2011年12月

「異端者」「先覚者」「反原発派の一論客」 小出裕章

風知草:辰年に待つ波乱=山田孝男
http://mainichi.jp/select/seiji/fuchisou/news/20111226ddm002070082000c.html

 福島原発震災に翻弄(ほんろう)され続けた今年、専門家に話を聞いてまわった中でも印象深いひとりが京大原子炉実験所の小出裕章助教(62)である。

 世評は刻々変わった。「異端者」から「先覚者」を経て「反原発派の一論客」へ--。小出の評判の変遷は、原発推進と脱原発の間でフラつく日本の現実を映し出している。

 年の瀬に小出を思い出したのにはワケがある。先週、旧知の政府関係者が、新エネルギー政策の決定過程に「小出さんみたいな人を巻き込めないか」と漏らしたのである。小出に確かめると、こう答えた。

 「私は政治には絶望していましてね。今のような政治ではどんな委員会をつくったところで何も変わらない。私は受けません。1対1の公開討論ならどこへでも行きますが」

 実際、政府の委員会、調査会に集う有識者は3・11以前からかかわってきた原発推進派が多い。新たに脱原発派も招かれて話題になったとはいえ、多勢に無勢。まして事務局は経済産業省、文部科学省の官僚と電力会社からの出向者が握る。政府関係者が「小出さんも入ってくれれば」と気をもむほど人選は偏っているのである。

 いま政府は、東京電力の経営刷新と、電力システム全体の改革という両面からエネルギー政策の見直しを進めている。東電は、電力安定供給を理由として国が株式の3分の2以上を保有する国有化の方向性が見えてきた。最終結論は来年3月期決算までに明らかになる。

 一方、電力システム改革の最大の論点は原発である。政府は来春、エネルギー政策の具体的な選択肢を国民に示し、夏には結論を出すという。

 だが、無理だろう。選択肢は示せても、結論はまとめきれまい。普天間をこじらせ、八ッ場ダムにてこずる民主党の手に負える問題ではない。

 最大のハードルは国民の納得だ。政府・与党内には国民投票実施論もあるという。だが、来春から来夏といえば、首相が最もこだわってきた消費増税法案処理のヤマ場。二正面作戦は成り立つだろうか。

 議論が盛り上がらず未消化のまま「原子力ムラ」主導で進めば、どうなるか。霞が関でこんな見立てを聞いた。

 「電力供給の原子力依存率は30%(3・11前の水準)でいい。それでも従来の目標(50%)より低いから『減原発』だ。もんじゅはやめてもいいが、再処理工場は守る。使用済み核燃料からプルトニウムを抽出し、MOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)に加工して英仏並みに輸出していく……」

 この未来図は絵空事だ。全国の原発は次々定期検査に入っており、再稼働のメドは立っていない。政府の事故「収束」宣言を誰も信じていない。この不信は、政府や経済界の一方的な説得によって解消されるというようなものではない。

 都会の電力浪費のために田舎がリスクを負う不公平に対する、断固たる拒否感が津々浦々から噴き出している。原発立地自治体の中には交付金を返上するところも出始めた。

 民意の鳴動を侮り、「原子力ムラ」にゲタを預けて進むのが野田政治だとすれば、小出ならずとも絶望せざるを得まい。政策を決める識者の人選を改めるべきだが、聞き入れられそうにない。辰(たつ)年の火ダネは消費税だけではない。(敬称略)(毎週月曜日掲載)


毎日新聞 2011年12月26日 東京朝刊

広瀬隆 『収束宣言』の大嘘

『収束宣言』なんてありえません。

メルトダウン → メルとスルー 
今、底にたまった燃料は、どこでどうなっているんでしょう?


広瀬隆 「福島原発事故『収束宣言』大嘘の皮を剥ぐ」
http://www.wa-dan.com/hirose/

週刊朝日「談」 インターネット番組 12月23日(金)21:00~22:00放映

福島第一原発 「事故収束」 首相が宣言

福島第一原発 「事故収束」 首相が宣言
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011121790070938.html
東京新聞2011年12月17日 07時09分

 野田佳彦首相は十六日、政府の原子力災害対策本部の会合で、東京電力福島第一原発で原子炉を安定して冷却する「冷温停止状態」を達成し、事故収束に向けた工程表「ステップ2」が完了できたとして「事故そのものは収束に至った」と宣言した。

 三月十一日の事故発生から九カ月余り。記者会見した細野豪志原発事故担当相は、今後は住民の帰還に向けた対策に政府を挙げて取り組む方針を示した。

 しかし、今月四日には敷地内の放射能汚染水の海への流出が確認され、溶けた核燃料の状態も分からない。そんな中で早々と「事故収束」を宣言したことには、住民や専門家から批判が出ている。

