頸部椎間板ヘルニアは胸、腰部椎間板ヘルニアに比べて悪い経過をとるケースが多くみられます。特に慢性化したもの、再発したケース、重症度のひどいものは起立不能や半身麻痺になることもありますl

私は昨年6月に日中英版 犬猫の経穴(ツボ)アトラスと今年1月に国際中獣医学院日本校主編 小動物臨床経絡経穴自習帳【共に漢香舎】より出版しました。本書の中には14経絡上にあるツボを解説していますが、頸部を走行する膀胱経には、ツボが多くは記されてはいません。

中獣医の古典には、馬とラクダの頸部膀胱経上には九委というツボが記載されています。ちょうど、第1頸椎の膀胱経上から肩甲骨前角を結ぶ線上を8頭分した9箇所を指します。上から上上委、上中委、上下委、中上委、中中委、中下委、上下委、下中委、下下委といいます。
古籍には膀胱経に属すると記載されていますが、実際には人や犬猫の膀胱経からは若干ずれるようです。
もちろん、犬猫には該当するツボはありません。
私は以前より頸部椎間板ヘルニアの治療には、この馬やラクダに用いられている九委のツボを用いています。

私が使っている犬猫の九委に相当するツボの位置は、天柱(BL10)から附分(BL41)を結んだ線上を8頭分して、その9穴を犬猫の九委として使用しています。しかし、実際は馬やラクダの九委穴とは少し異なることから、これを犬猫の新*九委穴と命名しました。

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一般には犬猫の頸部椎間板ヘルニアや頸部痛の際は、患部付近には該当するツボがないので、患部付近の阿是穴を使用してきましたが、この新*九委穴と、患部付近の阿是穴を併用することにより、従来の阿是穴を中心とした治療に比べて、効果が高く、又再発率も軽減しました。

私が校長を務める国際中中獣医学院日本校の進修課程でもこの新*九委穴を使用した新*九委穴療法を紹介しています。
今後、犬猫の頸部椎間板ヘルニアや頸部痛に新*九委穴療法が普及し、又、日本から世界に発信していくことができればと希望しています。