レシーブ二郎の音楽日記

レシーブ二郎の音楽ブログにようこそ。マイペースでぼつぼつ更新していきます。

村上春樹 / 意味がなければスイングはない

3240e2f3.jpgふだんはCDやレコードの紹介なのですが、今日は本の紹介です。でも、あのベストセラー作家、村上春樹氏初の音楽エッセイ集なのですから、この「音楽日記」で紹介するのは問題ないでしょう。「月が消え、恋人に去られ、犬に笑われても、なにがあろうと音楽だけはなくすわけにはいかない。」とオビに書かれています。このブログを見てくれている人なら、このフレーズだけでもフムフムと納得してくれるのではないでしょうか。

もともとハルキさんは、音楽ファンとして有名で、作品の中にもさまざまなジャンルのアーティストや曲が出てきます。本人があとがきでも述べているように、彼は20代にジャズ喫茶のマスターだったわけで、ジャズの造詣が深く、和田誠氏のイラスト入りで「ポートレート・イン・ジャズ」という本も出していますし、ジャズ・ベーシストでエッセイストのビル・クロウ氏の著作の翻訳も2冊手がけています。しかし、彼の博識はジャズだけでなくクラシックやロックにもおよびます。90年代、40代の彼はオープン2シーターのハンドルをにぎりながら、パールジャムやR.E.M.をがんがんならしていたようです(確認はしていませんが)。そんな幅の広さを反映してか、この本におさめられている10編はクラシック3編、ジャズ3編、ロック2編、J-POP1編、アメリカン・フォーク1編という割合です。

ロックはブライアン・ウィルソンとブルース・スプリングスティーン。わたしにとっても比較的思い入れのあるミュージシャンだし、ハルキさんがとりあげたアルバムはすべて聴いていたので、すんなり読めました。スプリングスティーンについては、ハルキさんが多くの翻訳をてがけるレイモンド・カーヴァーと同じくワーキングクラスの出身で、ワーキングクラスの若者を生き生きと描いているところにつよく惹かれたようです。多くの人に曲解されている『ボーン・イン・ザ・USA』の背景などについても丁寧な解説。また、類い希なる才能をもちながら時代の波とドラッグに飲み込まれながらも生き延びたブライアンに対しても、愛情あふれる文章です。

ジャズのスタン・ゲッツは聴いたことがあるものの、シダー・ウォルトンなんて名前を聞いたこともありませんでしたし、クラシックのプーランク、ルービンシュタインなんはは、そんな人もいたかな、程度の知識しか持ち合わせていませんでしたが、「読ませる」文章でスラスラと心の中に入ってきます。けだし名文と思えるのは、シューベルトについて書かれた章の末尾に書かれた次ぎのような文章です。「僕らは結局のところ、血肉ある個人的記憶を燃料として、世界を生きている。もし記憶のぬくもりというものがなかったとしたら、太陽系第三惑星上における我々の人生はおそらく、耐え難いまでに寒々しいものになっていたはずだ。だからこそおそらく僕らは恋をするのだし、ときとして、まるで恋をするかのように音楽を聴くのだ。」これほど、音楽の本質をついた文章をほかに見たことがありません。

ハルキさんはあとがきで、「この場合の『スイング』とは、どんな音楽にも通じるグルーヴ、あるいはうねりのうなもの考えていただいていい。それはクラシック音楽にもあるし、ジャズにもあるし、ロック音楽にもあるし、ブルーズにもある。優れた音楽を、優れた本物の音楽として成り立たせているそのような「何か」=something elseのことである。僕としてはその「何か」を、僕なりの言葉を使って、能力の許す限り追いつめてみたかったのだ。」と、書いています。その試みはかなりの確度で成功しているように思えます。筆者がシダー・ウォルトンに見いだし、ウィントン・マルサリスに欠けていると感じるものは、まさにその「何か」だし、スガシカオに見いだした独特の文体やメロディもその「何か」なのでしょう。音楽を奏る側にも常に気になる「何か」を、世界的な文章のスペシャリストであり、きわめて幅広い嗜好と知識を持つ村上春樹氏が、わかりやすい言葉でつきつめたエッセイです。音楽ファンなら一度は読んでみても損はしないと思いますよ。

しかし、この人が音楽を語るボキャブラリーは豊富ですね。本当に聴いてみたくなる臨場感にあふれています。見習いたいものですね(無理だけど)。「デモーニッシュな」とか「じりじりと」というような形容詞や副詞が増えたら、彼の影響かも知れません。やれやれ。そうそう、我らがライ・クーダーは、この本には出てきませんが、ハルキさんはたしか「やがて哀しき外国語」でとりあげていました。「こんな日にはライ・クーダーか、ニッティ・グリッティ・ダート・バンド」でも聴きながら、洗濯でもしたくなる」みたいな文章でした。70年代前半のライのことなんでしょうねぇ。ハルキさんについては、まだまだ書きたいことがあるけど、長くなるのでまたの機会にでも....。

Ry Session41 Rita Coolidge / Rita Coolidge

81979523.jpgリタ・クーリッジは、テネシー州の出身でネイティブ・アメリカンの血をひいていると言われています。1968年、メンフィスでシングル盤を発売しデビューしますが、さほど話題になることもなく、翌年知己を得たデラニー&ボニーの「オリジナル」にコーラスで参加。1970年にはジョー・コッカーのマッドドッグス&イングリッシュメンに参加して「スーパースター」を歌い、一躍スターの座を掴みます。

このアルバムは、そんな環境の中レコーディングされた彼女のファースト・アルバム。非常に豪華なゲストを迎え、選曲も申し分ない名盤です。姉夫婦やマーク・ベノと同じA&Mからデヴィド・アンダールのプロデュースで1971年に発売されました。

バック・メンバーの中核をなすのは、デラニー&ボニーの「オリジナル」の頃からのつきあいになるドラムスのジム・ケルトナーと、FBBの初代ベーシスト、クリス・エスリッジのリズム隊。キーボードはブッカー・T・ジョーンズとスプーナー・オールダムというメンフィスとマスル・ショールズの両雄。ギターはクラレンス・ホワイトとジェリー・マギー。これだけでもサウンドは保証されているのに、曲によって、ベースにドナルド・ダック・ダン、ギターにライ・クーダー、スティーブン・スティルス、ボビー・ウーマック、キーボードにリオン・ラッセル、サックスにプラス・ジョンソンやクリフォード・スコット、ジム・ホーンらのホーンセクション、プリシラ・クーリッジやクライディ・キングらブラックベリーズ、そしてグラハム・ナッシュらによるコーラスと、とてつもなく豪華なメンバーです。

出てくる音は、少しポップスよりな聴きやすさを持ちながらも、スワンプ・ロックの良さを十分につめこんだ、L.A.スワンプの好盤といってよいでしょう。冒頭を飾るドラマチックな「That Man is My Weakness」では、リオンがキーボードを担当。クラレンスとマーク・ベノがギターを弾きわけています。さらりとアコースティックに料理された「Second Story Window」では作者のマーク・ベノでなくスティーブン・スティルスがギターを担当し、珍しくブッカー・Tがベースを弾いています。ヴァン・モリソンの不朽の名作「Crazy Love」では、ダック・ダンがベース、スティルスとボビー・ウーマックがギターで原曲以上にソウルフルなアレンジ。ゴスペルタッチのコーラスもドラマチックです。オーティス・ナンバーの「The Happy Song」も当然ながらR&Bタッチが強いアレンジ。一転してクラレンスのアコースティック・ギターにジェリー・マギーの達者なドブロがからんで、アコースティックにスティーブ・ヤングの「Seven Bridges Road」が始まります。しかし後半は少し大仰なアレンジ、ジェリーはエレクトリック・シタールを弾き、プラス・ジョンソンのサックスがからみます。

