生命原理は、必ず理由が存在している。

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 地球上にある生命体はすべて右利きあるいは左利きの分子からできている。庭にいるカタツムリをじっくり観察してみればあることに気づくだろう。その貝殻の渦巻の方向はほとんど同じなのだ。たまには逆向きのものも見かけるかもしれないが、そうしたものはごく稀だ。 

 右向きと渦巻と左向きの渦巻は互いが互いの鏡像であるかのような構造をしている。そして、そのためにどう回転させても、形がぴったり重なり合うことはない。

 こうした構造を「キラリティー」や「対掌性」といい、分子にも見ることができる。そしてカタツムリの貝殻と同じく、分子の向きも右か左、どちらか一方に偏っている。これを「ホモキラリティー」と呼ぶ。

生命体の基本構成要素は左右どちらかに偏っている
 じつは生体分子の多くには、原則としてホモキラリティーがある。

 たとえばタンパク質の基本単位であるアミノ酸は、ほぼ左旋性に偏っている(L体)。一方、RNAやDNAを構成する糖は、ほぼ右旋性(D体)だ。

 こうしたホモキラリティーが生命誕生の要件である可能性も指摘されている。だが、そもそもなぜ、そしてどのようにしてそれが発生するのかは大きな謎だ。

 実験でアミノ酸や糖を作ってみれば、L体もD体も出来上がる。なのに、なぜか生体分子にはホモキラリティーがあるのだ。

ホモキラリティーは宇宙線の影響か
『The Astrophysical Journal Letters』(5月20日付)に掲載された研究では、その理由について、生命が宇宙から届く強い力によって形作られたからではないだろうかと説明している。

 スタンフォード大学をはじめとする研究チームが言っているのは、光速に近い速度で銀河から常に降り注いでくる宇宙線のことだ。

 宇宙線は細胞が突然変異する確率を高める。しかし、それはそのまま地上に降り注いでいるわけではなく、大気や地磁気によって相当に弱められている。

 宇宙線のかなりの部分は地磁気によって逸れてしまうし、逸れなかったものも大気に当たって崩壊する。そのため地上に到達した頃には、ほとんどの宇宙線には「ミュー粒子」(電子に似た素粒子)しか残っていない。

 ミュー粒子は他の素粒子に比べると寿命が長く、平均2.2ミリ秒存在する。それが光速に近い速度で飛来するので、崩壊するまで地下を数百メートル移動することができる。すると、そこで崩壊して電子になるのだが、今度はそれが磁気を同じ方向に偏極させる。

磁気の偏りがホモキラリティーを作り出す
 これは今存在する生物にはほとんど影響しない。しかし自己複製分子としてようやく誕生したばかりの初期生命なら、ずっと大きな影響を受けた可能性があると研究チームは考えている。

 彼らによれば、初期の分子には、人工的に作られる分子のようにL体もD体もあったのだという。

 しかし常に磁気的に偏極したミュー粒子にさらされるうちに、キラリティーにわずかな偏りが生じた。さらに数十億世代が経過するうちに、その影響はもっと大きなものとなり、やがてもう一方のタイプを駆逐してしまった。

ホモキラリティーは宇宙の普遍的な法則か?
この説が正しいのかどうか、大昔にさかのぼって調べることはできない。しかし、たとえば細菌に磁気的に偏極した放射線を浴びせて、その突然変異を確かめてみることはできるかもしれない。

 もしこうした実験によってキラリティーに偏りが生じることが証明されれば、生命に存在するホモキラリティーは地球だけのものではないということになる。宇宙線は宇宙で普遍的なものだからだ。きっと地球以外の惑星に存在する生命にも同じような特徴があるに違いない。  
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