■1958年(0歳)
 4月11日、神奈川県横須賀市に生まれる。本名は政男。東外喜雄(ひがし・ときお)・房江の長男。独りっ子である。父は石川県の出身で、海軍予科練から海上自衛隊に入隊、事務官として停年まで勤務した。横須賀は母の地元であった。母方の家が秩父三峰講の信者であったため、父に背負われて三峰山奥宮に登拝したときの断片的な情景が、最も古い記憶かも知れない。
■1965年(7歳)
 4月、横須賀市立鶴久保小学校に入学。
 幼稚園から小学校にかけては、恐竜や怪獣にとりわけ熱中する。小学校入学の翌年1月から、テレビで「ウルトラQ」の放映が始まった世代なのだから当然ではあろう。
 叔父の部屋で偶然見つけた生物の教科書に、古生物の挿絵が載っているのを目にしてたいそう魅了され、早速、A6サイズのノートに『きょうりゅうのれきし』と命名して、分類・整理・解説(笑)作業に熱中する。どうも根っからエディトリアルな人間であるらしい。私家版の第二弾は、当然のことながら『怪獣手帳』。こちらは一巻ではおさまらずシリーズ化(?)されるに至る。キネマ旬報別冊『世界怪物怪獣大全集』が当時のバイブルで、文字どおりボロボロになるまで愛読した。
 小学校の図書館では、『シートン動物記』『ファーブル昆虫記』『世界の神話伝説』などに、まずハマった。子供向けの『日本文学全集』で、佐藤春夫の「西班牙犬の家」や芥川龍之介の「河童」や宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を読んだあたりが、幻想文学とのファースト・コンタクトではなかろうか。ちなみに、生まれて初めて自分の小遣いで買った本は、水木しげる『墓場の鬼太郎』だった。
■1968年(10歳)
 たしかこの頃、初めて町の書店へひとりで行き、岩波文庫のカフカ『変身』を購入。レジへ持っていったら店員に「おうちの人に頼まれたの?」と聞かれたので、「自分で読む」と答えたら、ヘンな顔をされた。
 なぜ『変身』を選んだのかといえば、「ウルトラQ」的な世界(アンバランス・ゾーン!)に通じているように思ったのと、価格が★ひとつで安かったからである。
■1970年(12歳)
 最寄り駅であるJR横須賀線・衣笠駅前のさんせい堂書店で、創元推理文庫版『怪奇小説傑作集』第2巻を購入。冒頭の「ポドロ島」を読むなり、世の中に、こんなにもわけが分からない、それでいて、こんなにも心惹かれる物語があることに深甚な衝撃を受ける。すべてはここから始まったらしい。
 その後、ブラッドベリ『10月はたそがれの国』や帆船マークの諸作を片ッ端から読破しているうちに、新人物往来社の〈怪奇幻想の文学〉や月刊ペン社の『アンソロジー恐怖と幻想』、そして桃源社や薔薇十字社の異端文学本が、文芸書の新刊棚に並んでいるのを次々と発見。思えば畏ろしき、そして至福の時代であった。
 読書感想文に、ビアスの「犬の油」や『ブラックウッド傑作集』を取りあげて、白い目で見られる(あたりまえだ)。