社会科学者の随想さんのサイトより
http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/1071239563.html
<転載開始>
 【ハイパー・インフレーションは再来するのか】

 【安倍晋三のような世襲政治家たちがのさばる日本の政治が,経済も社会も壊滅させていく21世紀的に必然であるかのような「暗い事情」】



 ①「〈連載:波聞風問〉財政破綻 国債が紙くずになる日」(編集委員・原 真人稿『朝日新聞』2018年5月15日朝刊7面「経済」)

 過日,本紙1面連載「平成とは」で平成の財政悪化について書いたところ(4月25日付),たくさんの反響をいただいた。なかでも戦前,政府が「絶対安全」と宣伝しつつ国民に国債を買わせていた事実への関心が高かった。

 1941年10月,大政翼賛会は戦費調達のため『隣組読本「戦費と国債」』(42頁)を出版。150万部刷って,全国の隣組や学校に配った。現存する冊子を読んでみた。当時としてはきわめてやさしい文章だ。とりわけQ&A方式で国債の安全性を強調するくだりは,根拠は薄くても安心感を誘う巧妙な説明になっていた。こんな具合に。
 (問) 国債がこんなに激増して財政が破綻(はたん)する心配はないか。

 (答) 国債は国家の借金,つまり国民全体の借金ですが同時に国民がその貸し手で……。「国債が激増すると国が潰れる」という風に言われたこともありましたが……経済の基礎がゆらぐような心配は全然無いのであります。

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        戦費と国債画像表紙2
 出所)冊子の大きさを分かるやすくみせるために「ノートパソコンのキーボード」上に置いてある。https://matome.naver.jp/odai/2149826353983851601
 いまも膨れあがる国債は大問題だ。だが「国債は国民資産でもあり,問題ない」という論者も少なからずいて,国民全体の危機意識は高まっていない。いつの時代も甘言が振りまかれ,危機感が薄れていくものなのかもしれない。
 戦時国債の結末は歴史が示すとおり。敗戦直後に重い財産税が課されたり超インフレが起きたりして,国債は紙くず同然になった。では敗戦でなければ,紙くずにならなかったのか。「いや,どちらにしてもそれは避けられませんでした」。

 財政史に詳しい財務省主計官の中山光輝氏はそういう。氏によると,日本の歴史のなかで政府が財政破綻し,借金を踏み倒したことが敗戦時のほかに,もう1回あった。明治維新の廃藩置県である。

 明治4(1871)年,それまで各藩が発行していた藩札や藩債をすべて明治政府が引き継いだ。政府はその多くを整理し,切り捨てた。江戸時代も,戦前も,政府の借金が著しく膨らんだだけで財政破綻に至ったわけではなかった。実際はひどい状態のまま何年ももちこたえた。そこに明治維新,敗戦という外的ショックが起きて,いよいよ財政破綻に至ったのだ。

 「債務が増えると国家のリスク対応力はどんどん落ちていく。そこに大きなショックがくわわったとき,初めてリスクが顕在化し財政破綻に至るのです」と中山氏はいう。いまはどうか。(画面 クリックで 拡大・可 ↓  )
  『朝日新聞』2018年4月25日朝刊政府借金対GDP比
   出所)これは『朝日新聞』2018年4月25日朝刊。
 政府の借金は国内総生産(GDP)の230%という史上空前,先進国で最悪の水準にある。それでも国債は暴落していないし,日本経済はなんとか平和に回っている。とはいえ,財政の耐久力がとてつもなく弱っている可能性はある。

