レシーブ二郎の音楽日記

レシーブ二郎の音楽ブログにようこそ。マイペースでぼつぼつ更新していきます。

Diana Ross at New Orleans Jazz Fest 2019.5.4

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ダイアナ・ロスは、ニューオーリンズ・ジャズフェス初出演だそうです。グラディス・ナイトは過去にも出たことがあるのですが、過去にもオファーはしなかったのかな。昨年、アリーサ・フランクリンが亡くなったため、R&B界の大物女性アーティストを呼んでおこうという考えだったのかもしれません。一番最初にジャズフェスのラインナップが紹介された時は、ダイアナの名はなく、ボブ・シーガーがアナウンスされていました。しかし、シーガーの名前は、日付別のラインナップではどこにも見当たらず、しばらくすると、シーガーの出演がキャンセルされ、ダイアナの出演が発表されました。彼女の出演はジェンティリー・ステージ、ちなみに最大規模のアキュラ・ステージにはデイヴ・マシューズ・バンドが出ています。

実を言うと、ブルーズ・テントに出演予定だったジョン・プラインもとっても見たかったので、半分半分見ようかとか、悩んだのですが、ジョン・プラインの出演が5月1日にキャンセルされ、代わりにエルヴィン・ピショップが出演することになりました。前日の3日には加えてロバート・ランドルフ・ファミリー・バンドがブルーズ・テントのトリを務めることになり、そちらにもかなり食指が動いたのですが、今回は当初の予定通りモータウン出身のダイアナ・ロスをじっくり見ることにしました。

エアロン・ネヴィルが終わってから約40分のセットチェンジ。メンバーがステージ上に登場します。ステージ下手袖にはいつの間にか前日にはなかった小型のテントが据えられています。バンド・メンバーは、ドラム、パーカッション、ギター、ベース、キーボード2台、コーラス3人とほぼグラディス・ナイトのバック・バンドと同じ編成ですが、ダイアナのバックにはサックス奏者も参加しています。バンドが演奏を始めるとテントから、黄色のドレスに身を包んだダイアナが登場。大きな歓声が上がります。曲はオープニング・テーマのような短い「I’m Coming Out」。すぐにスパイラル・ステアケースの「More Today Than Yesterday」が始まります。ジャズファンク系のギタリストがよく取り上げている大好きな曲なので嬉しくなります。

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3曲目から7曲目は、スプリームズの代表曲を続けざまに畳み掛けます。こんなに早い段階で超有名曲をみんな歌いきってしまってもいいのか、とも思ったのですが、数々の大ヒットナンバーを持つダイアナのことですから問題ないでしょう。60年代のヒット・ナンバーはみんな短いしアップテンポなので、どんどん曲が進んでいきます。途中70年代のソロ作からの「Touch Me in the Morning」をはさみ、「Love Child」のエンディングが長いなぁと思ったら、その間にダイアナはテントの中に消えます。そして、赤い衣装に「お色直し」。ダイアナが登場するとお姉さまたちは「ギャー」と絶叫に近い喜びの声をあげて迎えていました。この後は、ソロ時代の名曲中心の進行となります。

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「The Boss」に続いてはライオネル・リッチーとのデュエットでヒットした「Endless Love」。そしてディスコ・ヒットとなった「Upside Down」の登場。まわりのお客さんはみんな大きな声で歌っています。この曲の途中で、「私ねぇ、47歳になっちゃったの」なんてMC。もちろん観客は「うそばっかりー」という反応。「本当は75歳よ。信じられる。」なんて言ってました。遠目ですが、本当にそんな歳には見えません。声も若々しいです。続くナンバーも、曲名は覚えていないけど、70年代のヒット曲はラジオなどで時折耳にしたのでしょう。記憶に残っていて懐かしいですね。15曲目にはマイケル・ジャクソンとのデュエットでヒットした「Ease on Down the Road」が歌われます。

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続いての曲では、テナー・サックスが情感たっぷりにメロディを歌い上げます。おっ、これはバート・バカラックとハル・デイヴィッドが書き、ダスティ・スプリングフィールドが歌った007・カジノロワイヤルのテーマ曲「The Look of Love」ではないですか。ダイアナの姿が見えないと思ったら、サックス・ソロが終わると同時にシルバーの衣装にお召し替えで登場。歌い始めます。続くポップな「Why Do Fools Fall in Love」のエンディングではサックスとギターが掛け合いを演じ、ステージは佳境に入っていきます。

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次は誰でも知っているバラード、1975年のヒット曲「Theme From Mahogany (Do You Know Where You’re Going To)」をしっとりと聴かせたあと、途切れなくマーヴィン・ゲイとタミー・テレルのヒット・ナンバーで、彼女自身もNo.1に送り込んだ「Ain’t No Mountain Hight Enough」が始まります。この曲で3度目のお召し替え、白のドレス姿で登場です。続いての曲はグロリア・ゲイナーの「I Will Survive」。どうやらこの曲が最後のナンバーのようです。エンディングでは、コーラスのメンバーに一人ずつソロをとらせ、続いては楽器の短いソロ回しとなります。メンバーはもちろん超絶テクニックの持ち主ばかり。その間にダイアナはまたまたテントに消えます。演奏が終わり観客の拍手が鳴り止みません。

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しばらくすると、ダイアナは黒のスポーツウェア姿で登場。バンドは「I Will Survive」のサビを何度も繰り返し終演となりました。素晴らしいエンターティナーぶりです。歌唱力でいうと、そりゃあグラディスやメイヴィスには及ばないけれど、75歳という年齢を物ともせず、こんなにたくさんのファンに夢を見させる力を持っているというのは、本当に稀有な才能だと思います。写真撮影はジャズフェスのオフィシャルなカメラマンも一切ダメ(だから、ジャズフェスの公式フェスイブックなどにも写真は掲載されていない)。両サイドの大型ビジョンには全身の姿以上のアップは禁止などなど、観客の夢を壊さない措置もきっちり取られたようです。もちろん演奏・アレンジのクォリティは言わずもがな。モータウン最大のヒットメーカーが織りなす約1時間20分のステージを十分楽しませていただきました。

この日は雨で開演が遅れましたが、亡き妻が愛したゴスペル、そしてスプリームズのダイアナ・ロス、それに加えてゴスペル曲は少なかったけれど、7年前に妻と一緒に見たエアロン・ネヴィルのステージをじっくり見れて充実したセカンド・サタデイとなりました。

1.I’m Coming Out
2.More Today Than Yesterday
3.My World Is Empty Without You
4.Baby Love
5.Stop! In The Name of Love
6.Come See About Me
7.You Can’t Hurry Love
8.Touch Me in the Morning
9.Love Child
10.The Boss
11.Endless Love
12.Upside Down
13.It’s My House
14.Love Hangover
15.Ease on Down the Road
16.The Look of Love
17.Why Do Fools Fall in Love
18.Theme From Mahogany (Do You Know Where You’re Going To)
19.Ain’t No Mountain Hight Enough
20.I Will Survive

Aaron Neville at New Orleans Jazz Fest 2019.5.4

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シャーリー・シーザーのステージは50分ほどで終了。まだ、少し時間があるとはいえ、間も無くエアロン・ネヴィルがジェンティリー・ステージに登場します。 急ぎ足でステージに到着したらセッティング中で開演に間に合いました。昨年のジャズフェス直前に彼のバンドにも参加していた兄でサックス奏者のチャールズ・ネヴィルが亡くなってしまいました。それ以降、サックスのメンバーは補充せず、ドラム、ベース、キーボード、ギターの4人のバックバンドがエアロンを支えています。

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MCが元気よくエアロンを紹介し、袖からエアロンの登場。自分は7年ぶりに彼の勇姿を見ます。外見はほとんど変わっていないのですが、彼も今年で78歳になるのですね。バンドが聞き覚えのあるリズムを刻み始めると、エアロンは「Stand By Me」を歌い出します。曲は同じリズムのまま、サム・クックの「Cupid」そしてドリフターズの「There Goes By My Baby」へと続き、また、サム・クックの「Chain Gang」、再び「Stand By Me」に戻るメドレーでした。2曲目もドリフターズの「This Magic Moment」をカバー。この曲はドリフターズ・ナンバーを数曲取り上げた2013年作『My True Story』に収録されていました。

次は、アラン・トゥーサンが書いたナンバー「Hercules」。今回ボズ・スキャッグスも歌いましたが、もちろんエアロンのバージョンがオリジナルです。前から生で聴きたいと思っていましたが、ようやくその夢が叶いました。

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続いては、ネヴィル・ブラザーズでやった曲を次々と畳み掛けます。サニー・ランドレスの作品「Congo Square」と「Voodoo」はメドレー。レナード・コーエンの「Bird On The Wire」。ドビー・グレイの「Drift Away」は1987年のドクター・ジョンとの来日公演の際、大阪の御堂会館で確かに聴きました。32年ぶりに生で聴くことができたわけです。続くサム・クックの「A Change Is Gonna Come」もエアロンの定番曲ですが、ネヴィル・ブラザーズの『Yellow Moon』に収録されていたバージョンをよく聴いたものです。

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次に始まったイントロでオールマン・ブラザーズの「Midnight Rider」であることは、すぐにわかりました。ファウンデーション・オブ・ファンクでも、この曲を聴くことができましたが、エアロンも2年前に亡くなったグレッグ・オールマンに捧げる意味で、この歌を時折歌っているようです。続いては「Yellow Moon」の登場。7年前、ジャズフェスのアキュラ・ステージでネヴィル・ブラザーズの演奏で聴いて以来です。エンディングのスリリングなサックスとギターとの掛け合いは、キーボードとギターで見事に演じ切っていました。

続いては静かなバラード、ランディ・ニューマンの「Louisiana 1927」です。エアロンのソロで一番好きな『Warm Your Heart』に収録されています。よもや、この曲をやってくれようとは思いもよりませんでした。感激です。そして、定番の「Down By The Riverside」から「When The Saints Goes Marching In」へと続くメドレー。後者ではニューオーリンズ・セインツの応援歌のフレーズを織り交ぜて歌い、観客は大喜びです。そして間髪を入れず最大の山場、「Tell It Like It Is」が登場。まわりのお客さんはみんな一緒に歌っています。エアロンのソロ・ステージですから、この曲をやっくれないと、ですよね。しかし、2012年にゴスペル・テントで見た彼のステージでは、「Tell It Like It Is」はやってくませんでした。曲が終わると、エアロンがファルセットで「Woo〜」と歌いだします。シンセだけが静かにコードを弾き「Amazing Grace」が始まります。大観衆も水を打ったように静かに聴き入っています。感動です。

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曲が終わるとメンバー紹介。このまま終わると思ったら、スパニールズの「Goodnight Sweetheart Goodnight」が始まりました。エアロンが愛した素敵なドゥー・ワップ・ナンバー。バンド・メンバーが巧みなコーラスを聴かせます。そして、この曲のエンディングにミッキー・マウス・マーチを美しいアカペラにアレンジして少し付け足し、聴衆の笑いと喝采をさらっていました。

約1時間のステージ。ほとんど知っている曲ばかりのぜいたくなセットリストです。たくさんやってくれたので、ほとんどMCはなく、次々と曲を演奏してくれました。7年前の時は当時ゴスペル・アルバムを続けて出していたこともあり、また、会場もゴスペル・テントだったので、ゴスペル中心の選曲でした。最近はドゥー・ワップ中心の選曲でツアーを回っているようです。この日はフェスだし、もしかしたらチャールズの追悼の意味も込めて以下のようなセットリストになったのでしょう。自分のように1987年から2012年まで、ネヴィルズのライブを見れなかった者にとってはありがたい選曲でした。近年、ドゥー・ワップ寄りのステージをやっていることもあってか、バンド・メンバーはみんな歌が素晴らしいです。エアロン一人のアカペラの印象が強かった「Amazing Grace」でも、いい感じのコーラスになっていました。

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2年前に来た時は、セカンド・ウィークエンドだけだったので、ファースト・ウィークエンドに出たエアロンは見れなかったのですが、今回エアロンのステージを堪能させてもらいました。


1.Stand By Me/ Cupid / There Goes By My Baby / Chain Gang / Stand By Me
2.This Magic Moment
3.Hercules
4.Congo Square / Voodoo
5.Bird On The Wire
6.Drift Away
7.A Change Is Gonna Come
8.Midnight Rider
9.Yellow Moon
10.Louisiana 1927
11.Down By The Riverside / When The Saints Goes Marching In
12.Tell It Like It Is
13.Amazing Grace
14.Goodnight Sweetheart Goodnight / Mickey Mouse March

Shirley Caezar at New Orleans Jazz Fest 2019.5.4

ジョンソン・エクステンションの演奏が終わった後、女性の司会者がステージ上手に登場してジャズフェスのスポンサーの紹介を始めます。演奏の合間には、時折こういう紹介が入ります。そして、フェスのオリジナルTシャツの紹介。帽子やバンダナなどお土産にいいわよ、みたいなことも言ってます。

ここで彼女が、アメリカ国外から来た人いる? と会場に呼びかけます。最前列下手側にいた自分は「Japan!」と叫びましたが、しばらく気づいてもらえません。ロンドン、ブラジル、カナダと続いた後、周りの人達も立ち上がって指差してくれたりして、ようやく気づいてもらい、「日本からなの? 遠いところから来たわねぇ。」みたいに紹介してもらってしまいました。

