社会科学者の随想さんのサイトより
http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/1070350503.html
<転載開始>
 【軍用機(航空機)の運用実態からみたら沖縄本島は小さな島】

 【小さな島の上空を飛ぶのに,たくさんある小学校などの上を飛ぶなといわれても,無理難題だ(ムリをいうな)と回答した米軍側の理屈】



 ① 本ブログ「2018年02月26日」の記述から

 この ① の日付「2月26日」になされていた記述は,つぎのような題目で書かれていた。

 主題「『亡国の首相』安倍晋三による対米従属路線の強化,沖縄を人身御供にしたまま『戦後レジームからの脱却』をのたまう摩訶不思議,この国をダメにしつつある日本国最高指揮官」

  副題「祖父岸 信介はそれでも,戦後体制を少しでも日本寄りに修正させようとした。けれども,その孫は米日間の軍事同盟・上下関係を高度に進化させ,より堅固・不動にした」

 この記述から,はじめのほうの段落だけとなるが,その部分を以下に再掲しておきたい。

◆ 米軍ヘリ,小学校上空飛行 普天間で防衛省確認 米側が謝罪 ◆
=『朝日新聞』2018年2月24日朝刊 =


『朝日新聞』2018年2月24日朝刊米軍ヘリ記事 〔2月〕23日午後3時半ごろ,米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に隣接する普天間第二小学校の上空を,米軍ヘリ1機が通過した。政府関係者によると,防衛省の監視員が目撃し,学校に配置したカメラでも確認。米側は上空飛行を認めた。

 防衛省によると,ヘリは普天間飛行場を離陸したMH60。米側に再発防止の徹底を申し入れた。在日米軍は「米軍のヘリが不注意に学校上空を飛び,遺憾だ。再発防止のため,すぐに事実関係や状況の調査を始めた」と発表した。
 関係者によると,飛行したのは米海軍機とみられる。米側は「普天間所属機ではないので,小学校の上空を飛んではいけないとしらなかった。本当に申しわけない」と日本側に謝罪したという。普天間第二小では昨〔2017〕年12月,米海兵隊の大型ヘリCH53Eの窓が校庭に落下する事故が発生。その後,海兵隊は「すべての学校の上空の飛行を最大限可能なかぎり避ける」と説明していた。
 補注)在沖米軍関係全軍がこの「小学校の上空を飛んではいけないとしらなかった」という程度にしか,命令・指示を受けていなかったという事実は,それも「すべての学校の上空の飛行を最大限可能なかぎり避ける」という意向での注意事項であったとすれば,このように「飛んではいけないとしらなかった」といいわけしつつも,

 実際に飛んでしまったら “ゴメンナサイ” (昔風に表現するとサルにでもできる謝罪方法)と口先だけでいうことなど,しごく簡単である。そこを飛んでしまえれば,それはそれでそれまでのことで,あとは一言謝ってやればいいのだ,という始末であるかのような様子である。


 〔記事に戻る→〕 しかし今〔2018〕年1月18日にも海兵隊ヘリ3機が普天間第二小の上空を通過したのを防衛省が確認。政府は米軍に抗議したが,米側は上空飛行の事実関係を認めていなかった。学校は事故以降,1カ月半にわたり校庭の使用を中止した。

 普天間飛行場の運用をめぐっては,日米は1996年に「できるかぎり学校,病院を含む人口密集地域上空を避ける」と合意したが,2004年に市内の沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落。運用時間も,騒音防止のため午後10時以降の飛行制限を日米で合意しているが,深夜の飛行が頻繁に確認されている。(引用終わり)
     『朝日新聞』2018年2月24日朝刊米軍ヘリ問題
  註記)この紙面の画像は,この朝刊「13版」には出ていた記事の部分であったが,最終版の「14版」から削除されていた。
 --そんなこんな事情もあって,在日米軍基地が集中させられている沖縄県である。しかも,この「小さくもみえる『本島』」のなかには,数多くの米軍基地とその関係する諸施設が集中している。

