In Deepさんのサイトより
https://indeep.jp/maybe-civil-war-is-beginning-in-america/
<転載開始>
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・5月30日 米ミネアポリス アメリカ国旗を持ち炎を中を歩く男性。 abc

左派アナーキスト、右派ミリシア、米政府当局の三つ巴の混乱

多くの地域でロックダウンかそれに準じた制限政策がとられているアメリカで 5月29日、「抗議デモという名を借りた内戦」が始まりました

最初に始まったのは、ミネソタ州のミネアポリスという街においてでしたが、ワシントンポストの報道によれば、日本時間の 5月31日午前までに、大都市だけでも、少なくとも全米 30都市以上に暴力が拡大しています。


Washington Post

この暴動は、日本などでは、

「黒人男性のジョージ・フロイドさんが警察に身柄を拘束された際に死亡した」

というように「抗議デモ」と報じられることが多いですが、翌日には「そうではない」ことが鮮明となってきています

ジョージ・フロイドさんが亡くなった件は「単なるキッカケ」だったと思われます。キッカケを待ち続けていた反体制集団の人たちが、これを機に一気に行動を起こしたと考えるのが妥当なようです。

これを示すものとして、5月30日には、ジョージ・フロイドさん事件のあったミネソタ州の知事が、

「混乱はジョージ・フロイドさん事件とはまったく関係がない」

と会見で述べたことが CNN によって伝えられています。以下のような報道です。

ミネアポリスでの抗議暴動は「もはや、いかなる意味でも、ジョージ・フロイド氏に対する殺害とは関係のないものだ」とミネソタ州知事は言う

ミネソタ州知事ティム・ウォルツ氏は、5月30日のブリーフィングにおいて、「ミネアポリスの状況は、もはやジョージ・フロイド氏の殺害と関係したものでは決してない」と述べた。

知事は「これはアメリカの市民社会を攻撃し、恐れを植え付け、私たちの都市を混乱させるためのものだ」と語った。

知事は 5月29日からミネアポリスで始まった暴力的な抗議デモは、「この暴力は、ジョージ・フロイド氏への死と差別、また私たちアメリカの人種の共同体に対する歴史的トラウマについての問題であるかのように見せかけるための欺きの行為だ」と語った。

そして、「暴動を起こしているのは地元の住民たちではなく、部外者であり、市民社会を不安定にするように設計された組織的な攻撃だ」と付け加えた。 (2020/05/30 CNN

先ほど「キッカケを待ち続けていた反体制集団の人たち」と書いたのですが、これは、先月書かせていただきました以下の記事と関係しています。

パンデミック後の「アメリカの内戦 / 第二次南北戦争」の問題は、起きるか起きないかではなく、「いつ発生するか」が焦点に。すでに民兵組織125団体の7万3000人が即時戦闘状態下に
In Deep 2020/04/26

ただ、この記事で取りあげましたのは「ミリシア」と呼ばれるアメリカの民兵組織のことで、どちらかというと、ミリシアは「愛国主義的な右派の白人層」に支えられています。

もちろん、このミリシア側の人たちも、「機会」を伺い続けていたと思われますが、しかし、どうも今回のアメリカの内戦の勃発を最初に引き起こしたのは、この右派ではない可能性が高くなっているようです。

実際のところは、首謀者の存在はわかりにくいのですけれど、 5月30日の米ゼロヘッジは、 USAトゥディがテロ対策担当官を取材した記事を引用して、以下のように記しています。

ミネアポリスの民主党当局者が、アメリカ全国で見られる暴力的な行動の原因が、「白人至上主義者(極右グループ)」または「外国人活動家」によるものだと主張している一方で、USAトゥディは、群集管理を専門とするセキュリティコンサルタントであり、元イギリス軍のテロ対策担当官のアダム・レガット氏は以下のように示したと報じた。

「諜報機関からの報告として、ミネアポリスの過激な抗議デモ参加者のほとんどが極左過激派か、あるいはアナーキストたちだ」

極右グループはまだ暴動の場面には表だって現れてはいないという。(2020/05/30 Zero Hedge

つまり、

・ミネアポリスの地方当局は、暴動は極右活動家(ミリシアなど)などが起こした

と主張しているのに対して、テロの専門家は、

・極左活動家の過激派かアナーキスト(無政府主義者)が起こした

と述べていまして、真っ向から異なる見解となっているのです。

当然ながら、極右活動家と極左活動家が連携して行動をすることは一般的にはあり得ないですので、どちらかということなのかもしれないですが、真実は今のところわかりません。

