In Deepさんのサイトより
http://indeep.jp/when-start-era-of-arteroids-or-comets-strike-earth/
<転載開始>

   

2014年9月5日の英国エクスプレスの記事より

Express

 

良い時代と悪い時代

冒頭の報道は、日付けを見てもおわかりかと思いますが、2014年のものです。

その頃にこういう記事があったわけですが、その頃は「 2017年は先だし」というようなこともあり、そのまま月日は経ち、気づけば 2017年になっていました。

内容的には、

以前知られていなかった小惑星帯が深宇宙空間に配置されており、太陽系の私たちの方向に向かっている。2020年には、衝突すれぱ地球の生命を一掃し、気候を変えてしまうタイプの小惑星が地球に多く接近する。

この予測は、NASAが、2014年9 月までの過去 60日間で観測された新しいデータに基づいて、2017年から 2113年の間に 400回の小惑星の衝突が予想されることを示す新しいデータの乱れを明らかにしたことから来ている。

というような出だしの記事で、他の内容は今となれば、時期の過ぎた天体の話題が多い記事です。

このニュースそのものはともかく、こんな古いニュースを思い出した理由は、最近、「天体の衝突」に関しての報道や話題が多かったことがあります。

ここでいう天体というのは、大まかにいえば、彗星と小惑星ですが、最近は、いわゆる「ニビル」の話題なども出ていたこともあり、年明け早々、アメリカのワシントンポストが、「正体のはっきりしないミステリアスな惑星ニビルは 2017年 10月に地球を消滅させるのだろうか? いや、そんなことはない」というタイトルの記事を載せてたりしていました。

2017年1月5日のワシントンポスト

Will the mysterious shadow planet Nibiru obliterate Earth in October? No.

天下のワシントンポストが、そんなことを否定する記事を出さなくてもいいじゃないかという気もしますが、それだけ、アメリカなどを中心に、そういう噂というのか、そういう陰謀論系の話が広がっているということなのかもしれません。

このニビルの噂の内容は、大まかに書けば、

「 2017年10月に 3600年ぷりに惑星ニビルが地球に接近して、地球に壊滅的な影響を与える」

というものだそう。

こういうものも含めて、昨年後半から最近にかけて「天体の衝突」に関しての話題や記事が数多く出されていましたので、その中から少しご紹介したいと思います。

思えば、このブログで最初に天体衝突について長く書いた記事、

良い時代と悪い時代(1): 500年ほど続いた「穏やかだけれど傲慢な時代」は終わろうとしているのかも
 2012/10/06

から5年ほどが経とうとしています。

ここでいう「悪い時代」とは「地球への天体衝突が頻発した時代」です。

最近、「宇宙の終わりが始まった?」… という記事の中で、暗黒物質の「発明」に絡んだ話として、「人類の奢り」というようなものについて記したことがありました。そして、先ほどリンクしました過去記事「良い時代と悪い時代」では、歴史上、「人類が奢った時代に《悪い時代》が始まっていた」というようなことを書いたことがあります。

そういう意味では、「いろいろと頃合いの時期なのかな」という感じもしますけれど、今回は、最近、実際に報じられた天体についての話題やニュースの中で「地球の防衛」というものに関してのものをご紹介したいと思います。

 

小惑星から「地球を守る」という発想の現実性

express.co.uk

正体がはっきりしないニビルはともかく、小惑星や巨大彗星の地球への衝突という事象は、それが数キロメートルの直径などの本当に巨大な天体であった場合、地球の生命は 6500万年前と同じように、「一応、絶滅に向かう」ということになると考えるのが妥当です。

「一応」という書き方はヘンですが、どれだけ甚大な被害が起きようとも、地球に生命が定着して以来、「完全に地球の生命が絶たれたことはない」です。

そして、今後もないと言えるはずで、深海の生命や、極限環境微生物などとも呼ばれるような超強い生物たちは生き残るはずで、そこからまた地球の環境が整うまでの歴史がスタートするということにはなりますが、それはともかく、そういう天体の衝突による「大量絶滅」という懸念は、もう長いこと科学者などの間では考えられ続けてきました。