B面に移ると、まずはアルバート・キングの名曲「Born Under A Bad Sign」。ブッカーTのエレピのイントロで幕を開けると、ライ以外表現不可能な、あの妖しいボトルネックが登場。サックスとからみあいながら曲を盛り上げていきます。間奏ではライとクラレンスのギターが左右のスピーカーを交互に行き交います。続くスモーキー・ロビンソンの「Ain't That Peculiar」は、とってもノリがいいスワンプ・ナンバーになっています。(I Always Called Them) Mountain」はとても甘いバラード。マーク・ベノの曲づくりのセンスが光ります。「Mad Island」は、渋くノリのよいスワンプ・ナンバー。ドナ・ワイスの曲はとってもいいし、からみつくライのエレクトリック・ボトルネックも心地よいです。ここで聴けるクラレンスとライのコンビネーションも抜群。ラストを飾るのはニール・ヤングの「I Believe In You」。再び美しいバラードで静かに幕が引かれます。

収録曲を並べてみるとソウル・ナンバーからカントリー・タッチの曲までバラエティに富んでいます。教会で鍛えたと思しき彼女の歌唱力は、これら幅のある歌を難なく歌いこなしています。のちにポップス歌手として大成する要素のすべてがこの一枚に凝縮されているかのようです。

ウッドストック 愛と平和と音楽の3日間

b35e4256.jpg今まで見たことがなかったんですよ。ウッドストック。今回ディレクターズ・カットが980円ということで、初めて見ました。お恥ずかしながら。LP3枚組、続編2枚組も20年くらい前に入手したし、ボーナストラック満載のCD4枚組も持ってたけど、映像で見たこはなかったんですね。でも、見てよかったです。やっぱりこれは映像で見るべきものですね。

映画では出演スターばかりを追いかけるのでなく(と、いうかほとんどおいかけていない)、ステージがつくられるところから、フェスに関係ない周辺住民の意見、観客の言葉をドキュメンタリー・タッチで演奏のはざまに挿入していきます。もちろん、30万人もの若者が集まったこの歴史的イベントをどちらかというと肯定的にとらえた編集に違いないでしょうが、ベトナム戦争たけなわの1969年という時代の一断面を見事に切り取った作品に仕上がっていると思います。

圧巻なのはカントリー・ジョー・マクドナルドが、ギター1本で「I-Feel-Like-I'm-Fixin' To Die Rag」を歌い、観客を大合唱させるシーンです。矛盾だらけのベトナム戦争にウッドストック・ネイションがNOを突きつけた瞬間の歴史的記録としても貴重なものと言えるでしょう。スライ&ファミリー・ストーンやジョー・コッカーのステージにも深い感銘をうけました。

若者たちがジョイントをまわす姿、裸で水浴びする姿、大雨にずぶぬれになりながらもそんな状況を楽しんでいる姿.......。ロックがもたらした理想郷と呼ばれたけれど、「ロックは商売になる」ことを見せつけたとも言えるイベントでもありました。マリファナを肯定することで「働かないヒッピー」も倍増したかも知れません。しかし、「ロックは世の中を変えられるかも知れない」という夢が見られた最後のフェスでもあったのでしょう。

あれから36年、当時の若者の多くが支持していたコミュニズムを標榜していたソビエト連邦は崩壊し、中国は大きく姿を変えています。そして、9.11以後世界観は大きく塗り替えられ、かつての東西冷戦のように「不安定のベルト」と呼ばれる北朝鮮から中東にかけての地帯が、アメリカにとっての仮装敵国となり、日本や韓国はふたたびその最前線の橋頭堡になろうとしています。アメリカでは泥沼のイラクにNOを宣言するロック・イベントは開催されていないのでしょうか。いや、きっと開かれているのでしょう。しかし、ウッドストックほどの若者が押し寄せて、今の対イラク政策にNO!を叫ぶことはありませんし、世界中にニュースが発信されることもありません。そして、ウッドストックの映画はDVDとなって、大企業を潤しています(わたしもそれを買った一人ですが)。

当時のウッドストック・ネイションは今や50代〜60代。国を動かす主要なポストを占めています。極東の日本で安穏とした生活を送りながら、そしてロックをはじめとする世界各地の音楽を愛しながら、変わりゆく世の中に対する自分の態度はいかにあるべきか、そんなことまで考えてしまう映画なのであります。

Ry Session40 Original Soundtrack / Watermelon Man

898b02a6.jpg「ウォーターメロン・マン」と言えば、ハーヒー・ハンコック作曲のジャズ・スタンダードが有名ですが、ここに登場するのは映画監督メルヴィン・ヴァン・ピーブルズによる映画のサウンドトラックです。メルヴィンは、黒人であるがゆえにハリウッドから排斥されますが、1967年、サンフランシスコの国際映画祭でフランスに渡って制作した「Story of Three Day Pass」が批評家賞を受賞。69年〜70年にコロンビアでメガホンをとったのがこの「ウォーターメロン・マン」でした。ブラック・ムービーのはしりと言える映画で、白人男性がある日突然黒人になってしまったら、という設定で、白人優位の社会を皮肉っています。

音楽を担当したのも、メルヴィン・ヴァン・ピーブルズですが、バックのミュージシャンはノンクレッジットで一切不明です。1曲目はメルヴィンのトーク風なボーカルも楽しめるナンバー。フィーチャーされているトロンボーンを吹いているのはジョージ・ボハノン? その他の曲はサントラらしくインストがほとんど。聴きやすいイージー・リスニング風の演奏からサックスをフューチャーしたフリーキーなジャズになったり、ソウルフルでかっこいい伴奏に乗って奇声で歌われるナンバーがあったりとモンドな風味にあふれていますが、ライ・クーダーらしい音はなかなか出てきません。

B面ラストになって、エルモア・ジェイムスを思わせる歯切れの良いエレクトリック・ボトルネックではじまるブルース・ナンバーが登場。自在に変化するピアノに順応し、心地よいブルースを奏でるギターを弾いているのは、フレージングから判断するにおそらくライ・クーダーなのでしょう。1970年という時期を考えても、これほど流暢にボトルネックを操るギタリストは、ロサンジェルス周辺にはそうそういなかったはずです。また、1988年のライ・クーダー・ジャパン・ツアーのパンフや、ライのファン・サイト、ライランダーズでも、この作品をライ・クーダー参加作のひとつにあげています。

たとえばジム・ケルトナーは数え切れない映画音楽でドラムを叩いているようで、映画の都、ハリウッドを擁するロサンジェルスですから、ミュージシャンは儲け仕事の延長で、映画音楽に気軽に参加するような土壌があるのでしょう。ライは映画「キャンディ」でも弾いている、と言われますが今となっては確認はなかなか難しいようです。

Ry Session39 Marc Benno / Marc Benno

13eb44f2.jpgスワンプ・ロックというと、その名のとおり湿地帯の多いアメリカ南部の、特にゴスペルやR&Bのフィーリングを持ったロックのことを指し、実際アメリカ南部のミュージシャンの手でつくられていることが多いのですが、その成り立ちに大きな役割を果たしたのが、西海岸の音楽の都ロサンジェルスでした。ロサンジェルス産のスワンプ・ロックを特にL.A.スワンプと呼びます。

