ジャーナリスト同盟」通信さんのサイトより
http://blog.livedoor.jp/jlj001/archives/52172793.html
<転載開始>

2017年04月23日

極右に服従する創立60年の宏池会<本澤二郎の「日本の風景」(2584)

<狂った岸田・宏池会の前途>
 歴史認識で隣国と対立するだけでなく、極右・石原慎太郎が招き寄せた尖閣問題から、南沙諸島問題まで、中国を挑発する露骨な外交政策に安住してきた岸田外相に対して、1972年から宏池会とかかわりを持ってきたジャーナリストとして、残念ながら評価することは出来ない。ひたすら安倍・改憲軍拡路線に盲従してきた岸田は、宏池会創立60年史に泥を塗ったとしか言いようがない。何度も辞表を叩きつける場面があったが、それでも岸田にその勇気・気迫がなかった。それでも、派内から会長交代の声が聞こえなかったことは、この自民党の名門派閥も、素晴らしい伝統を放棄してしまった証拠かもしれない。狂った宏池会の前途に展望を期待できないのが、やはり残念でならない。人物はいないのか。

<ロ事件発覚時の大平の田中角栄への対応>
 官邸が犯罪の巣となっていることに、国民の多くは衝撃を受けている。それでも、安倍の首に鈴をつける人物が現れない政権与党に辟易するばかりである。
 安倍内閣は、極め付きの腐敗政権であることに異論などないだろう。森友・加計事件は、自民党史をどす黒くする疑獄事件である。国有地をタダ同然に払い下げた森友事件、400億円もの利権を手にした加計事件は、安倍夫妻による権力乱用事件、売国奴政治を露呈したものだ。
 この種の疑惑事件は、ほかにも沢山あるはずである。主権者に対する裏切り行為である。自民党政治は言うまでもなく、政府・内閣の危機である。安倍の首を取る場面であるにもかかわらず、宏池会は創立60周年記念集会に安倍を呼んで、挨拶までさせている。
 ロッキード事件が発覚した時、宏池会会長の大平正芳は三木内閣の大蔵大臣に就任していた。大平は盟友の腐敗発覚に心を痛めた。どうしたか、腹心の田中六助を、砂防会館の田中事務所に派遣した。
 玄関番で金庫番の佐藤昭をしり目に、六助は「角さんに会いたい。大平の使いできた」といって事務所奥の角栄と面会した。彼は「議員辞職が大平の考えです」と説得を試みた。
 角栄はというと、盟友の忠告にびっくりして「馬鹿者!何を言うか。ロ事件は上だ」と言って天井を指さした。「俺は無関係だ」と六助に逆襲した。角栄が右手で上を指さした先は、砂防会館5階の中曽根康弘が居座る事務所だった。
 ロッキード事件の本丸は、中曽根と右翼の児玉誉士夫である。以上は六助が筆者に語った真相だ。中曽根内閣で田中六助幹事長誕生の伏線であろう。

 岸田に言いたいことは、安倍と刺し違えて、鈴をつけよ、である。これは宏池会会長の厳格な倫理観である。吉田茂を始祖と仰ぐ宏池会の伝統なのだ。
<改憲軍拡に反対した政治路線>
 日本国憲法は吉田内閣で実現した。吉田の愛弟子の池田勇人と佐藤栄作から、改憲論は聞かれない。戦後日本の平和と繁栄は、憲法の平和主義の賜物である。
 右翼は「日米安保」と宣伝しているが、全くそうではない。9条憲法が、自衛隊の戦争を拒絶してきたものである。これにワシントンも抵抗できない。韓国はベトナム戦争に派兵させられている。
 この憲法重視の路線は、池田内閣からの宏池会の伝統となっている。
<日中友好>
 池田内閣は、安倍の祖父・岸信介内閣が破壊した日中関係を修復すると、大平を中心にして国交正常化に向けて舵を切った。
 佐藤内閣でとん挫したが、大角連合で田中内閣を発足させると、大平は外相に就任して3か月後に国交を正常化させた。その理由は「日中友好はアジアの平和と安定の基礎」だからである。これは永遠の原則である。
 この大原則を真っ向から破壊した政権が、安倍・自公内閣である。13億の中国人民を失望させてしまった。それが今も続いているが、その責任者が岸田なのだ。
 岸田は自己の外相ポストを維持するために、宏池会の歴史と伝統を踏みにじった点で、会長失格である。彼がまともな精神の持ち主であれば、外相と宏池会会長の椅子を去るべきだろう。
 日中友好は、宏池会の歴史的成果なのだ。
<宏池会はリベラル>
 宏池会メンバーは、みなリベラルを重視して政治を行ってきている。右翼議員を見つけるのは、曇り空で星を見つけるように困難だった。筆者が自民党派閥の中で、宏池会に愛着を抱いた理由である。
 79年12月の大平訪中に政治記者として特派員となって同行して以来、日中友好に掛けてきた理由でもある。自ら100回訪中の目標を掲げ、2013年12月に実現した。親中派の宇都宮徳馬にお尻を叩かれたことも幸いした。
 宮澤喜一が自民党総裁に就任したその日、初めての独占インタビューで彼は「宏池会はリベラル」と即答したものである。岸田は宮澤家と縁戚に当たるはずだが、人物としては宮澤の足下にも及ばない。
 宏池会からリベラルが喪失すると、もはや宏池会でなくなるだろう。
<民意重視の宏池会>
 70年代によく池田勇人内閣で、官房長官を歴任した黒金泰美事務所に行って、宏池会の体質を教えてもらったものである。その時、彼は「宏池会は、国民のコンセンサス・合意を政治に反映させることが、政治の基本である」と語ってくれた。
 民意重視である。官僚出身の政治家が少なく無かった宏池会は、現在の極右政権に肩入れする霞が関の官僚とは違った。
 安倍内閣は1%・財閥の傀儡政権である。そこには民意は反映されない。改憲軍拡路線は、1%の悲願でもある。これを否定する宏池会リベラルが、いうなれば戦後の日本政治を主導して、平和と繁栄を実現できたものだ。
<いま日本政治に必要な宏池会リベラル>
 安倍・自公内閣は、極右政治である。教育勅語やヒトラーの「我が闘争」を教材にしてもいい、という政府は、戦後初めてのことである。
 もうそれだけで恐怖をまき散らしている。教育勅語の教育を絶賛した安倍夫妻も脅威そのものであるが、それらを抑え込む伝統的な宏池会リベラルが、日本に必要な時である。
2017年4月23日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)



<転載終了>