芳ちゃんのブログ さんのサイトより
http://yocchan31.blogspot.com/2018/10/mi6.html
<転載開始>
注: 本文の部分では通常英文の原文に日本語を上書きする形で翻訳を進めています。今回はこの部分のフォントが前後の部分のフォントとは違ったものとなっています。何故こうなってしまうのかは私には分かりません。多分、原文の書式が何らかの影響を与えているのかも・・・。読みにくいと感じられるかも知れませんが、ご容赦ください。


英国のソルズベリーでスクリッパル父娘毒殺未遂事件が起こってから半年が経った。幸いなことには、二人は一命をとりとめた。しかしながら、二人は何処かに監禁されているようで、公の場に表れては来ない。英国政府によってその責任を名指しされたロシア政府は英国政府に証拠の提示を求め、事件の捜査に協力することを申し出ているが、英国政府は今もって証拠を示すこともなく、両国の緊張関係は和らぐ気配もない。

今までに公表されている情報から判断すると、素人目から見ても、英国政府によるでっち上げの可能性が高い。この事件については多くの皆さんがこの事件の経緯をご存知だと思う。

ここに、イスラエルの諜報専門家との対談の記事があって、専門家から見たこの事件の矛盾点が詳細に論じられている [1]。つい最近の記事である。非常に興味深い内容が最初から最後まで満載だ。

イスラエルの諜報能力は世界でも指折りだ。スクリッパル事件に関してこの専門家がどんな見解を持っているのか、詳細な議論を覗いてみよう。

本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有したいと思う。

 

<引用開始>

彼は非常に説得力がある。このイスラエルの専門家は英国側の筋書きを一刀両断にした。
「もしもGRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)が関与していたとするならば、暗殺者やこの作戦に関与した他の参加者らは、間違いなく、英国入国のためのビザが免除されている国のパスポートを使って英国へ入国したことであろう。ところが、GRUのオフィサーであると言われている二人はビザを取得するために大使館へやって来て、そこで指紋を残し、ホテルに滞在し、あらゆる下部組織の監視下を通行した。こんなことは女性向けの探偵小説であってさえも見かけることはない。」 
国際テロに関するイスラエルの専門家で、作家でもあるアレクサンダー・ブラスがソルズベリーで起こったスクリッパル毒殺未遂事件について自分の見解を喋ってくれた。ブラスは諜報部門におけるイスラエルとロシアとの関係を例にとって話した。つまり、彼は特殊サービスの工作員の仕事ぶりを英国が示した筋書きと比べてみると、筋書きの馬鹿らしさが明白になって来ると言うのだ。



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― アレクサンダー、ソルズベリーではいったい何が起こったんだろう?あなたの考えは?

― これは英国の諜報関係者による手荒な挑発だ。私の考えでは、それは実に明白だ。



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― どういう理由でそう考えるのですか? 

― 馬鹿らしさの上に別の馬鹿らしさを上塗りしている。ペトロフとボシロフに関する筋書きは専門家の審査ではあっさりと棄却されてしまうような代物だ。英国人によれば、スクリッパル父娘はGRUの工作員によって毒を盛られた。 

私は特殊サービスの仕事がどんな風に行われるのかをまず説明しておきたい。もしも誰かを消したいと思うならば、それは実に真剣な仕事だ。長い準備期間が必要となる。かなりの材料や機材、人員を動員することになる。どれ位の規模かと言うと、何十人にもなるのだ。まず、対象となる国に「最新式の命令拠点」が設置される。

実際の作戦では技術支援、兵站、隠蔽、外部監視といった専門グループと暗殺実行グループとが関与する。

暗殺の実行者らは一番最後の段階になってから登場する。彼らは何処かへ出かけ、監視カメラの前でタバコに火をつけるとか、公共の交通機関を使ったりすることはない。彼らはレンタカーを使って移動する。しかも、自分自身がレンタカーを借りるようなことはしない。さらには、彼らはホテルには泊まらず、兵站グループが手配した安全な家で寝起きする。

こういったグループの人員は自国のパスポートを使って移動するようなことはしない。ビザを取得するために大使館へ出かけ、指紋を取られるようなことはしない。英国の主張は完全にナンセンスだ。プロフェッショナルはそんな風には仕事をしない。

もしもGRUが関与していたとするならば、暗殺実行者も他の参加者らも英国との間でビザ・フリーの関係を有する他の国のパスポートを使って英国へやって来ただろう。ところが、GRUのオフィサーであると言われている例の二人は大使館へやって来て、ビザを取得するために大使館で指紋の採取に応じ、ホテルに泊まり、下部組織の監視下を通行した。こんなことは女性向けの探偵小説においてさえもお目にかかることはない。 

