって毒性を示す。ミツバチの場合は、毒性を伴う暴露によって幼虫に致死的ならびに亜致死的な影響を与え、女王蜂の生殖能力に影響を与える」と警告している。

すべての証拠が示されていたにもかかわらず、米農務省は今日までネオニコチノイド系農薬を禁止することを拒み続けて来た。米国で生産されるトウモロコシの94パーセントはイミダクロプリドあるいはクロチアニジンのどちらかによって処理されている。米国は世界で最大のトウモロコシ輸出国である。米農務省のデータによると、今日、米国で作付けされるトウモロコシの94パーセントは遺伝子組み換え(GMO)トウモロコシである。それらの殆んどはモンサント社がGMO種子を供給しており、例の毒性が強いグリフォサートを主成分とする殺虫剤「ラウンドアップ」とペアとなっている。米国で消費されるネオニコチノイド系農薬はその殆んどがバイエル社、あるいは、スイスの巨大な農薬製造会社であって、最近中国のチャイナケムによって買収されたシンジェンタ社によって供給されている。

バイエル社はネオニコチノイド系農薬を介してミツバチの死をそこいらじゅうに広げている。そして、今は、ラウンドアップによる毒性を世界中に広げているモンサント社との縁組によって、人の胎児にも脅威を与えようとしている。他にも多くの影響があるかも知れない。誰かがわれわれのこの美しい地球上で生命を劇的に減少させようとしているかのようにさえ見える。これは人種の純粋化を標榜したナチの優生学の中でももっとも過激な形態であると言えるのではないだろうか?

バイエル社はあの無害で小さなアスピリン錠剤を製造する優良企業だと教えられてきたのではなかったか?かっての第三帝国の頃、IGファルベン財閥の中核的な企業であったバイエル社はいったい何に関与していたのか? ロックフェラーの企業群は第三帝国の頃や第二次世界大戦中にIGファルベンを支援するためにいったい何をしていたのか?好奇心が旺盛な人たちはこれらの疑問をうまく掘り下げ、バイエル社のネオニコチノイド系殺虫剤を巡る現行の製品開発に光を当てることができることだろう。昔の賢者はこう言った。「あなたが被害妄想的であるからというだけで連中があなたを殺そうとするわけではないとは決して言い切れない・・・」

著者のプロフィール:F・ウィリアム・エングダールは戦略的リスクに関するコンサルタントであり、方々で講演を行っている。プリンストン大学で政治学を収め、博士号を取得。原油や地政学に関する著者でもある。New Eastern Outlookマガジンへの寄稿をしている。

<引用終了>


これで仮訳は終了した。

上記に引用した記事はミツバチが大量死する理由についての技術的な説明もさることながら、米EPA内部の腐敗ぶりを見事に描写している点が秀逸だと思う。

EUや日本の当局はいったいどうなんだろうかと考えさせられてしまう。残念ながら、多かれ少なかれ何処も同じだという結論に辿りつくのは私ひとりだけではないだろう。

そして、この著者(ウィリアム・エングダール)には大企業が隠然と抱えている真の目標は何なのかに迫ろうとしている。今までにも、エイズやエボラは人口爆発を抑える手段として人工的に仕掛けられたものだとする陰謀説がある。除草剤や殺虫剤が新たにそれらの仲間に加わるのかどうかは今は何とも言えない。しかし、引用記事の最後の段落は実に不気味だ。


    

ここで、ネオニコチノイド系殺虫剤がどのような機序で人の健康に対して有害となり得るのかについてもう少し掘り下げてみたいと思う。

第一に、ネオニコチノイドは水溶性である。水の流れにそって広がり易い。植物にはよく吸収され、細胞内に蓄えられる。つまり、葉っぱや果実および根に蓄えらえる。野菜や果物は人間にとってはビタミンやミネラルを摂取する重要な食品である。健康体を維持するには、われわれはビタミンやミネラルを均衡良く毎日摂取しなければならない。子供の頃から言われてきた言葉だ。しかしながら、そうすることによってますます多くのネオニコチノイドを体内に取り込むことになる。21世紀の大きな皮肉である。

食品中に残留するネイオニコチノイドの量はどれ程であろうか?