そうこうしているうちに、ステージの準備も整ったようで、司会者が次に登場するシャーリー・シーザーの紹介を始めます。オルガンがメロディを奏で始め、紹介が終わるといよいよシャーリー達の演奏です。バンドはキーボード、オルガン、ギター、ベース、ドラムスというオーソドックスな編成。シャーリーの他に、男性2名、女性1名のコーラス隊がいます。シャーリーは黒いドレス、他のメンバーは白中心の衣装で揃えています。

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シャーリー・シーザーと彼女のグループ

彼女はノースカロライナの生まれ。シャーリーの歌声は、ゴスペル的歌唱の鏡です。今まで何度も「割れんばかり」という表現を使ってきたのですが、その形容が彼女ほど当てはまるシンガーもなかなかいないのではないでしょうか。アリーサ・フランクリンとも親交があり、彼女の葬儀で歌ったそうですが、さもありなんですね。彼女は1938年生まれで81歳ですが、とてもその年齢とは思えないパワーと歌唱力です。彼女自身牧師であり教会を持っていますが、「ゴスペル界のファースト・レディ」「ゴスペル・クィーン」と呼ばれるように、アメリカのゴスペル界では最も有名なシンガーの一人です。初の録音は12歳の時。そのキャリアはもう70年にも及ぼうとしており、グラミー始め数々の賞の受賞歴があります。

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メンバーもすごい歌唱力

1曲目からシャッフルの典型的なゴスペル・ナンバー。シャーリーと男性ヴォーカルの力強い歌声に気分が高揚していきます。2曲目は8ビートの心地よい「It’s Alright, It’s OK」です。どちらも単純なコード進行の繰り返しなのですが、タイトなバンドの演奏と分厚いコーラスのコール&レスポンス、シャーリーだけでなく、コーラス要員も魅力的なソロを聴かせ、単調さとは全くかけ離れた演奏です。そして、静かにバラードの「Jesus I Love Calling Your Name」が始まります。中盤からどんどん盛り上がり、「ジーザス ジーザス ジー ジー ジー」何度も繰り返すフレーズが耳についてしばらく離れませんでした。

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ステージに向かって歌いかける

次は三連のロッカバラード。そして、途切れなく、激しいシャッフルのナンバー「Heaven」に続きます。この曲はスタジオ録音のものはシンセなどが入って現代的な味付けですが、ここではトラディショナルな味わいが濃厚なアレンジ。曲の途中でシャーリーが会場に降りてきます。自分は最前列なので、少しだけ彼女の生声も聴くことができました。本当に小柄な女性なのに、あれだけのバワーが出てくるのが不思議です。信仰と鍛錬の賜物でしょう。後半、「Jesus I Love Calling Your Name」同様、「ジーザス ジーザス ジー ジー」とキリストを讃えるフレーズがコール&レスポンスで繰り返されます。男性コーラスが声を限りにシャウトします。

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ギタリスト熱演

次は、ゆったりしたシャッフル・ナンバー「Mary Don’t You Weep」。エレキ・ギターがまるでブルーズ ギターのようにオブリカードで寄り添います。ラストは、やはりシャッフルの「Don’t Drive Your Momma Away」。バンドも変幻自在。シャーリーの指揮でジェットコースターのように曲を盛り上げたり、静かにトークをサポートしたり。聴いているこちら側も手に汗を握ります。もちろん、コーラス隊の息のあったメロディラインに乗せて、シャーリーのシャウトが会場に響き渡りました。エンディングではバラードになります。本当に感動、興奮のステージでした。

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朝雨が降らなければ、彼女のステージを見ることはなかったと思うと、偶然の不思議を感じずにはいられません。年齢を感じさせないパワフルなシャーリー・シーザー。ゴスペル・クィーンの名にふさわしい歌声を聴けて本当にラッキーでした。メイヴィス・ステイプルスに比べれば、日本では全く無名ですが、もっともっと世界中に名が知られていい名シンガーだと思います。

The Johnson Extension at New Orleans Jazz Fest 2019.5.4

キム・シェリーのステージが終わると、すぐになんらかのセレモニーが始まりました。中央に自分と同年輩のご夫婦、その両側にハイティーンのお嬢さんたち、きっとご夫婦の娘さんたちなのでしょう。そして、ご夫婦の間には牧師さんと見られる男性が立っています。自分の英語聞き取り力にはかなり疑問があるので、もしかしたら大きく間違っているかもしれませんが、ご夫婦はニューオーリンズの音楽スクールに多額の寄付した人達のよう。このセレモニーは銀婚式のように思えます。ご夫婦の名前はジョンとサンディ。結婚式の時のように、牧師さんが一人ずつ「健やかなるときも病める時も、相手を守ることを誓います」というような意味のことを復唱させています。こういう場で多くの人に銀婚式を祝ってもらえるなんて素敵ですね。まさにテレビに出てきそうな絵に描いたように幸せそうな白人のアメリカン・ファミリーですが、25年の間には様々な紆余曲折もあったに違いありません。けれども、家族でこういう日を迎えられるというのは無上の喜びでしょう。まさに、ゴスペルテントは、ジャズフェストの教会の役目を果たしていますね。

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さて、銀婚式の背後では着々と準備が進んでいたようで、また、銀婚式を彩っていたオルガンを弾いていたのは、次に登場するジョンソン・エクステンションのオルガン奏者みたいで、すぐに彼らのステージが始まりました。なんだかメンバーの顔に見覚えがあるなぁと思ったら、7年前、同じゴスペル・テントで彼らのステージを見ていました。お目当ては彼らの次に出たエアロン・ネヴィルでしたが、早めに来て席を確保したかったので、彼らのステージも何曲か見ることができました。ジョンソン・エクステンションはルイジアナのグループらしく、先ごろ発売になったジャズフェス50回記念のボックス・セットでも紹介されています。その記事には以下のように書かれています。

「ジョンソン・エクテンションは、1991年に観客を魅了するステージ・パフォーマンスをフェアグラウンズ(ジャズフェスの会場である競馬場)にもたらし、それ以来、ほぼ毎年登場しています。ジョンソン・エクステンションは、その家長であるロイス・デジャン牧師に率いられた3世代にわたる1つの拡大家族であり、グループの名前は拡大家族を反映しています。ロイス・デジャン牧師自身は、1977年に、彼女のグループ、ゴスペル・インスピレーションズで、初めてゴスペル・テントに出演しました。」

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メンバーは白い衣装で揃えています。おそらく車椅子に座っている女性がロイス・デジャン牧師なのでしょう。彼らのテーマ曲のような短いナンバーに続いては、いい声の年配の男性が割れるようなシャウトで歌います。まさに教会での興奮を彷彿とさせるような演奏です。次は大柄の女性メンバーがリードをとります。

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次は、さっきの方より若い男性がリードをとるバラード。しみじみといい声で歌い上げます。もちろんサビではメンバー全員の合唱になります。この曲の後半では、女性メンバーがジーザスを讃える言葉を紡いでいきます。

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再びノリのいいナンバーとなり、男性シンガーがやはり割れるようなシャウトを聴かせます。ものすごい迫力です。コンガも効果的です。客席もだんだん興奮に包まれてきている模様。この曲が一段落すると、先ほどの女性シンガーが感情を抑えきれないように再びメッセージ。素敵なメロディを持つバラードが始まります。車椅子に座っていたデジャン牧師もメンバーの助けを借りて立ち上がります。さっきとは別の男性シンガーがリードをとっていい声を聞かせ、大きく盛り上がってエンディングを迎えると、司会者が登場してMC、メンバーがステージを去り、バンドがひとしきり曲を盛り上げて、彼らのステージを締めくくります。

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現代的な曲もありましたが、トラディショナルなスタイルを残している、いい感じのゴスペル・グループでした。

TBC Brass Band at New Orleans Jazz Fest 2019.5.4

ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテイジ・フェスティバルは、時折荒天に見舞われ、中断を余儀なくされることがあります。自分は今まで一度も中断にあたったことはなかったのですが、2年前に来た時は、ファースト・ウィークエンドの最終日に大雨と雷・竜巻警報で開演がかなり遅れたし、今回も初日の4月25日が雨で開演が遅れました。少し前の天気予報では5月3日、4日に雨の予報が出ていました。3日は上天気でしたが、4日は朝からひどい雨です。

ニューオーリンズは亜熱帯なので、5月といっても、降る時はまとめてドシャドシャ降るし、積乱雲が発達し落雷もあります。竜巻が発生することもあり、巨大なステージやテントのプレハブが倒壊したら多数の死亡事故にもつながりかねません。2016年にはセカンド・ウィークエンドの土曜日に大雨で中断。スティービー・ワンダーがフェスでは演奏できませんでした。そのときの写真を見ると、会場内でも結構水浸しのところがありました。自分も2年前、到着した日がひどい雨で、飛行機も遅れ、夜のライブを見に行くのを断念しました。

この日、朝目覚めてテレビをつけると、大雨のニュースをやっています。前日はアップタウンで100年以上前の水道管が破裂し、周囲が水浸しになったり通行止めになったりするニュースをやっていましたが。窓のない部屋なのであまりわかりませんが、外では雨が降っています。雷警報もあって、ジャズフェスの開場時間は延期になりそうです。

この日、アキュラ・ステージのトップバッター、ジョン・パパ・グロウのステージは残念ながら見れそうにないですね。昨夜はフェスのステージで見れるから、と、彼のライブに行かなかったのですけど、まぁ、こういうこともあるでしょう。日夜、ライブに明け暮れていたので、たまには休養も必要と、ベッドに寝転がってテレビを見ながら過ごします。チャンネルはもちろんニューオーリンズのローカル局です。

ジャズフェスのニュースでは、最終日のトローンボーン・ショーティのステージにエアロン・ネヴィルが出るという情報も得られました。そして、当日4日のステージ案内では、シャーリー・シーザー、エアロン・ネヴィル、ダイアナ・ロスが紹介されていました。シャーリー・シーザーってどんな人だろうって、スマホでYoutubeを見てみると、素晴らしいゴスペル・シンガーではないですか。その時間はギャラクティック と被っているのですが、どちらにせよ、エアロン・ネヴィルを見るために途中抜けしなければならないし、急遽、シャーリー・シーザーを見ることに変更です。この日が雨でなければ、そういう選択にはならなかったと思います。

スマホの雨雲レーダーを見ると、お昼頃にひどい雨雲の帯は市街の東側へ抜けそうです。雨も小やみになってきました。この調子ならフェスのゲートも開くかも、と、シェラトン・ホテルに行くことにします。足元は一昨日買ったビーチ・サンダルにして、折りたたみ傘をさしてホテルを出ようとすると、仲良くなったドアマンが「ちょっと待て」と言い、ポンチョを渡そうとしてくれます。自分はデイバッグの中に100均のレインコートを入れているので、丁寧に断りましたが、優しい心遣いに少し胸が熱くなりました。

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シェラトンの前には、スクール・バスのシャトルが3台くらい停車していて20人くらいの人が、発車を待っています。ロビーではさらにたくさんの人が待っているようです。ロビーに席がないので、柱にもたれて、しばらく窓の外の様子を見ていると、シャトルバスへの乗車が始まりました。IさんやA君に情報をメールで送り、自分もバスを待つ人の列に並びました。運良く2台目くらいのバスに乗ることができました。バスの中では日本から来られたSさんという方のお隣に座らせてもらってしばし雑談。ファースト・ウィークエンドの間はニューオーリンズからシカゴまで車で往復し、シカゴではバディ・ガイのクラブで本人の歌を聴かれたとのことでした。

会場に到着したのは、12時30分は回っていたと思います。フェアグラウンズでは、すでにあちこちで演奏が始まっています。雨も上がり、曇り空です。この日の朝は、ホテルのロビーでテイク・フリーだったバナナとコーヒーだけだったので、まずは腹ごしらえ。アフリカ料理のジャマジャマのセットをいただきました。初めて食べる味でしたが結構口に合いました。

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ジャマジャマのセット

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TBCブラス・バンド

食事が終わると、アキュラ・ステージを目指します。プログラムでは2年前に少しだけみたソウル・レブルが演奏しているはずです。近くとかっこいいブラスバンドが演奏中だったので、ソウル・レブルかなと思いきや、彼らの出演はキャンセルとなり、代わりにTBCブラス・バンドが演奏していました。彼らの演奏もハツラツとして心地よかったです。若いバンドで、もちろんヒップホップ的な要素も持ち合わせているのですが、十分にポップで聞き応えがあります。1曲が長いのですが、自分が着いてから2曲くらいで演奏が終わってしまいました。この日は大雨だったので、ソウル・レブルのメンバーも、自分たちのステージはキャンセルになったと考えたのでしょう。TBCブラス・バンドは急遽の代役だったようですが、素晴らしいプレイに触れることができて良かったと思います。彼らは毎日曜、カーミット・ラフィンズのマザー・イン・ロウ・ラウンジに出演しているようで、演奏の終わりに自信のfacebookページともども紹介していました。

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メンバーがラップを歌う

次に何を見ようかと考えたのですが、やはり疲れもたまっていたのでしょう。座って見れるところへ、とゴスペル・テントに移動します。テントでは雨の影響でこの日一番バッターとなったキム・シェリーが演奏中。最近のゴスペルでよく歌われる「Fire」をレゲエ調で歌っています。彼女のステージは7年前の2012年のジャズフェスでも見たのですが、当時と変わらぬ迫力のある歌声でした。あともう1曲で彼女のステージは終わりました。