 要は,軍事基地において軍用機が日常的な訓練のための運用されているのであるから,事故がそれなりに “通常よりも一定の高い確率で” 起きてもなにもおかしなことはない。むしろ,そうした軍事的な日常性を踏まえた話とされねばおかしい。こうした認識が前提に置かれての議論となるはずである。

 それゆえ,米軍側は軍用ヘリを飛ばす場合,小学校などの上空を飛ばないように配慮するとはいっても,「できるかぎり……」という留保を付けていた。つまり,それ以上には「できないし,とうていムリだ」,いいかえれば,そのように要求されても「できるわけがない」という理屈(現実)で答えていた。

 つまり,しょせんは口先での約束に終わってしまうその〈努力目標〉である。だから,口に出して簡単に約束しえたとしても,「それ」以上にはなにも “絶対的に責任ある返答” はできない。そのように正直に応えている。というよりも,軍用機の事故は「今後においても必らずといっていいほど」起こりうる事情がある。それが,軍用機の日常的な運用に関しては “確言できそうな” 必然的な事情である。

 そんなこんなであって,在日米軍基地が集中する沖縄県であって,それもこの小さな島(沖縄本島じたいは「けっして小さい島とはいえないが」)に,相当数の米軍基地と関係諸施設が配置されている。
      沖縄本当米軍基地画像
  出所)http://www.pref.okinawa.jp/site/chijiko/kichitai/579.html
 ともかくも,軍事基地における軍用機の日常的な訓練のための運用であるから,飛行中の事故が一定の高い確率で起きて当然という認識が「前提に置かれた話題になる」ほかない。それゆえ「できるかぎり……」という留保を付けた制限にとどめている。それ以上は「できないし」,本来「できるわけもない」。

 つまり,努力目標であるならば応えられるが,という次元での回答であった。

 したがって,本日〔3月8日〕の時点なると,あらためてつぎのように米軍側がいいだしていた。 “さもありなん” と表現したらいい点であった

 ②「学校上空回避『保証できず』在沖米軍のオスプレイ部隊長」(『朝日新聞』2018年3月8日朝刊39面「社会」)

 在沖米海兵隊は〔3月〕7日,報道機関向けに,輸送機オスプレイの試乗会と運用についての説明会を,普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)で開いた。軍幹部は「可能なかぎり避ける」としている学校上空の飛行について「努力するが,絶対飛ばないと保証はできない」と述べた。

 オスプレイ12機が所属する「第262飛行隊」の隊長・バーネット中佐が質問に答えた。「もっとも大事なのは安全。天候や管制塔の指示などで,学校上空を通らないといけない時がある」と説明した。(引用終わり)

 この文句に矛盾あることはすぐに気づく。「もっとも大事な」「安全」のために軍用機が「学校上空を通らない」でほしいという沖縄県民側の要請など,まさしく「屁のかっぱ」であるかのように無視した態度なのである。ましてや,沖縄県(本当)全体が米軍基地そのものである格好になってもいるのだから,そのように米軍側にいわれざるをえない現実のなかに沖縄県民は置かれている。

 2018年1月20日の報道にこういうものがあった。
   沖縄県の翁長雄志知事は〔1月〕19日,米軍ヘリから窓が落下した普天間第二小などを視察後に県庁を訪れた衆院安全保障委員会の与野党メンバーに訴えかけた。 「最大限可能なかぎり学校上空を飛ばない」。窓落下事故後にヘリの飛行を再開するにあたって米軍はそう説明した。

 だが,それから約1カ月の〔1月〕18日に第二小上空を米軍ヘリ3機が飛行したのが確認され,米軍への沖縄の反発は激しさを増している。これでは沖縄の怒りの矛先が,米軍に「約束」を守らせることができない日本政府にも向けられて当然である。 
 ③ ヘリコプターの飛行性能・一般論から

 ネット上から適宜に関連する情報を検索しつつ,以下の記述をすすめていく。なお引用元は割愛する。

 a) 2010年7月,シコルスキー・エアクラフト社が「X2技術試験機」で非公式であったが,時速225kt(約418km/h)を達成した。それまでのウエストランド社製「アグスタウェストランド・リンクス」がもつ400.87km/hのヘリコプターの最高速度記録を更新していた。