― 多分、それはソ連邦の崩壊以降に、特殊サービスも含めて、ロシア社会のあらゆる組織や官庁で起こった劣化や崩壊と関連して起こったプロフェッショナリズムの欠如ではないだろうか?そういった意見が出ている。

― それは台所で交わされるレベルの意見だ。ワールドカップやオリンピックをあのような高いレベルで運営したことを考えれば、単なる「ガラスのコップ」をそのような高いレベルにまで引き上げるためにはロシア連邦の軍部や軍産複合体はいったい何処でどう運営しているのだろうか?GRUは常にもっともプロフェッショナルな組織であったし、世界でももっとも真剣な諜報機関のひとつでもあった。そして、現在もその通りだ。 

もしもGRUがスクリッパルを排除すると決心したとするならば、私にはひとつの疑問がある。いったいなぜ「ノビチョク」を使用したのか?これは処方薬ではない。これは大量殺戮に使用される化学兵器だ。たった一人の犯罪者を殺害するために原爆を投下するようなものだ。特殊サービスが誰かを消す場合、彼らは司法解剖を行っても毒物が決して検出されることがないようにする。

― たとえば? 

― たくさんの例を挙げることが可能だ。1978年にパレスチナ解放人民戦線の創立者の一人であって、テロリストとして国際的にもよく知られていたヴァディア・ハダッドが殺害された。「モサド」は これについては犯行責任を公表しなかったが、隠すことができない袋に縫い込んだ [訳注:この文章の後半は直訳のままに残しておきます。感触としては「犯行責任は隠しおおせるものではなかった」といった意味だと推測されます]。生物起源の強力な毒物をチョコレートに混ぜ込んだ。3ヵ月以内に彼は痛みを伴う、訳の分からない病気のせいで東独の病院で亡くなった。東ベルリン大学で司法解剖が実施されたが、毒物は何も検出されなかった。医師団は彼は白血病で亡くなったと推測した。

― 彼はモサドによって消されたとどうしてご存知なんですか?

― 本件に関する情報が数年前にリークし始めた。アルジェリアからだった。別件の裁判で元モサド職員の一人が本件がどのようにして起こったのかを証言し、証拠を示して、実行者の具体的な名前まで挙げた。また、この男は自分自身が本件に参加していたことも認めた。この情報は他の、まったく重複しない情報源によっても確認されたのだ。

― モサドの暗殺が不成功に終わり、イスラエルの敵が今でも生きているような事例は何かありますか? 

― 不成功に終わった最後の事例を挙げるとすれば、それはハレド・マシャールの殺害だった。彼はハマスのテロリスト組織の指導者だった。もしも最後の段階になって解毒剤が与えられていなかったとしたら、彼は間違いなく死んでいただろう。

すべては、1997年9月25日、アンマンの路上で起こった。通行人の一人がマシャールの直ぐ側を通り、「間違って」彼にぶつかり、コーラの缶の液体が彼の首にかかった。翌日にはマシャールは心臓発作を起こして死亡し、毒物の痕跡は何も見つからなかったであろう。しかし、暗殺実行者はその場で取り押さえられた。その後、ヨルダンのフセイン国王がイスラエルに解毒剤を提供するよう要請し、ヨルダン側はその代わりにイスラエルの工作員を釈放すると約束した。

― 痕跡を残さない物質は専門家によってさえも検出されることはないし、病死を装うことが可能となりますが、特殊サービスはこのことを前々から知っていたんですか? 

― その通りだ。GRUは「ノビチョク」ではなくて、他の何らかの毒物をどうして使えなかったのだろうか?この種の技術は1950年代には特殊サービス部門では知られていたのに、GRUは今日に至ってもこういった毒物を所有してはいないというのだろうか? 

監視カメラのことを議論しよう。英国では監視カメラは一種のブームになっている。人口当たりの設置数では英国に勝る国はない。

間違いはないと思うが、英国では15人当たり1台のカメラが設置されている。文字通り、1メートルの空白も残さずに監視が行われている。英国の対諜報活動機関であるMI5は世界でも最高の組織であると見なされている。もしも英国の対諜報組織がスクリッパルの面倒を見ていたとすれば、彼は十分に防護されていた筈だ。少なくとも、彼の家には監視カメラがたくさんぶら下がっていた筈だ。 そうすることだけが可能だからだ。

MI5によれば、これらの工作員はソルズベリーを訪れ、スクリッパルの家にやって来て、ドアのハンドルにこの物質を塗ったとしているが、もしそうだとすれば、 監視カメラの記録を見せて欲しい!ちょうどその時カメラのスイッチが切れていたなんていったいあり得るのか? 

