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ジャズ・テントを出て、近くのアキュラ・ステージに向かいます。アキュラではジミー・バフェットとコラル・リーファー・バンドが演奏中。スチール・ドラムも入ってとっても心地よい演奏です。ジミー・バフェットは日本ではあまり知られていませんが、アメリカでは大人気。多くの支持者がいます。見渡しても、彼の孫娘のような10代の女の子も身体を揺すって音楽に乗っています。自分が足を踏み入れた時やっていたのが、ちょうど代表曲「Margaritaville」だったというタイミングだったせいもあるでしょう。この曲がラスト・ナンバーでアンコールの拍手に応えて始まったのはローリング・ストーンズの「You Can’t Always Get You Want」。やはり、今回ストーンズがジャズフェスに来る予定だったことをみんな意識していますね。周りの観客は一緒に口ずさんでいます。この曲を聴きながら人混みをぬって前列の方へ進みます。続いて「Love and Luck」。スティール・ドラムがとても効果的で南国でのリゾート気分にぴったりな楽曲ですね。演奏も素晴らしく人気のわけがわかりました。曲は途中からボブ・マーリーの「One Love」に移行。おそらく、このナンバーは後でネヴィルズもやるだろうなぁと思いながら聴いていると、あまり長くやらずに全編の演奏は終了となりました。

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ジミー・バフェット

ここで、静岡のIさんと無事合流することができ、一般ゾーンのほぼ最前列でトロンボーン・ショーティ達を観ることができます。ジェンティリーのジョン・フォガティにも念が残らないでもないですが、ネヴィルズも出るとあっては、こちらが優先でしょう。長いようで短かったジャズフェス。全8日の日程のうち7日の参加ですが、もうおしまいか、という思いが強いです。本当に退屈なステージは一つとしてなく、どこに行っても音楽が生き生きと躍動していました。

トロンボーン・ショーティは2012年のジャズフェスに来たとき、アキュラ・ステージの2番バッターだったのを見ました。その後がドクター・ジョン、ブルース・スプリングスティーンだったから、2番と言えどもかなり重要な役どころ。その年がアキュラ・ステージの大トリをネヴィル・ブラザーズが務めた最後の年になり、翌年からショーティがその大役を現在まで引き受けています。2018年のステージでは、ジャズフェス期間中に亡くなったチャールズ・ネヴィルをトリビュートし、シリル、アイヴァン、イアンのネヴィル一家をゲストに迎えたそうです。今年は、プログラムにも「With Nevilles」と銘打っているので、エアロンが出るかどうかはわからないけど、上記の3人は絶対出るだろうと、早くからこのステージを見る予定にしていました。すると、前日のテレビでエアロンもこのステージに登場するとの情報が入ってきたのでした。

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ショーティ熱演

静岡のIさんと、しばし雑談をしているといよいよジャズフェス最後のステージが幕を開けます。SEは最新作の冒頭に入っている「Laveau Dirge No.1」。ブードゥー教の伝説の司祭マリー・ラヴォーをテーマにした曲でしょうか。下手からショーティが姿を表すと割れんばかりの声援が巻き起こります。マイナー・キーのファンクが炸裂。定番曲「Where It At?」です。7年ぶりに見るショーティのステージですが、歌もいいですよねぇ。続くナンバーもマイナー。インストのファンク「Backjump」です。ショーティは思いっきりトロンボーンを吹き鳴らしていて、その姿には神々しささえ感じます。曲は途切れなくミーターズのカバー「Ain’t No Use」に続いていきます。この曲は最新作に収録されていたので、演奏してくれるだろうと思っていました。原曲より少しテンポを上げて爽快感を演出しています。今や世界的な売れっ子となったショーティですが、先達に対するリスペクトを忘れない姿勢にはとっても好感が持てます。

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こちらも熱演

次の曲はミディアム・テンポで切ない歌物「The Craziest Thing 」。間奏では自らのトロンボーン・ソロをたっぷり聴かせます。しかも、後半はパーカッションと二人だけで熱演。そういえば出だしから4曲連続でマイナー・キーの曲を並べてきましたね。と、思うと次のナンバーの出だしは少しの間マルディ・グラ・インディアン・ソングによく出てくる「Un na-ne」を繰り返した後、聞き覚えのあるホーンのフレーズに。曲は「Here Comes The Girl」です。こちらも原曲よりスピードアップして、カッコいいダンスチューンに模様替えしていますが、原曲の楽しさはそのままです。間奏ではエフェクトをかけて残響音を強調したバリトンサックスが大活躍です。続く「Suburbia」もマイナー・キーのインスト。テーマはホーンズが決めますが、間奏ではエレキギターが速いパッセージのソロ、その後はホーンズだけでフレーズを紡ぐという起伏のある展開。息もつかせぬ熱演です。最後はショーティが無伴奏でトロンボーンのソロを決めてエンディング。力量を見せつける演出です。