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キム・シェリーと彼女のバンド

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右端のタンバリンの女性は、よくゴスペル・テントに登場する有名な方のようです。

New Mastersounds at The House of Blues New Orleans 2019.5.3

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この日は、d.b.a.でリッキー・リー・ジョーンズを見る予定でした。彼女のライブは19時からだったので、グラディスのステージを途中で切り上げて行くつもりだったのですが、彼女のライブはキャンセルとなってしまいました。d.b.a.は予約制を取っていないので、払い戻しとかはありません。さて、空いた時間を無駄に過ごしたくはないのですが、誰を見に行くかは悩ましいところ。気になっていたイベントはいくつもあります。

一つは、ハウリン・ウルフで行われる第17回バイユー・ランデブー。10時半からはジョン・パパ・グロウがドクター・ジョンをトリビュートするステージで、ここには山岸さんやエリカ・フォールズも参加します。夜中の2時からはドクター・クロウもあります。他にもメイソンではダーティ・ダズン・ブラス・バンド、カフェ・イスタンブールではジョーン・オズボーン、オフュウム・シアターではカール・デンソンによるアリーサ・フランクリン・トリビュート、マルディ・グラ・ワールドではストリング・チーズ・インシデントなどなど、他にもたくさんのライブがあって、どれも質が高そうなのです。さすが音楽の都です。

色々迷った挙句、ホテルからほど近いハウス・オブ・ブルーズで開催されるニュー・マスターサウンズのライブに行くことにしました。その前に腹ごしらえです。ホテルに近い「ルーク」というお店をマークしていたのですが、ヒルトン・ホテルの中の高級料理店でした。店内には行列ができていて、待っている暇はないだろうと別のお店へ行くことにします。時間は夜8時半を過ぎています。セントチャールズ・ストリート沿いのデイジー・デュークスがオープン・カフェみたいな形で雰囲気が良かったので入ってみました。ポークのサンドイッチとクロウフィッシュ・エトフェ、コーヒーを頼みました。サンドイッチはまあまあだったのですが、エトフェはいけませんでした。これは、今までに食べたエトフェとは全く別物。ほとんど食べずに残しました。残念でした。

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入り口のところに、こんなものが。ダン・エイクロイドが経営者に名を連ねていたと思います。

食事を終え、ハウス・オブ・ブルーズヘ。当日券を購入しますが、ちょっとばかり列ができており少々手間取りました。入店した時間は夜10時を少し過ぎていたでしょうか。すでにオープナーのCha Waの演奏は終了し、ニュー・マスターサウンズが演奏を始めていました。彼らは何度も来日経験がありますが、まだ見たことはありません。2年前のジャズフェスの時にもライブがありましたが、夜中の2時とか演奏時間が遅かったので見ませんでした。今回は、夜10時と早めなので、ライブに足を運んでみたわけです。

彼らは、イギリスのジャズ・ファンク・バンド。このところ毎年のようにジャズ・フェス期間はニューオーリンズでライブをやっています。ギターのエディ・ロバーツがグラント・グリーン、メルヴィン・スパークス、ブーガルー・ジョー・ジョーンズなどなど、60年代後半から70年代のジャズ・ファンク系ギタリストに大きな影響を受けており、その手の音楽が大好きな自分としては一度は見ておきたかったのです。

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ホールに入ると、アフリカ系の男性ヴォーカリストが歌っています。ニュー・マスターサウンズはインスト・バンドだとばかり思っていたので、ちょっとびっくり。音は極上、2曲目は結構ハッピーな感じのナンバーでした。フロアはほとんど人で埋まって、最も後ろからですが、ビールを飲みながら心地よいサウンドに身を任せられるのは最高ですね。ヴォーカリストはゲスト扱いのようで、自分が入ってから2曲で去り、あとはメンバー4人がインストを奏でていきます。前半で彼らの代表曲のひとつ「Yokacoka」もプレイされていました。

上に書いたように、エディ・ロバーツはグラント・グリーン達の影響を強く受けていますが、彼らの演奏を聴いていると、ミーターズからもかなり影響を受けているようです。もちろん、追求しているのは心地よいファンク・サウンドです。エディはセミアコのギターをクリーン・トーンでな奏でていますが、曲によってはワウやオーバードライヴを駆使しています。速弾きのテクニックもなかなかのもので、スピード・ナンバーの佳境になると、左手が自在に指板上を動き回ります。キーボードはピアノもオルガンも優雅に弾きこなし、エディに負けず劣らず曲を盛り上げていきます。

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ホーンズとパーカッションを加えて

自分の大好きなファンク・グループの影響を受けた素敵な演奏が次々と続くのですが、知っている曲がないというのは、いまひとつ入り込めない理由になりますよね。風邪とかひいてないですが、さすがに睡眠不足、立ちっぱなしの日々がこれだけ続くと身体も疲れてきます。この日は疲れのピークだったのかも知れません。インストの3曲目くらいからホーンズとパーカッションが参加して、さらに音に厚みが加わります。心地よいです。再びヴォーカリストが登場して、少しスキャットの入ったインスト・ナンバーをやったあと、フルートの入ったちょっとおしゃれなソウル・バラードを演奏。続くファンキーなナンバーともども、とってもカッコよかったです。ラストはスピード・ナンバーのインストでした。彼らのステージは自分が入場してから1時間半ほど、夜11時30分過ぎには終演しました。

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ヴォーカリストを迎えて

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ハウス・オブ・ブルーズの前に駐車してあるニュー・マスターサウンズのツアー・バス

ホテルに帰る路上で、下の写真のような三輪自転車をこぐ、アフリカ系のご婦人に出くわしました。最近、アフリカ系の若者の間で、電飾を施したオープン三輪などで、ヒップホップをガンガンかけながら街を流すのが流行っているようで、フレンチメン・ストリートなどで複数回出くわしましたが、こんな自転車は初めて見ました。

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Gradys Knight at New Orleans Jazz Fest 2019.5.3

ブルーズ・テントから、ジェンティリー・ステージを目指しましたが、結構な距離があります。ステージに近づくとイキのいいブルーズ・ロックが聴こえてきます。ステージでは赤いセミアコのエレキを持った男性が歌っています。しまった、こちらはゲイリー・クラーク・ジュニアのステージだった。勘違いしていました。フェイ・ドー・ドー・ステージの前を通り過ぎ、コンゴ・スクエア・ステージに向かいます。

コンゴ・スクエア・ステージではステージ上手側の園内通路から、斜め方向にステージが見えます。ステージの正面はかなりの人だかりなので、ここからステージを眺めることにします。到着した時にやっていた曲は大好きな『Imagination』収録の「You’re the Best Thing That Ever Happened to Me」でした。初めて見るグラディス、すごい歌唱力です。もう75歳くらいだと思うけど、まったく衰えを感じさせません。彼女は黒のパンツスーツ姿。ハンドマイクを片手に、ステージの上手から下手まで広く使って、客席に歌いかけています。ビジョンに大写しになる彼女の顔には、さすがに年輪は刻まれているけれども、どう見ても10歳以上は若く見えます。

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バンドはドラム、パーカッション、ベース、ギター、各1名、キーボードが2人で、うち1人が日本人女性。コーラスは男性1人と女性が2人という編成です。もちろんその力量たるや、圧倒的です。続いての曲は、イギリスの若いシンガー・ソングライター、サム・スミスの「Stay With Me」です。とってもいいメロディを持ったゴスペル的なバラードで、グラディスがチョイスするのも頷けます。次は、待ってましたの代表曲、作者のマーヴィン・ゲイ・バージョンも売れた「I Heard It Through The Grapevine」が登場。文句なくカッコ良かったです。

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曲は再びバラードになり、ジョージ・ガーシュインの古いナンバー「Someone to Watch Over Me」を客席に静かに語りかけていきます。彼女は緩急をわきまえていて、次はノリのいい「On and On」。『Claudine』収録曲です。曲が終わったあと、作者のカーティス・メイフィールドの名前を告げていました。次も同じアルバムに入っているカーティス作「The Makings of You」が続きます。こちらはバラードでしっとり聴かせます。

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グラディスを見る大群衆

続くバラードも若い歌手メイジャーの「Why I Love You 」。この曲では、途中から若い女性コーラスにリード・ヴォーカルを譲りますが、彼女の歌唱力も抜群。素晴らしいデュエットです。続いての曲ジェームズ・イングラムの「One Hundred Ways」では男性コーラスがフューチャーされ、最初のソロをとります。

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バラードが続きます。次は、キャロル・キングが書きアリーサ・フランクリンが歌った「(You Make Me Feel Like)Natural Woman」です。昨年なくなったアリーサの思い出の多いこの曲を、グラディスの歌声で聴けるなんて感無量です。素晴らしいカバーでした。そして、バーバラ・ストライサンドの「The Way We Were」。日本では「追憶」のタイトルで著名です。グラディス・ナイト&ザ・ピップスのカバー・バージョンもそこそこのヒットを記録したと思います。ここではかなりメロディを崩し、かなりのスローバラードにしていました。

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そして、やはりピップス時代のヒット・ナンバー、「Neither One of Us (Wants to Be the First to Say Goodbye)」、ラストには、ずっと生で聞きたかった「Midnight Train to Georgia」をやってくれました。素晴らしい歌声、素晴らしい演奏であったことは言うまでもありません。

グラディスのステージは思った以上に、バラードが多かったです。後、MCも結構長かった。時折客席を大いに笑わせるあたりはエンターテイナーとしての素晴らしい才能を感じます。1曲1曲はバラードでも全然長くないのですが、英語を十分解せない身には、MCが少々冗長に感じられました。もちろん、悪いのは不勉強な自分なのですが、もうちょっと歌を長く聞きたいなと思いました。MCは歌のイントロにかぶせて、歌と一体にはなっているんですけどね。

アリーサ亡き後、ソウル界きっての実力派女性ヴォーカリストというと、グラディスということになるのではないでしょうか。今年のジャズフェスは、グラディス、メイヴィス、そしてダイアナ・ロスと、ソウル、ゴスペル界の大物女性シンガーを集めたのは、アリーサのことを意識した結果だと思います。そう言えば、舞台下手側に座ってグラディスのステージを見つめていたのは、メイヴィス・ステイプルスだと思います。遠目で確認はできなかったのですが、髪型といい、体型といい間違えないと思うのですが、1曲くらいデュエットしてほしかったな。でも、グラディスの素晴らしい歌声を堪能できたステージでした。

他のステージでのセットリストを参考にすると、大抵1曲目は「I’ve Got Use My Imagination」で始まっています。「You’re the Best Thing That Ever Happened to Me」は4曲目くらいでやっているので、最初の3曲くらいを聞きそびれてしまったのでしょう。おそらく、4曲目以降のセットリストは以下の通りです。

You’re the Best Thing That Ever Happened to Me
Stay With Me
I Heard It Through The Grapevine
Someone to Watch Over Me
On and On
The Makings of You
Why I Love You
One Hundred Ways
(You Make Me Feel Like)Natural Woman
The Way We Were
Neither One of Us (Wants to Be the First to Say Goodbye)
Midnight Train to Georgia

Sonny Landreth at New Orleans Jazz Fest 2019.5.3

この日は、巧まずしてギタリスト三昧の日となりました。しかも、ルイジアナのギター・ヒーローと言えば、存命のミュージシャンでは、リオ・ノセンテリとサニー・ランドレスということになるのではないでしょうか。その二人を相次いでフェスで見れるなんて幸せです。その二人の間にクリス・スミザーが入っているのですからたまりません。スミザーが終わってからブルーズ・テントに移動しましたが、すでにランドレスの演奏は始まっており、予想通りテントの座席は満席。上手側で立ち見となりました。

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2012年は同じブルーズ・テント、2017年はアキュラ・ステージで見ましたが、いずれも3〜4曲程度しか見られず他のステージに移動したので、今回はじっくり見るつもりです。着いたときに演奏していた曲は「It Hurts Me Too」で、サニーが歌っています。後で、この曲は2曲目だったことがわかりました。バンドはいつもと同じ3人編成。ドラムのブライアン・ブリグナック、ベースのデヴィッド・ランソンとサニーだけです。それで、これだけ厚みのある音、飽きのこないフレーズが繰り出されるというのは、3人の力量が卓抜しているからに他なりません。サニーはサンバーストとブラックの2本のストラトを使い分けています。おそらくオープンG系とオープンD系にチューニングされているのでしょう。

3・4曲目は、インストが続きます。確かに自分はブルーズが好きだし、ボトルネック奏法が大好きですが、こんなシンプルな編成で、心地よい演奏を延々と続けられるというのは尋常なテクニックではありません。今から三十数年前、ジョン・ハイアットと一緒に来日した時の演奏も素晴らしかったですが、さらに磨きがかかっているように思います。『From The Reach』収録の「The Milky Way Home」はマイナー・キーのモダンなナンバー。美しいメロディがサニーのストラトから紡ぎ出される様は圧巻です。続く「Firebird Blues」は ジョニー・ウィンターに捧げられた、ミディアム・ブルーズです。