スワンプ・ロック登場のキー・パーソンと言えば南部出身のデラニー&ボニーです。スタックス・レーベルでレコーディングしたファースト・アルバムがトラブルのため発売が見送られた後、二人はロサンジェルスに移り、エレクトラ・レーベルで69年にリオン・ラッセルらのサポートを得て「オリジナル・デラニー&ボニー」を発売します。その反響は大きく彼らの音楽は大きな支持を得ることになります。まず元トラフィックのデイブ・メイスンがデラニー&ボニーやリオンを起用した名作「アローン・トゥギャザー」をロサンゼルスで録音します。続いてデラニー&ボニーは、イギリスのスーパー・バンド、ブラインド・フェイスの全米公演のオープニング・アクトに抜擢されます。ブラインド・フェイスのエリック・クラプトンは彼らの演奏に魅了され、逆にデラニー&ボニーのバンドに客演、さらにデラニー&ボニーのバック・バンドがごっそり参加した、ジョー・コッカーのマッド・ドックス&イングリッシュメンが大成功を収め、それを母体にデレク&ドミノスが結成され、米英のトップ・ミュージシャンがスワンプ・ロックの渦に巻き込まれていきます。

70年〜71年頃になるとリオンはじめ、ジェシ・デイヴィス、ロジャー・ティリソンら南部出身のミュージシャンがロサンジェルスで活躍したり、ソロ・アルバムをレコーディングし(ジェシ・デイヴィスのファーストはロンドン録音ですが)、シーンが盛り上がっていきますが、そんな動きの中1970年に発表されたマーク・ベノのファーストは、L.A.スワンプの代表作の1枚に数えてよいでしょう。

マーク・ベノはテキサス州ダラス出身、60年代末頃にはロサンジェルスに出てきてリオン・ラッセルとアサイラム・クワイヤーを結成。デュオで活動しますがうまくいかず、一旦ダラスに戻り、マンス・リプカムとローカル・ツアーを行うなどの活動をしていました。そんなころ、友人のリタ・クーリッジに励まされ、再びロサンジェルスに戻り、A&Mと契約。デラニー&ボニーのコーディネーターをしていたデビッド・アンダールのプロデュースで発表したのが本作です。

アルバムに協力したのは、ギターではベンチャーズのメンバー、ジェリー・マギー、ベースはジェリー・シェフ、ドラムスにはジミー・カーステイン、元ジェントル・ソウルのサンディ・コニコフの名前もあります。キーボードにはリタ・クーリッジの義兄、ブッカー・T・ジョーンズが全面協力。彼は同じ頃、愛妻プリシラとのデュオでA&Mからアルバムを発表しています。もちろん、そのプリシラとリタのクーリッジ姉妹もコーラスで参加、ホーンにはジム・ホーンという布陣です。ライ・クーダーはボトルネック・ギターとクレジットされ2曲に参加しています。ところで、L.A.スワンプの代表的なレーベルとして、アトコやシェルターが挙げられますが、マーク・ベノの所属したA&Mからも、上記のアルバムのほか、リタ・クーリッジやジーン・クラークの「ホワイト・ライト」などがリリースされています。

曲は、すべてマーク・ベノの作品ですが、「Hard Road」だけはマークとリオン・ラッセルの親友グレッグ・デンプシーの共作です。1曲目、少しブルージーでリズミックな「Good Year」は途中からホーンが登場し、ワウの効いたギターが活躍します。本人が弾いているのでしょう。2曲目、「Try It Just Once」はブルース、間奏とエンディングでギターソロが活躍しますが、このギターのマーク本人によるものと思われます。3曲目「I'm Alone I'm Afraid」もブルースですが、イントロはブッカー・T・ジョーンズの手による素晴らしいピアノが飛び出します。4曲目「Two Days Love Affair」は、スピード感あふれるロック・ナンバー、ブッカー・Tならではの少しファンキーなオルガンがフィーチャーされた、これぞスワンプというナンバーです。5曲目「Second Story Window」は、リタもソロで取り上げている名曲。ブッカー・Tのオルガンとジェリー・マギーのドブロがとてもいい味を出しています。マーク・ベノの書くバラードにはとてもよいものが多く、声も泥臭い曲よりも、こうしたメロウな曲にフィットするように思えます。

B面に行くと、6曲目「Teach It To The Children」です。イントロからライの泥臭いエレクトリック・ボトルネックが炸裂するロック・ナンバーですが、間奏はブルース調になって、マークがゆっくりめのソロを弾いたあと、再びライのボトルネックが切り込んできます。7曲目「Family Full of Soul」もマークの曲づくりの才能が発揮されている名作。ジム・ホーンのフルートによるオブリガード、そしてクーリッジ姉妹によるコーラスが心地よい曲です。8曲目「Hard Road」は、エレクトリック・ギターのリズム・プレイにのってライのアコースティック・ボトルネックがブルージーなオブリガードを奏でるロック・ナンバー。ライは存在感を示しながらも脇役を務めている感じです。アルバムのラストを飾るのは、名曲「Nice Feelin'」。ブッカー・Tの多重録音になるピアノとオルガンは少しジャジーなこの曲をゴスペル的な荘厳さでつつみこんでいます。クーリッジ姉妹のコーラスもその味わいを深くしており、スワンプ・バラードの名作と呼んでいいでしょう。リタも後にこの曲をとりあげています。

マーク・ベノはリタ・クーリッジ・バンドのギタリストを務めながらもA&Mから4枚のアルバムを発表、スティーブ・レイ・ヴォーンやエリック・クラプトンと共演したり、ライトニン・ホプキンスのツアーバンドのギタリストを務めるなど、ソロ・アーティストとして、ブルース・ギタリストとして活躍していましたが、90年代後半に音楽活動を一時休止。2000年から再開して、2005年の今年、来日公演を行いました。いゃぁ〜、見たかったですね。

金さん銀さんライブ at Andy

1d89ed9f.gif昨晩は、金さん銀さんのライブでした。このユニットは今年の5月頃からCA'テーテルとして活動しておりましたが、10月の門司凛帆楼出演の際よりフロントの二人を前面に打ち出し、「金さん銀さん」として活動することになりました。ホームページもリニューアルしております。そのとき、そのとき、でバックのメンバーが替わるのもこのユニットの面白いところで、今回の「そのときすけったーず」はギター×2、パーカッションという編成でございました。

昨日は、6月に引き続き黒崎の素敵なバー「ハード・デイズ・ナイト」のパーティとあって、ビートルズ・ナンバー2曲をレパートリーに入れました。曲は「Hard Days Night」「Loving You」「634-5789」「Pillow Talk」「スキスキ・ソング」「In My Life」「お掃除おばちゃん」の7曲。いずれも日本語詞になっております。曲名も「Loving You」は「愛根」、「Pillow Talk」が「Yes No 枕」とわけわからんタイトルに変更されておりますが、このあたりは、ボーカルの金さんのセンスであります。

いつも、わたくしは生ギターでのバッキングなのですが、今回は凄腕ギタリストのテ・キーラ吾郎参加とあって、ボトルネック用のテスコSS4Lとナショナルのラップ・スティールも加え、いつものタカミネPTS-015とワイゼンボーンstyle2の4本を持ち込みました。