 今後なんらかのショックがくわわったらどうなるのか。中国など新興国バブルの崩壊,首都直下地震……。いま望まざるショックが起きないとは誰にもいえないのだ。

 ② 体制翼賛会『隣組読本「戦費と国債」』(全42頁)昭和16年10月

 本ブログ筆者はこの冊子を複写したものであればもっているが,現物では地元の県立図書館から借りて読んだことがある。ただ,ネット上には古書として,この冊子を販売するための画像資料が掲示されている。これらから,この『隣組読本「戦費と国債」』の閲覧可能な箇所(各頁)を順に紹介しておく。( ↓  画面 クリックで 拡大・可あるいはより鮮明になるものもある)
戦費と国債序文-目次1頁
戦費と国債画像序文-目次1頁
戦費と国債画像目次2-3頁
戦費と国債画像目次-1頁
戦費と国債画像14-15頁
戦費と国債画像34-35頁
戦費と国債画像36-37頁
戦費と国債画像38-39頁
戦費と国債画像40-41頁
 出所1)https://aucview.aucfan.com/yahoo/r127822839/
 出所2)https://ameblo.jp/zuruzuru4/entry-12167256278.html
 補注)最後の41頁の「この見出し項目(太字)」には「将来国債の値段が暴落する心配はないか」と書かれていた。だが,敗戦後においては,100倍ものインフレーションが発生してしまい,文字どおりにこの心配が現実になっていた。

 つぎの画像資料は参考にまで引用・紹介しておく。
国債は戦費です(パンフ)シナ事変国債
出所)支那事変国債の購入を勧誘する「パンフレット」,
これは1937年7月7日に開始された「日中戦争」用。
http://blog.livedoor.jp/archon_x/archives/3630737.html

  いわゆるアベノミクス(「安倍之見苦素」)は,別称を「アホノミクス・ダメノミクス・カラノミクスなど」と蔑称されている。2012年12月に第2次安倍晋三政権が発足して以来,日本経済が実質的にという意味でまともに,それも全体的・恒常的に上向きなれたという兆候はなかった。

 それどころか,格差社会である基本的な方向性がますます本格的に進展・拡大していく経済現象のなかで,ごく一部の(せいぜい上層5%内での)富裕層〔賃労働者層のなかでいえば,大企業正社員などや国家高級官僚層とこの天下り群〕のみは,実際に余裕にある生活を過ごせているものの,

 われわれみたくスーパーにいって「88円のバケット」(フランスパン)や,これと「同じ程度の値段の食パン」を買って食生活をしのぎながら暮らしている者たちとは,その基本からして終始無縁でしかありえない経済政策を,あのボンボンである総理大臣は全然理解できていないまま,つまり性懲りもないままに継続中である。

 安倍晋三「自身がひどくボンクラで,やたら粗暴で,ただのものしらずである事実」すら,本当のところ,当人としては全然知覚できていない。それゆえに「主婦がパート労働でえる月収を25万円と仮定して」などといってのけてもいたように,徹底的に「お▼▼な首相」の立場にあっても,いまだに日本経済の運営を担当しえている気分だけはもっている。迷惑千万,このうえない。

 そして「アベノミクス」が経済政策的に,日銀総裁黒田東彦に実行させてきたのが,国債の大量発行とこれの日銀買い入れであった。つぎの画像を借りた一文がこう指摘していた。

 1)「ロイターが疑問に思う日銀の姿勢。『このままでは国債の半分を日銀が所有』。日銀マネーが切れた瞬間,国債も株も値下がりする…のあり地獄との批判も」(2014年10月6日 18:00)。 
国債残高日銀保有比率
    出所・註記)この図表の予測値は最近(直近)では少しズレているが,方向としてはそれほど大きく違っていない。http://ryuma681.blog47.fc2.com/blog-entry-1091.html

『日本経済新聞』2017年2月7日日銀保有比率推移
出所)これは『日本経済新聞』2017年2月7日から引用。
ともかく,日銀国債保有額は “順調にどんどん増加し
現在では4百兆円を超えている” 。

 2)「〈ビジネス〉日銀の3月末国債保有残高,前年比増加額が50兆円割れ 4年4カ月ぶり」(『REUTER』2018年4月4日 13:52  1ヶ月前

 [東京 4日 ロイター]  日銀が〔2018年〕3月末に保有する国債残高は,前年同月に比べて約48.6兆円(額面ベース)の増加にとどまり,増加額は2013年11月以来約4年4カ月ぶりに50兆円の大台を割りこんだ。

