335830で紹介した、落合陽一氏の「日本再興戦略」の続き。
歴史構造から現代日本を読み解く視点は鋭い。
特に江戸時代の士農工商を引き合いに、社会に冨を生み出さない「商」は最も価値が低い、という視点は大いに共感する。
◇日本の統治構造
・日本とは何か?を考えるうえでは古代の日本を振り返る必要がある。
・日本の古代を考える上でのポイントは、「出雲政府」と「大和朝廷」の勢力争い。
・争いは大和朝廷が勝利して日本を統治。これ以降、基本的に天皇という概念を中心にして日本は統治される様になった。
・その後、日本が近代的な国家制度を築くきっかけになったのが、中臣鎌足による大化の改新。ここから日本の基本スタイルが生まれた。
・天皇が政治をするわけではなく、その横にいる官僚(鎌足など)が政治を行うスタイル。
・宗教的な立脚点は中央の天皇に持ってきて、それ以外の法制や法律は官僚的人材が決めていくという、官僚主導の管理経済型の仕組みが出来上がった。
・さらに鎌足の子、不比等が国民が天皇を信仰する様に、「日本書紀」「古事記」を書き直して、天孫降臨神話を捏造した。
∴他の国は「誰が王様になるか」という争いを16世紀まで繰り返していたが、日本は他国に先んじて今の統治構造に到達した稀有な国。
◇イノベーティブな日本の宗教
・一般的に宗教とは、キリスト、ブッダなどのカリスマ性のある開祖が存在し、その後コミュニティを作る中で自発的に生まれてくる。
・一方、日本は、統治者と国が国策として宗教組織を生み出した(=古事記、日本書記)
・興味深いのが、国が神を設定したにも関わらず、日本が天皇一神ではなく、八百万状態になったこと。
・天皇の系譜は八百万の神のひとつの存在として入っているだけ。
・だから、日本では、イスラム教もキリスト教も許容する。
・おそらく不比等は一神教にしたかったが、自然信仰を外せなかったため、一神教にはできなかった。
・国権として政治を担う主体と、精神構造の主体が分離しているのが日本。
・象徴的なのが、秀吉の失敗と家康の成功。秀吉の中央集権的政策に対して、家康の地方自治。家康の分割統治・地方自治スタイルは日本に向いていた。
◇日本には「士農工商」制が向いている。
・300年続いた士農工商は日本に向いている。
・現代に引き付けると、士は「政治家、官僚」農は「一般生産・一般業務従事者」工は「アーティストや専門家」商が「金融商品などを扱うビジネスパーソン」
・農、工は生産しているが、商は何も生み出していない。なので一番序列が低い。現代も一緒。
◇百姓という「多動力」
・農は百姓で生業が100ある人たち。
・これから重要なのは百姓的な生き方。百の生業を成すことを目指した方が良い。
・ひもをよっているときもあれば、わらじをつくっているときもある、稲を刈っているときもある。現代で言うと、「堀江貴史」氏
◇中流マスメディアの罪
・一番価値がないはずの「商」に人気が集まるのは、マスメディアのトレンディードラマや拝金主義のせい。
・マスメディアによる価値観の統一やトレンディードラマによる人生のサンプルの流布のせいで、日本人が目指す人生像がとても画一的な凝り固まったものになってしまった。
・結婚式も婚約指輪、ディズニーランドなども全て洗脳
・これらの洗脳を可能にしたのが、限定チャンネルによる地上波システム。
・日本人はメディアに植え付けらた「普通」という概念に捉われすぎ。普通が一番という思い込みが一番の間違い。
・特に変化の多いときには足枷にしかならない。
・「お金を稼いでいるのがすごい」というのもメディアの洗脳。だから、好きでもないのに金融機関に就職したがる。
・お金からお金を生み出す職業は社会に冨を生み出していない。そこに気付けないのもマスメディアの洗脳が原因。
◇「ものづくり」へのリスペクトを回復せよ
・日本が学ぶべきは江戸以前の文化。日本人には本質的には、文化価値や職人芸を認める伝統がある。それが社会の価値や豊かさを生み出してきた。
・年収だけで考えていたら社会の冨や価値は多様性を持ちえない。
・マスメディアによって洗脳された「拝金主義」を解く必要がある。
大森久蔵
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