東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第26回公判が18日、東京地裁(永渕健一裁判長)であり、事故の被害状況が初めて審理された。避難先などで多くの患者が死亡した双葉病院(福島県大熊町)の看護師だった女性が証人として出廷し、「患者が亡くなったのは、原発事故が原因だった」との見解を示した。
 起訴状などによると、旧経営陣3人は大地震が発生すれば原発に巨大津波が襲来して事故が起きると予想できたのに対策を怠り、2011年3月の事故を招き、原発から約4.5キロ離れた同病院の入院患者ら44人を死亡させたとされる。
 この日午前の公判で検察官役の指定弁護士は、同病院の医師や職員、震災直後に救助に当たった自衛官や警察官が検察の聞き取りに供述した調書を朗読。関係機関の連携不足や長時間移動、避難先の医療環境などが原因で患者が亡くなったと主張した。
 午後の公判では、同病院の看護副部長だった女性が、患者の避難状況を証言。
「(原発事故が起きず、患者が避難先から)双葉病院に戻ることができれば、医療器具や薬が使えたので、もう少し(命を)保てた」と述べた。
 看護副部長はまた、避難先に到着するまでの長時間の移動中に、バスの中で既に亡くなっていた患者に気づいたことを明かし、「顔がそうはくで、衝撃だった」と説明。「白い防護服にくるまれたり、席の下に倒れたりしている患者もいた」と当時の過酷な状況を振り返った。
 公判は今年1月の第2回期日以降、証人尋問が続き、旧経営陣の津波対策に対する認識などを巡って審理が続けられてきた。【飯田憲、岡田英】