 事故対応に当たってきた国と東京電力の統合対策室は十六日に解散し、新たに「政府・東京電力中長期対策会議」を設置した。近くとりまとめる中長期の工程表をもとに、三十年以上かかるとされる同原発1~4号機の廃炉に向けた作業に取り組む。周辺住民の帰還に向け、避難区域の見直しに向けた考えも示す方針。

 対策室は四月に工程表を発表。三カ月程度を目標にした「ステップ1」で、原子炉から漏れ出した汚染水を浄化して再び炉内の冷却に使う循環式冷却を実現した。続くステップ2では、原子炉内の温度を一〇〇度以下に保つとともに、放射性物質の外部への放出を抑える「冷温停止状態」の実現を目指した。

 その結果、炉心溶融を起こした1~3号機の原子炉内の温度が三〇~七〇度程度に落ち着き、安定的に冷却できる状態になった。放出が続く放射性物質による被ばく線量は、敷地の境界で年〇・一ミリシーベルトと一般人の限度の十分の一にとどまっているとされる。

 さらに、東電や経済産業省原子力安全・保安院は、東日本大震災と同規模の地震や津波に襲われても安全性が保たれると確認。国として安全が確保できたと判断したという。

 記者会見で、細野担当相は「事故収束は極めて難しいと考えていた。日本が瀬戸際でとどまった大きな日と思う」と述べた。東電の西沢俊夫社長は「福島県、社会に迷惑を掛け、深くおわびする。今後は中長期の対策にしっかり取り組む」とあらためて謝罪した。

(東京新聞)


ご都合解釈の冷温停止状態

ご都合解釈の冷温停止状態
(東京新聞2011_12_161)
111216-東京np

政府きょう宣言 漏出リスク残し

 政府が16日、福島第一原発の「冷温停止状態」を宣言する。原子炉の安定的な冷却と放射性物質の放出抑制という二つの条件を満たした、と判断したからだという。だが、急ぐ政府をたしなめるように、汚染水による海洋汚染が今月も起きた。まぎれもなく放射性物質の放出だ。だが、政府は「水は冷温停止状態の定義と無関係」と説明を急に変え、宣言に突き進もうとしている。(志村彰太)

 12日の政府・東京電力統合対策室の共同会見では、政府側がこれまでの説明を一転させ、記者団があっけにとられる場面がいくつもあった。

 4日の汚染水漏出に加え、処理水タンクが満杯に近づき、東電は海洋放出を検討せざるを得ない状況に追い込まれた。いずれの水にも放射性ストロンチウムが含まれる。

 当然、「冷温停止状態」の重要な柱の1つがぐらついた、との疑念がわく。だが、問われた経済産業省原子力安全・保安院の担当者は「格納容器からの期待の放出を見ている。水が今後の検討」と、汚染水でどれだけ海が汚れても「冷温停止状態」の判断には影響しない、との考えを繰り返し強調した。

 16日の宣言に向けて、ご都合主義の答弁で取り繕っても、福島第一の現場では放射性物質が外部に出るリスク(危険性)がつきまとう。

 処理した水を原子炉の冷却に使うためのホースに、雑草のチガヤの鋭い葉先が小さな穴を開け、水漏れが起きる思いもつかないケースが出てきている。

 ホースは、高濃度汚染水用も含め野ざらし状態で敷地面を4キロ以上もめぐっている。


 東電は「見回りを強化し、必要な補習をしていく」と説明しているが、監視の目を行き渡らせるのは難しい。チガヤのような意外な敵にはその都度、対応していくしかない。

 建屋地下に流れ込む地下水もやっかいな存在。毎日約500トンとみられ、汚染水と混じって全体の汚染水量を増やす結果になっている。当初の計画では、建屋地下からは汚染水がなくなっているはずだったが、いまだに8万トン近い汚染水で満たされている。14万トン分も用意した処理水用タンクの残容量は少ない。

 へたに処理量を減らして建屋内の汚染水が地下水位より高くなってしまうと、建屋外への汚染水漏出の危険が拡大する。増やせば処理した水の行き場がなくなる-。

 タンク増設にも限界があり、処理水からストロンチウムを除去するにも時間がかかるなど難題がある。地下の止水など抜本的対策を取らないと、いずれ処理水の海洋放出を迫られる。「冷温停止状態」などと喜んでいられる段階ではない。

美浜2号機 手動停止

12月7日、美浜2号機を手動停止へ ← 圧力調整弁で不具合
事故隠し、トラブル隠しができなくなったからでしようか?

稼働している日本の稼働原発は8基
※関電 高浜原発2号機…11/25 定期検査
 玄海原発1号機…12/01 定期検査

あれただけの事故を起こし、
事故もトラブルも多い、技術的にはとっくにみきりをつけるべきなのに、
「原発=打ち出の小づち」にしがみつくあさましき人々が、
経済も政治も牛耳っているらしい。
マスコミも御用学者も。

原発輸出とか、再エネ法を骨抜きにしたい人事とか、

良心的な人々の情報提供と頑張りを応援しなくっちゃネ。
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