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5曲目は歌物に戻って、スキップ・ジェイムズの「Cherry Ball Blues」を披露。続くシャッフルの「All About You」も歌物。アルバム『The Road We’re On』収録曲です。7・8曲目はインストのメドレー。「Brave New Girl」はインスト・アルバム『Elemental Journey』収録の印象的なメロディを持つモダンなナンバー。サニーのフレージングがとっても美しい。曲はそのままマイナー・キーでファンキーな「Native Stepton」に続きます。昔よく聴いたアルバム『South of I-10』収録の素敵なインストです。

9〜10曲目もメドレーで、このステージで最高の盛り上がりを見せます。『Levee town』収録の「Zydecoldsmobile 」から、大好きなアルバム『Outward Bound』収録の「Back To Bayou Tech」でした。スピード感あふれるザディコ・ナンバー「Zydecoldsmobile 」に続いて「Back To Bayou Tech」のイントロが流れだすと、自分の心の中のメーターも振り切れ状態です。多数の観客も大興奮状態。拍手が鳴り止まず、アンコールで1曲。『Levee town』収録の「Pedal to the Metal」。とってもかっこいいインストでした。

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2年前はアクースティック・セットもありましたが、今回は全編エレクトリック。不動の3人による息のあった演奏は素晴らしいの一言です。若々しく見えますが、ランドレスはもう68歳なんですね。ジョン・ハイアットより年上だったわけです。彼にしか出せない独特の音色、ザディコ、ブルーズといったルーツに根ざしながらも、とてもモダンな感覚も持ち合わせている彼のギター・プレイ、そして、味のある歌声に接することができて幸せでした。ぜひ、また見たいと思います。

4月28日にはボニー・レイット、前日5月2日にはアンダース・オズボーンにポール・バレールにフレッド・タケット、この日はハニー・アイランド・スワンプ・バンドとサニー・ランドレス。それぞれ個性的なボトルネック奏法を堪能することができました。

1.Walking Blues
2.It Hurts Me Too
3.The Milky Way Home
4.Firebird Blues
5.Cherry Ball Blues
6.All About You
7.Brave New Girl - Native Stepton
8.Zydecoldsmobile - Back To Bayou Tech
(Encore)
9.Pedal to the Metal

サニーのステージの最後の方で座席を確保することができましたので、しばし座って休憩を兼ね、少しだけロス・ロボスを見ようと思います。ロス・ロボスも2012年の時に、アフター・ダークのクラブ・ギグをやってましたが、別のライブを優先してしまいました。この日もグラディス・ナイトを見たいので、途中抜けするのですが。25分くらいのセットチェンジの後、ロス・ロボスのメンバーが出てきました。ギタロンやチャランゴを含むアクースティック・セットです。トラディショナルなテックス・メックス・スタイル。もちろん歌はスペイン語です。「Canto a Veracruz」「Colas」「El cascabel」まで聴いたところで、後髪を引かれながら、ブルーズ・テントを後にします。自分より何列か後ろに、昨日シャトル・バスに乗り合わせたNさんがいらっしゃいました。後で、後半はエレクトリック・セットになり「Don’t Worry Baby」や「Kiko and Lavender Moon」などをやったことを知りました。

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Chris Smither at New Orleans Jazz Fest 2019.5.3

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ジェンティリー・ステージから全ステージのうち最も小さい部類に入るラニャップ・ステージに移動します。競馬場の建物の中庭。パドックにあるこのステージにはパイプ椅子なども設置してあります。この巨大フェスにあってはかなりミュージャンに近いところで演奏を楽しめるスペースです。しかも、2階のバルコニーからもステージを見ることができます。

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スーザン・カウシル・バンド

さて、リオ・ノセンテリのステージが早めに終わったので、スーザン・カウシルのステージの最後の2曲に間に合いました。オハイオ州生まれの彼女は、なんと1967年、8歳のときにカウシルズのメンバーとしてプロ・デビューしていたんですね。当年とって60歳だそうです。バンドのギタリストとして、昨日も見たアレックス・マクマレーも参加している5人編成のバンドの演奏はとっても気持ち良いです。結構人気があるようで立ち見も出ています。ラストにやったノリの良い「Love Train」が良かったです。

彼女の演奏が終わって、観客が入れ替わるのを狙って1階の椅子席を確保します。自分の右となりには、同年輩か少し年上くらいの白人女性が腰かけました。話をしてみると、アリゾナのツーソンから、旦那さんと義弟と一緒に来られたとのこと。義弟はギター・プレイヤーだと言っていたようです。「あなたの国の気候はどう?」と聞かれたので「ここより少し涼しいですよ。」と応えると、「私たちのところは、ここより暑いわ。ここより乾いているけど。私たちは砂漠に住んでいるの。」と言ってました。彼女も結構音楽好きのようで、クリス・スミザーが70年代前半にはボニー・レイットに曲を提供していたこと、ボストンの音楽シーンで一緒に活動していたことを知っていました。

今年75歳になるクリス・スミザーの初期のアルバムは、80年代にはコレクターズ・アイテムになっていました。ファースト・アルバムは、ちょっと高かったけど、その昔LPで入手しました。数年後にセカンドと2in1でCD化されました。90年代のクリスのソロ・ライブ盤などは超絶テクニックと低音の魅力の彼の歌声を楽しむことができる好盤でよく聴いたものです。後、ローウェル・ジョージ参加のオクラ入り盤なども90年代にCDでリリースされました。最近でもニューオーリンズ録音のものを含め、精力的にライブ活動を行なっています。そんなわけで、一度生演奏を見てみたかったのです。この時間帯には、ノース・ミシシッピ・オールスターズやカーミット・ラフィンズなど見たいアーティストが他にも何組かあるのだけれど、この機会を逃すと、クリスのライブを見れる機会はそうそうないだろうと思い、このステージを選択しました。

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ステージは、クリスのほか、ドラム、エレキ・ギター、フィドルの4人編成。メンバーはみんな控えめなプレイでクリスを盛り立てます。1曲目はクリスの軽快なフィンガー・ピッキングが冴える「Open Up」。フィドルも活躍してクリスを盛り立てます。2曲目もラグタイム調のギターがご機嫌です。「こちらではエレキ・ギターがソロをとります。ここで、曲の雰囲気が変わりマイナー・キーになって「Don’t Call Me Stranger」。テンポの良いフォーク調は変わりませんが、フィドルもギターも悲しげな表情になります。次は「Time Stands Still」。2009年のアルバムのタイトル曲、メジャー・キーに戻りますが、フォーキーな雰囲気は続いていきます。クリスは昔から低音が魅力的でしたが、いい感じにしわがれてブルージーな曲にはぴったりになっています。

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左端のギタリストは名称不明の民族楽器を奏でている。

続いて、ややテンポアップし「Nobody Home」の登場です。客席の反応の上々。エレキ・ギタリストが何やら弦の本数が少ない民族楽器のようなネックの長い楽器に持ち替えボトルネック奏法でクリスを盛り上げています。次は「Down To The Sound」。再びマイナー・キーで落ち着いた演奏に戻ります。続いてはマイナーはそのままで、ややテンポアップして「Train Home」が演奏されます。印象的なメロディを持ったナンバーです。

次はスロー・ブルーズ「What It Might Have Been」。短いですが、クリスのギター・ソロも堪能することができました。続いてのナンバーはチャック・ベリーの「Maybellene」のカバーなのですが、なんとマイナー・キーになっております。これはこれでカッコいいです。10曲目「Everything on Top」はちょっとスローな味わい深いナンバー。この曲もフォーキーで、素敵なメロディを持っています。続く「The Blame’s on Me」は再びマイナー・キーの曲。クリスのギターのドライブ感がたまらないです。「Change Your Mind」は、フォーク調の軽快なナンバー。サポート・メンバーのネックの長い楽器が民族楽器のようなサウンドを出していて、結構楽しい演奏です。後半の曲で、サポート・ギタリストはエレクトリック・マンドリン(マンドキャスター)も弾いていましたが、あまり音が目立たなかったです。

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左端のギタリストはマンドキャスター(or マンドストラト?)を弾いている。

ここで、クリスが観客に謝意を述べ、ラスト・ナンバー「Statesboro Blues」が始まりました。かなり気合の入った演奏です。テンポもやや速く、ステージ上のメンバーも、観客も最高の盛り上がりを見せます。

1曲1曲が短いので、たくさんの曲をやってくれましたが、あっという間の1時間でした。クリス自身のギター・ソロはそれほどありませんでしたが、歌伴でも。後、しばしばチューニングを変えてオープン・チューニングやドロップ・チューニングを駆使していたようです。思えば、これだけたくさんのステージを見て、アコギメインのアーティストは、クリスだけなのです。ボニー・レイットに提供した「Love You Like A Man」を聴くことはできませんでしたが、最新作『Call Me Lucky』から6曲を演奏するなど、近作からの選曲を中心に、スミザーらしい歌とギターで楽しませてくれました。贅沢を言えば、サポート・メンバー無しで、クリス一人の弾き語りのステージも見てみたかったな。いつか、そんな機会があれば、と思います。

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1.Open Up
2.Make Room for Me
3.Don’t Call Me Stranger
4.Time Stands Still
5.Nobody Home
6.Down to the Sound
7.Train Home
8.What It Might Have Been
9.Maybellene
10.Everything on Top
11.The Blame’s on Me
12.No Love Today
13.Change Your Mind
14.Statesboro Blues

Leo Nocentelli at New Orleans Jazz Fest 2019.5.3

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アキュラ・ステージから、ジェンティリー・ステージへ、またまた長い移動です。途中でフェスのTシャツを購入。ジェンティリーに着くと、サウンド・チェック中でした。中央にリオ、その上手側にベースのビル・ブッダ・ディケンズ 白い7弦ベースを抱えています。彼は2012年のオバマ支援コンサートの時のミーターズ&ネヴィルズ&ドクター・ジョン・セッション(アートとエアロンはいなかったけど)の時も出演していました。リオの下手側には女性コーラスが3人並んでいます。

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リオの孫娘 妹の方はママのところへ逃げ帰る

1曲目はフュージョンっぽいインスト・ナンバーでした。もちろんリオはソロを弾きまくり、サックスも吹きまくりでした。2曲目で、ミーターズの代表作のひとつ「Fire on the Bayou」が登場。この曲の時に、6歳くらいと3歳くらいの小さな女の子が二人、リオの前に置かれたマイクの前に進みでます。同じデニムのオーバーオールのスカートをはいているので、おそらく姉妹でしょう。最初は二人が並ぶのですが、妹の方が大観衆に怯えたのか、舞台袖近くにいた母親のところに逃げ帰ってしまいます。姉の方はリオと一緒に最後まで、「Fire on the Bayou」を歌いきりました。リオのリード・ヴォーカルは初めて生で聴きましたが、なかなかいい声だと思います。ミーターズはメンバー全員歌うわけですが、オリジナル・ミーターズでは、彼がリードを歌うことは、ほとんどなかったと思います。もちろん、この4人の中では全盛期のアートがダントツで歌は上手いのですが、他のメンバーもそれぞれに味のある声をしていますね。できれば、アート以外の3人、ミーター・メンで共演して欲しかったけど、ファウンデーション・オブ・ファンクとリオのライブが見れて3人全員の歌声が聴けてよかったと思いました。そして、曲が終わった後、小さな女の子二人はリオの孫娘だと紹介していました。ちょっと強面な感じのするリオですが、好々爺ぶりを発揮していました。

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颯爽と歌う姉

3曲目の前にしばしMC。「Great day, Men」の呼びかけの後、ジャズフェスの50回開催を讃え、初回、コンゴ・スクエアで行われたフェスにマヘリア・ジャクソンやリー・ドーシーがカウント・ベイシーが出ていたこと、そのフェスにミーターズで出演したことを振り返っていました。そして、マルディ・グラの曲と言って2008年にシングルでリリースしている「Say Na Hey」を演奏。白人二人、アフリカ系一人の女性コーラスが三人いるのですが、それぞれに1コーラスずつリード・ヴォーカルを振っていました。みんな素晴らしいヴォーカリストですね。白人の一人はデューシー・マローン。デイヴ・マローンのお嬢さんでした。やっぱり、ニューオーリンズに来たらマルディグラ・インディアン・ソングは欠かせませんね。

4曲目は、ミーターズで一番知られているであろうナンバー「Cissy Strut」の登場です。イントロは例の掛け声でなく、リオのギターがしばらくリズムを刻んでから例のリフに移ります。ホーンズもテーマの演奏に参加しますが、トロンボーンを吹いているのはビッグ・サムだったりします。途中でソロ回しがありベース奏者の超絶フレーズも登場します。7弦ベースだけあって、複弦のフレーズを織り交ぜ、後半は早弾きで圧倒します。続くドラム・ソロも白熱。まさにお手本セッションでした。最後の曲、と言って始まったのは「Hey Pocky Away」の登場。もちろん、客席も大合唱です。コーラス隊も活躍し、ソロをとる場面もありました。この曲でも孫娘ちゃんが登場し、コーラスを歌っていました。将来有望ですね。