パーカッションのエリリは、カホンとミニシンバル、足元にはハイハットのペダルにタンバを装着。スタンドの上のいろいろな小物で多彩なサウンドとスティディなリズムを打ち出してくれたので、なかなか演奏しやすかったし、お客さんも安心して聴けたと思います。テ・キーラ吾郎もすばらしいセンスの持ち主で、曲によっては今までと全然違うモダンなアレンジをしてくれたり、愛器テレキャスターで理想的なソロやコード・バッキングで演奏を盛り上げてくれました。

「634-5789」は、バー「ハード・デイズ・ナイト」の電話番号に、「スキスキ・ソング」は"アッコちゃん"をマスターの"山根さん"に変えて盛り上げましたが、後者は原曲のイメージを完全に破壊するアレンジでしたので、原曲がわからなかったお客さんもいらっしゃったんじゃないかなと思います。

われわれはトップバッターで、次ぎに出てきたのは、キャロル・キングのレパートリーを中心にばっちり決めてくれたHouse of Martha。個人的には、オープニングにやったダニー・オキーフの「Good Time Charlie」のインストにぐっと来たりしてました。3番手は、ビートルズ・コピー・バンドのSilver Bugs、いつものメンバーが仕事で来られなくて、ベースとリード・ギターが臨時メンバーでしたが、素敵なハーモニーとオヤジギャグを聴かせてくれました。ラストは年季が入ったキャロル・コピバン、BAD MISTAKE、楽しくかっこいいステージで盛り上がり、ダンス大会になって終了となりました。

Ry Session38 Gordon Lightfoot / If You Could Read My Mind

30a34a26.jpgゴードン・ライトフットはカナダの国民的なシンガーですが、日本ではあまり有名ではありません。しかし、イアン&シルビアが歌ったフォークの名曲「朝の雨」の作曲者と聞けばうなずかれる方もおられるかも知れませんね。彼は1966年にユナイテッド・アーティストからデビューし5枚のアルバムをリリースしました。そんな彼がリプリーズに移籍しレニー・ワロンカーとジョー・ウィサートのプロデュースにより1970年に発表したのが本作で、最初は『Sit Down Young Stranger』というタイトルで発売されたようです。

アルバムの基本的ラインナップはゴードン自身の歌とギター、レッド・シェアのギター、リック・ハインズのベースという3人で、ほとんどドラムレス。曲によってストリングスがかぶったり、ゲスト・ミュージシャンが参加するという構成で、60年代のフォーク・アルバムの基本路線をうけついでいますが、そこは、レニー・ワロンカーのプロデュース。バーバンクの才人が脇を固め、普通のフォーク・アルバムとはひと味もふた味も違った音づくりがなされています。ストリングス・アレンジはランディ・ニューマンが2曲、ニック・デカロが3曲担当。ヴァン・ダイク・パークスも1曲参加しハーモニウムを弾いています。さらに、この頃リプリーズと契約したジョン・セバスチャンもエレキ・ギター、オートハープ、ハーモニカで1曲づつ3曲に参加。多芸なところをみせてくれます。

そして、我らがライ・クーダーは2曲に参加。ジャニス・ジョップリンが大ヒットさせたクリス・クリストファーソンの名作「Me And Bobby McGee」で2コーラス目からブルージーなアコースティック・ボトルネックのオブリガードを、レッド・シェアのギターと語り合いながら静かに聴かせてくれます。また、単純なメロディが延々と繰り返されるワルツ「Cobwebs & Dust」でも途中からマンドリンの非凡なオブリガードで絡んできます。さらに曲半ばからはヴァン・ダイク・パークスの独特のハーモニウムも顔を出すといった構成です。

「Me And Bobby McGee」以外はすべてゴードンのオリジナル。曲はどれも素晴らしく、ゴードンとレッドのギター・アンサンブルもとても美しい。それに、レニー・ワロンカーのプロデュースでバーバンクの才人達が過不足のないサポートを果たしているのですから、アルバムとして悪かろうはずはありません。特にタイトル曲や「Poor Little Allison」などではゴードンの曲づくりの上手さが光っています。ゴードン・ライトフットはその後も順調にアルバムを発表し、1974年には同じリプリーズ・レーベルから発表した「Sundown」がアルバム、シングルともに全米ナンバー1になるなど、大成功を掌中に収め現在もカナディアン・フォーク界の長老として活躍しています。

Little Feat / Barnstormin' Live Volume Two

b459ec2f.jpgLittle Featっていったい何枚ライブ盤を出しているんでしょう? メジャーを離れ独自路線でホットトマト・レーベルをおこしてからは、オフィシャルの新録はおそらく1枚だけで、ライブを数枚、過去のライブ等のコンピレーション、メンバーのソロなどを多数発表しています。かつてのグレイトフル・デッドと同じく、ライブでは録音フリーで、フィート・フリーク達が音源を交換しあっているというほど、マニアックなファンの多いフィートのことですから、大手を離れ、ネット屋会場売りのCD売り上げが支えとなった今、比較的手軽につくることのできるライブ・アルバムは彼らの大きな収入源なのでしょう。

もともと、クオリティの高いライブを繰り広げる彼らですから、出来上がるアルバムの質も常に一定のレベルに達しています。もっとも、メジャーの頃はライブ・アルバムといっても、一種の芸術作品として評価され、他のアーティストと比較されていましたから、作る側も選曲やミキシング、ジャケットなどそれなりに熱が入っていたことでしょう。彼らは『Waiting For Columbus』という名作ライブ盤をものにしましたが、ホットトマトを立ち上げてからの彼らは、肩肘のはらないライブ盤を次々と発表しています。

この『Barnsormin' Live Volume Two』はその名のとおり、今年6月にリリースされた『Barnsormin' Live Volume One』の続編です。前作同様、2003年に発売された『Kickin' it at the Barn』のプロモーション・ツアーからの音源なのでしょうが、全10曲中6曲がローウェル存命中のフィート・クラシック、『Kickin' it at the Barn』からは2曲のみが収録されています。まぁ、こうした比率が近年のフィート・ライブの演奏曲の割合なのでしょう。

「Dark is the Night」を思わせるエレクトリック・ギターのボトルネック奏法のイントロを加えたファンキーな「Down On The Farm」や、ポール、フレッド、ショーンが歌い分けるフレッドの作品「Fool Yourself」、マンドリンを加えた「Sailin' Shoes」や「Six Feet of Snow」など聴きどころもたくさん。ビル・ペインは「Under the Radar」「Fighting the Mosquito Wars」でいい喉を聴かせてくれます。エンディングは、『Time Love The Hero』に収録されていたインスト「Day at the Dog Races」の11分に及ぶインプロビゼイションの応酬で幕を閉じます。ここにはフレッド・タケットのトランペットもフィーチャーされております。

Ry Session37 Alex Richman / Salty

70c1087c.jpgアレックス・リッチマンは、70年代に活躍した女性キーボーディスト兼ボーカリストですが、詳しいことはわかりません。ジェフリー・コーエンのプロデュースで1970年に録音され、キャピトルからリリースされたこのアルバムは、彼女の唯一のソロ・アルバムなのでしょうか? 上目使いでシリアスな表情のモノクロ写真のジャケット、「Salty」というタイトル。少々辛口な内容のアルバムなのでしょうか?