それが、現実的に動いた最初は、やはり昨年でした。

NASA が、天体の衝突に対しての「防衛部門」を新設したのです。1年くらい前のことです。

それは下のように報じられていました。

米NASA、惑星防衛部門を新設 小惑星衝突から地球守る

CNN 2016/01/14

米航空宇宙局(NASA)が、小惑星の接近から地球を守ることを目的とした新部門「惑星防衛調整局(PDCO)」を新設した。

同局は米首都ワシントンにあるNASA本部に設置され、惑星防衛局長職が新設された。地球に衝突して災害をもたらす可能性のある大型の小惑星や彗星など、潜在的に危険な天体(PHO)の早期発見を目指す。PHOは地球軌道の750万キロ以内への接近が予想される直径30~50メートル以上の天体と定義されている。

こうした天体を追跡して警報を出すとともに、軌道を変えさせることも試みる。もし間に合わないと判断すれば、米政府と連携して衝突に備えた対応計画を立案する。

 

そして、それから1年ほどの間に、いろいろなことがあり、たとえば、その NASA のジョセフ・ナス(Joseph Nuth)博士という人などは、何度もメディアに登場し、そこでよく「私たち人類はまったく天体の接近への準備ができていない」という旨の発言をしていました。

2016年12月19日の報道より

businessinsider.com

 

そして、最近、このジョセフ・ナス博士は、「地球に接近する天体を、核攻撃で破壊する」という計画を提案したのでした。

具体的には、

・地球の周りに監視宇宙船を配備し、地球に近づく天体の脅威を詳細に監視する

・監視宇宙船が、地球に脅威があると思われる天体を発見した場合、「迎撃宇宙船」へ連絡し、「攻撃」に移る

というものですが、この攻撃の方法について、博士は「核爆発が望ましい」と言っていることが、昨年 12月に報じられていたのでした。

こういう話を聞いて、どう思うかは人それぞれなのかもしれないですが、「これは冗談ではなく本気なの?」と疑問に思ったというのが正直なところではあります。

そもそも、宇宙船「ひとつ」を宇宙に打ち上げるのに、どれだけ大変な努力と費用がかかるかは書くまでもないですが、それはともかくとしても、

「小惑星、あるいは彗星の真実」

ということについて、たとえば、下のようなことがあります。これは CNN からの抜粋ですが、

小惑星や彗星は、約46億年前に太陽系が形成された初期の残骸で、火星と木星の間の小惑星帯には直径1キロ以上の小惑星が推定110万~190万個、それより小さい小惑星が数百万個も存在する。

というように、

> 直径1キロ以上の小惑星が推定110万~190万個

というものが小惑星帯なんです。 100個や 200個ではないです。数百万個です。

この太陽系の小惑星帯に、どのように小惑星が配置しているかは、過去記事の、

太陽系内の「彗星と小惑星の数と配置の状況」に心底驚いた今日…
 2013/02/15

などに NASA ジェット推進研究所の図を載せたことがあります。

太陽系で把握されている小惑星と彗星の配置

NASA

上の図の黄色のドットひとつひとつが小惑星で、白い印が彗星です。

タラコの粒を数える時に使われる「星の数ほど」という表現が日本語にありますが(他にも使うだろ)、本当に、そういう「星の数ほど」というような単位で、太陽系には小惑星と彗星が配置されているのです。もちろん、まだわかっていないものも多いはずです。

 

これらを監視して? 迎撃する? (おそらく一機ずつの宇宙観測船と宇宙攻撃船で)

 

この概念自体が、やや狂気にも思えるのですが、しかし、まあ、ここは仮に運良く「地球に接近する天体が発見された」とします。

そこで「迎撃準備」ということになるのはいいですが、「どうやって?」

 

たとえば、その「移動の速度」。

彗星や小惑星などのそれぞれで速度は違いますけれど、たとえば、彗星の場合などは「秒速数百キロメートル」の速さで移動したりもするようで、昨年8月に NASA が観測した彗星の速度は秒速 600 km だったと報告されています。

NASA

1秒で東京から福岡まで吹っ飛んでいくようなものに対しての迎撃方法などが存在するのかな、と。

時間をかければ、たとえば、彗星や小惑星にはやぶさ(小惑星イトカワ)や、ロゼッタ(チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星)などに観測船が着陸してはいますので、目標とすること自体は不可能ではないのかもしれません。しかし、あれは何年もかけた計画の中で成功したもので、迎撃の場合は、何年も時間をかけていると、実行できるのは「衝突した後」というようなことになりかねません。