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リオ・ノセンテリさん、手数の多いギター・ソロを弾きまくるので、2005年にオリジナル・ミーターズが再編されたころも、「もう少しおとなしめに弾いてくれんかなぁ」みたいな声が上がっていたように思います。確かに70年代に比べるとスタイルも変わったし、ある種の「スキマ」がミーターズの魅力だったので、その「スキマ」を埋め尽くすようなギターに異を唱える向きがあることは理解します。でも、彼のプレイは問答無用のカッティングを含め、聴いていて気持ち良いです。たった5曲で、フェス向きの選曲だったのかも知れませんが、ミーターズのメンバーとして、数々の歴史的リフを生み出したオリジネーターであるリオのステージは自分にとっては、とても魅力的でした。もう、アーティを交えてのオリジナル・ミーターズの再編は叶わなくなってしまったけど、例えばアイヴァンを交えたオリジナル・メンバー3人を含むミーターズ再編なんかがあったら、ぜひ見たいですよね。

Honey Island Swamp Band at New Orleans Jazz Fest 2019.5.3

ジェンティリー・ステージから、今度はアキュラ・ステージに移動します。ちょうど到着した頃に、ハニー・アイランド・スワンプ・バンドのステージが始まりました。2012年以来久しぶりの彼らのステージです。1曲目はその時にもやったファンキーなナンバー「Chocolate Cake」です。今回もホーンも入ってとっても心地良いし、ハーモニカやパーカッションも入って厚いサウンドになっています。なんでも、フロント、ツートップの一人、クリス・ミューレーさんが交通事故で療養中とのことで、代役のギタリストが入っているそうです。と、いうことで、リード・ヴォーカルはマンドリンもこなすエアロン・ウィルキンソンさんが全曲担当しているようです。

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2曲目「Watch and Chain」もピアノのイントロで始まる。ノリの良いナンバー。ボトルネック・ギターがとってもいい感じです。次も8ビートでノリが良い「Sugar For Sugar」。メジャーでハッピーな感じの曲が続きます。自分は一般ゾーン最前列の下手側にいたのですが、ふと目をやると、VIPゾーンの一番下手側でライブ・ペインティングが始まっています。

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ここで少し雰囲気を変えて、クラヴィネットとワウ・ギターをフューチャーしたフリー・テンポのイントロからマイナー・キーの曲が始まりました。ファンキーでカッコいい曲ですが、ちょっとシリアスな感じ。「Head High Water Blues」です。間奏はツイン・ギターとホーンズの後、ワウを効かせたクラヴィネットが活躍します。

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ライブ・ペインティングもかなり出来上がってきましたが、このあたりでリオ・ノセンテリを見るために再びジェンティリー・ステージに戻ることにします。7年前は短い曲をたくさんやってくれたような気がするけど、今回は1曲1曲が長いですね。それはそれで楽しいんですが。

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ハニー・アイランド・スワンプ・バンドは、今回のライブ・レコーディング音源が公式発売されているので、この後、「Bone Shaker」と「High River Rag」の2曲を演奏したことがわかります。彼らの演奏はオーソドックスなロック、ファンクだけれども、根っこの部分にニューオーリンズならではの「血」が感じられます。メンバーは全員白人だし、ブルーズはあまりやらないけど、間違えなく良質なサザン・ロックだし、まさにスワンプ・ロックなのです。テデスキ・トラックス・バンドが売れるなら、このバンドももっとメジャーになってしかるべきだと思うのだけれども、ちょっと「花」が足りないのかなぁ。とにかく、クリスさんが早く元気になって戻ってきてもらって、更なる高みを目指してほしいものです。

1.Chocolate Cake
2.Watch and Chain
3.Sugar For Sugar
4.Head High Water Blues
5.Bone Shaker
6.High River Rag

New Orleans Council on Aging Community Choir at New Orleans Jazz Fest 2019.5.3

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亡くなった関係者のボード

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ソフトシェル・クラブのポーボーイ

この日も、朝はホテルのコーヒーとバナナで軽く済ませ。早めのバスで開演前に会場に到着し、屋台へ向かいます。今日のお目当てはソフト・シェル・クラブのポーボーイです。日本の「渡り蟹」に似ていますが、皮が柔らかく、フライにするとバリバリと食べることができます。人気メニューのようなので、混み合う前に注文し、人の少ない野外テーブルで食べることにしました。自分の斜め前に座っていたやや年上らしき白人女性と少々会話します。持ってきたアップル・パイが多すぎるので、と勧められましたが、食事が終わったばかりで甘いものはToo Muchだったので丁寧にお断りしました。

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ゴスペル・テント恒例のスタッフによるサウンド・チェック

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New Orleans Council on Aging Community Choir

この日の朝一番は、とりたてて見たいグループが無いので、ゴスペルテントに向かいます。まず、ディレクター達の達者なサウンド・チェック・コーラスを聴き、最初の出演者を待ちます。その名も「ニューオーリンズ高齢化コミュニティ評議会合唱団」。その名の通りかなり高齢のアフリカ系の男女のクワイヤーです。高齢の皆さんなので、もちろんトラディショナルな選曲。クワイヤーとしての質の高さはそれほどではないにせよ、おおむね80代以上の方々が元気に大声で歌っている姿を見られるだけで感激ですよね。ソリストの皆さんも、とってもいい声です。年輪が刻みこまれた熱い歌声を聴いていると、胸に迫ってくるものがありますね。

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移動の途中でジャズ&ヘリテージ・ステージでチラ見したコマンチェ・ハンターズ・マルディ・グラ・インディアン

クワイヤの演奏は約20分ほど、5曲で終了。続いてジェンティリー・ステージまで、てくてく歩いて行き、気になっていたシャマー・アレンを少しだけ見ることにします。このステージでは、すでにトップバッターのアーティストの出番が終わっており、舞台転換中です。会場はまだ午前中とあって、結構空いています。体力温存のため、芝生に座ってキンドルで読書をしておりましたら、頭上で「How are you doing?」の声が。昨日も声をかけてくれた若い白人の女性スタッフとタッチを交わします。

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ジェンティリーに移動する前に再び食事。シュリンプ・ヤキソバ

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ジャズフェス名物 ストロベリー・レモネード

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シャマー・アレンと彼のバンド

しばらくすると、バッグパックを背負って、トランペットを片手に持ったアフリカ系の青年が登場。彼がシャマー・アレンです。バンドはギター、ベース、ドラム、キーボード、コンガ、DJ、本人を入れると7人編成です。1曲目、マイナー・キーのファンク。コンガもDJのヒス・ノイズもGood Sound。シャマーのヴォーカルもラップ調だったりします。もちろん、彼のトランペット・ソロもエモーショナルでした。2曲目もマイナー。こちらはカンペキ歌モノでした。Youtubeで見たハッピーな曲も聴いて見たかったのですが、ハニー・アイランド・スワンプ・バンドを見るためにアキュラ・ステージに移動します。短時間でしたが、ヒップホップ感覚を持ち才能溢れる若い人たちのプレイを見れてよかったと思います。

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トランペットを吹くシャマー

Dead Feat at Republic New Orleans 2019.5.2

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この日、帰りのシャトル・バスで日本から来られた男性の方の隣に座らせてもらい、少々お話をしました。鎌倉から来られたNさんと言われる方で、やはりヴァン・モリソンが一番のお目当てだったようです。3日のフェスを見たあと、4日には帰路に着かれるとのことでした。自分より少々歳上らしく、1978年にはローウェル・ジョージ在籍時のリトル・フィートをご覧になっておられるようです。この日の夜にはアイヴァン・ネヴィルのピアノ・ナイトに行かれるとのことでした。

ホテルに帰着して、シャワーを浴びた後、夕食に出かけます。この日は夜10時から、リパブリック・ニュー・オーリンズでのデッド・フィート。まだ十分時間があります。そこで、2年前も行ったフェリックスに行ってカキ料理を食べることにします。このお店、外から豪快にカキを焼いているところが見えたりします。1人なので前回と同じように、今回もカウンター席。お店は満員で外に列ができています。自分も少しの間並びました。お店ではコーヒーとオイスター・ビエンビルのダースを注文しました。前回はちゃんとホットコーヒーを持ってきてくれたのに、今回はなんだか珍しい味のする瓶の飲料がおかれました。オイスター・ビエンビルはカキのクリーム・ソース焼きのような料理で非常に美味でした。少しだけカキ殻がジャリっとするのはご愛嬌。

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オイスター・ビエンビル

隣にはセントルイスから来たという自分より少し年上のご夫婦。ご主人の方と少し話しましたが、ちょっと訛っていて聞き取りにくかったです。自分はリトル・フィートが好きと言うと、ちょっと大きな声で「リトル・フィートが好きなのか。自分はデイヴ・マシューズが好きなんだ。」とか言ってました。自分が、短時間で料理を平らげるのを見て驚いていました。夜のライブに行くので、急ぎ気味で食べたもので。

リパブリック・ニュー・オーリンズは、ハウリン・ウルフの近くでホテルから歩いて10分くらいです。元は倉庫で使われていたような、長屋状の建物の一区画を利用しています。もともと、この店がハウリン・ウルフだったようで、現在地に移転した後、こちらはリパブリックになったとのことです。吹き抜けがあり、2階からもライブを見ることができます。

デッド・フィートはジャズフェス期間中に毎年やっているイベントで、通常、フィートのポール・バレール、フレッド・タケット、そしてアンダース・オズボーンが参加しています。今年は本編にフィート本体が参加とあって、ベースのケニー・グラッドニーも参加が決まりました。しかも、パーカッションではデヴィッド・リンドレーとの来日経験がなんどもあるウォーリー・イングラムも出演します。他にも見たいイベントは色々あるのですが、フィート・ファンとしては、一度はこのイベントを見ておきたかったのです。

会場に着いたのは開演予定時間の10分前。直前にこのイベントはソールド・アウトになっている人気ぶりです。会場内にはすでにたくさんのお客さんがいましたが、なんとか1階フロア内からライブを見ることができました。ニューオーリンズにしては珍しく定刻を5分過ぎたころにメンバーがステージに現れました。ギター&ヴォーカルは、アンダース、ポール、フレッドの3人。キーボード&ヴォーカルはジェリー・ガルシア・バンドのメンバーだったメルヴィン・シールズ、ベースはケニー、パーカッションにウォーリー、さらにドラマーを加えての7人編成で、最初から最後までこの編成で演奏しました。

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冒頭のナンバーはアンダースが歌う「Franklin’s Tower」。めちゃめちゃいい感じでデッドの雰囲気を醸し出しています。次の曲もデッド・ナンバー。永遠の名盤『American Beauty』から「Friend of the Devil」の登場。カントリー・タッチのこの曲もアンダースが歌い、フレッドは原曲に忠実にマンドリンを弾いています。

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マンドリンを弾き、歌うフレッド

次は、フィートのスタジオ盤最新作『Rooster Rag』から「A Church Falling Down」を披露。ブルージーな曲調でフレッドがマンドリンを弾きながら、味のあるヴォーカルを聴かせます。ちょっと意表を突く選曲でした。次の曲はイントロだけで分かります。ポールの重厚なナンバー「Old Folks Boogie」の登場です。三十数年ぶりに聴くポールの歌声、いいですよねぇ。7人編成の厚みのある演奏に酔いしれます。曲は、最近ではサム・クレイトンが歌っている「Spanish Moon」へと続きます。ここではポールが引き続きリード・ヴォーカル。こういう曲ではウォーリーのコンガの存在感が増します。曲が終わると、フレッドが再びマンドリンにもちかえ、始まった曲はアラン・トゥーサンの「Everything I Do Gonna Be Funky」。この編成で、このナンバーが聴けるなんて堪らないものがあります。フレッド、歌は決して上手くはないけど、とっても味があるいい歌声です。

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ポール

ここでアンダースのオリジナル「Move Back to Mississippi」が演奏されます。フレッドは、今度はトランペットに持ち替え、素敵なフレーズのオブリをはさみます。曲も良く、アンダースの歌のうまさが引き立ちます。

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アンダース

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トランペットを持つフレッド

次は、静かなイントロのフレーズで「Knockin’ on Heaven’s Door」だと分かりました。歌はメルヴィン。この1曲しか歌いませんでしたが、とってもいい声で技巧も優れています。静かなバラードではウォーリーの小技が際立ちます。この曲からフレッドは再びマンドリンを弾きます。そして、フィートの代表的なナンバー「Sailin’ Shoes」の登場。リード・ヴォーカルはポールです。ポールのギターとフレッドのマンドリンが絡み合い心地よいサウンドを生み出しています。

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メルヴィン

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ウォーリー

次は再びアンダースのオリジナル「Oh Mama」です。この曲もサビのフレーズが印象的でした。曲が終わって始まったイントロのフレーズでフィートの代表曲「Dixie Chicken」と分かります。もちろんウォーリーのコンガも大活躍、リード・ヴォーカルはもちろんポールです。周りのお客さんは、ほとんど自分より年長でしょうけど、みんな歌詞を口ずさんでいます。曲は、途中でほぼ同じリズムのデッドの「Tennesse Jed」に移行。そのままポールが歌います。歓声が上がり、お客さんの多くは、そのまま歌い続けています。曲は再び「Dixie Chicken」に戻って終わります。ここまでおよそ2時間。最後の曲が盛り上がったので、アンコールを求める声が巻き起こります。しかし、メンバーは舞台を去っていき。ケニーがマイクに向かって「Let’s go drinking!」と、少し呆れ声で言っていました。