2014年に出版された「食品中に残留するネオニコチノイドの定量的分析」と題された論文 [3] は次のように述べている。それを下記に抜粋してみよう(斜体で示す)。

要旨

本研究では通常消費者が食するさまざまな食品に残留しているネオニコチノイド系殺虫剤を定量的に測定した。果物と野菜のサンプルは、ネクタリンとトマトを除いては、すべてが少なくとも1種類の残留ネオニコチノイドを含有していた。蜂蜜の場合はその90パーセントが含有していた。また、果物の72パーセント、野菜の45パーセント、ならびに、蜂蜜の50パーセントではそれぞれのサンプルが複数のネオニコチノイドを含有し、残留物質としてはイミダクロプリドがすべてのサンプルにおいて最大値を示した。ニュージーランドから入手した花粉のサンプルではすべてが複数のネオニコチノイドを含有し、マサチューセッツ州で入手した7個の花粉サンプルでは5個がイミダクロプリドを含んでいた。これらの結果は消費者が市場で容易に入手することが可能な果物や野菜および蜂蜜には残留ネオニコチノイドが広範に含有されていることを示している。また、ミツバチが活動する環境も広く汚染されている。哺乳類に対する影響に関する最新の研究を踏まえると、これらの結果は食品を通じて消費者の体内に取り込まれるネオニコチノイド、ならびに、人の健康に対する危険性を注意深く評価することが非常に大切であることを示唆している。

(中略)

結果と考察

[訳注: 市場で入手した食品中に観察されたネオニコチノイドの濃度については、引用文献の 5を参照されたい。8種類のネオニコチノイドを分析している。野菜の中ではキュウリにおけるチアメトキサムの最大値は13.2ppbを示し、果物の中ではリンゴにおけるアセタミプリドの最大値は100.7ppbを示した。また、米農務省が2004年から2011年にかけて調査した野菜や果物に残留するネオニコチノイドの濃度に関しては、引用文献の 6を参照されたい。この農務省のデータはイミダクロプリドについてのみ最大値を報告している。それによると、2009年と2010年の最大値は1,100ppbを示した。] 

・・・本研究は一般消費者が通常消費する食品やミツバチが周囲の環境で採取し巣へ持ち帰る花粉や蜜には広い範囲にわたってネオニコチノイドの汚染が見られることを実証している。その濃度は低いとは言え、ネオニコチノイドへの亜致死的な暴露を受けることによってミツバチには健康影響がもたらされることをさまざまな研究報告が示している。8,36,37 ネオニコチノイド殺虫剤は昆虫のニコチン性アセチルコリン受容体(nAChRs)に選択的に作用することから、以前は哺乳類には僅かの影響しか与えないと推測されていた。しかしながら、増加の一途を辿る最近の証拠が示すところによれば、ネオニコチノイドは哺乳類のnAChRs に直接的に作用し、その活動を調節し得るのである。試験管内および生体内での研究の結果、イミダクロプリドはマウスの神経膜の特性を変えることが可能であって、38 感覚運動能力を著しく損ない、胎内で一回の亜致死的な暴露を受けただけでも、ラットの新生児の運動野や海馬にグリア線維性酸性タンパクの発現を高めることが分かった。39 ネオニコチノイドが哺乳動物に与える悪影響はそのほとんどがα4β2 nAChRサブタイプとの結合作用にかかわっている。40 試験管内での研究においては、イミダクロプリドや他のネオニコチノイドは人のα4β2 nAChRサブタイプに直接作用し、調節し得ることが判明した。41 α4β2 nAChRサブタイプは哺乳類の脳ではもっとも目立つnAChRのサブタイプであって、視床においてもっとも多く見られる受容体である。42 α4β2 nAChR は、認識や記憶、挙動を含め、脳のさまざまな機能に関与する。α4β2 nAChR が持つ役割に関しては強力な証拠が出揃っており、中枢神経系疾患においては受容体を変質させる。たとえば、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症、うつ病、等が挙げられる。43,44 発達段階における脳(新生児の段階)においては、α4β2 nAChRサブタイプは神経の増殖やアポトーシス、移動、分化、シナプスの生成、神経回路の生成に関与する。45,46 ネオニコチノイドがnAChRsに作用した場合は、これらのプロセスに影響を与え得るのである。 