では、「秒速数百キロメートルなどの猛スピードの物体を、迅速に標的とできる方法はあるのか」というと「ない」ような気がします。

たとえば、地上では、「大陸間弾道ミサイル」というような兵器があり、これに対して、よく「ミサイル防衛」などということが言われています。

「ミサイル防衛」というような概念があるのに、ミサイル開発が止まることがないのは、ミサイル防衛など事実上できないからと考えるのが妥当なのかもしれないですが、この大陸間弾道ミサイルでさえ、スピードは最大で、せいぜい秒速 6〜 7キロメートルと考えられています。まあ、それでも、すさまじく速い(旅客機の 20倍以上の速さ)のですが、それに対しても迎撃が事実上困難であるという中で、それをはるかに上回るスピードのものをターゲットにして攻撃する、というようなことを本気で言っているとは思えないのです。

そして、さらに、「最大の問題」があります。

それは実は NASA 自身が以前に述べていたことですが、以前の報道から翻訳して抜粋しますと、以下のようなことです。

小惑星または彗星が地球との衝突コースにある場合、 NASA は少なくとも5年間の警告期間を必要としている。

 

その小惑星なり彗星なりが地球に衝突するかどうか正確にわかるまでには、5年間というような時間がかかるもので、「発見、即、迎撃」というようなことがおこなえる世界ではないと思われます。

こういうことをいろいろと考えると「地球に接近する小惑星を核兵器で爆破すればいい」という発想は、あまりにも子ども的だというような感じがするわけで、いずれにしましても、「天体を核で爆破する」というプランは、壮絶な空論だとしか思えない部分があります。

結局、今年、この NASA の提案はどうなったかといいますと……アメリカ政府から「拒絶」されました。

2017年1月17日の米国報道より

Obama Rejects NASA’s Plan To Protect Earth From Asteroids

 

 

かつて何度もあった人類の「奢りの時代」

それにしても、この NASA の科学者の「接近する天体なんぞ、撃ち落とせばOK」という考え方には、どこか「奢り」を感じます。

「科学は何でもできるんだぞ」という思いが鉄腕アトム的にまで肥大して、現実も何もなくなっているみたいな。

結局、今の時代葉、人類の奢りというものが、特に科学とか医療とかの分野の隅々にまで行き渡っているのかもしれないなとは思います。

そして、それはその文明を享受している私たちすべての中にもある奢りとつながっているような気もします。

以前、先ほどリンクしました「良い時代と悪い時代」の中の「天上の神々の地位」という記事の中で、フレッド・ホイル博士の著作『生命はどこからきたか』の抜粋をご紹介していますが、その中に以下のくだりがあります。

フレッド・ホイル『生命はどこから来たか』 エピローグより

 

悪い時代には、空からやってくる天災に対して、どんなに強力な指導者であっても対抗できなかった。

しかし天災がしばらくなかったときには、専制的な支配者に対抗するものは何もなかった。空には何も見えなかっただろう。

そして天上の神々の地位は下がり、専制的支配者をも含めた神がとって代わった。それがエジプトのファラオーであり中国の王であった。

 

その王たちは全能の王、つまり、「自分はすべての力を持つ存在である」などと自称し、あるいは呼ばれていたかもしれないですが、パーシー・B・シェリーという人の「オジマンディアス」という詩には、古代エジプトで全能の王と呼ばれたオジマンディアスの「石像」が、砂漠の中に転がっている様子が描かれ、その石像の台座には、

我が名はオジマンディアス
王の中の王
全能の神よ
我が業を見よ
そして絶望せよ

と記されていることが書かれています。

この「絶望せよ」は、「私に対して何もできない自然と神々は絶望せよ」という意味です。

そして、ここにある「全能の神」を「全能の科学」に置き換えれてみれば、今はいろいろとわかりやすい時代だと思います。

「私に対して何もできない自然と神々は絶望せよ」という下りは、そのまま「科学という名の神」が言いたがっていることでもあります。

その行く先は、オジマンディアスの石像のように、誰にも見向かれることもなく、砂漠の中に鎮座し続けるだけの遺物になるのかもしれません。

 

いずれにしましても、こういう「良い時代」であると同時に「奢り」の時代の中、天体の接近の懸念はさらに大きくなっています。

 

<転載終了>