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残念ながらアンコールはなかったけど、大半知っている曲で本当に楽しめたライブとなりました。フィートのメンバー3人に加え、ガルシア・バンド出身のメルヴィン、そして腕利きミュージシャンのアンダースにウォーリー。演奏の素晴らしさは言わずもがなです。5月5日にはフェスでリトル・フィート本体を見ることができましたが、そこでは「A Church Falling Down」、「Old Folks Boogie」、「Sailin’ Shoes」は聴けなかったし、「Spanish Moon」はサム・クレイトンが歌っていました。本当に貴重なライブが見れて感激でした。様々な夜のライブの中でも、思いれという点ではThe Wordと1・2を争うライブでした。

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ウォーリーのパーカッション

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メルヴィンのオルガンとキーボード

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フレッドの足元

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ポールの足元 比較的シンプル

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アンダースの足元が一番豪華

1.Franklin’s Tower(A.O.)-A
2.Friend of the Devil(A.O.)-G
3.A Church Falling Down(Fred)-C
4.Old Folks Boogie(Paul)
5.Spanish Moon(Paul) -A
6.Everything I Do Gonna Be Funky (Fred)
7.Move Back to Mississippi (A.O.)-A
8.Knockin’ on Heaven’s Door (Melvin)
9.Sailin’ Shoes(Paul)-G
10.Oh Mama(A.O.)-G
11.Dixie Chicken(Paul)-G
12.Tennesse Jed(Paul)-G

実際のセットリストは上記の通り。メンバーの足元にあったセットリストには、下記のように書かれていました。もっとも、7曲目のメルヴィンの曲は元曲の上に手書きのマジックで「Knockin’ on Heaven’s Door」と書かれていました。その修正後も、「Old Folks Boogie」が追加され、「What Love Will Make You Do」と「Make A Better World」が無くなるという変更が加えられたようです。

1.Franklin’s Tower(A.O.)-A
2.Friend of the Devil(A.O.)-G
3.A Church Falling Down(Fred)-C
4.Spanish Moon(Paul) -A
5.Everything I Do Gonna Be Funky (Fred)
6.Move Back to Mississippi (A.O.)-A
7.Knockin’ on Heaven’s Door (Melvin)
8.Sailin’ Shoes(Paul)-G fred-M
9.Oh Mama(A.O.)-G fred-M
10.What Love Will Make You Do (Melvin)-C
11.Dixie Chicken(Paul)-G
12.Tennesse Jed(Paul)-G
13.Make A Better World(A.O. All)-E♭

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フレッドの足元にあったセットリスト

Mavis Staples at New Orleans Jazz Fest 2019.5.2

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メイヴィス・ステイプルスは先日80歳になりました。今回見たビッグ・ネームの中では最年長です。でも、彼女のパワーは今回見た全出演者の中でも最大級でした。2012年に見たときも、たくさんパワーもいただきましたが、今回も全く衰えを見せておらず、より強く大きなオーラを発しているように感じました。彼女自身のオリジナル・アルバムも2016年以来3枚、ライブ・アルバムが1枚、それに加えて自身も出演しての彼女に対するトリビュート・ライブ盤もリリースされるなど、とっても好調な様子がうかがえます。

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司会者がメイヴィスを紹介すると大きな歓声が巻き起こります。バンドはあいかわず、ギター、ベース、ドラムスのミニマムな編成。2008年のライブ盤以来変わらぬメンバーです。コーラスは男性と女性が1名ずつ。バンドの演奏に乗せて舞台上手からピンク色の衣装に身を包んだメイヴィスが登場します。曲はステイプル・シンガーズの名曲「If You’re Ready(Come Go With Me)」。久々に聴く彼女の生の歌声に心が震えます。2曲目には2016年のアルバム『Livin’ on a High Note』の1曲目に収録されている「Take Us Back」。ブルージーなギターのサウンドに乗せてメイヴィスのエモーショナルな歌声が真摯なメッセージを届けてくれます。

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3曲目、「Slippery People」はトーキング・ヘッズのカバー。彼女へのトリビュート・ライブ盤『I’ll Take You There』に収録されていてアーケイド・ファイヤーのウィン・バトラーとレジーヌ・シャサーヌュと共演していたバージョンを聴いて驚かされたのですが、ステージでは上記のバンド編成でとってもファンキーにカバー、デヴィッド・バーンの歌を結構忠実になぞっています。今年リリースの『Live In London』にも収録されていました。

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この曲の後、メイヴィスは「シカゴ、イリノイ!」と叫び、「マディ・ウォーターズ!、バディ・ガイ!、ハウリン・ウルフ!」とシカゴ・ブルーズの偉人達の名前をあげ、ハウリン・ウルフお得意の狼調のハミングを口ずさみます。このあたりは『Live In London』にも同じような展開がありますが、呼ぶ名前の順番が違って、ハミングはありませんでした。続いて始まった曲は、2017年の『If All I Was Was Black』収録の「Build A Bridge」です。出だしはコーラスの女性の歌をフューチャーしています。

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ここから2曲、「Change」と「Anytime」は、フェスの直後にリリースされたベン・ハーパー・プロデュースの最新アルバム『We Get By』の冒頭の2曲です。両者とも、まるでシカゴ・ブルーズのようなナンバー。メイヴィスの太い声とぴったりマッチしています。そして、メイヴィスがゲストのトロンボーン・ショーティを紹介。大歓声が巻き起こります。曲は『If All I Was Was Black』収録の「Who Told You That」。ショーティは間奏でたっぷりと得意のトロンボーン・ソロを聴かせます。

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トロンボーン・ショーティがゲスト参加

ショーティは1曲で退場。続いて始まったのは、バッファロー・スプリングフィールドの1967年のヒット・ナンバー「For What It’s Worth」。この曲もメッセージ性が強いですね。メイヴィスは2008年ライブ盤の冒頭でカバーしていましたし、4月29日のクロウフィッシュ・フェスではネヴィル・ジェイコブズもこの曲をカバーしておりました。

続いて、2010年のジェフ・トゥイーディ・プロデュースのアルバム『You are not Alone』から「We’re Gonna Make It」そして、タイトル曲が続けて演奏されます。後者は今本当に聴きたかった曲です。曲の終わりがけに「Thank You, Mavis!」と大声で叫びましたが、自分の声は彼女の耳に届いたでしょうか。

ライブは山場。感動的なステイプル・シンガーズ時代のナンバー、「Touch A Hand」。イントロで力一杯一人一人メンバー紹介をし、客席は総立ち。ブルーズ・テントが一体となりました。そして、ラストはジェフ・トゥイーディとメイヴィスが書いた「No Time For Cryin’」で締めくくられました。予定通りちょうど1時間ほどの演奏。多くのナンバーが、最新ライブ盤のLive In London』収録曲でしたが、未収録曲も5曲ありました。

彼女の力強い歌声には、絶望の淵に立っても決して諦めてはいけない、前向きに生きなければいけないというポジティブなメッセージが込められています。そして現状に満足してはいけない、闘うべきは闘って、権利を勝ち取らなければならないという毅然とした姿勢も感じます。ややもすると、様々な状況に負けてしまいそうになる自分の弱い心に、時に優しく、時に力強く寄り添ってくれる、メイヴィスと彼女のバンドの演奏には、そんな深い温かさを感じることができました。

1.If You’re Ready(Come Go With Me)
2.Take Us Back
3.Slippery People
4.Build a Bridge
5.Change
6.Anytime
7.Who Told You That
8.For What It’s Worth
9.We’re Gonna Make It
10.You Are Not Alone
11.Touch a Hand
12.No Time for Crying

Rita Coolidge at New Orleans Jazz Fest 2019.5.2

今朝、パソコンを開いてネットをチェックすると、アート・ネヴィルが81歳の生涯を閉じたとの記事が上がっていました。とっても大好きなプレーヤーだったので、本当に、本当に残念です。ご冥福をお祈りいたします。今まで素敵な音楽を聴かせてくれてありがとうございました。

それにしても、ジャズフェス終了後の6月以降、ドクター・ジョン、ラップスティール・ギターも弾くスペンサー・ボーレン、ザディコ・ミュージシャンのリル・バック・シネガル、デイヴ・バーソロミュー、そして、今回のアーティと、ジャズフェスに馴染みの深いミュージシャンの訃報が続きました。ちょうど時代の変わり目なのかもしれませんが、それにしても、この約2月の間に集中していますね。

アートのことは、1987年にドクター・ジョンとネヴィル・ブラザーズの共演を見て以来、大好きなミュージャンで、2年前、ニューオーリンズに来たときには、ティピティーナズでのファンキー・ミーターズと、ジャズフェスでのオリジナル・ミーターズの二つのステージを見ることができました。本当に身体の自由が利かなくなるまで、懸命にステージを務めたアーティの姿をずっと心に留めておきたいと思います。

さて、リポートに戻ります。

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リタ・クーリッジも過去に何度も来日経験のあるミュージシャン。初期のアルバムやクリス・クリストオファソンとのデュオ・アルバムは色々持っているのに、なぜ今まで見に行かなかったのかなぁと自問しております。1年ほど前にリリースされたアルバム『Safe in the Arms of Time』がかなりよかったので、とっても見てみたい思いがつのっておりました。今回のジャズフェス出演はとってもラッキーです。

ジェンティリー・ステージに着いた時はセッティング中。一般エリア最前列近くも、それほど混雑していなかったので、なんとかその辺りで見ることができました。若干女性ファンが多い印象です。定時になると司会者が登場し、「She is a real southern lady. She is who dad! Delta Lady Rita Coolidge!」と紹介。舞台下手からサングラスをかけたリタが登場します。1曲目はアラン・トゥーサンのナンバー「Basic Lady」。転がるピアノに絡むエレクトリック・ボトルネック・ギターはまるでリトル・フィートみたいです。やはり、ジャズフェス出演とあってニューオーリンズの偉人に敬意を表したのでしょう。2曲目は、かつての夫、クリス・クリストオファソンのナンバー「Late Again (Gettin’ Over You)」。マイナー・キーで渋い曲ですね。

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3曲目に最新作『Safe in the Arms of Time』の冒頭に収録のナンバー「Satisfied」を演奏。「デヴィッド・グリッソンと、みんなもよく知っているクリス・ステイプルトンが書いた曲よ。」と紹介しました。クリス・ステイプルトンは今とっても売れているカントリー系のシンガー・ソングライターで、今回のジャズフェスでも5月3日のヘッドライナーを務めます。続いては、「私の友達、グレアム・ナッシュとラス・カンケルが描いてくれた曲です。」と言って、やはり最新作の2曲目「Doing Fine Without You」をプレイ。自分はリタの元恋人であったグレアム・ナッシュの大ファンですが、この曲は彼の作品の中でも出色の出来だと思います。さらには、「次の曲はケブ・モが書いてくれた曲です。」と言って「Walking on the Water」を演奏します。『Safe in the Arms of Time』の冒頭3曲が曲順通りに再現されます。アルバムではケブ・モが弾いているボトルネック・ギターも達者なバンド・メンバーのギタリストが忠実に再現しています。

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この曲が終わると、リタは5日の日曜にアラン・トゥーサンのトリビュート・ステージに出演すること、そして、偉大なプロデューサーで作曲家でもあり、シンガー&ピアニストでもあったアランの思い出を少し語り、冒頭に歌った「Basic Lady」が彼の曲であることを告げて、もう一曲アランのカバー「Shoo-Rah」を歌ってくれました。ここでも転がるニューオーリンズ・ピアノが心地よいです。

このあとのMCで、「1969年を振り返ると、ディレイニー&ボニー・ウィズ・フレンズと一緒にイギリスをツアーしたわ。彼らはロックンロール・ファミリーだった。その時、バンドに参加したギター・プレイヤーがエリック・クラプトンだった。」という昔話のあと、しっとりと「Superstar」を歌い始めました。この曲で、それまでおしゃべりをしていた人の多くが話をやめてリタの歌に集中し始め、明らかに空気感が変わりました。もともと、この曲はディレイニー&ボニーのナンバーだったのですが、ジョー・コッカーのマッドドッグス&イングリッシュメンのツアーでリタが歌ったのをきっかけに、彼女の歌唱が世界的に有名になり、彼女がソロ・デビューするきっかけになった曲でもあります。1番が終わると拍手と歓声が巻き起こります。ジョー・コッカーもリオン・ラッセルも、この世を去ってしまったけど、リタの歌うこの名曲を直に耳にすることができて本当によかったと思います。

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次の曲は再び『Safe in the Arms of Time』収録のケブ・モのナンバー「Naked All Night」。この曲もキャッチーでいいでよね。曲が終わると、バンド・メンバーが5月 1日がリタの誕生日だったことを告げ、みんなでハッピー・バスデーを歌うように促します。1コーラス歌い終わる頃に始まった曲は彼女のファースト・アルバムに収められているアルバート・キングのカバー「Born Under the Bad Sign」でした。何と言っていいか分からない演出ですね。ファーストは、彼女のアルバムの中で一番のお気に入りです。その中のナンバーが聴けるとは思っていなかったので嬉しかったです。

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「Fever」ではウッド・ベースも登場

続いてはネヴィル・ブラザーズもレパートリーにしていた「Fever」の登場。滋味溢れるリタの歌声に、渋いこの曲はぴったりです。このあたりからライブは佳境。テンプテーションズの「The Way You Do The Things You Do」からメドレーでマーヴィン・ゲイの「How Sweet It Is」につなぎ、バンド・メンバーそれぞれにたっぷりソロを振る展開になり盛り上がりました。