 2016年12月,高速ヘリ「S-97レイダー」は,米シコルスキー社が米陸軍の次世帯小型偵察・攻撃ヘリの需要を満たすため開発する,最高飛行速度が時速480キロに達する新型ヘリだと伝えられていた。

 ヘリは一般的には,ジェットなど別の推進エンジンを積んでいなければ「時速200Km前後」が,物理的に出せる最高速度である。それに,速度を上げるためのは前のめりに飛ぶ姿勢をとる。そうなると,前面投影面積がどんどん大きくなってしまい,ローターの回転の大きな「丸」面が前から丸みえにもなる。つまり,空気抵抗がその分,上がる。

 戦闘目的の軍用ヘリは,高速飛行中も前のめりに飛ばずに(ローターが前からは平面にしかみえない),前方にジェットで推進していて「オートジャイロ」に近い飛び方になっている。

 b) ティルトローター機であるV-22 オスプレイの最高速度は,300kn(556km/h)を超える。これは,現在米軍が採用している同規模のヘリコプターCH-53E(170kn〔315km/h〕自重15t)と比べて実に,130kn(241 km/h)も高速である。
オスプレイ画像3ウィキペディアから
出所)ウィキペディアから。

 速度に特化した高速ヘリコプター(最大速度200kn〔370km/h〕程度)と比べても,1.5倍の速度差になる。シコルスキー社が開発している高速ヘリコプターの実験機シコルスキーX2225 k(417 km/h程度)よりも速い。

 回送時(貨物積載なし)の航続距離は 1,940nmi (3,590 km)あり,空中給油が可能であるため,さらに延長できる。これはCH-53Eの倍近い距離となっている。垂直離着陸をした場合には航続距離は短くなる。

 固定翼を併用するために,回転翼だけよりエンジンの単位出力当たり大きな揚力をえられる。また,回転翼機よりも上昇限度が高い。またローターと主翼は折りたたむことが可能であり空母だけでなく強襲揚陸艦でも運用できる。

 ④ 沖縄本島の上空全域を米軍ヘリが飛びまわっている

 沖縄本島は沖縄県の北東端部に位置する島であり,日本の島のうち本州・北海道・九州・四国・択捉島・国後島に次ぐ面積である。主要4島と北方領土を除いた日本の島のなかでは最大の島である。その面積は1,206.98km,周囲476km,また本島の直線距離は,南北端で約106.6kmである。

 南北方向の長さ 135km,最大幅 28km,最小幅4km の中央のくびれた細長い島となっている。沖縄が返還されて以降,埋立が盛んとなり,1000ヘクタール以上が埋め立てられた。北部は火成岩が中心で,島内最高峰の与那覇岳をはじめ,八重岳,名護岳など400m程度の低山が続く。やや大きな河川があるのも北部の特徴である。

 そこで,ヘリの飛行速度に関するこういう計算をしてみた。まず通常の商用ヘリを想定し,時速200キロ・メートルで飛行するとしたら,このヘリは1分間に3333キロメートル,1秒間に55メートルを飛行(前進)する。さて,沖縄本島の地理で具体的に考えてみたい。その最大幅(だいたい荒っぽく東西の方向としてみておいても,たいした距離ではないが)を飛行するのに,何分を要するか?

 南北方向でほぼ40分であり,東西方向で最大幅の場所では14分しかかからない。断わっておくが,これは時速200キロメートルで飛行する商用ヘリの場合である。新幹線の最高速度(営業速度)よりも遅い速度である。だが,オスプレイはじめジェット推進エンジンを備えてもいる軍用ヘリが出せる速度であれば,その飛行時間の分数(ふんすう)はさらに半分以下にまで短縮される。 

 そんな・こんな具合に飛行する,それも軍事訓練・演習をいつも兼ねている在沖米軍の軍用機に関する話題であった。

 前段で引用した記事でのように,「オスプレイ12機が所属する『第262飛行隊』の隊長・バーネット中佐が質問に答え」は,「『もっとも大事なのは安全。天候や管制塔の指示などで,学校上空を通らないといけない時がある』と説明した」ということであった。中佐は正直に,そうでしかありえない「沖縄県(本島)における軍用ヘリの運用実態」を説明していた。