さて、アレックスは、このアルバムで、一部ホーンセクションを交えたファンキーなバンドをバックに、ソウルフルな喉を聴かせてくれます。バンドの要は、ドラムスのジム・ケルトナー、ベースのクリス・エスリッジのL.A.組二人に、ギターはマスル・ショールズのウェイン・パーキンス。ピアノ、オルガン、ハープシコードはアレックス自身がこなします。リード・ギターには、ラルフ・ブライヤンが1曲、ジェシ・デイヴィスが2曲、ライ・クーダーが2曲ゲスト参加。1曲だけですがマナサスに参加するアル・パーキンスがペダル・スティールを弾いている「Going To Slow」は、このアルバムでは異色でカントリー的色彩が加えられていますが、ゴスペルを強く感じさせるワルツです。

アルバムの印象は、ジャニス・ジョップリンやコールド・ブラッドなどを思い起こさせるファンキー系女性ボーカル・アルバムといったところですが、ボーカルは絶叫系でなく、適度な甘さとハリのある声です。商業的には成功しなかったようですが、埋もれさせておくには惜しいアルバムです。裏ジャケットに映るハモンドやピアノを自在に操る姿も彼女の才能の一面を物語っています。

ライ・クーダーはアルバム冒頭の静かなバラード「Nobody's Calling」でウェイン・パーキンスとともにアコースティック・ギターで参加。地味ながら、ところどころ存在感を示すフレーズがかすかに聞こえてきます。「Go Back Upstairs」ではのっけから、ライならではの心地よいエレクトリック・ボトルネック・ギターのイントロで幕をあけ、間奏もばっちりソロを聴かせてくれます。ライと盟友ジム・ケルトナーの出会いは、このセッション、もしくはドン・エヴァリーのソロ・アルバムあたりでしょうか。

アレックスは、後にドアーズのロビー・クリーガーらが結成したバッツ・バンドにキーボードで参加、曲によってはボーカルも担当しました。

BREAKESTRA / HIT THE FLOOR

aa924d06.jpgブレイケストラは、後期リトル・フィートのメンバー、フレッド・タケットの息子でベーシストのマイルスを中心に結成された白人中心のファンク・グループです。彼らのサウンドが最近心地よく、車の中などでよく聴いています。当初は10人くらいの大所帯だったようですが、現在は6人編成。ボーカル曲、インスト曲いずれもファンキーなものばかり。基本は70年代ファンクだけれども、ヒップホップ的要素も見え隠れしていて、現代のクラブシーンでも愛されそうなアルバムです。

思えば、リトル・フィートは、ニュー・オーリンズのファンク・ユニット、ミーターズの影響を強く受け(リーダーのローウェル・ジョージは、ミーターズのレコーディングにも参加しました)、3枚目あたりから非常にファンキーなサウンドが増えていきました。フレッド・タケットは、そのサード・アルバム「ディキシー・チキン」に「Fool Yourself」を提供しており、ジャクソン・ブラウンやヴァン・ダイク・パークスらのセッションにギタリストとして参加していました。フレッドはマンドリンなどもこなす技巧派のマルチな弦楽器プレイヤーと認識していましたが、近年のリトル・フィートのビデオでトランペットを演奏している姿を目にし、管楽器までこなす本当にマルチなプレイヤーだと再認識した次第です。

マイルス・タケットは、マーヴィン・ゲイや、ミーターズ、マイルス・デイヴィス、スティーリー・ダンなどさまざまな音楽をわけへだてなく聴いて育ったといいますが、それは父フレッドの感性でもあったのでしょう。本人がトラペットも演奏し、息子にマイルスと命名するというのは、おそらくマイルス・デイヴィスの大ファンだったに違いありません。

このアルバムは全曲オリジナルですが、ファンク・グループが陥りがちな、「どの曲を聴いても同じ」というイメージは全くありません。バリバリのファンク・ナンバーから普通のロック・アルバムに収録されていてもおかしくないような曲やインストなど一曲一曲に個性があり、黒人と白人2名のシンガーがボーカルを担当していてバラエティに富んだ内容になっています。それでいて、全曲「踊れる」曲ばかり。軽快なビートを刻むドラムを聴いていると思わず身体が動き出してしまいそうです。先が楽しみな若いバンドです。

Roger Morris / First Album

44efe121.jpg1970年のライ・クーダー参加作品について書いてきましたが、先日入手したロジャー・モリスのCDが素晴らしかったので、こちらのレビューを書くことにします。幻の名盤として中古市場では高値がついていたのでしょうけど、こ4曲のボーナストラックが入ってCDとして再発されました。

ロジャー・モリスのファースト・アルバムは、1971年にロンドンでレコーディングされました。同時期に録音されたブリンズレー・シュワルツの「Silver Pistol」同様、ザ・バンドの強い影響を感じさせるアルバムです。プロデュースは、ケン・バージェスとキース・ウエスト。曲によっては、複雑なホーンセクションが絡み、曲や歌声だけでなく、サウンド・メイキングも、ザ・バンドをなぞらえていますが、ペダル・スティール・ギターが用いられているところは、「本家」と少し違うところ。

本人はインタビューで、『Music From Big Pink』との出会いを「これだ! って思ったよ。もう一つ、セカンド・アルバムの『The Band』もね。それからといもの、ザ・バンドが影響を受けた音楽を辿るようになって......」と述べています。ロジャーは、ザ・バンドの音楽にとりつかれ、さかのぼってアメリカのR&RやR&B、古いブルースやカントリーにたどりつき、それを咀嚼した上でこのアルバムの曲を書いたのでしょう。そのようにして、出来上がった音楽だけに、上辺の真似にとどまらない芳醇なコクと香りがこのアルバムから感じ取ることができます。

RDMのレビューワー、かものハシオ氏は、「歌もそんなに上手くない。はっきりゆうてへたくそですが、実に心のこもった、人の暖かみを感じさせてくれます。」と愛情あふれるレビューを寄せています。彼自身、シンガーになるつもりはなくて、作曲家になるつもりだったそうですが、世はシンガー・ソング・ライターの時代、少々歌が下手でも自作自演歌手がもてはやされていたためか、音楽会社は彼にアルバムをつくるように要求したおかげで、われわれは、この素晴らしいアルバムを今楽しむことができるというものでしょう。

彼の歌は、そんなに上手くないかもしれませんが、ザ・バンドの3人の影響を感じさせる歌いまわしでとても好感のもてるいい声です。もっとも彼らほどアクがないところは、やはりイギリス人らしいところでしょうか。

ボーナス・トラックは、ファースト・アルバムの1年後にレコーディングされたデモトラックで、音はさほどよくありませんが、曲もよく十分楽しめる内容。ロビー・ロバートソンを思わせるギターも出てきます。

ザ・バンドの面々もリヴォン・ヘルムを除き皆カナダの出身で、南部音楽への強いあこがれがあのように豊かなアメリカン・ロックを生み出したわけですが、彼らの作品に即座に反応したロジャーも、その歴史を辿ることにより、イギリスに居ながらにして、郷愁をかきたてるほどに強くアメリカ南部の香りを放つ音楽を生み出すことに成功したのです。

