明けましておめでとうございます。
 本年も幻妖ブックブログと『幽』ツイッター、そして『幽』と幽ブランドの刊行物、ならびに「ふるさと怪談」「深川怪談」「てのひら怪談」「みちのく怪談」・・・・・・その他もろもろを何卒よろしくお引き立てのほど、お願い申しあげます。

 昨年の新春御挨拶で「2013年は、とりわけ『幽』関連で激動の一年でした」と書きましたが、真の激動は、2014年にやってきました。
 『幽』の発行元がメディアファクトリーから角川書店本社に移り、それに伴い、小生以外の編集スタッフ3名(岸本、似田貝、光森)も、角川書店に移籍することになったのです。現在は先輩雑誌である『怪』とともに「幽・怪編集部」なるものに所属している模様です(笑)。
 まさか、『幽』と『怪』が同じ出版社の同じ部署から発行される日が来るとは・・・・・・本当に世の中、分からないものですねえ。ま、だからこそ、面白いわけですが。

 さて、今回の移行にあたり、小生の肩書が「編集長」から「編集顧問」に変わります。
 これは角川書店社員の役職として「編集長」の肩書があるため、それと混同されない肩書として、いちばん妥当かなと思われるものに落ち着いた次第です。毎号「東雅夫責任編集」と銘打つのも、なんだかなあ、ですしね。
 もちろんメディアファクトリーにだって編集長職はあったわけですが(笑)、『幽』起ちあげにあたっては、上層部の特段の御配慮もあって、イレギュラーながら、フリーランスの小生が敢えて編集長を拝命したという経緯がありました。
 今後は『Mei(冥)』編集長を務めた岸本亜紀が編集長に着任し、社内の諸業務は岸本が、『幽』の企画編集や『幽』ブランドの監修統括は小生が、担当して参ります。
 まあ、今までも実際には、そのような分業体制で『幽』は作られておりましたので、肩書が変わっても、実際の業務には特に変わりはありません。吸血キッシー編集長と二人三脚で、『幽』ブランドのさらなる繁栄を目指して邁進いたします!
 個人的には、今後も『幽』の広告塔として、さらにアクティヴに「歌って踊れる編集顧問」を目指したいと思っておりますので(笑)、何卒よろしくお願い申しあげます。

 小生個人の物書き&編纂仕事の面では、2014年は、岩波書店の『文学』や『早稲田文学』から『かまくら春秋』や『北國文華』まで・・・・・・従来、御縁のなかった媒体と仕事をさせていただく機会に恵まれた一年でした。
 特に岩波の『文学』は、『幻想文学』創刊にあたって命名の由来のひとつとなった雑誌でもあり、同誌が本格的に「怪談」に特化した特集を組んだことと合わせて、非常に感慨深いものがありました。
 また「日本経済新聞」で秋に連載した「奇絶怪絶! 幽霊画十選」には、思いがけぬ方々から御反響・御感想を頂戴し、日経文化面の実力を再認識させられた次第です。
 今年は、懸案の怪談関連本の書き下ろしを手始めに、これまで以上に文筆仕事に注力したいと意気込んでおります。業界関係の皆様には、お気軽に御用命を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。

 アンソロジー仕事では、『明治の怪談実話 ヴィンテージ・コレクション』刊行によって三部作が無事に完結し、明治・大正・昭和三代の知られざる怪談実話の系譜を、当初の予定どおり展覧できたことに、まずは安堵いたしました。
 松村進吉の『セメント怪談稼業』や黒木あるじの『オトリヨセなんたら』や郷内心瞳の『拝み屋郷内』連作など、昨年は怪談実話の世界に新たな風が吹き始めましたが、先人たちの遺業をふりかえる「温故知新」の精神も、この分野のさらなる展開に欠かせないものと確信しております。
 温故知新路線としては、平凡社ライブラリーの『可愛い黒い幽霊 宮沢賢治怪異小品集』、ちくま文庫の『河童のお弟子(柳花叢書)』と、「文豪怪談」系アンソロジーの新刊も、順調に送り出すことができました。
 また、双葉文庫から年末に刊行した本堂平四郎『怪談と名刀』のような、単行本単位での「幻の名著」復刊作業にも、今後は力を入れてゆきたいと念願しております。

 『怪談と名刀』刊行に際しては、金沢の能楽美術館で開催された「刀剣と能 小鍛冶」展の連続イベントと、まったくの偶然ながらコラボレーションする形となり、ゲストの能楽師・安田登さんや刀工の川﨑昌平さん、装剣金工の木下宗風さん、そして漫画家の波津彬子さん、かまたきみこさん、学芸員の山内麻衣子さんといったエキスパートの皆さんと、異界と芸能と工芸をめぐる「場」を共有する貴重な機会を得ました。
 このように、文芸や出版とは別分野の方々との御縁をさまざまな形で深めることができたのも、昨年の大きな収穫だったと思います。

 上記の安田さんとの出逢いからは、浪曲の玉川奈々福さん、女流義太夫の鶴澤寛也さん、チェロの新井光子さん、ヴァイオリンの山本紗由さん、そしてリム・グリーンにて「緑蔭幻想詩華集」をコラボ展開中のフローリスト塚田有一さんといった皆さんとの御縁が生まれました。
 「大地の芸術祭」とのコラボで夏に開催した「越後里山怪談」では、舞踏家の森繁哉さんと巫座の皆さんとともに、我が初舞台(!?)を踏むという得がたい機会を得ました。
 また、音響民俗学の中山一郎さんとの出逢いからも、民俗芸能の研究と実践の分野で貴重なお仕事をなさっている皆さんの知遇を得ることができました(「ありがたい一心」!)。

 こうした新たな出逢いの数々が、今後どのような仕事に繋がってゆくのか、まだ自分でも明確には把握できていないのですが、それらが幻想文学や怪談文芸の根幹に直結するものであることだけは確信しております。

 なんだか年頭から長文になってしまい恐縮ですが、どうか本年も変わらぬ御支援・御鞭撻を賜りますよう、伏してお願い申しあげます。

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