自分は、静岡のIさんに席を取ってもらっているので、このあたりでブルーズ・テントに移動です。次の曲は多分ジャッキー・ウィルソンの「(Your Love Keeps Lifting me) Higher and Higher」だったと思います。もしかしたら、他にもう1曲くらい演奏したのかもしれません。

彼女のステージはとってもよかったのですが、ファースト・ウィーク・エンドの最終日に見たボニー・レイットと比べると、圧倒的にボニーの方が声量、パフォーマンスともに優っていました。70年代には、リタの方がずっと人気があったのですが、近年のステージに賭ける熱量で比べるとボニーに軍配が上がるのでしょう。それは二人の現在の人気の差にも比例するようです。もし、ボニーを見なければ、こんな風に比べる事もなかったでしょうけど…。けれど、一度は見てみたかったリタのステージを深南部のニューオーリンズの地で見れて、アラン・トゥーサンのナンバーを2曲もやってくれて本当によかったと思います。

1.Basic Lady
2.Late Again (Gettin’ Over You)
3.Satisfied
4.Doing Fine Without You
5.Walking on the Water
6.Shoo-Rah
7.Superstar
8.Naked All Night
9.Born Under the Bad Sign
10.Fever
11.The Way You Do The Things You Do / How Sweet It Is
12.(Your Love Keeps Lifting me) Higher and Higher

メイヴィス・ステイプルスを見るために、ブルーズ・テントに到着。しばし探して静岡のIさんと合流します。ステージでは、まだエリック・リンデルが演奏中。4曲くらい聴くことができました。2年前に来た時もほんの少しだけ見たのですが、ブルーズというよりもシンガー・ソングライター系のミュージシャン。彼の代表曲、「Space Cowboy」や前年に亡くなったアリーサ・フランクリンのことを思って演奏したと思われる「Areatha」というナンバーも演っていました。とってもいい声でギターも素晴らしいです。彼といい、タブ・ベノアといい、マローン兄弟といい、他にもたくさんいますが、ニューオーリンズには素敵なシンガー・ソングライターが多いですね。

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エリック・リンデルと彼のバンド

Ivan Neville’s Dumpstaphunk at New Orleans Jazz Fest 2019.5.2

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アキュラ・ステージに出演するダンプスタファンク

アキュラ・ステージはこの日4番目のアーティストを迎えます。そろそろ、セッティングが終了した模様。ドラムがリズムを刻み始めます。1曲目からいきなり彼らにしては珍しくノベルティ調というか、明るい感じの「Street Parade」で幕開けです。2年前、同じ場所で彼らのステージを見た時は、もっと後の方で演奏していました。アイヴァンがいい喉を聴かせ、もちろんホーンズも参加して演奏を盛り上げます。2曲目はインストの「Gasman」。前回(2年前)も聴いたような気がしたのですが、勘違いでした。2011年のアルバム「Everybody Want Sum」に収録されていて耳に馴染んでいた曲です。

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ベースを弾くトニー。ニックとともにベース担当。

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ホーンズはトランペットとトロンボーン

3曲目は、前回もやった「Do You」。印象的なリフに乗せて3人のヴォーカリストが交互に歌います。ニックとアイヴァンはストーンズの例のベロマークのTシャツを着て、ストーンズに敬意を表しています。4曲目のインスト「I Wish You Would」は、2013年のアルバム『 Dirty Word』収録ですが、おそらくライブでは初めて聴きました。

ここでゲストが2人登場。1人はサックスのカール・デンソン、もう一人はギターのブランドン・タズ・ニードラウアーです。ニックのイェイの掛け声で、イアンのギターが聞き覚えのあるリフを奏で始めます。ローリンズ・ストーンズのカバー「Can’t You Hear Me Knocking」です。『Sticky Fingers』収録曲でリード・ヴォーカルはニック。間奏では、まず、ゲストのカール・デンソンが渋いソロを聴かせます。続いて若干16〜17歳のブランドンが、テクニカルな早弾きのソロで演奏を盛り上げます。弾いているギターはディアンジェリコのブルーのレスポール・タイプ。なかなかいい音です。今回、ストーンズが来れなくなったかわりに1曲、というところでしょうか。

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リード・ギターを弾くブラントン・タズ、テナー・サックスを抱えているのはカール・デンソン

次は2017年のジャズフェスでは冒頭に演奏したバディ・マイルズのカバー「United Nation Stomp」です。あともう少し、最後まで聴いていたいのですが、リタ・クーリッジをいい場所で聴きたいので、この辺りでアキュラ・ステージを離れます。ネヴィル・ブラザーズが持っていたメッセージ性を継承し、現代のニューオーリンズ・ファンクの第一人者として君臨するダンプスタ・ファンク。2年前にシングルはリリースしていますが、6年ほどアルバム・リリースがないのが気がかりなところです。新作アルバムの発表を期待しています。なお、去る7月15日には、メルセデスベンツ・スーパー・ドームで行われたローリンズ・ストーンズの順延公演で、ソウル・レブルとともに無事オープニング・アクトを務めたようです。

1.Street Parade
2.Gasman
3.Do You
4.I Wish You Would
5.Can’t You Hear Me Knocking
6.United Nation Stomp
7.Justice

続いて、ジェンティリー・ステージにリタ・クーリッジを見に行く途中に通りがかったコンゴ・スクエア・ステージではビッグ・サム&ファンキー。ネイションが演奏中でした。2年前、彼らのステージは4曲ほど見れたけど、かなりカッコよかったです。今回も見たかったけど、ダンプスタとリタと被っているのでチラ見程度となりました。また、次の機会にでも。

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コンゴ・スクエア・ステージで歌うビッグ・サム

Samantha Fish at New Orleans Jazz Fest 2019.5.2

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サマンサ・フィッシュ・バンド

さて、続いてはサマンサ・フィッシュのステージです。彼女はミズーリ州カンサス・シティ育ちの今年30歳。2009年デビューですからプロのキャリアは10年です。バービー人形みたいなルックスの典型的な美人で衣装もセクシー。それでいて、ワイルドでテクニカルなギターの腕を持っているし、もちろん歌も素晴らしいです。野外フェスとあってサングラス姿で登場。この日はオシャレなパンツスーツ姿です。近年ジャズフェスは常連。フェス以外でもライブハウスや色々なイベントに引く手あまた。まだ生で見たことがなかったので、今回のステージを楽しみにしていました。

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SGを弾くサマンサ

1曲目はアップテンボのファンキー・ブルーズ調「Wild Heart」。文句なくカッコいいです。ボニー・レイットも最初にジャズフェスに出た時は彼女より若かったみたいですが、サマンサはボニーよりぐっとハードな感じのミュージシャンですね。2曲目は「You Can’t Go」はアップ・テンポのソウルフルなロック。ホーンズもいい感じで絡んで着ます。サマンサが弾くのはギブソンのSG。バッキングもソロもなかなかいいサウンドです。この曲で早くもサングラスを外しますが、右目には大きな星形のペインティングが施されています。

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ジャガーを弾き歌うサマンサ

白いフェンダー・ジャガーに持ち替えての3曲目。曲調が一転して明るいアップテンポのカントリー・タイプになります。曲は「Little Baby」。間奏ではトランペットやサックスもソロをとり、エンディングではサマンサがたっぷりソロを聴かせます。続いての曲「Don’t Say You Love Me 」は再びマイナー・ブルーズ調。落ち着いたミディアム・テンポでエモーショナルに迫ります。

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ジャガーでもソロを決める 

「Somebody’s Always Trying 」は、 冒頭アカペラでサマンサの絶唱。インテンポからは懐かしいロックンロールの雰囲気を醸すマイナー・キーのナンバー。60年代のガール・グループを思い起こさせます。ホーンズもいい感じ、途中からスローになり、サマンサが思いのたけをギターに託す感動的な展開になります。圧巻です。エンディングは出だし以上の絶唱で締め。このステージのハイライトと言えるプレイでした。

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シガー・ボックス・ギターはボトルネック奏法で

再びアップテンポの「Bulletproof」をカッコよく決め、ラストはブッカ・ホワイトのカバー「Shake ‘Em on Down」。ここでは、シガー・ボックス・ギターをボトルネック奏法で弾き、結構イナタい音を出していました。とっても好感が持てます。ホーンズとの掛け合いもバッチリです。

今回は野外フェスということで、スピード・ナンバー中心の選曲だったようです。ホント才色兼備。人気が出て当然ですね。今度ははバラードも聴きたいなぁと思います。

1.Wild Heart
2.You Can’t Go
3.Little Baby
4.Don’t Say You Love Me
5.Somebody’s Always Trying
6.Bulletproof
7.Shake ‘Em on Down

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終演後の挨拶

次のダンプスタファンクのセッティングの途中に、ハンチングを被った小柄なおじいさんと、数名の関係者がステージ上に現れました。おお、あの方はジョージ・ウェインではないですか。ニューポート・ジャズ・フェスティバルだけでなく、このニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテイジ・フェスティバル、ロサンゼルスのニューポート・フォーク・フェスティバルなど、様々なフェスティバルを立ち上げ、企業名を冠したフェスティバルを開催し多大な資金を引き出すことに成功した偉人です。彼にジャズフェスの基金から「ニューオーリンズの街の鍵」が贈られます。今年94歳になるウェインの元気な姿を見ることができ、あまり聞き取れなかったけど感謝のスピーチを聴くことができてラッキーでした。

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「ニューオーリンズの街の鍵」を受け取るジョージ・ウェイン

Anders Osborne at New Orleans Jazz Fest 2019.5.2

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アキュラ・ステージ

ティン・メンの楽しいライブが終わり、水分補給にジャズフェス名物のレモネードを買って、アキュラ・ステージに移動します。すでにアンダース・オズボーンのステージは始まっており、しばし後ろの方でレモネードを飲みながら見ることにします。静岡のIさんからは、すでにアキュラ・ステージに到着しているとのメールが届いています。レモネードを飲み干したあと、音楽を聴きながら、ゆっくりとステージ近くを目指します。曲はレゲエ調のリズムを持つ「Sarah Anne」です。久々に生で聴くアンダースの歌声です。2年前のジャズフェスでも彼のステージを見たのですが、途中で抜けちゃったので、今回はじっくりと最後まで見ることにします。もっとも、ローリング・ストーンズ出演予定の際のタイムテーブルだと、アンダースの後半とリタ・クーリッジがかぶるので、やはり途中抜けする予定だったのが、ストーンズのステージが無くなって大幅に他のステージのスケジュールが大幅に変更となったため、ゆっくり最後まで見れるようになりました。

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Iさんと合流し、一緒にアンダースのステージを楽しみます。2曲目は「Had My Reasons」。かなりカッコいいブルージーなナンバーです。この後のメンバー紹介で、もう一人のギタリストは先日クロウフィッシュ・フェスで見たクリス・ジェイコブス、ドラムはチャド・クロムウェルだとわかりました。クリス、自身のテレキャス以外はアンダースのギターを借りてるみたいで、ヤマハのアコギとオープン・チューニングの黒いストラトを弾いていました。そのストラトはアンダースもボトルネックでプレイします。また、アンダースはレスポールも愛用し、このステージでも使っていました。

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MCの後はマイナー・キーのスピード・ナンバー「Big Talk」。途中からテンポを落としバラードになりますが、このダイナミックな展開がなんとも素晴らしいです。スローになってからのピアノ、クリスのアコギ・ソロ、そしてアンダースのギター・ソロ、すべてが美しかったです。4曲目の「Traveling With Friends」は、新作アルバムのラストに収録されているシンガー・ソングライター調のナンバーでとってもいい曲です。かなり気に入りました。5曲目は2012年のアルバムに収録されていて、その年ルイジアナ・ミュージック・ファクトリーのインストア・ライブでも聴けた「Black Tar」。ブルージーな曲調にアンダースの声とギターがぴったりとはまっています。ラスト・ナンバーは「Isis」。三拍子のロックで、クリスのボトルネック・ギターが活躍します。

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演奏したのは、たったの6曲。まだまだ聞き足りない感があります。しかし、1曲1曲が結構長いので、約1時間のステージをこなしています。アンダース、クリス、二人とも気合の入ったソロを弾いてたし。とにかく、ジャズフェスで初めてアンダースの出番をほぼフルステージ聴けたので満足です。個人的には『Which Way To Here』収録のナンバーも聴きたかったんですけど、それは贅沢というものでしょう。もっとも、この日の夜はデッド・フィートのライブで、またアンダースの歌をギターを聴くことができます。それも楽しみです。

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アンダースも連日ライブがあるようで、バイタリティ凄いなぁと感服させられますが、ジョージ・ポーター・Jr.とか、もう70歳をすぎているのにあれだけライブに出てる人もいるので、まだまだ頑張らねば、というところですかね。

1.Sarah Anne
2.Had My Reasons
3.Big Talk
4.Traveling With Friends
5.Black Tar
6.Isis