Ry Session36 Longbranch / Pennywhistle

6ec07f43.jpgロングブランチ/ペニーホイッスルは、イーグルスの中心メンバーだったグレン・フライと、イーグルスとゆかりの深いJ.D.サウザーの二人のユニットで、1968年頃に結成されました。二人はデトロイトの出身で、このころ、ロサンゼルスで活動しており、ジャクソン・ブラウンと同じアパートメントで生活していました。この作品は1970年にエイモスよりリリースされた彼らの唯一のアルバムで、EVEと同じトム・サッカーがプロデュースを担当しました。エイモス・レコードからはドン・ヘンリーが在籍していたシャイローもアルバムを発表しており、イーグルス前史を語る上で欠かせないレーベルです。

さて、このアルバムにはJ.D.サウザーの曲が6曲、グレン・フライの曲が2曲、二人の共作が1曲、ジェームス・テイラーの曲が1曲収録されており、リード・ボーカルは基本的に作曲者が担当しています。たいていの曲では、二人が息のあったデュエットを聴かせています。
J.D.の曲では「Kite Woman」が後に自身のソロ・アルバムに収録されましたが、アレンジが大幅に変更されています。また、グレンの「Run Boy Run」は、ジャクソン・ブラウンがステージで取り上げたことのあるロック・ナンバーです。

アルバムに参加したミュージシャンは、ギターにジェームス・バートン、ベースにジョー・オズボーン、ドラムスにジム・ゴードン、ペダル・スティールにバディ・エモンズ、ピアノにラリー・ネクテル、フィドルにダグ・カーショウそして、ギターにライ・クーダーという布陣。ロサンゼルスの腕利き連中ばかりです。ライ・クーダーの参加が明らかなのは、ジェームス・テイラーがアップルからリリースしたファーストに収録していた「Don't Talk Now」1曲のみで、エレクトリック・ボトルネック・ギターでの参加。ワルツの曲にぴったりのフレーズが紡ぎ出され、グレンの歌ぴったりと寄り添います。途中から登場するドブロを弾いているのはジェームス・バートン、さらにバディ・エモンズのペダル・スティールまで参加し、大スライド大会になります。
バディ・エモンズは冒頭の「Jubilee Ann」でも控えめに参加、ジェームス・バートンは随所で渋いプレイを聴かせていますが、グレンかJ.D.のどちらかが弾いていると思われる、強くエフェクターのかかったギターはやや興ざめです。

「Run Boy Run」や「「Star Spangled Bus」など楽しいロック・ナンバーと「Rebecca」など味わい深く叙情的なナンバーの両方を楽しめる作品ですが、グレンとJ.D.二人の個性はまだ十分に発揮されてはいません。二人の若々しくみずみずしい感性が記録された貴重な作品ということができるでしょう。J.D.の作品では「Mister Mister」などは、本当に彼らしい美しいバラード。のちの二人の活躍を予感させるに足る好盤です。

ライのセッション作の中では、パット・ブーン、デイル・ホーキンス、EVEらポップスよりの仕事でよく顔をあわせていた、ジェームス・バートンやジョー・オズボーン、ラリー・ネクテルらのミュージシャンとは、このころを境に、あまり仕事をすることがなくなってきます。かわって、ワーナー/リプリーズからソロ・デビューしたことにより、ワーナー系のセッションが多くなるのでしょう。

Ry Session35 EVE / Take it and Smile

90ac5e41.jpg1968年、リー・ヘイゼルウッドが設立したLHIレコードは、美女4人のユニット、Honey LTD.をデビューさせました。メンバーは、ローラ・クリーマー、マーシャ・ティマー、ジョアン・スリウィン、そしてジョアンの姉妹と思しきアレックス・スリウィンで、「ルイ・ルイ」「カム・ダウン」などのシングルをリリースし、TVにも出演するなどアイドル的な活躍をしていたようです。1969年頃、ブロンドのアレックスが脱退、3人となった彼女達はイブと名を変えて活動するようになります。1970年にトム・サッカーがプロデュースを担当しLHIから発表したのがこのアルバムです。

バックに参加しているのは、リー・ヘイゼルウッドと関わりの深いドラマー、ハル・ブレインを筆頭に西海岸の名うてのセッション・ミュージシャンばかり、リード・ギターにジェイムス・バートン、ベースはジョー・オズボーン、もう一人のドラムにロン・タット、ペダル・スティールにスニーキー・ピートといったところが基本的な布陣です。とりあげている曲も、ジェイムス・テイラー、フレッド・ニール、ボブ・ディラン、ビージーズの作品に加えメンバーのオリジナルもあり、アイドル路線を変更し当時人気が高まりつつあったシンガー・ソング・ライター路線を狙っていたようです。彼女たちは皆歌が上手くコーラス・ワークも非常に質が高いので聴き応えのあるアルバムに仕上がっています。

そうした中で特筆されるのは、メンバーの一人ローラと、後にイーグルスを結成するグレン・フライの共作が一曲収められているところ。プロデューサーのトム・サッカーは、同時期にグレンとJ.D.サウザーのユニット、ロングブランチ/ペニー・ホイッスルのプロデュースも手がけているので、こうした共作が可能となったのでしょうか、それとも、以前からグレンとローラには交友関係があったのでしょうか。

ライ・クーダーが参加しているのは2曲。バート・バカラック作のワルツ「Anyone Who had a Heart」でリリカルで切れ味の鋭いアコースティック・ボトルネック・ギターでオブリガードを弾き、曲を盛り上げています。また、ディラン作の「You Go Your Way」ではアコースティック・ギターのコード・ストロークを弾いてジェームス・バートンのエレクトリック・ギターをサポートしていますが、ライらしさはそう感じられません。

リー・ヘイゼルウッドは50年代から音楽業界で活躍しデュアン・エディらと活動したあと、60年代にはナンシー・シナトラをスターダムにのし上げた名プロデューサーとして知られています。ハル・ブレインら大物ミュージシャンの参加もリー・ヘイゼルウッドのなせる技なのでしょう。しかし、イブは大きなヒットを生み出すことなく解散したようです。

彼女達はその後のボーカリストとして活躍し、ローラはボブ・シーガーやブルース・ホーンズビー、ジョン・ハイアットらのアルバムやステージに参加。ジム・ブリックマンのアルバムではソロ・ボーカルもとっています。マーシャはステッペン・ウルフのジョン・ケイのアルバムなどに参加。ジョアンもローラとともにボブ・シーガーのコーラスに参加しています。ローラはデトロイト生まれでロスに移住していることから、同じ経歴を持つグレン・フライや、デトロイトで活躍するボブ・シーガーと親しかったのでしょう。

Ry Session34 Arlo Guthrie / Washington County

5f777d89.jpg「ワシントン郡」と名付けられたこのアルバムは合衆国首都への皮肉が込められているのでしょうか。おそらく、アーロ・ガスリーは父の反骨精神も受け継いでるのでしょう。ジャケットには斧を研いでいる、どこかあどけなさが残るアーロのスナップが用いられています。

さて、このアルバム、アーロの4枚目のアルバムで1970年にリプリーズよりリリースされました。プロデュースはレニー・ワロンカーとジョン・ピラ、彼をバックアップするのは、リトル・フィートのドラマー、リッチー・ヘイワード、元フライング・ブリトー・ブラザーズのベーシスト、クリス・エスリッジ、ギターにジョン・ピラ、ギターとピアノにアーロ・ガスリーという4人が基本的な布陣。前作がクラレンス・ホワイトやジェームス・バートンをフューチャーしたカントリー・ロック色強いものだったのに比べ、こちらでは生ギターのサウンドがより強調されているようです。