― でも、工作員たちがカメラを発見して、スイッチを切ったのでは? 

― GRUはひどく劣化しており、工作員らはいたる所でタバコの火をつけたり、痕跡を残して行ったと言うならば、これらの劣化した諜報工作員はスクリッパルの家では、ちょうどその時に限って、うまいことに監視カメラのスイッチを切ったとでも? 論理性はいったい何処にあるのか? 

― われわれの工作員がカタールでチェチンのテロリストであるゼリムハン・ヤンダルビエフを殺害した時、工作員たちは地方の警察に捕まってしまった。確かに、彼らは任務をやり遂げてはいたのだが・・・。 

「イスラエルの工作員はいったい何人が逮捕されたのだろうか?」 これは劣化を意味するものではない。ソ連邦が崩壊した後にGRUでは何が起こったのかは私は知る術もないが、対外諜報部門については何が起こったのかを知っている。私の友人の一人はその部門での高官であったが、何年も働いて来て、すでに定年の身分であった。彼とは何年にもわたって友達付き合いをして来て、親しい間柄だった。不幸なことには、彼は2-3年前に亡くなった。

特殊サービス部門の劣化は単に見かけだけだと彼は私に言った。彼はすでに何年もの勤務をしており、退職することにした。彼は自国で進行している混乱振りには納得できなかったからだ。しかし、特殊サービスには何の混乱もなかった! 退職したい者は退職した。情報の漏洩は起こったのであろうか? 彼らは工作員のネットワークを発見したのだろうか?ソ連の特殊サービスの工作員は世界中で仕事をしていた。何かに苦しんでいる者はいたのだろうか?誰もいなかった。混乱はいたる所で見受けられたが、特殊サービスでは混乱はまったくなかった。

― 事実を認めよう。本件はすべてが実に不可思議だ。たとえば、まず、スクリッパルを釈放する。それから、彼を殺害する。彼を刑務所に入れたままにしておけば、すべてが簡単に済んだのではないか?

― 次に、セルゲイ・スクリッパル自身の人柄についてだ。英国人が説明しようとした中心的な説は復讐であるが、特殊サービスでは復讐をするなんてあり得ない。イスラエルであっても、ロシアであっても、それは同じことだ。キューバにおいてだけは様子が異なるが・・・。特殊サービスは実に現実的な組織であることをわれわれは理解しておかなければならない。何の理由で復讐などするのか?誰かが実際に害を引き起こす場合に限ってだけ、その人物は排除される。スクリッパルはすでに害を引き起こしていたが、それ以上の害を引き起こすことはあり得なかった。

― たとえば、他の潜在的な反逆者に対する見せしめとして?

― いや、そうではない。私は前にあなたの国の特殊サービスで働いていた知り合いに質問をしたことがある(私の知り合いは現役ではなくて、退職者ばっかりだが・・・)。「カルーギンはなぜ消されなかったのかね?」と質問した。彼らは私の質問に答える代わりに、こちらへ質問を返してよこした。「あなた方はどうして国外への逃亡者を消さなかったのかね?」と。私はこう言った。「彼らはすでに害を引き起こした。彼らを排除しようとすると、実に真剣な作戦を実行しなければならない。人員を派遣しなければならない。派遣された人員は自分たちの生命をリスクに曝すことになる。いったい何のために消すのかね?復讐のためかね?」 彼らはこう言う。 「まったく同じ理由だ。われわれはカルーギンには手を出さないし、誰にも触ることはない。」 イスラエル人が元テロリストによって壊滅されることなんてあり得ない。テロリストがテロ行為を止めた暁には、彼が何を仕出かしたのかとは関係なく、彼をそっとしておくのだ。最後まで責任を問われるのはナチの犯罪者だけだ。

― 彼は対諜報活動の学校で教鞭を取り、若い職員にGRUとの対処の仕方を教えていたことから、消されることになったという見方があるが・・・。

― MI5では、スクリッパルを除いては、対処の仕方については誰にも分からないとでも言うのかい?連中はスクリッパルよりもよく知っていると私は思うよ。

― そのような場合、非常に簡単なやり方がある。スクリッパルが反逆罪で捕らえられた時、多分、彼は十分な説明を受けたことであろう。北極圏内の刑務所の独房で死ぬまで刑期を過ごすのか、それともヨーロッパロシアの何処かで規則正しく12年間を服役するのかのどちらかだと。しかし、後者の場合、どんな情報を洩らしたのかを詳しく説明し、証拠を示さなければならない。調査に協力することになる。