最初に行動を起こしたのが、どちらの側にしても、すでに一部の人々はアメリカの各地で「自動小銃や重火器で完全に武装している」という姿もあり、すでに、いわゆる抗議デモだけではない側面がわかります。

襲われた警察車両に登る武装した民間人

Idaho State Journal

この暴動に対しての監視と制御には、すでに警察だけではなく、アメリカ軍(国家警備隊)が派兵されていまして、米メディア「ザ・ネイション」が入手した国防総省の文書によれば、ニューヨーク州、オハイオ州、コロラド州、アリゾナ州、テネシー州、ケンタッキー州、そして事件が最初に起きたミネソタ州の全米7州で暴動を監視しているようです。

5月30日 ミネアポリスで暴動を鎮圧する米軍兵士

politicopathy.com

なお、重要なことは、今回のようなことも含めて、「アメリカで起きることは、その多くが根本的には計画されている出来事」である可能性が高いことが歴史では示されているということです。

それは、以下の記事などでふれたことがあります。

アメリカの現在のカオスは自然でも偶然でもなく、「作戦計画」として仕掛けられ続けている。そのアメリカの行く末は国家の完全な分裂かそれとも…
In Deep 2018/06/30

この記事では、アメリカで「心理戦」の研究をする機関の上級研究員へのインタビューが掲載された記事をご紹介していますが、その方は、

「新たな戦争空間は《人の心》となっています」

と述べています。

人の心。

それは現在のアメリカの状況を振り返れば、わかりやすいのではないでしょうか。

・長期に続くロックダウン

・短期間で少なくとも4000万人が失業して絶望の中にある

・どこにも行けずに楽しむことができない毎日

こんな生活が続いて、現状に満足する人がたくさんいたら、それはおかしいわけで、アメリカ建国以来、最も人々の不満が高まっている状態だと思われます。

アメリカの失業者 4000万人というのは公式の数字であり、失業保険の申請をしていない人が数多くいること、そして今後も失業者が増え続ける可能性が高いことを考えますと、以下の記事にありますように、アメリカの失業者は、5000万人を超えるはずです。

この6週間でアメリカで失業した人の実数が「 5000万人」に達していることが判明。世界で推定10億人の失業者を瞬間的に作り出したロックダウンという死の政策
In Deep 2020/05/01

すでに大恐慌など目ではない惨状 : ロックダウン後のアメリカは「人口の50%以上が失業とレイオフにより働くことができていない」という米国史上初めての事態に
In Deep 2020/05/09


TMIN

それに、以下の記事などにありますように、現在、多くのアメリカ人たちの精神状態はボロボロです。

「過去4週間で1年間分の自殺企図と遭遇しました」:アメリカで爆発する自死の波。そして、ロックダウン緩和後もさらに増加し続ける失業率
In Deep 2020/05/23

このような状態の中で、「何らかの混乱、あるいは《無秩序》が発生する」ことは、予測でき過ぎるくらいに予測できたことだと思うのですが・・・。

 

・・・あ・・・そのためのロックダウンだったのかな・・・・・。

 

いくら何でも、本来は多少は賢明であるはずの政治当局者たちのおこなうことが、ロックダウン政策に関しては、あまりにも奇妙だったことについて、不思議に感じていたことはありました。

参考までに、先ほどリンクしました過去記事から、米「クリティカル・インフラ・テクノロジーおよびサイバー・インフルエンス作戦研究センター」の上級研究員であるジェームス・スコット氏などの話から部分的に抜粋します。

記事は以下のように始まります。

数々のカオス作戦が、アメリカのイデオロギー破壊のために行使されてきた

2016年のアメリカの選挙でロシアが行っていたいくつかの事象が明らかになった。その活動の目標と性質は、アメリカでのより深い形のイデオロギー的な転覆のいくつかと結びついていると考えられるのだ。

ロシア政府は、アメリカ社会を通じて、その中で国民同士の仲違いを助長し、人種差別と国民同士の紛争の認識をさらに拡大するという深い意図を持ちながら、「極左」と「極右」の両方のアメリカのグループを増長させていた。

しかし、ロシアはこの分野で活動していたひとつに過ぎない。

そのいくつかの勢力、たとえば、特定の利害関係団体や、政治活動家たち、さらには主要な報道発信メディアを含む団体や勢力もまた、アメリカ社会に一定した混乱と不安定さを描くための誤った認識を与えるために邁進してきた。