ライ・クーダーはゲスト扱いで3曲に参加。「Introduction」とメドレーで演奏されるロック・ナンバー「Fence Post Blues」の冒頭からライのエレクトリック・ボトルネック・ギターが飛び出し、効果的なオブリガードを奏でます。先にとりあげたロン・ネイグルのアルバムもそうですが、ライのこのようなプレイを耳にすると、ライってつくづく素晴らしい「ロック」ミュージシャンだなぁと感じてしまいます。インスト曲「ワシントン・カウンティ」ではライはマンドリンを担当している模様。バンジョーにダグ・ディラードも参加してブルーグラス風味が増していますが、ライは速弾きでなくトレモロ中心のプレイ。ロッキン・ブルーグラスという感じの曲ですが、この曲のおかげでアルバムにカントリー風味がぐっと出ています。B面1曲目の「I Could Be Singing」は、サビの部分でロック・ビートが強調されるナンバーですが、アコースティックのボトルネック・ギターでのブルージーなオブリガードを聴くことができます。この曲にはクラレンス・ホワイトもエレクトリック・ギターで参加しています。

その他にもなかなかの佳曲が並んでいます。2本のアコースティック・ギターが美しい「Gabriel's Mother's Hiway Ballad #16 Blues」は曲名とちがってブルース風味が少なくストリングスも配されたバラードです。「Valley To Pray」にはコ・プロデュースでヴァン・ダイク・パークスが参加。凝ったストリングスとホーンが重なり、ダルシマーが高音でリズムを刻み少し異質な音空間を形作っています。ライの1stソロでストリングスが導入された3曲のアレンジとも通じるものがあります。ボブ・ディラン作の「Percy's Song」はフェアポート・コンベンションが「Unhalfbricking」でとりあげたナンバー。ラスト・ナンバーの「I Want to be Around」もなかなか良いメロディを持ったアコースティック・ロックです。

このアルバムはアーロの作品の中では、比較的シンプルなサウンドを持った一枚で、彼の資質がうまく引き出されています。リズム隊のリッチー・ヘイワードとクリス・エスリッジは直後にレコーディングされたライの1stソロ・アルバムでも大活躍していて、同じレーベル、同じプロデューサー(レニー・ワロンカーのみですが)という関係からこの二枚にはアルバムにはサウンド面など多くの共通点も見いだすことができます。アーロにとってはバーバンク・サウンドに仲間入りしての2枚目のアルバムですが、ここしばらく、アーロは充実期を迎えるようです。


Nash皐月&ヒルズ・ランブラーズ、チャリティ・コンサート出演

昨日は、産業医科大学の学園祭で、骨髄バンク・チャリティ・コンサートにNash皐月&ヒルズ・ランブラーズの一員で出演しました。ホームページはありませんが、ギター&ボーカル、ベース、ドラムス、フィドル&マンドリン、ペダル・スティール&バンジョー、ボーカル、ギター&マンドリンの7人編成でカントリー系のオリジナルを演奏してます。わたしはマンドリンで4曲、生ギターで3曲を演奏。めったにないホール・コンサートで、いつもとは違った雰囲気での演奏を楽しむことができました。今回は産休中のボーカリスト、みさよさんのピンチヒッターで律さんが参加。高音が美しい彼女の歌声もなかなか素敵でした。実行委員会のみなさんを中心に学生さんたちがずいぶんコンサートを盛り上げてくれて、たいへん嬉しかったです。控え室などでの対応もとても行き届いていて、とてもいい気分で演奏することができました。実行委員の皆さんや呼んでくれたプロデューサーのナベさんに感謝です。共演したR&Bのボーカリスト、ミカズさんとバンドの皆さん、ゲストのサックス奏者フィーバー中島さんの演奏もいつも以上に素晴らしく、なかなか楽しい夜でした。

Ry Session33 Ron Nagle / BAD RICE

0f7b931d.jpgロン・ネイグルは、ジョン・レノンより1歳年上の1939年生まれ。1960年代に活躍したサイケディリック・ロック・バンド、ミステリー・トレンドのメンバーでした。ミステリー・トレンドは、ギター、キーボード、ベース、ドラムの4人編成で、ジェファーソン・エアプレインやグレイト・ソサエティらとともにサンフランシスコで活動していました。

このアルバムは、ミステリー・トレンド解散後、ロン・ネイグルが1970年に発表したアルバムで、全11曲中ジッャク・ニッチェが8曲、トム・ドナヒューが3曲をプロデュースしています。ライ・クーダーの参加曲は、もちろん、ジャックのプロデュース曲で、アルバムの冒頭に収められた「61 Clay」とB面2曲目の「Capricorn Queen」の2曲ですが、ライナーには間違えがあり、Ry Cooder guitar on cuts I-1,2となっています。

「61 Clay」は豪快なロック・ナンバーで、ライ・クーダーは複雑なリズム・ギターとボトルネックのリードと、エレクトリック・ギター2本をダビングし分厚いサウンドをつくっていますが、さらにコードストロークのギターも加わりかなり迫力のあるナンバーに仕上がっています。「Capricorn Queen」の方も、アップテンポのロック・ナンバーで、こちらはピアノの伴奏にのせて、ライのボトルネック・ソロが唸り声をあげています。

ロン・ネイグルは、さすがピアニストだけあって、なかなかの佳曲を書きます。特に「That's Friends are for」や「Dolors」はとても美しいバラード。今の感覚では多少古臭く感じられる人もいるかも知れませんが、いい曲には古いも新しいもないと思わせるナンバーです。また、「Party In L.A.」はストレートで楽しいロックン・ロールですが、ありきたりのものと違って、とてもいいメロディを持っています。少しノスタルジックな感覚をもった「Family Style」なども秀逸です。そんなわけで、ライの参加を抜きにしても楽しめるアルバムなのです。

アルバム・タイトルの「Bad Rice」どおり、色のよくない米を用いたオブジェがジャケットを飾っていますが、ロン・ネイグルは、実は陶芸作家という別の顔を持っていて、このアルバムのデザインも担当しています。彼の作品はアメリカの多くの美術館に収蔵されており、大学で教鞭もとっているようです。このアルバムの冒頭に収められた「61Clay」の「Clay」とは陶芸用の粘土のことで、「マリファナ地獄」と題された2曲目では、マリファナにおぼれた画家の女性が主人公です。

ロン・ネイグルのソロ・アルバムは、この一枚しかないようで、この後はプロデューサーやソングライターとして活躍しており、チューブスやバーバラ・ストライサンドに曲を提供 スコット・マシューズとタッグをくみ、映画音楽を制作しています。また1983年にリリースされたポール・カントナーのアルバム「Planet Earth Rock and Roll Orchestra」にもピアノとボーカルで参加しています。

カルメン・マキ&隠者の森 ライブ

83f49cd5.gif今日はカルメン・マキ&隠者の森のライブに行ってきました。「隠者の森」というユニットは、桜井芳樹さん(g)、松永義孝さん(b)の、Lonesome Stringsのうちのお二人によるもので、彼らの演奏も大きなお目当てでありました。
カルメン・マキさんの生の歌声は今日はじめて聴きましたが、かなり圧倒されました。日本語の曲が大半で、歌の力を感じさせる「かもめ」、最近は封印したきたけれども、こんな時代だからこんな反戦歌もあっていいんじゃないか、今の若い人達にも聴いてほしいと客席に語りかけた「戦争は知らない」、「Summertime」を間に挟み込んだ「時には母のない子のように」などは格別でした。大好きな恭蔵さんの「アフリカの月」をやってくれたのは、たいへん嬉しかったです。
外国曲のカバーでは、「Water is Wide」、「End of the World」、アンコールでとりあげた「Will You Still Love Me Tomorrow」など、美しいメロディの曲が多かったですね。