イスラエル国防省の諜報部門の元大佐が、彼の名前は省略するが、ビジネスを開始し、借金に陥った時も同様だった。

彼はレバノンへ出かけ、ヘロインを買って、麻薬の取引をした。挙句の果てに、ヒズボラーに捕まった。彼は自分が知っていることをすべて喋った。これはイスラエル国防省にとっては大きな痛手であった。彼はこの地で勤務するオフィサーであったので、彼はレバノンのためになった。

イスラエル側は彼を交代させ、彼を帰国させた。「取引をしようじゃないか」と彼は持ちかけられた。訴追はしないよ。しかし、自分が喋ったことを詳細に、かつ、完全に報告しなければならない。われわれはあんたが知っていることをすべて知る必要があるんだ。スクリッパル事件もまったく同じだ。端的に言って、彼を消す必要なんて何もなかった。

― つまり、ロシアの特殊サービスには何の動機もなかったということ?

― 動機は無かった。考えてみようじゃないか。彼らは「ノビチョク」を使った。香水の瓶の下に挿入して彼らはそれを持ち運んだ。しかし、特殊サービスのやり方としてはこんなことはあり得ない。暗殺実行者は他人のパスポートを使って、白昼に辺りをぶらつく。彼らは現場で武器を受け取る。こういった暗殺集団が仕事をする時、彼らは自分たちですべてをこなし、周囲の住民には何の迷惑もかけない。失敗した場合でも住民には害を与えない。監視が行われており、捕獲チームが動いている時であっても、彼らはお互いに相手のことを個人的にはまったく知らない。彼らは特定の連絡チャンネルを通してのみ連絡をとる。

― 問題はあの毒物がどうして直ぐには効かなかったのかという点だ。スクリッパルは何時間も歩き回っていた。

― それはまったく別の問題だ。英国人はロシアをすごく蔑視しており、挑発行為を適度な水準で実行することさえも出来ない有様だ。だから、ロシア側はこのことについてはコメントを控えている。そもそもナンセンスについてコメントをする必要なんてあるだろうか?

英国人は「容疑者」を割り出すのに半年もかかった。ビザを取得するために彼らは個人情報や指紋を大使館に残して来たにもかかわらず・・・。これはもうひとつ別のナンセンスだ。そこで、ロシア側はこう言った。「お願いだ!彼らはここにいる。ここに彼らと行ったインタビューがある・・・」と。もしも彼らがGRUのオフィサーであるならば、彼らは何のためであったとしても自分たちの指紋を大使館に残すようなことはしないよ。

― 「彼らは何者だろうか?」 

― 私には分からないが、特殊サービスの隊員ではないことだけは確かだ。もしもGRUにとってスクリッパルを消す必要があったとするならば、彼はとうに死んでいる。こういうことは密やかに、スキャンダルを起こさずに実行した筈だ。

― 「英国はどうしてこのようなスキャンダルを必要としたのだろう?」 

― これはロシアを悪魔視し、国際的に孤立させるためにあれこれと考え抜いた上での戦略だ。英国においては、 西側の他の国々のように、すべては非常に簡単に運ぶ。市民のほとんどは新聞をまったく読まない。そして、新聞を読む人たちはその半分も理解することができない。しかしながら、誰もが見出しだけを目にする。スクリッパル父娘暗殺未遂事件はシリアでの化学兵器使用の調査委員会からロシアを締め出すために必要だったのだ。


原典: 
News Front


<引用終了>


これで全文の仮訳を終了した。

話が飛んでいるような部分があって、「オヤッ」と感じることもあったが、対談ではあり得ることだと思う。

スパイ活動の専門家によるスクリッパル事件の考察に始めてお目にかかったが、この内容には結構驚かされた。また、諜報活動の現状を学ぶには格好の内容であることも分かった。貴重な情報だと思う。

『もしもGRUがスクリッパルを排除すると決心したとするならば、私にはひとつの疑問がある。いったいなぜ「ノビチョク」を使用したのか?これは処方薬ではない。これは大量殺戮に使用される化学兵器だ。たった一人の犯罪者を殺害するために原爆を投下するようなものだ』という解説は素晴らしい。的を得ていると思う。

また、「スクリッパル父娘暗殺未遂事件はシリアでの化学兵器使用の調査委員会からロシアを締め出すために必要だったのだ」という見解は新冷戦という大きな構図の中でこの事件を見事に位置付けしている。まさに専門家らしい見解だ。
 
この対談には心からの拍手をお送りしたい。

 

参照:
 
1The Skripals Are an MI6 Hoax – ‘Not Worthy of Ladies’ Detective Novels’ - Israeli Expert Demolishes UK Case: By RUSSIA INSIDER, Oct/05/2018

<転載終了>