社会を混乱させることでの目標は、アメリカの社会を破壊し、その調和を破り、人々がお互いに反目し、追いやり合うことだ。

その混乱の状態から、新しいポリシーが作られ、権力の方向を変えることが可能となり、そこに極端な政策理念を持つさまざまな勢力が、これらを使用して野心を高めることができるようになるのだ。それが目的だ。 In Deep

というように、

> 社会を混乱させることの目標は、アメリカ社会を破壊し、調和を破り、人々がお互いに反目し

という施策は、アメリカの国外からも、国内からもどちらからもおこなわれ続けてききたことが明らかになってきているということを述べていました。

そして、スコット氏は以下のように述べます。

「アメリカ国内にいる者たちの中で、社会にカオス(混乱)を巻き起こすことに関心を持っている団体の中の悪意のある者たちが行動を起こすというアメリカ内部の脅威が存在します。これは、特別利益団体などの形で存在します」

「従来の対立の他に、意図的に作られたインフレと債務があり、外国の政府によるアメリカの体制の転覆があります。エドワード・バーネイズ(大衆扇動と広報活動の基礎を築いた人物)のプロパガンダ戦術は今も数多く編み出され続けているのです」

なかなか難しいところですが、今回のミネアポリスから始まった暴動が軍隊などにより鎮圧されたとしても、問題の根幹ともいえる、

・失業の問題

・経済のあまりにも大幅な落ち込み

・精神衛生の問題

・勢力を拡大させているアメリカの「右派」過激派の存在

・勢力を拡大させているアメリカの「左派」過激派の存在

などが解決されない限り、今後も何度も同じようなことは起きるはずですが、経済などに起因するこれらが容易に解決できる問題ではないことも明らかです。

ところで、タイトルに「アメリカで民間に流通している銃の数は最大 3億2000万丁」と書きましたけれど、これは、アメリカのメディア「クォーツ」などによる、控え目に見た推計で、正確なところは誰にもわかっていません。

いずれにしましても、そのように武器だらけの社会の中で「歴史的な混乱」が続きそうになっているわけです。

「大混乱が起きる要素はすべて揃った」中で今回の暴動が発生していますので、問題が解決されない限りは、将来的に同じような状況が続く可能性が高そうです。

このような社会的混乱は、前回の以下の記事で書きました「アメリカの中小企業の再開」へのさらなる障壁となっていくかもしれません。

アメリカの中小企業の半数が「永久に会社を閉める」と回答する中に見える、農林中金など日本の金融機関が過大に投資している金融商品「CLO」が危機に至る可能性。その影響はリーマンショックの十数倍以上か
In Deep 2020/05/30

アメリカの未来予測プロジェクトのウェブボットが 11年前に描いていた「 2009年の未来」の光景が、あまりにも最近の光景と似ていることについて書かせていただくことがありました。

また、アメリカに関しては、その頃のウェブボットがよく使っていた「地獄の夏」という言葉も記事で取り上げたことがあります。

《地獄の夏》という名のパラダイムシフトが2017年にやって来るのなら… : アメリカの年金地獄やヘロイン / オピオイド地獄に見る「門」のようなもの
In Deep 20187/03/17

そのウェブボットが「 2009年夏からアメリカで起きる光景」として描いていたのは、たとえば以下のようなものでした。この年代を、

「 2020年」

としてお読みいただればと思います。

ウェブボットがかつて描いた夏からのアメリカ

・アメリカ国民にとっての2009年地獄の夏は、世界の民衆にとっては失望の夏となる。そして、秋の怒りの爆発によって精神的に深い変容が開始される。

・春や夏に経験する失業と経済の停滞は、秋に始まる苦難とは比べものにならない。

・また、秋口から11月初旬にかけて、市場においてアメリカ国民がパニック状態になることをデータは示している。

・11月からの1年間の期間を支配するキーワードは「不況」「ストレス」「闘争」である。

・ 「不況」というキーワードは、「経済的な不況」と「心理的なうつ状態」の 2つの意味を持つ。心理的なうつ状態は、それから起こる革命の心理的な背景になっていく。

日本も、アメリカほど激しくはなくとも、失業の洪水と経済のかつてない落ち込みに見舞われるのは明らかでして、それが本格化するのは夏あるいは秋以降からと思われ、そして来年から再来年と、さらに激しくなっていくと見られます。

現在、世界の主要国のほぼすべてがそのような状態となっているわけで、地球すべての地域のさまざまな都市が次のミネアポリスになっても不思議ではないです。

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