   日銀が3日に公表した「日本銀行が保有する国債の銘柄別残高」によると,〔2018年〕3月30日現在の保有国債残高は416.4兆円と前月末に比べて2.3兆円減少した。2月28日に通告した「残存25年超」の買い入れから,金額を100億円減額して700億円としたことや,奇数月で変動利付債の買い入れがなかったことなどが影響したとみられている。
 註記)https://jp.reuters.com/article/boj-bond-idJPKCN1HB0CZ
        
 3)「〈経済史から考える〉日本政府債務,深刻度は大戦末期並み」(東京大学大学院経済学研究科教授岡崎 哲二稿『日経BizGate-課題解決への扉を開く』2018/1/23)

  ※ 多額の政府債務は後世に負担を残す

 政府は〔2018年1月〕22日,歳出額が過去最大を更新する2018年度予算案を国会に提出した。高齢化に伴い医療や年金など社会保障費の拡大に歯止めがかからず,日本の政府債務は国内総生産(GDP)の2倍を超す。いまの財政状況は太平洋戦争末期と酷似する。70年余り前,累積債務を「清算」したのは敗戦による過酷なインフレ。代償を支払わされたのは国民だ。
 註記)https://bizgate.nikkei.co.jp/article/DGXMZO2842922022032018000000

 ③「〈平成とは 第2部・国のかたち〉戦略なき財政再建,政治の怠慢」(『朝日新聞』2018年4月25日朝刊)

 なお,この記事は ① で原 真人が触れていた記事である。この記事のなかにかかげてあった図表は,そちらに移動させて掲出しておいた。

 a) 敗戦時を上回る水準に達した平成の借金財政。これほど悪化したのはなぜか。財政に詳しい各分野の有識者10人の声や証言から平成財政をふりかえる。

 まずは現状認識。財政の再建は可能か。できるとしても「数十年がかり」との見立てが大半だ。「このままでは不可能」ともっとも厳しいのは元政府税制調査会長の石 弘光(81歳)。「再建できるとすれば,首相が政権をかけたテーマにするか,長期金利の上昇や国債格下げなど市場から外圧がかかるか,いずれかが必要だ」。
堺屋太一著作集表紙
 ただひとり「なんとかなる」とみるのは作家で安倍政権の経済ブレーンでもある堺屋太一(82歳)だ。16年前に出した小説『平成三十年』で,日本衰退に警鐘を鳴らした。「いまの経済情勢は安定しており,成長もわずかにある。この状態が続くかぎり財政は日銀の国債買い入れでしのいでいける」。
 付記)右側画像には「Amazon 広告」へのリンクあり。なお文庫の安価版も発売されている。

 b) 財政悪化の最大の理由については,「政治の怠慢」との見方が多かった。

 連合会長の神津里季生(62歳)は「長く続いた自民党中心の政治が機能しなくなった。野党にも政権交代可能な二大政党にできなかった責任がある。緊張感をもち,切磋琢磨しながら合意形成する。そういう政治にしないと財政問題は根本的に解決しない」という。財政は,税金や年金などで国民生活に直結する,まさしく政治の問題だからだ。

 日本の借金膨張は先進国のなかでも突出している。「民主主義の正統性が意識されていないから」と指摘するのは,立命館アジア太平洋大学長の出口治明(70歳)。「米国の独立戦争は,ロンドンの議会に代表がいないのに植民地戦争の経費を押しつけてきたことに反発して起きた。

 そこで『代表なくして課税なし』という有名な言葉が登場した。私たちは借金で孫世代の予算を勝手に使っている。本来は孫たちの代表が使途を決めるべきだという原理原則をいまの政治家は意識せず,メディアも書かない」。

 立正大教授の池尾和人(65歳)は,1970年代に現在の社会保障制度の基礎が築かれたときが転機だったと分析する。「高度成長がずっと続く前提で制度設計し,いまのような低成長下での財政悪化を招いた」。その後も悪化要因はあった。

 c) バブル崩壊で生じた巨額不良債権は,経済破綻を防ぐため政府が肩代わりするしか手がなかった。大蔵省(現財務省)は財政の膨張を止められず,金融危機も財政を傷めた。「原因は一つではない。全員が共犯だった」と池尾はいう。