・・・ここで重要な点に着目しておきたい。本研究で報告されている残留ネオニコチノイドの濃度はすべてがEPAが示す最大許容濃度よりも低い。しかしながら、これらの許容限度は急性および慢性毒性を引き起こすレベルにて暴露された試験動物から得られた知見に基づいているものであることから、低濃度のレベルで長期間にわたって暴露された場合、EPAの許容値は人の安全をいかに防護するかについて十分な考慮を払っているとは言い切れない。


これで抜粋は終わった。

上記に示すように、害虫だけではなくミツバチのような益虫もネオニコチノイドによって死滅している。そればかりではなく、人も健康被害を受ける可能性があることが判明した。また、従来使われて来たEPAの安全基準は低濃度での長期にわたる暴露によってもたらされる健康被害を反映するものではないと指摘されている。この指摘は非常に重要であると思う。

この点はモンサントが製造・販売する除草剤「ラウンドアップ」は長期的な毒性試験が行われないまま、市場に大量に出回っており、さまざまな健康被害を引き起こしている現状とまさに瓜二つである。ネオニコチノイドの場合も、残念ながら、産業界と政府当局とのなれ合いや癒着がこれらの問題を未解決のままに放置して来たのだと言えよう。

日本では、2015519日、厚生労働省がネオニコチノイド系農薬のクロチアニジンとアセタミプリドの食品残留基準を大幅に緩和した。ほうれん草ではクロチアニジンの残留農薬基準量が従来の13倍(40ppm)にまで引き上げられた。このほうれん草におけるクロチアニジンの新許容値も単に急性毒性に基づいて設定されただけではないか。低濃度での長期にわたる暴露が人にもたらす健康被害を防護する基準となっているのかどうか、消費者の懸念は高まるばかりである。

日本の店頭に並ぶキュウリやリンゴには小さな外観上の欠陥もなく、一様にそろっていて実に美しい。世界でも稀に見る光景だ。しかしながら、この外観は農薬の大量使用によって支えられているのも事実だ。そして、こうした野菜や果物はたとえ丁寧に水洗をしたとしても、内部に残留する農薬は洗い流すことはできない。

日本の農薬使用は国際的にはトップクラスにあると言われているだけに、国産の数多くの食品を食べることによって高レベルの複合的な汚染に曝されるリスクが高まる。

今や、ネオニコチノイド系殺虫剤の問題はミツバチの大量死ばかりではなく、人の新生児の中枢神経にもたらされる健康被害を懸念しなければならなくなった。日本ではもはやそういった懸念を軽視し続けることはできないと思う。

低濃度の殺虫剤の危険性を長期的な観点から科学的に判断する時がやって来たということだ。そして、NGOのグリーンピース・ジャパンに任せておくだけではなく、われわれ一般庶民も日本の将来を担う次世代の健康を守るためにはより適切な判断をしなければならないということでもある。



参照:

1 Preliminary Pollinator Assessment to Support the Registration Review of Imidacloprid: USEPA, Jan/04/2016

2Bayer AG Makes Bee Contraceptives: F. William Engdahl, New Eastern Outlook, Aug/13/2016, journal-neo.org/2016/08/.../bayer-ag-makes-bee-contraceptive...

3Quantitative Analysis of Neonicotinoid Insecticide Residues in Foods: Implication for Dietary Exposures: By Mei Chen, Lin Tao, John McLean and Chensheng Lu; J Agric Food Chem published online Jun/16/2014   




<転載終了>