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トランペットも上手い

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アイヴァン、イアンを加えて「Fire On The Bayou」

ここで、ゲストを紹介。アイヴァン・ネヴィル、イアン・ネヴィル、トニー・ホールを呼び出し、「Fire On The Bayou」が始まります。イントロにはショーティが「Do You Wanna Funk It Up」という歌詞をかぶせ、リード・ヴォーカルはアイヴァン。続いての登場はシリル・ネヴィル。曲はミーターズ・ナンバー「No More Okey Doke」。この1曲で袖に引っ込もうとするシリルをショーティが押しとどめ、始まったのはネヴィルズ・ナンバーの「Brother Jake」が始まります。リードはアイヴァン。シリルがカウンターを歌い、叔父甥のデュエットになります。ショーティのバンド+ネヴィルズで、こんな曲が聴けるなんて感激です。このフェスの締めくくりに、このステージを選んで大正解でした。

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シリル登場

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シリルとトローンボーンを吹くショーティ

ここで一旦シネルが引っ込み、もう一人のゲストを紹介します。ショーティの「夢が叶ったよ」というMCで登場したのはエアロン・ネヴィル。前日も聴けた曲ではあるけれど、この編成でのバックもたまりません。代表作の一つ「Yellow Moon」の登場です。チャールズが吹いていたサックスの箇所はショーティがトロンボーンで奏でます。これまた感動です。曲が終わると、すかさずエアロンがスキャット。キーボードだけをバックに「Amazing Grace」が静かに始まります。西の方が赤く染まり始めたニューオーリンズの青空に溶けてゆくような歌声です。一節が終わるとギターがカッティングでリズムを取り始めます。曲は言わずと知れたボブ・マーリーの「One Love」です。舞台袖からシリルが再び登場。シリルがリードを、エアロンが高音部を歌い、久々の兄弟競演に目頭が熱くなりました。曲はごく短い間でしたが歌い終わった後、二人はガッチリと握手をしていました。

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エアロン登場

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「Yellow Moon」のエンディングではチャールズのフレーズをショーティが

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ついに兄弟競演

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そして、ショーティのトロンボーン

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自分のバンドだけになって再び熱演

これで有終の美かと思われましたが、ショーティはアンコールに応えます。アップテンポのインスト「Hurricane Season」を短くプレイした後、「Do To Me」が登場、途中でホーンズだけで「When the Saints Go Marching In」へと展開。コーラス隊も絡んできます。ひとしきりオーディエンスに歌わせた後、再びに「Do To Me」に戻ってエンディング。メンバーを一人一人紹介して大団円です。7年ぶりのショーティのステージ、大きく成長した彼の姿を見ることができてよかったと思います。そして、本当に久々のエアロンとシリルのネヴィル兄弟の競演。わずか2分くらいでしたが、この瞬間に立ち会えて幸せでした。2019年、第50回のジャズフェスを締めくくるにふさわしい素晴らしいステージでした。

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いよいよ大団円

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サングラスを外しイケメンを少しだけ披露

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客席に別れのポーズ

1.Where It At?
2.Backjump
3.It Ain’t No Use
4.The Craziest Thing
5.Here Comes The Girls
6.Suburbia
7.Fire On The Bayou (with Ivan, Ian, Tony)
8.No More Okey Doke (with Cyril, Ivan, Ian, Tony)
9.Brother Jake (with Cyril, Ivan, Ian, Tony)
10Yellow Moon (with Aaron, Ivan, Ian, Tony)
11.Amazing Grace(with Aaron, Ivan, Ian, Tony)
12.One Love(with Aaron, Cyril, Ivan, Ian, Tony)
13.Hurricane Season
14.Do to Me
15.When the Saints Go Marching In

例によってシャトル・バスでホテルに戻りますが、その後、最後のライブに出かけるので腹ごしらえです。クロウフィッシュ・エトフェは売り切れだったので、クロウフィッシュ・ソーセージのポーボーイとブレッド・プディングで夕食にしました。朝からずっと食べていなかったというのもあるでしょうけど、とても美味しかったです。

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クロウフィッシュ・ソーセージのポーボーイ

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ブレッド・プディング

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バス乗り場に沈みゆく夕陽

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町はいつものアフター・フェスト・パーティ