7a0cc788.jpgジャクソン・ブラウンの新作は、前作に引き続いて「ソロ・アコースティック第2集」。2月くらいから告知が出てて、たぶん国内盤にはボーナス・トラックがつくだろうからと、それを待っておりました。先日ネットで、ボーナス・トラックは2004年日本公演からの「Shadow Dream Song」と知りました。「これって、俺がリクエストした奴やん。」90年代に入ってから、彼はよくライブでリクエストに応えてくれるようになりました。自分もリクエストに応えてもらったのは2回あります。1回は大阪フェスティバル・ホールで10年くらい前になりますが、「Farther On」でした。そして2回目がこの「Shadow Dream Song」です。発売日は昨日でしたが、忙しかったので、今日買いに行きました。家から一番近いタワレコでは売り切れ。おそらくあまり売れないので2枚くらいしか仕入れなかったんだろうな。それで、次に近い店に行くと、ありました。裏返して帯を読むと、こんな文句が。「そして、この曲を日本でリクエストしたあなた! その声も入ってますよ!!」帰りに、車の中のCDで早速聞きました。たしかに、入ってます。発音も悪いし、恥ずかしいし面映いですなぁ。

このライブがあったのは、2004年4月25日、広島のNTTクレドホールという600人くらいの会場でした。仕事の都合で行けるかどうかなかなかわからなくて、チケットを買ったのが、ライブ間際だったため、一番後ろの席でした。リクエストするというのは結構勇気がいるし、拍手やMCの合間とか、タイミングをはかるのも難しいです。このときは一番後ろだったので、ジャクソンに声が届くか心配でしたが、「What?」と聞き返してくれたので、もう一度言うとわかってくれたので安心しました。一番後ろだったのに、自分の声が鮮明に収録されていて驚きです。曲はおそろく3番まであって、2番の途中でジャクソンが歌詞を失念したようで、「歌ってくれよ」みたいなセリフを言ったように思うのだけど、それが入ってないってことは編集されたのかなと、思います。それから、ここに入っていませんが、曲が終わったあと「サンキュー」とお礼を言いましたよ。このときのライブでは、「I am A Man of Constant Sorrow」や「Rock Me On The Water」のギター弾き語りバージョンが聴けたり、エンディング近くでは、「Load Out-Stay」まで登場しました。MCでは前日広島で行われたジェフ・マルダーのライブを見に行ったって、言ってましたっけ。

ジャクソン・ブラウンは、リンドレーさんについで、たくさんのライブを見ている外国人ミュージシャンです。高校生の頃にファンになって、いまだに聴きつづけています。今もって、シンガー・ソングライターの中ではもっとも信頼のおける一人だと思います。彼は、自分のそういう資質をよく知っていて、近年、ソロ・アコースティックのライブを頻繁にやっているし、こうして立て続けにアコースティック・ライブ・アルバムを発表しているのでしょう。今回のアルバムでは80年代以降の比較的新しい曲が多いのが特徴。オリジナル・アルバムとしては最新作の「Naked Rid Home」から4曲も選ばれていたりしますが、彼の代表作がずらりと並ぶ74〜83年のアルバムからは1曲も収録されていません。もちろん、これは意図的な選曲でしょうね。だから、アルバム収録作のほとんどは、現代的なロック・アレンジでなじんだ曲ばかり。それを、こうしてギター1本で演奏されると、曲の本当のよさがわかるんです。この曲ってこんなにいい曲だったっけ、って発見があります。リッキー・リーに「Naked Songs」というアコースティック・ライブ盤がありますが、この盤でも歌が本当に「裸」で、それが聞かせるってことは、素材そのものが素晴らしいってことですよね。そういった意味では、今回のソロ・アコースティック・シリーズは、ジャクソンのアルバムを全部そろえているようなファン向けと言えるわけだけど、ジャクソンを聞いたことがないという若い人が、このアルバムから入門するのも「有り」だと思うんですよ。こういうフォーキーな音楽は今結構流行ってるけれども、なかなかジャクソンの境地に至ってる人は少ないでしょうから、シンガー・ソングライターの真髄というものを知るにも格好のアルバムだと思います。ボーナス・トラックに自分の声が入っているから勧めているわけじゃないですけどね。

冒頭の「Never Stop」は、「Naked Rid Home」からのシングル曲だったように思います。アップテンポのバンドアレンジに比べて、落ち着いたギター1本のアレンジの方が味わい深いですね。3曲目の「Enough of The Night」も大好きな曲で、バンドアレンジでは追っかけコーラスが印象的だったのですが、そのイメージを崩すことなくアコースティックにアレンジしています。こうした曲に比べ、もともとバラードのピアノ曲「Sky Blue And Black」や「Alive In The World」は、アレンジが大きく変わっているわけではありませんが。よりシンプルになった分、曲そのものの良さがより引き立っています。「All Good Things」も好きな曲で、こうしてアコースティック・バージョンを聴けて幸せ。彼の最大のヒット曲「Somebody’s Baby」は、アコースティックではピアノで演奏するんですね。こうして聴いてみると、また違った味わいがあります。もともとピアノでつくった曲だったのかも知れません。古い曲では「Something Fine」と「Redneck Friend」という比較的地味な曲が選ばれているのも面白いところです。このあたりは、その風貌と同じくいつまでも変わらぬ若さを感じさせてくれます。

「Shadow Dream Song」は、ギターの弾き語りで演奏してくれました。ごく短い期間恋仲だったパメラ・ポーランドをモデルに書いた曲で、トム・ラッシュのバージョンではじめて聞いたときに、とってもいい曲だなぁと思いました。ほかにも、スティーブ・ヌーナンやニッティ・グリッティ・ダート・バンド、グレッグ・オールマンがカバーしています。日本だけですけど、自分がリクエストしたんで、初めて彼自身のバージョンが公式に銀盤に刻まれたと思うと、ちょっとだけ誇らしかったりします。日本盤は彼の楽しいトークの翻訳もついてるし、天辰保文・五十嵐正両氏による解説も素晴らしいので、ぜひ日本盤を買いましょう。別にソニーのまわしものじゃないけど、自分の声を入れてくれてるんで、これくらいは宣伝しとかないと、ね。