桜井芳樹さんのステージをはじめて見たのは、今から5〜6年前になるでしょうか、酒井俊さんのバックをチューバの関島岳郎さんとお二人で担当しておられるのが最初です。その日、お話しする機会がありRy CooderやAmos Garretteなど、アメリカン・ルーツ・ロックのギタリストの話題で盛り上がったのを覚えています。その後、シカラムータのステージを見せていただく機会が2度ほどありましたが、今日はひさびさに女性ボーカルのバックでのプレイでした。MartinのフルアコGT-75を用いて、ボサっぽいものから、Jazz
、フォークに至るまでマルチなバッキングでした。間奏では、ベースと二人だけという簡潔な編成の中、とても濃密なソロを何度か聴かせてくれて大満足です。

思えば、カルメン・マキさんも、桜井さんもさまざまなジャンルを横断して、興味深い音楽をつくりだしておられますよね。ベースの松永さんのプレイも味わい深く、三人のコンビネーションは抜群でした。世知辛い世の中ですが、胸に小さな暖かい灯りがともったような、そんな気分を味わえた小倉フォーク・ビレッジの夜でした。

Doc.Kirby & CO.

ae7f3b88.gifドク・カービィ&CO.というバンドのことはよく知らないのだけれど、スワンプのレア名盤だということで購入してみました。針を落とした瞬間、ファンキーなリズムのベースにギター、その上にマスル・ショールズのホーンズが被さってくる。そして歌が始まると、こりゃ典型的なスワンパーですなぁ、という渋い喉。2曲目は繊細なギターやピアノを伴奏にしたバラードなんだけど、泥臭い声で歌われると、南部の香りがプンプンしますね。アップテンポのものにはホーンがフューチャーされたものが多くて白人ながら結構黒っぽかったりしますが、フィドルが参加してカントリー・テイストが加えられたの適度に陽気な曲もあります。ハシエンダ・ブラザーズのところでも書きましたが、カントリーっぽさとR&Bテイストが同居するってのは南部音楽の醍醐味ですね。骨太の彼らの演奏、なかなか気にいってしまいました。

同じプレイボーイ・レコードから渋いアルバムを出しているシンガー・ソング・ライターのスミス・ビンソンがギターで参加していて4曲を書いています。参加メンバーもほぼ同じ、プロデューサーも同じレイ・ハリス、写真撮ってる人も同じで、同じ1973年にリリースされています。しかも、レコーディングされたの場所もミシシッピー州テュペロのトレイス・スタジオと同じ場所です。でも、内容はビンソンのソロは生ギターをフィーチャーした静かなサウンドが中心で、かなりの違いを見せています。もちろん、なんとなく漂う南部の香りはビンソンさんの方でもビンビン感じられるのですけどね。

Jackson Browne / solo acoustic vol.1

dee3aa05.jpgジャクソン・ブラウンのアコースティック・ソロ・ライブ・アルバムが登場しました。いやぁ。素晴らしい。50代半ばながら、彼のバリトン・ボイスは衰えるどころか、ますます深みを増しています。シンガー・ソング・ライターというのは、ホント彼のためにあるような言葉だと思います。

最近の若い人には、彼の歌は「感傷的すぎる」と映るかもしれませんが、その「感傷」こそ、自分が若い時には、好むと好まざるとにかかわらず、常に身近にあったものであり、当時の多くの若者に共感を呼んだもののように思います。若いときは、お金はないけど、時間はたくさんあるものです。そして、感受性が豊かだったあのころは、色々な物事に出会っては傷つき、「感傷」にひたるだけの時間も残されていました。70年代には、多くの若者が心のひだに触れるようなジャクソンの歌に心をふるわせ、旅へのあこがれに胸を焦がしたことでしょう。

ジャクソンはここで、ニコのことを歌った「The Birds Of St. Marks 」をはじめてオフィシャルに発表しました(以前、ビデオ『Going Home』でさわりが紹介されましたが)。若い時の苦い恋の思い出を35年以上が経過し、ニコ自身もこの世を去った今、観客のリクエストに応じて、こんなにもリアルな肌触りをもって表現できるなんてちょっとした驚きです。

もう一つ感じたのは彼の楽曲の完成度の高さです。こうして裸にしても、曲の良さはバンド・バージョンと一切かわりません。もっとも、ジャクソン自身のギターやピアノの巧さもあります。70年代のソロ・パフォーマンスに比べると、彼のギターは伴奏として格段の表現力を身につけていると言えます。「Your Bright Baby Blues」で、ジャクソンはボトルネック・ギターを演奏しています。けして難易度の高い演奏ではないけれども、歌のサポートとしては過不足のないプレイと言えるでしょう。ピアノで伴奏される曲も「Fountain of Sorrow」のように原曲よりテンポを落としてじっくりと聴かせることによって、シンプルな伴奏でも物足りなくならないような工夫がなされています。

あと、このアルバムで嬉しいのは、ジャクソンが歌に入る前のおしゃべりがいくつか紹介されているところです。彼の気さくな人柄が伝わってくるかのようです。そして、やはり2004年の4月に広島まで見に行った、彼の日本ではじめてのソロ・アコースティック・ツアーのことを思い出すのです。

このアルバムでは、政治的な曲は比較的少なく、彼自身の独白のようなナンバーを中心に選ばれていますが、日本盤には「The Rebel Jesus」を収録。「Lives In the Balance」「Looking East」とともに反骨精神も健在です。Vol.2も期待大です。

Hacienda Brothers

c6997ec4.jpgハシエンダ・ブラザーズ。ダン・ペン、プロデュースによるカントリー・ソウル二人組です。バラードがいいですねぇ。彼が惚れ込んだという「I'm So Proud」や、「The Years That Got Away」のメロウでスゥイートなこと。すばらしいです。第一印象は、ペダル・スティールとデュアン・エディばりのトゥワンギー・ギターが入ったダン・ペンというイメージですが、無骨なロッキン・カントリーも良。ザラついた声の方のほうは、ダグ・ザームを思わせます。アコーディオンの入っている曲もありますし。たしかに「ブリトーズの継承者」と思えなくもないですが、もっと大人っぽくて男っぽいです。ブリトーズもソウル・ナンバーをとりあげていましたが、この二人はもっとこなれていますね。「Looking For Loneliness」「Walking' On My Dreams」などはもろサザン・ソウルという感じです。後者は間奏がペダル・スティールというのがいいです。ジェームス・カーにしてもオーティスにしてもカントリー・ナンバーをカバーしてるわけで、バラカンさんがおっしゃるように、「ソウルもブルーズもカントリーもみんな同じアメリカ南部の土で育まれた音楽」なんですよね。
ギャラリー
  • Dan Penn & Spooner Oldham Live at Billboard Live Osaka
  • Dan Penn & Spooner Oldham Live at Billboard Live Osaka
  • David Lindley & El Rayo-X / Live at Winnipeg Folk Festival
  • Afro Cuban All Stars / A Toda Cuba le Gusta
  • Terry Talbot / Cradle of Love
  • Terry Evans / Come To The River

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