 平成は,消費税が誕生し疎まれた時代でもある。平成1年(1989年),竹下政権が苦労の末に3%で導入した。官房副長官だった石原信雄(91歳)はふりかえる。

 「蔵相経験が長かった竹下 登首相は日本の財政の基礎固めのためと考えた。捨て石になる覚悟で政権延命より財政再建を選んだ」。竹下は執務室で「おれは大衆課税をやった悪い政治家の烙印を押されるだろうなあ」と自嘲気味に語っていたという。

 消費税が政治にとって決定的なタブーになったのは1997年だろうか。橋本政権が税率を5%に上げたこの年,金融危機が起きて経済は失速した。当時,主犯は消費増税とみなされた。

 元自民党税制調査会長の柳沢伯夫(82歳)は,2000年代前半に消費増税ができていたら,と悔やむ。「小泉純一郎首相が『増税なき財政再建』をかかげ,チャンスを失った。小泉政権には歳出削減の功績はあったが,すごい支持率を背景にした政治的資産を消費増税に使わない手はなかった」。

 d) 日本総研上席主任研究員の河村小百合(53歳)は,2012年末から5年半続いている安倍政権の罪を問う。「日本銀行に国債を買い支えさせ,事実上の財政ファイナンスを始めた。ルビコン川を渡ってしまった」。いまや政府の債務は1千兆円を超す。その重荷は若い世代が背負っていく。

 内閣府政務官の村井英樹(37歳)は「消費税による財政健全化こそ平成の目標だった。だが消費増税で税収が拡大したのは8%に上げた前回1回だけ。消費税一本足打法がむしろ財政悪化を招いた」とみる。

 村井や小泉進次郎ら30歳代の自民党議員らは昨〔2017〕年,子育て支援の社会保障財源として「こども保険」を提案した。村井は「ポスト平成は,より柔軟な発想が必要ではないか」と問う。元財務次官で大和総研理事長の武藤敏郎(74歳)は「財政再建の総合戦略が必要だ」と主張する。その中心は,消費増税と社会保障改革だという。(引用終わり)

 ④ 所得税・法人税・消費税の構成比率推移-金持ち・法人を優遇し,生活者・貧乏人を冷遇するアホノミクス-

 以下にいくつも連続させてかかげる図表は,「全国建設労働組合総連合(全建総連)」が2017年6月に作成し,公表した文書から借りるものである。日本国は資本主義経済体制を採っている。大企業やそして国家体制側に近い法人・組織・団体に有利になる税制を採用することは,ある意味でも別の意味でもどんな意味でも当然である。
 註記)http://www.zenkensoren.org/wp/wp-content/uploads/2014/09/nihon-zeikin.pdf

 当然でないのは,このような税制の実態をあらためさせようとする『批判勢力』,いうなれば,経済学者ジョン・ケネス・ガルブレスがいうところの「拮抗力(カウンターベイリング・パワー;countervailing power)政策」を担っているはずの経済・社会勢力が不在である点である。

 ガルブレスのこの拮抗力という概念は,大企業や独占企業に対しては,中小企業が結束してこれに対抗する力をつけ,大企業の収益構造に対抗するという政策が必要である点を教示している。ところが,今日の日本では,労働組合の総代表である連合に端的に観られるように,いまでは半人前にも達しない力量である状況(限界)に置かれている。

(以下,画面 クリックで 拡大・可)
キャプチャ
所得税・法人税・消費税構成比率推移
大企業法人税優遇
大企業の内部留保額と実質賃金指数の推移
消費税収と法人減税額の推移
付記)この図表が問題の焦点を一番手っとり早く,そして
分かりやすく表現している。消費税率が5%から8%
に上げられたのは,2014年4月のことであった。
法人税関係の軽減化をより確実に進展させるためにも,
消費税が代替的に補填されてきている。

応能負担原則に則った税制改革

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