 もっとも,沖縄本島の上空を飛ぶ軍用ヘリがいつも最大速度で飛行しているわけでないことは,むずかしく考えるまでもなく理解できる。要は,沖縄県に米軍基地があることじたいからして,以上のごとき「どうしようもなく理不尽で乱暴だ」とみなすほかないような『軍事の論理』にもとづく軍用ヘリの運用が,日常的に「住民の生活の論理」を平然と踏みつぶす現状をもたらしている。

 沖縄県の問題はいま,せめて小学校などの上空だけは米軍のヘリを飛ばせないでくれと要求している。けれでも,この本島全体を実質的に基地そのものとして利用している米軍の立場にとってみれば,軍用機の運用に対して実現不可能である無理難題が要求されている,そういった理屈(反論)になっている。

 そこにおいては,とくに人口の多い県である神奈川県の,米軍厚木基地「騒音訴訟」問題にも通底する「日本国民生活」側の耐えがたい迷惑:苦痛,「生活権の侵害」が日常的に発生・継続させられている。

 かつての大日本帝国が敗戦した憂き目・悲哀は,21世紀の現在もなお強力に持続させられている。これが安倍晋三君の強調している「戦後レジーム」の実体の一部分である。そこからの脱却など,いまだに全然できていない。アベのとなえた「戦後レジームからの脱却」といったごとき標語は,完璧な〈寝言の部類〉に属する。

 ⑤【補 遺】「在日米軍に屈する日本を糾弾したNHKのNW9の衝撃」(『天木直人のブログ』2018-03-08

 これもNHKのニュースである。しかし,このニュースは米国の貿易規制に関するニュースよりはるかに衝撃的だ。昨日〔3月7日〕夜9時から始まったNHKのニュースウオッチ9は,ひととおりその日のニュースを流したあと,相次ぐ米軍飛行機の事故について,特集報道をした。

 たまたまそれを目にした私は思わず引きこまれた。そこには米軍に従属せざるをえない小野寺防衛相の気の毒な姿があった。すなわち米軍機の事故について,小野寺大臣は日本としても米軍事故について米軍と協力して「検証」すると語ったことがあった。私もその発言を覚えている。日本国民を前にして,防衛大臣として当然の発言だ。

 ところが,である。この,「検証」という発言に米軍がカチンと来て,いつから日本はそんな権利をもつようになったのかといわんばかりに,ねじこんできたというのだ。慌てふためいた小野寺防衛相は,それは米軍の「誤解」だと反論するのが精いっぱいだったというのだ。

 詳しい報道内容は覚えていないが,NHKの特集報道がいわんとしていることはそういうことだった。なぜ私がこのNHKの特集報道に衝撃を受け,読者と共有したいと思ったか。それは,こんな不平等で,日本の主権放棄のやりとりが,在日米軍と防衛省のあいだでおこなわれていたのかということをしったからだ。

 こんなやりとりが米軍と防衛省のあいだであったという報道は皆無だ。そして,そのことを,NHKはこの報道で糾弾するかのように報道していたからだ。いまや安倍政権べったりのNHKが,皆がみるニュースウオッチ9というゴールデンタイムのニュースで,この実態を明かした。

 おりから,米軍機の事故や部品落下が相次いでいる。いつ起きて,どんな事故,落下物だったのか,わからないほど頻繁に起きている。そして,米軍の対応は,まるで日本国民を無視するようなものばかりだ。もはや,日米地位協定を変えるしかない。

 そう国民が自覚して,国民の声で政府を動かすほかはない。そうNHKが思いはじめたということではないのか。これも安倍一強体制の揺らぎのなせるわざかもしれない。いずれにしても,前代未聞のNHKの特集番組であった。画像が再生できないのが残念だ。
 註記)http://kenpo9.com/archives/3377

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<転載終了>