Tin Men at New Orleans Jazz Fest 2019.5.2

やっぱり音楽中心だったけど、少しばかり市内観光もできたし、ほんのちょっとのんびりできたデイズ・ビットウィーンも終わり、この日から怒涛のジャズフェス後半戦です。前半と同じように朝10時過ぎのバスに乗って早めの会場入り。ホテルではコーヒーだけにして、会場で食べたかったクロウフィッシュ・サックのセットを頼みます。まだ準備ができていない屋台では、「すだれ」のようなものが下りているのですが、クロウフィッシュ・サックのコーナーは開いていたので、ちょっと値が張るけど、セットを注文すると中から「No Sack」の声が。まだサックが出来上がっていないよう。接客のアフリカン・アメリカンの女性に「10分待って」と言われ、近くのCDショップに。以前に比べて売られているディスクの数が激減しているような気もするのですが、ニューオーリンズでした手に入らないようなCDも並んでいます。壁にはジャズフェス50周年を記念する豪華CDセットもディスプレイされています。

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クロウフィッシュ・サックのセット

しばし時間をつぶして、さっきの屋台に戻り、クロウフィッシュ・サックのセットを注文。店番の女性から「あなたが今日最初のお客さんよ」と言われました。このセットは、ジャズフェスのオフィシャル・ホームページのフードのコーナーの一番上に大きく写真が紹介されているし、最初にこのフェスに来た時からとっても気になっていました。まだ人もまばらな露天のテーブルで食べようとしていると、若いアフリカン・アメリカンの女性が「オー、それは何?」と聞いてくるので「クロウフィッシュ・サックのオール・イン・ワン・セットだよ。そこの屋台で買えるよ。」と伝えたら、早速注文に行っていました。ホント見た目も美味しそうですからね。クロウフィッシュ・サックはザリガニ肉をすりつぶしたものをシューマイの皮のようなもので包んで揚げた料理、クロウフィッシュ・バニエイスは、パイ生地の中にやはりザリガニ肉をすりつぶしたものを入れた料理、そしてオイスター・パティズは、まぁ、カキフライのようなものです。これらに緑がかったクリームソースがかかっています。ほんの少し塩が効きすぎのような気もするのですが、とっても美味しかったです。

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まだ、人影もまばらな朝のフェス会場。こういうアートのディスプレイもありました。

さて、この日はジェンティリー・ステージのティン・メンからスタート。案の定、お客さんは多くはないので後ろの方の芝生に座って鑑賞することにします。一人座って開演を待っていると若い白人女性のボランティア・スタッフが「How are you doing?」と声をかけてくれました。2日前に見たアレックス・マクマリーがギター&ヴォーカル、マット・ペリーヌがスーザフォン、その名もウォッシュボード・チャズがウォッシュボードという3人組。この中ではチャズが最年長です。彼らは結構キャリアが長く来日経験もあるのですが、自分はまだ見たことがなかったので楽しみにしておりました。

定時を少し過ぎて演奏がスタート。芝生に座って聴くのにぴったりの実にほのぼのした演奏ですが、たった3人でやってるとは思えない音の厚み。3者のテクニックが卓越していて、なおかつ息がぴったり合っているからこその緊密な演奏です。出だしの2曲はインスト・ナンバーですが、特に2曲目の「Jaua」はどこかで聴いたようなメロディです。

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前半はアレックスが歌う曲が多かったですが、一昨日の自身のバンドとは違って、オールド・タイミーなジャズっぽい曲、ノベルティっぽい曲が多かったです。同じフルアコのギターを使っていましたが、この日の方がやはりジャズっぽいプレイでした。マットはベースラインを奏でるのですが、時折とるソロもすごくテクニカルです。

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中盤、「Scraperman」から「Misty Mountain Hop」までの6曲はチャズがリードを歌います。割合爽やかな歌声で、歌唱力も抜群です。「Werewolf」はまさにオオカミ男という雰囲気のマイナーキーの曲なのですが、彼らがやるとどことなくユーモラスになるのが不思議なところ。チャズが歌う曲ではアレックスがサビをハモルものが多いです。「Jackamo Findo Hey」はブルーズの「Buy You A Chevrolet」のメロディに乗せて、ご当地のインディアン・ソングのフレーズを歌い込んだ楽しいナンバーでした。「Holy Cow」は言わずとしれたリー・ドーシーのヒット曲。これもまた楽しい演奏です。「Misty Mountain Hop」は、ほんのちょっぴりハードなアレンジになっています。このあたりから前の方へ行き、立って見ることにしました。

この後演奏した「Carmen 」はインスト・ナンバー。スーザフォンが主役です。多分ビゼーの有名なオペラの中で演奏されている曲だと思います。この後のMCで、スーザのマットが「それでは、ゲストのトム・ジョーンズです。トム・ジョーンズ!!」と自信たっぷりに紹介。客席は笑いに包まれます。マットは舞台袖にトムを探しに行き、またまた会場は大笑い。アレックスは「次の曲のキーはDフラットだよなぁ。」とか意に介する様子もありません。

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それから後の3曲は再びアレックスがリード・ヴォーカル。「給料日」というタイトルの「Pay Day」は代表曲のようで盛り上がっていました。「給料日は自分も奥さんも機嫌がいい、さあ、何を買おうか。」みたいな意味。日本にもこんな内容の曲がありましたね。ラスト・ナンバーは「Hallelujah, I am a Bum Again」。意味は「やったぜ、また浮浪者に逆戻りさ。」みたいな感じでしょうか。

デイズ・ビットウィーンには、ウォッシュボード・チャズをフィーチャーした「Chaz Fest」なるイベントも最近までありましたが、今は無くなってしまいました。しかし、それだけの知名度を誇るチャズを中心とした楽しい3人組のステージ、見れてホントに良かったです。楽しさという面ではピカ一のステージでした。

1.Ozona〜
2.Jaua
3.How Happy I Am
4.Freaks
5.New Love Thang
6.Borneo
7.Scraperman
8.Sing With Me
9.Werewolf
10.Jackamo Findo Hey
11.Holy Cow
12.Misty Mountain Hop
13.Carmen
14.Lonely Is The Man Without Love
15.Pay Day
16.Hallelujah, I’m A Bum Again

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コンゴ・スクエア・ステージとアキュラ・ステージの間には、亡くなったミュージシャンや関係者のボードが立ち並んでいる。

Foundation of Funk at the Fillmore New Orleans 2019.5.1

リバース・ブラス・バンドの演奏が終わって、休憩時間。すでにファウンデーション・オブ・ファンク(以下FOF)の面々の楽器はほとんどセッティングされていたのですが、スタッフがリバース・ブラス・バンド用のマイクを片付けたり、セッティングを確認したりしています。休憩時間を挟んで彼らが出てきたのは、10時40分くらいだったと思います。ジガブー以外のメンバーは、先日、クロウフィッシュ・フェスで間近で見ているのですが、ジガブーだけは、今回、このライブ限り。しっかりと彼のプレイを目と耳に焼き付けようと思います。念のため、他のメンバーを書いておくと、ベースがジョージ・ポーター・Jr.、キーボードがアイヴァン・ネヴィル、ギターがトニー・ホールとイアン・ネヴィルという編成で、この日はホーンズの参加はありませんでした。

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待ちに待ったFOF

メンバーがステージに揃い、音が出始めます。ジガブーがMC、始まった曲はイントロはつい先日聴いた「Love Slip Upon Ya」。もちろんリード・ヴォーカルしジョージ。今回は見慣れた鼈甲柄ピックガード、ナチュラルのフェンダー・ベースを弾いています。イアンはいつものダークブラウンのテレキャス、トニーはストラトのイメージが強かったのですが、この日はテレキャスター・デラックスを弾いていました。それにしても、やっぱりジガブーのドラムはいいですねぇ。2年前ジャズフェスの会場でオリジナル・ミーターズを見たときにも感服しましたが、この会場では反響が大きいので、ひときわ上手さが引き立ちます。イアンがリズムを引き締め、トニーがリードをとります。

ジョージのMCの後、2曲目に早くも代表曲「Cissy Strut」の登場。定番で曲はそのまま「Cordova」に続いていきます。「Cordova」と同じリズムに乗ってアイズリー・ブラザーズの「It’s Your Thing」を歌い出したのはジガブー。彼の歌も味があっていいですよねぇ。この3曲のメドレーは、クィーン・メリー号のライブ盤と同じです。ジガブーはひとしきり歌い終わると「Bass Guitar! Bass Guitar!」と叫んでジョージのソロを促します。続いてアイヴァンが特徴的なメロディを弾き始めます。「Cabbage Alley」のタイトル・トラックの登場。リード・ヴォーカルはアイヴァンでジョージが追っかけヴォーカル。ほとんどミーターズそのままといっていいプレイです。ノベルティ調で楽しい演奏に思わず頬も緩みます。

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まるでライト・ショウ

次は、イアンとトニーが息の合ったギターのイントロで「A Message From The Meters」。ヴォーカルは、ジョージ、トニー、アイヴァンの3人でユニゾン。前曲とうって変わってとっても渋めの演奏です。このフィルモアはライティングも豪華で、今までのライブとは異次元に居るよう。たまにはこういう所でライブを見るのもいいですね。続いての曲は、シリル・ネヴィルのライブでも聴けた「Talking ‘ bout New Orleans」です。リード・ヴォーカルはアイヴァン。イアンとトニーのギターも文句なくカッコいいです。

ここで、ジガブーが再びMC。自身も含めメンバーを紹介した後、スペシャル・ゲストのオテイル・バーブリッジを紹介します。オテイルもジョージと同じくタイダイの上着を着ています。ギターの二人が聴いたことのあるフレーズを弾き始めました。曲はオールマン・ブラザーズの「Midnight Rider」です。歌はトニーとアイヴァン。リードはトニーがとっています。ゲストのオテイルを立てる選曲ですが、このメンバーでこの曲を聴けるというのも非常に貴重な体験です。長い間奏ではオテイルがワウを効かせたリード・ベース。ジョージが低音パートを受け持ち途中から、オテイルはジョージ・ベンソンのようにフレーズをユニゾンで歌いながらリードを弾きます。すんごくカッコいいです。

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オテイル・バーブリッジ を迎えて

続いてのナンバーは、ビートルズ の「Come Together」。ストーンズが来なくなったから、このナンバーを選んだわけではないでしょうけど、もともとこの曲はミーターズのレパートリーで確かアウト・テイク集に収録されていたと思います。リード・ヴォーカルはアイヴァンです。オテイルはエンディングあたりで存在感を見せています。ライブはこのあたりから佳境に入り、代表曲「Fire On The Bayou」の登場。やはりアイヴァンやトニーがいい喉を聴かせます。この曲の間奏でもオテイルは達者なリード・ベース、そしてここでも歌い弾きを聴かせます。

オテイルのコーナーはここまでで退場。再び5人に戻ってミーターズ後期のメロウなナンバー「Be My Lady」がアイヴァンによって歌われ、本編ラストはジガブーが歌う「People Say」でした。この曲を彼のドラムで聴くのは初めてだったので、とっても嬉しかったし、会場もすごく盛り上がっていました。しかし、この曲で本編終了。会場の大歓声に応え、アンコールでアート・ネヴィルのお気に入りの曲だった「Ain’t No Use」をやってくれました。リード・ヴォーカルはアイヴァンでした。

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本編が終わって客席に挨拶

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アンコールの演奏風景

曲数は、メドレーをばらして考えても13曲なんですけど、長いインプロの応酬などもあって、結構長く演奏してくれました。少なくとも2時間はやってくれて、終演は夜中の1時近かったと思います。この編成でのFOFのライブはオープニングを含め3公演。エリック・クラズノーとジョン・メデスキが入ったものを入れると4公演ありました。自分はこのライブしか見れなかったけど、公演ごとに結構違うナンバーを演奏していたようです。他公演では、近年はライブでプレイしていないレアな選曲もあったりしたようですが、自分はホーンズが不参加のこの公演を見れてよかったと思います。ミーターズは、もともとホーンなしのスタイルでスタートしたバンドですから。そして、他に甲乙つけがたいものはたくさんあるのですが、個人的にはデイズ・ビットウィーンでは、この公演がハイライトでした。ジガブーのドラムとジョージのベースで聴くミーターズ・ナンバーの数々、堪能させてもらいました。

アート・ネヴィルが昨年末に引退を表明し、オリジナル・ミーターズ、そしてファンキー・ミーターズを生で見られる機会はなくなりましたが、ジョージとジガブーは70歳を過ぎてもますます元気。こうしてFOFというユニットで、ミーターズ・ナンバーを我々に伝えてくれています。間近に迫ったフジロックには、ジョージ・ポーター・Jr.が来日します。このメンバーのうち、ドラムがテレンス・ヒューストンに交代、ピアノにマイク・レンムラーを加えた編成で、きっとミーターズ・ナンバーもやってくれることでしょう。

1.Love Slip Upon Ya
2.Cissy Strut〜
3.Cordova〜
4.It’s Your Thing
5.Cabbage Alley
6.A Message From The Meters
7.Talking About New Orleans
8.Midnight Rider (with Oteil)
9.Come Together (with Oteil)
10.Fire On The Bayou (with Oteil)
11.Be My Lady
12.People Say
(Encore)
13.Ain’t No Use

現在、リバース・ブラス・バンドも含め以下でライブの全貌を見ることができます。おそらく、当日バー・カウンターの横のビジョンで流されていた映像でしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=HjcZg09h0ck
ギャラリー
  • Diana Ross at New Orleans Jazz Fest 2019.5.4
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